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【発明の名称】 脱穀装置における飛散防止体
【発明者】 【氏名】梅林 竜司
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】伊藤 昇
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】穀稈の搬送に対して大きな抵抗となることなく、扱室側から外部への飛散物の飛散を防止する脱穀装置における飛散防止体を提供することを課題としている。

【解決手段】扱胴3を内装する扱室2における穀稈の供給口7の外方に垂下して設けられ、脱穀作業中に発生する飛散物の扱室2外への飛散を防止する飛散防止体13を、供給口7側の可撓性を有する柔軟材からなる柔軟体21と、該柔軟体21の外側に設けられる耐摩耗性を有する耐摩耗材からなる耐摩耗体19とを重合させて構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扱胴(3)を内装する扱室(2)における穀稈の供給口(7)の外方に、該供給口(7)に対向して飛散防止体(13)を垂下して設け、該飛散防止体(13)により脱穀作業中に発生する飛散物の扱室(2)外への飛散を防止する脱穀装置において、上記飛散防止体(13)を、供給口(7)側の可撓性を有する柔軟材からなる柔軟体(21)と、該柔軟体(21)の外側に設けられる耐摩耗性を有する耐摩耗材からなる耐摩耗体(19)とを重合させて構成した脱穀装置における飛散防止体。
【請求項2】 耐摩耗体(19)を、供給口(7)における扱胴(2)の前方のプーリカバー(11)の下方突出部の最下点に対応する部分を覆うように配置した請求項1の脱穀装置における飛散防止体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、脱穀装置の穀稈供給口からの穀粒等の飛散を防止する脱穀装置における飛散防止体に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来扱胴を内装する扱室における穀稈の供給口の外方に、該供給口に対向して可撓性を有するシート状の飛散防止体を垂下して設け、穀稈が扱室内に搬送されている際には、飛散防止体が扱室内側に撓み、扱室内への穀稈の導入を許容し、穀稈の扱室内への搬送終了後は、飛散防止体が供給口を塞ぎ、脱穀中の穀粒等が供給口から外部に飛散することを防止する脱穀装置が知られている。
【0003】しかし穀稈が飛散防止体に接しながら扱室内に搬送されるため、飛散防止体と穀稈との間に摩擦が発生し、飛散防止体の摩耗が早期に発生するという欠点があった。この欠点を避けるために、摩耗に強い性状の材料により飛散防止体を形成する手段が考えられる。
【0004】ただしこの場合当該材料は表面が硬く、穀稈の搬送時の抵抗となるため、容易に撓む厚さにする必要があるが、扱室内には、選別風や扱胴の回転等により飛散防止体を扱室側に引き込む力が発生するため、上記摩耗に強い材質の飛散防止体の場合、穀稈の搬送終了時には飛散防止体が扱室側に容易に引き込まれ、供給口が開き穀粒等が飛散するという欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明の脱穀装置における飛散防止体は、扱胴3を内装する扱室2における穀稈の供給口7の外方に、該供給口7に対向して飛散防止体13を垂下して設け、該飛散防止体13により脱穀作業中に発生する飛散物の扱室2外への飛散を防止する脱穀装置において、上記飛散防止体13を、供給口7側の可撓性を有する柔軟材からなる柔軟体21と、該柔軟体21の外側に設けられる耐摩耗性を有する耐摩耗材からなる耐摩耗体19とを重合させて構成したことを第1の特徴としている。
【0006】また耐摩耗体19を、供給口7における扱胴2の前方のプーリカバー11の下方突出部の最下点に対応する部分を覆うように配置したことを第2の特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】図1及び図2は、本発明の飛散防止体を採用した脱穀装置の側面図及び正面図であり、従来同様選別室1の上方に配置された扱室2内には扱胴3が回転駆動自在に軸支されており、脱穀装置の側壁4の側方に配置されたフィードチェーン6により搬送される穀稈を、扱室2の前方に形成された穀稈の供給口7から扱室2内に搬送して扱胴3により脱穀し、選別室1側において選別する従来公知の構造となっている。
【0008】なお上記扱胴3は、該扱胴3を支持する支持軸8の前端部分に取り付けられたプーリ9を介して駆動力が入力されるように構成されており、該プーリ9の前方はプーリカバー11により覆われている。このときプーリカバー11の下縁部11aは、プーリ9の下端を覆うように、プーリ9の下端に対応する部分が下方に突出するように湾曲して形成されている。
【0009】また上記供給口7の前方からは、プーリカバー11の下方において穀稈を供給口7に案内する穀稈の供給漏斗12が設けられており、該供給漏斗12は正面視においてプーリカバー11の下縁部11aに沿って下方に突出するように湾曲している。
【0010】さらに上記供給口7の外方には、該供給口7に対向して可撓性を有するシート状の飛散防止体13が、脱穀装置の前面カバー14側に取り付けられて、供給漏斗12の上面に向かって垂下して設けられている。このとき飛散防止体13の下端は供給漏斗12の上面に接してわずかに内側に湾曲している。
【0011】以上により穀稈は、穂先側が反フィードチェーン側(扱胴3の支持軸8側)に向けられた状態で株元側がフィードチェーン6によって挟持されて供給漏斗12を介して供給口7側に搬送されるが、供給漏斗12の途中に飛散防止体13が位置するため、穀稈の進行により穀稈自身が飛散防止体13と接して飛散防止体13を扱室2側に傾斜揺動させて供給口7に搬送される。
【0012】一方上記飛散防止体13は、図2,図3に示されるように、供給口7におけるフィードチェーン6側を覆う株元側カバー16と、フィードチェーン7の反対側となる穂先側を覆う穂先側カバー17と、株元側カバー16と穂先側カバー17との間の隙間を覆う中間カバー18とが、一部が重複して隙間ができないように配置されているとともに、株元側カバー16と中間カバー18の外側に、両カバー16,18に重複するように外カバー19が配置された内外2重構成となっている。
【0013】そして外カバー19より内側に位置する内カバー21を構成する上記株元側カバー16と中間カバー18、及び穂先側カバー17が、柔軟で可撓性が高い柔軟材であるゴム材を材料に形成されており、外カバー19が繊維等を多く含み、穀稈等との当接時の摩擦に対する摩耗に強い耐摩耗材を材料に形成されている。
【0014】このとき扱室2内には、扱胴の回転等により飛散防止体13を扱室2側に引き込む力が発生するため、内カバー21及び穂先側カバー17は、この扱室2側の引込み力によって容易に引き込まれない程度の重量(厚さ)を備えている。なお内カバー21及び穂先側カバー17は、柔軟材により形成されているため、上記のように厚さ及び重量が比較的大きい場合であっても容易に撓み、穀稈の通過時に大きな抵抗とならない。また外カバー19は穀稈の通過時に大きな抵抗とならないように、容易に撓む程度の重量(厚さ)となっている。
【0015】また外カバー19は、上記プーリカバー11の下方突出部の最下点に対応する供給漏斗12の湾曲最下部の近傍からフィードチェーン6の側方近傍位置までの供給口7に対応する部分を覆っている。そして外カバー19の下端縁位置は、外カバー19に対応する内カバー21の下端縁と一致している。
【0016】以上に示される構成により、穀稈が扱室2内に連続して供給されている場合、飛散防止体13の外カバー19及び株元側カバー16,中間カバー18,穂先側カバー17の穀稈が当接するカバーが、当接する穀稈により扱室2側に傾斜揺動せしめられる。
【0017】この際外カバー19及び株元側カバー16,中間カバー18,穂先側カバー17は、上記のように容易に撓むように構成されているため、飛散防止体13が上記搬送経路を通過する穀稈の大きな抵抗(飛散防止体13通過時の負荷)となることは無く、穀稈は扱室2内に容易に搬送される。
【0018】このとき飛散防止体13は、外カバー19が存在する部分においては耐摩耗材により形成される外カバー19が穀稈に直接当接するため、穀稈との当接による飛散防止体13(外カバー19)の摩耗が防止されるが、特に穀稈の中間部分が通過するとともに、開口範囲が比較的小さいため稈ボリュームが最も多くなり、穀稈との摩擦が最も大きくなる、プーリカバー11の下方突出部の最下点の下方側の近傍を外カバー19が覆うため、穀稈からの摩擦力を最も大きく受ける部分の摩耗が外カバー19により防止される。
【0019】そして上記外カバー19による摩耗の防止構造によって、飛散防止体13側にかかる穀稈からの力を外カバー19が受けることとなり、穂先側カバー17等の飛散防止体13における外カバー19が存在しない部分、例えば穂先側カバー17や中間カバー18の一部が穀稈と直接当接しても、上記部分が早期に摩耗することや、飛散防止体13の割れ等の破損等も防止される。
【0020】このとき外カバー19と該外カバー19に対応する内カバー21の下端縁が一致しており、両者の長さが揃っているため、外カバー19に相対する内カバー21と穀稈との当接が確実に防止され、穀稈による内カバー21の磨耗が防止される。
【0021】なお図4,図5に示されるように、外カバー19を上記プーリカバー11の下方突出部の最下点に対応する供給漏斗12の湾曲最下部の近傍のみを覆うように構成しても、前述のように穀稈から最も摩擦力を受ける部分を外カバー19が受けることとなり、上記同様に飛散防止体13の摩耗や破損等を防止することができる。
【0022】この場合外カバー19を小さくすることができるため、コストダウンを図ることはできるが、穀稈と当接する外カバー19の範囲が前述の実施形態に比較して小さいため、前述のように外カバー19の範囲が広いものに比較して上記摩耗等の防止効果は低下する。
【0023】一方穀稈の飛散防止体13の通過が終了しても、扱室2内に供給された穀稈の脱穀が終了するまで、扱室2内の穀稈の脱穀作業は一定時間継続され、この場合は、飛散防止体13が供給口7を覆うため、扱室2の供給口7の近くで脱穀されて供給口7側に飛散する穀粒や塵芥等の飛散物が飛散防止体13に当たって扱室2内に戻され、すなわち上記飛散物の扱室2の外への飛散が防止される。
【0024】このとき内カバー21及び穂先側カバー17は、扱室2側の引込み力では容易に扱室2側に引き込まれないため、穀稈が飛散防止体13を通過していない場合であっても、内カバー21及び穂先側カバー17が扱室2側に引き込まれることは無く、上記飛散物の扱室2の外への飛散が防止される。
【0025】なおゴム材からなるカバーは、上記のように3つに分割構成されているため、穀稈の流通中において、上記3つのカバー16,17,18を通過する際の飛散防止体13から穀稈への抵抗がより小さくなり、穀稈は円滑に供給口7側に搬送され、また穀稈の長さ等に応じて穀稈が通過しない部分(例えば穂先側カバー17)は、そのまま垂下姿勢を維持し、穀稈の流通中の上記飛散物の扱室外への飛散が防止される。
【0026】上記外カバー19は、穀稈により容易に撓む程度の厚さに形成されているが、このため仮に内カバー21が存在しないと、扱室側からの引き込み力により、扱室側に引き込まれる。しかし本実施形態の場合内カバー21により、外カバー19が引き込まれることは無く、換言すると内カバー21により、外カバー19を、穀稈が容易に通過できるように薄く軽量に形成することが可能となっており、穀稈を容易に通過させるためのスリット等を外カバー21に形成する必要が無く、穀粒等の飛散をより効果的に防止することができる。
【0027】
【発明の効果】以上のように構成される本発明の構造によると、穀稈が飛散防止体を通過する際は、飛散防止体の外側の耐摩耗体が穀稈と接するため、該穀稈との摩擦に対する摩耗が防止され、これにより柔軟体の穀稈との当接による摩耗の考慮が概ね不要となるため、柔軟体を扱胴の回転等により扱室側に発生する力により扱室側に容易に引き込まれない重量(厚さサイズ)にすることができる。
【0028】また上記柔軟体により耐摩耗体の扱室への引き込まれを概ね考慮する必要が不要となり、耐摩耗体を穀稈の通過時に大きな抵抗とならないように、当接する穀稈によって容易に撓む程度の重量(厚さサイズ)とすることができる。
【0029】以上により穀稈の通過時には、穀稈との当接による摩耗が防止されると共に、穀稈により容易に撓み、円滑に穀稈を供給口に搬送させることができ、且つ穀稈の非流通時には、扱室側に引き込まれること無く供給口を覆い、扱胴による脱穀の際に供給口側に飛散する穀粒等の飛散物の扱室外への飛散を防止することができる飛散防止体を提供することが可能となるという効果がある。
【0030】特に耐摩耗体を供給口のプーリカバーの下方突出部の最下点に対応する部分の近傍を覆うように構成することにより、供給口において穀稈の中間部分が通過するとともに、開口範囲が比較的小さいため稈ボリュームが最も多くなり、穀稈との摩擦が最も大きくなる部分が耐摩耗体によりカバーされ、飛散防止体における穀稈からの摩擦力を最も大きく受ける部分の摩耗が耐摩耗体により防止される。
【0031】そして上記耐摩耗体による摩耗の防止構造によって、飛散防止体側にかかる穀稈からの力を耐摩耗体が受けることとなり、飛散防止体における耐摩耗体が存在しない部分が穀稈と直接当接しても、当該当接部分が早期に摩耗することや、飛散防止体の割れ等の破損等が防止される。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成14年1月11日(2002.1.11)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
【公開番号】 特開2003−204714(P2003−204714A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−5196(P2002−5196)