| 【発明の名称】 |
緑化基材及び緑化工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】大内 公安 【住所又は居所】東京都千代田区九段北4丁目2番35号 ライト工業株式会社内
【氏名】千秋 由里 【住所又は居所】東京都千代田区九段北4丁目2番35号 ライト工業株式会社内
【氏名】岡村 元 【住所又は居所】東京都千代田区九段北4丁目2番35号 ライト工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップを利用し、植物の発芽及び生育に優れた材料を得る。
【解決手段】少なくとも次記A〜Cの材料を含む緑化基材である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも次記A〜Cの材料を含むことを特徴とする緑化基材。 A.堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップからなる主材。 B.1〜20容量%下水汚泥コンポスト、及び下水汚泥と食品汚泥とのコンポストの一方または両方。 C.25容量%以下の割合で含み、ゼオライト、活性炭、木炭、パーライト、ベントナイト及びバーミュキュライトの群から選ばれた一種または複数種の副資材。 【請求項2】少なくとも次記A〜Cの材料を含むことを特徴とする緑化基材。 A.堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップからなる主材。 B.1〜20容量%下水汚泥コンポスト、及び下水汚泥と食品汚泥とのコンポストの一方または両方。 C.非イオン界面活性剤。 【請求項3】少なくとも次記A〜Dの材料を含むことを特徴とする緑化基材。 A.堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップからなる主材。 B.1〜20容量%下水汚泥コンポスト、及び下水汚泥と食品汚泥とのコンポストの一方または両方。 C.25容量%以下の割合で含み、ゼオライト、活性炭、木炭、パーライト、ベントナイト及びバーミュキュライトの群から選ばれた一種または複数種の副資材。 D.非イオン界面活性剤。 【請求項4】非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤である請求項2または3記載の緑化基材。 【請求項5】木質系チップは、抜根、伐採木及び剪定枝の少なくとも一種をチップ化したものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の緑化基材。 【請求項6】請求項1〜5の緑化基材及び種子、を含む施工材料を対象面に施し、種子の生育による緑化を図ることを特徴とする緑化工法。 【請求項7】木質系チップは、施工現場の近傍において発生した、抜根、伐採木及び剪定枝の少なくとも一種をチップ化したものである請求項6記載の緑化工法。 【請求項8】施工材料が、さらに現場発生土、吸水ポリマー、木質系チップ堆肥化物、バーク堆肥、ピートモス、短繊維、長繊維及び接合剤の少なくとも一種を含む請求項6または7記載の緑化工法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は緑化基材及び法面緑化工法に関する。より詳しくは、堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップを主材とする緑化基材を使用するものに関する。 【0002】 【従来の技術】厚層基材吹付工などの法面緑化工において用いられる緑化基盤材(植物生育基盤材ともいう。)は、当然、安価であることが望まれる。そこで、従来から、抜根や、伐採木、剪定枝等をチップ化した木質系チップを、十分に堆肥化した後のものが原材料として使用されていれる。 【0003】堆肥化がなされないまま、あるいは堆肥化が不完全なままのものを緑化基盤材とする実例は、知られていない。 【0004】しかし、未熟有機木材チップと、現場発生土とを緑化基盤材とすることは、提案されている(特許文献1)。 【0005】この特許文献1は、後述する本発明と、廃木材の緑化基盤材への有効利用を図る点で共通する。しかし、窒素飢餓などの伴う生育不全を、光合成細菌及び窒素質肥料からなる生育促進材を使用することで防止することを発明思想とするものである。ちなみに、実施例などでも、未熟有機木材チップと客土1m3当り、光合成細菌を0.5〜10kg及び窒素質肥料を1〜40kgと大量に使用するものである。なお、この特許文献1では、本発明の下水汚泥コンポストを使用することについて示唆は、ない。 【0006】他方、ピートモスやバーク堆肥からなる有機質資材を主材料に含む緑化基材に、下水汚泥コンポストを混合することは、教示されている(特許文献2)。この理由は、要すれば、次記のとおりであると記載されている。すなわち、「木本植物は草本植物と比較して、バーク堆肥等の有機質資材に多く含まれる雑菌類により発芽、生育が阻害されたり、発芽後に立枯病等を発症し易い性質を有する種類があり、植物によっては発芽条件や生育条件が非常に制限されてしまう。先駆樹種であるカバノキ科木本類は播種工による法面の樹林化を行う上で必要不可欠な種類であるが、有機質を殆ど含まない崩壊跡地のような痩地を好み、特にバーク堆肥を主材料とする有機質基盤においては上述のような立ち枯れを起こしやすく生育も緩慢であることから、早期に樹林化を達成する上で支障を来していた。」そこで、「有機質資材を主材料に含む緑化基材を法面に吹付け有機質基盤を造成する法面緑化工における前記緑化基材に下水汚泥コンポストを混合する……ことにより、有機質基盤上でのカバノキ科木本類等の木本植物の生育が促進され、主に発芽後の幼樹の樹高・葉身の生長が旺盛となる。下水汚泥コンポストには有用細菌が含まれているため、有機質基盤においてこの有用細菌が繁殖することにより有機質資材中の木本植物の生育に有害な雑菌類の繁殖が抑制されるのではないかと予想される。」 【0007】したがって、この特許文献2は、「ピートモスやバーク堆肥からなる有機質資材を主材料に含む緑化基材」を対象とし、その緑化基材の特性を、木本植物の生育促進の観点から、下水汚泥コンポストを混合することを狙いとするもので、本発明に係る「堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップ」との組み合わせについては示唆がない。 【特許文献1】特開2000−204558号公報【特許文献2】特開平9−195278号公報【0008】 【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は、「堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップ」と「下水汚泥コンポスト」との組み合わせに着目してなされたもので、植物の発芽及び生育に優れ、また、建設現場近傍で発生する抜根、伐採木や剪定枝を利用することで、環境保護の観点からのリサイクルが可能であり、ならびに下水汚泥コンポストを利用することにおいても環境保護を図ることができ、しかもコストと発芽及び生育性との比較において、優れた材料となるものを提供しようとするものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。 <請求項1記載の発明>少なくとも次記A〜Cの材料を含むことを特徴とする緑化基材。 A.堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップからなる主材。 B.1〜20容量%下水汚泥コンポスト、及び下水汚泥と食品汚泥とのコンポストの一方または両方。 C.25容量%以下の割合で含み、ゼオライト、活性炭、木炭、パーライト、ベントナイト及びバーミュキュライトの群から選ばれた一種または複数種の副資材。 【0010】<請求項2記載の発明>少なくとも次記A〜Cの材料を含むことを特徴とする緑化基材。 A.堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップからなる主材。 B.1〜20容量%下水汚泥コンポスト、及び下水汚泥と食品汚泥とのコンポストの一方または両方。 C.非イオン界面活性剤。 【0011】<請求項3記載の発明>少なくとも次記A〜Dの材料を含むことを特徴とする緑化基材。 A.堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップからなる主材。 B.1〜20容量%下水汚泥コンポスト、及び下水汚泥と食品汚泥とのコンポストの一方または両方。 C.25容量%以下の割合で含み、ゼオライト、活性炭、木炭、パーライト、ベントナイト及びバーミュキュライトの群から選ばれた一種または複数種の副資材。 D.非イオン界面活性剤。 【0012】<請求項4項記載の発明>非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤である請求項2または3記載の緑化基材。 【0013】<請求項5項記載の発明>木質系チップは、抜根、伐採木及び剪定枝の少なくとも一種をチップ化したものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の緑化基材。 【0014】<請求項6項記載の発明>請求項1〜5の緑化基材及び種子、を含む施工材料を対象面に施し、種子の生育による緑化を図ることを特徴とする緑化工法。 【0015】<請求項7項記載の発明>木質系チップは、施工現場の近傍において発生した、抜根、伐採木及び剪定枝の少なくとも一種をチップ化したものである請求項6記載の緑化工法。 【0016】<請求項8項記載の発明>施工材料が、さらに現場発生土、吸水ポリマー、木質系チップ堆肥化物、バーク堆肥、ピートモス、短繊維、長繊維及び接合剤の少なくとも一種を含む請求項6または7記載の緑化工法。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳説する。本実施の形態の緑化基材は、少なくとも次記A〜Cの材料を含み、更にDの材料をも含むことがある。 A.堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップからなる主材。 B.1〜20容量%下水汚泥コンポスト、及び下水汚泥と食品汚泥とのコンポストの一方または両方。 C.25容量%以下の割合で含み、ゼオライト、活性炭、木炭、パーライト、ベントナイト及びバーミュキュライトの群から選ばれた一種または複数種の副資材。 D.非イオン界面活性剤。 【0018】本発明において、「緑化基材」とは植物の発芽・生育に直接関与する材料を言い、「緑化基盤材料」とは緑化基材を含み、発芽・生育に直接関与する材料ではないが、間接的に緑化に寄与する材料を言い、「施工材料」とは、土壌などを構成するために施工に際して「緑化基盤材料」に対して組み合わされる材料を含み、対象面に施される材料を言うものである。 【0019】(木質系チップ)緑化基材の主材となる堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップとは、建設現場などで発生する伐根、伐採木、剪定枝などの木材をチップ化(破砕)したものである。また、この種の建設廃材には、廃木、廃根も含まれる。この木質系チップは、堆肥化しないで、あるいは完全には堆肥化しないで生チップの状態(堆肥化途中の未完熟の状態)で使用する。 【0020】木材のチップ化は、たとえば40mm以下となるように、好ましくは25mm以下となるように、より好ましくは15mm以下となるようにたとえば粉砕機により粉砕もしくは切断する。これにより、基盤材に適度な空隙が形成され、植物の発芽数が増加する。 【0021】(汚泥コンポスト)汚泥コンポストとしては、従来から多種の市販品及び多くの提案がなされているが、これらを使用できる。複数種の汚泥コンポストを混合して使用することも可能である。すなわち、下水汚泥そのまま、あるいは高分子凝集剤、石灰、塩化第二鉄などによって凝集処理したもの、さらにはオガクズや籾殻などの粗大有機物を加えてから、あるいは食品汚泥と混合してからコンポスト化(発酵)させたものを使用することができる。この種の汚泥コンポストは保肥力を有するので、その添加により植物の発芽数が増加し、また生育状況が良好になる。また、汚泥の再利用となるので、安価であるとともに資源の有効利用にも資する。なお、浄水汚泥は、無機分が支配的であるので、本発明の下水汚泥とはまったく別のものである。 【0022】この汚泥コンポストは、緑化基材全体の1〜20容量%、好ましくは3〜15容量%、特に10〜15容量%となるように配合するのが好ましい。配合量が少ないと十分な保肥効果を得ることができず、配合量が多いと基盤材が乾燥し堅くなるため植物の生育に悪影響が生じる。 【0023】ところで、木質系チップの使用は、緑化基材を安価にするとともに、資源の有効利用にも資するので、大変好ましいものではある。しかしながら、木質系チップを完全に堆肥化するにはかなりの時間がかかり、また広い敷地が必要になる。この点、ある種の添加剤を使用して堆肥化のための時間を短縮することも考えられるが、広い敷地が必要になるという問題を解消することはできず、また添加剤の費用がかかり安価な緑化基材ではなくなってしまう。 【0024】そこで、本発明の主たる課題は、原料として堆肥化の完全でない木質系チップが使用されていながら、植物の生育障害を生じさせることのない緑化基材を提供するものである。ところが、堆肥化していないまたは堆肥化が不完全な木質系チップを使用する場合、その有機物分解菌が増殖し窒素を消費するため植物は窒素飢餓の状態に陥り、また有機物分解時にフェノール酸等の有機酸が有害成分として発生し植物の生育に悪影響を及ぼす。 【0025】これに対して、本発明の汚泥コンポストを配合すると、窒素飢餓に対して汚泥コンポストが肥効成分として作用し、植物の発芽・生育を促進することが知見された。 【0026】(副資材)ゼオライト、活性炭、木炭、パーライト、ベントナイト及びバーミュキュライトの群から選ばれた一種または複数種の副資材が配合される。この副資材の配合量は、25容量%以下とされ、好ましくは1〜20容積%、特には5〜16容積%である。 【0027】この種の副資材もしくは多孔質材料を配合すると、その孔で空気、水、肥料等が保持されるため、植物の発芽数が増加し、また生育状況が良好になる。多孔質材料としては、種々の材料を使用することができるが、特に望ましいものは、ゼオライトからなる多孔質材料である。多孔質材料は、平均粒径1〜5mmの顆粒状とするのが好ましい。これにより、基盤材に適度な空隙が形成され、植物の発芽数が増加する。 【0028】活性炭及び木炭は、肥効成分の保持機能より、生育の有害成分としての有機酸(たとえばフェノール酸など)を吸着する機能の側面の方が強いと考えられる。 【0029】(界面活性剤)生育の有害成分としての有機酸(たとえばフェノール酸など)を吸着する機能自体は、活性炭及び木炭より、界面活性剤の使用が効果的である。界面活性剤としては、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤のほか、時には非イオン系(高分子型)界面活性剤の使用が効果的である。特に、ポリオキシエチレン型非イオン系高分子型界面活性剤を使用するのがより好ましい。具体的には、ポリオキシプロピレン基を疎水基とし、ポリオキシエチレン基を親水基としてブロックポリマーとした非イオン系高分子型界面活性剤を使用することができる。 【0030】界面活性剤は、0.05〜5.0%水溶液、好ましくは0.1〜2.0%水溶液とし、100〜300l/m3の割合で配合するのが好ましい。 【0031】(施工方法及び他の材料)本発明に係る緑化基材は、そのままで各種の種子と共に、施工材料を対象面に施し、種子の生育による緑化を図ることができる。 【0032】また、緑化基材に、木質系チップ堆肥化物、バーク堆肥及びピートモスの少なくとも一種を添加したものを緑化基盤材料として、各種の種子と共に、施工材料を対象面に施し、種子の生育による緑化を図ることができる。 【0033】さらに、緑化基材に、現場発生土、吸水ポリマー、木質系チップ堆肥化物、バーク堆肥、ピートモス、短繊維、長繊維及び接合剤の少なくとも一種を混合した状態で、各種の種子と共に、施工材料を対象面に施し、種子の生育による緑化を図ることができる。 【0034】その他、現場発生土の代えてまたはこれと共に、粘性土、砂質土、山砂、マサ土、廃棄土等の土類を配合することができる。これら土類の配合量は、施工材料全体の10〜50容量%、好ましくは10〜40容量%である。 【0035】また、施工材料には、EVA系接合剤、酢ビ系接合剤、アクリル系接合剤等の接合剤(エマルジョンでもよいが、パウダー状の方が好ましい。)、水などを適宜配合することができる。 【0036】短繊維としては、長さ5〜50mm(より好ましくは、10〜30mm)、太さ3〜50デニール(より好ましくは、10〜30デニール)、捲縮数10個以下(より好ましくは2〜7個)、捲縮率20%以下(より好ましくは2〜15%)のものを使用するのが好ましい。また、この場合、施工材料中に短繊維を0.05〜6質量%含ませるのが特に好ましい。短繊維の太さが3デニール未満では、たとえ繊維長を長くして絡み合いを強くしても、繊維が非常に細く弱いため、施工材料(客土)の把持力が小さすぎる。また、繊維長を長くすると、たとえ本発明のように捲縮数、倦縮率を小さくしても、混合時において繊維同士が絡み合い毛玉が形成されるおそれがあるので好ましくない。他方、短繊維の太さが50デニールを超えると、太すぎて絡み合いが弱くなり、また、不経済となる。 【0037】捲縮(クリンプ)は、生産性を上げるために大変重要な因子である。通常の紡績糸は、捲縮数20〜25個、捲縮率30〜40%とされるが、本発明においては、かかる捲縮数、捲縮率では、混合時において毛玉が形成されるおそれがあるので好ましくない。なお、捲縮数、捲縮率はJIS L 1015、JIS L1036による。また、捲縮を無くした繊維は、製造工程上、集束してカッターにかけ一定長の繊維とするに際し、バラげて生産性を著しく阻害するので、経済的には、実用困難である。実用可能な生産性を確保するためには、少くとも捲縮数2個以上、捲縮率2%以上が必要である。かかる捲縮の調節は、紡糸クリンパーを調節することにより達成することができる。 【0038】短繊維の繊維長が、5mm未満であると、施工材料(客土)の把持力(侵食防止効果)が小さくなるため、現場発生土を多量に混入させるのが困難になる。また、繊維長5mmでも、通常の降雨に対しては侵食防止効果を有するが、豪雨に対する対応を考えると、繊維長10mm以上とするのが好ましく、集合した流水に対する対応を考えると20mm以上とするのが好ましく、積雪の滑落に対する対応を考えると30mm以上とするのが好ましい。ただし、30mm以上とすると、施工材料への分散性が低下するので、用途に応じて適宜設計する必要がある。なお、前記のような捲縮を有する短繊維の場合は、繊維長50mmまでは、施工材料中に均等に分散することが可能である。 【0039】短繊維としては、本発明に適した繊維長にそろえ易く、また比較的安価でもあるため、化学繊維又は合成繊維を使用するのが好ましい。ただし、化学繊維は腐食性を有し、また、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET、カーボン、アラミド等の繊維は耐候性に劣り、また、ポリエステルは土壌菌に侵され易い。したがって、合成繊維であるアクリル繊維を使用するのがより好ましい。 【0040】短繊維の配合量が0.05質量%未満であると、侵食防止効果が弱い。他方、6質量%を超えると、経済性に劣り、また施工材料への分散性が悪くなる。 【0041】以上の短繊維配合による侵食防止効果は、長繊維を配合することによって、図ることもできる。長繊維の配合量は、0.01〜3.0質量%とするのが好ましく0.05〜0.12質量%とするのがより好ましく、0.1質量%とするのがさらに好ましい。長繊維の配合量が0.01質量%未満であると、侵食防止効果が弱い。他方、3.0質量%を超えると、経済性に劣り、また施工材料の粘着性が高くなりすぎて、種子の発芽・生育に障害が生ずるおそれがある。 【0042】さらに、法面の条件が厳しく、例えば多雨地域、長大法面、急傾斜地、湧水ケ所の存在等がある場合は、一層の侵食防止効果を得るために、粘結剤を含ませるのが好ましい。粘結剤の配合量は、例えば、高分子系粘結剤であれば、短繊維、あるいは長繊維を含ませる場合は、これらの繊維自体に侵食防止効果があるため、0.3〜2.0質量%で足りる。短繊維、あるいは長繊維と粘結剤との配合量は、これらが反比例の関係にあることを考慮しつつ、経済性、植物生育性、法面条件等を基礎として、適宜決定する。 【0043】粘結剤のうち、即効性、経済性の観点から好ましいのは、セメントである。短繊維、あるいは長繊維を配合しない場合、施工材料(客土)の侵食防止効果を得るために必要なセメントの配合量は、一般に3〜7質量%(50〜120kg/m3)とされる。しかしながら、種子の発芽・生育には、客土のpH、土壌硬度が大きく影響するところ、強アルカリ性であるセメントを上記のように大量に配合すると、植物の発芽・生育に大きな障害となる。セメントの配合量の限界は、中和剤の不使用時で2質量%であり、これ以上配合すると、発芽本数が極端に少なくなり、成長も悪くなる。 【0044】しかし、本実施の形態のように、短繊維、あるいは長繊維を配合すると、前述のようにセメントの配合量は、2.0質量%で足りるので、以上のような種子の発芽・生育障害のおそれはない。なお、配合量が0.3質量%未満であると、配合効果がほとんど得られず、侵食防止効果は、繊維に依存することになる。 【0045】種子としては、トールフェスク、オーチャードグラス、レッドトップ、クリーピング、レッドフェスク、ケンタッキーブルーグラス、バミューダグラス、ノシバ、ヨモギ、クローバ、ヤマハギ、メドハギ、イタチハギ、エニシダ、ヤシャブシ、ヤマハンノキ、ニセアカシア、コマツナギなどの種子を配合することができる。窒素飢餓に対しては、ハギ類が強いので、生育障害の防止という観点からは、ハギ類を配合するのが好ましい。種子は、例えば、基盤材1m3に対し0.1〜3kg/m3 添加する。 【0046】施工は吹付工法によるものが施工の能率の上で望ましい。施工材料の製造に際しては、例えば、アジテータなどの攪拌機に各種材料を供給し同時に全ての材料を混合することが考えられる。しかしながら、材料ごとに物性が異なるという点に鑑みれば、リボンスクリューコンベアなどの攪拌搬送装置の搬送過程において、各種材料をその特性に応じて順次供給し混合する方が好ましい。なお、原材料の混合方法は本発明の限定事項ではなく、適宜修正することができる。また、混合工程において、緑化基材とその他の材料とは区別されるものではなく、緑化基材中の1つの材料とその他の材料とを先に混合してしまうことや、全ての材料を同時に混合してしうことも当然できる。 【0047】 【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 〔実施例1〕 (実験方法)生チップ(堆肥化していない木質系チップ)に各種材料(下水コンポスト、ゼオライト又は非イオン界面活性剤)、種子を添加し、ホバートミキサーにて3分間撹拌した後、水を添加し、更にホバートミキサーにて3分間撹拌した。攪拌した材料は、実験容器に入れて圧密し、室温が15℃以上に設定された温室内及び屋外で養生し、実験用試料とした。実験容器としては、縦16cm×横25cm×高さ5cmのプラスチック容器を用いた。この容器の底には、数ヶ所排水用の穴を開けておいた。種子量は、各配合に付きトールフェスク、メドハギを各100粒添加した。比較のために、「キャトルバン」(ライト工業株式会社の緑化基盤材料:緑化基盤として発芽・生育に適したものであることは多くの実績から証明済みのものである)を基材とした試料(比較例1)、及び生チップ100容量%とした試料(比較例2)も用意した。 【0048】各添加剤の植物の発芽や生育への影響を確認するために、実験用試料中の10cm×10cmの2区画分について、発芽数と地上部の草丈を経時的に測定した。 【0049】(活性炭、木炭、界面活性剤に関する考察)フェノール酸等の有機酸を吸着する効果が考えられる活性炭、木炭、非イオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、エバン785)を生チップに添加して効果確認を行った。配合割合を、表1に試験例1〜6として示した。なお、界面活性剤は水に溶解してから添加した。添加溶液水の量は400mlである。 【0050】 【表1】
【0051】トールフェスクの1ヶ月目の発芽数を図1に示した。生チップの配合により基盤材に圧密が出来なくなり空隙も多くなるため、キャトルバン(比較例1)の場合と比較して発芽数は多くなるという結果になった。 【0052】トールフェスクの3ヶ月目の生育状況を図2に示した。各種材料を添加しても生チップ100%の場合と変わらず、キャトルバン(比較例1)の場合と比較して、全ての配合において草丈が伸びず、先枯れ現象が起き生育不良となった。さらに、これ以後はほとんど枯れてしまうという結果になり、活性炭、木炭、界面活性剤単独では生育障害の軽減効果がさほど見られないことが知見された。 【0053】メドハギの3ヶ月目の生育状況を図3に示した。メドハギはトールフェスクと比較して、キャトルバン(比較例1)の場合との差が少なかった。これは、窒素飢餓に対してメドハギの方がトールフェスクよりも強いことによるものと考えられる。 【0054】以上の結果から、生チップを基盤材とする場合の生育障害の原因としては、有機酸による影響よりも、窒素飢餓による影響の方が強いことが知見される。 【0055】(土類に関する考察)生チップの添加量を減らすことによる窒素飢餓の緩和と資源の有効利用を目的として、生チップに対して吹き付け可能な土であるマサ土を混入した。混入量は、容積比で50%ととした。トールフェスクの3ヶ月目の生育状況を図4に示した。生チップにマサ土を混入した場合、発芽数が減り、草丈も伸びず、先枯れ現象が起き、生育不良となった。発芽数の減少は、マサ土の粒度が細かく基材が堅くなったことによるものと考えられる。また、生育障害の軽減効果を得られなかったのは、マサ土に肥効成分が少なかったことによるものと考えられる。 【0056】(下水コンポストに関する考察)以上の試験結果から、生チップ中には肥効成分がないため、植物の生育不良が起こっているものと考えた。この改善策として、市販の下水コンポストの配合割合を変化させて添加した。配合割合は、表1に試験例7〜11として示した。 【0057】トールフェスクの1ヶ月目の発芽数を図5に示した。下水コンポストを10容量%以上添加すると(試験例10及び試験例11)発芽数が急激に減った。これは、下水コンポストを多く添加すると、緑化基盤材が粘土状になり、その後乾燥すると堅くなってしまうためである考えられる。 【0058】トールフェスクの3ヶ月目の生育状況を図6に示した。下水コンポスト10容量%(試験例10)及び5容量%(試験例9)では、キャトルバン(比較例1)と同程度の生長を示し、生育障害は見られなかった。これに対し、下水コンポスト30容量%(試験例11)では枯れてしまった。下水コンポストを添加すると肥効成分が補給され植物の生育不良は改善されるが、添加量が多すぎると発芽数が減るとともに基盤材が堅くなって水を吸収できなくなるため枯れてしまうことが知見された。 【0059】(下水コンポストとゼオライトとの組み合わせに関する考察)下水コンポスト5%の添加(試験例9)で、発芽数、生育状況の両方とも改善されることが知見されたが、さらに下水コンポストの添加量を多くすることで肥効成分の補給期間が長くなり、生育状況が改善されるものと考えられる。そこで、空隙を増加させるため、あるいは粘土状となることを防ぐためにゼオライト((株)サンゼオライト製、ゼオライトS)を添加して実験を行った。配合割合は、表1に試験例12〜18として示した。 【0060】トールフェスクの1ヶ月目の発芽数を図7に示した。下水コンポスト10容量%単独(試験例10)では発芽数が4本だったのに対し、ゼオライトを添加することにより発芽数が12本程度まで増えた(試験例13〜15)。ゼオライトの添加量による差はほとんどなかった。下水コンポスト5容量%の場合は、特に差はなかった(試験例9と試験例16,17とを対照)。 【0061】試験例12,13及び18のトールフェスクの生育状況(3ヶ月目)を図8に、試験例14及び15のトールフェスクの生育状況(3ヶ月目)を図9に、試験例16及び17のトールフェスクの生育状況(3ヶ月目)を図10に、示した。下水コンポスト10%、ゼオライト15%とした場合(試験例13)は、キャトルバン(比較例1)と同程度の生長を示し、葉の色も良く生育良好であった。これに対し、下水コンポスト5%、ゼオライト15%とした場合(試験例16)は、生チップのみの場合(比較例2)と同様の傾向を示し、先枯れを起こす生育障害がみられた。下水コンポスト5%単独(試験例9)では生育障害がみられなかったのに対し、今回このような現象が起きた原因は、実験を行った時期が違うこと、入手した生チップが必ずしも同じ生チップとはいえないことによるものと考えられる。以上のことから、下水コンポストを5%添加すればある程度生育障害を防止することができ、10%添加すれば生チップの状態等に関わらず確実に生育障害を防止することができることが知見された。 【0062】(下水コンポストと界面活性剤との組み合わせに関する考察)下水コンポストによる肥効成分の補給と界面活性剤による有害成分吸着の両方の効果を得るために、生チップに市販の下水コンポストと非イオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、エバン785)(試験例19)、さらにはゼオライト(試験例20)を添加して、その効果を観察した。下水コンポストの配合割合は10容量%とした。なお、界面活性剤は水に溶解してから添加した。添加溶液水の量は400mlである。 【0063】トールフェスクの1ヶ月目の発芽数を図11に、試験例6(下水コンポストを添加しない場合)とあわせて示した。 【0064】トールフェスクの3ヶ月目の生育状況を図12に、試験例6(下水コンポストを添加しない場合)とあわせて示した。ゼオライトを添加しない場合(試験例19)においては、草丈は多少劣るが、葉の色は良く生育良好であった。また、ゼオライトを添加した場合(試験例20)は、背丈も良好となりキャトルバン(比較例1)と同程度となった。 【0065】なお、下水コンポスト10%と界面活性剤との組み合わせ(試験例19)は最も安価であり、施工後の基材1m3当たり3300円となった。 【0066】(下水コンポストと木炭又は活性炭との組み合わせに関する考察)下水コンポストによる肥効成分の補給と木炭又は活性炭による有害成分吸着の両方の効果を得るために、生チップに市販の下水コンポストと木炭又は活性炭を添加して、その効果を観察した(試験例21〜24)。下水コンポストの配合割合は10容量%とした。 【0067】トールフェスクの1ヶ月目の発芽数を図13に示した。また、トールフェスクの3ヶ月目の生育状況を図14に示した。活性炭を粉末の状態で添加(試験例23)すると発芽数、背丈ともに劣ることがわかった。これは、活性炭粉末の粒度が細かく基材が堅くなったことによるものと考えられる。これに対し、活性炭を顆粒状で30%添加した場合は、発芽数、背丈とも良好になった。 【0068】(まとめ)試験例1〜24並びに比較例1及び2の場合の実験結果を表1中に示した。なお、発芽数は、90%以上発芽の場合を○、90〜50%の場合を△、50%未満の場合を×とした。また、背丈は平均長が80mm以上の場合を○、80〜50mmの場合を△、50mm未満の場合を×とした。さらに、生育状況は、葉の色、茎の太さ及び葉の先枯れ現象の有無の総合評価とした。 【0069】以上の実験例及び他の多くの実験例並びに従来の施工実績を積み重ねてきた知見から、本発明の配合割合が最適なものであるとの結論に至った。 【0070】〔実施例2:短繊維及び長繊維に関する考察〕表2に示す配合で、勾配1:0.5、100cm×50cm区間の法面に、厚さ40cmとなるように、吹き付けを行った。この結果、■ 短繊維配合及び長繊維配合とも同等の吹き付け厚さを、一層仕上げて造成可能であることが確認された。 ■ 短繊維配合の場合は、長繊維配合の場合に比して、吹き付け時のリバウンドロスが少なかった。 ■ 短繊維配合の場合は、長繊維配合の場合に比して、分散性が良かった。 ■ 長繊維配合の場合は、繊維が表面に露出していまうことがあったが、短繊維配合の場合は、分散性が良好であるため、均一・良好な表面仕上がりとなった。 【0071】 【表2】
【0072】 【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、植物の発芽及び生育に優れ、また、建設現場近傍で発生する抜根、伐採木や剪定枝を利用することで、環境保護の観点からのリサイクルが可能であり、ならびに下水汚泥コンポストを利用することにおいても環境保護を図ることができ、しかもコストと発芽及び生育性との比較において、優れた材料となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000115463 【氏名又は名称】ライト工業株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区九段北4丁目2番35号
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| 【出願日】 |
平成15年1月29日(2003.1.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082647 【弁理士】 【氏名又は名称】永井 義久
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| 【公開番号】 |
特開2003−289721(P2003−289721A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月14日(2003.10.14) |
| 【出願番号】 |
特願2003−20922(P2003−20922) |
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