| 【発明の名称】 |
マルチング材接着シート |
| 【発明者】 |
【氏名】伊勢 智一 【住所又は居所】岡山市海岸通1丁目2番1号 株式会社クラレ内
【氏名】凪 比佐志 【住所又は居所】岡山市海岸通1丁目2番1号 株式会社クラレ内
【氏名】谷口 純一 【住所又は居所】岡山市海岸通1丁目2番1号 株式会社クラレ内
【氏名】松島 康臣 【住所又は居所】大阪市北区梅田1丁目12番39号 株式会社クラレ内
【氏名】平瀬 稔 【住所又は居所】大阪市北区堂山町3丁目3番 クラレ不動産株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】マルチング材の接着に液体の樹脂からなる接着剤を散布する際、斜面等においても、特別な散布装置を要することなく、容易に、かつ均一な量の接着剤をマルチング材に付与する。
【解決手段】水に溶解して糊となる水溶性繊維を50重量%以上含む不織布を接着シートとして用い、マルチング材の上に敷設する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水溶性繊維を50重量%以上含む不織布からなるマルチング材接着シート。 【請求項2】 上記不織布が、水溶性繊維と生分解性繊維とからなる請求項1記載のマルチング材接着シート。 【請求項3】 上記不織布を構成する水溶性繊維がポリビニルアルコール系繊維からなる請求項1または請求項2記載のマルチング材接着シート。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、緑化用や農業用に用いられるマルチング材の飛散を防止する接着シートに関する。 【0002】 【従来の技術】土壌の保温、保湿、雑草防止の目的で使用されるマルチング材として、近年、広葉樹あるいは針葉樹の樹皮粉砕チップ等からなるマルチング材が注目されている。該マルチング材を敷設する方法としては先ず敷設場所を均平し、次いでマルチング材を3〜5cmの厚みで敷き並べ、スコップ等で軽く転圧する方法が従来より用いられている。しかし該マルチング材をただ単に敷設しただけでは風で樹皮粉砕チップ等が飛散してしまうので糊材で固着させる必要があり、そのためマルチング材どうしを接着する接着剤が用いられている。この接着剤は例えば特開昭63−71123号公報や特開平9−313049号公報に記載されているようにポリビニルアルコール系や酢酸ビニル系が用いられたり、その他としてはカルボキシメチルセルロース、アクリル系エマルジョン等の水溶性高分子が用いられ、そしてこれら水溶性高分子を含有した水溶液を液体接着剤として、マルチング材敷設後に散布する方法が一般的に行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし液体接着剤を散布するには散布設備が必要であるためコストがかかり、また斜面等でマルチング材を敷設後液体接着剤を散布する場合、散布した液体が流れてしまう問題があるため、工程上均一な散布が困難であった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題点を鑑みて鋭意検討した結果、水溶性繊維を含む不織布からなるシートを、マルチング材の上に敷設することによって、特別な散布装置を要することなく、また斜面等においても容易に、かつ均一な量の接着剤をマルチング材に付与することができることを見出した。不織布中の水溶性繊維は、降雨により溶解して糊状になり、マルチング材どうしを接着し、マルチング材の飛散を防ぐ働きをする。また、あるいは降雨を待たず、シートを敷設後に散水して水溶性繊維を溶解させることにより、糊状になり、マルチング材どうしを接着し、マルチング材の飛散を防ぐことが可能となる。 【0005】すなわち本発明は、水溶性繊維を50重量%以上含む不織布からなるマルチング材接着シートであり、好ましくは不織布が水溶性繊維と生分解性繊維とからなるマルチング材接着シートであり、さらに好ましくは不織布を構成する水溶性繊維がポリビニルアルコール系繊維からなるマルチング材接着シートに関する。 【0006】本発明で用いられる水溶性繊維の種類は特に限定されないが、繊維を形成しやすく、かつ水溶性に優れたポリビニルアルコール(以下PVAと略記する)系繊維を用いることが好ましい。本発明に用いられるPVA系水溶性繊維の水中溶解温度は40℃以下、好適には30℃以下、さらに好適には20℃以下、またさらに好適には10℃以下である。かかるPVA系繊維を用いることにより、降雨あるいは散水により水溶性繊維が溶解して糊状になり、マルチング材どうしを接着し、マルチング材の飛散を防ぐことが可能となる。水中溶解温度の下限は特に限定されないが、実施例に記載の方法で水中溶解温度を測定すると必然的に0℃以上となる。 【0007】本発明に用いられるPVA系水溶性繊維の製法は特に限定されないが、PVA系ポリマーを有機溶剤に溶解して調製した紡糸原液を、PVAに対して固化能を有する有機溶媒、すなわち固化溶媒を含有する固化浴に湿式紡糸方法または乾湿式紡糸方法にて繊維を製造するのが好ましい。なお、湿式紡糸方法とは、紡糸口金から直接固化浴に紡糸原液を吐出する方法のことであり、一方乾湿式紡糸方法とは、紡糸口金から一旦空気や不活性ガス中に紡糸原液を吐出し、それから固化浴に導入する方法のことである。 【0008】本発明に用いられるPVA系水溶性繊維の構成は特に限定されないが、繊維の製造工程における膨潤・膠着を抑制する点からは平均重合度500以上さらに1000以上であるのが好ましく、3000以下、特に2000以下であるのが好ましい。またケン化度は80モル%以上、特に85モル%以上であるのが好ましく、99モル%以下、特に90モル%以下であるのが好ましい。繊維を構成するビニルアルコール系ポリマーは他の成分により変性されていたり、共重合されていてもよい。また本発明のPVA系水溶性繊維はビニルアルコール系ポリマーのみで構成されている必要はなく、他のポリマーがブレンドされていたり、他のポリマーとの混合紡糸繊維や複合紡糸繊維であってもかまわない。しかしながら、繊維の水解性および接着能の点からは繊維の60重量%以上、特に80重量%以上がビニルアルコール系ポリマーであるのが好ましい。もちろん、複数種のビニルアルコール系ポリマーにより構成されていてもかまわない。 【0009】また本発明のマルチング材接着シートを形成する繊維の構成としては、水溶性繊維に非水溶性繊維を混綿することが好ましい。非水溶性繊維は、水溶性繊維が溶解するまでの間、マルチング材を物理的に抑えて飛散するのを防ぐ働きがある。水溶性繊維の含有率は50重量%以上が必要であり、より好ましくは60重量%以上である。水溶性繊維の含有率が50重量%未満となると、水溶性繊維の含有量が少なくなるため、マルチング材を接着する能力が不足する恐れがあったり、外観を損ねる恐れがある。 【0010】非水溶性繊維の種類は、本発明の性能上特に限定されないが、敷設後の環境への影響を勘案すると、生分解性であることが好ましい。樹皮チップ等からなるマルチング材は、通常敷設後6ヶ月程度で表面に糸状菌が生成し、これがチップ間に形成されることによってチップどうしを結合し、チップの飛散を防ぐ役割を果たす。しかし接着シートに生分解しない繊維を使用した場合、マルチング材への光や水分の到達を阻害してマルチング材どうしの糸状菌の自然な形成を損ね、その結果、月日の経過とともに、マルチング材どうしの結合性が弱くなり、チップの飛散が起こりやすくなるといった問題点が生じる。またシートが生分解しないと、表面が白く見えて美観を損ねるといった問題点も生じる。したがって接着シートの非水溶性繊維には生分解性繊維を用いることが好ましい。なお本発明にいう生分解性繊維とは、地中に埋設した場合に3ヶ月〜3年程度で形態が崩壊する繊維をいう。生分解性繊維の種類は特に限定されないが、レーヨン、綿、麻等のセルロース系繊維、あるいはグリコール酸、乳酸、グリコリド、L−ラクチド、D,L−ラクチド、D−ラクチド、L体とD体の混合ラクチド、パラジオキサン等の単独重合体、あるいは、これらの共重合体や混合物からなる繊維、また、他のポリマーとしては、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、ポリヒドロキシブチレートとポリヒドロキシバリレートの共重合ポリエステル等の合成高分子繊維が好適に挙げられる。 【0011】本発明のマルチング材接着シートは、水に溶解して糊となる樹脂からなるシートで構成される。樹脂からなるシートとしては水溶性繊維でシート状物を作製することが最適である。水溶性繊維でシート状物を作製するには織布と不織布が考えられるが、製造コスト面、軽量性、取扱い性の面から不織布がこのシートの形態としては最適である。織布では紡績、製織工程を経るため製造コストがかかる、重量が重くなるという欠点がある。 【0012】不織布の製造方法は特に限定されないが、乾式不織布が好ましい。乾式不織布製造法は特に限定されず、捲縮原綿をカードで開繊後、縫製、ニードルパンチ、熱エンボス、水流絡合等の方法でシート化するのが一般的だが、水溶性繊維を含むため水流絡合は不適である。コスト、目付等からは熱エンボスで不織布化するのが好ましい。不織布の目付は、非水溶性繊維成分が5〜20g/m2、水溶性繊維成分が10〜50g/m2、そして該非水溶性繊維成分と該水溶性繊維成分とを混綿したトータルの目付が15〜70g/m2であることが好ましい。該非水溶性繊維成分の不織布の目付が5g/m2よりも小さくなると、接着効果が低く、20g/m2より大きくなると外観不良となる。好ましくは6〜18g/m2の範囲である。一方、該水溶性繊維成分の不織布の目付が10g/m2より小さくなると、接着効果が低く、50g/m2よりも大きくなると溶解させるのに長時間を要したり、不織布を製造する際にコスト高となる問題となる。より好ましくは、12〜48g/m2の範囲である。そして該非水溶性繊維成分と該水溶性繊維成分とを混綿したトータルの目付が15g/m2よりも小さいとシートが薄く破れやすく、接着効果も低い。逆に70g/m2よりも大きいと、水溶性繊維の溶解に時間がかかる、コストが高くなるといった問題がある。より好ましくは20〜50g/m2である。 【0013】本発明の不織布を構成する水溶性繊維および非水溶性繊維の繊度は100dtex以下、さらに10dtex以下、特に5dtex以下であるのが好ましい。繊度が大きすぎると水に対する溶解性が低下しやすくなる。しかしながら、水溶性繊維の繊度が小さくなりすぎると、不織布の製造工程通過性が低下し、保管時等に吸湿しやすくなることから、繊度は0.1dtex以上、特に1dtex以上とするのが好ましい。また同理由から繊維長1〜100mm程度とするのが好ましい。 【0014】本発明の、水溶性繊維と非水溶性繊維が所定の重量比、目付にて混綿された不織布を使用したマルチング材接着シートは、散水や降雨などにより水溶性繊維を溶解させることにより、従来の液体接着剤の散布に比べ、簡便かつ安価にマルチング材の接着処理を行なうことが可能となる。 【0015】 【実施例】以下、更に本発明を実施例でもって説明するが、本発明は実施例により何ら制限されるものではない。なお本発明において、PVAの平均重合度、PVA繊維の水中溶解温度、繊維繊度は以下の測定方法により測定されたものを意味する。 【0016】[PVAの平均重合度]JIS K6726に準拠し、30℃の水溶液の極限粘度[η]の測定値よりlogP=1.63log([η]×104/8.29)によって算出した。なお、PはPVAの平均重合度である。 【0017】[PVA繊維の水中溶解温度 ℃]試長4cmの繊維に2mg/dtexの荷重を吊り下げ、0℃の水に浸漬し、水を2℃/minの速度で昇温したときに、繊維が溶断する温度を水中溶解温度として測定した。 【0018】[繊維繊度 dtex]JIS L1015 7.5.1に準じて測定した。 【0019】[実施例1〜2]平均重合度1750、平均ケン化度88.5モル%のビニルアルコール系ポリマーからなる水中溶解温度1℃の水溶性PVA繊維(株式会社クラレ製クラロンK−II、WN2タイプ、1.7dtex、38mm捲縮綿)と非水溶性繊維として、水中溶解温度100℃以上のレーヨン繊維(大和紡績株式会社製「コロナ」、1.7dtex、40mm)を表1に示す重量比で混綿し、これをカードで開繊後、145℃で熱エンボスして、表1の目付の不織布を得た。これをマルチング材の上に敷設後、散水して水溶性繊維を溶解させた。シートの敷設に要した時間は30分であった。シート敷設7日後に外観、およびマルチング材の接着状態を観察した。結果を表1に示す。 【0020】[比較例1〜2]上記実施例と同一の水溶性PVA繊維とレーヨン繊維を表1に示す重量比で混綿し、これを実施例の場合と同様に、カードで開繊後、145℃で熱エンボスして、表1の目付の不織布を得た。これを実施例の場合と同様、マルチング材の上に敷設後、散水して水溶性繊維を溶解させ、シート敷設7日後に外観、およびマルチング材の接着状態を観察した。結果を表1に示す。 【0021】実施例1、2のマルチング材は水溶性繊維が溶解してできたPVAが糊となって十分に接着しており、飛散しているものは見られず、かつシートの外観においても問題がみられなかった。一方、比較例1、2のマルチング材はマルチング材とPVAの接着が不十分であり、ところどころでマルチング材の飛散がみられた。また、シートの外観においても、白く見えて美観を損ねており、実用に耐えうるものではなかった。 【0022】 【表1】
【0023】[比較例3]ポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製PVA−205、重合度500、ケン化度88%)の10%水溶液を調合し、これを敷設されたマルチング材の上に散布した。1回の散布では十分な接着力が得られず、3回の散布は必要であったため、100m2あたり2時間の、実施例に比べて長時間の作業時間を要した。 【0024】 【発明の効果】水溶性繊維を含む不織布からなるシートを用い、散水などにより水溶性繊維を溶解させることにより、従来の液体樹脂の散布に比べ、簡便かつ安価にマルチング材の接着処理を行なうことが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001085 【氏名又は名称】株式会社クラレ 【住所又は居所】岡山県倉敷市酒津1621番地 【識別番号】500255580 【氏名又は名称】クラレ不動産株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂山町3番3号
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| 【出願日】 |
平成13年12月27日(2001.12.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−189746(P2003−189746A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月8日(2003.7.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−395623(P2001−395623) |
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