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【発明の名称】 脱水ケーキ及び堆肥化チップを用いた緑化基盤材の製造方法
【発明者】 【氏名】今坂 成史
【住所又は居所】東京都千代田区富士見二丁目10番26号前田建設工業株式会社内

【氏名】安井 利彰
【住所又は居所】東京都千代田区富士見二丁目10番26号前田建設工業株式会社内

【氏名】小口 深志
【住所又は居所】東京都千代田区富士見二丁目10番26号前田建設工業株式会社内

【氏名】清水 英樹
【住所又は居所】東京都千代田区富士見二丁目10番26号前田建設工業株式会社内

【氏名】本田 俊哉
【住所又は居所】東京都千代田区富士見二丁目10番32号株式会社ミヤマ工業内

【要約】 【課題】土木・建設工事現場などで発生した脱水ケーキと、産廃樹木などの伐採材を同一の処理方法に関連付けて処理でき、しかも得られた処理物を有効活用することが可能な脱水ケーキ及び堆肥化チップを用いた緑化基盤材の製造方法を提供する。

【解決手段】汚水又は濁水から生成された脱水ケーキに砂を混合し、この脱水ケーキと砂との混合物を破砕し、破砕された混合物を乾燥し、この乾燥された混合物に伐採材から生成された堆肥化チップと、肥料及び種子などの混合物とを混合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 汚水又は濁水から生成された脱水ケーキに砂を混合し、前記脱水ケーキと砂との混合物を破砕し、前記破砕された混合物を乾燥し、前記乾燥された混合物に伐採材から生成された堆肥化チップと、肥料及び種子などの混合物とを混合することを特徴とする脱水ケーキ及び堆肥化チップを用いた緑化基盤材の製造方法。
【請求項2】 前記堆肥化チップは、前記伐採材を破砕し、前記破砕された伐採材に堆肥菌及び鶏糞を添加して加水調整した後、通気状態で所定期間野積みすることにより生成することを特徴とする請求項1に記載の脱水ケーキ及び堆肥化チップを用いた緑化基盤材の製造方法。
【請求項3】 前記伐採材は産廃樹木であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱水ケーキ及び堆肥化チップを用いた緑化基盤材の製造方法。
【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の緑化基盤材を空気と共に噴射して所定の地盤面に吹き付けることを特徴とする緑化基盤材の定着方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木・建設工事現場などで発生した汚水・濁水及び産廃樹木の処理に好適な脱水ケーキ及び堆肥化チップを用いた緑化基盤材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保全の重要性が認識されており、ダム建設、大型宅地造成その他の土木・建設工事現場で発生する汚水及び濁水をそのまま廃棄することはできなくなっている。そのため、従来は、汚水及び濁水に凝集沈殿剤を加えてから脱水処理することにより脱水ケーキ(脱水汚泥)を生成し、これを埋め立てなどに利用したり、そのまま捨土処理を行っていた。
【0003】一方、これらの土木・建設工事現場では、伐採樹木や伐根樹木等の産廃樹木が依然大量に発生する。従来は、これらの産廃樹木を再利用するため、次に説明する方法で緑化基盤材を製造していた。
【0004】すなわち、伐採材から緑化基盤材を製造する場合は、まず、産廃樹木を破砕してウッドチップを生成する。次に、このウッドチップに発酵菌などを混ぜて発酵した堆肥化チップに、種子を混在させる。これにより、緑化基盤材が完成する。
【0005】このようにして製造された緑化基盤材は、道路法面、河川敷、堤防、山腹荒廃地の斜面、あるいは運動競技場、ゴルフ場、飛行場などの広大な平坦地に吹き付ける種子吹き付け工法などに利用できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、今後は環境保全の基準が更に厳しくなると予想され、このような状況下においては、従来のように脱水ケーキを捨土処理したり、埋め立てなどに利用できなくなることも考えられ、脱水ケーキの処分方法が新たな問題となる可能性がある。
【0007】また、同一の土木・建設工事現場から発生する産業廃棄物である脱水ケーキと産廃樹木とを、全く別の処理方法で処理すると、全体の処理工数及び費用がかさむため、できれば両方を同時に処理したいという要請がある。
【0008】本発明の目的は、このような問題点を解決するためになされたものであり、土木・建設工事現場などで発生した脱水ケーキと、産廃樹木などの伐採材を同時に処理でき、しかも得られた処理物を有効活用することが可能な脱水ケーキ及び堆肥化チップを用いた緑化基盤材の製造方法を提供することを技術的課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は脱水ケーキ及び堆肥化チップを用いた緑化基盤材の製造方法であり、前述の技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明は、汚水又は濁水から生成された脱水ケーキに砂を混合し、前記脱水ケーキと砂との混合物を破砕し、前記破砕された混合物を乾燥し、前記乾燥された混合物に伐採材から生成された堆肥化チップと、肥料及び種子等の混合物とを混合することを特徴とする。
【0010】また、本発明は、上記で製造された緑化基盤材を空気と共に噴射して所定の地盤面に吹き付けることを特徴とする。
【0011】上述の堆肥化チップは、伐採材を破砕し、破砕された伐採材に堆肥菌及び鶏糞を添加して加水調整した後、通気状態で所定期間野積みすることにより堆肥としたものを使用できるが、これ以外の各種の方法で伐採材から生成した堆肥化チップを使用できる。また、伐採材としては、産廃樹木を利用できる。
【0012】本発明によれば、土木・建設工事現場などで発生する汚水・濁水から生成された脱水ケーキと、産廃樹木などの伐採材から生成された堆肥化チップ(堆肥)を混合することにより、緑化基盤材を製造できるので、脱水ケーキ及び産廃樹木などの伐採材の有効活用が可能となり、環境保護の面から有利になる。
【0013】また、脱水ケーキと伐採材とを同時に処理できるので、脱水ケーキと伐採材とを別々に処理する場合に比べて、全体の処理工数及び費用を低減できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る脱水ケーキ及び堆肥化チップを用いた緑化基盤材の製造方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】図1は本発明に係る脱水ケーキ及び堆肥化チップを用いた緑化基盤材の製造方法及び定着方法を示すフローチャート、図2は堆肥化チップの製造方法を示すフローチャート、図3は本発明を適用した緑化基盤材製造装置を示す図、図4は本発明に係る緑化基盤材を吹き付け材として使用する場合の基本配合を示す図である。
【0016】図1に示すように、本発明においては、まず例えばダム建設現場などで発生する汚水又は濁水から生成された脱水ケーキに砂を攪拌混合する(ステップ11)。ここで、脱水ケーキに砂を混合するのは、ここで製造された緑化基盤材を法面などに吹き付ける場合に、脱水ケーキをそのままの状態で吹き付け機に投入すると、緑化基盤材が吹き付け機に付着したり、或いは緑化基盤材でホースなどが閉塞して、吹き付け施工が不能になるおそれがあるからである。砂を混合することで、吹き付けシステムへの付着防止、乾燥の促進を図ることができる。なお、脱水ケーキは従来の方法で生成されたものを使用できる。
【0017】ステップ11で脱水ケーキと砂とを混合した後、その混合物を適宜な大きさに破砕する(ステップ12)。次に、破砕された混合物を定量取り出してこれを乾燥し(ステップ13)、乾燥された混合物から例えば大きさが20mm以下の混合物を取り出し、これ以外の粒子を除去する(ステップ14)。
【0018】続いて、ステップ14で取り出された大きさが20mm以下の混合物に、後述のようにダム建設工事現場などで発生した産廃樹木(伐採材)から生成された堆肥化チップと、ピートモス(原生林中に水苔が風化堆積してできた泥炭状のもの)、種子、肥料などを所定の配合で混合する(ステップ15)。これによって、緑化基盤材が完成する。なお、堆肥化チップ以外の肥料、ピートモス及び種子などは市販されているものを使用できる。
【0019】次に、上述した堆肥化チップの製造方法を説明する。なお、伐採材は、幹と、枝葉及び根株とに分離され、幹は有価物として利用される。本発明では、枝葉及び根株を利用して堆肥化チップを製造するものである。
【0020】すなわち、本発明の堆肥化チップの製造に際しては、図2に示すように、まず伐採された産廃樹木の枝葉及び根株を一次破砕によって60mm程度の大きさに破砕し、続いて二次破砕によって10〜15mm程度の大きさに破砕する(ステップ21)。このように、10〜15mm程度に破砕することによって、堆肥化が促進すると同時に、堆肥化後に緑化基盤材として法面などに吹き付けて使用できる。
【0021】次に、ステップ21で得られた破砕物に堆肥菌及び鶏糞を添加して、加水調整をする(ステップ22)。堆肥菌及び鶏糞は、破砕チップの堆肥化を促進するために添加するものであり、堆肥菌をチップ重量の0.1%程度、堆肥菌の栄養分として鶏糞をチップ重量の5%程度添加する。また、加水調整によって、チップ含水率を60〜70%程度に調整し、堆肥化が進行しやすい環境を作る。
【0022】ステップ22に続いて、破砕物を簡易堆肥化、すなわち、破砕チップを野積みし、その中に多数の小孔を有する通気管を通して自然通気で約1ヶ月放置することにより堆肥化する(ステップ23)。このように、破砕チップの野積み内に通気管を通すことにより、面倒な切り返し作業を省くことができる。この堆肥化チップは、脱水ケーキがない場合などには、そのままバーク堆肥の代替品として厚層基材吹付けに利用することができる。
【0023】図3は、本発明を適用した緑化基盤材製造装置5を示す。この緑化基盤材製造装置5においては、まず脱水ケーキ51と砂52とが所定量ずつ混合される。ここで生成された混合物は、例えばバックホウ53などで分級機54に投入されて分級される。
【0024】分級機54から排出された混合物は、ベルトコンベヤ55で例えば乾燥キルンなどの乾燥装置56に投入されて乾燥される。ここで乾燥された混合物は、ベルトコンベヤ57及びフルイ58を介してホッパー59に投入される。
【0025】なお、乾燥機56の温度は150℃程度であるが、脱水ケーキの含水比などに応じて適宜変えることができる。また、フルイ58では、一定以下の大きさの混合物、例えば大きさが20mm以下の混合物が取り出され、それより大きいものは除外される。
【0026】そして、ホッパー59から乾燥した混合物(乾燥ケーキ)が所定量ずつ排出され、これがベルトコンベヤ60を介して自然計量・混合機61に投入される。一方、別のホッパー62には、上述の堆肥化チップ65が投入されて定量ずつ排出され、この堆肥化チップ65がベルトコンベヤ63を介して自然計量・混合機61に投入される。更に、自然計量・混合機61には、種子、肥料及びピートモス等の混合物66が投入される。
【0027】そして、自然計量・混合機61で乾燥ケーキ、堆肥化チップ65、種子、肥料及びピートモスなどの混合物66が混合されて、緑化基盤材が完成する。この緑化基盤材は、汎用性のある吹き付けシステム(モルタルガン、厚層基材吹き付け装置など)7を用いて、その吹き付けガン71のノズル72から、例えば緑化すべき法面など所定の地盤面に空気と共に吹き付けることができる。吹き付けられた緑化基盤材は、一定期間養生後定着する。なお、図3中の符号73はコンプレッサである。
【0028】汎用の吹き付けシステム7を用いることによって、機械的な制約を受けることなく、どのような工事現場でも容易に緑化基盤材の吹き付けが可能になる。図4は、緑化基盤材を吹き付け材として利用する場合の各成分の基本配合を示す。この配合は、あるダム建設工事現場において発生した脱水ケーキを使用したときの配合であり、脱水ケーキの性状が異なれば、配合も変化する。
【0029】また、種子の量も、吹き付け時期、岩質、法面勾配、法面方向などによって変化する。なお、本発明によって製造された緑化基盤材を、実際に法面に吹き付けて施工性及び草木の植生状況を確認したところ、良好な結果が得られた。
【0030】このように、本発明によれば、ダム建設現場などで発生した汚水及び濁水から生成された脱水ケーキ51と、同一のダム建設現場などで伐採された産廃樹木から製造された堆肥化チップ65と、砂53と、市販されている、ピートモス、種子、肥料等の混合物66とを混合するだけで緑化基盤材として有効に活用できるので産業廃棄物のリサイクルに大いに貢献でき、また、今後環境保全の基準が厳しくなった場合でも、脱水ケーキ及び産廃樹木の処分方法として対応でき、環境保護の面から有利になる。
【0031】また、同一の土木・建設工事現場において発生した脱水ケーキと伐採材とを、同時に処理できるので、従来のように別々に処理していた場合に比べて、全体の処理工数及び費用を低減できる。
【0032】更に、緑化基盤材は、その殆どが20mm以下の粒状になるので、法面に吹き付けられた後も団粒構造を構成することが期待でき、法面からの脱落防止及び長期間に亘る草木の植裁が可能となる。
【0033】なお、上述の実施形態ではダム建設工事現場で発生した汚水・濁水から生成された脱水ケーキを用いたが、本発明は、下水及び上水処理場、各種沈殿池などで生成された脱水ケーキを使用することができる。
【0034】また、上述した堆肥化チップの製造方法は例示であり、これ以外の各種の製造方法によって製造された堆肥化チップ、要するに伐採材から生成された堆肥化チップ(堆肥)であればどのようなものでも使用できる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、汚水・濁水から生成された脱水ケーキと、伐採材から生成された堆肥化チップとを混合することにより、緑化基盤材として有効活用できるので、産業廃棄物のリサイクルに貢献でき、環境保護の面から有利になる。
【0036】また、脱水ケーキと伐採材とを同時に処理できるので、脱水ケーキと伐採材を別々に処理する場合に比べて、全体の処理工数及び費用を低減できる。
【出願人】 【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区富士見2丁目10番26号
【識別番号】593084878
【氏名又は名称】株式会社ミヤマ工業
【住所又は居所】東京都千代田区飯田橋三丁目11番18号
【出願日】 平成14年2月21日(2002.2.21)
【代理人】 【識別番号】100089244
【弁理士】
【氏名又は名称】遠山 勉 (外2名)
【公開番号】 特開2003−235346(P2003−235346A)
【公開日】 平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願番号】 特願2002−44604(P2002−44604)