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【発明の名称】 甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法
【発明者】 【氏名】入嵩西 正治

【氏名】田本 信良

【氏名】遠藤 雅博

【氏名】簗瀬 俊雄

【要約】 【課題】二次,三次または四次枝茎を蔗茎(母茎)の節の部分に多数集中的に群生させ、これにより苗用枝茎の採取を効率的に行うこと。

【解決手段】頂芽成長点を含む上側茎を切除した母茎の節に発芽する一次腋芽が、展開葉を少なくとも7枚有する一次枝茎に成長したとき、その一次枝茎を第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットすることにより、母茎の各節の一次腋芽の着生部に一次枝茎基部だけを残存させ、その一次枝茎基部の節に発芽する二次腋芽を二次枝茎に成長させ、上記一次枝茎基部に二次枝茎を集中群生させて二次枝茎塊とし、上記一次枝茎基部を母茎の着生部分で切断することにより上記二次枝茎塊全体を母茎から切り離し、それから二次枝茎を、その各々に芽基および根基組織部分を付けた状態にして切り離す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(1) 母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが所要の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎とすること、(2) 上記母茎の節に発芽する一次腋芽が、第8〜14芽苞より第1〜7展開葉が伸長するまで成長したとき、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有する一次枝茎に成長したとき、その一次枝茎を、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む一次枝茎上側茎を切除し、これにより、母茎の各節の一次腋芽の着生部に一次枝茎基部だけを残存させること、(3) その一次枝茎基部の節に発芽する二次腋芽を、二次枝茎に成長させ、上記一次枝茎基部に二次枝茎を集中群生させて二次枝茎塊とすること、(4) 上記一次枝茎基部を母茎の着生部分で切断することにより上記二次枝茎塊全体を母茎から切り離し、その二次枝茎塊から二次枝茎を、その各々に芽基および根基組織部分を付けた状態にして切り離すことを特徴とする甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法。
【請求項2】(1) 母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが所要の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎とすること、(2) 上記母茎の節に発芽する一次腋芽が、第8〜14芽苞より第1〜7展開葉が伸長するまで成長したとき、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有する一次枝茎に成長したとき、その一次枝茎を、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む一次枝茎上側茎を切除し、これにより、母茎の各節の一次腋芽の着生部に一次枝茎基部だけを残存させること、(3) その一次枝茎基部の節に発芽する二次腋芽が、展開葉を5〜6枚有する二次枝茎に成長したとき、その二次枝茎を、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎を切除し、これにより、母茎の各節の上記一次枝茎基部に二次枝茎基部を残存させること、(4) その二次枝茎基部の節に発芽する三次腋芽を、展開葉が最多で5枚となる三次枝茎に成長させ、その三次枝茎を上記一次枝茎基部に二次枝茎基部を介し集中群生させて三次枝茎塊とすること、(5) 上記一次枝茎基部を母茎の着生部分で切断することにより上記三次枝茎塊全体を母茎から切り離し、その三次枝茎塊から三次枝茎を、その各々に芽基および根基組織部分を付けた状態にして切り離すことを特徴とする甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法。
【請求項3】(1) 母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが所要の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎とすること、(2) 上記母茎の節に発芽する一次腋芽が、第8〜14芽苞より第1〜7展開葉が伸長するまで成長したとき、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有する一次枝茎に成長したとき、その一次枝茎を、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む一次枝茎上側茎を切除し、これにより、母茎の各節の一次腋芽の着生部に一次枝茎基部だけを残存させること、(3) その一次枝茎基部の節に発芽する二次腋芽が、展開葉を5〜6枚有する二次枝茎に成長したとき、その二次枝茎を、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎を切除し、これにより、母茎の各節の一次枝茎基部に二次枝茎基部を残存させること、(4) その二次枝茎基部の節に発芽する三次腋芽を、展開葉が5〜6枚となる三次枝茎に成長させ、その三次枝茎を、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む三次枝茎上側茎を切除し、これにより、上記二次枝茎基部に三次枝茎基部を残存させること、(5) その三次枝茎基部の第5節以降の節に発芽する四次腋芽を、展開葉を最多で5枚有する四次枝茎に成長させ、その四次枝茎を上記一次枝茎基部に二次枝茎基部および三次枝茎基部を介し集中群生させて四次枝茎塊とすること、(6) 上記一次枝茎基部を母茎の着生部分で切断することにより上記四次枝茎塊全体を母茎から切り離し、その四次枝茎塊から四次枝茎を、その各々に芽基および根基組織部分を付けた状態にして切り離すことを特徴とする甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法。
【請求項4】母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが所要の茎丈となったとき、第1節から第12節までを残して、その上方部分、すなわち頂芽成長点を含む上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎とすることを特徴とする請求項1,2または3記載の甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法。
【請求項5】母茎として利用する甘蔗を、成熟した蔗茎から得た2節苗を植え付けることによって栽培することを特徴とする請求項1,2,3または4記載の甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、甘蔗の栽培として、(a)成熟した蔗茎を刈り取った後の残存切株から発芽させて行う株出し栽培方法、(b)成熟した蔗茎を上下2節毎に切断して得たいわゆる2節苗を各期(春期−1〜4月,夏期−8〜11月)毎に新規に植え付け、それに発芽させて行う2節苗新植栽培方法がよく知られている。
【0003】また、(c)梢頭部を切除することにより側芽が発芽する催芽現象を連続的に起こさせることによって得た所要長さの側芽成長茎、すなわち、展開葉が所要枚数になるまで成長した側芽の第10節等より上部である梢頭部を切除することを繰り返し行うことによって得た所要長さの側芽成長茎を、基苗(側枝苗)とし、これを本圃に植え付ける側枝苗移植栽培方法ともいうべき栽培方法が特開平8−280244号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】(a)の株出し栽培方法は、同じ切株が数年にわたって用いられ、発芽、成長および刈取りが繰り返されるから、年を経るにつれて発芽率が劣り、蔗茎が老化、病弱化し、収穫量、糖分も低減する。
【0005】(b)の2節苗新植栽培方法は、2節苗の採取すなわち苗作りはもちろん植付けそのものにも多大な労力を要し、また、その2節苗の発芽率が、蔗茎の成熟度、気象条件または土壌条件等の影響を受け通常50〜60%であり、かつ、一旦発芽、成長した苗であっても枯死することがある。さらに、甘蔗栽培農家は、各期毎に収穫量の10%以上を次期のための2節苗の採取に供しなければならないものであるが、実質的には、その分だけ収穫減となる。
【0006】(c)の側枝苗移植栽培方法は、(a)(b)の栽培方法の上記の如き欠点を殆ど解消すると認められる。しかし、この(c)の栽培方法では、展開葉が所要枚数になるまで成長した側芽の第10節等より上部である梢頭部を切除することを繰り返し行うものであるから、目的の側芽成長茎は、順次枝分かれ拡開状態になりながら本数を増やし、母茎に対して放射状分散状態になる。したがって、その採取に手間が掛かる。
【0007】本発明甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法は、上記(c)の側枝苗移植栽培方法における側枝苗に相当する苗用枝茎、すなわち、二次,三次または四次枝茎を蔗茎(母茎)の節の部分に多数集中的に群生させ、これにより苗用枝茎の採取をあまり手間を掛けることなく効率的に行うことができるようにしたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法は、次の構成からなる。
(1) 母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが所要の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎aとすること。
(2) 上記母茎aの節に発芽する一次腋芽3が、第8〜14芽苞より第1〜7展開葉4〜10が伸長するまで成長したとき、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有する一次枝茎bに成長したとき、その一次枝茎bを、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む一次枝茎上側茎b′を切除し、これにより、母茎aの各節の一次腋芽3の着生部に一次枝茎基部b″だけを残存させること。
(3) その一次枝茎基部b″の節に発芽する二次腋芽を、二次枝茎cに成長させ、上記一次枝茎基部b″に二次枝茎cを集中群生させて二次枝茎塊とすること。
(4) 上記一次枝茎基部b″を母茎aの着生部分で切断することにより上記二次枝茎塊全体を母茎aから切り離し、その二次枝茎塊から二次枝茎cを、その各々に芽基および根基組織部分を付けた状態にして切り離すこと。
【0009】請求項2記載の本発明甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法は、次の構成からなる。
(1) 母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが所要の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎aとすること。
(2) 上記母茎aの節に発芽する一次腋芽3が、第8〜14芽苞より第1〜7展開葉4〜10が伸長するまで成長したとき、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有する一次枝茎bに成長したとき、その一次枝茎bを、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む一次枝茎上側茎b′を切除し、これにより、母茎aの各節の一次腋芽3の着生部に一次枝茎基部b″だけを残存させること。
(3) その一次枝茎基部b″の節に発芽する二次腋芽が、展開葉を5〜6枚有する二次枝茎cに成長したとき、その二次枝茎cを、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎c′を切除し、これにより、母茎aの各節の上記一次枝茎基部b″に二次枝茎基部c″を残存させること。
(4) その二次枝茎基部c″の第5節以降の節に発芽する三次腋芽を、展開葉が最多で5枚となる三次枝茎dに成長させ、その三次枝茎dを上記一次枝茎基部b″に二次枝茎基部c″を介し集中群生させて三次枝茎塊とすること。
(5) 上記一次枝茎基部b″を母茎aの着生部分で切断することにより上記三次枝茎塊全体を母茎aから切り離し、その三次枝茎塊から三次枝茎dを、その各々に芽基および根基組織部分を付けた状態にして切り離すこと。
【0010】請求項3記載の本発明甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法は、次の構成からなる。
(1) 母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが所要の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎aとすること。
(2) 上記母茎aの節に発芽する一次腋芽3が、第8〜14芽苞より第1〜7展開葉4〜10が伸長するまで成長したとき、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有する一次枝茎bに成長したとき、その一次枝茎bを、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む一次枝茎上側茎b′を切除し、これにより、母茎aの各節の一次腋芽3の着生部に一次枝茎基部b″だけを残存させること。
(3) その一次枝茎基部b″の節に発芽する二次腋芽が、展開葉5〜6枚有する二次枝茎cに成長したとき、その二次枝茎cを、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎c′を切除し、これにより、母茎aの各節の一次枝茎基部に二次枝茎基部c″を残存させること。
(4) その二次枝茎基部c″の第5節以降の節に発芽する三次腋芽を、展開葉が5〜6枚となる三次枝茎dに成長させ、その三次枝茎dを、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む三次枝茎上側茎c′を切除し、これにより、上記二次枝茎基部c″に三次枝茎基部を残存させること。
(5) その三次枝茎基部の第5節以降の節に発芽する四次腋芽を、展開葉を最多で5枚有する四次枝茎dに成長させ、その四次枝茎dを上記一次枝茎基部b″に二次枝茎基部c″および三次枝茎基部を介し集中群生させて四次枝茎塊とすること。
(6) 上記一次枝茎基部b″を母茎aの着生部分で切断することにより上記四次枝茎塊全体を母茎aから切り離し、その四次枝茎塊から四次枝茎を、その各々に芽基および根基組織部分を付けた状態にして切り離すこと。
【0011】請求項4記載の本発明は、母茎aとして利用する甘蔗を栽培し、それが所要の茎丈となったとき、第1節から第12節までを残して、その上方部分、すなわち頂芽成長点を含む上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎aとする請求項1,2または3記載の甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法である。
【0012】請求項5記載の本発明は、母茎として利用する甘蔗を、成熟した蔗茎から得た2節苗1を植え付けることによって栽培する請求項1,2,3または4記載の甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法である。
【0013】上記において、母茎aとして利用するための甘蔗としては、成熟した蔗茎から得た2節苗を植え付けることが最も好ましいし、蔗茎が約300cmに成長したとき上側茎を切除して、下側茎を母茎aとすることは、その母茎aが適度に成熟しているので、本圃への活着度の高い高次枝茎苗hを成長採取するのに適しているものである。この場合、蔗茎を茎丈120cmでカットすると、作業員の平均的な背丈等からして、その後の各種作業を行うのに好適である。
【0014】母茎aの一次腋芽3から成長する一次枝茎bを、その展開葉が少なくとも7枚となるまで成長させたとき、それの頂芽成長点を含む一次枝茎上側茎b′を切除し、母茎aに一次枝茎基部b″を残存させることによって、その一次枝茎基部b″に二次腋芽を効率よく発芽させ、二次枝茎cに成長させることができるものである。
【0015】その二次枝茎cを、展開葉が5〜6枚となるまで成長させたとき、それの頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎c′を切除し、上記一次枝茎基部b″に二次枝茎基部c″を残存させ、また、その二次枝茎基部c″の三次腋芽から成長する三次枝茎dを、その展開葉が最多で5枚となるまで成長させたとき、それの頂芽成長点を含む三次枝茎上側茎を切除し、上記二次枝茎基部c″に三次枝茎基部を残存させることによって、あるいは、同様にして四次枝茎を成長させることによって、上記母茎aに残存している一次枝茎基部b″に上記三次枝茎dまた四次枝茎である高次枝茎を、それらにより高次枝茎塊eを形成するように集中群生させることができるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下には、本発明甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法の実施形態を説明し、つづいてその苗用枝茎から得た枝茎苗の移植栽培方法について説明する。
【0017】〔母茎として利用する甘蔗の栽培〕成熟した蔗茎を上下2節毎に切断して得た2節苗1を、畦幅約140cm,深さ約25cmで形成した畦溝2内に、約50cm間隔で横置きする(図1)とともに所要の覆土をして植え付け、その2節苗1から発芽し、茎丈が約300cmに成長するまで約7ケ月間栽培する(図2)。
【0018】その茎丈約300cmの蔗茎を、作業員の背丈等を考慮し、爾後の作業が行い易いように、たとえば茎丈約120cmのところでカットすることによって、第1節から第12節までを残して、その上方部分、すなわち甘蔗の頂芽成長点を含む上側茎約180cmを切除する。そして、上記カット部を消毒するとともに、着生している葉を取り払ういわゆる剥葉処理を行う。これにより、病害虫の発生を防ぐとともに各節に太陽光が十分に照射されるようになった母茎aを得る(図3)。
【0019】〔一次枝茎および二次枝茎の育成〕母茎aは、頂芽成長点が切除され、頂芽優勢が破れていることによって、上記上側茎切除と剥葉処理の後、5日後には、通常2〜6個、平均5個の腋芽を発芽させる。本例では、第4,6,8,10および12節に各1個計5個の一次腋芽3が発芽した場合を示した(図4)。
【0020】上記各節の一次腋芽3が、第8〜14芽苞より第1〜7展開葉4〜10が伸長するまで成長したとき、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有する一次枝茎bに成長したとき(図5)、その一次枝茎bを、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間点でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む一次枝茎上側茎b′を切除し、これにより、母茎aの各節の一次腋芽3の着生部には、第1〜5節からなる一次枝茎基部b″だけを残存させる(図6)。
【0021】一次枝茎bは、その展開葉を未だ7枚程度としているときには、第6節以降の第6,7,8……といった各節が、未だ第5節に内包された同心状態、換言すると年輪のように同心の輪を成して位置する。ちなみに、一次枝茎bの頂芽成長点は、第5節部分に存在するが、それは芽苞で覆われているので外方から目視判断することはできない。しかし、第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間点でカットすると、その頂芽成長点を切除できることは経験則上確認されている。また、一般に甘蔗の枝茎においては、第5節以降のものに、初めて芽基および根基組織部分が存在するものである。
【0022】上記一次枝茎上側茎b′の切除により、第6,7,8……の各節が、その節間を各々伸長させる(図7)とともに、第5〜8節に各1個計4個の二次腋芽を発芽する。各節の二次腋芽が、上記一次腋芽3の場合と同じようにして、展開葉を5〜6枚となるまで伸長し二次枝茎cに成長したとき(図8)、その二次枝茎cを、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間点でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎c′を切除し、これによって、一次枝茎基部b″の各節の二次腋芽の着生部には、第1〜5節からなる二次枝茎基部c″を残存させる(図9)。
【0023】〔三次枝茎の育成〕その二次枝茎基部c″は、頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎c′の切除によって、第6,7,8……の各節が、その節間を伸長させるとともに、第6,7節に各1個計2個の三次腋芽を発芽する。各節の三次腋芽を、上記一次腋芽3または二次腋芽の場合と同じようにして、展開葉が最多で5枚となるまで育成し三次枝茎dに成長させる。以上によって、本例の1本の母茎a全体では、三次枝茎dは、5×4×2=40本が成長し、かつ、それらは、母茎aの第5,6,8,10,12節の部分、さらに具体的には、その各節に着生している一次枝茎基部b″に二次枝茎基部c″を介して8本の三次枝茎dが集中群生するところとなる(図10)。
【0024】〔三次枝茎の採取〕本例においては、上記三次枝茎dをもって目的の高次枝茎とし、これを採取するものであるが、それには、上記一次枝茎基部b″を母茎aの上記各節の着生部分で切断することにより、8本の三次枝茎dを持った高次枝茎塊e全体を母茎aから切り離す(図11)。この高次枝茎塊eは、約8℃の低温であれば、後記する集合育苗器具への挿し植えの前10日程度の保存が可能なものであるが、本例では、その低温による保存を行った後の高次枝茎塊eから8本の三次枝茎dを個々に切り離した。この三次枝茎dの切り離しに当たっては、たとえば、2本の三次枝茎dが着生している二次枝茎基部c″を二つ割りした後で(図12)、その二次枝茎基部c″の節(第5節以降)に存在する前記芽基および根基組織部分11が、切り離される三次枝茎dの三次枝茎基部d″側に付いた状態にして、切り離すことが大事である(図13)。以上により、1本の母茎aから目的の三次枝茎dである高次枝茎を5×4×2本すなわち40本採取することができるものである。
【0025】なお、1本の母茎からの三次枝茎dの採取は、5×6×4本すなわち120本が可能な場合等もあり、本例の5×4×2本すなわち40本は平均的なものということができる。また、1本の母茎からの高次枝茎の採取本数を増やすには、上記した本例の三次枝茎dまでの育成と同じようにして、四次枝茎を育成し、これを採取することも可能で、その場合には、5×4×2×2本すなわち80本、あるいは、5×6×4×2本すなわち240本を採取できる。
【0026】〔育苗前管理としての三次枝茎の区分と剪葉処理〕上記要領により多数の母茎から採取した大量の高次枝茎である三次枝茎dは、本圃への移植により活着し自立成長するのに必要な根が伸長した高次枝茎苗に育苗されるものであるが、その育苗前処理として、まず、葉数が同じもの毎に、すなわち、1葉,2葉,3葉,4葉,5葉の各々のもの同士に予め区分される。これは、この後の育苗管理において、同じ1個の集合育苗器具で葉数の異なるものが混在する状態で育苗しようとすると、葉数の少ないものは日陰になり光合成が十分でないために発根が著しく遅れ枯死するのを回避するためである。
【0027】次に、上記のように区分した各三次枝茎dを茎丈15〜20cmのところで剪葉処理する(図14)。これは、育苗中に葉が邪魔して通気が不十分になるようなことをなくし、早期の発根を促すためである。したがって、特に葉数の多いものに対するこの剪葉処理は不可欠なことである。
【0028】〔育苗〕母茎から採取した三次枝茎dである高次枝茎を、これに発根させ、上記のように本圃に活着し成長するのに必要な根が伸長した高次枝茎苗にするために、発明者らは各種の集合育苗器具を使用して実験した。その結果、前記した3種類の集合育苗器具中、多数の収容部が多数の紙筒により形成されているとともに、その収容部の各々を分離することができるようにした構成のもの(日本甜菜製糖株式会社製、登録商標「ペーパーポット」)であって、しかも、1個が、直径3cm,高さ10cmの紙筒12を、縦列に12本,横列に22本にして合計264本をハニカム配列にしてなる集合育苗器具fが本例の育苗に最適であるとの知見を得た。
【0029】そこで、かかる集合育苗器具fの各紙筒12に、肥料を混入していない培土、すなわち、無肥料の培土を充填するとともに、その各々に、上記三次枝茎dを深さ約3cmにして挿し植えした(図15)。この場合、1個の集合育苗器具fには、同じ葉数の三次枝茎dを挿し植えし、葉数の異なるものが混在しないようにした。また、集合育苗器具fを育苗ハウスg内に配列するについても、同じ葉数の三次枝茎dを挿し植えした集合育苗器具f同士毎にグループ化して、しかも、集合育苗器具f各々の間隔を少なくとも15cm程度にして配列した(図16)。
【0030】育苗ハウスg内の気温を25〜30℃に維持し、急激な温度変化を避けるようにし、かつ、灌水は、集合育苗器具fの育苗ハウス内配列を終えたところで直ちに行うとともに、特に当日は昼夜にわたり十分に行い、2日目からは昼間のみ1時間毎に約10分間行い、夜間の灌水を行わなかった。これにより、三次枝茎dは、春期においては挿し植え後4〜7日で、夏期においては同じく挿し植え後3〜5日で発根した。春期の挿し植え10日以降、また、夏期の挿し植え7日以降は、葉が萎れない程度に灌水すると足りた。
【0031】上記のように、発根が比較的早いのは、培土に肥料を混入していないとともに挿し植え後の施肥を行っていないことが、却って発根を促進したものである。発根後は週に1回の割合で所要の施肥を行うことにより根のその後の伸長が一層促進された。
【0032】春期においては4週間、夏期においては3週間の育苗期間で、上記三次枝茎dは、1葉のものがその葉数を4葉とし、2葉のものがその葉数を4〜5葉とし、3葉のものがその葉数を5〜6葉とし、4葉のものがその葉数を5〜6葉とし、5葉のものがその葉数を6〜7葉とし、かつ、これらはいずれも、主根13に多数の分岐根14を伸長させた根部に土を付けたいわゆる根鉢を形成した高次枝茎苗hに成長した(図17)。
【0033】〔移植〕本圃への移植にあたっては、その移植の約1週間前(したがって、春期では挿し植え後3週間、夏期では同2週間を経たとき)に、集合育苗器具fを育苗ハウスgから外に出し、高次枝茎苗hの順化、すなわち、高次枝茎苗hを環境変化に順応させる。これによって、各苗の本圃への活着が容易確実となる。
【0034】さらに、本圃への移植の3日前には、苗丈をほぼ25〜35cmになるように剪葉して揃え(図18)、これにより、専用移植機による本圃への自動移植作業を円滑に行えるように準備する。ただし、苗丈を上記のようにほぼ25〜35cmに剪葉したとき、第1展開葉が殆どなくなる高さまで成長してしまっている高次枝茎苗hは、本圃に移植しても活着することなく枯死するので、そのような高次枝茎苗hについては剪葉することなく、それを含む1個の集合育苗器具fごと除き、そのままで補植用苗として使用するのに備える。
【0035】専用移植機はトラクタ牽引型であり、その走行にともなって自動駆動する苗列分離機構、苗個別分離機構,苗植付け機構および作溝機構等を搭載している。移植は、上記苗列分離機構によって集合育苗器具fの紙筒12を、列単位ですなわち横列22本毎に一括分離するとともに、それを苗個別分離機構により個別に分離して苗植付け機構に送給し、作溝機構により、畦幅140〜150cmで先行掘削する溝幅75〜80cm,深さ約25cmの畦溝15の底部に、上記紙筒12ごと高次枝茎苗hを、所要の株間隔で、しかも、紙筒12の上部約2cmを露出させた状態にして連続的に植え付けることによって行った(図19)。
【0036】このようにして移植した高次枝茎苗hの活着率は95%以上であった。これは従来の2節苗新植栽培方法の発芽率そのものが、蔗茎の成熟度、気象条件または土壌条件等の影響で通常50〜60%にすぎなかったのに比べると、格段の進歩であり、収穫量の向上に寄与できること明らかである。
【0037】また、上記のように、紙筒12の上部約2cmを土中に埋め込むことなく露出させた浅植え状態になっていることと、その植付け深さが一定であることによって、根に近い茎の部分からする枝分かれ、すなわち、分蘖(ぶんけつ)が、従来の栽培方法による場合に比較すると約10%多くなり、収穫量の向上にさらに大きく寄与した。
【0038】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、本発明によれば、多数の枝茎を蔗茎(母茎)の節の部分に集中的に群生させるので、枝茎の採取をあまり手間を掛けることなく効率的に行うことができ、また、育苗ハウス内での育苗において、葉数の同じ枝茎別に集合育苗器具に挿し植えし、しかも、葉数の同じ枝茎を収容した集合育苗器具同士を所要の間隔をあけて設置し、かつ、当初は敢えて施肥をしないことにより発根を促す管理を行うから、ほぼ同じ苗丈に揃いかつ活着に必要な分岐根を多数伸長させた枝茎苗を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000130455
【氏名又は名称】株式会社サークル鉄工
【識別番号】000231981
【氏名又は名称】日本甜菜製糖株式会社
【出願日】 平成10年10月30日(1998.10.30)
【代理人】 【識別番号】100062476
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 信市
【公開番号】 特開2003−204716(P2003−204716A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−374319(P2002−374319)