トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 植物栽培装置
【発明者】 【氏名】宇佐美 由久
【住所又は居所】神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富士写真フィルム株式会社内

【要約】 【課題】簡単な構成で多数の植物に均等に光を照射することができる植物栽培装置を提供すること【解決手段】 植物栽培装置40は、階層状に配列された栽培ユニット30a〜30dを有しており、各栽培ユニットには、栽培室31a〜31dと集光部21a〜21dが設けられている。各栽培ユニットには導光フィルム10p〜10sが配置されており、導光フィルムの長手方向の一方端部に光導入部11が、他方端部に光出射部12a〜12cが設けられている。光源20の出力光は光導入部11から導光フィルム内部に導入され、光出射部より出射されて植物に照射される。

【解決手段】植物栽培装置40は、階層状に配列された栽培ユニット30a〜30dを有しており、各栽培ユニットには、栽培室31a〜31dと集光部21a〜21dが設けられている。各栽培ユニットには導光フィルム10p〜10sが配置されており、導光フィルムの長手方向の一方端部に光導入部11が、他方端部に光出射部12a〜12cが設けられている。光源20の出力光は光導入部11から導光フィルム内部に導入され、光出射部より出射されて植物に照射される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 多段に階層的に配列された栽培室に多数の植物を配置し、各植物に光を照射して生育させる植物栽培装置であって、各栽培室には導光体を配置し、当該導光体の一端に形成された光導入部から光源の光を取り込み、導光体に形成されている光出射部より光を出射して植物に照射することを特徴とする、植物栽培装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、簡単な構成で多数の植物に均等に光を照射することができる植物栽培装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】植物を風雨の害から保護し、植物の生育を促進するなどの目的で、防水構造の栽培室を多段構成にして、太陽光線を集光し多数の植物に照射する植物栽培装置が知られている。また、前記栽培室の多数の植物に、人工照明を集光して照射する植物栽培装置も知られている。
【0003】図8は、人工照明を使用する植物栽培装置の例を示す説明図である。図8において、複数段の架台51を設け、栽培室53を階層状に形成する。各段の架台51には、多数の栽培槽52を設置し、各栽培槽52には植物56を植栽する。
【0004】各栽培槽52の上には、育成板54、反射板55が設けられる。また、各栽培室53の周囲には上部反射板57、側面反射板58が取り付けられている。各植物56の上方には蛍光灯59が設置されている。蛍光灯59を点灯すると、蛍光灯の出力光は、各反射板57、58で反射されて効率良く植物56に照射される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】太陽光線を使用する植物栽培装置においては、多数の植物を同一平面に配列すると広いスペースが必要となるという問題がある。また、スペースを節約するために立体的に植物を配列する場合には、太陽の移動により植物に光があたらなくなることがある。各植物に均等に太陽光線を照射するためには、植物を載置する棚を円形の階段状に形成して、太陽の動きに合わせて棚を回転させる等の工夫が必要となり、コストが嵩むという問題があった。
【0006】また、人工照明を使用する植物栽培装置においては、多数の植物を階層的に配列した場合でも、照明器具の配置位置を考慮することにより均等に集光できるという利点がある。しかしながら、この場合には多数の光源の点灯制御が必要となり制御系の構成が複雑になるという問題があった。
【0007】また、植物に散水したり水滴が発生したりすることから栽培室内は水分が多い環境となる。このため、光源の周辺を防水構造にする必要があり、この点で人工照明を使用する植物栽培装置のコストが嵩むという問題があった。
【0008】本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で多数の植物に均等に光を照射することができる植物栽培装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の植物栽培装置は、多段に階層的に配列された栽培室に多数の植物を配置し、各植物に光を照射して生育させる植物栽培装置であって、各栽培室には導光体を配置し、当該導光体の一端に形成された光導入部から光源の光を取り込み、導光体に形成されている光出射部より光を出射して植物に照射することを特徴とするものである。
【0010】本発明によると、多段に階層的に配列された栽培室に導光体を配置して、光源から取り込んだ光を光出射部より出射して植物に照射している。このため、簡単な構成で多数の植物に均等に光を照射して生育させることができる。また、水分の多い環境でも、光照射系統のメンテナンスにそれほど煩わされないという利点がある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。図3は、本発明の植物栽培装置に適用される導光体の例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。図3において、導光フィルム10は、長さL、幅W、厚さtのPET等の樹脂製の透明フィルム1で形成される。
【0012】導光フィルム10の長手方向の両端部11と12のそれぞれ長さL1、L2部分の同じ側面は、表面平均粗さRaのサンドブラスト処理面(凹凸面、粗面)2に加工されており、他方の面は平滑面となっている。また、その両端部11と12間の長さL3の部分13は両面共平滑面となっている。
【0013】導光フィルム10の材料は、PETだけでなく、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の他の透明樹脂でも可能であり、ガラスでもよい。また、凹凸面2は、熱転写、成形(射出成形、押出成形等)の熱可塑性樹脂に型を接触させて作成することができる。さらに、微細ビーズをバインダーに添加して表面に塗布することや、レジストにて形成する等、種々の方法を採用して作成することが可能である。
【0014】導光フィルム10はこのような構成であり、一端部11は光導入部、中間部13は導光部、他端部12は光出射部として機能する。光導入部11の片面の凹凸面2に入射した光はそこで透明フィルム1内に散乱される。
【0015】大部分の散乱光は、透明フィルム1の両面に空気の屈折率と透明フィルム1の屈折率の差で決まる臨界角以上の角度で入射して全反射される。そして、透明フィルム1内で多重反射されて導光される光に変換され、その導光光は導光部13を経て他端の光出射部12へと導かれる。
【0016】光出射部12の片面の凹凸面2に入射した光はそこで大部分透明フィルム1外に散乱されて出射し、照明光として利用可能になる。ここで、光導入部11の端面14、光出射部12の端面15に入射した光は外部に漏洩し有効に利用されない。
【0017】そこで、少なくともこれら端面14、15には、Ag,Al,Au,Pt,Cu等の光反射金属、白色塗料等の光反射層3を施して、それら端面14、15に入射した導光光を反対側に反射させて有効に利用できるようにすることが望ましい。さらには、導光フィルム10の長手方向に沿う両端面16、17にも同様に、金属コート等の光反射面を施して導光される光が外に漏れるのを防止するようにするのが望ましい。
【0018】ここで、光導入部11及び光出射部12の片面に形成される凹凸面2の表面平均粗さRaとしては、0.01〜500μmの範囲に選ぶことが効率的に光を導入するのに好ましく、さらには0.1〜100μmの範囲に選ぶことがより好ましく、その範囲が1〜50μmの範囲に選ぶことが最も好ましい。表面平均粗さRaが小さ過ぎると、導光フィルム10を重ねた場合や、ロール状に巻回した際に凹凸部が摩滅するなどの問題が生じる。
【0019】導光フィルム10の厚さtとしては、10〜20000μmの範囲に選ぶことが好ましい。この範囲の厚さより薄すぎるとその強度が低下してしまい、また、光の導光効率が低下してしまうことになる。
【0020】導光フィルム10の厚さが厚すぎると、設置時にフレキシブルに曲げることが困難となる。また、材料費も高価となる。この厚さtの範囲は、100〜10000μmの範囲がさらに好ましく、150〜5000μmの範囲が特に好ましく、200〜2000μmの範囲が最も好ましい。
【0021】図1は、このような導光フィルム10を用いた植物栽培装置の例を示す概略の説明図である。図1において、植物栽培装置40は、栽培ユニット30a〜30dが階層状に配列されている。各栽培ユニット30a〜30dは、栽培室31a〜31dと集光部21a〜21dから構成されている。
【0022】集光部21aには、光源20と、光源20の出力光を反射させる反射板21が設置されている。また、集光部21aと栽培室31a間には導光フィルム10pが取り付けられており、導光フィルム10pの光導入部11が、光源20の発光面と対向して配置されている。
【0023】栽培室31aには、栽培槽32〜34が設置されており、各栽培槽32〜34には植物35〜37が植栽されている。栽培槽32〜34に対向する位置に、導光フィルム10pの光出射部12a〜12cが配置されている。
【0024】光源20を点灯すると、出力光の直接光および反射板21で反射された反射光が集光されて、導光フィルム10pの光導入部11から導光フィルム10p内に取り込まれる。このようにして光導入部11から取り込まれた光は、前記のように導光フィルム10p内で導光され、光出射部12a〜12cから植物35〜37に照射される。
【0025】栽培ユニット30b〜30dにも、栽培ユニット30aと同様に、栽培室31b〜31dと集光部21b〜21d間に導光フィルム10q〜10sが取り付けられている。各集光部の光源を点灯することにより、光源の出力光が導光フィルム10q〜10s内に導光され、光出射部から植物に照射される。
【0026】図1の構成では、導光フィルムを用いて植物に光を照射しているので、簡単な構成で多数の植物を均等に生育させることができる。また、狭いスペースで対処できるのでスペースの有効利用が図れる。更に、水分が多い雰囲気でも照明系統のメンテナンスを要しないので、取り扱いが簡単になるという利点がある。
【0027】図2は、本発明の他の実施形態を示す説明図である。図2において図1と同じ部分には同一の符号を付しており詳細な説明は省略する。図2の植物栽培装置41は、各栽培ユニット30a〜30dに対して共通の集光部21xを設けている。
【0028】集光部21xには、単一の光源20xが設けられている。各栽培ユニット30a〜30dに配置される導光フィルム10u〜10zは、それぞれの光導入部11u〜11zが光源20xと近接する位置に配置されるように、集光部21xにおいて折曲して構成されている。
【0029】集光部21xには、前記折曲された導光フィルム10u〜10zを支持し、光源20xの出力光の漏出を防止するためのガイド部18u〜18zが設けられている。また、光源20xの周囲には、反射板22a〜22bが設けられており、光源20xの出力光を各導光フィルム10u〜10zの光導入部に有効に導入するように構成されている。
【0030】このように、図2の構成では、単一の光源で階層的に配列された各栽培ユニットの植物の生育を行えるので、植物栽培装置の構成が簡単になるという利点がある。
【0031】図3において、光源の出力光を効率的に導く導光フィルム10としては、光導入部11と光出射部12の長さL1 、L2 は例えば1mに選定し、導光部13の長さL3は例えば5m以上に選定する。また、その幅Wは50cmに選定することができる。
【0032】導光部13の長さL3は、あまり長くすると光量の減衰が大きくなる。このため、導光部13の長さL3は、出力光照射位置を考慮して適宜定められるが、一例として1m以上100m以下とすることが望ましく、また3m以上50m以下とすることが更に望ましい。なお、導光部13の長さL3は、5m以上20m以下とすることが特に望ましい。
【0033】また、図2の構成では、各導光フィルム導光部の一部は、集光部20xから栽培室31a〜31dにいたる経路において曲率半径Rで曲げられている。その曲率半径Rは、0.1〜1000mmの範囲になるように選定することが好ましい。この範囲より曲率半径Rが小さすぎると、光源の出力光が導光フィルム10の外に逃げてしまい光の導光効率が低下してしまう。
【0034】曲率半径Rがその範囲より大きすぎると、導光フィルム10の設置の自由度が低下して実用性が低くなってしまう。この曲率半径Rの範囲は、1〜500mmの範囲がさらに好ましく、5〜200mmの範囲が特に好ましく、10〜100mmの範囲が最も好ましい。
【0035】図1、図2において、階層状に配置される栽培ユニットの段数は、好ましくは2〜100段である。更に好ましくは、3〜50段であり、最も好ましい段数は、4〜20段である。
【0036】前記段数が少な過ぎる場合には、平面状に栽培ユニットを配置する場合と比較して面積効率の効果が小さくなる。また、段数が大き過ぎる場合には、照明交換や散水が困難になるという問題が生じる。
【0037】図4〜図6は、本発明の植物栽培装置に用いる導光フィルムの種々の実施形態を示す概略の正面図である。図4に示されている導光フィルム10aは、2個所の光出射部12a、12bを有するものであり、基本的には図1の構成に対応するものである。
【0038】このように、導光フィルムに光出射部を複数個所設けることにより、単一の光源を用いて異なる位置を照明することができるので、光源の出力光の利用効率が向上する。
【0039】図5に示されている導光フィルム10bは、2個所の光導入部11a、11bを有するものである。また、各光導入部11a、11bに対向して、光源20a、20bが設置される。図5の構成では、複数光源の出力光が導光フィルム10bに取り込まれて単一の光出射部12から照射される。このため、単一の光源を用いた場合よりも照射される光量が増大するという利点がある。
【0040】図6に示されている導光フィルム10cは、2個所の光導入部11a、11bを有するものである。また、各光導入部11a、11bに対向して、光源20a、20bが設置される。更に、2個所の光出射部12a、12bを有するものである。
【0041】このように、複数光源の出力光が取り込まれた導光フィルムに光出射部を複数個所設けることにより、異なる位置に配列された植物に対して、増大した光量を照射する植物栽培装置が得られる。また、図5、図6のように複数光源を設置する場合には、いずれか一方の光源のみを使用し、光源が故障した際に他方の光源に切り替えることにより、光源故障時にも植物栽培装置を連続して動作させることができる。
【0042】図7は、本発明の他の実施形態を示す平面図である。図7の例では、Y字状に分岐した導光フィルム10xを用いている。この導光フィルム10xは、光導入部11xから光源20の出力光を取り込む。また、光導入部11yから太陽光23を取り込む。
【0043】導光フィルム10xにより導光される光は、光出射部12x、12yから栽培槽32、33に照射される。図7の構成では、光源20の出力光と太陽光23を同時に導光フィルム10xに取り込み、多くの光量を植物に照射することができる。また、昼間は太陽光23のみを取り込み、雨天時や夜間には光源20の出力光を取り込む構成とすることもできる。このように、図7の構成によれば、植物栽培装置の利用形態が拡張される。
【0044】上記の例では、植物栽培装置の光照射手段として導光フィルムを用いている。本発明においては、フィルム状の導光体に限らず、幅や厚みがフィルムよりも大きなシート状の導光体や板状の導光体を用いることもできる。
【0045】なお、導光体を用いた植物栽培装置においては、光出射部の汚れやキズ、経年劣化などにより出射効率が低下するので、定期的な点検、清掃を行うことが好ましい。また、設置からある程度の年数を経過した場合には、導光体自体を交換できるようなシステムとしておくことも有用である。以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されず種々の変形が可能である。
【0046】以上説明した本発明の植物栽培装置に用いる導光体は、例えば次のように構成することができる。
【0047】(1)可撓性を持つ透明フィルムからなり、該透明フィルムには光導入手段及び光出射手段が設けられ、該光導入手段から前記透明フィルムに導入された光は前記光出射手段に導かれ、前記光出射手段より光が出射されることを特徴とする導光体。
【0048】(2)前記光導入手段と前記光出射手段が凹凸面からなることを特徴とする上記(1)記載の導光体。
【0049】(3)少なくとも前記透明フィルムの両端の端面に光反射層が設けられていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の導光体。
【0050】(4)光源の出力光を任意の場所に導くのに用いられることを特徴とする上記(1)から(3)の何れか1項記載の導光体。
【0051】(5)前記光導入手段が複数個所に形成されていることを特徴とする上記(1)から(4)の何れか1項記載の導光体。
【0052】(6)前記光出射手段が複数個所に形成されていることを特徴とする上記(1)から(5)の何れか1項記載の導光体。
【0053】また、本発明の植物栽培装置は、単一の光源の光を各階層の栽培室に配置された複数の導光体で導光して、植物に光を照射する構成とすることができる。
【0054】更に、本発明の植物栽培装置は、導光体を分岐して、太陽光と、照明器具の光源の異なる光源の光を取り込んで導光体により導光させる構成とすることができる。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の植物栽培装置によると、多段に階層的に配列された栽培室に導光体を配置して、光源から取り込んだ光を光出射部より出射して植物に照射している。このため、簡単な構成で多数の植物に均等に光を照射して生育させることができる。また、水分の多い環境でも、光照射系統のメンテナンスにそれほど煩わされないという利点がある。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地
【出願日】 平成14年4月12日(2002.4.12)
【代理人】 【識別番号】100109748
【弁理士】
【氏名又は名称】飯高 勉 (外8名)
【公開番号】 特開2003−304747(P2003−304747A)
【公開日】 平成15年10月28日(2003.10.28)
【出願番号】 特願2002−110103(P2002−110103)