| 【発明の名称】 |
植物の栽培用シート |
| 【発明者】 |
【氏名】伏原 肇
【氏名】小杉 雅行
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| 【要約】 |
【課題】シートの穴開けを不要とし、肥料を培養土全体に均一に行き渡らせ、植物の生育を促し、培養土全体に亘って栽培槽の外部から酸素供給を可能にし、植物の生育を旺盛にする。
【解決手段】植物を生育するための培養土4を保持する栽培槽2を構成する栽培用シートであって、割繊維不織布の内面に透水性を有するLLスパンボンドを張り付けてあり、栽培槽2が架台1に取り付けられ、該LLスパンボンドの透水係数が適宜設定されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物を生育するための培養土を保持する栽培槽を構成する栽培用シートであって、強化支持層としての通気性配向体に透水性を有するスパンボンドを張り付けてあることを特徴とする植物の栽培用シート。 【請求項2】 前記通気性配向体の内面に前記スパンボンドを張り付けてあることを特徴とする請求項1に記載の植物の栽培用シート。 【請求項3】 前記栽培槽が架台に取り付けられるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の植物の栽培用シート。 【請求項4】 前記スパンボンドの透水係数が0.01cc/cm2 〜1.0cc/cm2 であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の植物の栽培用シート。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、植物の栽培用シートに関し、特に、いちごの高設栽培において、栽培システムの低コスト化と植物に対する効率的な利用に適している。 【0002】 【従来の技術】図6は従来の植物栽培装置の概要を示す斜視図である。この植物栽培装置は、架台41の上横部材52に両端を引っ掛けて取り付けた不織布製の栽培用シートからなる栽培槽42と、この栽培槽42の下方に配置した集水シート43とを備え、栽培槽42に培養土44を充填し、この培養土44でいちごの苗などを生育する。培養土44は、上面の一部と両側面がマルチフィルム48で覆われ、点滴チューブ45の点滴孔45aから水溶液として肥料が施される。 【0003】上記栽培用シートは、幅方向の両端が架台41のそれぞれ対応する上横部材52に掛けられ、ホルダ53をその外周に嵌着させて両端を固定し取り付けられている。栽培用シートには複数の排水孔42aが開けられており、余剰水はこれらの排水孔42aを通って集水シート43に落下し、落下した余剰水は集水シート43に開けられている排出孔43aに連通する排水管46を通って排出される。 【0004】従来は、上記のような不織布製栽培用シートの栽培槽42が用いられていたが、この場合、栽培槽42の栽培用シートは透水性がほとんどなく、栽培期間中の酸素不足による根腐れを防ぐために、栽培を開始する前に、上述の如く予め栽培排水用の排水孔42aを不織布製の栽培用シートに開けていた。そして、点滴孔45aから出た水溶液の余剰水は、集水シート43に開けられている排出孔43aに向かって培養土中を流れる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従来の不織布製の栽培用シートでは、栽培を開始する前に、予め栽培排水用の排水孔を開ける必要があるので、そのための余分な手間がかかり、作業能率が上がらないという問題があった。また、余剰水は、排出孔43aに向かって培養土中を流れるので、水流により培養土中に流路が形成され、その結果、肥料が培養土全体に偏りなく均一に行き渡らないことがあるという欠点もあった。 【0006】本発明は、不織布に透水性や酸素透過性を持たせることで、穴を開ける必要がなく、肥料を培養土全体に偏りなく均一に行き渡らせ、植物の生育を促すことを可能にし、培養土全体に亘って栽培槽の外部から偏りない酸素供給を可能にし、植物の生育を旺盛にすることができる栽培用シートを提供することを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、植物を生育するための培養土を保持する栽培槽を構成する栽培用シートであって、強化支持層としての通気性配向体に透水性を有するスパンボンドを張り付けてあることを特徴とする。本発明では、前記通気性配向体の内面に前記スパンボンドを張り付けてあることが望ましく、前記栽培槽は架台に取り付け可能であり、前記スパンボンドの透水係数が0.01cc/cm2 〜1.0cc/cm2 であることが好ましい。つまり、本発明では、培養土を充填しても十分な強度を持つ割繊維不織布の内面に、該割繊維不織布だけでは透水性が大き過ぎる点を改良するため、スパンボンドを張り付けた植物の栽培用シートとすることができる。 【0008】 【作用】本発明によれば、第1に、点滴潅水のような点状の潅水でも、培養土全体が湿り、そのためにいちごなどの植物の根が培養土中に均一に伸長する。第2に栽培シートから外部に根部が伸長するが、乾燥した空気にさらされることによって、必要以上に根部が伸長することはない。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、いちご栽培用の場合を例として、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る栽培用シートを用いた植物栽培装置を示す斜視図である。この植物栽培装置は、架台1と、該架台1に両上端を掛けて取り付けた栽培用シートからなる栽培槽2と、この栽培槽2の下方に配置した集水・吸熱シート3とを備え、栽培槽2に培養土4を充填し、培養土4の上方近傍に配置した点滴チューブ5の点滴孔5aから水溶液肥料を培養土4に施こし、培養土4でいちごの苗を生育できるようになっている。 【0010】架台1は、垂直な複数の柱状部材11と、ほぼ水平で長手方向に沿った両上横部材12及び両下横部材13と、幅方向に沿った幅方向横部材14とを用いて組立てられている。そして、この植物栽培装置は、長手方向に沿って配置した外管16内を通る温湯管17と、培養土4の上面の一部及び側面を覆って配置されたマルチフィルム18とを備え、これらと集水・吸熱シート3からの熱と相まって培養土4の地温確保が可能である。 【0011】栽培槽2を構成する栽培用シートは、強化支持層として通気性配向体の一種である割繊維不織布を用い、割繊維不織布の内面に透水性スパンボンドを張り付けて構成され、幅方向の両端が架台1のそれぞれ対応する上横部材12に掛けられ、複数のホルダ23をその外周に嵌着させて両端を固定し取り付けられ、排水孔が不要であるため開けられてない。剰余水は栽培用シートを透過して集水・吸熱シート3に落下し、落下した水は集水・吸熱シート3の幅方向中央の下端部に設けられた液溜部7に溜められ、長手方向の端部から排出され、または回収されて再利用される。割繊維不織布へのスパンボンドの張り付けは、例えばエンボスローラなどを用い、両者を重ね合わせ加熱押圧して、多数のポイントにおけるスポット融着によって行われる。この張り付けは、鏡面ローラを用い、両者を重ね合わせ加熱押圧して、全面的に張り付ける方法によって行ってもよい。 【0012】栽培用シートを構成する割繊維からなる直交不織布、即ち割繊維不織布は、高融点ポリエチレン樹脂の中心層と、低融点のポリエチレン樹脂の両外層とを有する網状の縦ウェブと横ウェブとを積層して構成されている。図2は縦ウェブ10と横ウェブ20のどちらにも共通の網状ウェブを示す部分的斜視図である。網状の縦ウェブ10と横ウェブ20は、いずれもそれぞれ多数の幹繊維33a,33bと多数の枝繊維34a,34bとが連なって形成されている。 【0013】縦ウェブ10と横ウェブ20の積層は次のようにして行われる。連続する縦ウェブ10に対して、直角方向から供給した連続横ウェブ20を、縦ウェブ10の幅に合わせて切断し、製品幅及び縦ウェブ10の走行速度に合わせて切断した横ウェブ20を順次断続的に供給し、積層して行き、縦ウェブ10と横ウェブ20の低融点層同士を加熱接着する。図3に示すような割繊維不織布は、このようにして形成され、縦ウェブ10の幹繊維33a及び枝繊維34aと横ウェブ20の幹繊維33b及び枝繊維34bとが交差して構成されており、以下これを「ワリフ」と適宜略記する。この「ワリフ」は登録商標である。ワリフは、例えば単位面積当たりの重量が35g/m2 のものを使用する。 【0014】本発明は、強化支持層として通気性配向体を用いるものであるが、この通気性配向体としては、(a)縦一軸配向網状化フィルム、(b)横一軸配向網状化フィルムおよび(c)一軸配向多層テープから選ばれる少なくとも1種の一軸配向体を、配向軸が交差するように経緯積層しまたは製織した不織布または織布を用いることができる。 【0015】上記熱可塑性樹脂を原料とする(a)縦一軸配向網状化フィルムは、第1の熱可塑性樹脂層の片面または両面に、第1の熱可塑性樹脂より融点の低い第2の熱可塑性樹脂層を積層した多層フィルムを、縦方向(フィルム成形方向)に一軸延伸しまたは一軸圧延し、かつ延伸または圧延の前および/または後に、例えばスリッターを用い縦方向に割繊したものが望ましい。図2は(a)縦一軸配向網状化フィルムの一例を示し、多層構造の表示を省略した部分拡大図である。 【0016】また、熱可塑性樹脂を原料とする(b)横一軸配向網状化フィルムは、第1の熱可塑性樹脂層の片面または両面に、第1の熱可塑性樹脂より融点の低い第2の熱可塑性樹脂層を積層した多層フィルムを、横方向(フィルム成形方向と直角の方向)に一軸延伸しまたは一軸圧延し、かつ延伸または圧延の前および/または後に、例えば熱刃などにより横方向にスリットを形成したものである。図4は、上記(b)横一軸配向網状化フィルムの一例の部分拡大斜視図である。図において、横一軸配向網状化フィルム36も、第1の熱可塑性樹脂層37の両面に第2の熱可塑性樹脂層38を積層した多層構造体からなるものである。 【0017】さらに、熱可塑性樹脂を原料とする(c)一軸配向多層テープは、第1の熱可塑性樹脂層の片面または両面に、第1の熱可塑性樹脂より融点の低い第2の熱可塑性樹脂層を積層した多層フィルムを裁断し、かつ裁断前および/または後に、延伸または圧延により一軸配向したものである。一軸配向多層テープも、同様に第1の熱可塑性樹脂層の両面に第2の熱可塑性樹脂層を積層し、延伸および裁断を行ったものである。 【0018】また、本発明においては、通気性配向体として、(a)縦一軸配向網状化フィルムを2枚積層した不織布に限らず、例えば、(a)縦一軸配向網状化フィルムと(b)横一軸配向網状化フィルムとを積層した不織布、(c)一軸配向多層テープを2組積層した不織布、または(c)一軸配向多層テープを織成した織布が、いずれも使用可能である。 【0019】本発明において、高融点樹脂として用いることが可能な樹脂としては、高・中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリヘキセン−1等のα−オレフィンの単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のα−オレフィン相互の共重合体等のポリオレフィン類、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂がある。 【0020】また、本発明において、低融点樹脂として用いることが可能な樹脂としては、高・中・低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体;エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体及びエチレン−メタクリル酸エステル共重合体;エチレン−(マレイン酸またはそのエステル)共重合体;ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等のプロピレン系重合体、不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン;共重合ポリエステル等の熱可塑性樹脂がある。製造上の理由から、上記高融点樹脂との融点の差は5℃以上が必要であり、好ましくは10〜50℃以上である。 【0021】網状のウェブにおける具体的な樹脂の3層構成としては、低密度ポリエチレン(LDPE)/高密度ポリエチレン(HDPE)/LDPE、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)/HDPE/EVA/、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)/HDPE/LLDPE、プロピレン−エチレン共重合体(PEC)/ポリプロピレン(PP)/PEC、共重合ポリエステル(CPEs)/ポリエステル(PEs)/CPEs 等が挙げられる。 【0022】栽培用シートを構成するスパンボンドは、本実施形態の場合、ポリエチレンの長繊維をネット上に受け、これを加熱ロールで加圧して繊維の相互接触部分を融着させたものである。 【0023】スパンボンドは、例えば単位面積当たりの重量が30g/m2 、透水係数がJIS−L1218規格準拠による0.01〜1.0cc/(cm2 ・ sec)であり、好ましくは、透水係数が0.1cc/(cm2 ・ sec)である。スパンボンドの材質は、LLスパンボンド(直鎖低密度ポリエチレン)、ポリエステル、ポリアミド、もしくはポリプロピレンなどが好ましく、または複合材としてはポリエチレンテレフタレート−直鎖高密度ポリエチレンが好ましい。 【0024】集水・吸熱シート3は、厚さ30μmの黒色ポリエチレンフィルムに、薄い方の厚さ20μmの透明ポリエチレンフィルムをラミネートし、この透明フィルム面をワリフに張り付けてなる素材を用いて構成される。フィルム面とワリフとの張り付けは、例えばエンボスローラなどを用い、両者を重ね合わせ加熱押圧して、多数のポイントにおけるスポット融着によって行われる。この張り付けは、鏡面ローラを用い、両者を重ね合わせ加熱押圧して、全面的に張り付ける方法によって行ってもよい。かかる素材は、例えば長さ50m、幅が590mmの長方形のものを用い、幅方向の中央位置で長手方向に沿った直線を折り目にして二重に折って重ね合わせ、この二重に重ね合わせたものに、図5に示すように折り目から適当な寸法だけ離れた位置における直線に沿って断続的にヒートシール26を施し、このヒートシール26と折り目との間に下端部の液溜部7が形成され、ヒートシール26が施してない部分に通路27が確保される。 【0025】また、集水・吸熱シート3は、上端近傍に複数の取り付け孔28が長手方向に20〜50cmの一定間隔を置いて開けられており、これらの取り付け孔28に針金もしくは合成樹脂製のワイヤを通し、この針金もしくはワイヤによって架台1に容易に固定することができる。そして、集水・吸熱シート3は、図1に示すように、栽培槽2の真下に配置し、両上端が架台1に固定されて架台1に取り付けられ、断面がV字形をなし、幅方向の中央下端部に液溜部7が位置していて、上方から落下する余剰液がV字形部分に当たって流れ落ち、ヒートシール26を施してない部分の通路27を通って液溜部7に溜り、全体として安定した形状と姿勢が保持される。 【0026】架台1に集水・吸熱シート3を固定するための器具としては、架台1の脚部に固定可能であってフックが付いている合成樹脂製のホルダとワイヤとの組み合わせ、または架台1の脚部に固定可能なホルダに引っ掛け用のワイヤを付けておくものであってもよい。架台1に集水・吸熱シート3を取り付ける手段としては、集水・吸熱シート3の両上端をそれぞれ折り返して重ね合わせ、その重ね合わせた部分の下端に長手方向に沿ったヒートシールを施し、長さ50cm〜100cmの溶着部と長さ5cm〜15cmの非溶着部との交互繰り返しにより、断続的な上端筒状部を複数形成し、該非溶着部から該上端筒状部に通したワイヤなどを利用する方法であってもよい。 【0027】集水・吸熱シート3を構成するワリフの材質としては、栽培用シートのワリフと同様に、種々のものが採用可能である。集水・吸熱シート3を構成するフィルムの材質としては、ポリエステル、ポリアミド、もしくはポリプロピレンなどが好ましく、または複合フィルムとしてはポリエチレンテレフタレート−直鎖高密度ポリエチレンが好ましい。 【0028】なお、本発明は、いちごの本圃及び親株床に適しているが、西瓜やメロンの栽培にも適用可能である。 【0029】 【発明の効果】本発明によれば、栽培用シートに排水孔を開ける必要がなく、肥料が培養土全体に偏りなく均一に行き渡り、栽培用シート全面から酸素供給をすることが可能となり、植物の根部が均一に生育し、植物全体の生育も旺盛になるという効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000231682 【氏名又は名称】新日本石油化学株式会社 【識別番号】502134731 【氏名又は名称】株式会社ニューアグリネットワーク 【識別番号】000218409 【氏名又は名称】ネクスタ株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年4月15日(2002.4.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086287 【弁理士】 【氏名又は名称】伊東 哲也
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| 【公開番号】 |
特開2003−304750(P2003−304750A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月28日(2003.10.28) |
| 【出願番号】 |
特願2002−112254(P2002−112254) |
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