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【発明の名称】 植物栽培床材
【発明者】 【氏名】宮川 克郎
【住所又は居所】大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社基礎研究所内

【氏名】井関 恭子
【住所又は居所】大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社基礎研究所内

【氏名】橋本 昌樹
【住所又は居所】大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社基礎研究所内

【要約】 【課題】各種植物の種や根や茎等の挿入物の大きさに関わらず、挿入物を容易に挿入することができながら、安定に挿入物を保持して園芸することができるようにする。

【解決手段】植物の根の進入を許容すると共に多孔質で弾力を備えて成形された植物栽培床材1であって、その上端部1aに少なくとも1つののスリットSを設けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物の根の進入を許容すると共に多孔質で弾力を備えて成形された植物栽培床材であって、その上端部に少なくとも1つのスリットを設けてある植物栽培床材。
【請求項2】 前記上端部に設けたスリットの少なくとも1つが、上端面の略中央を通るものである請求項1に記載の植物栽培床材。
【請求項3】 前記上端部に設けたスリットの少なくとも1つが上端面の外縁まで達するものである請求項1または2の何れか1項に記載の植物栽培床材。
【請求項4】 上端部に、上方向に開口した少なくとも1つの有底の穴を形成してある請求項1から請求項3の何れか1項に記載の植物栽培床材。
【請求項5】 前記有底の穴が平面視で上端部の略中央に形成してある請求項1から請求項4の何れか1項に記載の植物栽培床材。
【請求項6】 前記上端部の略中央に形成してある有底の穴が下方向に窄まるように形成してある截頭錐体形である請求項5に記載の植物栽培床材。
【請求項7】 水平面での断面が、多角形または角に丸味を有する多角形である柱体または逆截頭錐体に形成してある請求項1から請求項6の何れか1項に記載の植物栽培床材。
【請求項8】 前記上端部に設けたスリットが、上端面の外縁上の一点と他の一点とを結ぶ線上を通るものである請求項7に記載の植物栽培床材。
【請求項9】 水平面での断面が、矩形または角に丸味を有する矩形である柱体または逆截頭錐体に形成してある請求項1から請求項6の何れか1項に記載の植物栽培床材。
【請求項10】 前記上端部に設けたスリットが、上端面の対角線を通るものである請求項9に記載の植物栽培床材。
【請求項11】 水平面での断面が円形または楕円形である柱体または逆截頭錐体に形成してある請求項1から請求項6の何れか1項に記載の植物栽培床材。
【請求項12】 前記上端部に設けたスリットが、上端面の径を通るものである請求項11に記載の植物栽培床材。
【請求項13】 水平面での断面における断面積が異なるように形成してある請求項1から請求項6の何れか1項に記載の植物栽培床材。
【請求項14】 水平面での断面につき、上端側が下端側より断面積が大きくなるように形成してある請求項13に記載の植物栽培床材。
【請求項15】 水平面での断面につき、上端部が矩形あるいは角が丸味を有する矩形であり下端部が円形となるようにに形成してある請求項1から請求項6の何れか1項に記載の植物栽培床材。
【請求項16】 有機質培土材を、通気性及び通水性を有するように成形保持した請求項1から請求項15の何れか1項に記載の植物栽培床材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の根の進入を許容すると共に多孔質で弾力を備えて成形された植物栽培床材に関する。
【0002】
【従来の技術】親水性多孔質体、不織布等を素材とした、顆粒状の人口培土や前記素材を成形したものが植物栽培床材として用いられている。また、これらの素材は植物栽培における作業性の向上、あるいは植物移植時に植物の根を保護するための目的で、育苗培地として開発されている(特開2001−275503、米国特許4,034, 508、米国特許4, 175, 355)。また、これらの植物栽培床材は成形が容易であるためその用途に適するようにその形状に工夫がなされてきた。例えば、図7に示される植物栽培床材は、植物栽培床材21の上端側に形成された植え付け用の穴22を設けている。また、その他植物栽培用床材として植物を植え付ける穴を複数を成形したもの(米国特許4, 175, 355)などもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような植物栽培床材は園芸業者が使用するものであり、植物の種や茎や根等の挿入物を挿入するための穴22は、植え込まれる挿入物の大きさに対応して予め所定の大きさに形成してあり、形状や大きさは制限される。これらは種種の植物の種類及び生育状況の異なるものを任意に選択して栽培するには適さないものである。すなわち、従来の植物栽培床材では、単一の植物栽培床材にて、各種植物の種や根や茎等の挿入物の大きさに関わらず、挿入物を挿入できると共に安定に挿入物を保持して園芸をすることができないという問題がある。また、従来の成形された植物栽培床材は分割し難く、様々な形態の植物栽培容器に入れて利用することが困難であった。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、各種植物の種や根や茎等の挿入物の大きさに関わらず、挿入物を容易に挿入することができ、さらに、安定に挿入物を保持して園芸することができる植物栽培床材を提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の特徴構成は、植物の根の進入を許容すると共に多孔質で弾力を備えて成形された植物栽培床材であって、その上端部に少なくとも1つのスリットを設けてあるところにある。
【0006】本発明におけるスリットとは、切り込み、あるいはほぼ平行なある長さの開口幅を持つ隙間であり、本植物栽培床材の上端面から下端側に向けた深さを持つものであり、要時にその切り込みあるいは隙間の幅を広げることができるものである。当該スリットは、家庭用園芸で利用する植物栽培床材の場合は、隙間は5mm未満にあるのが好ましい。
【0007】〔作用効果〕本特徴構成を備える植物栽培床材は、その上端部に少なくとも1つのスリットを設けてあり、弾力を備えて成形されているので、弾性変形可能であり、それ自体を破壊することなく、スリットの上端側から下端側にかけての開口幅(細隙幅)をほとんど隙間のない状態(初期状態)から自在に大きくすることができると共に、そのスリットの開口幅を広げた状態の植物栽培床材には、スリットの開口幅を初期の状態に復元しようとする付勢力が働くこととなる。よって、スリットの開口幅を広げることで、種や根や茎等の挿入物を、園芸する各種植物の種や根や茎等の大きさにかかわらず容易にスリット内に挿入するとともに、前記付勢力によりその挿入物をスリット内に挿入した状態を維持して、園芸することが可能となる。
【0008】また、植物栽培床材を栽培容器内に敷き詰めて園芸を行う場合には、単一の形状及び大きさの植物栽培床材だけでは、栽培容器の内部の形状や大きさによっては、十分な量の植物栽培床材を敷き詰め難いことから、様々な形状や大きさの植物栽培床材が必要となることもあるが、本構成の植物栽培床材は、スリットを利用した簡単な操作にて植物栽培床材自体を分割することも可能であり、単一の形状及び大きさの植物栽培床材から形状及び大きさの異なるものを得ることができ、簡便且つ経済的でもある。
【0009】そして、本特徴構成を備える植物栽培床材では、スリットは肥料を保持させるための空間として有効に利用することもできる。例えば、上述のように複数の植物栽培床材を栽培容器に敷き詰めて園芸を行う場合には、一部の植物栽培床材のスリットを植物を挿入するために用いる一方で、他の植物栽培床材のスリットを粒状、スティック状あるいはゼリー状の肥料を挿入することで保肥のための間隙として用いることでも、栽培効率を向上させることができる。
【0010】また、従来のように土をそのまま使用して植物栽培をする場合には、複数種の土を用意して所定の割合に混合するといった手間を掛け、また熟練も必要であったが、本発明によれば、栽培容器内の形成された植物栽培床材そのもので植物を育成させることができるから、上述のような手間を省いて、簡単に園芸を楽しむことが可能になる上に、安定した植物栽培が可能となる。さらには、栽培容器の容量に合わせて必要な植物栽培床材の数を割り出しやすいから、従来起こりがちであった余剰残土の発生も防止でき、無駄を省くことができる。また、本発明の植物栽培床材は、栽培面積に応じた数を利用できるので、多数を組み合わせ、ヒートアイランド現象の緩和や、地球温暖化防止のための屋上緑化用の培土として利用することができる。
【0011】請求項2記載の発明の特徴構成は、上記請求項1の特徴構成に加えて、前記上端部に設けたスリットの少なくとも1つが上端面の略中央を通るものであるところにある。
【0012】〔作用効果〕かかるスリットは、上端部に設けたスリットの少なくとも1つが上端面の略中央を通るように設けてあるため、前記スリットを介して対向する部分同士は、スリットを介して線対称な形状となり、上述のようにして、種や根や茎等の挿入物をスリットの内部に挿入した状態では、挿入物に対して、スリットを介して対向する部分同士の両方から均等な前記付勢力が働き、挿入物がぐらついたり移動したりし難い安定姿勢にて挿入物を保持することができる。
【0013】従って、本構成によると、各種植物の種や根や茎等の挿入物の大きさに関わらず、挿入物を容易に挿入することができながら、安定に挿入物を保持して園芸することができるようになる。
【0014】請求項3記載の発明の特徴構成は、上記請求項1又は2の特徴構成に加えて、前記上端部に設けたスリットの少なくとも1つが上端面の外縁まで達するものであるところにある。
【0015】〔作用効果〕この特徴構成によれば、上端側に設けたスリットの少なくとも1つが上端面の外縁まで達するものであるため、スリットの開口幅をより簡単な操作にて広げ易くなり、上述したように各種植物の種や根や茎等の挿入物の大きさに関わらず、挿入物を一層容易に挿入することができる。栽培容器に複数個の植物栽培床材を利用する場合は、分割が容易になり簡便に栽培容器に配置することができ、間隙を埋めることができ、良好な栽培を可能にする。また、スリットの開口幅を広げることが一層容易になり、園芸栽培する各種植物の種や根や茎等の挿入物の大きさにかかわらず容易にその穴内に挿入するとともに、前記付勢力によりその挿入物を穴内に挿入した状態を安定に維持して、園芸することが可能となる。
【0016】請求項4記載の発明の特徴構成は、上記請求項1〜3の何れかの特徴構成に加えて、植物栽培床材の上端部に、上方に向けて開口した少なくとも1つの有底の穴を形成してあるところにある。
【0017】〔作用効果〕本特徴構成を備える植物栽培床材では、上端部に形成してある上方に向けて開口した穴を利用して、植物栽培床材の上方から容易に植物を植え付けることができる。この穴には、植物を直に植え付けることも可能であるが、予め、穴に納まる形状の培土を形成しておいて、この培土で植物の苗を生育させ、そのまま前記穴に嵌入することで植え付けを行うことも可能である。この場合の培土は、植物栽培床材と同質材料によって形成してあってもよい。また、市販の人口培土よりなるものを用いてもよい。なお、この穴には、植物を植え付けることなく、単に土を挿入してもよいが、穴のまま残しておくことで、植物栽培床材内に積極的に隙間を形成することが可能となり、通水性・通気性が向上すると共に、根の生育を無理なくサポートすることができる。また、穴には、粒状、スティック状またはゼリー状などの肥料を挿入する穴として使用してもよい。
【0018】請求項5記載の発明の特徴構成は、上記請求項1〜4の何れかの特徴構成に加えて、前記有底の穴が平面視で上端部の略中央に形成してあるところにある。
【0019】〔作用効果〕本特徴構成を備える植物栽培床材の穴は、植物栽培床材の平面視で上端部の略中央にあることから、安定に植物を保持し園芸することができる。つまり、前記穴は平面視で上端部の略中央にあることから、この穴の中に植物の種や根や茎等を挿入すると、その穴のまわりにでは植物の根が四方全体に略均等に伸張でき易い。その上、例えば植物栽培床材の横断面形状が略中心点に対して点対称で有る場合には、前記穴に挿入した挿入物に対して四方全体から略均等な付勢力が働くため、確実に安定して挿入物を保持することができる。
【0020】また、この穴が前記スリットと一体に結合したときは、上端面の略中央部分のこの穴に植物の種や根や茎、あるいは粒状、スティック状、ゼリー状等の肥料等の挿入物の挿入用として用いることで、例えば穴の径を適度に大きくしておくだけで、大きな挿入物であっても、前記穴を形成してある部分に挿入することで、挿入物を確実に保持しながら、穴以外のスリット部分には適度な間隙が形成され、必要十分な通気性及び通水性を確保することができる。
【0021】そして、上述のようにこの穴に種や根や茎等を挿入して園芸をすると、植物の成長にともなって植物の根は植物栽培床材内を伸張する。
【0022】請求項6記載の発明の特徴構成は、上記請求項5の特徴構成に加えて、前記上端部の略中央に形成してある有底の穴が下方向に窄まるように形成してある截頭錐体形であるところにある。
【0023】〔作用効果〕穴の形状は、例えば、截頭四角錐体状等に形成し、下端部ほど小径となるように構成してあると、有底の穴に培土や挿入物を容易に埋めることが出来るようになり好適である。
【0024】請求項7又は9又は11記載の発明の特徴構成は、上記請求項1〜6の何れか1項の特徴構成に加えて、前記植物栽培床材は、水平面の断面が多角形または角に丸味を有する多角形である柱体または逆截頭錐体に形成してある、あるいは水平面の断面が矩形または過度に丸味を有する矩形である柱体または逆截頭錐体に形成してある、あるいは水平面での断面が円形または楕円形である柱体または逆截頭錐体に形成してあるところにある。
【0025】〔作用効果〕これらの特徴構成によれば、植物栽培床材の複数個を植物栽培容器内に敷き詰めて園芸を行う場合、隣接させる植物栽培床材どうしの間に空隙を容易に形成自在にして前記植物栽培容器内に配置し、前記植物栽培床材に植えた植物を生育させるから、植え付ける植物によって異なる理想的な水はけの状態を、植物栽培床材どうしのあいだに形成する空隙の大きさで自由に調節することが可能となる。例えば、極端に水はけの良い状態が必要な植物を植え付ける場合には、植物栽培床材どうしの空隙を広く確保できるように植物栽培床材をセットすることが可能となる。また、この空隙に関しては、水はけの問題のみならず、根の生育や、根の通気を促進する間隙としても有効に作用させることが出来る。
【0026】請求項8又は10又は12記載の発明の特徴構成は、夫々、上記請求項7,9,11の特徴構成に加えて、これらの植物栽培床材の形状における上端部に設けたスリットは、それぞれ上端面の外縁上の一点と他の一点とを結ぶ線上を通るように、あるいは上端面の対角線を通るように、あるいは上端面の径を通るように形成してあるところにある。
【0027】〔作用効果〕本構成を備える植物栽培床材は、その上端側に少なくとも1つのスリットを設けてあり、植物栽培床材は弾力を備えており、弾性変形可能であることから、それ自体を破壊することなく、スリットの上端側から下端側にかけての開口幅(細隙幅)をほとんど隙間のない状態(初期状態)から自在に大きくすることができると共に、そのスリットの開口幅を広げた状態の植物栽培床材には、スリットの開口幅を初期の状態に復元しようとする付勢力が働くこととなる。よって、スリットの開口幅を広げることで、種や根や茎等の挿入物を、園芸する各種植物の種や根や茎等の大きさにかかわらず容易にスリット内に挿入するとともに、前記付勢力によりその挿入物をスリット内に挿入した状態を維持して、園芸することが可能となる。また、スリットを上端面で交差するように複数設けることで、より挿入物を挿入し易くすることもできる。
【0028】また、植物栽培床材を栽培容器内に敷き詰めて園芸を行う場合には、単一の形状及び大きさの植物栽培床材だけでは、栽培容器の内部の形状や大きさによっては、十分な量の植物栽培床材を敷き詰め難いことから、様々な形状や大きさの植物栽培床材が必要となることもあるが、本構成の植物栽培床材は、スリットを利用した簡単な操作にて植物栽培床材を分割することも可能であり、単一の形状及び大きさの植物栽培床材から形状及び大きさの異なるものを得ることができ、簡便且つ経済的でもある。
【0029】請求項13記載の発明の特徴構成は、上記請求項1〜6の何れかの特徴構成に加えて、植物栽培床材を、水平面での断面における断面積が異なるように形成してあるところにある。
【0030】〔作用効果〕本特徴構成によると、植物栽培床材を、水平面での断面における断面積が異なるように形成してあるので、植物栽培床材の複数個を植物栽培容器内に敷き詰めて園芸を行う場合、隣接させる植物栽培床材どうしの間に空隙を容易に形成自在にして前記植物栽培容器内に配置し、前記植物栽培床材に植えた植物を生育させ、植え付ける植物によって異なる理想的な水はけの状態を、植物栽培床材どうしのあいだに形成する空隙の大きさで自由に調節することが可能となる。例えば、極端に水はけの良い状態が必要な植物を植え付ける場合には、植物栽培床材どうしの空隙を広く確保できるように植物栽培床材をセットすることが可能となる。また、この空隙に関しては、水はけの問題のみならず、根の生育や、根の通気を促進する間隙としても有効に作用させることが出来る。
【0031】請求項14記載の発明の特徴構成は、上記請求項13の特徴構成に加えて、植物栽培床材を、水平面での断面につき、上端側が下端側より断面積が大きくなるように形成してあるところにある。
【0032】〔作用効果〕本特徴構成の、水平面での断面につき、上端側が下端側より断面積が大きくなるように形成してある植物栽培床材によれば、各植物栽培床材を栽培容器内に設置した状態において、植物栽培床材の上方側部分は、互いに当接した状態、または、比較的近接した状態に配置できながらも、その下方側では、夫々の小径部の存在によって、隣接した植物栽培床材間に、空隙を形成し易くなる。従って、上述の効果をより叶え良くすることができる。
【0033】請求項15記載の発明の特徴構成は、上記請求項1〜6記載の特徴構成に加えて、植物栽培床材を、水平面での断面につき、上端部が矩形あるいは角が丸味を有する矩形であり、下端部が円形となるように形成してあるところにある。
【0034】〔作用効果〕本特徴構成の植物栽培床材によると、複数個の植物栽培床材を栽培容器内に並べて配置した際に、上面に表れる部分は、各植物栽培床材の矩形の辺どうしが互いに当接した状態、又は、比較的近接した状態に配置でき、整列した植物栽培床材によって植え付け面の上面での美観性を向上させることが可能となる。また、植物栽培床材の下方側では、隣接する植物栽培床材どうしは円形断面であるから、隣接する植物栽培床材どうしが全周にわたって密接することを防止でき、植物栽培床材どうしの間に適度な隙間を形成することができる。
【0035】因みに、さらに、植物栽培床材の形状が下方に窄まる形状の場合は、上記に加えて、各植物栽培床材を栽培容器内に配置する場合、下が窄まっているから該容器内の所定の位置へ配置が行いやすい。即ち、栽培容器内に植物栽培床材を順次配置する際、順番が後になればなる程、栽培容器内で未だ残っている隙間開口が小さくなるが、小さな隙間開口であっても、植物栽培床材の下端部だけでも入り込ませることができたら、そのまま押し込むことでその植物栽培床材を栽培容器に配置することが可能となる。
【0036】請求項16記載の発明の特徴構成は、上記請求項1〜15記載の特徴構成に加えて、植物栽培床材が、有機質培土材を、通気性及び通水性を有するように成形保持したものであるところにある。
【0037】〔作用効果〕植物栽培床材が、有機質培土材を、通気性及び通水性を有するように成形保持したものであれば、適度な通気性及び通水性及び弾性変形特性を備えており、良好に植物を園芸することが可能となる。
【0038】尚、本発明に係る植物栽培床材は、園芸に用いる培地又は培土及び育苗用の培地又は培土、または水耕栽培用の培地又は培土として用いることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態について説明する。
【0040】本発明の植物栽培床材は、根の侵入を許容すると共に多孔質で弾力を備えた成形体として形成したものである。植物栽培床材を複数用いる際、植物栽培床材は弾力を有しているので栽培容器に植物栽培床材を配置する際に、適度な弾力によって栽培容器の内空形状に合わせた自由な配置を選択でき、且つ、栽培容器の形に馴染ませやすく、また、土で手を汚さずにスピーディに配置することができ、栽培容器に複数の植物栽培床材を配置することが容易である。そして、植物栽培床材そのものが根の進入を許容するから、植え付けた植物の生育に伴って、根が成形体内を満遍なく広がることができ、植物栽培床材内の水分や養分を効率よく吸収することができる。更には、植物栽培床材そのものは弾力を備えた成形体であるから、水やりによって締まって隙間が無くなると言ったことも防止し易いから、上述のように水分や養分を効率よく吸収できる状態を持続することが可能となる。勿論、通気性の確保についても同様に持続することが可能となる。
【0041】本発明に係る植物栽培床材の一例としては、例えばブロック状に成形できるものとして、例えば、ラテックス樹脂、あるいはエチレン樹脂やプロピレン樹脂やスチロール樹脂やウレタン樹脂やフェノール樹脂、酢酸セルロース等を発泡させた各種発泡樹脂材で構成したものを利用できる。また、ピートモスなどの有機質培土材を圧縮成形したもの、セルロースなどの繊維状成形物、セラミックなどの無機質発泡物、通常培土として用いられる各種の土壌を樹脂バインダーや接着剤等を用いて成形して本発明の植物栽培床材として用いることも出来る。
【0042】また、本発明における前記植物栽培床材は、バーク堆肥やピートモス、腐葉土などの有機質培土材を混合したものを、例えばポリエーテルポリオール(ポリオール成分)とポリイソシアネート(イソシアネート成分)とを反応させて得られる親水性ウレタンプレポリマーによって固結成形により一体成形し、多孔質で弾力を有した状態に形成してあるものが好ましい。例えば、これら人口培土は、バーク堆肥やピートモス、腐葉土などの有機質培土材を、発泡ウレタン反応を利用することにより弾力を有した状態に成形保持し、空隙率が90%以上となるように設計してある(特開昭51−27545、特公昭56−18165、特開昭58−198516、米国特許4, 034, 508、米国特許4, 175, 355参照)。尚、製造方法はこれらに限定されるものではなく、また、空隙率は適宜製造方法により変更できる。
【0043】次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0044】図1に、(イ)本発明に係る植物栽培床材の一実施形態の斜視図、(ロ)スリットの開口幅をひろげた状態での植物栽培床材の斜視図を、図2に、図1に示した植物栽培床材への植物の植え付け園芸に関する説明図を示す。
【0045】図に示すように、本発明に係る植物栽培床材1は、その上端面の略中央を通るスリットが設けられ、植物栽培床材1の上端部1aと下端部1bの中程にまで達するスリットSを設けてあり、しかもその植物栽培床材1の上端部1aの略中央に、上方に開口を有する有底の穴2を形成して構成してある。
【0046】そして、当該実施形態では、前記植物栽培床材1の外形は、図に示すように、上端側が矩形形状あるいは角が丸まった矩形形状、下端側が円形形状で、下端側ほど小径となる截頭錐体形状に形成してある。
【0047】本発明の植物栽培床材は、家庭用園芸での使用においては、上端側矩形形状の一辺が2〜15cm、高さが4〜15cm、下端側の円形形状の直径は2〜12cm程度が好ましい。しかし、実際の実施においては、これらの寸法に限定されるものではなく、植物栽培床材の用途、材質および形状等により適宜選択できる。
【0048】当該実施形態では、スリットSは上端面の一方のほぼ対角線上にわたって設けてあり、その深さは、植物栽培床材の上端面から下端面までの高さを1とすると、上端面からほぼ1/3〜1/2程度の深さとなるように設けてある。本実施形態では、スリットSは植物栽培床材1の上端面から上端部1aと下端部1bのほぼ中間部、すなわち上端面と下端面の略中央まで設けてあるが特にこれに限定されるものではなく、スリットが上端面から下端側に向けた深さをもつ切込みであれば特に制限されない。植物栽培床材の保形性から、スリットの深さは、植物栽培床材の上端面から下端面までの高さを1とすると、上端面から1/4〜3/4の範囲程度となるようにするのが好ましい。
【0049】本実施形態では、スリットSは上端面の対角線上を外縁まで到っているが、特に開口でき、挿入する対象物が挿入できる程度に開口できる長さであれば特に限定されず、対角線の長さを1とすれば、好ましくは1/5以上、特に好ましくは1/2以上あればよい。さらに、複数本のスリットを設けてもよい。
【0050】尚、スリットSは、植物栽培床材1の上端部1aに設けてあればよく、図に示すような植物栽培床材1を上端面側からほぼ二等分するようなものに限らず、上端面のほぼ中央を通らないもの、例えば上端面のうち中央よりもその縁部側によっているものでもよい。また、スリットSは図に示すように、その両端側が上端面の外縁まで達するものに限らず、その一端側のみが上端面の外縁まで達するものでもよいし、また、両端側とも上端面の外縁まで達しないものでも勿論よい。そして、スリットSの平面視での形状についても、図に示すような直線状のものに限らず、曲線状や螺旋状等でも勿論よい。
【0051】前記穴2は、植物栽培床材1の上端面のほぼ中央に開口を有する有底穴であり、前記スリットSと一体となるように形成してある。この穴2の形状は円柱や角柱状など各種形状を適宜選択すればよいが、開口側が底側よりも径の大きい錐体形状或いは截頭錐体形状であれば、挿入物3を穴2内により挿入しやすくなり好適である。当該実施形態では、前記穴2は、スリットSを形成してある中間部よりも下端部1b側に至るように形成することで、スリットSの下端よりも穴2の有底の底部の方が、植物栽培床材1の下端面よりの位置になる。したがって、後述するようにスリットSの開口幅を大きくすることで穴2の上方を大きくできる一方で、穴2の下方部分はほぼ一定形状のまま維持されることとなる。従って、後述するようにして穴2に挿入物3を挿入する場合、穴2の上方を大きくして容易に挿入物を挿入することができながら、前記穴2のほぼ一定形状の下方部分にて穴2内に挿入された挿入物3を支持させることもできるため、前記付勢力により挿入物が保持されるまでに、挿入物3の挿入箇所が位置ズレしたり、挿入物3が傾斜姿勢を採るおそれを低減し、一層確実に且つ安定に、植物を保持し成長させることが可能となる。
【0052】次に、本発明に係る植物栽培床材1への植物の植え付け方法を、図2を参照しながら簡単に説明する。一例として、穴2に、別途植物を苗まで育成栽培してなるセル成形苗(挿入物の一例)3を挿入して、植物を植え付ける。図に示すように、スリットSと穴2とは一体のものであるから、植物栽培床材1自体を破壊することなくスリットSの開口幅をひろげることで穴2の上方を大きくし、挿入物3を挿入するための挿入空間を大きくすることができる(図2(イ)参照)。従って、挿入物3を従来に比べて挿入し易く、仮に挿入物3が穴2の大きさよりも大きな場合や穴2の形状と異なる場合であっても穴2に容易に挿入することができ、しかも、植物栽培床材1の弾性によりスリットSを初期の開口幅に狭めようとする付勢力が働くことにより、穴2内に挿入物3を確実に保持することができる(図2(ロ)参照)。尚、植物栽培床材1を鉢等の栽培容器Pに収容するにあたっては、植物栽培床材1への挿入物3を挿入してから、植物栽培床材1を栽培容器Pに収容してもよいし、或いは、まず植物栽培床材1を栽培容器Pに収容してから、植物栽培床材1へ挿入物3を挿入してもどちらでもよく、適宜必要に応じた形態を選択すればよい。
【0053】〔別実施形態〕以下に他の実施形態を説明する。
〈1〉 先の実施形態では、図2に例示するように、1ヶの栽培容器Pに1ヶの植物栽培床材1を収容する構成例を示したが、そのような構成に限らず、例えば、図3に示すように、1ヶの栽培容器Pに複数の植物栽培床材1を収容して植物を園芸しても勿論よい。尚、この際には、すべての植物栽培床材1の穴2(或いはスリットS)に挿入物Gを挿入してもよいし、一部の植物栽培床材1のみに挿入物Gを挿入してもよい。
【0054】この場合、図3に示すように、本発明に係る植物栽培床材1は、スリットSに沿って簡単な操作にて植物栽培床材1を切断して分割することも可能であり、単一の形状及び大きさのものから形状及び大きさの異なる分割体1’を得ることができ(図3(ロ)参照)、簡便且つ経済的に、栽培容器P内の収容空間に応じて植物栽培床材1,1’を収容させることができる。
【0055】〈2〉 植物栽培床材1は、先の実施形態で例示した形状に限るものではなく、ブロック状に形成してあればよく、例えば、図4に示すように、上端側及び下端側とも角柱形状(上下同径又は略同径)や、又は矩形の截頭錐体形状であったり、図5に示すように、上端側及び下端側とも円柱形状(上下同径又はほぼ同径)や、又は円形の截頭錐体形状であってもよい。勿論、上端側・下端側とも、矩形・円形以外の形状であったり、又は、上端側・下端側どうしが異なる形状の截頭錐体又は柱状体であってもよい。そして、上下で径が異なる形状の場合、必ずしも、下端側が小径でなくてもよく、図示しないが、上端側ほど小径となる形状や、上下の途中部分が他の部分よりも大径或いは小径となる形状であってもよい。
【0056】〈3〉 そして、先の実施形態では、植物栽培床材1にスリットSに加えて、有底の穴2を形成してある形態を例示したが、穴2は必ずしも設ける必要はなく、例えば、図6に示すように、スリットSのみを設けてあっても勿論よく、そして、スリットSは、単数に限らず複数設けても勿論よい。尚、スリットSを複数設ける場合には、例えば、図6(ロ)に示すように、植物栽培床材1の互いに交差するスリットSによりその上端面のほぼ中央にて形成される角度を夫々α,β,γ,δとすると、α=β=γ=δとなる形態に限らず、α,β,γ,δ各々が異なる形態してもよい。α,β,γ,δ各々が異なる形態の場合には、植物栽培床材をスリットSを利用して切断分割すると、種々の形状(例えばα=δ=120°,β=γ=60°のときには、1/3体と1/6体)のものを得ることができるため、殊に、図3に例示したように栽培容器P内に複数の植物栽培床材1、1’を敷き詰めるときに、その栽培容器Pの種々の収容空間の形状に応じて植物栽培床材1、1’を収容させることができ、利便である。
【0057】〈4〉 先の実施形態では、挿入物3としてセル成形苗を挿入する形態を例示したが、直接植物の種や根や球根や茎、あるいは粒状、スティック状、ゼリー状の肥料等を植物栽培床材1に挿入してもよく、そして、その挿入箇所は、穴2に限らずスリットSに挿入してもよいのはいうまでもない。
【0058】次に本発明の植物栽培床材を用いた植物栽培の実施例を示す。
【0059】<5> 直径21cm、深さ11cmの丸鉢に、バーク堆肥やピーモスをポリウレタンのバインダーで一体成形した、上端面が約7cm角の矩形形状、下端面が直径6cmの円形形状、高さが6. 5cmで下端部ほど小径となる戴頭錐体形状で、上端部のほぼ中央に一辺が1. 5cmの矩形で、深さ約4. 5cmの穴及び深さ約4cmのスリットを上端面の対角線上にそって設けた、植物栽培床材(図1(イ)に示すように)に、同植物栽培床材に植栽されたペチュニア1株と、未植栽の成形ブロック4個、上端矩形面での対角線を含む一つの鉛直面のスリットに沿って切断した形状の植物栽培床材(図1(ハ)に示すように)のブロック4個を配置(図3に示すように)し、3ヶ月間栽培を行なった。栽培は、朝夕2回の潅水および週1回の500倍希釈液体肥料施肥により行なった。
・比較例1; 上記実施例<5>に用いたのと同形状の丸鉢に、植物栽培床材の代わりに市販培養土1. 8リットルを充填し、土壌で育成されたペチュニア1株を移植し、実施例<5>と同条件で栽培を行なった。
<6> 実施例<5>と同様の植物栽培床材を用いた。角型プランター(長さ64cm、幅23cm、深さ19cm)の底部に、植物栽培床材27個を配置し、その上部に、植栽されたバーベナ3株と、苗を植えた植物栽培床材を囲むように未植栽の成形ブロック24個とを空隙を設けて配置し、3ヶ月間栽培を行なった。栽培は、朝夕2回の潅水および週1回の500倍希釈液体肥料施肥により行なった。
・比較例2; 上記実施例<6>で用いたのと同形状の角型プランターに、植物栽培床材の代わりに市販培養土11リットルを充填し、土壌で育成したバーベナ3株を移植し、上記実施例<5>と同じ条件で栽培を行なった。
植物栽培の実施例<5>および<6>の結果: 植物栽培床材を用いた実施例<5>及び<6>の植物の栽培では、栽培1 ヶ月後に植物体の根の伸張により植物栽培床材が一体化するとともに丸鉢あるいは角型プランターの栽培容器全体に均一な発根が認められた。対して、比較例1及び比較例2の土壌を用いた栽培では、丸鉢あるいは角型プランターの底壁面部分に根が伸長する根巻き現象を起こしていた。また、植物栽培床材を用いた実施例<5>及び<6>の栽培では、土壌を用いた比較例1及び比較例2の栽培に比べ、開花が早く、旺盛な生育を示した。また、植物栽培床材が土壌に比べて軽量であるため、植物栽培床材を用いた栽培容器は土壌を充填した栽培容器よりも軽量であり、栽培鉢やプランターの運搬や移動も容易であった。
【0060】<7> 尚、本発明に係る植物栽培床材は、これまで説明した実施形態のような栽培容器に収容して、園芸に利用するだけでなく、例えば、育苗用の培地や培土として利用してもよいし、更に、水耕栽培用の培地や培土として利用してもよい。
【出願人】 【識別番号】502275942
【氏名又は名称】サントリーフラワーズ株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区平河町二丁目13番12号
【出願日】 平成14年2月14日(2002.2.14)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2003−235347(P2003−235347A)
【公開日】 平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願番号】 特願2002−36985(P2002−36985)