トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 コンバインの脱穀装置
【発明者】 【氏名】豊田 功
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【要約】 【課題】従来のコンバインの脱穀装置においては、外周に扱歯を突設した扱胴の下方に受網が近設されて、該受網と扱胴間の隙間で脱穀処理が行われているが、この隙間は、脱穀始端側から脱穀終端側にかけて略同一であったため、脱穀始端部では、脱穀前の嵩の大きな穀稈に対して隙間が狭すぎ、ささり粒や塵等が発生しやすく、脱穀終端部では、ほとんど脱粒されて嵩が小さくなった穀稈に対して隙間が広すぎ、扱き残しが発生しやすい、という問題があった。

【解決手段】受網31と扱胴20との隙間を、脱穀始端側よりも脱穀終端側を小さくし、そのためには、受網31を、扱胴20の外周面20bに対して傾斜して配設し、脱穀終端側ほど、前記隙間が漸減するように構成したり、扱胴62を、円筒部62b、送り歯50を設けたテーパ部62c、及び大径円筒部62dから構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 受網等で取り囲んだ扱室に、外周面に扱歯を突設した扱胴を配置し、該扱胴を回動して脱穀処理を行う脱穀装置において、前記受網と扱胴外周面との隙間は、脱穀始端側よりも脱穀終端側を小さくすることを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【請求項2】 前記受網は、扱胴の外周面に対して傾斜して配設し、脱穀終端側ほど、前記隙間が漸減するように構成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの脱穀装置。
【請求項3】 前記受網は、扱胴の外周面に対して階段状に配設し、脱穀終端側ほど、前記隙間が段差部で段階的に減少するように構成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの脱穀装置。
【請求項4】 前記段差部を、受網を分割する仕切部に設けたことを特徴とする請求項3記載のコンバインの脱穀装置。
【請求項5】 前記仕切部を、扱胴の外周面に対して傾斜して配設したことを特徴とする請求項4記載のコンバインの脱穀装置。
【請求項6】 前記扱胴は、脱穀始端側から脱穀終端部近傍までの円筒部と、脱穀終端部の大径円筒部と、該大径円筒部と前記円筒部とを連結する円錐台状のテーパ部とから構成し、該テーパ部には、取り込み性に優れた送り歯を設けることを特徴とする請求項1記載のコンバインの脱穀装置。
【請求項7】 前記扱胴は、脱穀始端部の円錐台状のテーパ部と、脱穀始端部近傍から脱穀終端側までの円筒部とから構成し、前記テーパ部は脱穀始端側ほど径が減少することを特徴とする請求項1記載のコンバインの脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの脱穀装置に係わり、詳しくは、扱残し等の発生を防止するための扱胴や受網の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のコンバインの脱穀装置においては、外周に扱歯を突設した円筒状の扱胴が、機体に対して前後方向又は左右方向に配設されると共に、前記扱胴の下方外周には、枠体内に網を張設した受網が近接して設けられている。そして、この扱胴を回動させることにより、刈取部から搬送されてきた穀稈を扱室に取り込んだ後、フィードチェーンによる搬送と該扱室内側に設けた送塵弁によって、扱胴の回動軸芯方向で一方の端面側(以下「脱穀始端側」とする)から他方の端面側(以下「脱穀終端側」とする)まで穀稈を移動させ、その間に、扱歯と受網とにより脱穀処理を行うようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記受網は、通常は扱胴の外周面に対して略平行に配設されており、扱胴と受網との間の隙間は、脱穀始端側から脱穀終端側までの全長に渡って略同一であった。そのため、脱穀始端部においては、脱穀前の嵩の大きな穀稈が、前記隙間に短時間に無理に掻き込まれて脱粒されるため、ささり粒や塵等が発生しやすい、という問題があった。一方、脱穀終端部においては、脱粒がほとんど完了して穀稈の嵩が小さくなっているため、残った少量の籾を扱くには、隙間が広すぎて扱き残しが発生しやすい、という問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。すなわち、請求項1においては、受網等で取り囲んだ扱室に、外周面に扱歯を突設した扱胴を配置し、該扱胴を回動して脱穀処理を行う脱穀装置において、前記受網と扱胴外周面との隙間は、脱穀始端側よりも脱穀終端側を小さくするものである。請求項2においては、前記受網は、扱胴の外周面に対して傾斜して配設し、脱穀終端側ほど、前記隙間が漸減するように構成したものである。請求項3においては、前記受網は、扱胴の外周面に対して階段状に配設し、脱穀終端側ほど、前記隙間が段差部で段階的に減少するように構成したものである。請求項4においては、前記段差部を、受網を分割する仕切部に設けたものである。請求項5においては、前記仕切部を、扱胴の外周面に対して傾斜して配設したものである。請求項6においては、前記扱胴は、脱穀始端側から脱穀終端部近傍までの円筒部と、脱穀終端部の大径円筒部と、該大径円筒部と前記円筒部とを連結する円錐台状のテーパ部とから構成し、該テーパ部には、取り込み性に優れた送り歯を設けるものである。請求項7においては、前記扱胴は、脱穀始端部の円錐台状のテーパ部と、脱穀始端部近傍から脱穀終端側までの円筒部とから構成し、前記テーパ部は脱穀始端側ほど径が減少するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例を基に説明する。図1はコンバインの全体側面図、図2は脱穀装置の側面図、図3は第一実施例の脱穀装置の構成を示す側面一部断面図、図4は第二実施例の脱穀装置の構成を示す側面一部断面図、図5は第三実施例の脱穀装置の構成を示す側面一部断面図、図6は第四実施例の脱穀装置の構成を示す側面一部断面図、図7は第五実施例の脱穀装置の構成を示す側面一部断面図である。
【0006】初めに、本発明に係わるコンバインの全体構成について、図1、図2により説明する。クローラ式走行装置1上に機体フレーム2を載置し、該機体フレーム2前端に引起し・刈取装置8を昇降可能に配設し、該引起し・刈取装置8は、前端に分草板3を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース4を立設して該引起しケース4より突出したタインの回転により穀稈を引き起こして、分草板3後部に配設した刈刃5にて株元を刈り取る。そして、刈り取った穀稈は、上部搬送装置、下部搬送装置、及び縦搬送装置6にて後部へ搬送し、このうちの縦搬送装置6の後端から、株元をフィードチェーン7に受け継いで脱穀装置9内に穀稈を搬送する。
【0007】前記フィードチェーン7後端には、排藁搬送装置16が配設され、該排藁搬送装置16後部下方に配設した排藁カッター装置17にて、搬送されてきた排藁を切断し、左側で切断された排藁を拡散スパイラ18で右側に送り、既刈り側の圃場に放出している。また、前記脱穀装置9の側部には、選別後の精粒を貯留するグレンタンク12が配設され、該グレンタンク12前部には、運転部19が配設されている。
【0008】前記脱穀装置9の下方には、揺動選別装置10が配置され、該揺動選別装置10に、脱穀装置9内の扱室で脱穀された籾や藁屑が落下していく。該揺動選別装置10においては、揺動本体51が機枠65内に収納され、揺動本体51前部を、扱胴20前端部の下方に位置し、揺動本体51後部を、送塵口処理胴21後端部の下方まで位置させている。
【0009】この揺動本体51後部下面は、クランク軸等の揺動駆動機構61によって揺動駆動可能に連結されると共に、揺動本体51の前端部には、第一グレンパン52が形成され、該第一グレンパン52の後下方に、第二グレンパン53が形成されている。そして、第一グレンパン52と第二グレンパン53とは、いずれも板体を波状にして籾を後方に搬送し易く成形され、このうちの第一グレンパン52は、扱胴20前部下方に位置され、第二グレンパン53は、扱胴20中央部下方に位置されている。
【0010】前記第一グレンパン52後部より後方の下面には、導入口56が開口されると共に、第一グレンパン52後方には、揺動可能に複数のフルイ線54が支持されている。また、前記第二グレンパン53に連設して後方にチャフ部55が形成され、更に、該チャフ部55後方には、前後方向に長い棒状体の上面を波上に形成した複数のストローラック57が配されている。そして、第二グレンパン53の後部より後下方に膨出して膨出部58を成形し、該膨出部58下面には、落下口59が開口され、該落下口59の前部より後方途中位置まで、網状のグレンシーブ60によって被装されており、該グレンシーブ60によって、一番コンベア22の上方が被装されている。
【0011】また、プレファン26が、揺動本体51の前下方に配され、前記導入口56より揺動本体51内に選別風を送風して、前記フルイ線54上の籾等を後方に吹き飛ばすようにしている。更に、唐箕25が、揺動本体51の第二グレンパン53下方に配置され、落下口59よりチャフ部55に向けて選別風を送風し、チャフ部55の風選別と比重選別が行われている。そして、揺動本体51後上部の揺動本体51の略全幅に渡っては、吸引ファン30が横設されており、該吸引ファン30により、揺動選別装置10で分別された藁屑を吸引し、機体後部より排出するようにしている。
【0012】揺動本体51下方の前後途中位置には、左右方向に前記一番コンベア22と二番コンベア23とが横設され、このうちの一番コンベア22の他側には揚穀コンベア13が連結され、前記グレンシーブ60から一番コンベア22の流穀板28上に漏下された一番物は、一番コンベア22から揚穀コンベア13を通って前記グレンタンク12に搬送される。また、二番コンベア23の他端部には、還元コンベア14が連結されており、該還元コンベア14を通って、二番物を脱穀装置9前部に投入し、再度、揺動選別処理を行うようにしている。
【0013】次に、前記脱穀装置9について、図2、図3により説明する。脱穀装置9においては、扱室内に扱胴20と送塵口処理胴21とが軸芯を略前後方向にして横架され、このうちの扱胴20の下方には受網31が近設され、該受網31を通って、穀稈から脱粒された籾が、脱穀装置9の下方に設けた揺動選別装置10に落下するようにしている。また、送塵口処理胴21には、扱胴20から籾や藁屑が送られ、扱胴20よりも高速回転する送塵口処理胴21により、穂切れ粒や枝梗付着粒の脱粒処理を行うようにしている。
【0014】そして、扱胴20の軸心20aは機体前後水平方向に向けられて配置され、該扱胴20の外周には、複数の扱歯41が螺旋状に突設されている。該扱歯41には、整そ歯、補強歯、並歯などがあり、このうちの整そ歯は、扱胴20の最前方に配設され、穀稈の穂先をそろえて、脱粒工程で穂先をすく際に余計な抵抗が発生し所要動力が変動しないようし、次いで補強歯と並歯が、螺旋状に配列され、脱粒すると同時にこなし処理を行なうようにしている。
【0015】また、受網31は、外枠31aと、該外枠31a内に張設された網体31cと、該網体31cを押さえたり分割する仕切枠31bとから構成され、このうちの仕切枠31bは、網体31cを補強して変形を防止したり、流動する籾を堰き止めて落下を促進する働きに加え、流動する穀稈の上下を反転させて、それまで扱歯41に当たらない部分にあった穂を扱歯41に当たるようにして、扱き残しを防止する作用(以下「反転作用」とする)を有する。
【0016】次に、このような構成よりなる脱穀装置9に関し、本発明の第一実施例について、図3により説明する。本実施例においては、受網31は、扱胴20の外周面20bに対し傾斜して配設している。また、本実施例では下扱き式としているが上扱き式にも適用可能である。
【0017】扱胴20は、軸芯20a方向の全長に渡って略同一径であるが、その外周面20b上に螺旋状に配設した扱歯41の突出高さ41aは徐々に低くなるように、脱穀始端部から離間するほど低く構成され、脱穀終端では最低となる。このような扱歯41の先端部41bに網体31cが近接するように、受網31が、扱胴20の外周面20bに対して傾斜配置され、受網31と扱歯41先端を結ぶ線が平行となるようにしている。こうして扱胴20の外周面と受網31との間隔が穀稈搬送方向に対して徐々に狭くなるように構成している。
【0018】このような構成において、前記引起し・刈取装置8で刈り取られた穀稈が、縦搬送装置6の後端からフィードチェーン7を介して扱室内に供給されると、扱胴20の脱穀始端部では、扱胴20と受網31との隙間が広く穀稈の処理空間が大きいため、脱穀前で嵩の大きい穀稈も、余裕を持って掻き込まれた後に、過大な圧力がかかることなく、じっくりと脱穀される。そして、穀稈が脱穀始端部から脱穀終端側に徐々に移動していくと、脱穀が進行し落下した籾の分だけ穀稈の嵩も減少していくが、この嵩の減少に対応して扱胴20と受網31との隙間も狭くなり、残った籾の量に対して広すぎることのない、適切な処理空間内において、扱き残った穀稈の脱穀が行われる。
【0019】すなわち、受網31等で取り囲んだ扱室に、外周面20bに扱歯41を突設した扱胴20を配置し、該扱胴20を回動して脱穀処理を行う脱穀装置9において、前記受網31と扱胴20との隙間は、脱穀始端側よりも脱穀終端側を小さくするので、前記隙間を調整することにより、脱穀始端部に大きな処理空間を確保するとともに、脱穀終端部には小さな処理空間を確保することができ、脱穀始端部で、脱穀前の嵩の大きな穀稈が短時間に無理に掻き込まれて、ささり粒や塵等が発生したり、脱穀終端部で、少なくなった籾を扱くことができずに扱き残しが発生するという問題を、確実に防止することができ、脱穀性能を大きく向上させることができる。
【0020】さらに、前記受網31は、扱胴20の外周面20bに対して傾斜して配設し、脱穀終端側ほど、前記隙間が漸減するように構成したので、脱穀とともに減少する籾の分だけ、脱穀の処理空間を徐々に小さくすることができ、脱穀途中部においても、残った籾の量に対して適切な処理空間を確保できるため、脱穀始端部、終端部における、ささり粒、塵、扱き残し等の発生防止に加え、脱穀効率全体も向上させて処理能力をアップすることができる。しかも、この隙間の変更のために、扱胴20の形状等を変える必要がなく、従来部品の流用による部品コストの低減も図ることができる。
【0021】次に、第二実施例について、図4により説明する。本実施例においては、受網32の網体を、前後方向(穀稈の搬送方向)で複数の網体32c・32d・32eに分割し、これらを扱胴20の外周面20bに対して階段状に配設している。
【0022】扱胴20は、軸芯20a方向の全長に渡って略同一径であるが、その外周面20b上に螺旋状に配設した扱歯42は、突出高さの高い順に第一扱歯42a、第二扱歯42b、第三扱歯42cの3種から構成され、脱穀始端部から離間するほど低くなるよう、各種扱歯は、いずれも特定幅をもって配設されている。
【0023】前記特定幅をもった扱歯42a・42b・42cの下方の先端部には、前記網体32c・32d・32eがそれぞれ近接し、これらの網体32c・32d・32eは、いずれも扱胴20の外周面20b及び扱歯42a・42b・42cの先端を結ぶ線に対して平行に配置されている。このうちの網体32c後縁と網体32d前縁間、及び網体32d後縁と網体32e前縁間のいずれも、仕切枠32bで連結支持されており、脱穀終端側になるに従い、網体が、前記仕切枠32bの高さ分だけ扱胴20の外周面20bに接近する構成としている。そして、仕切枠32bと網体32c・32d・32eから成る部分の最外周は、外枠32aにより支持されて、受網32が構成されている。
【0024】このような構成において、穀稈が扱室内に供給されると、扱胴20の脱穀始端部では、扱胴20と受網32との隙間が広くて穀稈の処理空間が大きいため、供給された脱穀前で嵩の大きい穀稈も、余裕を持って掻き込まれてじっくりと脱穀される上、脱穀終端部では、残った籾の量に対して大き過ぎることのない適切な処理空間内において、扱き残った穀稈の脱穀が行われる。そして、この脱穀には、段階的に変化する隙間内に突設された数種類の扱歯42が使用される。また、仕切枠32bで形成された段差部においては、前記反転作用が働き、それまで扱歯42に当たらない部分にあった穂を、扱歯42に当たるようにすることができる。
【0025】すなわち、受網42は、扱胴20の外周面20bに対して階段状に配設し、脱穀終端側ほど、前記隙間が段差部で段階的に減少するように構成したので、籾の量に対して適切な処理空間を確保し、ささり粒、塵、扱き残し等の発生を防止できるばかりでなく、受網を傾斜させた場合に比べ、扱歯42の種類を少なくして部品コストを低減できる。
【0026】さらに、前記段差部を、受網42を分割する仕切部である仕切枠32bに設けたので、段差部で、それまで扱歯42に当たらない部分にあった穂を反転して当たるようにすることができ、扱き残しをより一層確実に防止することができるのである。
【0027】次に、第三実施例について、図5により説明する。本実施例においては、受網33の網体を、複数の網体33c・32dに分割し、これらを扱胴20の外周面20bに対して階段状に配設すると共に、網体33c・32d間を、傾斜した仕切部33bで連結している。
【0028】前記第二実施例と同様に、扱胴20は、軸芯20a方向の全長に渡って略同一径であり、その外周面20b上に螺旋状に配設した扱歯43は、突出高さの高い順に第一扱歯43a、第二扱歯43bの2種から構成され、脱穀始端部から離間するほど低くなるようにし、各種扱歯は、いずれも特定幅をもって配設されている。
【0029】前記特定幅をもった扱歯43a・43bの先端部には、前記網体33c・33dがそれぞれ近接し、これらの網体33c・33dは、いずれも扱胴20の外周面20bに対して平行に配置されている。このうちの網体33c後縁と網体33d前縁間は仕切枠33bで連結支持されており、脱穀終端側になるほど、前記仕切枠33bの高さ分だけ網体が扱胴20の外周面20bに接近する構成としている。そして、仕切枠33bと網体33c・33dから成る部分の最外周は、外枠33aにより支持されて、受網33が構成されている。
【0030】このような構成において、扱室内に供給され、第一扱歯43aと網体33cとの間で脱穀された穀稈は、傾斜した仕切枠33bの内面を円滑に移動していき、目詰まりを起こすことなく、脱穀終端側の第二扱歯43bと網体33dとの間に確実に流入して脱穀される。
【0031】すなわち、前記仕切部である仕切枠33bを、扱胴20の外周面20bに対して傾斜して配設したので、段差部による穂の反転作用を確保しつつ、段差部における穀稈の移動も円滑に行うことができ、多量の穀稈を目詰まりすることなく脱穀処理することができる。
【0032】次に、第四実施例について、図6により説明する。本実施例においては、扱胴62は、脱穀終端部の径を大きくして、扱胴外周面と受網34との間隔を、穀稈搬送方向において前部が広く、後部が狭くなるようにしている。
【0033】受網34は、従来の如く、扱胴62の全長に渡って軸芯62aより略同一距離上に配置されているが、扱胴62は、脱穀始端側から順に、円筒部62b、テーパ部62c、及び大径円筒部62dとから構成されている。
【0034】前記円筒部62bの外周面上には、突出高さの高い扱歯44aが螺旋状に配設され、この円筒部62bの右端部に、テーパ部62cの左端部が連結され、該テーパ部62cは、左端部において最小の断面積を有する。さらに、該断面積は、脱穀終端側になるほど増加していき、テーパ部62cの右端部には大径円筒部62dの左端部に連結され、該大径円筒部62dの外周面上には、突出高さの低い扱歯44bが螺旋状に配設されている。さらに、前記テーパ部62cの外周面には、螺旋状にエコ歯などの送り歯50が配設され、円筒部62bから大径円筒部62dへの穀稈の移動を円滑にしている。
【0035】このような構成において、扱室内に供給され、扱歯44aと、外枠34a・34bとで支持された網体34cとの間で脱穀された穀稈は、テーパ部62cの外周面沿いに送り歯50で取り込まれ、目詰まりを起こすことなく、脱穀終端部にある扱歯44bと網体34cとの間に確実に流入して脱穀される。
【0036】すなわち、扱胴62は、脱穀始端側から脱穀終端部近傍までの円筒部62bと、脱穀終端部の大径円筒部62dと、該大径円筒部62dと前記円筒部62bとを連結する円錐台状のテーパ部62cとから構成し、該テーパ部62cには、取り込み性に優れた送り歯50を設けるので、脱穀終端部での処理空間を小さくして、少なくなった籾でも確実に脱穀でき、このときの脱穀終端部への穀稈の移動も円滑にできる。しかも、受網と扱胴外周面との隙間調整を受網の配置や形状の変更により行う場合とは異なり、受網の剛性低下の心配がなく、脱穀中の隙間変動を最小限に抑制することができ、より安定した脱穀性能が確保できるのである。
【0037】次に、第五実施例について、図7により説明する。本実施例においては、扱胴63は、脱穀始端部の径を小さくしている。
【0038】受網35は、第四実施例と同じく、扱胴63の全長に渡って軸芯63aより略同一距離上に配置されているが、扱胴63は、脱穀始端側から順に、テーパ部63b、円筒部63cとから構成されている。
【0039】円筒部63cの外周面上には、扱歯45bが螺旋状に配設され、この円筒部63cの左端部に、テーパ部63bが連結されている。そして、該テーパ部63bは、脱穀始端側ほど径が減少すると共に、テーパ部63bの外周面には、突出高さの異なる扱歯45aが螺旋状に配設され、該扱歯45aの先端部は、前記扱歯45bの先端部と同じ外径上に位置するように構成している。
【0040】このような構成において、扱室内に供給され、扱歯45aと、外枠35a・35bとで支持された網体35cとの間に取り込まれた穀稈は、大きな処理空間で適正な圧力でじっくりと脱穀され、同時に、穀稈から扱胴63に作用する負荷も小さくて済む。
【0041】すなわち、扱胴63は、脱穀始端部の円錐台状のテーパ部63bと、脱穀始端部近傍から脱穀終端側までの円筒部63cとから構成し、前記テーパ部63bは脱穀始端側ほど径が減少するので、脱穀始端部での処理空間を大きくして、ささり粒や塵等の発生が抑制できると同時に、扱胴63の駆動に必要な動力も低減することができる。しかも、受網35と扱胴63との隙間調整を受網35の配置や形状の変更により行う場合とは異なり、受網35の剛性低下の心配がなく、脱穀中の隙間変動を最小限に抑制でき、安定した脱穀性能が確保することができる。なお、上述した受網31乃至受網35は、クリンプ網でもステンレス丸棒の編体でもよく、扱歯との間で脱穀作用が働くものであればよく、特には限定されない。
【0042】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏する。すなわち、請求項1のように、受網等で取り囲んだ扱室に、外周面に扱歯を突設した扱胴を配置し、該扱胴を回動して脱穀処理を行う脱穀装置において、前記受網と扱胴外周面との隙間は、脱穀始端側よりも脱穀終端側を小さくするので、前記隙間を調整することにより、脱穀始端部に大きな処理空間を確保すると共に、脱穀終端部には小さな処理空間を確保することができ、脱穀始端部で、脱穀前の嵩の大きな穀稈が短時間に無理に掻き込まれて、ささり粒や塵等が発生したり、脱穀終端部で、少なくなった籾を扱くことができずに扱き残しが発生するという問題を、確実に防止することができ、脱穀性能を大きく向上できるのである。
【0043】請求項2のように、請求項1記載の受網は、扱胴の外周面に対して傾斜して配設し、脱穀終端側ほど、前記隙間が漸減するように構成したので、脱穀とともに減少する籾の分だけ、脱穀の処理空間を徐々に小さくすることができ、脱穀途中部においても、残った籾の量に対して適切な処理空間を確保できるため、脱穀始端部、終端部における、ささり粒、塵、扱き残し等の発生防止に加え、脱穀効率全体も向上させて処理能力をアップすることができる。しかも、この隙間の変更のために、扱胴の形状等を変える必要がなく、従来部品の流用による部品コストの低減も図ることができる。
【0044】請求項3のように、請求項1記載の受網は、扱胴の外周面に対して階段状に配設し、脱穀終端側ほど、前記隙間が段差部で段階的に減少するように構成したので、籾の量に対して適切な処理空間を確保し、ささり粒、塵、扱き残し等の発生を防止できるばかりでなく、受網を傾斜させた場合に比べ、扱歯の種類を少なくして部品コストを低減できる。
【0045】請求項4のように、請求項3記載の段差部を、受網を分割する仕切部に設けたので、段差部で、それまで扱歯に当たらない部分にあった穂を反転して当たるようにすることができ、扱き残しをより一層確実に防止することができるのである。
【0046】請求項5のように、請求項4記載の仕切部を、扱胴の外周面に対して傾斜して配設したので、段差部による穂の反転作用を確保しつつ、段差部における穀稈の移動も円滑に行うことができ、多量の穀稈を目詰まりすることなく脱穀処理することができる。
【0047】請求項6のように、請求項1記載の扱胴は、脱穀始端側から脱穀終端部近傍までの円筒部と、脱穀終端部の大径円筒部と、該大径円筒部と前記円筒部とを連結する円錐台状のテーパ部とから構成し、該テーパ部には、取り込み性に優れた送り歯を設けるので、脱穀終端部での処理空間を小さくして、少なくなった籾でも確実に脱穀でき、このときの脱穀終端部への穀稈の移動も円滑にできる。しかも、受網と扱胴外周面との隙間調整を受網の配置や形状の変更により行う場合とは異なり、受網の剛性低下の心配がなく、脱穀中の隙間変動を最小限に抑制することができ、より安定した脱穀性能が確保できるのである。
【0048】請求項7のように、請求項1記載の扱胴は、脱穀始端部の円錐台状のテーパ部と、脱穀始端部近傍から脱穀終端側までの円筒部とから構成し、前記テーパ部は脱穀始端側ほど径が減少するので、脱穀始端部での処理空間を大きくして、ささり粒や塵等の発生が抑制できると同時に、扱胴の駆動に必要な動力も低減することができる。しかも、受網と扱胴外周面との隙間調整を受網の配置や形状の変更により行う場合とは異なり、受網の剛性低下の心配がなく、脱穀中の隙間変動を最小限に抑制でき、安定した脱穀性能が確保することができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成13年11月30日(2001.11.30)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2003−164216(P2003−164216A)
【公開日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願番号】 特願2001−367089(P2001−367089)