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【発明の名称】 酸素補給型水耕栽培装置
【発明者】 【氏名】矢野原 良民

【要約】 【課題】水耕栽培において、低コストの設備をもって植物に十分な酸素補給を達成する。

【解決手段】培養液を入れた上面開口の箱形栽培槽内に、多数植物を植えた定植ホルダーを保持した水耕栽培槽において、上記定植ホルダーを、上記培養液面の上位に適宜間隔をあけて培養液面と平行に保持し、上記間隔内に、軽量で培養液に浮上性の多数の給水小球を互に密集し且つ多重積層状態に堆積して、各隣接する給水小球間に培養液の表層液を上昇させうる毛管を形成し、上記植物の根を定植ホルダー下面から上記毛管内に延長しうるようにした、酸素補給型水耕栽培装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 培養液を入れた上面開口の箱形栽培槽内に、多数植物を植えた定植ホルダーを保持した水耕栽培槽において、上記定植ホルダーを、上記培養液面の上位に適宜間隔をあけて培養液面と平行に保持し、上記間隔内に、軽量で培養液に浮上性の多数の給水小球を互に密集し且つ多重積層状態に堆積して、各隣接する給水小球間に培養液の表層液を上昇させうる毛管を形成し、上記植物の根を定植ホルダー下面から上記毛管内に延長しうるようにした、酸素補給型水耕栽培装置。
【請求項2】 培養液を入れた上面開口の箱形槽の前後両端部に回転自在に支持された両駆帯車に無端駆帯を掛け渡して、該駆帯に培養液上を進む上部直線走行路及び培養液中を進む下部直線走行路を形成すると共に、上記無端駆帯に、多数植物を植えた定植ホルダーを保持させた害虫駆除用植物浸漬装置つき水耕栽培槽において、上記上部直線走行路における定植ホルダーを、上記培養液面と適宜間隔をあけて培養液面と平行に位置させ、上記間隔内に、軽量断熱性で培養液に浮上性の多数の給水小球を互に密集し且つ多重積層状態に堆積して、各隣接する給水小球間に培養液の表層液を上昇させうる毛管を形成し、上記植物の根を定植ホルダー下面から上記毛管内に延長しうるようにした、酸素補給型水耕栽培装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、栽培槽内の培養液中に植物の根を浸漬させて栽培を行う水耕栽培において、該根からの酸素吸収不足を補うための酸素補給型水耕栽培装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に水耕栽培において、培養液中に植物の根を常時浸漬させた方式では、根からの酸素吸収が不足する。これを改善するため従来は、エアポンプにより培養液中に空気を吹きこんで酸素を補給する方法や、植物を植えた定植パネルを昇降させて植物の根を定期的に空気中に露出させて空気中の酸素を直接吸収させる方法が行われている。
【0003】しかし、いずれの方法も、設備に余分なコストがかかり、また後者では、根を空気中に露出することによる十分な酸素吸収と根の乾燥防止との兼ね合いがむずかしく、植物によっては乾燥による成長障害を招く危険があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低コストの設備をもって十分な酸素補給を達成することを課題とする。
【0005】
【課題を達成するための手段】上記課題達成の手段として、本発明者は、液面から約3mmの深さ範囲の表層液に高濃度の酸素が溶存しいてることに着目し、該表層液を根に供給しようとするもので、その第1発明は、培養液を入れた上面開口の箱形栽培槽内に、多数植物を植えた定植ホルダーを保持した水耕栽培槽において、上記定植ホルダーを、上記培養液面の上位に適宜間隔をあけて培養液面と平行に保持し、上記間隔内に、軽量で培養液に浮上性の多数の給水小球を互に密集し且つ多重積層状態に堆積して、各隣接する給水小球間に培養液の表層液を上昇させうる毛管を形成し、上記植物の根を定植ホルダー下面から上記毛管内に延長しうるようにした、酸素補給型水耕栽培装置を提供し、【0006】また、第2発明は、培養液を入れた上面開口の箱形槽の前後両端部に回転自在に支持された両駆帯車に無端駆帯を掛け渡して、該駆帯に培養液上を進む上部直線走行路及び培養液中を進む下部直線走行路を形成すると共に、上記無端駆帯に、多数植物を植えた定植ホルダーを保持させた害虫駆除用植物浸漬装置つき水耕栽培槽において、上記上部直線走行路における定植ホルダーを、上記培養液面と適宜間隔をあけて培養液面と平行に位置させ、上記間隔内に、軽量断熱性で培養液に浮上性の多数の給水小球を互に密集し且つ多重積層状態に堆積して、各隣接する給水小球間に培養液の表層液を上昇させうる毛管を形成し、上記植物の根を定植ホルダー下面から上記毛管内に延長しうるようにした、酸素補給型水耕栽培装置を提案する。
【0007】上記第1及び第2発明における「給水小球」には、発砲スチロール等の発砲合成樹脂球、各種合成樹脂製中空球、その他種々の材料からなる軽量断熱性で培養液に浮く比重が1未満のものが使用される。この供給小球の大きさは、好ましくは5〜25mmであって、実際には全体が同一径又は異径のものの混合であってもよい。
【0008】また、上記「定植ホルダー」には、発砲スチロール板、合成樹脂板、木板、金属板等からなる多数の定植孔を有するパネルが使用され、このほか第2発明の定植ホルダーには、屈撓性を有する合成樹脂ネット、定植リング又はループを有する金属線等も使用される。
【0009】上記第2発明における「駆帯」とは、ベルト、チェン、ローラチェン等を含み、「駆帯車」とは、上記駆帯を走行させる駆動車であって、ベルト、チェンに対してはプーリ、ドラム等、ローラチェンに対してはスプロケットホイル等である。以下図面を参照して本願発明の実施例について説明する。
【0010】
【実施例】〔第1発明の実施例〕図1(イ)、(ロ)は通常の定植ホルダー定置型水耕栽培槽に実施した例で、上面開口の前後方向に長い箱形の栽培槽(1)内に培養液(2)を入れ、該栽培槽(1)の左右側壁上端部に、略Z形に折曲してなる支持金具(3)…、(3)…を係止し、その左右相対する支持金具(3)(3)、…に定植ホルダーとして、木製の長方形板であって定植孔(5)…を有する定植パネル(4)…をその左右両端部においてそれぞれ支持させてある。
【0011】上記のように支持された定植パネル(4)…の下面と培養液(2)の液面との間に所要間隔(d)をあけ、該間隔(d)内に、本例では直径10mm及び直径20mmの発砲スチロール製の給水小球(6)…を個数50%づつの割合で混合したものを互に密集し且つ多重積層状態に堆積し、それにより各隣接する給水小球(6)…間に培養液(2)の表層液を上昇させうる毛管を形成する。
【0012】上記発砲スチロール製給水小球(6)…は、軽量断熱性で比重が極めて小さいので、図1(ロ)のように5〜6層に堆積した場合、堆積厚さが約110mmで、その下層部分が培養液(2)表層液に浸漬することとなり、この給水小球(6)…堆積層内に植物(P)…の根の大部分が伸長することとなる。
【0013】図1では定植パネル(4)…下面と給水小球(6)…群との間に小間隔をあけているが、苗を植えた当初の段階では、培養液(2)の液面を適宜上昇させて給水小球(6)…群を定植パネル(4)…下面に接触させるとよい。場合によっては給水小球(6)…を適宜減少させた後培養液(2)液面を定植パネル(4)…下面に接近させるのもよい。
【0014】
【発明の効果】〔第1発明の効果〕上記第1発明によれば、培養液(2)における酸素濃度の高い表層液が堆積された給水小球(6)…の間の毛管内に上昇し、これを毛管内に延びる根によって植物が吸収することができ、それにより十分な酸素補給の下で植物の良好な栽培を行うことができるのである。
【0015】〔第2発明の実施例〕図2、3、4の実施例は、植物害虫駆除用浸漬装置つき露地水耕栽培槽に実施した例で、前後方向に長い上面開口の栽培槽(1a)の前端部に左右一対の前部スプロケットホイル(7a)、(7a)を、槽後端部に左右一対の後部スプロケットホイル(8a)、(8a)を軸(9a)、(10a)によりそれぞれ回転自在に支持し、これらスプロケットホイル(7a)、(8a)及び(7a)(8a)に無端ローラチェン(11a)、(11a)をそれぞれ掛け回して、該ローラチェン(11a)、(11a)に、液面上を進行する上部直線走行路(A)と、液中を進行する下部直線走行路(B)を与え、これら左右のローラチェン(11a)、(11a)間に、図3に示すように多数の定植リング(5a)…を有する金属製定植棒(4a)…を所要前後間隔をあけて棒両端部において固定支持してある。
【0016】上記スプロケット軸(9a)、(10a)の支持構造は、栽培槽(1a)の左右外側面にフレーム(12a)、(12a)を立設し、該フレームの上端部に、槽(1a)内に垂下する吊りブラケット(13a)、(13a)をそれぞれ固定し、これら左右吊りブラケット(13a)、(13a)の下端部に設けたオイルレスベアリング(14a)、(14a)に上記軸(9a)、(10a)のそれぞれ両端部を回転自在に支持してある。
【0017】上記ローラチェン(11a)、(11a)の走行駆動手段として、支持台(15a)に減速機つきモータ(16a)を設置し、該モータの出力軸に固定されたスプロケットホイル(17a)と、上記軸(9a)の一側端に固定されたスプロケットホイル(18a)とにチェン(19a)を掛けてある。
【0018】上記のような水耕栽培槽において、上部直線走行路(A)にある定植棒(4a)…と培養液(2a)面との間に所要間隔(d)を設けると共に、前部スプロケットホイル(7a)、(7a)の若干後位、及び後部スプロケットホイル(8a)、(8a)の若干前位に、培養液(2a)中から上部直線走行路(A)の定植棒(4a)…近くまで起立する前部及び後部仕切板(20a)、(21a)を、その両端部を栽培槽(1a)側壁に固定することにより、設置し、この両仕切板(20a)、(21a)の間に直径15mmの発砲スチロール製給水小球(6a)…を互に密集し且つ多重積層状態に堆積し、それにより隣接する給水小球(6a)…間に培養液(2a)の表層液を上昇させる毛管を形成する。両仕切板(20a)、(21a)外側の培養液面にも給水小球(6a)…を2、3重積層状態に堆積しておく。
【0019】上記仕切板(20a)、(21a)の上端は、各植物(P)…の走行時に、その根が仕切板(20a)、(21a)の上を通過できるような高さにある。この場合仕切板(20a)、(21a)の上端に、図3、4に示すようなコロ(22a)…、(23a)…を回転自在に取りつけると、上記根の通過がさらに容易となる。
【0020】路地栽培の場合、風によって上記給水小球(6a)…が飛散するおそれがある。これを防止するため、上記定植棒(4a)…の外側において、両ローラチェン(11a)、(11a)間に、給水小球(6a)…よりも目の細い寒冷紗、網等のネット状カバー(24a)を張設してある。
【0021】上例によれば、定植棒(4a)…に植えた植物(P)…が上部直線走行路(A)に位置する状態で水耕栽培を行う。各給水小球(6a)…間の毛管に酸素濃度の高い表層液が上昇し、これを植物が根によって吸収し、良好な成長をとげる。水耕栽培時に植物に付着した害虫を駆除するための浸漬を行う場合は、モータ(16a)の始動によりスプロケットホイル(17a)、チェン(19a)、スプロケットホイル(18a)を介して軸(9a)を回転させ、それによりスプロケットホイル(7a)、(7a)を介してローラチェン(11a)、(11a)を図2時計回りに走行駆動させる。それにより定植棒(4a)…に植えられた植物(P)…が上部直線走行路(A)を図2右方へ走行し、前部仕切板(20a)において、その根を堆積給水小球(6a)…から抜き出し、ついで前部スプロケットホイル(7a)に沿って回動しつつ培養液(2a)中に浸入し、そして倒立状態で下部直線走行路(B)に進む。全植物を下部直線走行路(B)に移動させた段階でモータ(16a)を停止し、所要時間の浸漬を行う。
【0022】上記浸漬作業の間、培養液(2a)の液面が断熱性の給水小球(6a)…により覆われているので、外気温の影響を受けにくい。
【0023】浸漬完了後はモータ(16a)の再始動によりローラチェン(11a)、(11a)を時計回りに再走行すれば、下部直線走行路(B)にある植物(P)…が後部スプロケットホイル(8a)をめぐって正姿勢で上部直線走行路(A)に移動し、通常の水耕栽培に戻る。望ましくは、浸漬は1日に1回行うとよい。
【0024】図5は、第2発明の他の実施例で、植物の走行時に根が前後部仕切板を支障なく越えられるように改良した例である。図においてローラチェン(11b)、(11b)の前端部を前部スプロケットホイル(7b)、(7b)の上方においてガイドホイル(25b)、(26b)によって山形走行路(C)に形成し、前部仕切板(20b)は、その下端のホーク(27b)を前部スプロケット軸(9b)に支架すると共に上端部を吊りブラケット(13b)に固定し、またローラチェン(11b)、(11b)の後端部も前端部と同様に山形走行路に形成し、他の構造は図2、3、4と実質的に同一のものである。
【0025】〔第2発明の効果〕本願第2発明によれば、上記第1発明と同様、植物に酸素濃度の高い表層培養液を吸収させることができ、それにより十分な酸素補給の下で良好な水耕栽培を行うことができ、しかも植物を害虫駆除用浸漬に移行させたとき、断熱性の給水小球が培養液面を覆って外気温の影響をおさえることができる利点もえられるのである。
【出願人】 【識別番号】395021239
【氏名又は名称】株式会社生物機能工学研究所
【出願日】 平成14年2月5日(2002.2.5)
【代理人】 【識別番号】100061619
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 武文 (外1名)
【公開番号】 特開2003−225024(P2003−225024A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−27611(P2002−27611)