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【発明の名称】 きのこ栽培用カバーときのこ栽培方法
【発明者】 【氏名】木田 三郎
【住所又は居所】長野県中野市大字江部350番地 長野木田工業株式会社内

【要約】 【課題】きのこ栽培の芽出し過程において、容器内の培地の菌床の床ぐされや乾燥を防ぐことのできるきのこ栽培用カバーを得る。

【解決手段】きのこ栽培用カバーを、きのこ栽培用の容器の上端開口部12を覆うカバー本体20と、該カバー本体を容器の上端開口部12に支持する支持手段30と、該支持手段によりカバー本体20を容器の上端開口部12に支持した状態において、該カバー本体と容器の上端開口部周縁14との間に空気を流通させる通路40を形成する通路形成手段50とを備えた構造とする。そして、きのこ栽培の芽出し過程において、きのこ栽培用カバーにより、容器の上端開口部12を覆って、容器10の内外に空気を循環させつつ、水滴などの湿気が容器10内に直接に多量に侵入したり、容器10内の培地60が乾燥し過ぎたりするのを防ぐ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 きのこ栽培用の容器の上端開口部を覆うカバー本体と、該容器の上端開口部を覆うカバー本体を容器の上端開口部又はその近傍に支持する支持手段と、該支持手段によりカバー本体を容器の上端開口部又はその近傍に支持した状態において、該カバー本体と容器の上端開口部周縁との間に容器の内外に空気を流通させる通路を形成する通路形成手段とが備えられたことを特徴とするきのこ栽培用カバー。
【請求項2】 前記支持手段が、前記容器の上端開口部を覆うカバー本体を容器の上端開口部周縁に搭載して、該カバー本体を容器の上端開口部に支持する構造をしており、前記通路形成手段が、カバー本体が搭載される容器の上端開口部周縁に形成された該容器の上端開口部周縁を内外に貫く凹部、又は容器の上端開口部周縁に搭載されるカバー本体下面部分に形成された該カバー本体下面部分を内外に貫く凹部である請求項1記載のきのこ栽培用カバー。
【請求項3】 前記支持手段及び通路形成手段が、前記カバー本体から延設された支持腕からなっていて、該支持腕の下端を容器の一部に搭載、係止させて、該支持腕により、容器の上端開口部を覆うカバー本体を、容器の上端開口部周縁の上方に浮かせて、容器の上端開口部周縁とカバー本体との間に空気の通路をあけて、容器の上端開口部近傍に支持するものである請求項1記載のきのこ栽培用カバー。
【請求項4】 前記容器の上端開口部の直上を覆うカバー本体裏側部分に、該カバー本体裏側部分をカバー本体表側に向けて窪ませてなる、きのこ栽培空間が形成された請求項1、2又は3記載のきのこ栽培用カバー。
【請求項5】 きのこ栽培の芽出し過程において、請求項1、2又は3記載のきのこ栽培用カバーを用いて、容器の上端開口部をカバー本体により覆って、該カバー本体を容器の上端開口部又はその近傍に前記支持手段により支持すると共に、該カバー本体と容器の上端開口部周縁との間に前記通路形成手段により空気の通路を形成し、該通路を通して、容器の内外に空気を流通させつつ、容器に入れた培養済み培地からきのこの子実体を発芽させることを特徴とするきのこ栽培方法。
【請求項6】 きのこ栽培の芽出し過程及び生育初期過程において、請求項4記載のきのこ栽培用カバーを用いて、容器の上端開口部をカバー本体により覆って、該カバー本体を容器の上端開口部又はその近傍に支持手段により支持すると共に、該カバー本体と容器の上端開口部周縁との間に前記通路形成手段により空気の通路を形成し、該通路を通して、容器の内外に空気を流通させつつ、容器に入れた培養済み培地からきのこの子実体を発芽させ、その発芽させた生育初期のきのこの子実体を、容器の上端開口部直上の前記カバー本体裏側部分に形成された、該カバー本体裏側部分をカバー本体表側に窪ませてなる、きのこ栽培空間内で生育することを特徴とするきのこ栽培方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、えのき茸、ぶなしめじ、まいたけ等のきのこの人工栽培に用いるきのこ栽培用カバーと、該カバーを用いたきのこ栽培方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】えのき茸、ぶなしめじ、まいたけ等のきのこの人工栽培には、おが屑、コーンコブ、米ぬか等を所定比率で混合してなる培地が用いられる。培地は、一般に、広口のきのこ栽培瓶又は上端が広く開口した箱ケース等の容器(以下、単に容器という)に充填している。培地には、えのき茸、ぶなしめじ、まいたけ等のきのこの菌糸を接種して、そのきのこの菌糸を培地に蔓延させている。きのこの菌糸が蔓延した容器内の培養済みの培地からは、きのこの子実体を発芽させている。そして、そのきのこの子実体を、容器の上端開口部(きのこ栽培瓶の場合は、その広口の瓶口)を通して、容器上方に収穫するまでに大きく生育している。
【0003】このきのこの人工栽培において、容器内の培養済み培地からきのこの子実体を発芽させる過程は、芽出し過程と呼ばれる。この芽出し過程においては、培養済み培地を充填した容器を、90〜100%の極めて高湿度雰囲気に保持されたきのこ栽培室に収容している。そして、その容器内の培養済み培地の湿気を十分に高く保持し続けて、その培養済み培地から、きのこの子実体が早期かつ確実に発芽するように促している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のきのこ栽培の芽出し過程においては、高湿度に保たれたきのこ栽培室内に浮遊する水滴などの湿気が、広く開口した容器の上端開口部から、容器内の培養済み培地に直接に多量に侵入してしまった。そして、容器内の培地が湿度過多になって、その培地の菌床に雑菌が繁殖し、その菌床が腐食してしまういわゆる床ぐされが多発してしまった。そのために、その芽出し過程まで到達したきのこ栽培が、徒労に終わってしまうことが、多々あった。
【0005】なお、このような課題を解消するための手段として、きのこ栽培室内の湿度を、上記の90〜100%よりも低く抑えることが、考えられる。しかしながら、そうした場合には、容器内の培養済み培地が湿度不足となって、その培地からのきのこの子実体の発芽が大幅に遅れたり、その培地から発芽したきのこの子実体が水分不足に陥って立ち枯れたりしてしまう。
【0006】そこで、本発明者は、鋭意研究の末、上記のきのこ栽培の芽出し過程において、その広く開口した容器の上端開口部をカバーにより覆って、容器が置かれたきのこ栽培室内に浮遊する水滴などの湿気が容器の上端開口部から容器内に直接に多量に侵入するのを防げば、その容器内の培地が湿度過多に陥って、その培地の菌床が床ぐされを起こすのを、防げることに想到した。また、上記のきのこ栽培の芽出し過程において、その広く開口した容器の上端開口部をカバーにより覆って、容器内の培養済み培地から容器外部に湿気が多量に蒸散するのを抑えれば、その容器内の培地が湿度不足に陥るのも、防げることに想到した。また、その際には、カバーと容器の上端開口部周縁との間に空気の通路を設けて、容器の上端開口部を通して容器の内外に空気が円滑に流通できるようにすれば、大量の酸素を必要とするきのこの子実体の芽出し過程において、容器内の培地のきのこの菌糸が酸欠状態に陥ったり、そのきのこの菌糸が発生する大量の二酸化炭素が容器内に充満して、そのきのこの菌糸が弱ったりするのを、防げることに、想到した。そして、その容器内の培地からきのこの子実体を、順調に発芽させることができることに、想到した。そして、これらの考えに基づき、えのき茸、ぶなしめじ、まいたけ等のきのこ栽培の芽出し過程において、容器内の培地の菌床の床ぐされや乾燥を確実に防いで、その容器内の培地からきのこの子実体を常に順調かつ的確に発芽させることのできるきのこ栽培方法と、該方法に用いるカバーとを開発した。
【0007】即ち、本発明は、えのき茸、ぶなしめじ、まいたけ等きのこ栽培の芽出し過程において、容器内の培地の菌床の床ぐされや乾燥を確実に防いで、その容器内の培地からきのこの子実体を常に順調かつ的確に発芽させることのできるきのこ栽培方法と、該方法に用いるカバーとを提供することを目的している。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的のために、本発明のきのこ栽培用カバーは、きのこ栽培用の容器の上端開口部を覆うカバー本体と、該容器の上端開口部を覆うカバー本体を容器の上端開口部又はその近傍に支持する支持手段と、該支持手段によりカバー本体を容器の上端開口部又はその近傍に支持した状態において、該カバー本体と容器の上端開口部周縁との間に容器の内外に空気を流通させる通路を形成する通路形成手段とが備えられたことを特徴としている。
【0009】また、本発明のきのこ栽培方法は、きのこ栽培の芽出し過程において、本発明のきのこ栽培用カバーを用いて、容器の上端開口部をカバー本体により覆って、該カバー本体を容器の上端開口部又はその近傍に前記支持手段により支持すると共に、該カバー本体と容器の上端開口部周縁との間に前記通路形成手段により空気の通路を形成し、該通路を通して、容器の内外に空気を流通させつつ、容器に入れた培養済み培地からきのこの子実体を発芽させることを特徴としている。
【0010】このきのこ栽培用カバーを用いたきのこ栽培方法においては、その芽出し過程において、容器の上端開口部をカバー本体により覆って、そのカバー本体を、容器の上端開口部又はその近傍に、支持手段により支持できる。そして、そのカバー本体により、きのこを栽培中の容器が収容された高湿度に保持されたきのこ栽培室内などに浮遊する水滴などの湿気が、容器の上端開口部から容器内に直接に多量に侵入するのを、防ぐことができる。そして、容器内の培地の菌床が湿度過多に陥って、その培地の菌床にいわゆる床ぐされが発生するのを、防ぐことができる。それと共に、容器内の培地から湿気が、広く開口した容器の上端開口部を通して、容器外部に多量に蒸散してしまうのを、防ぐことができる。そして、その容器内の培地の菌床が乾燥し過ぎて、その培地からきのこの子実体が発芽しにくくなったり、その発芽したきのこの子実体が立ち枯れたりするのを、防ぐことができる。
【0011】本発明のきのこ栽培用カバーにおいては、前記支持手段を、前記容器の上端開口部を覆うカバー本体を容器の上端開口部周縁に搭載して、該カバー本体を容器の上端開口部に支持する構造とすると良い。それと共に、前記通路形成手段を、カバー本体が搭載される容器の上端開口部周縁に形成された該容器の上端開口部周縁を内外に貫く凹部、又は容器の上端開口部周縁に搭載されるカバー本体下面部分に形成された該カバー本体下面部分を内外に貫く凹部とすると良い。その場合には、カバー本体を容器の上端開口部周縁に搭載するのみで、カバー本体を容器の上端開口部に支持できる。それと共に、そのカバー本体が搭載される容器の上端開口部周縁に形成された該容器の上端開口部周縁を内外に貫く凹部、又は容器の上端開口部周縁に搭載されるカバー本体下面部分に形成された該カバー本体下面部分を内外に貫く凹部により、カバー本体が搭載された容器の上端開口部周縁とカバー本体との間に、容器の内外に空気を流通させる通路を形成できる。
【0012】また、本発明のきのこ栽培用カバーにおいては、前記支持手段及び通路形成手段が、前記カバー本体から延設された支持腕からなっていて、その支持腕の下端を容器の一部に搭載、係止させて、その支持腕により、容器の上端開口部を覆うカバー本体を、容器の上端開口部周縁の上方に浮かせて、容器の上端開口部周縁とカバー本体との間に空気の通路をあけて、容器の上端開口部近傍に支持するものとしても良い。その場合には、そのカバー本体から延設された支持腕の下端を容器の一部に搭載、係止させて、その支持腕により、容器の上端開口部を覆うカバー本体を、容器の上端開口部近傍に支持できる。それと共に、容器の上端開口部を覆うカバー本体を、容器の上端開口部周縁の上方に浮かせて、容器の上端開口部近傍に支持できる。そして、その容器の上端開口部周縁とカバー本体との間に、容器の内外に空気を流通させる通路をあけることができる。
【0013】本発明のきのこ栽培用カバーにおいては、容器の上端開口部の直上を覆うカバー本体裏側部分に、該カバー本体裏側部分をカバー本体表側に向けて窪ませてなる、きのこ栽培空間を形成すると良い。そして、本発明のきのこ栽培方法においては、きのこ栽培の芽出し過程及び生育初期過程において、そのカバー本体裏側部分にきのこ栽培空間が形成されたきのこ栽培用カバーを用いて、容器の上端開口部をカバー本体により覆って、該カバー本体を容器の上端開口部又はその近傍に支持手段により支持すると良い。それと共に、そのカバー本体と容器の上端開口部周縁との間に、前記通路形成手段により空気の通路を形成すると良い。そして、その通路を通して、容器の内外に空気を流通させつつ、容器に入れた培養済み培地からきのこの子実体を発芽させ、その発芽させた生育初期のきのこの子実体を、容器の上端開口部直上の前記カバー本体裏側部分に形成された、該カバー本体裏側部分をカバー本体表側に向けて窪ませてなる、きのこ栽培空間内で生育すると良い。
【0014】その場合には、本発明のきのこ栽培方法において、そのカバー本体裏側部分にきのこ栽培空間が形成されたきのこ栽培用カバーを用いて、そのきのこ栽培の芽出し過程及び生育初期過程の全般に亙って、きのこを栽培中の容器の上端開口部をカバー本体により覆い続けて、その容器内の培地が湿度過多や湿度不足に陥って、その培地の菌床が床腐れを起こしたり、その培地の菌床からきのこの子実体が発芽しにくくなったり、その発芽したきのこの子実体が立ち枯れたりするのを、防ぐことができる。また、そのきのこ栽培の生育初期過程においては、カバー本体を容器の上端開口部から離脱するのを忘れて放置したために、そのカバー本体が容器の上端開口部を通して容器の上方に伸長しようとするきのこの子実体の生長を妨げてしまうのを、防ぐことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1と図2又は図3と図4と図5は本発明のきのこ栽培用カバーの好適な実施の形態を示し、図1はその使用状態を示す正面断面図、図2はその使用状態を示す正面図、図3はその使用状態を示す正面断面図、図4はその使用状態を示す正面図、図5はその底面図である。以下に、このきのこ栽培用カバーを説明する。
【0016】このきのこ栽培用カバーは、きのこ栽培用の容器10にポリプロピレン製の広口の瓶口を持つきのこ栽培瓶を用いた場合の例を示している。このきのこ栽培用カバーは、容器10の上端開口部12の全体をその上方から余裕を持って覆うことの可能なほぼ円板状又はそれに近い形状をしたカバー本体20と、その容器の上端開口部12を覆うカバー本体20を容器の上端開口部12又はその近傍に支持する支持手段30と、その支持手段30によりカバー本体20を容器の上端開口部12又はその近傍に支持した状態において、そのカバー本体20と容器の上端開口部周縁14との間に容器10の内外に空気を流通させる通路40を形成する通路形成手段50とを備えている。
【0017】図1と図2に示したカバーでは、支持手段30を、容器の上端開口部12を覆うカバー本体20を容器の上端開口部周縁14に搭載して、そのカバー本体20を容器の上端開口部12に支持する構造としている。それと共に、通路形成手段50を、カバー本体20が搭載される容器の上端開口部周縁14に形成された該容器の上端開口部周縁を内外に貫く凹部42、又は容器の上端開口部周縁14に搭載されるカバー本体20下面部分に形成された該カバー本体下面部分を内外に貫く凹部44としている。そして、カバー本体20を容器の上端開口部周縁14に搭載するのみで、カバー本体20を容器の上端開口部12に支持できる構造をしている。それと共に、そのカバー本体20が搭載される容器の上端開口部周縁14に形成された凹部42、又は容器の上端開口部周縁14に搭載されるカバー本体20下面部分に形成された凹部44により、カバー本体20が搭載された容器の上端開口部周縁14とカバー本体20との間に、容器10の内外に空気を流通させる通路40を形成できる構造をしている。容器の上端開口部周縁14に形成する凹部42、又はカバー本体20下面部分に形成する凹部44は、ポリプロピレンなどのプラスチック製の容器10又はカバー本体20を、精密金型でなく、比較的寸法誤差の粗い汎用金型を用いてブロー成形等した際に、その容器の上端開口部周縁14に自然形成される肉眼では見えにくい微細な凹部を利用したり、そのカバー本体20下面部分に自然発生する反りなどからなる凹部を利用したりしている。実験によれば、容器10の内外に空気を流通させる通路40用の凹部42又は凹部44は、上記のようにして容器の上端開口部周縁14やカバー本体20下面部分に自然発生する凹部や反りを利用するだけで十分であることが、確認されている。ただし、容器10の内外に空気を流通させる通路40を確実に確保するために、容器の上端開口部周縁14に凹部42を意図的に積極形成したり、カバー本体20下面部分に凹部44を意図的に積極形成したりしても良いことは、勿論である。
【0018】それに対して、図3と図4と図5に示したカバーでは、支持手段30及び通路形成手段50を、カバー本体20周囲の複数箇所から延設された支持腕32から形成している。そして、その支持腕32の下端を容器10の一部に当る容器の上端開口部周縁14に搭載、係止させる構造をしている。そして、その支持腕32により、容器の上端開口部12を覆うカバー本体20を、容器の上端開口部周縁14の上方に浮かせて、容器の上端開口部12近傍に支持する構造をしている。そして、その容器の上端開口部周縁14とカバー本体20との間に、空気の通路40を形成できる構造をしている。加えて、図3と図4と図5に示したカバーでは、支持腕32の下端に係止腕34をL字状に延設している。そして、その係止腕34を、容器の上端開口部12の裏側に係止させて、カバー本体20が容器の上端開口部12近傍から脱落するのを防ぐことができる構造をしている。なお、図3と図4と図5に示したカバーにおいては、図6に示したように、カバー本体20周囲の複数箇所から延設された支持腕32の下端を、容器10の一部に当る容器の肩部16に搭載、係止させる構造としても良い。そして、その支持腕32により、容器の上端開口部12を覆うカバー本体20を、容器の上端開口部周縁14の上方に浮かせて、容器の上端開口部12近傍に支持する構造としても良い。
【0019】図1、図3又は図6は上記のきのこ栽培用カバーを用いた本発明のきのこ栽培方法の好適な実施の形態を示し、図1、図3又は図6はその説明図である。以下に、このきのこ栽培方法を説明する。
【0020】このきのこ栽培方法では、きのこ栽培の芽出し過程において、上記のきのこ栽培用カバーを用いて、きのこを栽培中の容器の上端開口部12をカバー本体20により覆って、そのカバー本体20を容器の上端開口部12又はその近傍に、支持手段30の容器の上端開口部周縁14又は支持腕32により支持している。それと共に、そのカバー本体20と容器の上端開口部周縁14との間に、通路形成手段50の容器の上端開口部周縁14に形成された凹部42、カバー本体20下面部分に形成された凹部44、又は支持腕32により、空気の通路40を形成している。そして、その通路40を通して、容器10の内外に空気を流通させつつ、容器10内の培養済み培地60からきのこの子実体70を発芽させている。
【0021】図1、図3又は図6に示したきのこ栽培方法は、以上のステップからなっていて、このきのこ栽培用カバーを用いたきのこ栽培方法においては、その芽出し過程において、容器の上端開口部12をカバー本体20により覆って、そのカバー本体20を、容器の上端開口部12又はその近傍に、支持手段30により支持できる。そして、そのカバー本体20により、きのこを栽培中の容器10が収容された高湿度に保持されたきのこ栽培室内などに浮遊する水滴などの湿気が、容器10の広く開口した上端開口部12から容器10内に直接に多量に侵入するのを、防ぐことができる。そして、容器内の培地60の菌床が湿度過多に陥って、その培地60の菌床にいわゆる床ぐされが発生するのを、防ぐことができる。それと共に、容器内の培地60から湿気が、広く開口した容器の上端開口部12を通して、容器10外部に多量に蒸散してしまうのを、防ぐことができる。そして、その容器内の培地60の菌床が乾燥し過ぎて、その培地60からきのこの子実体70が発芽しにくくなったり、その発芽したきのこの子実体70が立ち枯れたりするのを、防ぐことができる。
【0022】上記のきのこ栽培用カバーにおいては、図1に示したように、その容器の上端開口部12の直上を覆うカバー本体20裏側部分に、該カバー本体裏側部分をカバー本体20表側に向けてほぼコップ状等に窪ませてなる、きのこ栽培空間80を形成すると良い。そして、上記のきのこ栽培方法においては、図1に示したように、きのこ栽培の芽出し過程及び生育初期過程において、そのカバー本体20裏側部分にきのこ栽培空間80が形成されたきのこ栽培用カバーを用いて、容器の上端開口部12をカバー本体20により覆って、該カバー本体を容器の上端開口部12又はその近傍に支持手段30により支持すると良い。それと共に、そのカバー本体20と容器の上端開口部周縁14との間に、通路形成手段50により空気の通路40を形成すると良い。そして、その通路40を通して、容器10の内外に空気を流通させつつ、容器内の培養済み培地60からきのこの子実体70を発芽させ、その発芽させた生育初期のきのこの子実体70を、容器の上端開口部12直上のカバー本体20裏側部分に形成されたきのこ栽培空間80内で生育すると良い。
【0023】その場合には、上記のきのこ栽培方法において、そのカバー本体20裏側部分にきのこ栽培空間80が形成されたきのこ栽培用カバーを用いて、そのきのこ栽培の芽出し過程及び生育初期過程の全般に亙って、きのこを栽培中の容器の上端開口部12をカバー本体20により覆い続けて、その容器内の培地60が湿度過多や湿度不足に陥って、その培地60の菌床が床腐れを起こしたり、その培地60の菌床からきのこの子実体70が発芽しにくくなったり、その発芽したきのこの子実体70が立ち枯れたりするのを、防ぐことができる。また、そのきのこ栽培の生育初期過程においては、カバー本体20を容器の上端開口部12又はその近傍から離脱するのを忘れて放置したために、そのカバー本体20が容器の上端開口部12を通して容器10の上方に伸長しようとするきのこの子実体70の生長を妨げてしまうのを、防ぐことができる。
【0024】この容器の上端開口部12直上のカバー本体20裏側部分にきのこ栽培空間80が形成されたきのこ栽培用カバー及び該カバーを用いたきのこ栽培方法は、図3又は図6に示したきのこ栽培用カバー及び該カバーを用いたきのこ栽培方法にも利用可能である。その場合にも、そのきのこ栽培の芽出し過程及び生育初期過程の全般に亙って、きのこを栽培中の容器の上端開口部12をカバー本体20により覆い続けて、その容器内の培地60が湿度過多や湿度不足に陥るのを、防ぐことができる。また、そのきのこ栽培の生育初期過程においては、カバー本体20が容器の上端開口部12を通して容器10の上方に伸長しようとするきのこの子実体70の生長を妨げてしまうのを、防ぐことができる。
【0025】図7、図8又は図9は本発明のきのこ栽培用カバーの他の好適な実施の形態を示し、図7、図8又は図9はその使用状態説明図である。以下に、このきのこ栽培用カバーを説明する。
【0026】このカバーでは、コンテナ90に規則的に並べて収容された複数本の全ての各容器の上端開口部12を覆う複数のカバー本体20が、ほぼシート状に連ねられた形状をしている。そして、その複数のカバー本体20が連ねられてなる大カバー本体22の複数の各カバー本体20により、コンテナ90に規則的に並べて収容された複数本の全ての各容器の上端開口部12をそれぞれ一括して覆うことができるように構成されている。図7に示したカバーは、支持手段30に、図1に示したカバーと同様な、容器の上端開口部周縁14を用いている。そして、コンテナ90に並べて収容された複数本の全ての各容器の上端開口部周縁14に大カバー本体22の複数の各カバー本体20を搭載することにより、その各カバー本体20をコンテナ90に収容された複数本の全ての各容器の上端開口部12にそれぞれ支持できる構造をしている。それに対して、図8又は図9に示したカバーは、支持手段30に、大カバー本体22から延設されたほぼU字状をなす支持腕36を用いている。そして、その支持腕36を、コンテナ90に収容された所定の複数本の容器の肩部16に亙って搭載、係止させることにより、大カバー本体22の複数の各カバー本体20を、コンテナ90に収容された複数本の全ての各容器の上端開口部12近傍にそれぞれ一括して支持できる構造をしている。その他は、図1と図2又は図3と図4と図5に示した前述のきのこ栽培用カバーと同様に構成されていて、このカバーを用いた本発明のきのこ栽培方法においては、その芽出し過程において、その大カバー本体22の複数の各カバー本体20を、支持手段30の容器の上端開口部周縁14又は支持腕36により、コンテナに並べて収容された複数本の全ての各容器の上端開口部12又はその近傍にそれぞれ一括して支持できる。それと共に、通路形成手段50の容器の上端開口部周縁14に形成された凹部42、カバー本体20下面部分に形成された凹部44、又は支持腕36により、大カバー本体22の複数の各カバー本体20とコンテナ90に収容された複数本の全ての各容器の上端開口部周縁14との間に、容器10の内外に空気を流通させる通路40を形成できる。そして、きのこ栽培の芽出し過程において、その通路40を通して、コンテナ90に収容された複数本の全ての各容器10の内外に空気を流通させつつ、その各容器内の培地60を湿度過多や湿度不足に陥らせずに、その培地60からきのこの子実体70を順調に発芽させることができる。又はそれに加えて、きのこ栽培の生育初期過程において、その通路40を通して、コンテナ90に収容された複数本の全ての各容器10の内外に空気を流通させつつ、その各容器内の培地60を湿度過多や湿度不足に陥らせずに、各容器内の培地60から発芽させた生育初期のきのこの子実体70を、各容器の上端開口部12直上のカバー本体20裏側部分に形成されたきのこ栽培空間80内で順調に生育できる。
【0027】ここで、複数のカバー本体20を連ねてなる大カバー本体22は、コンテナ90に並べて収容された複数本の容器10を2区分以上に分けて、その各区分毎の2本以上の各容器の上端開口部12を連続して覆う構造のものとしても良い。そして、その大カバー本体22を2枚以上用いて、コンテナ90に並べて収容された複数本の全ての各容器の上端開口部12を2区分以上に分けてそれぞれ連続して覆う構造のものとしても良い。その場合にも、コンテナ90に並べて収容された複数本の全ての容器10の上端開口部12を連続して覆う上記の大カバー本体22とほぼ同様な作用を持つ、大カバー本体22を提供できる。
【0028】上記のきのこ栽培用カバーにおいては、図1、図7又は図9に示したように、カバー本体20又は大カバー本体22が、その周縁に下方に伸びる側壁24を持つ構造のものとすると良い。そして、そのカバー本体20又は大カバー本体22周縁の側壁24により、容器の上端開口部12の脇部の空気の通路40からきのこ栽培室内の湿気が容器10内に多量に侵入するのを、防ぐと良い。そうした場合には、その容器内の培地60が湿度過多となるのを、確実に防ぐことができる。
【0029】図1ないし図4、図6ないし図9では、きのこ栽培用の容器10に、従来汎用の広口のきのこ栽培瓶が用いられた例が示されているが、本発明のきのこ栽培用カバーと該カバーを用いたきのこ栽培方法は、図10に示したような、きのこ栽培用の容器10に、上端が広く開口した箱状の容器を用いることも、可能である。そして、その場合にも、広口のきのこ栽培瓶を用いた場合と同様な、作用、効果が期待できる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のきのこ栽培用カバーを用いて本発明のきのこ栽培方法により、えのき茸、ぶなしめじ、まいたけ等のきのこ栽培の芽出し過程又はそれに加えて生育初期過程を行えば、そのきのこを栽培中の容器内の培養済み培地を湿度過多や湿度不足に陥らせずに、その培地からきのこの子実体を常に順調に発芽させたり、その発芽させたきのこの子実体を常に順調に生育したり可能となる。
【出願人】 【識別番号】391003679
【氏名又は名称】長野木田工業株式会社
【住所又は居所】長野県中野市大字江部350番地
【出願日】 平成13年11月26日(2001.11.26)
【代理人】 【識別番号】100086623
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 宗久
【公開番号】 特開2003−164226(P2003−164226A)
【公開日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願番号】 特願2001−358722(P2001−358722)