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【発明の名称】 穀粒移送装置の蓋構造
【発明者】 【氏名】石田 健之
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】板持 透
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】蓋を固定片側から周方向に引っ張り固定して閉鎖することにより、移送筒内の穀粒詰まりに伴う穀粒圧によって蓋が外側に強く押されても、掃除口を確実に閉鎖して穀粒の漏出を阻止することができる穀粒移送装置の蓋構造を提供する。

【解決手段】開閉可能な蓋90で閉鎖する掃除口37を備えた移送筒33内に、螺旋体35を回転可能に設けて穀粒を移送する穀粒移送装置において、前記蓋90の一側を掃除口37の周方向の一端で移送筒33に回動可能に支持すると共に、移送筒33に突設した固定片96に支持した締め付け固定具92によって、蓋90の他側を周方向に引っ張り調節し、掃除口37を閉鎖する構成にした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開閉可能な蓋(90)で閉鎖する掃除口(37)を備えた移送筒(33)内に、螺旋体(35)を回転可能に設けて穀粒を移送する穀粒移送装置において、前記蓋(90)の一側を掃除口(37)の周方向の一端で移送筒(33)に回動可能に支持すると共に、移送筒(33)に突設した固定片(96)に支持した締め付け固定具(92)によって、蓋(90)の他側を周方向に引っ張り調節し、掃除口(37)を閉鎖する穀粒移送装置の蓋構造。
【請求項2】 固定片(96)に調節ネジ(9a)を引っ張り調節可能に設けると共に、該調節ネジ(9a)と蓋(90)を係脱可能に連結して締め付け固定具(92)を構成する請求項1記載の穀粒移送装置の蓋構造。
【請求項3】 掃除口(37)を、排出オーガ(8)を姿勢変更可能に備え穀粒タンク(3)内の穀粒を排出移送する縦送りオーガ(6)の移送筒(33)の終端部に開口した請求項1又は2記載の穀粒移送装置の蓋構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバイン等の穀粒移送装置等の移送筒に開口した掃除口の蓋構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、脱穀選別した穀粒を穀粒タンクに収容するコンバインは、円筒状の移送筒内に螺旋体を回転可能に内装した縦送りオーガ及び排出オーガからなる穀粒移送装置によって、穀粒タンク内の穀粒を機外に排出移送すると共に、移送筒に開閉可能な蓋を備えた掃除口を設け、穀粒の詰まりの除去や清掃等のメンテナンス作業を行うようにしている。上記穀粒移送装置の掃除口に設置される蓋は、プレス加工によって湾曲形成された鉄板製のものの一側を、掃除口の周方向の一端で移送筒に蝶番を介し回動可能に支持すると共に、他側を取付ボルトによって移送筒に締め付け固定するようにした蓋構造にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のような構成の取付ボルトによって蓋を開閉する構造は、蓋に形成する取付ボルト挿通用の固定孔は加工誤差及び組立誤差等を勘案し長孔状に穿設されるので、移送筒内に穀粒詰まりを発生したとき、穀粒圧によって蓋が強く外側に押され長孔による緩み代分の変形を伴い易く、蓋の変形によって移送筒との間に隙間が生じ、この隙間から穀粒の漏れを生ずる欠点がある。また蓋が変形した状態の取付ボルトは緩め難く、蓋の開動作業及びメンテナンス作業後に蓋を閉め戻す作業が煩雑になる等の課題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明による穀粒移送装置の蓋構造は、第1に、開閉可能な蓋90で閉鎖する掃除口37を備えた移送筒33内に、螺旋体35を回転可能に設けて穀粒を移送する穀粒移送装置において、前記蓋90の一側を掃除口37の周方向の一端で移送筒33に回動可能に支持すると共に、移送筒33に突設した固定片96に支持した締め付け固定具92によって、蓋90の他側を周方向に引っ張り調節して、掃除口37を閉鎖することを特徴としている。
【0005】第2に、固定片96に調節ネジ9aを引っ張り調節可能に設けると共に、該調節ネジ9aと蓋90を係脱可能に連結して締め付け固定具92を構成することを特徴としている。
【0006】第3に、掃除口37を、排出オーガ8を姿勢変更可能に備え穀粒タンク3内の穀粒を排出移送する縦送りオーガ6の移送筒33の終端部に開口したことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。符号1は本発明に係わる穀粒移送装置2を備えたコンバインであり、このコンバイン1は、クローラ式の走行装置10を有する走行機体11に、植立穀稈を刈取る刈取部1aと、刈取られた穀稈を脱穀する脱穀部(不図示)と、選別された穀粒を収容する穀粒タンク3と、刈取部1aの後方で脱穀部の側方に設けられるキャビン仕様の操縦部4等を、従来のものと同様な配置構造によって設置している。
【0008】また植立穀稈手刈り用の鎌5を取り出し可能に支持する支持部51を、走行機体11の前側で操縦部4の下部フレーム12に設けて鎌5の使用頻度の高い刈取部1a側に近設させている。この際支持部51は、鎌5を収納する大きさの収納部13を下部フレーム12に凹入形成し、収納した鎌5をスプリング52で押圧支持することが望ましく、この場合には鎌5を機側から突出させることなく支持し、且つ取り出し易くすることができる。
【0009】上記穀粒移送装置2は、穀粒タンク3の後部側に立設した縦送りオーガ6と、該縦送りオーガ6の上部で中継筒部7を介して上下回動可能に支持した排出オーガ8等で構成し、穀粒タンク3の内底部に横設した図示しない横送りオーガから送給された穀粒を、縦送りオーガ6で縦送りし、縦送りオーガ6の終端で中継筒部7から排出オーガ8に継送し、排出オーガ8の終端部に開口させた排出口8aから機外に排出移送するようにしている。また中継筒部7には後述する蓋構造9を備え、掃除等のメンテナンス作業を簡単に行うことができるようにしている。
【0010】図示例の中継筒部7は、縦送りオーガ6の上部に設けた連結ケース20と、排出オーガ8の基部に設けた連結ケース21とを、鋳物製で略対称形状に形成し、両ケースの接合端面22と23を回動可能に連結した連結部25にしている。また連結ケース20の側面に突設した支軸26と排出オーガ8の中途部は、逆L字状の連結杆27で連結枢支し、連結杆27の中途部と縦送りオーガ6側を油圧式で伸縮作動する昇降シリンダ29で連結支持している。
【0011】この構成により、操縦部4側から昇降シリンダ29を伸縮操作すると、排出オーガ8は連結ケース20側を支点に上下回動する。また縦送りオーガ6は走行機体11側に図示しない旋回支持機構によって縦軸中心に回動可能に支持され、排出オーガ8の左右旋回及び上下の位置決め操作をして、排出口8aから穀粒を排出するようにしている。上記連結ケース20,21は内部に同形状のメタル部30,31を備え、対向するメタル部30,30で中継用の螺旋体32を軸支している。また縦送りオーガ6及び排出オーガ8は筒状の移送筒33内に螺旋体35を内挿し、該螺旋体35の一端を上記メタル部31に軸支し、相隣なる軸端に設けたベベルギヤ36を噛合させ縦送りオーガ6側から回転駆動し、穀粒タンク3内の穀粒を縦送りオーガ6の螺旋体35から中継筒部7の螺旋体32を介し、排出オーガ8の螺旋体35によって排出移送する。
【0012】このような穀粒移送装置2において図2〜図4で示すように、上記連結ケース20の螺旋体35を内装する移送筒33となる周壁には、掃除口37を周方向の所定の範囲に開口していると共に、該掃除口37を本発明の蓋構造9による蓋90を開閉可能に設けている。これにより、蓋90の閉鎖状態で穀粒の排出をスムースに行うと共に、穀粒の詰まりの除去や清掃及び点検等のメンテナンス作業を簡単に行うことができるようにしている。
【0013】即ち、同図で示す蓋構造9は、筒状の周壁に沿って掃除口37を外側から閉鎖する大きさに湾曲形成した蓋90と、該蓋90の一側を掃除口37の一端側に回動可能に支持する取付部91と、該取付部91を介して連結ケース20に支持した状態で、蓋90の他側を連結ケース20との間で周方向に引っ張り調節する締め付け固定具92とから構成している。
【0014】図示例の取付部91は蝶番であり、蝶番の一側を取付ネジ93によって連結ケース20に固定した状態で、蝶番の他側に蓋90を固定している。また締め付け固定具92は、周壁の放射方向に突設され固定孔95を穿設した固定片96と、該固定孔95に挿脱可能に挿入支持した状態で、ナット97を螺挿して緊締係止される調節ネジ9aと、該調節ネジ9aの端部に設けられた係合孔99’を穿設した係合片99と、該係合孔99’に係脱可能に挿入係止するように蓋90の端部に屈曲形成された係止片90’等で構成している。
【0015】これにより、蓋90側の係止片90’を調節ネジ9a側の係合孔99’に連結した状態で、調節ネジ9aを固定片96の固定孔95に挿入し、該調節ネジ9aの端部から螺挿したナット97を締めると、調節ネジ9aを介し蓋90を連結ケース20の周方向に引っ張ることができ、この引っ張り力によって蓋90の全面を連結ケース20側に強固に押圧した状態で、掃除口37を蓋90によって密閉状態に閉鎖する。
【0016】以上のように構成された穀粒移送装置2を備えるコンバイン1は、操縦部4側から昇降シリンダ29の伸縮及び旋回支持機構の回動等の操作を行い、排出オーガ8の上下及び左右旋回の位置決めをしたのち、縦送りオーガ6及び中継筒部7並びに排出オーガ8内の螺旋体35,32,35を回転させると、穀粒タンク3の穀粒を機外の所定の位置に排出することができる。このとき、縦送りオーガ6の終端部側に開口した掃除口37は、移送筒33の周方向の一側で取付部91によって回動可能に取付けた蓋90を、移送筒33に突設した固定片96に締め付け固定具92を介して引っ張り調節することによって閉鎖しているので、縦送りオーガ6から穀粒の移送方向を変えて排出オーガ8側への移送をスムースに行う。
【0017】また蓋90は固定片96側から調節ネジ9aによって周方向に引っ張り固定しているので、この引っ張り分力によって掃除口37の全周を略均等に押圧しながら閉鎖する。従って、移送筒33内に穀粒詰まりが生じた場合に、穀粒圧によって蓋90が内側から外側に強く押されても、従来の取付ボルトによる蓋構造のように長孔による緩み代に伴う隙間や変形を生ずることなく、また蓋90の引っ張りによる押圧力によって蓋自体の変形を防止するから、移送筒33と蓋90の間から穀粒を漏出することがない。
【0018】そして、蓋90を開き内部の穀粒を掻き出して穀粒詰まりを解消するとき、ナット97を単に緩み方向に回すと、図3の点線で示すように調節ネジ9aは、固定片96の固定孔95に支持されながら、緊張を緩められて自由になるので、調節ネジ9aと蓋90の係合を簡単に外すことができ、この状態で蓋90を取付部91側を支点に大きく回動でき、掃除口37を開放して移送筒33内のメンテナンス作業を容易に行うことができる。またメンテナンス作業終了時には、蓋90を閉じた状態で係止片90’を係合片99に係止したのち、ナット97を締めると、蓋90は調節ネジ9aによって引っ張られ掃除口37を閉鎖する。
【0019】この様な蓋90の開閉において、緩めた調節ネジ9aは固定片96側に保持されるので、蓋90の開閉作業を簡単にできると共に、調節ネジ9aを散逸させる等の憂いがない。また蓋90が加工誤差及び組立誤差を有していたり、微小に変形するようなことがあったとしても、蓋90は締め付け固定具92によって周方向に引っ張り調節して、移送筒33との間の隙間をなくすように、掃除口37を押圧し速やかに閉鎖することができる等の特徴がある。
【0020】尚、図示例において蓋90は一側を蝶番による取付部91にしたが、これに限定することなく例えば、調節ネジ9aの端部と蓋90の端部に形成したものと同様な係合孔99’と係止片90’を係合させる取付構造にすると、この部を支点に蓋90の開閉をスムースにしながら、両者の係合の解除によって蓋90を簡単に取り外すことができ、掃除口37を大きく開放すると共に、蓋90の変形等の修理や交換を容易にすることができる。
【0021】次に図5で示す蓋構造の別実施形態について説明する。尚、前記実施形態のものと同様な構成については説明を省略する。この蓋構造9は、蓋90の一側を連結ケース20に開口した掃除口37の周方向の一端で取付部91によって回動可能に支持すると共に、蓋90の他側に調節ネジ9aを一体的に延設しナット97を螺挿している。また移送筒33に突設する固定片96の端部に長溝状の固定孔95’を切欠形成している。これによる締め付け固定具92は、同図で示すように開動姿勢にある蓋90を取付部91を支点に回動させ、調節ネジ9aを固定孔95’に挿入したのちナット97を締めると、蓋90は周方向に簡単に引っ張り調節できるから、掃除口37を確実に閉鎖することができる。また開閉にあたりナット97を散逸することもない。
【0022】尚、上記のように構成した蓋構造9は、コンバイン1が備える縦送りオーガ6の穀粒の詰まりが生じ易い終端部で、連結ケース20の移送筒33部分に実施したが、他の移送筒33の任意な箇所に対して設けてもよく、また別形態の穀粒移送装置の移送筒にも設置することができる。
【0023】
【発明の効果】本発明は以上説明したように穀粒移送装置の蓋構造を構成しているので、以下に記載するような効果を奏する。開閉可能な蓋で閉鎖する掃除口を備えた移送筒内に、螺旋体を回転可能に設けて穀粒を移送する穀粒移送装置において、前記蓋の一側を掃除口の周方向の一端で移送筒に回動可能に支持すると共に、移送筒に突設した固定片に支持した締め付け固定具によって、蓋の他側を周方向に引っ張り調節して、掃除口を閉鎖することにより、蓋は固定片側から周方向に引っ張り固定し掃除口の全周を押圧しながら閉鎖するので、移送筒内の穀粒詰まりに伴う穀粒圧によって蓋が外側に強く押されても、引っ張り力によって蓋自体の変形を防止しながら掃除口を閉鎖して穀粒の漏出を阻止することができる。
【0024】また固定片に調節ネジを引っ張り調節可能に設けると共に、該調節ネジと蓋を係脱可能に連結して締め付け固定具を構成することにより、調節ネジを緩めると蓋との連結を簡単に外すことができるから、この状態で蓋の開動が速やかになり移送筒内のメンテナンス作業を能率よく行うことができる。また緩めた調節ネジは固定片側に保持されるので、蓋の開閉が簡単になると共に調節ネジやナット等を散逸させることがない。
【0025】また掃除口を、排出オーガを姿勢変更可能に備え穀粒タンク内の穀粒を排出移送する縦送りオーガの移送筒の終端部に開口したことにより、排出オーガ側への穀粒の移送変更を伴って詰まりを生じ易い縦送りオーガの、メンテナンス作業をスムースに行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成14年4月25日(2002.4.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−310039(P2003−310039A)
【公開日】 平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願番号】 特願2002−124706(P2002−124706)