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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】矢吹 誠
【住所又は居所】岡山県岡山市江並428番地セイレイ工業株式会社内

【氏名】林 順二
【住所又は居所】岡山県岡山市江並428番地セイレイ工業株式会社内

【氏名】楠瀬 善雄
【住所又は居所】岡山県岡山市江並428番地セイレイ工業株式会社内

【要約】 【課題】刈取部前部10の刈刃装置21により植立穀稈を刈り取った後の地面に残った根株が機体1の進行時に左右駆動用伸縮シリンダ装置62と干渉したり、走行部2が排除した圃場の土が左右駆動用伸縮シリンダ装置62と干渉したり、或いは刈取部4により刈り取られる穀稈の藁屑が左右駆動用伸縮シリンダ装置62に引っ掛かるなどの現象を防止する。

【解決手段】機台1から前方へ張り出させた支持機構部9の左右向き支持杆15に左右一対の揺動アーム16a、16bを枢着すると共に、引起こし装置20a、20b及び刈刃装置21を支持した刈取部前部10を、前記左右一対の揺動アーム16a、16bを介して機台1に対し左右方向の移動自在に装設し、さらに前記刈取部前部10に左右方向の駆動力を付与するものとした左右駆動用伸縮シリンダ装置62を前記左右向き支持杆15の前側近傍箇所に左右向き姿勢として装着したコンバインにおいて、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置62を前記刈刃装置21の切断高さよりも高い位置に設けた構成となす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機台から前方へ張り出させた支持機構部の左右向き支持杆に左右一対の揺動アームを枢着すると共に、引起こし装置及び刈刃装置を支持した刈取部前部を、前記左右一対の揺動アームを介して機台に対し左右方向の移動自在に装設し、さらに前記刈取部前部に左右方向の駆動力を付与するものとした左右駆動用伸縮シリンダ装置を前記左右向き支持杆の前側近傍箇所に左右向き姿勢として装着したコンバインにおいて、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置を前記刈刃装置の切断高さよりも高い位置に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】 機台から前方へ張り出させた支持機構部の左右向き支持杆に左右一対の揺動アームを枢着すると共に、引起こし装置及び刈刃装置を支持した刈取部前部を、前記左右一対の揺動アームを介して機台に対し左右方向の移動自在に装設し、さらに前記刈取部前部に左右方向の駆動力を付与するものとした左右駆動用伸縮シリンダ装置を前記左右向き支持杆の前側近傍箇所に左右向き姿勢として装着したコンバインにおいて、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置の一端を前記左右向き支持杆に、そして他端を左右何れかの前記揺動アームの長さ途中に枢着したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】 機台から前方へ張り出させた支持機構部の左右向き支持杆に左右一対の揺動アームを枢着すると共に、引起こし装置及び刈刃装置を支持した刈取部前部を、前記左右一対の揺動アームを介して機台に対し左右方向の移動自在に装設し、さらに前記刈取部前部に左右方向の駆動力を付与するものとした左右駆動用伸縮シリンダ装置を前記左右向き支持杆の前側近傍箇所に左右向き姿勢として装着したコンバインにおいて、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置を前記刈刃装置の切断高さよりも高い位置に設けてあり、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置が前記刈取部前部を左右方向の任意位置に移動させ固定状態に保持するように作動することを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機台に対し左右移動可能となされた刈取部前部を備えたコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】機台から前方へ張り出させた支持機構部の左右向き支持杆に左右一対の揺動アームを枢着すると共に、引起こし装置及び刈刃装置を支持した刈取部前部を、前記左右一対の揺動アームを介して機台に対し左右方向の移動自在に装設し、さらに前記刈取部前部に左右方向の駆動力を付与するものとした左右駆動用伸縮シリンダ装置を設けたコンバインは存在している。
【0003】この種のコンバインにおいては、刈取部前部を左右移動させるための揺動アーム周辺の機構が比較的簡易で保守点検の行い易いものとなされているほか、揺動アームの揺動に伴う摩擦力を小さくして刈取部前部を比較的少ない動力で左右移動させることのできる構造となされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来のコンバインでは、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置の装着構造が複雑であり、また前記左右駆動用伸縮シリンダ装置が圃場の土や根株と接触し易いなどという問題があった。本発明は、これらの問題点を解消し得るものとしたコンバインを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、機台から前方へ張り出させた支持機構部の左右向き支持杆に左右一対の揺動アームを枢着すると共に、引起こし装置及び刈刃装置を支持した刈取部前部を、前記左右一対の揺動アームを介して機台に対し左右方向の移動自在に装設し、さらに前記刈取部前部に左右方向の駆動力を付与するものとした左右駆動用伸縮シリンダ装置を前記左右向き支持杆の前側近傍箇所に左右向き姿勢として装着したコンバインにおいて、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置を前記刈刃装置の切断高さよりも高い位置に設けた構成となす。
【0006】この発明によれば、前記刈取部前部の刈刃装置により植立穀稈を刈り取った後の地面に残った根株が機体の進行時に左右駆動用伸縮シリンダ装置と干渉したり、走行部が排除した圃場の土が左右駆動用伸縮シリンダ装置と干渉したり、或いは刈取部により刈り取られる穀稈の藁屑が左右駆動用伸縮シリンダ装置に引っ掛かるなどの現象が生じ難くなる。
【0007】また請求項2記載の発明では、機台から前方へ張り出させた支持機構部の左右向き支持杆に左右一対の揺動アームを枢着すると共に、引起こし装置及び刈刃装置を支持した刈取部前部を、前記左右一対の揺動アームを介して機台に対し左右方向の移動自在に装設し、さらに前記刈取部前部に左右方向の駆動力を付与するものとした左右駆動用伸縮シリンダ装置を前記左右向き支持杆の前側近傍箇所に左右向き姿勢として装着したコンバインにおいて、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置の一端を前記左右向き支持杆に、そして他端を左右何れかの前記揺動アームの長さ途中に枢着した構成となす。
【0008】この発明によれば、刈取部前部が従来のコンバインの構造を有効に利用した簡易な構造により確実に左右変位されるものとなり、また既存コンバインの空きスペースが前記左右駆動用伸縮シリンダ装置の装着スペースとして有効に利用されると共に前記左右駆動用伸縮シリンダ装置がコンパクトに装着されるほか、油圧系統の装着が容易に行えるものとなる。
【0009】また請求項3記載した発明では、機台から前方へ張り出させた支持機構部の左右向き支持杆に左右一対の揺動アームを枢着すると共に、引起こし装置及び刈刃装置を支持した刈取部前部を、前記左右一対の揺動アームを介して機台に対し左右方向の移動自在に装設し、さらに前記刈取部前部に左右方向の駆動力を付与するものとした左右駆動用伸縮シリンダ装置を前記左右向き支持杆の前側近傍箇所に左右向き姿勢として装着したコンバインにおいて、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置を前記刈刃装置の切断高さよりも高い位置に設けてあり、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置が前記刈取部前部を左右方向の任意位置に移動させ固定状態に保持するように作動する構成となす。
【0010】この発明によれば、前記刈取部前部を任意な左右位置に固定させるための構造として、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置周りにこのシリンダ装置以外の機構を設ける必要性がなくなり、前記左右駆動用伸縮シリンダ装置周りの構造の複雑化が回避されるものとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るコンバインの前部を示す左側面図、図2は前記コンバインの正面図、図3は前記コンバインの前部の平面図、図4は前記コンバインの刈取部の右側面図、図5は前記平行リンク機構の一部を示す左側面図、図6は前記刈取部の駆動系統を示す図、図7は前記刈取部を左右移動させるための平行リンク機構を示す平面図、、図8は前記平行リンク機構を変形させるための油圧系統を示す図である。
【0012】本実施例のコンバインは、図1〜図4に示すように、機台1を支持した走行部2、機台1前方に位置され機台1上の特定横向き軸をなす刈取入力軸3回りの上下変位可能に形成された刈取部4、機台1上部の概ね中央に装設された脱穀部5、この脱穀部5の前方右側の機台1上に形成された操縦部6、前記脱穀部5右側の機台1上に配設された穀粒タンク7、及び、脱穀部5後方の機台1上に配設された図示しない排藁処理部を備えてなり、条植穀稈を機体の走行中に刈り取って脱穀し、こうして得られた穀粒及び切れわら等の混合物から精選された穀粒を順次に穀粒タンク7内に貯留させるように作動するものである。
【0013】図1及び図2に示すように、走行部2は左右一対の走行クローラ2a、2aからなっており、これら走行クローラ2a、2aのトラックフレーム8に前記機台1を支持させている。また刈取部4は、機台1の前部から前方へ張り出した状態に形成された支持機構部9と、この支持機構部9に前後向きとなされた揺動アーム16a、16bを介して機台1に対し左右移動自在に支持された刈取部前部10とからなっている。
【0014】この際、支持機構部9は図1、図3及び図5に示すように、機台1上に左右一対の軸受台11a、11bを起立させ、これら軸受台11a、1lbの上部に軸受を介して刈取入力軸ケース12を回動自在に支持し、この軸ケース12の長さ途中から刈取主フレーム13を機台1前部から前斜め下方へ張り出させ、この刈取主フレーム13と機台1との間に上下駆動用伸縮シリンダ装置14を装架して刈取主フレーム13を上下方向の揺動駆動可能となし、この刈取主フレーム13の先部に左右向き支持杆15を固定したものとなしてある。
【0015】そして、左右向き支持杆15の各端部に前記揺動アーム16a、16bの後端を支点軸s1を介して枢着すると共に各揺動アーム16a、16bの先端を前記刈取部前部10の一部をなす左右向き伝動軸ケース17の左右端部に固定されたコ字形結合部材17a、17bに縦向き軸s2、s2を介して枢結して、二つの揺動アーム16a、16bと、左右向き支持杆15及び左右向き伝動軸ケース17とで平行リンク機構Hを形成している。なお、図5中、nはボールベアリング、rは左右向き支持杆15と揺動アーム16aとの間に装着された摩擦緩和用板状部材である。
【0016】次に刈取部前部10について説明すると、図1及び図3に示すように、左右向き伝動軸ケース17の両端部及び中央箇所のそれぞれから前後向き刈取フレーム18a、18b、18cを前方へ張り出させ、これら前後向き刈取フレーム18a、18b、18cに前側から順に、機体左右方向で隣接した条植穀稈を分草するデバイダ19a、19b、19c、分草された条植穀稈を引き起こす左右一対の引起こし装置20a、20b、条植穀稈を刈り取る刈刃装置21、及び、刈り取られる前の穀稈や、刈り取られた後の穀稈(刈取穀稈)を特定箇所へ掻き込む掻込み装置22を装設したものとなしてある。
【0017】この際、図1及び図2に示すように、左右の各引起こし装置20a、20bの下部は前後向き刈取フレーム18a、18cから起立させた支持部材23a、23bに固定させ、また左側の引起こし装置20aの上部後面は左右向き伝動軸ケース17の左端から起立させた左引起こし伝動軸ケース24aの上部に引起こし入力部25aを介して支持させると共に、右引起こし装置20bの上部後面は左右向き伝動軸ケース17の右端から起立させた右引起こし伝動軸ケース24bの上部に引起こし入力部25bを介して支持させ、さらに左右の引起こし装置20a、20bの上部間を左右方向の外力に対し十分な剛性を発揮する構造となすように正面視逆U字形の管部材26で結合させる。そして掻込み装置22は図3に示すように、一対の掻込みベルト27a、27bを平面視で左右対称の前拡がり配置に設けると共に、各掻込みベルト27a、27bの後部下方にはそれぞれ1つのスターホイール28a、28bを設け、これらスターホイール28a、28bの歯部をかみ合わせたものとなす。
【0018】図1、図2及び図3に示すように、刈取部前部10と脱穀部5との間には刈取部4の一部をなす縦搬送装置29が設けてあり、この縦搬送装置29は株元側を挟持搬送する搬送チェーン部30と、穂先側を係止搬送する搬送タイン部31とを備えている。搬送チェーン部30及び搬送タイン部31はそれぞれの後端部を前記刈取入力軸ケース12にこの入力軸ケース12中心線回りの揺動可能で、しかも図3に示すような略縦向きの搬送駆動軸32回りの横向き揺動可能に支持され、また前後長さ途中を図示しない支持機構部を介して刈取主フレーム13と連動して上下揺動するように支持されると共に、刈取部前部10の左右移動に連動してそれぞれの前端部a、bが左右移動するほか、これら前端部a、bが同体状となって刈取部前部10に対し上下へ調整移動されるものとなされている。
【0019】図1、図3及び図4に示すように、刈取入力軸ケース12の左右長さ途中と右引起こし伝動軸ケース24b上部とは伸縮作動可能となされた揺動伝動ケース34を介して連結されている。この揺動伝動ケース34は刈取入力軸ケース12の左右長さ途中に図4に示すような略縦向きの軸c回りの揺動自在に係着された縦伝動ケース35と、この縦伝動ケース35から前方へ張り出させた後部伝動ケース36aと、この後部伝動ケース26aの前部内孔に出入り自在に内挿され且つ前端を右引起こし伝動軸ケース24b上部に固定された前部伝動ケース36bとからなる。
【0020】図1及び図2に示すように、操縦部6は操縦席37aや操縦レバー37bのほか各種の操作レバー等を備えたものとなされており、また38は脱穀部5のフィードチェーンであって、縦搬送装置34の搬送した刈取穀稈を受け継いで搬送するように作用するものである。
【0021】次に刈取部4の駆動系統について説明する。図1〜図6に示すように、刈取入力軸ケース12の中心部に設けられた刈取入力軸3の右端に、機台1上に設けた図示しないエンジンの回転を伝達されるプーリ39を固定し、前記縦伝動ケース35の内方には、前記刈取入力軸3とべベルギャ40a、40bを介して連動連結された縦軸41と、この縦軸41に固定されたべベルギャ42aと、このベベルギャ42aに噛み合わされて回転のみ自在となされたべベルギャ42bを配置し、一方では刈取入力軸ケース12の左端に張出し状且つ回転自在に接続された搬送伝動ケース12a(図2参照)を設け、この伝動ケース12aの内方に刈取入力軸3を到達させ、この刈取入力軸3の左端と、縦搬送装置29の後端部に配設された前記略縦向き駆動軸32とをベベルギャ43a、43bを介して連動連結し、略縦向き駆動軸32上端に搬送タイン部31の入力部をなすスプロケット44を固定し、また略縦向き駆動軸32の下端に扶持搬送チェーン部30の入力部をなすスプロケット45を固定している。
【0022】また、ベベルギャ42bの中心に透設された多角形摺動孔に前部伝動ケース36b及び後部伝動ケース36a内に設けられた刈取伝動軸46の後端部を軸方向変位のみ自在に嵌挿させると共に、刈取伝動軸46の前端部を右引起こし伝動ケース24b上部内方に設けられた右引起し伝動軸47aに、ベベルギャ48a、48bを介して連動連結させている。
【0023】そして、上側右引起し伝動軸47aの上端は、右側の引起し装置20bの引起こし入力部25b内に設けられた右引起し駆動軸49bと、べベルギャ機構50bを介して連動連結させ、一方、上側右引起し伝動軸47aの下端は右引起し伝動ケース24bの長さ途中に形成された図1に示すギャケースd内に設けられた平歯車機構51を介して、右引起し伝動ケース24bの下部内に設けられた下側右引起し伝動軸47bの上端と連動連結させ、次にこの下側右引起し伝動軸47bの下端を、べベルギャ機構52を介して、左右向き伝動軸ケース17の中心部に支持された左右向き伝動軸53の右端と連動連結させ、この伝動軸53の長さ途中箇所と、左右向き伝動軸ケース17の長さ途中に固定した図1に示す支持伝動ケース54に設けられた下部駆動軸55とをベベルギャ56を介して連動連結させ、この下部駆動軸55にネジ歯車機構57を介して右側のスターホイール28bや掻込みベルト27bを、そしてクランク駆動機構58を介して刈刃装置21を駆動するようになしている。なお、左側のスターホイール28aや掻込みベルト27aは右側のスターホイール28bに追従して回転される。
【0024】さらに左右向き伝動軸53の左端はべベルギャ機構59を介して左引起し伝動軸ケース24a内の左引起し伝動軸60の下端を連動連結させ、この左引起し伝動軸60の上端は、左側の引起し装置20aの引起こし入力部25aに設けられた左引起し駆動軸49aと、ベベルギャ61を介して連動連結させている。
【0025】次に本発明に係る特徴的構成について図1〜図9を参照して説明する。図1〜図4に示すように、刈取部前部10に左右方向の駆動変位力を付与するものとした左右駆動用伸縮シリンダ装置62を設けるのであり、この伸縮シリンダ装置62は左右向き支持杆15の前側近傍箇所に左右向き姿勢として装着してある。
【0026】さらに詳細には図7に示すように、左右向き支持杆15の左端近傍前面に側面視横向きU字状の支持部材63を固着し、この支持部材63に左右駆動用伸縮シリンダ装置62のシリンダ部62aの基端に突設された結合片eを縦向き支点軸64を介して枢着し、一方では左右駆動用伸縮シリンダ装置62の出力部材62bの先端に長さ調整可能に装着した結合部材fを縦向き軸部材65を介して枢結している。
【0027】この左右駆動用伸縮シリンダ装置62は直状の復動式油圧シリンダとなしてあって、その最短状態では結合部材fが図7中の仮想線g1の位置に移動して、左右の揺動アーム16a、16bを前記平行リンク機構HKの作用により図7中の仮想線h1、h2の位置に移動させ、一方、最長状態では結合部材fが図7中の符号fで示す線位置に移動して、平行リンク機構HKの作用により左右の揺動アーム16a、16bを図7中に符号16a、16bで示す位置に移動させる構成となしている。
【0028】この際、左右の揺動アーム16a、16bは仮想線h1、h2の位置に移動されたとき、刈取部前部10を機台1に対する左右方向上の最も左位置、即ち通常の刈取を行うときの位置である基本位置(通常刈取位置)に位置させ、また符号16a、16bで示す位置に移動されたとき、刈取部前部10を機台1に対する左右方向上の最も右位置、即ち畦際の刈取や、いわゆる中割りによる刈取を行うときの位置に位置させるものとなす。
【0029】そして、この左右駆動用伸縮シリンダ装置62は刈刃装置21の切断高さよりも高い位置に設けて、刈刃装置21で刈り取られた後の圃場に残された根株と干渉しないようになしてある。
【0030】上記左右駆動用伸縮シリンダ装置62と関連した作動油系統は次のようになされている。即ち、図8に示すように、図示しないエンジンで駆動される油圧ポンプから作動油を供給される供給ラインPを備えると共に、作動油タンクへ作動油を戻すための戻りラインTとを備えている。この際、供給ラインPと戻りラインTとは圧力調整バルブ66を経て接続される。
【0031】上記供給ラインPは5方口3ポジションとなされたソレノイドバルブSOL1の1つのポートp1に接続されており、このソレノイドバルブSOL1のその他の1つのポートp2は2つの流れ調整バルブ67、68を経て上下駆動用伸縮シリンダ装置14に接続され、またその他の一つのポートp3は圧力調整バルブ69を経て戻りラインTに接続され、またその他の1つのポートp4は4方口3ポジションとなされたソレノイドバルブSOL2の1つのポートp6に接続され、さらにその他の1つのポートp5は戻りラインTと接続されている。
【0032】そしてソレノイドバルブSOL2のその他の1つのポートp7は2つの流れ調整バルブ70、71を経て左右駆動用伸縮シリンダ装置62の一側のシリンダ室j1に接続され、またその他の1つのポートp8は2つの流れ調整バルブ72、73を経て左右駆動用伸縮シリンダ装置62の他側のシリンダ室j2に接続され、またその他の1つのポートp9は戻りラインTに接続されている。
【0033】この際、流れ調整バルブ68、71、73はチェックバルブ74と絞り孔部75からなり、また他方の流れ調整バルブ67、70、72はチェック弁76とパイロットライン77からなっている。また四角枠78はバルブ回路ユニットを示しており、このバルブ回路ユニット78は図2及び図3に示すように機台1の左側部に装着されている。
【0034】また図1に示すように、上記ソレノイドバルブSOL2のソレノイドを励磁させるための操作スイッチ79は操縦席37aに座した運転者が操作できる位置に設けられている。この操作スイッチ79はこれの操作レバーmを左側へ傾斜させたときに刈取部前部10が左側へ移動し、前記操作レバーmを右側へ傾斜させたときに刈取部前部10が右側へ移動するように対応させると共に、前記操作レバーmの自由状態ではバネ力で中立位置に自動復帰すると共にこの中立位置ではソレノイドバルブSOL2の左右のソレノイドが非通電状態(無励磁状態)となるように対応させる。。なお、ソレノイドバルブSOL1のソレノイドを励磁させるスイッチの断続は従来同様に操縦レバー37bにて行われるようになされている。
【0035】上記した作動油系統の作用について説明すると、ソレノイドバルブSOL1の左右のソレノイドが無励磁のとき図8に示すようにソレノイドバルブSOL2の中央ポジションが有効となり、この状態では作動油は上下駆動用伸縮シリンダ装置14に供給されず、この伸縮シリンダ装置14はそのピストン及び出力部材の出入り状態をチェックバルブ76の作用により固定された状態となり、一方では供給ラインPを通じて作動油がソレノイドバルブSOL2に供給される。
【0036】この状態の下で、ソレノイドバルブSOL2の左側のソレノイドが励磁されて図8に示すようにその左ポジションが有効となっているときは、供給ラインPの作動油は2つの流れ調整バルブ70、71を経て左右駆動用伸縮シリンダ装置62の1つのシリンダ室j1に供給されると共に、流れ調整バルブ72のチェックバルブ76がパイロットライン77を経た油圧で開放されるため、他のシリンダ室j2内の作動油は2つの流れ調整バルブ72、73及び戻りラインTを経て作動油タンクに戻されるようになり、その結果、左右駆動用伸縮シリンダ装置62は短縮作動して刈取部前部10を機台1に対し左側に変位させる。
【0037】またソレノイドバルブSOL2の右側のソレノイドが励磁されてその右ポジションが有効となっているときは、供給ラインPの作動油は2つの流れ調整バルブ72、73を経て左右駆動用伸縮シリンダ装置62の前記他のシリンダ室j2に供給されると共に、流れ調整バルブ70のチェックバルブ76がパイロットライン77を経た油圧で開放されるため、前記1つのシリンダ室j1内の作動油は2つの流れ調整バルブ70、71及び戻りラインTを経て作動油タンクに戻されるようになり、その結果、左右駆動用伸縮シリンダ装置62は伸張作動して刈取部前部10を機台1に対し右側に変位させる。
【0038】さらにソレノイドバルブSOL2の左右のソレノイドが無励磁のとき、このソレノイドバルブSOL2の中央ポジションが有効となり、この状態では供給ラインPと戻りラインTがこのソレノイドバルブSOL2内で直接に連通された状態となり、従って作動油は左右駆動用伸縮シリンダ装置62へ向けて供給されるものとならず、そのピストン及び出力部材62bの出入り状態を流れ調整バルブ70、72の2つのチェックバルブ76、76の逆止作用により固定された状態となる。
【0039】次に他側のソレノイドバルブSOL1の左側のソレノイドが励磁されてその左ポジションが有効となっているときは、供給ラインPの作動油はこのソレノイドバルブSOL1のポートp1から他のポートp3を経て流れ調整バルブ69の入口側に到達し、この到達した作動油の圧力がパイロットライン77を経て流れ調整バルブ67のチェックバルブ76を開放させ、上下駆動用伸縮シリンダ装置14のシリンダ室内の作動油は戻りラインTに流れ込むようになり、その結果、上下駆動用伸縮シリンダ装置14は短縮作動して刈取部前部10を機台1に対し降下変位させる。
【0040】一方、ソレノイドバルブSOL1の右側のソレノイドが励磁されてその右ポジションが有効となっているときは、供給ラインPの作動油は2つの流れ調整バルブ67、68を経て上下駆動用伸縮シリンダ装置14のシリンダ室に供給されると共に、圧力調整バルブ69の入口側ライン内の作動油がソレノイドバルブSOL1のポートp3からポートp5を経て戻りラインTに戻されるようになり、その結果、上下駆動用伸縮シリンダ装置14は伸張作動して刈取部前部10を機台1に対し上昇させる。
【0041】次に上記実施例のコンバインの取扱い例及び作動を説明する。コンバインによる刈取作業中、未刈り側を左にして回り刈り作業を行うときで刈取部前部10がその左右方向移動範囲の左端以外に位置している場合、操作スイッチ79の操作レバーmを左側へ傾斜させる【0042】これにより、左右駆動用伸縮シリンダ装置62が短縮作動し、左右の揺動アーム16a、16bがこれの後端を支持した縦軸s1、slの回りの左側へ揺動し、刈取部前部10がこれの左右方向移動範囲の左端位置である基本位置に位置した状態となる。
【0043】この状態となったとき、操作スイッチ79の操作レバーmを自由状態にして中立位置に復帰させる。これにより、左右駆動用伸縮シリンダ装置62は短縮状態で固定され、刈取部前部10は基本位置に固定される。
【0044】この固定状態で、いわゆる回り刈りによる収穫作業を行うと、未刈り穀稈と左側の走行クローラ2aとの間隔が大きくなり、走行クローラ2aが走行時に泥土を押し出すことなどに起因して未刈り穀稈が押し倒されるなどの事態は生じ難くなる。
【0045】また中割りによる刈取作業を行う場合は、操作スイッチ79の操作レバーmを右側に傾斜させるのであり、これにより、左右駆動用伸縮シリンダ装置62が伸張作動して、左右の揺動アーム16a、16bがこれの後端を支持した縦軸S1、Slの回りの右側へ揺動し、刈取部前部10がこれの左右方向移動範囲の右端位置に位置した状態となる。
【0046】この状態となったとき、操作レバーmを自由状態となす。これにより、左右駆動用伸縮シリンダ装置62は伸張状態で固定され、刈取部前部10はこれの左右方向移動範囲の右端位置に固定される。
【0047】この固定状態で中割りによる刈取作業を行うと、左右端の分草板19a、19cが左右の走行クローラ2a、2aの真正面に位置し、左右の走行クローラ2a、2aは刈取中に機体左右の未刈り穀稈を踏み付けることなく進行し、刈取部前部10は機体左右の未刈り穀稈を踏み倒すことなく機体前方の穀稈を円滑に刈り取るものとなる。
【0048】また畦際刈り作業を行う場合は、上記に準じた操作を行うことにより、刈取部前部10を畦側の左右移動範囲の終端位置まで移動させるのであり、これにより畦側の走行クローラ2aが畦に乗り上げることなく畦際の穀稈が刈取部前部で円滑に刈り取られるものとなる。
【0049】なお、引起こし装置20a、20bの左右位置が植生した穀稈の条列に正確に合致してない場合においてこの条列と引起こし装置20a、20bとを正確に合致させるときとか、上記畦際刈り作業などにおいて、刈取部前部をその左右移動範囲の途中に固定させるときなどには、操作スイッチ79の操作レバーmを左右何れかに傾斜させ、刈取部前部10が希望する位置に到達したとき、直ちに、操作レバーmを自由状態にして中立位置に位置させる。これにより、左右駆動用伸縮シリンダ装置62がその伸縮作動範囲の途中で伸縮作動を停止してそのときの長さを固定されると共に、刈取部前部がその左右移動範囲途中の特定位置に固定された状態となる。
【0050】
【発明の効果】上記のように構成した本発明によれば、次のような効果が得られる。即ち、請求項1に記載したものによれば、刈取部前部10の刈刃装置21により植立穀稈を刈り取った後の地面に残った根株が機体1の進行時に左右駆動用伸縮シリンダ装置62と干渉したり、走行部2が排除した圃場の土が左右駆動用伸縮シリンダ装置62と干渉したり、或いは刈取部4により刈り取られる穀稈の藁屑が左右駆動用伸縮シリンダ装置62に引っ掛かるなどの現象を防止することができる。
【0051】請求項2に記載したものによれば、刈取部前部10を従来のコンバインの構造を有効に利用した簡易な構造により確実に左右変位させることができ、また既存コンバインの空きスペースを左右駆動用伸縮シリンダ装置62の装着スペースとして有効に利用することができ、さらに左右駆動用伸縮シリンダ装置62をコンパクトに装着できるほか、油圧系統を左右向き支持杆15などの刈取部構造部材に支持させることで容易に装設することができる。
【0052】請求項3に記載したものによれば、刈取部前部10を任意な左右位置に固定させる構造を形成する上で、左右駆動用伸縮シリンダ装置62周りの構造の複雑化を回避することができる。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【住所又は居所】岡山県岡山市江並428番地
【出願日】 平成14年4月2日(2002.4.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−289715(P2003−289715A)
【公開日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願番号】 特願2002−99664(P2002−99664)