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【発明の名称】 櫓網床装置
【発明者】 【氏名】橋口 三良

【要約】 【課題】安価な設備費で、効率の良い作業を展開できる、土地の高度利用も達成できる櫓網床装置を提供することを目的とする。

【解決手段】本発明の農作物栽培用の櫓は、ドーナツ部と栽培床固定突起物と棟紐固定突起物とを有する櫓支柱と、支点止めピンとからなる。または、ドーナツ部と栽培床固定突起物と棟紐固定突起物とを有する櫓支柱と、両端にドーナツ部をもつ可変棚支柱と、支点止めピンとからなる農作物栽培用の櫓も含まれる。また、本発明の農作物栽培用の櫓網床装置は、複数の櫓と、栽培床網と、棟紐からなるものである。この櫓網床装置を単独または複数組み合わせて畝に立設したものも含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ドーナツ部と栽培床固定突起物と棟紐固定突起物とを有する櫓支柱と、支点止めピンとからなる農作物栽培用の櫓。
【請求項2】ドーナツ部と栽培床固定突起物と棟紐固定突起物とを有する櫓支柱と、両端にドーナツ部をもつ可変棚支柱と、支点止めピンとからなる農作物栽培用の櫓。
【請求項3】請求項1および/または請求項2に記載の複数の櫓と、栽培床網と、棟紐からなる農作物栽培用の櫓網床装置。
【請求項4】栽培床網の上面が可変棚部となる請求項3に記載の櫓網床装置【請求項5】請求項3または請求項4に記載の櫓網床装置を単独または複数組み合わせて畝に立設した櫓網床装置
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、農作物栽培用の、とくに苺栽培における農作物栽培用の櫓を提供し、苺の品質および苺栽培の作業性と生産性を向上する苺櫓網床装置に関する。
【0002】
【従来の技術】苺栽培における苺の実の着色は、特平11−176278による苺の果梗支持具や、特願平10−137351によるイチゴ実と葉の分離器具が示され、その他にも特願平6−272957による苺の果出し具がある。又、作業性においては、特願平9−121328による高設栽培装置がある。
【0003】前記に示した先行技術によれば以下に示す問題が生じる。苺の採光については、その食味や、品質に大きな影響を及ぼすことから、一般的な農家は、竹と紐を用いて、苺の実の上に開かる葉を、竹に張った紐で整理して、着色を促進したり、病害虫の予防をしたりする。また、柵や、網を用いても同様の良くいう玉出し作業を行う。また、近年普及してきた、高設栽培は、収穫作業において、著しい作業性の改善が見られるようになった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、日照量の少ない山間地帯や、草勢の強い苺、また、条間の狭い場合などにおいても、苺の実が受ける日光量が不足する。そして、苺の実の着色や、表皮の強さ、糖度に難点がでることになり、食味や日持ちを低下させるものである。また、春以降の床面の急昇温による苺の実の火傷や、苺の樹の急繁茂などで、一定の品質の苺生産がしにくくなり、収穫作業も難しくなる。それに、甘い香りに誘われて、地際に潜む害虫が床面上の苺を食べる。同様に、日陰や過湿や通気性の条件によっては、菌や胞子の繁殖も活発になる。この解決策として、株間より条間を広く採ると生産性を落とすことも、しばしばである。
【0005】一方、近年においては、色々な栽培方法が採られるようになってきた。例えば、良くいう高設栽培においては、収穫作業の大幅な改善が見られるが、導入設備費が高く、生産コストを押し上げている。本発明では、安価な設備費で、効率の良い作業を展開できる、土地の高度利用も達成できる櫓網床装置を提供することを目的とする。この櫓網床装置を苺栽培に適用し、上記の問題点を解決し、苺の品質および苺栽培の作業性と生産性を向上することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、鋭意研究の結果、複数の櫓と、棟紐と、網とで構成され、櫓は、複数の支柱の頂点で合わせ、櫓支点を作り、栽培床に立設することにより発明を完成した。すなわち、本発明の櫓は、ドーナツ部と栽培床固定突起物と棟紐固定突起物とを有する櫓支柱と、支点止めピンとを組み合わせた、またはドーナツ部と栽培床固定突起物と棟紐固定突起物とを有する櫓支柱と、両端にドーナツ部をもつ可変棚支柱と、支点止めピンとを組み合わせた構造を有する。支柱の材質はプラスチック、鋼管、鋼線、鉄筋、竹、木材などである。成形加工、切削加工等によって作成いたものである。支点止めピンは、ドーナツ部を連結し、固定するもので、支柱間の角度を任意に変えることができる。栽培床固定突起物は、栽培床を構成する栽培床網を固定する突起であり、支柱に一つ以上、5つ以下かることが好ましい。棟紐固定突起物は、ドーナツ部に施した突起物であり、組み合わせ時に形成されて、栽培床網を保持する棟紐を固定する突起である。
【0007】本発明の栽培床網は、農作物の収穫部分を保持するものであって、網、簀の子などが挙げられる。網の目は、透光率が50〜95%、好ましくは70〜85%であって、収穫部分を保持する寸法である。より好ましくは通気性が良いことである。網は立設された櫓の上から覆い被せ、固定し、櫓網床を形成するものである。本発明の棟紐は、栽培床網を保持するひも状ものであり、複数の櫓の頂点を、紐で通して固定するようにして、櫓間に連綿性を持たせ、安定させるためのものである。本発明の農作物は、苺、かぼちゃ、メロン、インゲン豆などの低木または蔓性の植物であり、ランナーによる収穫部分が葉部と区分けできるものである。
【0008】本発明の農作物栽培用の櫓は、ドーナツ部と栽培床固定突起物と棟紐固定突起物とを有する櫓支柱と、支点止めピンとからなる。または、ドーナツ部と栽培床固定突起物と棟紐固定突起物とを有する櫓支柱と、両端にドーナツ部をもつ可変棚支柱と、支点止めピンとからなる農作物栽培用の櫓も含まれる。本発明の農作物栽培用の櫓網床装置は、複数の櫓と、栽培床網と、棟紐からなるものである。この櫓網床装置を単独または複数組み合わせて畝に立設したものも含まれる。栽培床網の上面が可変棚部となるこれらの櫓網床装置も本発明に含まれる。
【0009】1から5カ所、好ましくは1から3カ所の櫓支点を有する櫓網床装置でも良く、櫓に網を固定する突起物を有する櫓網床装置でも良い。櫓の斜面が、苺櫓床部となるこれらの苺櫓網床装置も本発明に含まれる。
【0010】
【本発明の実施形態】本発明の実施形態を、苺櫓網床装置についての図面によって説明する。本発明の櫓の構成図を図1に示す。支柱上部7にドーナツ部21を有する双方の頂部を合わせ、支点止めピン27をはめ込む。支点止めピン27は、抜け落ちることがないように、返しの傘部を設けた。なお、この支点止めピンは、ドーナツ部21の穴内径より小さい径にし、自由に動かせる櫓支点を形成するものである。またドーナツ部21の上には、棟紐固定突起物たとえばI字状突起物が付けられ、組み立て立設すれば、V字状の棟紐固定突起物41を形成する。この固定した部分が櫓支点となる。それから櫓3は、櫓支柱上部7と、櫓支柱中部9と、櫓支柱下部10として使用分別される。前記、中部と上部は、網11を被せ、下部は脚部となる。また櫓の中部9には、I字状突起物51が付設され、網11の固定部となる。
【0011】図2は、苺網床装置の断面図である。櫓3を栽培床に一定の間隔と、角度をもって差し込んでいく。次に、櫓支点29の上に形成されたV字状突起物41の突起溝47に棟紐17を通し、突起溝47で固定されるように張り、畝両端の櫓3に棟紐を括る。このようにして、櫓間に連綿性を持たせ、櫓3の傾倒を防ぎ、全体を安定させる。
【0012】 次に、立設し、固定された櫓3に、網を被せる。網の中心の編み目をV字状突起物41の突起溝47を通し固定することで、網11の左右のぶれをなくする。そして、左右に垂れた網の裾編み目79を、櫓支柱中部9に付設したI字状突起物51を掛けて張る。なお、前記に示した、棟紐17で形成された棟の線が、加重を受けても低落することは少ない。それから、図示はしないが、I字状突起物41を複数個付設することで、網11の苺網床部15の形成位置や、網の弛みや張りを調整してI字状突起物に固定することができる。
【0013】以上が、図2に示す本装置の組み立て手順である。次に、上記の如く、設置が頑丈にできるように、以下に示すことを考慮において実施すると良い。ハウス栽培における苺の出蕾は、1番果......2番果......3番果......と順をなすものである。このことから苺の実65が集中して出揃い、加重を掛けることは少ない。櫓部材の材質については、プラスチック、鋼管、鋼線、竹が挙げられるが、地形、地質、耐久年数を鑑みながら材質や部材の厚みを選択すると良い。また、網部材の材質については、直接口にする食材であることから、熱や空気など環境条件で簡単に劣化したり、解れ異物が発生することがないよう、部材の選択は慎重を期したい。また、編み目の構造についても、必要最少限の単純構造(図6参照)にすることが、日照量の観点からも望ましい。材質はナイロン製品が挙げられるが、前記事項を満たせば、その限りではない。
【0014】図3は、図2の斜視図である。ここでは、本装置の網と、苺が受ける日照量との関係を詳しく説明する。図3に示すように、櫓支柱下部10を畝に差し込む位置と、苺の植え付け位置とは、ほぼ直線上となるようにすると良い。苺の葉63の下葉の一部は、網の内側に入る。しかし、櫓支柱中部で固定されている裾編み目79付近に差し掛かった葉や、伸長中の花房は、人手によって棚部や網床部に誘導したりする王乗せの作業を必要に応じてすることになる。それにより、図2、図3に示すように、苺の実が、万遍なく陽光を受け、品質の良い生産物が得られる。
【0015】図4に本発明の網の平面図である。編目の寸法については、網目が緻密で、畝床に陰を作るものでなく、また、粗目で苺の実65が目に入り、収穫作業にさしつかえたり、傷果の原因を作るものでない網目が求められる。図4に示す1例では、苺65が網目に入らない程の、いく分密に編まれた縦糸73と、網の固定に必要な最小限の数を持つ、横糸75を備えると良いが、緻密に編まれた升目状のもので、陰を作り出すものでなければ、汎用品でも構わない。
【0016】図5は、棟紐17の斜視図である。棟紐17は前述にあるように、櫓3の傾倒と、網11の低落を防ぐため用いるもので、棟紐17を櫓3の頂部に形成されてできた、突起溝47を通し、固定することで、櫓間に連綿性をもたせ、全体を安定させることができる。それに網に加わる加重に対する補強のためのものでもある。また、櫓3の間隔を適正に立てることにも注意し、棟紐の材質については、伸縮と劣化が少なければ、特に限定するものではなく、市販の紐・針金でも良い。
【0017】実施例1図6は、櫓に係わる実施例1の断面図である。櫓支柱上部7にドーナツ部23を有する、双方の支柱頂部に、両端にドーナツ部23を有する横支柱を合わせ、支点止めピン27をはめ込む。そして、自由に動かせることができる櫓支点29を両端に備え、且つ、可変棚部31を備えた櫓4を形成するものである。また、可変棚部31の中央部には、V字状突起43を、又、櫓支柱中部9にはI字状突起53を付設し、網11を被せ固定できるものである。ここで形成された櫓4は、双方の櫓支柱下部10が異なる角度で、畝床に差し込め、可変棚部31に網11を被せると、畝床面に対して、自由な角度で設置できる、苺網床部15を作り出すことが可能となる。この例は、地形条件などにおいて、自由な畝床1の面を作ることが難しかったり、日照量の不足するハウスにおいて有効で、特に方向を決めて、光を当てる場合などに活用することができる。
【0018】実施例2図7は、櫓に係わる実施例2の断面図である。図示はしないが、前述の実施例にあるように、櫓5の頂部に、櫓支点29を付設して自由に動かせることができる櫓支柱6を作ることもできる。ここでは、櫓支柱上部7を湾曲にすることで、支点を分散させ、弾力的な傾斜角を作り出せる、櫓5を作成できるものである。前述の実施例と同じく、櫓支柱下部10を自由な方角から差し込むことができ、又、櫓支柱上部7にV字状突起物45と、櫓支柱中部55にI字状突起物を付設し、網11を張り固定すれば、曲線上の苺網床部が形成される。材質については、プラスティック、鋼管、鋼線、竹製品、それに鉄筋を円弧状に曲げて形成するなど、汎用性の高い素材からなる櫓支柱6ができる。なお、櫓3、4、5、の形状は、網11を被せることができ、苺網床部15が形成されるものであれば、限定するものではない。
【0019】図8は、本装置と標準とで受光と、条間と、収穫位置を比較した説明図である。図7に示すように本装置は、受光位置は上がるが、日照量は同程度である。しかし、条間は、図に示すように、標準については、両株の花房伸長分の条間2を確保しないと苺の実65が、がっちんこしてしまう。それに対して、本装置では、条間を大幅に縮めることで、植え付けの増殖ができ、収穫についても本装置では、高い収穫位置81を採ることができる。
【0020】
【発明の効果】日照に恵まれない立地条件でも本装置で、受光の高さ、角度を任意にし、苺の実に万遍なく光を当て着色の良い、おいしい苺を生産できる。また、春以降、畝床(マルチ面)の急昇温により果実の火傷、早期着色などを防ぎ、長期の収穫ができる。それに櫓により、収穫位置が高く設置できるため、収穫が身楽になり、作業能率も上がり、高畝成型の必要もなくなる。
【0021】病害虫の予防効果として、苺の実が畝床により隔離され、地際・葉の下等に潜む、ナメクジ、コオロギ、ヨトウムシ、蟻などの食害、又、畝床の湿気と、日照不足等からくるカビ病、腐敗、脱色などが挙げることができる。それから導入費用も安価で設置や撤去も素早くできるものである。本発明においては、単位面積当たり植え付けを殖やすことに効を奏するものである。総じて、生産性、収穫の作業性を向上させながら、品質良くおいしい苺の生産を目指すことができる。
【出願人】 【識別番号】300007512
【氏名又は名称】橋口 三良
【出願日】 平成14年2月1日(2002.2.1)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−225023(P2003−225023A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−64506(P2002−64506)