| 【発明の名称】 |
切り花の強制開花処理方法及び強制開花処理装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】富士原 和宏
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| 【要約】 |
【課題】切り花の強制開花処理期間の短縮と該処理対象切り花の拡大を図る。
【解決手段】本発明の切り花の強制開花処理方法は、蕾状態の切り花の茎切り口を水中に浸漬した状態で、波長が400nm〜700nmの光量子束密度である光合成有効光量子束密度(PPFD)が50μmolm−2s−1以上の高強度光の照射を前記切り花に対して行い、これによって切り花の光合成作用を利用して開花エネルギーを供給し開花の促進を行うもので、前記PPFDとしては100μmolm−2s−1以上が好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蕾状態の切り花に対し、該切り花の茎切り口を水中に浸漬した状態で、波長が400nm〜700nmの光量子束密度である光合成有効光量子束密度(PPFD)が50μmolm−2s−1以上の高強度光の照射を行い、これにより、前記切り花の光合成作用を利用して開花エネルギーを供給する事によって前記蕾状態の切り花の開花を促進する事を特徴とする切り花の強制開花処理方法。 【請求項2】 前記光合成有効光量子束密度が100μmolm−2s−1以上である請求項1に記載の切り花の強制開花処理方法。 【請求項3】 前記光合成有効光量子束密度が200μmolm−2s−1以上である請求項1に記載の切り花の強制開花処理方法。 【請求項4】 前記光合成有効光量子束密度が250μmolm−2s−1以上である請求項1に記載の切り花の強制開花処理方法。 【請求項5】 前記蕾が、花弁が殆ど見えない状態のかたい蕾である請求項1乃至4のいずれかに記載の切り花の強制開花処理方法。 【請求項6】 前記茎切り口を浸漬する水が、開花液である請求項1乃至5のいずれかに記載の切り花の強制開花処理方法。 【請求項7】 前記開花液が、蔗糖を含む開花液である請求項6に記載の切り花の強制開花処理方法。 【請求項8】 蕾状態の切り花(1)を強制開花させる装置であって、前記切り花(1)の茎切り口を浸漬させ且つ内部に水を注入されてなる切り花容器(3)と、該容器(3)を内部に配置してなる開花室(4)と、前記切り花に対して、400nm〜700nmの光量子束密度である光合成有効光量子束密度(PPFD)が50μmolm−2s−1以上の高強度光の照射を行う光源(5)と、前記開花室(4)内の温度を予め定められた温度に保つ空調装置(7)とを備えてなる事を特徴とする切り花の強制開花処理装置。 【請求項9】 前記光合成有効光量子束密度が100μmolm−2s−1以上である請求項8に記載の切り花の強制開花処理装置。 【請求項10】 前記光合成有効光量子束密度が200μmolm−2s−1以上である請求項8に記載の切り花の強制開花処理装置。 【請求項11】 前記光合成有効光量子束密度が250μmolm−2s−1以上である請求項8に記載の切り花の強制開花処理装置。 【請求項12】 前記光源(5)は、前記切り花容器(3)に対して進退自在に構成されている請求項8乃至11のいずれかに記載の切り花の強制開花処理装置。 【請求項13】 前記光源(5)は、前記切り花(1)に対して照射する高強度光の光強度を調整自在に構成されている請求項8乃至11のいずれかに記載の切り花の強制開花処理装置。 【請求項14】 前記開花室(4)に炭酸ガスを含んだ空気を強制送風する送風装置(8)を有してなる請求項8乃至13のいずれかに記載の切り花の強制開花処理装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、切り花の強制開花処理方法と、この方法を用いた強制開花装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】各種切り花を市場に出荷するに当り、開花状態の花を収穫する方式が最も一般的な方法であるが、適度に開花した状態のものを選択する必要があるため、収穫数が相対的に少なくなると共に、移送中の花弁同士或いは花弁と梱包容器や充填材等との接触による花弁の損傷が生じて商品価値を損なう場合も多く、又、花弁からの水分蒸発等による劣化の進行が早く、長期保存に適さない問題がある。 【0003】この問題を解決する方策として、開花前の蕾の状態で収穫する方式がある。この者の場合には、前記花弁同士或いは花弁と梱包容器や充填材等との接触による花弁の損傷は相対的に小さくなり、しかも、開花してから収穫する場合に比して収穫量も増加する利点がある。しかしながら、この蕾の状態では市場に出荷できないので、出荷前に開花させる必要がある。 【0004】そこで、従来は、係る蕾状態の切り花の強制開花法として、切り花の茎切り口を強制開花処理液(以下『開花液』と記載する)に浸漬して静置し、25℃程度の温度下で1000〜3000ルクス(lx)(光合成有効光量子束密度に換算すると約11〜33μmolm−2s−1の低光強度光を照射して強制開花させる方法が採用されている。尚、開花液としては、水1リットル当り、30〜70gの蔗糖を溶解した3〜7%程度の蔗糖水溶液に殺菌剤等を添加したものが一般的に使用されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、係る従来の強制開花法では、蕾の開花程度、即ち、蕾の『かたさ』の度合い(花弁が見えないほど『かたい』という)によって異なるが、一般に2〜5日程度の期間を要し、その間に切り花の老化が進行して商品価値を低下させる場合も生じていた。 【0006】しかも、従来の強制開花法では、花弁が全く見えない蕾を開花させる事は出来ないという問題がある。換言すると、蕾を上から見たときに花弁だけしか見えない(がくが殆ど見えない)程度に開花している蕾が対象となっており、それ以上にかたい蕾、即ち、花弁が全く見えない或いは僅かにしか見えない蕾では、開花までに要する日数が長くなり過ぎ、その間に切り花全体の老化が進んで開花に至らなくなるためである。 【0007】本発明は、係る従来の強制開花法の持つ問題点を解消し、開花に要する時間を大幅に短縮し、更に、従来不可能とされていた『かたい』蕾であっても容易に開花させる事のできる新規な強制開花法を提供する事を目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その特徴とするところは蕾又は未完全開花状態(以下、本発明の対象となる切り花については、総称して単に『蕾』又は『蕾状態』と記載する)の切り花に対し、該切り花の茎切り口を水中に浸漬した状態で、波長が400nm〜700nmにおける光合成有効光量子束密度(PPFD)が50μmolm−2s−1以上の高強度光の照射を行い、これにより、切り花の光合成作用を利用して開花エネルギーを供給する事によって前記蕾状態の切り花の開花を促進させるものである。尚、PPFDとしては100μmolm−2s−1以上が好ましく、更に好ましいのは200μmolm−2s−1以上であり、250μmolm−2s−1以上であればベストである。これにより、開花時間を半日〜2日程度に大幅に短縮する事が可能となる。 【0009】又、本発明では、花弁が殆ど見えない状態の『かたい』蕾をも開花処理対象とするものであり、これにより、切り花の大量輸送を可能となす。 【0010】又、本発明では、前記茎切り口を浸漬する水として、蔗糖及び殺菌剤を溶解した水溶液(開花液)を使用する事により、その開花速度を一層高める事が可能となる。 【0011】又、本発明に係る切り花の強制開花装置としては、前記切り花の切り口を浸漬させ且つ内部に水を注入されてなる切り花容器と、該容器を内部に配置してなる開花室と、前記切り花にPPFDが50μmolm−2s−1以上の高強度光照射を行う光源と、前記開花室内の温度を予め定められた温度に保つ空調装置と、を備えてなるものである。尚、PPFDとしては、100μmolm−2s−1以上が好ましく、更に好ましいのは200μmolm−2s−1以上であり、250μmolm−2s−1以上であれば好適である。更に、前記開花室内に炭酸ガスを含有する空気を強制送風する送風装置を設ける事も可能である。 【0012】又、前記光源を、前記切り花容器に対して進退自在に構成したり、或いは前記切り花に対して照射する高強度光の光強度を調整自在になすのも好ましい方式である。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。先ず、本発明の基本思想について説明する。花の開花には、エネルギー源としての炭水化物が多量に必要であり、自然界の生育中の花の場合には、この開花のために必要な炭水化物は、専ら光合成によって供給されている。一方、従来の蔗糖を溶解した開花液を用いる方法では、開花に必要な炭水化物は、開花液から供給される蔗糖と光合成とによるものであるが、上述の通り従来の方法では、一般的に1000〜3000lx程度の蛍光灯による低光度の光が照射されているに過ぎず、この光度を、植物の光合成反応に関与する400nm〜700nmの波長の放射光強さを表す前記光合成光量子束密度(PPFD)に換算すると、約11〜33μmolm−2s−1となる。この値は、晴天時の太陽光の1000μmolm−2s−1以上と比較すると明らかな様に著しく低い値であり、充分な光合成が生じていない事が分かる。換言すると、従来の強制開花法は、殆ど開花液に依存した開花法と言える。 【0014】これに対し、本発明は、効果的な光合成を生じさせて切り花自体に開花エネルギーを自己供給させると共に、適宜併用する開花液から供給される蔗糖等のエネルギー源の補給を行うものであり、これによって開花速度の大幅な向上を図るものである。 【0015】次に、本発明の実施例について、図面に従って詳細に説明する。図1は、本発明に係る切り花の強制開花処理方法を実施するための強制開花処理装置の1例を示す概念図であり、同図において、切り花1の茎切り口は、水或いは開花液2が注入された切り花容器3内に挿入されており、該切り花容器3の複数個が、少なくとも光照射装置5に面する側6は光透過性を有するガラス又はアクリル樹脂等の透明材料で形成された開花室4内に配置されている。該開花室4内には、エアポンプ(送風装置)8から炭酸ガスを含有する空気が、流量計9を経て給気ダクト10から供給される様になっており、該開花室4からの排気は、排気ダクト11から、乾燥剤充填部13及び炭酸ガス濃度計12を経て、系外に放出される様になっている。給気側の炭酸ガス濃度は、給気系の分岐管16から分岐され、乾燥剤充填部14を通って乾燥させた空気を炭酸ガス濃度計15に供給して測定する様に構成されている。これら両炭酸ガス濃度計12,15の濃度データは、データロガ装置19を経てパソコン20に送信されて記録されると共に、その濃度差と送風流量から、切り花の光合成による炭酸ガスと切り花の呼吸による炭酸ガスの放出量の差としての炭酸ガス交換量が演算される構成となっている。又、該開花室4内の温度及び湿度は、該開花室4内に挿入配置された温湿度計17によって計測され、データロガ装置19を経てパソコン20に送信されて記録される様に構成されている。又、前記開花室4は、空調装置7によって所定の温度に保たれている恒温チャンバ18内に設置され、該恒温チャンバ18の天井部近傍には、光照射装置5としての蛍光灯器具が、前記開花室4との距離を調整可能な様に、即ち、昇降自在に設置されており、前記切り花1への照度は、点灯する蛍光灯の数と蛍光灯と切り花との距離を適宜設定する事により調整可能に構成されている。 【0016】次に、上記強制開花装置を用いた試験例について説明する。 (供試切り花) 強制開花試験用の供試植物としては、空輸されたコロンビア産の蕾切りカーネーション切り花(Dianthus caryophyllusL.,cv.Nelson)を用いた。 (前処理) 試験地到着後、該切り花を気温6±1℃の冷蔵庫内に24時間静置し、続いて気温25±1℃のインキュベータ内で、何等の添加物を含まないイオン交換水を用いて6時間水揚げを行った。 (強制開花処理) 前記水揚げした切り花を前記切り花容器3内に縦置きし、これを気温25±1℃,流量5L/分で炭酸ガスを含む空気が給気された前記強制開花室7(円筒形アクリル容器:直径33cm×高さ50cm)内に設置し、各種光強度の連続照射によって強制開花処理を行った。該切り花に対する光照射強度は、前記切り花容器3の部分におけるPPFDが30,120及び250μmolm−2s−1の3種と、基本開花液に開花促進剤としての蔗糖を0又は30g/L添加した開花液とを組み合わせた4種類の試験区を設けた。この試験区の条件を表−1に示す。因みに前記基本開花液としては殺菌剤としての硝酸銀(AgNO3 )を25mg/Lと8−HQC(8−hydroxyquinolin citrate) を200mg/Lとの水溶液を用いた。尚、各試験区は6本の切り花を用いて試験を行った。因みに、表−1において比較例として選択したP30−S30の試験区条件は、従来のカーネーションの強制開花法として最適条件として公表されている条件である。 【0017】 【表1】
【0018】(測定) 開花試験中の前記開花室4への空気流入側及び流出側における炭酸ガス濃度は、前記炭酸ガス濃度計15及び12で夫々測定し、その差と前記流量計9で計測された流量とから、前記切り花の強制開花処理過程における炭酸ガス交換量を算出した。又、強制開花処理終了時の開花液中の蔗糖濃度を測定し,強制開花処理過程における総蔗糖吸収量を算出した。又、図2に示す様に花弁の垂線からの開き角をもって開花角度(θ)となし、この開花角度の測定は、強制開花処理開始時から12時間毎に行い、開花角度(θ)が90度以上になった切り花を開花切り花とみなし、各試験区6本中5本が開花した時点で強制開花処理終了とした。 【0019】(評価) 強制開花処理終了後の10日間を品質評価期間となし、開花後の切り花の基部(茎切り口)をイオン交換水に浸漬させ、気温25±1℃のインキュベータ内に縦置きした状態で、該切り花の花弁の退色,萎凋及び褐変の程度を観察して次の0〜4の5段階で評価した。 【0020】 【表2】
【0021】上記試験の結果を図3〜5に示す。図3は、強制開花処理期間中の蕾切りカーネッション切り花の開花角度の経時変化を示すグラフであり、図4は、強制開花後の該切り花の外観品質評価の経時変化を示すフラフであり、図5は、該切り花の茎1本当りの強制開花処理期間中における炭酸ガス交換による積算炭素交換量(CE)と、開花液中の蔗糖由来の炭素吸収量(SA)と、それらの合計である総炭素交換量(TCU)との関係を示すグラフである。 【0022】図3において、光合成光量子束密度30(○)、120(△)、又は250(□、×)μmolm−2s−1、気温25±1℃、相対湿度28±8%の条件下で、ショ糖濃度0(×)又は30(○、△、□)g/Lの開花液に切り花の基部を浸漬させた状態で強制開花を行った。図中のバーは、標準誤差を示す(n=6)。同時間の異なる英小文字間に、5%レベルで有意差がある。図3から明らかな通り、従来のカーネーションの最適条件であるとされてきたP30−S30試験区では、強制開花処理終了に60時間を要しているのに対して本発明に係るP250−S30試験区では36時間であり、又、P120−S30試験区では48時間である。即ち、同一の開花液条件下では、PPFDの値が高くなるに連れて、強制開花処理終了に要する時間が短くなっている事が分かる。一方、開花液を用いないP250−S0試験区(蔗糖濃度0g/L)では、開花処理終了までに120時間を要しているが、この場合も、PPFDの値を、250μmolm−2s−1より大きな値、例えば500μmolm−2s−1或いはそれ以上に設定すれば、前記本発明のP120−S30試験区やP250−S30試験区と同等程度以上に開花処理時間を短縮できる事が窺える。この意味から、前記開花液を用いる事なく、専ら高強度光による光合成のみによって強制開花処理を行う方法も、本発明方法の範囲に属するものである。 【0023】又、図4において、外観品質価値期間中は、光合成有効光量子束密度250μmolm−2s−1、気温25±1℃、相対湿度70±10%の条件下で、イオン交換水に切り花の基部を浸漬させた。図中のバーは、標準誤差を示す(n=6)。図4から明らかな通り、前記P250−S30試験区,P120−S30試験区及びP30−S30試験区の強制開花処理後の切り花の品質についての有意な差は認められなかった。この事は、本発明方法により強制開花処理により強制開花された切り花も、顧客に対して、従来と同様の販売ルートと方法で対応可能な事を意味している【0024】又、図5において、強制開花処理期間は、P30−S30区で60h、P120−S30区で48h、P250−S30で36h、P250−S0区で120hであった。図5から次の事項が理解される。先ず、強制開花処理期間中の開花液中の蔗糖由来の炭素吸収量(SA)は、前記P250−S30試験区,P120−S30試験区及びP30−S30試験区で略同程度であった。この事は、前述の通りP250−S30試験区、P120−S30試験区及びP30−S30試験区の各処置時間が、夫々36時間、48時間及び60時間である事を考慮すると、開花完了までに要する時間に拘らず、強制開花処理期間中に要する総蔗糖吸収量は、略一定の量となっている。この事は、本発明では、高強度光の照射により、切り花が活性化されて生体活動が活発になり、その結果、該切り花の吸水量、即ち開花液の吸収量も増加して蔗糖の吸収速度が高まったものと考えられる。換言すると、開花液の吸収速度(蔗糖の吸収速度)を高めれば、開花速度を早める事が可能と考えられる。 【0025】次に、炭酸ガス交換による積算炭素交換量(CE)、即ち、切り花の呼吸作用により放出される炭酸ガス量(Cb)と光合成により吸収される炭酸ガス量(Ca)との差(Ca−Cb)がマイナスの値になっている事から、開花処理中は明らかに呼吸作用により排出される量の方が多い事が分かる。この排出された炭酸ガスは、主として開花のために消費された炭水化物の分解生成物であるから、この開花エネルギー源としての炭水化物を速やかに供給してやれば、開花速度を向上させる事が可能となる事が分かる。因みに、このCEの値は、P250−S30試験区<P120−S30試験区<P30−S30試験区の順になっており、前記切り花の開花エネルギーに相関の高い前記Cbの値を略一定と考えると、前記Caの値は、P30−S30試験区<P120−S30試験区<P250−S30試験区の順になっている。この事は、本発明の実施例であるP120−S30試験区やP250−S30試験区では、従来法であるP30−S30試験区に比して、処理時間が20〜40%短くなっているにも拘らず、P30−S30試験区よりも遙に高い光合成反応が進行していた事を示しており、本発明方法が、光合成を有効に利用した開花処理法である事の証拠を示しているといえる。 【0026】以上の実施例において、切り花としてカーネーションの例で説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、任意の切り花に適用できる事はいうまでもなく、特に、従来不可能とされていた花弁が見えない様な『かたい蕾』の状態に切り花も本発明の対象であり、更に、一般的に強制開花の困難なバラも本発明の対象となる。 【0027】更に、本発明の強制開花処理に使用する装置としては、前述の実施例では、恒温チャンバ18内に開花室4を設けているが、必ずしも恒温チャンバと開花室との区別は必要ではなく、恒温チャンバと開花室とを一体化する事も可能である。又、光源5による切り花1への照射光度の調整は、光源自体を多数の蛍光灯で構成し、この蛍光灯の点灯数を調整する事によって照射光度を可変としたり、電源の電圧を調整して光源の照射光度を可変としたり、光源と切り花との相対距離を可変となして照射光度を調整する方法等の種々の光度調整方法が採用し得る。更に、切り花への照光位置も、上方のみならず側方からの照射及びこれらの併用も可能である。又、開花室内への送風も、図示の例の如く強制送風方法もあるが、自然通風下で行う方法も簡便な方法として採用可能な方法である。又、前述の実施例では、炭酸ガス濃度計を強制送風ラインの出入口に配置し、その濃度データをパソコンに取り込んで演算する方式を示しているが、実装置においては、係るデータ処理システムは必ずしも必要ではない。 【0028】 【発明の効果】以上詳述した如く、本発明によれば、蕾状態の切り花に対し、従来は、適用不可と考えられていた高強度光を照射し、切り花に光合成を行わせて開花に必要なエネルギー源としての炭水化物を生成させるものであるから、従来法では開花困難とされていた『かたい蕾』も開花可能となる。このため、かたい蕾の状態で切り花の収穫を行う事が出来るので、切り花の輸送時における花弁の損傷もなく、商品歩留りが著しく向上する事になる。同時に、『かたい蕾』で梱包して出荷可能であるので、梱包容器内への切り花の充填密度を高める事も可能となり、輸送コストの大幅な低減が可能となる。 【0029】更に、従来法の如く一定以上の開花状態にある蕾に限定されず、花弁の露出していない様な『かたい蕾』も出荷が可能となるので、畑における収穫量が増大する結果、花農家の収入増加をもたらすと共に、収穫時期までに開花しないが故に無駄に廃棄される花々が減少して生産歩留りの大幅な向上が期待される。 【0030】特に、花弁の見えない様な『かたい蕾』の状態で収穫を行えば、蕾の呼吸量も少なく、花弁からの水分蒸発量も殆どなくなり、又、花弁が灰色カビ病やアザミウマ等の害虫に侵され難く、更に、エチレンに対する感受性も低いため、長期保存が可能となり、この結果、長期間に亘って安定した切り花の市場への供給が可能となる。特に、カーネーションの如く、母の日に合わせて植え付けを行った場合には、母の日が過ぎると残りの開花していないカーネーションは廃棄されるのが常であったが、本発明方法を採用すれば、蕾状態で長期保存が可能となるので強制開花処理を母の日に合わせて行えばよく、植え付け時期は必ずしも母の日に合わせる必要がなくなり、特定の日に需要が集中する様な切り花においても、植え付け時期に関係なく市場に出荷する事が可能となる。 【0031】更に、長期保存が可能となる事から、現在は専ら空輸に依存している切り花の輸送を、船便で行う事も可能となり、大量輸送や輸送歩留りの向上効果と相まって、輸送コストの大幅な低減が可能となり、南米やアフリカ等からの珍しい切り花の我が国への輸送も可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501471275 【氏名又は名称】富士原 和宏 【識別番号】591278666 【氏名又は名称】神鋼プラント建設株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年12月6日(2001.12.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089196 【弁理士】 【氏名又は名称】梶 良之 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−169542(P2003−169542A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月17日(2003.6.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−372321(P2001−372321) |
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