トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 刈取収穫機の姿勢制御装置
【発明者】 【氏名】池田 博
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】高原 一浩
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】穀粒排出作動を行うときに、自動変更制御に起因して穀粒排出用オーガが他物に干渉するといった不利を回避することが可能となる刈取収穫機の姿勢制御装置を提供する。

【解決手段】走行装置の接地部に対する機体本体の姿勢を変更操作自在な変更操作手段100と、機体本体が適正姿勢になるように変更操作手段の作動を制御する自動変更制御を実行する制御手段200と、機体本体に対して旋回並びに昇降操作自在な穀粒排出用オーガとが備えられ、穀粒排出用オーガが穀粒排出中又は穀粒排出用の予備作業中である排出用動作状態であるか否かを判別する動作状態判別手段300が備えられ、制御手段200は排出用動作状態であることが判別されると自動変更制御の実行を停止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行装置の接地部に対する機体本体の姿勢又は位置を変更操作自在な変更操作手段と、前記接地部に対する機体本体の適正姿勢又は前記接地部に対する機体本体の適正位置を求めて、機体本体が前記適正姿勢又は前記適正位置になるように前記変更操作手段の作動を制御する自動変更制御を実行する制御手段と、機体本体に対して旋回並びに昇降操作自在な穀粒排出用オーガとが備えられた刈取収穫機の姿勢制御装置であって、前記穀粒排出用オーガが穀粒排出中又は穀粒排出用の予備作業中である排出用動作状態であるか否かを判別する動作状態判別手段が備えられ、前記制御手段が、前記動作状態判別手段により前記排出用動作状態であることが判別されると、前記自動変更制御の実行を停止するように構成されている刈取収穫機の姿勢制御装置。
【請求項2】 前記穀粒排出用オーガが格納用の旋回位置において格納用昇降位置に位置させて格納されるように構成され、前記動作状態判別手段が、旋回位置検出手段により前記穀粒排出用オーガが前記格納用の旋回位置にないことが検出されると、前記排出用動作状態であると判別するように構成されている請求項1記載の刈取収穫機の姿勢制御装置。
【請求項3】 刈取作業状態であるか非作業状態であるかを検出する作業状態検出手段が備えられ、前記制御手段が、前記動作状態判別手段により前記排出用動作状態であることが判別されている場合であっても、前記作業状態検出手段により前記刈取作業状態であることが検出されると、前記自動変更制御を実行するよう構成されている請求項1又は2記載の刈取収穫機の姿勢制御装置。
【請求項4】 前記変更操作手段が、前記走行装置の接地部に対する機体本体の姿勢として、水平基準面に対する傾斜角を変更操作自在に構成され、前記機体本体の水平基準面に対する傾斜角を検出する姿勢検出手段が備えられて、前記制御手段が、前記自動変更制御として、前記姿勢検出手段の検出情報に基づいて、機体本体の水平基準面に対する傾斜角が前記適正姿勢としての設定傾斜角に維持されるように、前記変更操作手段の作動を制御するよう構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の刈取収穫機の姿勢制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行装置の接地部に対する機体本体の姿勢又は位置を変更操作自在な変更操作手段と、前記接地部に対する機体本体の適正姿勢又は前記接地部に対する機体本体の適正位置を求めて、機体本体が前記適正姿勢又は前記適正位置になるように前記変更操作手段の作動を制御する自動変更制御を実行する制御手段と、機体本体に対して旋回並びに昇降操作自在な穀粒排出用オーガとが備えられた刈取収穫機の姿勢制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】刈取収穫機においては刈取収穫して穀粒タンクに貯留している穀粒を機体外部に排出させるための前記穀粒排出用オーガが備えられており、この穀粒排出用オーガは、旋回並びに昇降操作自在に設けられて、刈取収穫機が圃場で刈取作業するときや路上走行を行うとき等においては、機体本体の内方側に引退した格納用の旋回位置において昇降操作範囲の下限位置に対応する格納用昇降位置に位置する格納状態にしておくことで、走行等の邪魔にならないようにできる。又、穀粒タンクに貯留している穀粒を機体外部に排出させるときは、穀粒排出用オーガを前記格納状態から旋回用の昇降位置にまで上昇させ、更に、機体外方側に張り出すように旋回させるように移動させて、穀粒排出用オーガを回転駆動状態に切り換えて、穀粒排出を行う構成となっている。
【0003】一方、走行装置の接地部に対する機体本体の姿勢を変更操作自在な変更操作手段としては、例えば特開2001−260959号公報に示されるように、走行装置の接地部に対する機体本体の左右傾斜角並びに前後傾斜角を夫々変更操作自在に構成されたものがあり、このような構成の変更操作手段の作動を制御する前記自動変更制御として、前記左右傾斜角が設定傾斜角になるように変更操作手段を制御するローリング制御、及び、前記前後傾斜角が設定傾斜角になるように変更操作手段を制御するピッチング制御の夫々を実行するように構成されたものがあった。
【0004】又、走行装置の接地部に対する機体本体の位置を変更操作自在な変更操作手段としては、例えば特開平11−75494号公報に示されるように、走行装置の接地部に対する機体本体の横幅方向での位置を変更操作自在に構成されたものがあり、このような構成の変更操作手段の作動を制御する前記自動変更制御として、穀粒タンクへの穀粒の貯留量に応じて機体本体の横幅方向での位置を自動で変更させるスライド制御を実行するように構成されたものがあった。
【0005】そして、このような構成の刈取収穫機の姿勢制御装置として、従来では、圃場内において刈取作業を行う場合だけでなく、例えば、刈取作業に伴って収穫して穀粒タンクに貯留している穀粒を穀粒排出用オーガにより機体外部に排出させるために、畦に向けて枕地を走行するような場合においても、上記したような自動変更制御が実行される構成となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記穀粒排出用オーガを用いて穀粒排出作業を行う場合には、例えば、図2に示すように、刈取収穫機の機体本体が圃場内の枕地に位置している状態で畦道Z等に停車している運搬車両Uに向けて穀粒を排出させるために、上記したような格納状態から昇降操作並びに旋回操作を行うことにより、穀粒排出用オーガ43における穀粒排出口43aが形成された先端部が、運搬車両Uの荷台の上方側に位置する排出用の位置になるように穀粒排出用オーガの位置調節を行い、穀粒排出用オーガが前記排出用の位置に位置している状態で、穀粒排出用オーガを回転駆動状態に切り換えて、穀粒タンクに貯留している穀粒を運搬車両の荷台に排出させることになる。
【0007】そして、穀粒排出用オーガの先端部を排出作業に適した位置に位置合わせした状態で穀粒排出用オーガを回転駆動状態に切り換えて穀粒を排出させている穀粒排出中において、運搬車両に対する穀粒の積載状態を均等にするために、穀粒排出用オーガを旋回操作させたり、あるいは、穀粒排出用オーガの機体に対する位置を一定に維持しながら刈取収穫機を前後方向のいずれかに走行させることにより、排出位置を少しづつ位置変更させることがある。そうすると、例えば穀粒排出用オーガの旋回移動に伴って機体本体の重量バランスに変化が生じて機体本体が左右に傾斜したり前後方向に傾斜したりすることがある。又、刈取収穫機を走行することで地面の凹凸に起因して機体本体が左右に傾斜したり前後方向に傾斜したりすることがある。このように機体本体の姿勢が変化すると、そのことに起因して穀粒排出用オーガの運搬車両の荷台に対する位置が変化するので、作業者が昇降操作並びに旋回操作を行うことで位置を適正な状態に再度調整することになる。
【0008】しかし、上記従来構成においては、枕地での作業中においても上記したような自動変更制御が実行される構成となっていることから、機体本体の重量バランスに変化が生じて姿勢が変化したり、地面の凹凸に起因して機体本体の姿勢が変化した場合、自動変更制御が実行されることがある。そうすると、穀粒排出用オーガが作業者の意図しない方向に移動してしまうことがあり、操作上の違和感を感じるとともに、穀粒排出用オーガの位置合わせ操作が行い難いものとなり、又、このような作業者が意図しない移動によって穀粒排出用オーガが運搬車両等の他物に接当するおそれがある等の不利があった。
【0009】又、穀粒排出用オーガを回転駆動状態に切り換えて穀粒を排出させている穀粒排出中に限らず、穀粒排出用の予備作業を行っているとき、例えば、穀粒排出用オーガを格納状態から排出用の位置にまで移動操作させている途中や、排出用の位置に移動操作されているが回転駆動状態でない場合などにおいても同様に、上記したような自動変更制御が実行されることに起因して、操作上の違和感を感じるとともに、穀粒排出用オーガの位置合わせ操作が行い難いものとなり、又、穀粒排出用オーガが運搬車両等の他物に接当するおそれがある等の不利があった。
【0010】尚、刈取収穫機においては、前記制御手段の制御モードを自動変更制御を実行する自動モードとこの自動変更制御を実行しない自動停止モードとに切り換えるためのモード切換手段が一般的に備えられており、上記したような不利を回避させるためには、穀粒排出作業に先立って、このモード切換手段を自動停止モードに切り換えておくことで対応できるが、作業者が穀粒排出作業に先立って前記モード切換手段の切り換え操作を忘れた場合には、上述したような不利を回避できないものとなっていた。
【0011】本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、制御手段における制御モードを切り換えるための特別な手動操作を行うことなく、穀粒排出作業を行うときに、自動変更制御に起因して発生する上記したような不利を回避することが可能となる刈取収穫機の姿勢制御装置を提供する点にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の刈取収穫機の姿勢制御装置は、走行装置の接地部に対する機体本体の姿勢又は位置を変更操作自在な変更操作手段と、前記接地部に対する機体本体の適正姿勢又は前記接地部に対する機体本体の適正位置を求めて、機体本体が前記適正姿勢又は前記適正位置になるように前記変更操作手段の作動を制御する自動変更制御を実行する制御手段と、機体本体に対して旋回並びに昇降操作自在な穀粒排出用オーガとが備えられたものであって、前記穀粒排出用オーガが穀粒排出中又は穀粒排出用の予備作業中である排出用動作状態であるか否かを判別する動作状態判別手段が備えられ、前記制御手段が、前記動作状態判別手段により前記排出用動作状態であることが判別されると、前記自動変更制御の実行を停止するように構成されていることを特徴とする。
【0013】すなわち、前記動作状態判別手段により、穀粒排出用オーガが穀粒排出中又は穀粒排出用の予備作業中である排出用動作状態であることが判別されると、制御手段は自動変更制御の実行を停止するのである。尚、前記穀粒排出中というのは、穀粒排出用オーガが排出用の位置に移動して回転駆動状態に切り換えられて穀粒排出を行っている状態であり、前記穀粒排出用の予備作業中というのは、格納状態になく、穀粒排出用オーガが穀粒排出作業のために移動している途中であったり、前記排出用の位置に移動しているが回転駆動状態でなく穀粒排出を行っていない状態等である。
【0014】走行装置の接地部に対する機体本体の姿勢を変更操作自在な変更操作手段としては、機体本体の水平基準面に対する傾斜角を変更操作自在な構成があり、前記自動変更制御として、機体本体の水平基準面に対する傾斜角が適正姿勢としての設定傾斜角に維持されるように変更操作手段の作動を制御する構成等がある。又、走行装置の接地部に対する機体本体の位置を変更操作自在な変更操作手段としては、走行装置に対する機体横幅方向での相対位置を変更操作自在な構成があり、前記自動変更制御として、機体本体の走行装置に対する機体横幅方向での相対位置が適正位置になるように変更操作手段の作動を制御する構成等がある。
【0015】上記構成によれば、例えば、刈取収穫機の機体本体が圃場内に位置している状態で畦道等に停車している運搬車両に向けて穀粒を排出させるような場合において、穀粒排出用オーガが上記したような穀粒排出中又は穀粒排出用の予備作業中である排出用動作状態となっていれば、制御手段は自動変更制御の実行を停止するので、穀粒排出中において、穀粒排出用オーガを旋回操作したり、機体を前後方向のいずれかに走行させながら、穀粒を排出するための位置を変更調整するような場合や、穀粒排出用の予備作業、例えば、穀粒排出用オーガが穀粒排出作業のために移動している途中であったり、前記排出用の位置に移動しているが回転駆動状態でなく穀粒排出を行っていない場合等において、上記したような自動変更制御が実行されることがなく、このような自動変更制御が実行されることに起因して穀粒排出用オーガが、作業者の意図しない方向に移動して、操作上の違和感を感じたり、穀粒排出用オーガの位置調節操作が行い難いものになったり、又、穀粒排出用オーガが他物に接当するといった不利を未然に回避することが可能となる。
【0016】従って、制御手段の制御モードを前記自動変更制御を実行しない自動停止モードに切り換えるための特別な手動操作を行うことなく、穀粒排出作動を行うときにおいて、自動変更制御に起因して発生する不利を回避することが可能となる刈取収穫機の姿勢制御装置を提供できるに至った。
【0017】請求項2に記載の刈取収穫機の姿勢制御装置は、請求項1において、前記穀粒排出用オーガが格納用の旋回位置において格納用昇降位置に位置させて格納されるように構成され、前記動作状態判別手段が、旋回位置検出手段により前記穀粒排出用オーガが前記格納用の旋回位置にないことが検出されると、前記排出用動作状態であると判別するように構成されていることを特徴とする。
【0018】すなわち、穀粒排出用オーガは格納用の旋回位置において昇降操作範囲の下限位置に相当する格納用昇降位置に位置させることで格納状態となるが、穀粒の排出作業を行っていない状態においては、穀粒排出用オーガはこの格納状態に維持されることになる。そして、前記旋回位置検出手段によって穀粒排出用オーガが前記格納用の旋回位置にないことが検出されると、前記動作状態判別手段により前記排出用動作状態であると判別され、制御手段が自動変更制御の実行を停止することになる。つまり、穀粒排出用オーガが格納用の旋回位置でなければ、穀粒排出用オーガを外部の運搬車両等に対して穀粒排出を行うための排出用の位置に旋回させて回転駆動状態となっている穀粒排出中であるか、又は、排出用の位置にあるが回転駆動していない状態や穀粒排出用オーガが格納用の旋回位置と上記したような排出用の旋回位置との間で移動している状態等の穀粒排出用の予備作業中のいずれかであると考えられるので、前記排出用動作状態であるとして自動変更制御の実行を停止するのである。
【0019】従って、穀粒排出用オーガが格納用の旋回位置にあるか否かを検出するという簡単な構成によって排出用動作状態であるか否かを的確に判別することができ、請求項1を実施するのに好適な手段が得られる。
【0020】請求項3記載の刈取収穫機の姿勢制御装置は、請求項1又は2において、刈取作業状態であるか非作業状態であるかを検出する作業状態検出手段が備えられ、前記制御手段が、前記動作状態判別手段により前記排出用動作状態であることが判別されている場合であっても、前記作業状態検出手段により前記刈取作業状態であることが検出されると、前記自動変更制御を実行するよう構成されていることを特徴とする。
【0021】すなわち、刈取作業を行っているときは穀粒排出用オーガによる穀粒の排出が行われることはないが、刈取作業中において、穀粒排出用オーガが機体外方側に張り出した姿勢に維持されることがある。例えば、刈取作業においては収穫される穀粒が穀粒タンクに貯留されることになるが、この穀粒タンクは機体本体の左右中心位置から左右いずれかに偏位して設けられるのが一般的である。そして、この穀粒タンクへの穀粒の貯留量が増加するに伴って、機体の左右重量バランスが崩れて軟弱圃場であれば少し傾斜するようなこともあるので、このようなときにその重量バランスを均等に保つために、穀粒排出用オーガを傾斜方向とは反対側に向けて外方側に張り出した状態で作業走行を行うことがある。
【0022】又、刈取作業状態においては、上記したような自動変更制御を実行することで走行装置の接地部に対する機体本体の姿勢又は位置を刈取作業に適した姿勢又は位置に維持することが可能となる。例えば、機体本体の水平基準面に対する傾斜角が適正姿勢としての設定傾斜角に維持されるように変更操作手段の作動を制御したり、機体本体の走行装置に対する機体横幅方向での相対位置が適正位置になるように変更操作手段の作動を制御するといった自動変更制御を実行することで、適正な姿勢又は位置で刈取作業を行うことができるのである。
【0023】そこで、動作状態判別手段により前記排出用動作状態であることが判別されている場合であっても、刈取作業状態であれば自動変更制御を実行する構成とすることで、刈取作業中においては、機体本体を走行装置に対して適正な姿勢又は位置となる状態で作業を行うことができ、請求項1又は2を実施するのに好適な手段が得られる。
【0024】請求項4記載の刈取収穫機の姿勢制御装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記変更操作手段が、前記走行装置の接地部に対する機体本体の姿勢として、水平基準面に対する傾斜角を変更操作自在に構成され、前記機体本体の水平基準面に対する傾斜角を検出する姿勢検出手段が備えられて、前記制御手段が、前記自動変更制御として、前記姿勢検出手段の検出情報に基づいて、機体本体の水平基準面に対する傾斜角が前記適正姿勢としての設定傾斜角に維持されるように、前記変更操作手段の作動を制御するよう構成されていることを特徴とする。
【0025】すなわち、穀粒排出用オーガが排出用動作状態でない場合には、自動変更制御が実行されて機体本体の水平基準面に対する傾斜角が設定傾斜角に維持されるものとなり、又、穀粒排出用オーガが排出用動作状態であるときには、自動変更制御の実行が停止されるので、機体本体の水平基準面に対する傾斜角が設定傾斜角に維持されるように変更操作手段の作動が制御されることに起因して、穀粒排出用オーガが他物に干渉するといった不利を回避することができ、請求項1〜3のいずれかを実施するのに好適な手段が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る刈取収穫機の姿勢制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1、図2に示すように、左右一対のクローラ式の走行装置1L,1Rによって支持され、搭乗型の運転部2や運転座席の下方に位置する原動部等を備えている機体本体Vの機体フレーム11に脱穀装置3や穀粒タンク4などを搭載し、引起装置5やバリカン型の刈取装置7などを備える刈取部10の刈取部フレーム10aの基端部を、前記機体フレーム11の前部に位置する支持部11aに機体横向きの軸芯P1まわりで回動自在に連結し、刈取部フレーム10aに一端側が連結し、機体フレーム11とにわたって油圧式のリフトシリンダC1を取付け、機体本体Vの原動部から刈取部10に動力伝達するように構成して、刈取収穫機としてのコンバインを構成してある。このコンバインは、稲・麦などの収穫作業を行うものであり、詳しくは次の如く構成してある。
【0027】すなわち、リフトシリンダC1によって刈取部フレーム10aを軸芯P1まわりで上下に揺動操作することにより、刈取部10を機体本体Vに対して昇降操作する。つまり、引起装置5の下端や刈取装置7が地面上近くに位置して穀稈の刈取りを行なう作業位置と、機体本体Vに対して上昇エンドやその近くまで上昇して刈取りしないで走行する非作業位置とに昇降操作する。そして、刈取部10を作業位置にして機体本体Vを走行させると、刈取部10は、分草具6によって稲・麦などの植立穀稈を刈取り対象と非刈取り対象とに分草し、刈取り対象の植立穀稈を引起装置5によって引起こし処理するとともにその株元を刈取装置7によって切断し、刈取装置7からの刈取穀稈を株元側に挟持搬送作用する株元側搬送部と、穂先側に係止搬送作用する穂先側搬送部とで成る搬送装置8によって機体後方に搬送し、脱穀装置3の脱穀フィードチェーン3aの搬送始端部に供給する。脱穀装置3は、前記搬送装置8からの刈取穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン3aによって挟持して搬送しながら穂先側を扱室に供給して回動する扱胴によって扱き処理し、脱穀排ワラを脱穀フィードチェーン3aによって扱室から搬出する。脱穀装置3からの脱穀粒をコンベアによって穀粒タンク4に搬送して貯留する構成となっている。
【0028】そして、このコンバインでは、穀粒タンク4に貯留された穀粒を機外の運転車両に排出することができるようになっている。つまり、図1に示すように、穀粒タンク4の底部に前後方向に沿う状態で底部スクリューコンベア41が設けられ、その底部スクリューコンベア41の搬送終端部から上方に向けて縦送りスクリューコンベア42が延設され、この縦送りスクリューコンベア42上部に、穀粒排出用オーガ43が、横軸芯X周りに昇降揺動操作自在で、且つ、縦軸芯Y周りに旋回操作自在に装備されている。尚、図2には、穀粒排出用オーガ43(以下、単にオーガと略称する)が格納状態にある状態を示している。つまり、格納用の旋回位置HPに旋回した状態でオーガ43を昇降操作範囲の下限位置にまで下降させて格納用保持具としての受止具44に受け止められる格納用昇降位置に位置させた格納状態を示している。尚、前記オーガ43の駆動状態の入り切りは、エンジンEから前記底部スクリューコンベア41に対する動力の伝達を入り切りするベルトテンション式の穀粒排出用クラッチ(図示せず)を手動操作具にて入り切り操作させて切り換えるようになっている。
【0029】又、前記オーガ43の先端部には下向き状態の穀粒排出口43aが形成されており、前記穀粒排出用クラッチをクラッチ入り状態に切り換えることで、底部スクリューコンベア41、縦送りスクリューコンベア42及びオーガ43が、伝達されるエンジンEの動力で駆動されて、穀粒タンク4に貯留された穀粒をオーガ43の先端部の穀粒排出口43aから排出するように構成されている。
【0030】前記オーガ43は、旋回用アクチュエータとしての機体Vに対して旋回操作自在に、且つ、機体Vに対して昇降操作自在に備えられている。先ず、前記オーガ43の旋回操作の構成について説明すると、図3に示すように、縦送りスクリューコンベア42の上部に縦軸芯Y周りで回動自在に備えられた回動ケース45の外側面に、旋回駆動用の大径ギア46が固着され、その大径ギア46に咬合するピニオンギア47を回転駆動する旋回用電動モータM1(以下、オーガ旋回モータという)が縦送りスクリューコンベヤ42に固定され、もって、オーガ旋回モータM1を正逆転駆動するに伴って、オーガ43が縦軸芯周りに旋回操作され、かつ、オーガ旋回モータM1を作動停止させるに伴って旋回停止するように構成されている。図中、Ryはオーガ43の旋回位置を検出する多回転型のポテンショメータを利用した旋回位置検出センサであって、オーガ旋回モータM1で駆動されるギア48によって旋回駆動用ギア46と同時に回動操作されるようになっている。つまり、この旋回位置検出センサRyにて、オーガ43の旋回位置を検出する旋回位置検出手段が構成されている。尚、図2に示すように、予め旋回可能範囲が設定され、上記旋回位置検出センサRyの検出情報に基づいて、オーガ43がその旋回可能範囲の左限界位置LE及び右限界位置REに達したときには、オーガ43の旋回を停止するように、オーガ旋回モータM1が制御される構成となっている。
【0031】次に、前記オーガ43の昇降操作の構成について説明すると、オーガ43の基端部が回動ケース45に対して横軸芯X周りで昇降揺動自在に支持され、オーガ43と回動ケース45との間に昇降用油圧シリンダC6が設けられ、この昇降用油圧シリンダC6(以下、オーガ昇降シリンダという)を操作させるに伴ってオーガ43が横軸芯X周りで昇降操作されるように構成されている。尚、オーガ昇降シリンダC6の操作量を検出するスライド構造の昇降位置センサRxが設けられ、昇降操作範囲の上限位置や格納用昇降位置にあることを検出可能な構成となっている。従って、旋回位置センサRyの検出情報に基づいて、オーガ43が格納用旋回位置にあることが検出され、且つ、昇降位置検出センサRxの検出情報に基づいて、オーガ43が格納用昇降位置にあることが検出されると、オーガ43が格納状態にあることを検出することができるのであり、旋回位置センサRyと昇降位置センサRxとにより格納状態検出手段Kが構成される。
【0032】又、図2、図4に示すように、前記操縦部2における運転座席の左横側で且つ機体後方側にオーガ用操作部49が設けられている。このオーガ用操作部49には、オーガ43を旋回及び昇降操作するための操作指令を指示する十字揺動レバー式の操作レバー50が設けられ、この操作レバー50は中央位置に復帰するように付勢され、操作レバー50を前方側に倒した状態では図示しない上昇スイッチがオン作動して上昇指令が指令され、操作レバー50を手前側に倒した状態では下降スイッチがオン作動して下降指令が指令され、操作レバー50を左側に倒した状態では右旋回スイッチがオン作動して右旋回指令が指令され、操作レバーを右側に倒した状態では左旋回スイッチがオン作動して左旋回指令が指令される。又、上記操作レバー50を中央位置に復帰させた状態では、オーガ43の旋回操作と昇降操作を停止させる停止指令が指令される。そして、このオーガ用操作部49による指令情報に基づいて、オーガ43が指令されている方向に移動するように、後述する制御装置22が旋回モータM1及びオーガ昇降シリンダC6の作動を制御するよう構成されている。
【0033】又、このコンバインでは、走行装置1R,1Lの接地部に対する機体本体Vの姿勢として、水平基準面に対する傾斜角を変更操作自在な変更操作手段が備えられている。以下、その構成について説明する。図5に示すように、左側の走行装置1Lは、機体本体Vの機体フレーム11が備えている支持フレーム12の前端側に前ベルクランク17aを介して前端側が連結し、前記支持フレーム12の後端側に後ベルクランク17bと補助リンク17b1とを介して後端側が連結している機体本体の前後方向に長いトラックフレーム16と、前記支持フレーム12の前端部によって回動自在に支持されている駆動自在なクローラ駆動スプロケット13と、前記支持フレーム12の前後方向での中間部に遊転自在に支持されている上部転輪14aと、前記トラックフレーム16の長手方向での複数箇所に遊転自在に支持されている接地転輪14と、前記トラックフレーム16の後端部に遊転自在に支持されているクローラ緊張輪15と、前記複数個の輪体15,13,14a,14の全てにわたって巻回しているゴム製の無端クローラベルトBとによって構成してある。
【0034】前ベルクランク17aのうち、支持フレーム12に回動自在に連結している回転支軸部からトラックフレーム16の方とは反対側に一体回動自在に延出している揺動自在なアーム部と、支持フレーム12によって支持されているシリンダブラケットとにわたって油圧式で複動型の前シリンダC2を取付け、後リンク17bのうち、支持フレーム12に回動自在に連結している回転支軸部からトラックフレーム16の方とは反対側に一体回動自在に延出している揺動自在なアーム部と、支持フレーム12によって支持されているシリンダブラケットとにわたって油圧式で複動型の後シリンダC3を取付けてある。すなわち、前シリンダC2が前ベルクランク17aを軸芯P2まわりで支持フレーム12に対して回動操作してトラックフレーム16の前端側を機体フレーム11に対して昇降操作し、後シリンダC3が後ベルクランク17bを軸芯P3まわりで支持フレーム12に対して回動操作してトラックフレーム16の後端側を機体フレーム12に対して昇降操作するように構成してある。
【0035】右側の走行装置1Rは、左側の走行装置1Lと同一の構成を備えており、左側のクローラ走行装置1Lにおいても、右側のクローラ走行装置1Rにおいても、前シリンダC2,C4と後シリンダC3,C5とを駆動操作することにより、前シリンダC2,C4と後シリンダC3,C5の駆動力によってトラックフレーム12が機体フレーム11に対して昇降する。
【0036】これにより、図5に示すように、左右の前シリンダC2,C4を最も伸張させ、且つ、左右の後シリンダC3,C5を最も短縮させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16が機体フレーム11に最も近づいてほぼ平行になった状態になる。このときの機体本体Vの姿勢が下限基準姿勢である。
【0037】図6に示すように、前記下限基準姿勢にある状態から、左右の後シリンダC3,C5をそのままの状態に維持しながら左右の前シリンダC2,C4を短縮作動させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16の前端側が後端側より機体フレーム11に対して下降した状態になる。すなわち、機体本体Vを前部側がクローラ走行装置1L,1Rの接地部に対して離間する方向に姿勢変更(前上昇操作)することになる。図7に示すように、前記下限基準姿勢にある状態から、左右の前シリンダC2,C4をそのままの状態に維持しながら左右の後シリンダC3,C5を伸長作動させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16の後端側が前端側より機体フレーム11に対して下降した状態になる。機体本体Vを後部側がクローラ走行装置1L,1Rの接地部に対して離間する方向に姿勢変更(後上昇操作)することになる。図8に示すように、前記下限基準姿勢にある状態から、左右の前シリンダC2,C4を短縮作動させ、且つ、左右の後シリンダC3,C5を伸長作動させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16が機体フレーム11に対してほぼ平行に下降した状態になる。機体本体Vを走行装置1L,1Rの接地部に対して平行姿勢のまま離間する方向に姿勢変更(上昇操作)することになる。
【0038】左側の走行装置1Lにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔が、右側の走行装置1Rにおけるトラックフレーム16のそれより小になる側に各油圧シリンダC2〜C5を操作させると、機体本体Vを走行装置1L,1Rの接地部に対して右上げ方向に姿勢変更(左傾斜操作)することになる。
【0039】右側の走行装置1Rにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔が、左側の走行装置1Lにおけるトラックフレーム16のそれより小になる側に各油圧シリンダC2〜C5を操作させると、機体本体Vを走行装置1L,1Rの接地部に対して左上げ方向に姿勢変更(右傾斜操作)することになる。
【0040】したがって、左側の前シリンダC2(以下、単に左前シリンダC2と呼称する。)と、左側の後シリンダC3(以下、単に左後シリンダC3と呼称する。)と、右側の前シリンダC4(以下、単に右前シリンダC4と呼称する。)と、右側の後シリンダC5(以下、単に右後シリンダC5と呼称する。)とが、走行装置1L,1Rの接地部に対する機体本体Vの左右傾斜角及び前後傾斜角を変更操作する変更操作手段100を構成している。
【0041】左右の走行装置1L,1Rにおける前記各ベルクランク17a,17bの回転支軸部に対応する箇所に、その回転支軸部の回動量に基づいて前記各油圧シリンダC2,C3,C4,C5の操作量(油圧シリンダC2〜C5の伸縮作動したストローク量)を検出する操作量検出手段としてのポテンショメータ形のストロ−クセンサ18,19,20,21が設けられている。
【0042】機体本体Vには、機体本体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を検出する左右傾斜角検出手段としての重力式の左右傾斜角センサ23、及び、機体本体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段としての重力式の前後傾斜角センサ24が備えられている。この左右傾斜角センサ23及び前後傾斜角センサ24が機体本体の水平基準面に対する傾斜角を検出する姿勢検出手段を構成する。
【0043】刈取穀稈を搬送する前記搬送装置8の始端部には、刈取穀稈に当接したときにオン状態となり、刈取穀稈が外れたときにオフ状態となる株元センサ51が設けられている。そして、刈取り作業を行なうと、刈取穀稈が刈取部10に導入されて株元センサ51に当接し、刈取作業を止めると、刈取穀稈が刈取部10に入り込まなくて株元センサ51が穀稈に当接しなくなるので、株元センサ51の検出結果により刈取作業中か否かを検出することが可能となる。
【0044】図9にこのコンバインの伝動系を示しており、機体本体Vの原動部に搭載されたエンジンEから出力された動力は、脱穀クラッチ52を介して脱穀装置3に伝達されるとともに、走行クラッチ53及び油圧式の無段変速装置54を介して左右の走行装置1L,1Rのミッション部55に伝達され、ミッション部55に伝達された動力は、クローラ走行装置1L,1Rに伝達されるとともに、刈取クラッチ56を介して刈取部10に伝達される。図中、57は、ミッション部55への入力回転速度に基づいて車速を検出する車速センサであり、58は、刈取部10へ入力される動力の回転速度を検出する刈取部回転センサである。
【0045】図10に示すように、機体本体Vに設けたマイクロコンピュータ利用の制御装置22に、前記各ストロークセンサ18〜21、左右傾斜角センサ23、前後傾斜角センサ24、及び、株元センサ51、車速センサ57、刈取部回転センサ58の夫々の検出情報が入力されている。又、搭乗運転部2の操作パネルに設けた姿勢変更スイッチユニットSUと、前上げスイッチ40a、後上げスイッチ40b、及び、オーガ操作部49の各操作情報も制御装置22に入力されている。
【0046】図11に示すように、上記姿勢変更スイッチユニットSUには、機体本体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を設定する左右傾斜角設定器25、水平制御(後述のローリング制御)を入り切りする水平自動スイッチ26、水平制御の入り状態を示す水平ランプ26a、前後制御(後述のピッチング制御)を入り切りする前後自動スイッチ27、前後制御の入り状態を示す前後ランプ27a、走行面が軟弱である軟弱面状態、すなわち湿田状態であることを入力する走行面状態入力手段としての湿田スイッチ35、及び湿田状態が入力されていることを示す湿田ランプ35aが設けられ、さらに、十字レバー式の操作具36にて作動する、右上げスイッチ37a、左上げスイッチ37b、機体上げスイッチ38a及び機体下げスイッチ38bが設けられている。
【0047】上記十字レバー式の操作具36の操作について説明すると、操作具36を左側に倒したときに、右上げスイッチ37aがオン作動して右上げ操作(左傾斜操作)が指令され、操作具36を右側に倒したときに、左上げスイッチ37bがオン作動して左上げ操作が指令される。又、操作具36を後方側に倒したときに、機体上げスイッチ38aがオン作動して機体上げ操作が指令され、操作具36を前方側に倒したときに、機体下げスイッチ38bがオン作動して機体下げ操作が指令される。
【0048】前記前上げスイッチ40aと後上げスイッチ40bとは、前記操作具36の握り部に設けてある。そして、前上げスイッチ40aがオンすると機体前上げ操作が指令され、後上げスイッチ40bがオンすると機体後上げ操作が指令される。
【0049】又、上記左右傾斜角設定器25には、水平スイッチ25a、左傾斜スイッチ25b及び右傾斜スイッチ25cが備えられている。つまり、水平スイッチ25aを押すと、設定左右傾斜角として水平状態に対応する傾斜角が設定され、左傾斜スイッチ25bを押すと、現在設定されている設定左右傾斜角が設定角度づつ左傾斜方向に修正され、右傾斜スイッチ25cを押すと、現在設定されている設定左右傾斜角が設定角度づつ右傾斜方向に修正される。
【0050】一方、制御装置22からは、前記リフトシリンダC1、オーガ昇降シリンダC6及び前記4個の機体姿勢変更用の油圧シリンダC2〜C5を制御するための電磁弁29〜33に対する駆動信号が夫々出力されている。そして、上記制御装置22を利用して、前記前後傾斜角センサ24の検出情報に基づいて、機体本体Vの水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角に維持されるように変更操作手段100の作動を制御する前後姿勢制御(以下、ピッチング制御と称する)、及び、左右傾斜角センサ23の検出情報に基づいて、機体本体Vの水平基準面に対する左右傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、姿勢変更操作手段100の作動を制御する左右姿勢制御(以下、ローリング制御と称する)を実行する制御手段200が構成されている。このピッチング制御及びローリング制御が自動変更制御に対応するものとなる。
【0051】次に、ローリング制御及びピッチング制御による姿勢変更操作について具体的に説明する。即ち、ローリング制御の場合は、走行面が左下がり状態であれば、前記下限基準姿勢(図5)にある状態から、左側の走行装置1Lにおいて、左前シリンダC2を短縮作動させ、且つ、左後シリンダC3を伸長作動させると、機体本体Vが接地部に対して左上り傾斜姿勢(右傾斜姿勢)に変化して、機体本体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を設定傾斜角にすることができる。又、走行面が右下がり状態であれば、前記下限基準姿勢にある状態から、右側の走行装置1Rにおいて、右前シリンダC4を短縮作動させ、且つ、右後シリンダC5を伸長作動させると、機体本体Vが接地部に対して右上り傾斜姿勢(左傾斜姿勢)に変化して、機体本体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を設定傾斜角にすることができる。
【0052】ピッチング制御の場合は、走行面が前下がり状態であれば、前記下限基準姿勢(図5)にある状態から、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を、夫々、そのままの状態に維持しながら、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を同時に短縮作動させると、機体本体Vの前部側が左右の走行装置1L,1Rの夫々の接地部に対して上昇して後傾姿勢に姿勢変化して、機体本体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を設定傾斜角にすることができる。この設定傾斜角としては水平状態が設定されている。又、走行面が前上がり状態であれば、前記下限基準姿勢にある状態から、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を、夫々、そのままの状態に維持しながら、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を同時に伸長作動させると、機体本体Vの後部側が左右の走行装置1L,1Rの夫々の接地部に対して上昇して前傾姿勢に姿勢変化して、機体本体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を設定傾斜角にすることができる。
【0053】そして、前記制御装置22は、格納状態判別手段Kを構成する旋回位置検出センサRy及び昇降位置検出センサRxの検出情報に基づいて、オーガ43が格納状態にあるか否により、穀粒排出中又は穀粒排出用の予備作業中である排出用動作状態であるか否かを判別するようになっており、前記格納状態でないことが検出されて前記排出用動作状態であると判別すると、ピッチング制御及びローリング制御の実行を停止するように構成されている。但し、前記格納状態でないことが検出されて前記排出用動作状態であると判別する場合であっても、コンバインが刈取作業中であることを判別した場合には、ピッチング制御及びローリング制御を実行するように構成されている。従って、制御装置22を利用して、オーガ43が穀粒排出中又は穀粒排出用の予備作業中である排出用動作状態であるか否かを判別する動作状態判別手段300が構成されている。
【0054】又、刈取作業中であるか否かは次のようにして判別する構成となっている。つまり、前記株元センサ51がオンしていること、刈取部回転センサ58により刈取部10が回転駆動されていることが検出されること、車速センサ57にて検出される車速が刈取作業に対応した設定速度以上の車速であること、の全ての条件が満たされているときに、刈取作業中であると判別するようにしている。従って、株元センサ51、車速センサ57、及び、刈取部回転センサ58の夫々により作業状態検出手段SJが構成されている。
【0055】次に、制御装置22による姿勢変更動作について、図12〜図14のフローチャートに基づいて説明する。図12に示すように、先ず、手動操作指令がされた否かを判断し、手動操作指令がされた場合には、上記したような各スイッチの操作に対応する手動姿勢変更処理を実行する。水平自動スイッチ26の状態を調べて、水平自動スイッチ26がオンしていないときは、ローリング制御及びピッチング制御のいずれも実行しない。水平自動スイッチ26がオンしているときに、前後自動スイッチ27がオンしていなければ、ローリング制御だけを実行する。水平自動スイッチ26と前後自動スイッチ27が共にオンしているときは、ローリング制御を優先して実行する状態でローリング制御とピッチング制御とを実行する。
【0056】図13に示すように、ローリング制御では、旋回位置検出センサRyにより穀粒排出用オーガ43が格納用の旋回位置にあることが検出され、且つ、昇降位置検出センサRxにより格納用昇降位置に位置することが検出されることで格納状態であると判別し、この格納状態が検出されなければ、穀粒排出中又は穀粒排出用の予備作業中である排出用動作状態であると判別する。そして、排出用動作状態であると判別した場合であっても、前記株元センサ51がオンしていること、刈取部回転センサ58により刈取部10が回転駆動されていることが検出されること、車速センサ57にて検出される車速が刈取作業に対応した設定速度以上の車速であること、の全ての条件が満たされて刈取作業中であると判別した場合には、後述するような制御を継続して実行するが、排出用動作状態であると判別した場合であって刈取作業中でないと判別した場合にはこのローリング制御の実行を停止する。
【0057】オーガ43が格納状態でない場合、及び、格納状態であっても刈取作業中であると判別した場合には、次のような制御を実行する。つまり、左右傾斜角センサ23の検出値と設定左右傾斜角に対応する信号値との角度偏差がローリング用の不感帯を機体本体Vの左傾斜側に外れていれば、機体右側の前後に位置する各ストロークセンサ20、21の検出情報に基づいて、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC4,C5がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC4,C5のいずれかが下限位置に達するまで、右前シリンダC4を伸長作動させるとともに右後シリンダC5を短縮作動させる。右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが上限位置に達するまで、左前シリンダC2を短縮作動させるとともに左後シリンダC3を伸長作動させる。
【0058】上記左右傾斜角センサ23の検出値と設定左右傾斜角に対応する信号値との角度偏差がローリング用の不感帯を機体本体Vの右傾斜側に外れていれば、機体左側の前後に位置する各ストロークセンサ18、19の検出情報に基づいて、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC2,C3がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC2,C3のいずれかが下限位置に達するまで、左前シリンダC2を伸長作動させるとともに左後シリンダC3を短縮作動させる。左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されれば、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、右前シリンダC4を短縮作動させるとともに右後シリンダC5を伸長作動させる。
【0059】上記左右傾斜角センサ23の検出値と設定左右傾斜角に対応する信号値との角度偏差がローリング用の不感帯内に収まっていれば、全てのシリンダC2〜C5の作動を停止させてローリング制御を終了する。
【0060】図12に示すように、ピッチング制御においてもローリング制御と同様に、旋回位置検出センサRy及び昇降位置検出センサRxの検出情報に基づいて、オーガ43が格納状態にあるか否かを判別して、格納状態になければ、穀粒排出中又は穀粒排出用の予備作業中である排出用動作状態であると判別する。そして、排出用動作状態であると判別した場合であっても、前記株元センサ51がオンしていること、刈取部回転センサ58により刈取部10が回転駆動されていることが検出されること、車速センサ57にて検出される車速が刈取作業に対応した設定速度以上の車速であること、の全ての条件が満たされて刈取作業中であると判別した場合には、後述するような制御を継続して実行するが、排出用動作状態であると判別した場合であって刈取作業中でないと判別した場合にはこのピッチング制御の実行を停止する。
【0061】オーガが格納状態でない場合、及び、格納状態であっても刈取作業中であると判別した場合には、次のような制御を実行する。つまり、前後傾斜角センサ24の検出値と水平状態に対応する信号値との角度偏差がピッチングの不感帯を機体本体Vの前傾斜側に外れていれば、機体後部に位置する左右のストロークセンサ19、21の検出情報に基づいて、機体本体Vにおける後端側での走行装置の接地部に対する高さが最下限位置にあるか否か、すなわち、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC3,C5がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC3,C5のいずれかが下限位置に達するまで、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を短縮作動させる。左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作された後に前後傾斜角が設定傾斜角に達していなければ、それらのシリンダC3,C5の作動を停止した状態で、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが上限位置に達するまで、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を短縮作動させる。
【0062】前後傾斜角センサ24の検出値と水平状態に対応する信号値との角度偏差がピッチングの不感帯を機体本体Vの後傾斜側に外れていれば、機体前部に位置する左右のストロークセンサ18、20の検出情報に基づいて、機体本体Vにおける前端側での走行装置の接地部に対する高さが最下限位置にあるか否か、すなわち、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC2,C4がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC2,C4のいずれかが下限位置に達するまで、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を伸長作動させる。左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが下限位置に操作された後に前後傾斜角が設定傾斜角に達していなければ、それらのシリンダC2,C4の作動を停止した状態で、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を伸長作動させる。
【0063】そして、前後傾斜角センサ24の検出値と水平状態に対応する信号値との角度偏差がピッチングの不感帯内に収まると全てのシリンダC2〜C5の作動を停止してピッチング制御を終了する。
【0064】但し、前後傾斜角センサ24の検出値と水平状態に対応する信号値との角度偏差がピッチングの不感帯を外れていても、ローリング制御における角度偏差が不感帯内から外れていることが判別されると、この全てのシリンダC2〜C5の作動を停止してピッチング制御を停止して、ローリング制御を優先して実行することになる。
【0065】〔別実施形態〕以下、別実施形態を列記する。
【0066】(1)上記実施形態では、旋回位置検出手段としての旋回位置検出センサRyにより前記穀粒排出用オーガが前記格納用の旋回位置にあることが検出され、且つ、昇降位置検出センサRxにより格納用昇降位置に位置することが検出されることで格納状態であると判別し、この格納状態が検出されなければ排出用動作状態であると判別する構成を例示したが、このような構成に代えて、旋回位置検出センサRyにより穀粒排出用オーガが格納用の旋回位置になければ、排出用動作状態であると判別する構成としてもよく、穀粒排出用オーガ43を格納状態で受け止め支持する受止具44に、オーガ43が支持されると入り操作されるリミットスイッチを旋回位置検出手段として備えて、このリミットスイッチの検出情報に基づいて格納状態であるか否かを検出して、格納状態でなければ、排出用動作状態であると判別する構成としてもよい。又、このような構成に限らず、例えば、穀粒排出用クラッチに対する入り切り操作状態を検出して、クラッチ入り状態か切り状態かによって、穀粒排出中であるか否かを判別し、穀粒排出中であれば排出用動作状態であると判別する構成としてもよい。更に、このような構成に代えて、旋回位置センサの検出情報に基づいて、旋回用電動モータM1が作動している否かにより穀粒排出用の予備作業中であるかい否かを判別し、旋回用電動モータM1が作動して穀粒排出用の予備作業中であれば、排出用動作状態であると判別する構成としてもよい。
【0067】(2)上記実施形態では、前記排出用動作状態であることが判別されている場合であっても、作業状態検出手段により前記刈取作業状態であることが検出されると、前記自動変更制御を実行するように構成したが、このような構成に限らず、前記排出用動作状態であることが判別されている場合には常に前記自動変更制御を実行しない構成としてもよい。
【0068】(3)上記実施形態では、作業状態検出手段として、前記株元センサがオンしていること、刈取部回転センサにより刈取部が回転駆動されていることが検出されること、車速センサにて検出される車速が刈取作業に対応した設定速度以上の車速であること、の全ての条件が満たされているときに、刈取作業中であると判別する構成を例示したが、このような構成に限らず、前記株元センサの検出情報のみにより判別したり、前記株元センサと刈取部回転センサとの情報により判別したり、あるいは、前記株元センサと車速センサとの情報により判別するようにしてもよい。
【0069】(4)上記実施形態では、自動変更制御として、ローリング制御及びピッチング制御を実行するようにしたが、このような構成に限らず、ローリング制御又はピッチング制御のいずれか一つを実行する構成としたり、このような走行装置に接地部に対する姿勢を変更するものに代えて、例えば、走行装置を支持する走行側フレームに対して機体本体側の支持フレームを機体横幅方向にスライド移動自在に支持する構成として、油圧シリンダ等のアクチュエータにより移動操作させる構成とし、例えば、穀粒タンク内での穀粒の貯留量の増大に伴って、左右重量バランスを均等にすべく穀粒タンクが機体横幅方向の中央側にスライド移動させるようなスライド制御を実行するようにして、走行装置に接地部に対する位置を適正な位置に変更するように構成するものでもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成14年3月28日(2002.3.28)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2003−284423(P2003−284423A)
【公開日】 平成15年10月7日(2003.10.7)
【出願番号】 特願2002−90671(P2002−90671)