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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】松谷 俊一
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】コンバインの前処理部を上昇動作させて非刈取り作業状態で枕地を旋回する際の走行抵抗増大による過度なエンジンドロップを回避すると共に、上記旋回時に前処理部の掻き込み装置から穀稈が落下する、所謂稈こぼれの発生を防止する。

【解決手段】左右一対のクローラ走行装置11,11を備えた走行機体12と、該走行機体12に搭載した脱穀部45と、前記走行機体12の前部に昇降自在に架設した前処理部16を有し、圃場端で刈取り作業を中断して枕地を旋回する際に、前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態とするようになしたコンバインにおいて、前記前処理部16の上昇動作に連動して、該前処理部16の作動速度を減速する減速手段を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右一対のクローラ走行装置(11,11)を備えた走行機体(12)と、該走行機体(12)に搭載した脱穀部(45)と、前記走行機体(12)の前部に昇降自在に架設した前処理部(16)を有し、圃場端で刈取り作業を中断して枕地を旋回する際に、前処理部(16)を上昇動作させて非刈取り作業状態とするようになしたコンバインにおいて、前記前処理部(16)の上昇動作に連動して、該前処理部(16)の作動速度を減速する減速手段を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】 左右一対のクローラ走行装置(11,11)を備えた走行機体(12)と、該走行機体(12)に搭載した脱穀部(45)と、前記走行機体(12)の前部に昇降自在に架設した前処理部(16)を有し、圃場端で刈取り作業を中断して枕地を旋回する際に、前処理部(16)を上昇動作させて非刈取り作業状態とするようになしたコンバインにおいて、当該コンバインの旋回前の車速から旋回時の所要エンジン馬力を算出すると共に、該所要エンジン馬力における旋回時の必要エンジン回転数を求め、旋回前のエンジン回転数が前記必要エンジン回転数に満たない場合は、前記前処理部(16)の上昇動作に連動して、該前処理部(16)の作動速度を減速する減速手段を設けたことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの前処理部の作動制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のコンバインにおいては、圃場端で刈取り作業を中断して枕地を旋回する際の走行抵抗増大によるエンジンドロップを回避するために、前記コンバインでの刈取り作業中に前処理部を上昇動作させて非刈取り作業状態とした時、前記前処理部と脱穀フィードチェンの作動を停止するように構成し、それによって枕地を旋回する際の動力損失を低減させるようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来のものは、前処理部の作動停止によって、該前処理部の掻き込み装置に穀稈が搬送途中で残存し、その穀稈がコンバインの走行に伴って落下する、所謂稈こぼれが起こる問題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決することを目的として創案したものであって、左右一対のクローラ走行装置を備えた走行機体と、該走行機体に搭載した脱穀部と、前記走行機体の前部に昇降自在に架設した前処理部を有し、圃場端で刈取り作業を中断して枕地を旋回する際に、前処理部を上昇動作させて非刈取り作業状態とするようになしたコンバインにおいて、前記前処理部の上昇動作に連動して、該前処理部の作動速度を減速する減速手段を設けたことを第1の特徴としている。
【0005】また、左右一対のクローラ走行装置を備えた走行機体と、該走行機体に搭載した脱穀部と、前記走行機体の前部に昇降自在に架設した前処理部を有し、圃場端で刈取り作業を中断して枕地を旋回する際に、前処理部を上昇動作させて非刈取り作業状態とするようになしたコンバインにおいて、当該コンバインの旋回前の車速から旋回時の所要エンジン馬力を算出すると共に、該所要エンジン馬力における旋回時の必要エンジン回転数を求め、旋回前のエンジン回転数が前記必要エンジン回転数に満たない場合は、前記前処理部の上昇動作に連動して、該前処理部の作動速度を減速する減速手段を設けたことを第2の特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1において、コンバイン10は、左右一対のクローラ走行装置11,11により支持された走行機体12を有している。そして、前記走行機体12の前部の左右一側には、エンジン13を搭載し、このエンジン13の上方には、運転席15を配置している。
【0007】また、前記走行機体12の前部の他側には、穀稈を刈取り搬送する前処理部16を昇降自在に架設すると共に、その後方に刈取った穀稈を脱穀し、脱穀した穀粒を選別する脱穀部45を設けている。
【0008】そして、前記クローラ走行装置11,11、前処理部16、及び脱穀部45は、前記エンジン13によって駆動し、それによりコンバイン10の走行と、穀稈の刈取り、脱穀作業が行われる。
【0009】また、前記前処理部16は、穀稈を引起す引起し装置26と、切断した穀稈を掻き込む掻き込み装置31と、刈取った穀稈を脱穀部45へ向けて搬送すると共に、穀稈の扱ぎ深さを適正に調整する扱ぎ深さ搬送装置36を備え、且つ、基端側を走行機体12の前方に配置した伝動軸ケース17に回転可能に支持してある。
【0010】そして、前記伝動軸ケース17から走行機体12に対し、該走行機体12の前方斜め下方に向けて延出した伝動ケース19は、その長手方向の略中間位置に配置した油圧シリンダ20の伸縮により、伝動軸ケース17を中心として前後に回動する。尚、前記伝動軸ケース17には、伝動ケース19の回動量を検出するリフトポテンショメータ21を設けている。
【0011】また、前記伝動ケース19の下方には、該伝動ケース19と略T字状に直交する伝動軸筒22を走行機体12の左右方向に延設すると共に、両者を一体的に連結してある。前記伝動軸筒22には、走行機体12の前方に向かって延びる前処理フレーム23を介して、未刈り穀稈を分草して引起し通路に導く複数個のデバイダ25を一体的に連結している。
【0012】そして、前記デバイダ25の後方には、分草した穀稈を引起す引起し装置26が、前記前処理部16の前方から後方に向けて上昇する傾斜状に設けてある。前記引起し装置26は、爪付チェン27と引起しケース29を有し、前記爪付チェン27には所定の間隔で複数本の爪が取付けてあり、これらの爪が引起しケース29内を上方に回動することにより穀稈をすき上げるようになっている。
【0013】また、前記引起し装置26の後方で、且つ伝動軸筒22の前方下部には、地面に近い位置で穀稈の株元を切断する刈刃30が設けてあり、この刈刃30により切断した穀稈を、掻き込み装置31によって掻き込みながら後方に移送する。
【0014】前記掻き込み装置31は、搬送ベルト32と株元搬送スターホイル33、及び株元搬送チェン35等を有しており、前記刈刃30によって刈取られた穀稈は、搬送ベルト32と株元搬送スターホイル33によって掻き込まれて各々の通路に寄せられ、そして、株元搬送チェン35によって挟持されながら掻き込み装置31の後方に配設した前記扱ぎ深さ搬送装置36に引き継がれる。
【0015】前記扱ぎ深さ搬送装置36は、穀稈の扱ぎ深さを適正に調整すべく、その後部が前記伝動軸ケース17を中心として回動可能に支持してあり、穀稈の穂先側を搬送する穂先搬送チェン37と株元側を搬送する株元搬送チェン39を備えている。これら穂先搬送チェン37と株元搬送チェン39は、前述した後部を支点に一体となって図中矢印方向に上下動すると共に、その始端側を掻き込み装置31の株元搬送チェン35の搬送方向終端側上方に延出してある。
【0016】また、前記扱ぎ深さ搬送装置36に付設したUパイプ部40には、搬送途中の穀稈の有無を検出する第1の検出手段として、ON・OFFスイッチからなる扱ぎ深さメインセンサ41が配設してある。そして、前記Uパイプ部40には、第2の検出手段として、株元センサ42と、穂先センサ43からなる株元・穂先センサが取付けてある。この株元・穂先センサを構成する株元センサ42と穂先センサ43は、各々ON・OFFスイッチからなり、当該株元・穂先センサによって、前記掻き込み装置31から扱ぎ深さ搬送装置36に引き継がれた穀稈の穂先の位置を検出する。
【0017】前記脱穀部45には、フイードチェン46と、このフイードチェン46に略平行な扱室47を設けると共に、該扱室47には、走行機体12の前後方向に沿う回転軸を中心とした扱胴49を回転自在に配設している。更に、この扱胴49の下方には、脱穀した穀粒を漏下するための受網50を配設すると共に、その受網50の下方には、前後揺動可能な揺動選別体51を設けている。
【0018】そして、前記扱胴49により脱穀した稈枝混じりの穀粒は、揺動選別体51の揺動作用と唐箕52及び排塵ファン53から発生する選別風とにより選別された穀粒のみが、前記揺動選別体51下方の1番樋55または2番樋56に落下収容される。また、前記扱室47で扱胴49により脱穀した後の穀稈は、フイードチェン46から機体12の後部に設けた排稈チェン57に引き継いでコンバイン10の後部から排出される。
【0019】また、前記エンジン13を動力源とするコンバイン10の駆動系統は、図2に示すように構成してある。同図において、コンバイン10の走行駆動系を構成するトランスミッション59(T/M)には、主変速機を構成する走行駆動用無断変速機60(以下、走行用HSTとする)と、副変速機61及び歯車列62を配置してクローラ走行装置11,11を駆動させる。
【0020】前記エンジン(E/G)13から走行用HST60へは、エンジン13の出力軸13aに固定したプーリ13bと、走行用HST60の入力軸60aに固定したプーリ60bの間に掛け渡したベルト63によって動力を伝達する。
【0021】また、駆動軸65は、コンバイン10の所定の位置に回転可能に支持してあり、前記エンジン13から駆動軸65へは、エンジン13の出力軸13aに固定したプーリ13cと、駆動軸65に固定したプーリ65aの間に掛け渡したベルト66によって動力を伝達する。尚、前記ベルト66には、作業機クラッチ67(テンションクラッチ)を配置してある。
【0022】そして、前記駆動軸65から中間軸69へは、駆動軸65の一端に固定した傘歯車65bと、この傘歯車65bに噛み合うように中間軸69に固定した傘歯車69aによって動力を伝達する。更に、前記中間軸69から扱胴49へは、中間軸69の一端に固定したプーリ69bと、扱胴49の入力軸49aの一端に固定したプーリ49bの間に掛け渡したベルト70によって動力を伝達する。したがって、前記扱胴49は、作業機クラッチ67をONにすることにより回転する。
【0023】一方、前処理用変速機71は、前処理駆動用無断変速機72(以下、前処理用HSTとする)を備えている。前記駆動軸65から前処理用HST72へは、駆動軸65に固定したプーリ65cと、前処理用HST72の入力軸72aに固定したプーリ72bの間に掛け渡したベルト73によって動力を伝達する。尚、前記前処理用HST72は、HST駆動モータ75を備え、該駆動モータ75によりその回転速度を制御するように構成してある。
【0024】前記前処理用HST72は、前処理用変速機71の出力軸71cを、前記走行用HST60の回転に比例させるT/M回転比例モード、或いは、前記エンジン13の回転速度に比例して回転させるE/G回転比例モードにより回転させて、前記前処理部16及び脱穀部45のフイードチェン46を作動させるようになっている。尚、本発明の実施形態においては、前記T/M回転比例モードを採用している。
【0025】また、前処理駆動軸76は、コンバイン10の所定の位置に回転可能に支持してあり、前記前処理用変速機71から前処理駆動軸76へは、前処理用変速機71の出力軸71cに固定したプーリ71dと、前処理駆動軸76に固定したプーリ76aの間に掛け渡したベルト77によって動力を伝達する。尚、前記ベルト77には、刈取りクラッチ79(テンションクラッチ)を設けてあり、該刈取りクラッチ79をOFFにすることにより、前記脱穀部45の駆動中に前処理部16を停止させ、それによって手扱ぎ作業が行えるようにしてある。
【0026】そして、前記前処理駆動軸76から扱ぎ深さ搬送装置36へは、傘歯車76bと、この傘歯車76bと噛み合う傘歯車37aにより動力を伝達し、それによって穂先搬送チェン37と株元搬送チェン39を作動させる。
【0027】また、伝動軸80は、コンバイン10の所定の位置に回転可能に支持してあり、前記前処理駆動軸76から伝動軸80へは、前処理駆動軸76に固定した傘歯車76cと、この傘歯車76cと噛み合うように伝動軸80に固定した傘歯車80aによって動力を伝達する。前記伝動軸80は、刈刃30を駆動すると共に、伝動軸80に固定した歯車80bと噛み合う歯車32aと、この歯車32aと噛み合う歯車32bを介して掻き込み装置31の搬送ベルト32も作動するように構成してある。
【0028】また、駆動軸81は、コンバイン10の所定の位置に回転可能に支持してあり、前記前処理用変速機71の出力軸71cから駆動軸81へは、出力軸71cに固定した歯車71eと、該歯車71eと噛合する歯車71fに一体的に固着したスプロット71gと、前記駆動軸81に固定したスプロット81aとの間に掛け渡したチェン82によって動力伝達がなされる。そして、前記駆動軸81の軸端に固定したスプロット81bによりフイードチェン46を作動させる。
【0029】また、上述したコンバイン10の制御装置85は、図3に示す制御系統図のように構成してある。同図において、当該制御装置85は、入力インタフェース86と、マイクロコンピュータ87及び出力インタフェース89を備え、コンバイン10のメインスイッチ及びスタータスイッチを兼ねるキースイッチ90に接続してある。
【0030】前記入力インタフェース86には、リフトポテンショメータ21、リフト上昇スイッチ91、作業機クラッチスイッチ92、刈取クラッチスイッチ93、扱ぎ深さメインセンサ41、リフトシャットスイッチ94、バックスイッチ96、T/M(トランスミッション)回転センサ97、HST回転センサ98、エンジン回転センサ99等を接続してある。
【0031】前記リフト上昇スイッチ91は、マルチステアリングレバー(図示せず)による前処理部16の昇降操作に連繋してON・OFF作動するように構成してあり、前記上昇スイッチ91を連続してON状態とすることによって、前処理部16が連続して上昇する。
【0032】前記作業機クラッチスイッチ92は、作業機クラッチレバー(図示せず)に付設してあり、その作業機クラッチレバーの入・切操作によってON・OFF作動する。そして、前記作業機クラッチレバーの入・切操作に連繋する作業機クラッチ67によって、コンバイン10の走行と、前処理部16及び脱穀部45の作動を、連動もしくは切り離すように構成してある。
【0033】また、前記刈取クラッチスイッチ93は、刈取クラッチレバー(図示せず)に付設してあり、その刈取クラッチレバーの入・切操作によってON・OFF作動する。そして、前記刈取クラッチレバーの入・切操作に連繋する刈取りクラッチ79によって、前処理部16と脱穀部45の作動を、連動もしくは切り離すように構成してある。
【0034】前記T/M回転センサ97は、走行用HST60の出力軸に設けてあり、その回転速度をコンバイン10の走行速度として検出している。また、前記HST回転センサ98は、前処理用HST72の出力軸に設けてあり、その回転速度を前処理部16における穀稈の搬送速度として検出している。そして、前記エンジン回転センサ99は、オルタネータの出力パルスをカウントすることによりエンジン13の回転速度を検知している。
【0035】一方、出力インタフェース89には、ホーン101、手扱ぎランプ102、前処理搬送用のHST駆動モータ75、E/Gストップソレノイド103等を接続してある。
【0036】さて、上述した構成のコンバイン10の制御装置85において、圃場端で刈取り作業を中断して前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態とし、しかる後に枕地を旋回する際における前記前処理部16の作動制御について、図4に示すフローチャートを参照しながら以下説明する。
【0037】先ず、S1では、刈取り作業中に前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態になったか否かを、前記リフトポテンショメータ21からの出力により判断し、NOであればS2に進み、YESであればS3に進む。
【0038】S2では、前記前処理用HST72を走行用HST60の回転に比例させるT/M回転比例モードによる通常の刈取り作業、即ち走行用HST60の回転に同調して前処理部16、及び脱穀部45のフイードチェン46を作動させる伝動制御がなされる。一方、非刈取り作業状態にあるS3においては、前記前処理用HST72を一定の低回転まで減速するものであって、これによって前処理部16を上昇動作させた非刈取り作業状態における不要の動力損失を低減させることが可能となると共に、前記前処理部16を上昇動作させて枕地を旋回する際、走行抵抗増大による過度なエンジンドロップによって旋回困難に陥ることを回避することができる。そして、上記制御は、従来のように前処理部16の回転伝動が停止するものではないので、当該コンバイン10の走行に伴って掻き込み装置31から穀稈が落下する、所謂稈こぼれが起こることはない。
【0039】また、図5に示すフローチャートは、圃場端で刈取り作業を中断して枕地を旋回する際に、前記前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態とした時の車速を検出し、それに基づいて枕地を旋回する際の所要エンジン馬力を算出すると共に、この所要エンジン馬力における旋回時の走行抵抗増大によるエンジンドロップを加味して旋回時の必要エンジン回転数を求め、旋回前のエンジン回転数が前記必要エンジン回転数に満たない場合は、前記前処理部16の作動速度を減速することによって不要の動力損失を低減させるように構成した伝動制御を示すものであって、以下この制御について同図を参照しながら説明する。
【0040】先ず、S1では、刈取り作業中に前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態になったか否かを、前記リフトポテンショメータ21からの出力により判断し、NOであればS2に進み、YESであればS3に進む。
【0041】S2では、前記前処理用HST72を走行用HST60の回転に比例させるT/M回転比例モードによる通常の刈取り作業、即ち走行用HST60の回転に同調して前処理部16、及び脱穀部45のフイードチェン46を作動させる伝動制御がなされる。一方、非刈取り作業状態にあるS3では、前記走行用HST60の出力軸に設けられたT/M回転センサ97によって、その回転速度をコンバイン10の車速として検出してS4に進む。
【0042】S4では、S3で検出した車速に基づいて、図6の通常作業におけるエンジンの性能曲線に示す如く枕地を旋回する際の所要エンジン馬力を算出すると共に、この所要エンジン馬力における旋回時の走行抵抗増大によるエンジンドロップを加味した旋回時に必要なエンジン回転数を求めてS5に進む。
【0043】そして、S5では、S4で求めた旋回時の必要エンジン回転数に、旋回前のエンジン回転数が満たない場合〔例えば、該エンジン回転数が図中(イ)のポイントにある場合〕はS6に進む。
【0044】S6では、旋回時の走行抵抗増大によるエンジンドロップを加味し、前記前処理用HST72を減速することによって、S5で例示した図中(イ)のポイントにあるエンジン回転数を、(ロ)のポイントまで上昇させ、コンバイン10の旋回時に必要なエンジン回転数を確保するための制御がなされる。尚、上記制御においては、コンバイン10の旋回時に、当該エンジンの最大馬力点に対応するエンジン回転数以上のエンジン回転が確保されるように、旋回時の走行抵抗増大によるエンジンドロップを加味して、前記前処理用HST72を減速させることが好ましい。
【0045】したがって、上述した制御は、コンバイン10の前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態で枕地を旋回する際に、その所要エンジン馬力を予測して旋回時に必要なエンジン回転数を確保するように構成したもので、それにより旋回時の走行抵抗増大による過度なエンジンドロップによって旋回困難に陥ることを回避することができる。そして、上記制御においても、従来のように前処理部16の回転伝動が停止するものではないので、当該コンバイン10の走行に伴って掻き込み装置31から穀稈が落下する、所謂稈こぼれが起こることはない。
【0046】また、図7に示すフローチャートのものは、刈取り作業中に前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態とした時、前記前処理用HST72を走行用HST60の回転に比例させるT/M回転比例モードによる通常の刈取り作業に換えて、各コンバイン10特有の脱穀部45での脱穀処理が最良選別条件で実行できるように、前記前処理用HST72の回転速度を当該コンバイン10特有の目標回転で制御するように構成したものであって、以下この制御について同図を参照しながら説明する。
【0047】先ず、S1では、刈取り作業中に前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態になったか否かを、前記リフトポテンショメータ21からの出力により判断し、NOであればS2に進み、YESであればS3に進む。
【0048】そしてS2では、前記前処理用HST72を走行用HST60の回転に比例させるT/M回転比例モードによる通常の刈取り作業、即ち走行用HST60の回転に同調して前処理部16、及び脱穀部45のフイードチェン46を作動させる伝動制御がなされる。一方、非刈取り作業状態にあるS3においては、各コンバイン10特有の脱穀部45での脱穀処理を最良選別条件で実行すべく、前記前処理用HST72の回転速度が当該コンバイン10特有の目標回転で制御される。
【0049】即ち、上述した制御は、刈取り作業中に前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態とした時、前記前処理部16と脱穀部45のフイードチェン46の搬送速度を、各コンバイン10に適した目標速度にコントロールすることにより、当該コンバイン10の脱穀部45での脱穀処理を最良選別条件で実行できるようにしたもので、それによって前記脱穀部45での穀粒の選別精度を向上させることができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、左右一対のクローラ走行装置11,11を備えた走行機体12と、該走行機体12に搭載した脱穀部45と、前記走行機体12の前部に昇降自在に架設した前処理部16を有し、圃場端で刈取り作業を中断して枕地を旋回する際に、前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態とするようになしたコンバインにおいて、前記前処理部16の上昇動作に連動して、該前処理部16の作動速度を減速する減速手段を設けたことによって、前記前処理部16を上昇動作させた非刈取り作業状態における不要の動力損失を低減させることが可能となると共に、前記前処理部16を上昇動作させて枕地を旋回する際、その走行抵抗増大による過度なエンジンドロップによって旋回困難に陥ることを回避することができる。そして、上記制御は、従来のもののように前処理部16の回転伝動が停止するものではないので、当該コンバイン10の走行に伴って掻き込み装置31から穀稈が落下する、所謂稈こぼれが起こることはない。
【0051】また、左右一対のクローラ走行装置11,11を備えた走行機体12と、該走行機体12に搭載した脱穀部45と、前記走行機体12の前部に昇降自在に架設した前処理部16を有し、圃場端で刈取り作業を中断して枕地を旋回する際に、前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態とするようになしたコンバインにおいて、当該コンバインの旋回前の車速から旋回時の所要エンジン馬力を算出すると共に、該所要エンジン馬力における旋回時の必要エンジン回転数を求め、旋回前のエンジン回転数が前記必要エンジン回転数に満たない場合は、前記前処理部16の上昇動作に連動して、該前処理部16の作動速度を減速する減速手段を設けたことによって、前記コンバインの前処理部16を上昇動作させて非刈取り作業状態で枕地を旋回する際に、その所要エンジン馬力を予測して旋回時に必要なエンジン回転数を確保することができるので、それにより旋回時の走行抵抗増大による過度なエンジンドロップによって旋回困難に陥ることを回避することができる。そして、上記制御においても、従来のもののように前処理部16の回転伝動が停止するものではないので、当該コンバイン10の走行に伴って掻き込み装置31から穀稈が落下する、所謂稈こぼれが起こることはない。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−325025(P2003−325025A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−134794(P2002−134794)