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【発明の名称】 養液栽培における自動給液方法と自動給液装置、並びにこれを用いた養液栽培方法と養液栽培装置
【発明者】 【氏名】東出 忠桐

【氏名】島地 英夫

【氏名】濱本 浩

【要約】 【課題】園芸作物の生育不良や収量低下を伴うことなく、園芸作物の生育に応じて適量の培養液を自動給液することのできる方法と装置を提供すること、並びにそのような自動給液方法と自動給液装置とを用いて、肥料や水の節約及び使用済み培養液の排出量を削減させて、効率よく園芸作物を養液栽培することのできる方法と装置を提供することを目的とするものである。

【解決手段】養液栽培において培養液を自動給液するにあたり、養液栽培ベッドから排出される培養液について、微少な排液量を連続測定し、この排液量と給液量とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液することを特徴とする、養液栽培における自動給液方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 養液栽培において培養液を自動給液するにあたり、養液栽培ベッドから排出される培養液について、微少な排液量を連続測定し、この排液量と給液量とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液することを特徴とする、養液栽培における自動給液方法。
【請求項2】 隔壁を境として、左右に設けられた2つの函状体のそれぞれ上方にそれぞれ排液入口を備え、かつ、前記隔壁を境として左右対称の位置の側方にそれぞれ排液出口を備えた排液量測定補助具を、前記隔壁下部を支点として左右に揺動自在となるように、電子天秤の計量皿上に取り付け、測定開始時には前記排液量測定補助具を左右いずれかの方向に揺動させて前記排液量測定補助具を傾斜させた状態としておき、傾斜させて上がっている側の前記函状体の一方に備えられている排液入口から、前記函状体の一方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として前記揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の一方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、次いで、新たに傾斜させて上がっている側の前記函状体の他方に備えられている排液入口から、前記函状体の他方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として直前の揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の他方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、これを順次繰り返すことにより、自動的に貯留排液を順次吐出できるようにした排液量測定手段を用いて、微少な排液量を連続測定する、請求項1記載の養液栽培における自動給液方法。
【請求項3】 養液栽培ベッド上で培養液を用いて園芸作物を養液栽培するにあたり、養液栽培ベッドから排出される培養液について、微少な排液量を連続測定し、この排液量と給液量とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液しながら園芸作物を栽培することを特徴とする、養液栽培方法。
【請求項4】 隔壁を境として、左右に設けられた2つの函状体のそれぞれ上方にそれぞれ排液入口を備え、かつ、前記隔壁を境として左右対称の位置の側方にそれぞれ排液出口を備えた排液量測定補助具を、前記隔壁下部を支点として左右に揺動自在となるように、電子天秤の計量皿上に取り付け、測定開始時には前記排液量測定補助具を左右いずれかの方向に揺動させて前記排液量測定補助具を傾斜させた状態としておき、傾斜させて上がっている側の前記函状体の一方に備えられている排液入口から、前記函状体の一方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する微少な排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として前記揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の一方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、次いで、新たに傾斜させて上がっている側の前記函状体の他方に備えられている排液入口から、前記函状体の他方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として直前の揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の他方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、これを順次繰り返すことにより、自動的に貯留排液を順次吐出できるようにした排液量測定手段を用いて、微少な排液量を連続測定する、請求項3記載の養液栽培方法。
【請求項5】 隔壁を境として、左右に設けられた2つの函状体のそれぞれ上方にそれぞれ排液入口を備え、かつ、前記隔壁を境として左右対称の位置の側方にそれぞれ排液出口を備えた排液量測定補助具を、前記隔壁下部を支点として左右に揺動自在となるように、電子天秤の計量皿上に取り付け、測定開始時には前記排液量測定補助具を左右いずれかの方向に揺動させて前記排液量測定補助具を傾斜させた状態としておき、傾斜させて上がっている側の前記函状体の一方に備えられている排液入口から、前記函状体の一方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として前記揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の一方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、次いで、新たに傾斜させて上がっている側の前記函状体の他方に備えられている排液入口から、前記函状体の他方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として直前の揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の他方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、これを順次繰り返すことにより、自動的に貯留排液を順次吐出できるようにした排液量測定手段と、前記排液量測定手段により測定された排液量と給液量とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定する給液管理制御手段と、前記給液管理制御手段の決定に基づき培養液を自動給液する給液手段と、を備えることを特徴とする、養液栽培における自動給液装置。
【請求項6】 園芸作物を培養液を用いて栽培する養液栽培ベッドと、前記養液栽培ベッドから園芸作物が吸収しなかった培養液を排液として排出する排液口と、隔壁を境として、左右に設けられた2つの函状体のそれぞれ上方にそれぞれ排液入口を備え、かつ、前記隔壁を境として左右対称の位置の側方にそれぞれ排液出口を備えた排液量測定補助具を、前記隔壁下部を支点として左右に揺動自在となるように、電子天秤の計量皿上に取り付け、測定開始時には前記排液量測定補助具を左右いずれかの方向に揺動させて前記排液量測定補助具を傾斜させた状態としておき、傾斜させて上がっている側の前記函状体の一方に備えられている排液入口から、前記函状体の一方の内部に、前記排液口からの排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として前記揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の一方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、次いで、新たに傾斜させて上がっている側の前記函状体の他方に備えられている排液入口から、前記函状体の他方の内部に、前記排液口からの排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として直前の揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の他方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、これを順次繰り返すことにより、自動的に貯留排液を順次吐出できるようにした排液量測定手段と、前記排液量測定手段により測定された排液量と給液量とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定する給液管理制御手段と、前記給液管理制御手段の決定に基づき培養液を自動給液する給液手段と、を備えることを特徴とする、養液栽培装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、養液栽培における自動給液方法と自動給液装置、並びにこれを用いた養液栽培方法と養液栽培装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、園芸作物の生育不良や収量低下を伴うことなく、園芸作物の生育に応じて適量の培養液を自動給液することのできる方法と装置、並びにそのような自動給液方法と自動給液装置とを用いて、肥料や水の節約及び使用済み培養液の排出量を削減させて、効率よく園芸作物を養液栽培することのできる方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】蔬菜及び花卉などの園芸作物の生産にあたり、ロックウール耕をはじめとする養液栽培の割合が増加してきている。一般的に、養液栽培における培養液の給液には、タイマーや日射比例方式が用いられるが、作目、季節、天候、作物の生育状況等は全く考慮されないため、これらを考慮して、その都度、給液量や給液間隔の設定を修正しなければならない。このため、栽培期間を通じて、作物に適量の培養液を、完全に自動で給液することは不可能である。また、給液設定の修正には、生産者の長年の経験や高度な技術が必要なため、給液管理に失敗し、生育不良や収量低下を引き起こす危険性がある。
【0003】さらに、ロックウール栽培では、病気の発生、拡散や養分組成が乱れることを防ぐために、かけ流し方式をとる場合が多く、このとき安全を見越して、供給量の30%程度が排液となるように培養液を供給している。このため、大量の使用済み培養液が施設外へ排出され、資源の無駄と地下水等の環境汚染への原因となっている。
【0004】これらの状況を背景として、作物に対して適量の培養液を、生育期間を通じて完全自動で供給することができ、排液削減により養水分の利用効率が高い、養液栽培の給液法が強く望まれている。
【0005】病気の発生、拡散や養分組成の乱れなしに排液を出さない方法には、培養液のリサイクル法があるが、貯留タンク、ろ過・殺菌装置など大規模な設備が必要であり、多大なコストがかかる上に、常に収益低下や尻腐れ果など品質低下等の危険を伴っている。さらに、リサイクル設備を用いても、培養液組成が修正できないほど乱れる場合もあり、系外に捨てざるを得ない場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題を解決して、園芸作物の生育遅延や収量低下を招くことなく、園芸作物の生育に応じて自動的に園芸作物にとって適量の培養液を自動給液することのできる自動給液方法と自動給液装置を提供することを目的とするものである。
【0007】さらに、本発明は、上記の如き自動給液方法と自動給液装置とを用いて、園芸作物の生育遅延や収量低下を招くことなく、園芸作物の生育に応じて自動的に園芸作物にとって適量の培養液を自動給液し、これにより肥料や水の節約及び使用済み培養液の排出量を削減させて、環境負荷が小さく、しかも養水分の利用効率が高くて、園芸作物を効率よく養液栽培することのできる養液栽培方法と養液栽培装置とを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた。その結果、驚くべきことにシシオドシにヒントを得た排液量測定補助具を電子天秤と組合せた排液量測定手段を用いることにより、微少な排液量を連続測定することができ、このようにして測定された微少な排液量と培養液の供給量とから園芸作物の吸水量を連続的に算出し、この吸水量に基づいて給液を行うと、園芸作物に適量な培養液を自動的に給液することができることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0009】請求項1に係る本発明は、養液栽培において培養液を自動給液するにあたり、養液栽培ベッドから排出される培養液について、微少な排液量を連続測定し、この排液量と給液量とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液することを特徴とする、養液栽培における自動給液方法を提供するものである。
【0010】請求項2に係る本発明は、隔壁を境として、左右に設けられた2つの函状体のそれぞれ上方にそれぞれ排液入口を備え、かつ、前記隔壁を境として左右対称の位置の側方にそれぞれ排液出口を備えた排液量測定補助具を、前記隔壁下部を支点として左右に揺動自在となるように、電子天秤の計量皿上に取り付け、測定開始時には前記排液量測定補助具を左右いずれかの方向に揺動させて前記排液量測定補助具を傾斜させた状態としておき、傾斜させて上がっている側の前記函状体の一方に備えられている排液入口から、前記函状体の一方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として前記揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の一方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、次いで、新たに傾斜させて上がっている側の前記函状体の他方に備えられている排液入口から、前記函状体の他方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として直前の揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の他方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、これを順次繰り返すことにより、自動的に貯留排液を順次吐出できるようにした排液量測定手段を用いて、微少な排液量を連続測定する、請求項1記載の養液栽培における自動給液方法を提供するものである。
【0011】請求項3に係る本発明は、養液栽培ベッド上で培養液を用いて園芸作物を養液栽培するにあたり、養液栽培ベッドから排出される培養液について、微少な排液量を連続測定し、この排液量と給液量とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液しながら園芸作物を栽培することを特徴とする、養液栽培方法を提供するものである。
【0012】請求項4に係る本発明は、隔壁を境として、左右に設けられた2つの函状体のそれぞれ上方にそれぞれ排液入口を備え、かつ、前記隔壁を境として左右対称の位置の側方にそれぞれ排液出口を備えた排液量測定補助具を、前記隔壁下部を支点として左右に揺動自在となるように、電子天秤の計量皿上に取り付け、測定開始時には前記排液量測定補助具を左右いずれかの方向に揺動させて前記排液量測定補助具を傾斜させた状態としておき、傾斜させて上がっている側の前記函状体の一方に備えられている排液入口から、前記函状体の一方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として前記揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の一方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、次いで、新たに傾斜させて上がっている側の前記函状体の他方に備えられている排液入口から、前記函状体の他方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として直前の揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の他方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、これを順次繰り返すことにより、自動的に貯留排液を順次吐出できるようにした排液量測定手段を用いて、微少な排液量を連続測定する、請求項3記載の養液栽培方法を提供するものである。
【0013】請求項5に係る本発明は、隔壁を境として、左右に設けられた2つの函状体のそれぞれ上方にそれぞれ排液入口を備え、かつ、前記隔壁を境として左右対称の位置の側方にそれぞれ排液出口を備えた排液量測定補助具を、前記隔壁下部を支点として左右に揺動自在となるように、電子天秤の計量皿上に取り付け、測定開始時には前記排液量測定補助具を左右いずれかの方向に揺動させて前記排液量測定補助具を傾斜させた状態としておき、傾斜させて上がっている側の前記函状体の一方に備えられている排液入口から、前記函状体の一方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として前記揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の一方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、次いで、新たに傾斜させて上がっている側の前記函状体の他方に備えられている排液入口から、前記函状体の他方の内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として直前の揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の他方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、これを順次繰り返すことにより、自動的に貯留排液を順次吐出できるようにした排液量測定手段と、前記排液量測定手段により測定された排液量と給液量とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定する給液管理制御手段と、前記給液管理制御手段の決定に基づき培養液を自動給液する給液手段と、を備えることを特徴とする、養液栽培における自動給液装置を提供するものである。
【0014】請求項6に係る本発明は、園芸作物を培養液を用いて栽培する養液栽培ベッドと、前記養液栽培ベッドから園芸作物が吸収しなかった培養液を排液として排出する排液口と、隔壁を境として、左右に設けられた2つの函状体のそれぞれ上方にそれぞれ排液入口を備え、かつ、前記隔壁を境として左右対称の位置の側方にそれぞれ排液出口を備えた排液量測定補助具を、前記隔壁下部を支点として左右に揺動自在となるように、電子天秤の計量皿上に取り付け、測定開始時には前記排液量測定補助具を左右いずれかの方向に揺動させて前記排液量測定補助具を傾斜させた状態としておき、傾斜させて上がっている側の前記函状体の一方に備えられている排液入口から、前記函状体の一方の内部に、前記排液口からの排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として前記揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の一方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、次いで、新たに傾斜させて上がっている側の前記函状体の他方に備えられている排液入口から、前記函状体の他方の内部に、前記排液口からの排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、前記隔壁下部を支点として直前の揺動方向とは反対方向へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、前記函状体の他方に備えられている排液出口から貯留排液を吐出させ、これを順次繰り返すことにより、自動的に貯留排液を順次吐出できるようにした排液量測定手段と、前記排液量測定手段により測定された排液量と給液量とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定する給液管理制御手段と、前記給液管理制御手段の決定に基づき培養液を自動給液する給液手段と、を備えることを特徴とする、養液栽培装置を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す。請求項1に係る本発明は、養液栽培における自動給液方法に関し、養液栽培において培養液を自動給液するにあたり、養液栽培ベッドから排出される培養液について、微少な排液量を連続測定し、この排液量と給液量(培養液の供給量)とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液することを特徴とするものである。
【0016】そして請求項2は、請求項1の従属項である。次に、請求項3に係る本発明は、請求項1に係る本発明の自動給液方法を用いた養液栽培方法であり、請求項4はその従属項である。また、請求項5に係る本発明は、請求項1に係る本発明の自動給液方法を実施するのに好適な自動給液装置に関するものである。さらに、請求項6に係る本発明は、請求項3に係る本発明の養液栽培方法を実施するのに好適な養液栽培装置に関するものである。従って、本発明を説明するにあたっては、最も広い範囲を規定している、請求項6に係る本発明の養液栽培装置の1例を示す図面に基づき説明するのが最も分かりやすいため、この請求項6に係る本発明の養液栽培装置の1例を示す図面に基づいて、以下、請求項1〜6に係る本発明について説明することとする。
【0017】図1は、請求項6に係る本発明の養液栽培装置の1例を示す説明図である。図1に示される請求項6に係る本発明の養液栽培装置は、養液栽培ベッド1と、排液口2と、排液量測定手段3と、給液管理制御手段4と、給液手段5と、を備えることを特徴とするものである。なお、請求項5に係る本発明の養液栽培における自動給液装置は、この請求項6に係る本発明の養液栽培装置から、養液栽培ベッド1と排液口2とを除いた、排液量測定手段3と、給液管理制御手段4と、給液手段5と、を備えることを特徴とするものである。
【0018】請求項1に係る本発明の自動給液方法においては、養液栽培において培養液を自動給液するにあたり、養液栽培ベッド1の排液口2から排出される培養液について、微少な排液量を連続測定する。養液栽培ベッド1としては、噴霧耕を行うことのできる噴霧栽培ベッドが望ましい。この養液栽培ベッド1の下部には排液口2が設けられている。
【0019】ここで微少な排液量の連続測定は、排液量測定手段3を用いることにより行うことができる。この排液量測定手段3としては、例えば請求項2記載の微少排液量測定手段を挙げることができる。この排液量測定手段3は、排液口2の下に備えられている。
【0020】請求項2記載の排液量測定手段3は、基本的に排液量測定補助具(自動吐出器具ということもできる。)31と電子天秤32とからなるものである。この排液量測定補助具31の1例を図2に示す。排液量測定補助具31は、図2に示すように、隔壁6を境として、左右に設けられた2つの函状体7A、7Bとからなっている。2つの函状体7A、7Bとしては、要するにその内部に排液を貯留できるような構造のものであればよく、図2に示すような略円筒形状に限定されるものではなく、全体を略直方体状としたものなどであってもよい。2つの函状体7A、7Bとしては、隔壁6を境として、左右対称に設けておく必要はなく、要するに内部に排液がある程度たまったらバランスが崩れ転倒するようなものであればよい。また、函状体7A、7Bのサイズについても特に制限はないが、函状体7A、7Bをあわせた全長(全幅)が25cm程度、或いはそれ以下となるようなサイズとすることが好ましい。この2つの函状体7A、7Bは、それぞれ上方にそれぞれ排液入口8A、8Bを備えている。さらに、この2つの函状体7A、7Bは、隔壁6を境として左右対称の位置の側方にそれぞれ排液出口9A、9Bを備えている。排液出口9A、9Bは、後記するように、左右に揺動した際に、函状体7A、7Bの内部に貯留する排液を全て一旦吐出できるものであればよく、その形状は特に制限されるものではない。
【0021】このような排液量測定補助具31が、隔壁6下部を支点として左右に揺動自在となるように、電子天秤32の計量皿上に取り付けられている。電子天秤32としては、RS232C等の電気的出力が可能なものが用いられる。電子天秤32としては、特に制限はないが、0.1g単位のものが好ましく、特に、0.01g単位のものが好ましい。なお、このような排液量測定補助具31の内部に貯留される排液の量は必ずしも微量である必要はなく、排液量測定補助具31としては、電子天秤32がオーバーレンジとならないうちに排液を吐出できるものであればよい。
【0022】このような排液量測定補助具31と電子天秤32とからなる排液量測定手段3を用いての微少な排液量の測定は、具体的には次のようにして行えばよい。まず測定開始時には排液量測定補助具31を左右いずれかの方向に揺動させて排液量測定補助具31を傾斜させた状態としておく。図1では右側に揺動させて排液量測定補助具31をいわゆる右下がりに傾斜させたものが示されているので、以下、この状態のものについて説明する。そして、傾斜させて上がっている側、つまり図1では左側の函状体7Aに備えられている排液入口8Aから、函状体7Aの内部に、排液(つまり養液栽培ベッド1の排液口2から排出される培養液)を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、隔壁6下部を支点として測定開始時の揺動方向とは反対方向へ、つまり図1では左側へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、左側の函状体7Aに備えられている排液出口9Aから貯留排液を吐出させる。次いで、新たに傾斜させて上がっている側、つまり今度は右側の函状体7Bに備えられている排液入口8Bから、函状体7Bの内部に排液を引き入れ、その内部に貯留する排液の重みを利用して、隔壁6下部を支点として直前の揺動方向(つまり左側への揺動)とは反対方向(つまり右側)へ揺動させて下方へ傾斜させることにより、函状体7Bに備えられている排液出口9Bから貯留排液を吐出させる。排液の貯留に従って、以下、これが順次自動的に繰り返される。
【0023】換言すると、排液口2から排出された、吸収されなかった分の培養液(余剰の培養液)は、排液量測定補助具31を構成する2つの函状体7A、7Bの一方、図1では左側の函状体7A、に備えられている排液入口8Aから、函状体7Aの内部に貯留(蓄積)され、その重量を電子天秤32により連続計測し、重量変化より排液量を求める。このとき液が函状体7Aの内部に閾量以上になると、その内部に貯留する排液の重みで、排液量測定補助具31全体は、隔壁6下部を支点として測定開始時の揺動方向とは反対方向へ、つまり図1では左側へ揺動し下方へ傾斜することになり、左側の函状体7Aに備えられている排液出口9Aから貯留排液が吐出させられる。前記したように、排液の貯留に従って、以下、これが順次自動的に繰り返されることから、自動的に貯留排液が順次吐出されることになる。これにより、電子天秤32がオーバーレンジになることが防止される。排液量計測の分解能は電子天秤32のそれに等しいことから、例えば10秒あたり0.01g(10mg/10sec.)といった極めて微少な排液量の測定も可能である。勿論、測定間隔を短くすれば、さらに細かく計測可能であり、1秒間隔以下でも測定可能である。なお、貯留排液の吐出は、必ずしも一定量である必要はなく、貯留した排液が一度に排出されればよい。
【0024】上記したような請求項2記載の排液量測定手段によれば、上記吐出が順次自動的に繰り返されることから、自動的に貯留排液が順次吐出されることになる。その結果、養液栽培ベッド1から排出される、余剰の培養液(排液)について、微少な排液量が精度高く連続的に測定できる。
【0025】請求項1に係る本発明においては、このようにして測定された排液量と、給液量(培養液の供給量)とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液することを特徴とする。ここで園芸作物の吸水量の連続的な算出と、算出された吸水量に基づく新たな給液量の決定は、給液管理制御手段4により行われる。
【0026】即ち、給液管理制御手段4により、上記のようにして測定された排液量と、給液量(培養液の供給量)とから、園芸作物の吸水量が連続的に算出され、算出された吸水量に基づいて新たな給液量が決定される。給液管理制御手段4は、具体的には、給液を制御しうるコンピュータからなる。この制御コンピュータは、必要に応じて環境計測可能なものが用いられる。さらに、給液手段5により、このようにして給液管理制御手段4により決定された給液量分の培養液が自動給液される。給液手段5は、基本的には給液管5Aと給液ノズル5Bとからなるものである。
【0027】ここで給液された培養液は、作物に吸収されるもの、養液栽培ベッド1内に付着しているもの、排出されるものに分けることができるが、頻繁に給液が行われ、速やかに余剰液が排出される状態では、養液栽培ベッド1内に付着している量はほぼ一定であり、給液量(培養液の供給量)と測定された排液量とから、園芸作物の吸水量が連続的に算出される。給液管理制御手段4(制御コンピュータ)は、算出された吸水量に基づいて、次の新たな給液量(培養液の供給量)、並びに給液間隔を決定し、さらに、給液手段5により、このようにして給液管理制御手段4により決定された給液量分の培養液が所定間隔で自動給液される。
【0028】このような給液管理制御手段4(制御コンピュータ)による、吸水量に基づいた給液方法の概略についてのフローチャートを図3に示す。まず、規定量の培養液を園芸作物の根に噴霧等の手段により給液すると、培養液は園芸作物により吸収され、吸収されなかった培養液は排出される。この排液量を連続的に測定し、給液量から排液量を差し引いたものが、吸水量として算出される。この吸水量に基づいて、次の新たな給液量を算出して、給液を行う。
【0029】吸水量に基づいて、次の新たな給液量を算出する方法について説明する。吸水量は、作物の状態と日射、温度、湿度等の環境要因とによって決定されるが、直前の吸水量は、これらを反映した結果とみなすことができる。従って、直前の吸水量と同量の給液を行えば、環境要因や作物の状態が大きく変化していない限り、作物に適量な給液を行うことができる。しかし、作物が直前の吸水量より大量の培養液を欲する場合には、直前の吸水量と同量の給液では、作物に全供給量が吸水されてしまうことになる。この場合には、排液がないため、作物が欲している正しい吸水量を算出することができなくなる。これを防ぐために、直前の吸水量よりも若干多い定量、すなわち、いわゆる不感帯(量)〔デッドゾーン〕を設けて(or 加えて)給液することで、作物にストレスを与えないで給液を行うことができ、かつ排液を削減することが可能である。
【0030】また、日射等の環境要因の変化は急激な場合が多い。これに対応するため、いわゆるフィードフォワード制御を採用し、直前までの吸水量と日射、温度、湿度等の環境要因の関係式を回帰等により算出し、次回の吸水量について、上記関係式と環境要因とから推測して給液を行うとよい。これにより、急激な環境変化に対応した上で、精度高く適量を自動給液することが可能となり、排液削減も実現できる。
【0031】即ち、養液栽培において培養液を自動給液するにあたり、■養液栽培ベッドから排出される培養液について、上記のようにして、微少な排液量を連続測定し、■この排液量と給液量とから、園芸作物の吸水量を高精度、連続的に算出し、■算出された吸水量と日射、温度、湿度等の環境要因の関係式から、気象条件を変数とする吸水量の推定式を導き出し、■この推定式と気象条件により、新たな給液量(潅水量)を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液することにより、日射、温度、湿度等の環境要因、植物体の大きさ、状態に応じて、高精度の給液(潅水)を完全自動で行うことができる。このため、肥料と水の使用量を削減することができ、排液をほとんど出さないため、環境に優しいものとなっている。
【0032】請求項3に係る本発明は、上記した如き請求項1に係る本発明の自動給液方法を用いた養液栽培方法である。即ち、請求項3に係る本発明は養液栽培方法に関し、養液栽培ベッド上で培養液を用いて園芸作物を養液栽培するにあたり、養液栽培ベッドから排出される培養液について、微少な排液量を連続測定し、この排液量と給液量(培養液の供給量)とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液しながら園芸作物を栽培することを特徴とするものである。
【0033】本発明が適用される園芸作物には特に制限がなく、蔬菜、果樹、花卉など任意の作物に適用することができる。特に、キュウリ、トマト等の蔬菜類が好適である。
【0034】請求項3に係る本発明においては、養液栽培ベッド上で培養液を用いて園芸作物を養液栽培する。従って、まず園芸作物を養液栽培ベッド1に定植し、給液管理制御手段4(給液を制御しうるコンピュータ)により、所定量の培養液を給液手段5の給液ノズル5Bから、園芸作物の根部に供給する。供給された培養液は園芸作物に吸収されるが、吸収されなかった分の培養液(余剰の培養液)は、排液口2から排出される。
【0035】請求項3に係る本発明は、このような養液栽培において、養液栽培ベッドから排出される培養液について、微少な排液量を連続測定し、この排液量と給液量(培養液の供給量)とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液しながら園芸作物を栽培することを特徴とするものである。
【0036】ここで微少な排液量の連続測定は、排液量測定手段3を用いることにより行うことができる。微少排液量測定手段3としては、例えば請求項4記載の排液量測定手段を挙げることができる。この請求項4記載の排液量測定手段は、基本的に排液量測定補助具31と電子天秤32とからなるものであり、前記した如き請求項2記載の排液量測定手段と同様である。また、このような排液量測定手段3を用いての微少な排液量の測定法は、請求項1に係る本発明において述べた通りである。
【0037】請求項3に係る本発明においては、このようにして連続的に微少な排液量をまず測定する。次いで、請求項3に係る本発明においては、請求項1に係る本発明において述べたと同様にして、上記のようにして測定された排液量と、給液量(培養液の供給量)とから、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定し、決定された給液量だけ培養液を自動給液する。簡単に言うと、測定された排液量と給液量(培養液の供給量)とから、給液管理制御手段4によって、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて、次の新たな給液量(培養液の供給量)、並びに給液間隔を決定し、さらに、給液手段5により、このようにして給液管理制御手段4により決定された給液量分の培養液が所定間隔で自動給液される。
【0038】さらに、請求項3に係る本発明においては、このようにして決定された給液量だけ培養液を自動給液しながら園芸作物を栽培する。
【0039】請求項5に係る本発明の養液栽培における自動給液装置は、上記した如き、排液量測定手段3と、給液管理制御手段4と、給液手段5と、を備えることを特徴とするものであり、また、請求項6に係る本発明の養液栽培装置は、図1に示されるように、養液栽培ベッド1と、排液口2と、排液量測定手段3と、給液管理制御手段4と、給液手段5と、を備えることを特徴とするものである。これら各手段については、既に説明した通りである。
【0040】なお、上記したように、給液量(培養液の供給量)と排液量とから吸水量を求めていることから、養液栽培ベッド1においては、余剰液が速やかに排出されなければならない。このために、養液栽培ベッド1内に、防根透水性のシート等を用いて園芸作物の根域を制限し、養液栽培ベッド1の排水性を保持することが望ましい。
【0041】以上の如き請求項1、2に係る本発明の自動給液方法と請求項5に係る本発明の自動給液装置によれば、園芸作物の生育遅延や収量低下を招くことなく、園芸作物の生育に応じて自動的に園芸作物の適量な培養液を自動給液することができる。
【0042】さらに、請求項3、4に係る本発明の養液栽培方法と請求項6に係る本発明の養液栽培装置によれば、上記の如き自動給液方法と自動給液装置とを用いて、園芸作物の生育遅延や収量低下を招くことなく、園芸作物の生育に応じて自動的に園芸作物の適量な培養液を自動給液し、これにより肥料や水の節約及び使用済み培養液の排出量を削減させて、環境負荷が小さく、しかも養水分の利用効率が高くて、園芸作物を効率よく養液栽培することができる。
【0043】
【実施例】次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0044】実施例1図1、2に示す如き養液栽培装置を用いて、キュウリ(アンコール10)の養液栽培を行った。培養液としては、園試処方培養液100%濃度液(8 meq L-1 KNO3, 8 meq L-1 Ca(NO3)2, 4 meq L-1 MgSO4, 4 meq L-1 NH4H2PO4, 3 ppm Fe, 0.05 ppm Mn, 0.5 ppm B, 0.005 ppm Zn, 0.02 ppm Cu, and 0.01 ppm Mo.)を用いた。具体的には、内寸法が厚さ80mm、幅600mm、長さ3450mmの養液栽培ベッド1(噴霧栽培ベッド)に、22個体のキュウリを定植し、養液栽培ベッド1から排出される培養液について、図2に示す如き排液量測定補助具31(全長約25cm)と電子天秤32(RS232C等の電気的出力が可能なもの)とからなる排液量測定手段3を用いて微少な排液量を連続測定し、この排液量と給液量とから、給液管理制御手段4(制御コンピュータ;環境計測可能なもの)により、園芸作物の吸水量を連続的に算出し、算出された吸水量に基づいて新たな給液量を決定した。ここで新たな給液量としては、直前の吸水量に不感量〔6g×噴霧間隔(分)〕を加えた量を1回の培養液噴霧量と設定した。このようにして決定された給液量だけ、給液手段5から培養液を自動給液しながらキュウリを栽培した。
【0045】図4は、このときの給液量、排液量、及びこれらより算出した吸水量の推移を示したグラフである。図4内上部の太線が吸水量、細線が給液量、図4内下部の細線が排液量をそれぞれ示している。図4から明らかなように、吸水量は日中に向け増加し、その後減少しており、この変化に応じて給液量が増減していることが分かる。一方、排液量は一定範囲の中に留まっており、この間の排液率、即ち、排液量/給液量は8%程度であった。
【0046】培養液の給液状態及びキュウリの生育等を、日射比例の給液方式を採った以外は、上記した如き本発明の方法と同じ条件下で栽培を行ったものと比較した。日射比例の給液方式では、1回の噴霧量を固定し、噴霧間隔を調節することにより、日射が375W/mまでは日射に比例して給液量を増加させた。日射が375W/m以上の場合には、5分間隔で給液を行った。1回の噴霧量は、栽培期間中、手動で変更し、定植後22日目まではベッドあたり168ml、42日目までは283ml、これ以降は425mlとした。キュウリの草丈及び給液量の推移について図5に示す。図5では、太線が、本発明による吸水量に基づく給液を行った場合の給液量を示しており、●がそのときの草丈を示している。また、細線が、比較例たる日射比例による給液を行った場合の給液量を示しており、○がそのときの草丈を示している。
【0047】図5から明らかなように、本発明による吸水量に基づく給液を行った場合には、作物(キュウリ)の生育に応じて、自動的に給液量が増加していた。一方、比較対照たる日射比例による給液を行った場合には、生育による給液量の増加はみられなかった。また、この日射比例による給液を行った場合には、初期の作物(キュウリ)が小さい状態でも、本発明による吸水量に基づく給液を行った場合に比べ、給液量は多かった。
【0048】また、このときの播種後36日目におけるキュウリの草丈及び葉数について調べた。結果を第1表に示す。
【0049】
【表1】第1表
【0050】第1表から明らかなように、吸水量に基づく給液(本発明法)では、日射比例による給液(比較対照)によるものと比べ、草丈が高く、葉数も多かった。これは、吸水量に基づく給液(本発明法)では、生育に応じて給液量が増加したため、作物(キュウリ)がストレスを受けることなく、旺盛に生育できたためと考えられる。
【0051】このときの栽培終了時までの1個体あたりの作物(キュウリ)の果実本数と収量とについて、第2表に示す。
【表2】第2表
【0052】第2表から明らかなように、吸水量に基づく給液(本発明法)では、日射比例による給液(比較対照)によるものと比べ、果実本数が多く、収量も多かった。これは、吸水量に基づく給液(本発明法)では、旺盛な生育が果実生産に結び付いたためと考えられる。
【0053】実施例2実施例1において、養液栽培ベッド1(噴霧栽培ベッド)に、20個体のキュウリを定植したこと、及び直前までの吸水量と日射との1次回帰式から算出した量を1回の培養液噴霧量(新たな給液量)と設定したこと、以外は実施例1と同様にして栽培を行った。
【0054】図6は、ある晴天日の30分毎の吸水量と平均日射との相関を◆で示したものである。図6から明らかなように、吸水量と平均日射には、非常に高い相関がみられ、y=0.021x+4.9742という1次回帰式が得られた。
【0055】新たな給液量は、前日に算出された上記1次回帰式と設定排液率(排液量/給液量)に基づき、日射の実測値を当てはめて算出した。なお、栽培期間中、1日毎の吸水量と日射との1次回帰の相関関係は、栽培期間全体の平均で0.88と非常に高いものであった。
【0056】培養液の給液状態及びキュウリの生育等を、日射比例の給液方式を採った以外は、上記した如き本発明の方法と同じ条件下で栽培を行ったものと比較した。日射比例の給液方式では、1回の噴霧量を固定し、噴霧間隔を調節することにより、日射が571.2W/mまでは日射に比例して給液量を増加させた。日射が571.2W/m以上の場合には、3分間隔で給液を行った。0:00〜翌日0:00までの24時間における総給液量と総排液量を測定し、排液率(排液量/給液量)が0.3前後となるように1回の噴霧量を変更した。給液量と排液量の推移について図7に示す。
【0057】図7では、太線が、吸水量と日射の回帰式に基づく給液(本発明法+日射の回帰式に基づく給液)を行った場合の給液量を示しており、そのときの排液量を太破線で示している。また、細線が、比較例たる日射比例による給液を行った場合の給液量を示しており、そのときの排液量を細破線で示している。
【0058】図7から明らかなように、昼間の給液量については、吸水量と日射の回帰式に基づく給液(本発明法+日射の回帰式に基づく給液)を行った場合と比較例たる日射比例による給液を行った場合とに大きな差はないが、比較例たる日射比例による給液を行った場合に排液が多かった。
【0059】また、このときの播種後37日目におけるキュウリの草丈及び葉数について調べた。結果を第3表に示す。
【0060】
【表3】第3表
【0061】第3表から明らかなように、吸水量と日射の回帰式に基づく給液(本発明法+日射の回帰式に基づく給液)を行った場合には、日射比例による給液(比較対照)によるものと比べ、草丈が高く、葉数も多かった。これは、吸水量と日射の回帰式に基づく給液(本発明法+日射の回帰式に基づく給液)を行った場合には、生育に応じた給液が行われ、作物(キュウリ)がストレスを受けることなく、旺盛に生育できたためと考えられる。
【0062】このときの栽培終了時までの1個体あたりの作物(キュウリ)の果実本数と収量とについて、第4表に示す。
【0063】
【表4】第4表
【0064】第4表から明らかなように、吸水量と日射の回帰式に基づく給液(本発明法+日射の回帰式に基づく給液)を行った場合には、日射比例による給液(比較対照)によるものと比べ、果実本数が多く、収量も多かった。これは、吸水量と日射の回帰式に基づく給液(本発明法+日射の回帰式に基づく給液)を行った場合には、作物の生育や状態により変化する吸水量に応じて給液が行われるため、作物(キュウリ)にストレスを与えることなく、効率的に培養液を供給することができたためと考えられる。
【0065】
【発明の効果】請求項1、2に係る本発明の養液栽培における自動給液方法及び請求項5に係る本発明の養液栽培における自動給液装置によれば、園芸作物の生育不良や収量低下を伴うことなく、園芸作物の生育に応じて自動的に園芸作物にとって適量の培養液を自動給液することができる。従って、請求項1、2に係る本発明の養液栽培における自動給液方法及び請求項5に係る本発明の養液栽培における自動給液装置によれば、不必要な給液を行わないので、肥料や水の節約及び使用済み培養液の排出量を削減させ、環境負荷を小さなものとすることができる。
【0066】また、請求項3、4に係る本発明の養液栽培方法及び請求項6に係る本発明の養液栽培装置によれば、上記の如き自動給液方法と自動給液装置とを用いて、園芸作物の生育遅延や収量低下を招くことなく、園芸作物の生育に応じて自動的に園芸作物にとって適量の培養液を自動給液し、これにより肥料や水の節約及び使用済み培養液の排出量を削減させて、環境負荷が小さく、しかも養水分の利用効率が高くて、園芸作物を効率よく養液栽培することができる。
【出願人】 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業技術研究機構
【出願日】 平成14年1月31日(2002.1.31)
【代理人】 【識別番号】100074077
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 藤郎 (外1名)
【公開番号】 特開2003−219741(P2003−219741A)
【公開日】 平成15年8月5日(2003.8.5)
【出願番号】 特願2002−23061(P2002−23061)