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【発明の名称】 脱穀装置
【発明者】 【氏名】里路 久幸
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】脱穀装置内、特に二番処理室部分での被処理物の処理効率を高くした脱穀装置を提供すること。

【解決手段】穀稈から穀粒を分離するための扱胴69を備えた扱室66と該扱室66に隣接して藁くずを主とする処理物を処理する螺旋71aを有する排塵処理胴71を備えた排塵処理室68を設け、該排塵処理室68の上方に脱穀後の穀粒の中の二番物を処理する二番処理胴70を備えた二番処理室67を設けた。二番処理胴70から落下する二番物は排塵処理胴の前方側の螺旋71aで後方に向けて搬送されながら回収部材(受網74、揺動棚51など)上に落下するので、穀粒の回収効率が良くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 穀稈から穀粒を分離するための扱胴69を備えた扱室66と該扱室66と該扱室66に隣接して藁くずを主とする処理物を処理する螺旋71aを有する排塵処理胴71を備えた排塵処理室68を設け、該排塵処理室68の近傍に脱穀後の穀粒の中の二番物を処理する二番処理胴70を備えた二番処理室67を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】 前記二番処理胴70は二番物を後方から前方に搬送し、排塵処理胴71の始端部側に環元する構成を備えたことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】 二番処理胴70の回転動力源は排塵処理胴71の回転動力源に接続していることを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインなどに搭載される脱穀装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クローラを走行手段とする農業用のコンバインの脱穀装置を例に従来の技術を説明する。コンバインはクローラを構成する無限履帯の接地面積を広くし、水田など軟弱な圃場でも自由に走行して刈取作業などの農業作業を可能としている。
【0003】コンバインは動力源としてエンジンを搭載し、エンジンの発生する動力をコンバインの走行、刈取、脱穀などに使用するが、そのクローラは、エンジンの動力を走行トランスミッションにより変速して駆動する。走行トランスミッションは、静油圧式無段変速装置、歯車列機械的変速手段、差動歯車装置、クラッチ手段、ブレーキ手段などにより構成され、直進走行させるときは、左右一対のクローラを等速で駆動し、コンバインを左右に旋回させるときは、左右のクローラに速度差を与えて駆動し、高速側のクローラを外側に、低速側、停止側または後退側のクローラを内側とする旋回が可能な構成としている。
【0004】刈取装置で刈り取った穀稈は脱穀装置に送られ、脱穀された後、グレンタンクに一時的に貯留される。グレンタンクに貯留されている穀粒はオーガからトラックなどに排出される。
【0005】従来の脱穀装置の側断面図を図14に、平面断面図(図14のB−B線矢視図)を図15に、立面断面図(図14のC−C線矢視図)を図16に示す。従来は刈取装置で刈り取った穀稈は刈取装置に装着された穀稈搬送、調節装置で扱深さが調節され、脱穀装置15の主脱穀部である扱室66の入口66aから扱室66に挿入される。扱室66内では穀稈は矢印A方向に移送されながら、扱室66に軸架された扱胴69の表面に多数設けられた矢印B方向に回転する扱歯69aと扱網74との相互作用により脱穀される。穀稈から分離された被処理物(穀粒や藁くず)は扱網74を矢印C1方向に通過して、揺動棚51で受け止められる。
【0006】揺動棚51は上下前後方向に揺動するので、被処理物は矢印D方向に移動しながら、唐箕79からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒はシーブ53および選別網63を矢印E方向に通過し、一番棚板64で集積され、一番螺旋65から図示しない一番揚穀筒を経てグレンタンクへ搬送される。グレンタンクに貯留された穀粒は、オーガを経由してコンバインの外部へ搬送される。
【0007】揺動棚51の上の被処理物のうち軽量のものは、揺動棚51の揺動作用と唐箕79のファンによる送風に吹き飛ばされてシーブ53の上を矢印D方向に移動し、ストローラック62の上で大きさの小さい二番穀粒は矢印G方向に落下して二番棚板85に集められ、二番螺旋86で二番揚穀筒87へ搬送される。
【0008】二番穀粒は、正常な穀粒、枝梗粒、藁くずおよび藁くずの中に正常な穀粒が刺さっているササリ粒などの混合物であり、二番揚穀筒87の中を二番揚穀筒ラセン(図示せず)により矢印H方向に揚送されて、二番処理室入口から二番処理室67の上方へ放出される。二番処理室67の下部に軸架する二番処理胴70は矢印J方向に回転する。二番穀粒は二番処理胴70に植設してある多数の処理歯70aに衝突しながら矢印I方向に進行する間に二番穀粒の分離と枝梗粒の枝梗の除去を行い、一部の被処理物は二番処理胴受網75から矢印C2方向に通過して揺動棚51に落下し、大部分の被処理物は二番処理室67の終端から二番処理胴送風羽根70bの送風に送られて矢印C3方向に揺動棚51に落下して扱室66からの被処理物と合流する。
【0009】なお、扱室66の被処理物搬送方向終端部に到達した被処理物の中で、藁くずなど短尺のものは、排塵処理室入口68aから矢印A2方向に授入されて、排塵処理室68に入り、排塵処理室68では回転する排塵処理胴71の螺旋71aにより矢印K方向に搬送されながら残っていた藁くずなどが解砕されて処理される。排塵処理室68に入った少量の穀粒を含む藁くずを主体とする被処理物の中の漏下物は受け網76を矢印C4方向に通過して揺動棚51の移送棚51a上に送られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の脱穀装置15内では、二番処理室67では二番揚穀筒87から二番処理胴70上に落下する二番処理物を前方に移送しながら処理し、前方から矢印C3方向に落下して揺動棚51にたまる。そして、扱胴69により処理される穀粒と藁くずを含む雑多な処理物と共に揺動棚51上に落下する。
【0011】揺動棚51では二番物は一番物とともに一番棚板64で集積され、一番螺旋65から一番揚穀筒87を経てグレンタンク30へ搬送される。
【0012】しかし、上記構成では二番物は一番螺旋65からもっとも遠い位置である二番処理室67の前方側から揺動棚51上に落下することになり、一番螺旋65から一番揚穀筒87で搬送されるまでに穀粒だけでなく藁くずを含む雑多な処理物と混合されることになり、二番物の処理効率に改善の余地があった。
【0013】また前記従来の脱穀装置15では排塵処理胴71の下方に二番処理胴70が配置されていて、排塵処理胴71で処理された被処理物の一部が二番処理胴70の上に落下するので、二番処理物の中に穀粒以外のわらくずなど排塵処理胴71からの処理物が混じり、その分二番処理物の処理効率が低下することは避けられなかった。
【0014】さらに、二番処理胴70と排塵処理胴71はそれぞれの回転軸が比較的離れており、エンジンからそれぞれ別の駆動系統により駆動されていたため、駆動系統の構成が比較的複雑であり、改善の余地があった。
【0015】そこで、本発明の課題は脱穀装置内、特に二番処理室部分での被処理物の処理効率を高くした脱穀装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次の構成によって解決される。請求項1記載の発明は、穀稈から穀粒を分離するための扱胴69を備えた扱室66と該扱室66に隣接して藁くずを主とする処理物を処理する螺旋71aを有する排塵処理胴71を備えた排塵処理室68を設け、該排塵処理室68の上方に脱穀後の穀粒の中の二番物を処理する二番処理胴70を備えた二番処理室67を設けた脱穀装置である。請求項1記載の発明によれば、二番処理胴70から落下する二番物は排塵処理胴の前方側の螺旋71aで後方に向けて搬送されながら回収部材(受網76、揺動棚51など)上に落下するので、穀粒の回収効率が良くなる。
【0017】請求項2記載の発明は、前記二番処理胴70は二番物を後方から前方に搬送し、排塵処理胴71の始端部側に環元する構成を備えた請求項1記載の脱穀装置である。本発明の請求項2記載の発明によれば、■二番処理室67に送られる大部分の被処理物は二番処理胴70により二番処理室67の前方に搬送されながら単粒化処理され、単粒を含む枝梗粒及び穂切粒はほとんど排塵処理室68の排塵処理胴71の回転軸の長手方向に回収部材(受網74、揺動棚51など)上にまんべんなく落下して効率的に穀粒を回収できる。また、藁くずはさらに排塵処理胴71に送られ、長手方向移送中にこなし処理され粉粒の回収を行う。
■排塵処理胴71への処理物の移送途中に二番処理胴70を設けているので、排塵処理胴71へ移送中に排塵物のこなし処理ができ、排塵処理能力が従来より向上する。
【0018】請求項3記載の発明は、二番処理胴70の回転動力源を排塵処理胴71の回転動力源に接続している請求項1記載の脱穀装置である。本発明の請求項3記載の発明によれば、二番処理胴70の回転動力源と排塵処理胴71の回転動力源を共通化できる。
【0019】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、二番処理胴70により単粒を含む枝梗粒及び穂切粒はほとんど単粒化処理され被処理物の処理効率が従来より高くなり、また、その分排塵処理胴71での被処理物の処理効率も従来より高くなる。
【0020】請求項2記載の発明によれば、揺動棚51上に落下する穀粒の選別性能が従来より良くなる。
【0021】請求項3記載の発明によれば、二番処理胴70と排塵処理胴71の回転動力源の共通化で、駆動装置が簡略化できる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1は本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図を示し、図2はコンバインの正面立面図を示し、図3はコンバインの平面図を示す。
【0023】図1ないし図3に示すコンバイン1の走行フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置3を備え、走行フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、走行フレーム2の上部にはエンジン28(図9)ならびに脱穀装置15、操縦席20およびグレンタンク30を搭載する。
【0024】刈取装置6は、図示しない刈取昇降シリンダの伸縮作用により刈取装置6全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取りができる構成としている。刈取装置6の前端下部に分草具7を、その背後に傾斜状にした穀稈引起し装置8を、その後方底部には刈刃(図示せず)を配置している。刈刃と脱穀装置15のフィードチェン14の始端部との間に、図示しない前部搬送装置、扱深さ調節装置、供給搬送装置などを順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置している。
【0025】コンバイン1の刈取装置6の作動は次のように行われる。まず、エンジン28を始動して変速用、操向用などの操作レバーをコンバイン1が前進するように操作し、刈取・脱穀クラッチ(図示せず)を入り操作して機体の回転各部を伝動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取、脱穀作業が開始される。圃場に植立する穀稈は、刈取装置6の前端下部にある分草具7によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置8の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、扱深さ調節装置、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
【0026】穀稈は供給搬送装置からフィードチェン14の始端部に受け継がれ、脱穀装置15に供給される。脱穀装置15は、上側に扱胴69を軸架した扱室66を配置し、扱室66の下側に選別部50を一体的に設け、供給された刈取穀稈を脱穀、選別する。
【0027】脱穀装置15に供給された穀稈は、後で詳細に説明するが、主脱穀部である扱室66に挿入され、扱室66に軸架され回転する扱胴69の多数の扱歯69aと、フィードチェン14による移送と、扱網74との相互作用により脱穀され、被処理物(穀粒や藁くず)は脱穀装置15内の選別部の揺動棚51で受け止められ、上下前後方向に揺動する揺動棚51上を移動しながら、唐箕79からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒はシーブ53および選別網63を通過し、一番螺旋65から、搬送螺旋(図示せず)を内蔵している一番揚穀筒16(図1参照)を経てグレンタンク30へ搬送され、グレンタンク30に一時貯留される。図1に示すように一番揚穀筒16の長手方向の軸芯上にタンク本体31aの籾排出口311aと補助タンク31bの籾排出口311bを設けている。
【0028】脱穀装置15の扱室66の終端に到達した脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものは、図示しない排藁チェーンおよび排藁穂先チェーンに挟持されて搬送され、脱穀装置15の後部の藁用カッターに投入されて切断され、圃場に放出される。
【0029】グレンタンク30内の底部に穀粒移送用のグレンタンク螺旋(図示せず)を設け、グレンタンク螺旋を駆動する螺旋駆動軸(図示せず)に縦オーガ18および横オーガ19からなる排出オーガを連接し、グレンタンク30内に貯留した穀粒を排出オーガ排出口からコンバイン1の外部に排出する。グレンタンク螺旋、縦オーガ螺旋(図示せず)および横オーガ螺旋(図示せず)は、エンジン28の動力の伝動を受けて回転駆動され、それぞれのラセン羽根のスクリュウコンベヤ作用により貯留穀粒を搬送する。
【0030】図4はコンバインの脱穀装置15の一部切り欠き側面断面図であり、図5は図4のB−B線矢視の脱穀装置15の平面断面図であり、図6は図4のC−C線矢視の脱穀装置15の立面断面図である。
【0031】刈取装置6で刈り取った穀稈は刈取装置6に装着された穀稈搬送、調節装置で扱深さが調節され、脱穀装置15の主脱穀部である扱室66の入口66a(図6)から扱室66に挿入される。扱室66に軸架された扱胴69は、その表面に多数の扱歯69aが設けられており、図示しない駆動機構により、エンジン28からの動力が刈取・脱穀クラッチを経てプーリ128、129とベルト130に伝動され、図5ないし図6の矢印B方向に回転する。扱室66に挿入された穀粒の付いた穀稈は、レールガイド14cに沿って移動するフィードチェン14と、スプリング14bで付勢されたフィードチェン挟扼杆14aとの間に挟扼され、図5の矢印A2方向に移送されながら、矢印B方向に回転する扱胴69の扱歯69aと扱網74との相互作用により脱穀される。穀稈から分離された被処理物(穀粒や藁くず)は扱網74を矢印C1方向(図6)に通過して、揺動棚51で受け止められる。
【0032】揺動棚51は図示しない揺動棚駆動機構の作動により上下前後方向に揺動するので、被処理物は矢印D方向(図4)に移動しながら、唐箕79からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒はシーブ53および選別網63を矢印E方向に通過し、一番棚板64で集積され、一番螺旋65から一番揚穀筒16を経てグレンタンク30へ搬送される。グレンタンク30に貯留された穀粒は、オーガ18、19を経由してコンバイン1の外部へ搬送される。
【0033】揺動棚51の上の被処理物のうち軽量のものは、揺動棚51の揺動作用と唐箕79のファン79aによる送風に吹き飛ばされてシーブ53の上を矢印D方向に移動し、ストローラック62の上で大きさの小さい二番穀粒は矢印G方向に落下して二番棚板85に集められ、二番螺旋86で二番揚穀筒87へ搬送される(図4)。
【0034】二番穀粒は、正常な穀粒、枝梗粒、藁くずおよび藁くずの中に正常な穀粒が刺さっているササリ粒などの混合物であり、二番揚穀筒87の中を二番揚穀筒ラセン(図示せず)により矢印H方向(図4参照)に揚送されて、二番処理室入口から二番処理室67の上方へ放出される。二番処理室67の下部に軸架する二番処理胴70は図示しない駆動装置により図6の矢印J方向に回転する。二番穀粒は二番処理胴70に植設してある多数の処理歯70aに衝突しながら矢印I方向(図4)に進行する間に二番穀粒の分離と枝梗粒の枝梗の除去を行い、被処理物の一部は二番処理胴70の下方に設けられた受け網75を矢印C3方向に通り抜けて排塵処理室68に落下し、被処理物の大部分は二番処理胴70の端部から矢印C2方向から排塵処理室68の排塵処理胴71上に落下する。排塵処理胴71の矢印N方向の回転で、被処理物は処理歯70aにより矢印P方向へ搬送される。その過程で扱網74の全体にわたりほぼ均一に落下して、穀粒は扱網74から矢印C1方向に通過して揺動棚51に落下し、大部分の被処理物は扱室66からの被処理物と合流する。なお、処理歯70aの代わりに螺旋を二番処理胴70に設けても良い。
【0035】二番処理室67へ送られる前記大部分の被処理物は二番処理胴70により二番処理室67の前方に搬送され、単粒を含む枝梗粒及び穂切粒はほとんど単粒化処理され、排塵処理室68の排塵処理胴71の歯71aで矢印P方向へ搬送されながら、排塵処理胴71の回転軸の長手方向にまんべんなく扱網74上に落下して、受網74から揺動棚51に送られて効率的に穀粒を回収できる。
【0036】また、扱室66の被処理物搬送方向終端部に到達した被処理物の中で、藁くずなど短尺のものは、排塵処理室入口68aから矢印A2(図5)方向に投入されて排塵処理室68に入り、排塵処理室68では回転する排塵処理胴71の螺旋71aにより矢印K方向(図5)に搬送されながら処理される。
【0037】排塵処理室68に入った少量の穀粒を含む藁くずを主体とする被処理物の中の漏下物(穀粒)は受け網76(図6)から揺動棚51上に落下し、揺動棚51に設けられたストローラック62に誘導されて二番処理棚85から二番揚穀筒87を経由して二番処理室67に送られる。
【0038】従来は二番処理室67で処理された二番物は一番螺旋65からもっとも遠い位置である二番処理室67の前方側から揺動棚51上に落下することになり、一番螺旋65から一番揚穀筒87で搬送されるまでに穀粒だけでなく藁くずを含む雑多な処理物と混合されることになって、二番物の処理効率が良いとはいえなかった。しかし、本発明の構成では二番処理胴70には二番物しか供給されないだけでなく、二番処理物は排塵処理胴71により矢印P方向に搬送されながらまんべんなく揺動棚51上に落下するので、揺動棚51の被処理物の選別性能が従来技術より高くなる。
【0039】排塵処理胴71の駆動はエンジン28からプーリ101を介してプーリ101と同軸上に設けられたプーリ102からベルト103とプーリ105から排塵処理胴71の駆動軸を経由してプーリ107、ベルト108を経て二番処理胴70に回転軸の設けられたプーリ106が駆動する。従って、排塵処理胴71の駆動により二番処理胴70も同時に駆動される。さらに、排塵処理胴71用の駆動系が二番処理胴70にも伝達されるので、駆動伝動系の構成が簡略化できる。
【0040】また、排塵処理胴71と二番処理胴70の回転方向が同じなので、二つの処理胴70、71の引継部で藁くずがせん断され、こなれるので性能向上する。
【0041】本実施例では、揺動棚51の排塵口前方上方に複数個の排塵ファン(横断流ファン)132、133を設け、その最前方の排塵ファン132に揺動棚の後方を取付部としたのこぎり状の歯を上表面を有するジャンプ台134の先端を臨ませる構成にしている。そのため、排塵処理胴71の後端部に送られて塊状になりやすい藁くずがジャンプ台134ののこぎり状の歯で後側に押されるようになり、そこに複数の排塵ファン132、133を設けているので、揺動棚51の広い領域にわたってジャンプ台134と排塵ファン132、133により藁くずを後方に吸引排塵させやすくなり、脱穀能力を向上させることができる。
【0042】扱胴69から排出される籾(穀粒)と藁くずの混合物からをストローラック62上で籾と藁くずに分離し、揺動棚51上に藁くずを排出させることなく、藁くずだけを吸引ファンにより即時吸引させ、外部に排出することができるため揺動棚51の揺動選別負担が少なくなり脱穀能力が従来より向上する。
【0043】揺動棚51に取り付けたストローラック62は揺動棚51の後部にその回動基部が取り付けられ、ストローラック62の前方を自由端とする構成で二番唐箕ファン109の選別風をストローラック62の先端に当て籾と藁くずの風力選別能力を従来より高めることができる。
【0044】図7の脱穀装置15の揺動棚51の後部斜視図に示すように揺動棚51の後方を回動支点とするストローラック62を揺動棚51のアーム110とスプリング111を介して連結し、ストローラック62上の藁くずの堆積量の増減に伴い、ストローラック62の先端が下り、第二唐箕ファン109の選別風が当たりやすくすることもできる。
【0045】上記構成によると、シーブ53の後方からストローラック62上へ落下する藁くずの量が増加するとストローラック62の先端が下り、第二唐箕ファン109の強い選別風を受け、藁くずを後方に移送選別し、速やかに藁くずを機外へ排出することができる。また、藁くずの量が少ない場合にはストローラック62の先端がスプリング止め113に当たるまで上り、第二唐箕ファン109の風速は弱くなり、ゆっくりとした移送選別を行い、選別精度を向上させることができ、藁くずの多い少ないにかかわらず、ストローラック62の負荷を常に一定に保つことができる。
【0046】また、図8の脱穀装置15の揺動棚51の後部斜視図に示すように二番処理室67に供給される被処理物の量(二番環元量)が一定となるように、揺動棚51の後方を回動支点とするストローラック62の傾斜角度を制御する構成にしても良い。
【0047】図8に示すように揺動棚51にストローラック62の傾斜角度制御モータ114を取付けて、二番揚穀筒87内に設けた二番環元量検出センサの検出値によりストローラック62の傾斜角度を上下に調節する構成とすることもできる。
【0048】この構成により、二番環元量が一定となり、扱室66の負荷又は揺動棚51の負荷、又は二番処理胴70の負荷が一定に保たれ、脱穀性能を安定させることができる。二番環元量が増加すると脱穀装置15の負担が増大し、エンジンドロップ(これにより揺動棚51の回転が低下し、ロスが増大する)による選別不良、損傷粒の発生等につながる。
【0049】図4に示すように揺動棚51の後方を回動支点とするストローラック62を回動支点を中心として後方へ回転自在とし棚外にワンタッチで反転可能にすると、ストローラック62を棚外に反転移動させた状態で、二番螺旋86などのメンテナンス、及び揺動棚51内部のメンテナンスが容易になる。
【0050】図9の平面図に示すように、唐箕79のファン79aは脱穀装置15の幅方向のほぼ全幅にわたって設けられ、脱穀装置15の機体枠外に唐箕79に向け送風するターボファン97を設けて、機体のサイズを変えないで、唐箕風量を従来より上げている。エンジン28の動力をプーリ28a、ベルト96とプーリ79cを介して唐箕ファン79aとターボファン97に伝達するが、唐箕ファン79aの唐箕軸79bを延長してターボファン97の回転軸としている。また、二番唐箕ファン109の回転軸109aは変速装置116を介して唐箕ファン79aの回転軸79bに連動する構成である。
【0051】上記ターボファン97を備えた構成により、ターボファン97の回転数の変更に連動し、二番唐箕ファン109の回転数を連動させることができる。
【0052】上記構成で脱穀装置15の作動状態によりターボファン97の回転数を変更し、唐箕ファン79aの風量を最適にすることができるが、さらに、二番唐箕ファン109の風量も変速装置を介して唐箕ファン79aの風量に連動して可変とすることで、より被処理物の選別における風選作用効果が大となる。すなわち、ターボファン97による送風量が大となると二番唐箕ファン109による送風量も大となり、ターボファン97による送風量が小さくなると二番唐箕ファン109による送風量も小さくなる。
【0053】図10に示す脱穀装置15の入口部の斜視図と図11の入口漏斗の側面図に示すように、入口漏斗117を脱穀装置5の前壁面15aに取り付け、コンバインの操作席側で前壁面15aと入口漏斗117とをワンタッチロック装置120で連結した構成にすると、入口漏斗117のメンテナンスが容易となる。このワンタッチロック装置120は脱穀装置15の前壁面15aにアーム121、122を溶接接続しておき、該アーム121、122にそれぞれ係止可能な係止片123、124をそれぞれ備えた入口漏斗117を用いる。入口漏斗117は断面が略L字状の折曲板からなり、その立ち上がり面117aにワンタッチロック装置120を設け、前記アーム121にロック用の係止片123を係止可能にし、さらに入口漏斗117の底面117bにアーム122に係止可能な一対の係止片124を設けてある。
【0054】従って、アーム121に入口漏斗117の係止片123を係止させ、その立ち上がり面117aのワンタッチロック装置120をバネ126の付勢力に抗してアーム121に係止させると、ワンタッチで入口漏斗117を取り付けることができる。
【0055】図9のコンバインの平面略図に示すように入口漏斗117の脱穀装置15への取付部の右下方にエンジン出力プーリ28aを配置した構成にすると、入口漏斗117をワンタッチで脱着できるので、エンジン28、プーリ28a、ベルト126、オーガ駆動ギアボックス127等の他のメンテナンスが容易にできる。
【0056】図6に示すように扱室66に挿入された穀粒の付いた穀稈は、レールガイド14cに沿って移動するフィードチェン14と、スプリング14bで付勢されたフィードチェン挟扼杆14aとの間に挟扼され、図5の矢印A2方向に移送されながら、矢印B方向に回転する扱胴69の扱歯69aと扱網74との相互作用により脱穀される。
【0057】図12(a)の側面図と図12(b)のロック装置部分の平面図と図13の平面図に示すようにフィードチェン14より前方に車速に同調して回転するツインのチェン130、131の構成において、図12に示すようにフィードチェン14の挟扼杆14aの先端部を上下に回動切換可能にしておくと、機体停止時ツインチェン130、131穀稈の手扱性能を向上できる。フィードチェン挟扼杆14aの上動時はロック装置120に係止することができる。
【0058】挟扼杆14aは上方に突出する複数の支持ロッド14dを持ち、該支持ロッド14dは支持ラケット14eで遊嵌支持されると共にスプリング14bにより下方向に付勢されている。したがって、挟扼杆14aとフィードチェン14との間に穀稈がスプリング14bの付勢力で強く挟持されながら、後方に搬送され、その間に穀稈の先端の穀粒部分が扱室66内の扱胴69で脱穀される。
【0059】ツインチェン130、131は穀稈の手扱ぎ時には停止している。穀稈の手扱ぎ時はツインチェン130、131上に穀稈を置き、フィードチェン14に穀稈を送り込む。この時、挟扼杆14aの先端部を上方に上げ、穀稈の送り込み口を拡大させると穀稈を扱室66内に送り込みやすい。
【0060】また、刈取作業中はツインチェン130、131は駆動しているので、挟扼杆14aの先端を下げ、刈取装置6から脱穀装置15への穀稈の引継を安定させ、また抜室66内の扱胴69側への穀稈の引き抜かれを防止することができる。
【0061】また、図4に示すように、脱穀装置15の後部に一対の横断流ファン132、133を設け、排塵処理室68を含む脱穀装置15内で発生する排塵のうち、比重の軽い藁くずおよび塵埃を含む空気を横断流ファン132、133の回転による送風で吸引し、横断流ファン出口から矢印L方向(図4)へ吹き出して、コンバイン1の外部へ放出する。
【0062】横断流ファン132、133のある室から揺動棚51の終端部に矢印M方向(図4)のように落ちた排塵の内、やや長めの藁くずはストローラック62で受けとめられ、揺動棚51の揺動運動と、唐箕79の送風力により矢印Fのように揺動棚51の終端部から排出され圃場に放出される。また、排塵のうち二番穀粒、三番穀粒など小径で比重の重いものは、揺動棚51の終端部のストローラック62あるいはシーブ53を矢印G方向(図4)へ通過して二番棚板85に落下し、再び二番処理室67において処理される。
【0063】前記唐箕79のファン79aは図9の唐箕79が設置された領域のコンバイン平面図に示すように、脱穀装置15の幅方向のほぼ全幅にわたり唐箕ファン79aが設けられているが、穀粒とわらとの選別能力を上げようとすると唐箕ファン79aの風量を高めなければならない。そのために、脱穀装置15の機体枠外に唐箕79に向け送風するターボファン97を設けて、機体のサイズを変えないで、唐箕風量を上げることができた。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成14年4月3日(2002.4.3)
【代理人】 【識別番号】100096541
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義
【公開番号】 特開2003−289718(P2003−289718A)
【公開日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願番号】 特願2002−101006(P2002−101006)