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【発明の名称】 農産物収穫機
【発明者】 【氏名】長濱 大輔
【住所又は居所】岡山県岡山市中畦684番地 小橋工業株式会社内

【要約】 【課題】掘取りコンベア装置の前側に、収穫畝の両肩部に転接する左右一対の円錐状転輪を設け、この転輪に農産物のこぼれを防止するレーキ体を設ける。

【解決手段】自走機体に、圃場の農産物を掘取って搬送を行う掘取りコンベア装置6を設け、この掘取りコンベア装置6の前側に、収穫畝の両肩部に転接する左右一対の円錐形状の転輪13を設けた農産物収穫機であって、■.転輪13は、収穫畝の両肩部に円錐面を広く接し、この転輪13の外側に、掘り上げられた農産物のこぼれを防止するためのレーキ状のこぼれ防止装置17を設ける。■.こぼれ防止装置17は、レーキ体17を転輪13に対し前後方向に取付ける。■.レーキ体17を、転輪13に対して上下高さ及び前後角度を調節可能に、かつ着脱可能に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自走機体に、圃場の農産物を掘取って搬送を行う掘取りコンベア装置を設け、この掘取りコンベア装置の前側に、収穫畝の両肩部に転接する左右一対の円錐形状の転輪を設けた農産物収穫機において、上記転輪は、収穫畝の両肩部に円錐面を広く接し、この転輪の外側に、掘り上げられた農産物のこぼれを防止するためのレーキ状のこぼれ防止装置を設けたことを特徴とする農産物収穫機。
【請求項2】 上記こぼれ防止装置は、レーキ体を転輪に対し前後方向に取付けたことを特徴とする請求項1記載の農産物収穫機。
【請求項3】 上記レーキ体は、転輪に対して上下高さ及び前後角度を調節可能に、かつ着脱可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の農産物収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、馬鈴薯のような根菜類を圃場から掘取って搬送を行う掘取りコンベア装置の前側に、収穫畝の両肩部に転接する左右一対の円錐状転輪を設け、この転輪に農産物のこぼれを防止するレーキ体を設けた農産物収穫機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、馬鈴薯、甘藷、こんにゃく芋のような根菜類を圃場から収穫して搬送し、選別して収容するようにした農産物収穫機として、自走機体に、圃場の農産物を掘取って搬送を行う掘取りコンベア装置を設けたものが知られている。そして、その掘取りコンベア装置の前側に、収穫畝の両肩部に転接する左右一対の円錐形状の転輪を設けたものが、例えば特開平7−107828号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記先行技術の農産物収穫機においては、馬鈴薯のように収穫畝の頂部付近に収穫されるいもがある場合には、左右一対の転輪のみでは、転輪が収穫畝の側面に転接するとき、頂部付近のいもが押し出されて収穫畝の側方にこぼれ落ち、掘取りコンベア装置により搬送されなかったり、走行輪(クローラ)により踏みつけられたりする、という問題点があった。本発明は、上記の問題点を解決することを目的になされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成(請求項1〜3)を有することを特徴としている。
A.自走機体に、圃場の農産物を掘取って搬送を行う掘取りコンベア装置を設け、この掘取りコンベア装置の前側に、収穫畝の両肩部に転接する左右一対の円錐形状の転輪を設けた農産物収穫機において、上記転輪は、収穫畝の両肩部に円錐面を広く接し、この転輪の外側に、掘り上げられた農産物のこぼれを防止するためのレーキ状のこぼれ防止装置を設けた。
【0005】B.上記こぼれ防止装置は、レーキ体を転輪に対し前後方向に取付けた。
C.上記レーキ体は、転輪に対して上下高さ及び前後角度を調節可能に、かつ着脱可能に設けた。
【0006】
【作用】上記A.〜C.(請求項1〜3)の構成によって本発明の農産物収穫機は、以下の作用をする。
■.転輪は、収穫畝の両肩部に円錐面を広く接し、この転輪の外側に、掘り上げられた農産物のこぼれを防止するためのレーキ状のこぼれ防止装置を設けることで、収穫畝から掘り上げられた農産物が収穫畝の左右両側にこぼれることがあっても、こぼれ防止装置により畝溝に落下するのが防止され、掘取りコンベア装置に案内されて搬送される。
【0007】■.こぼれ防止装置は、レーキ体を転輪に対し前後方向に取付けることで、収穫畝から掘り上げられた農産物が収穫畝の左右両側にこぼれることがあっても、これを前後に長いレーキ体により畝溝に落下するのを防止し、掘取りコンベア装置に送り込んで搬送される。
■.レーキ体を、転輪に対して上下高さ及び前後角度を調節可能に、かつ着脱可能に設けることで、収穫畝の高さや農産物の栽培状況に応じてレーキ体の転輪に対する上下高さ及び前後角度を調節して最適の状態で収穫作業を行う。また、左右の転輪だけで十分な作業が行える場合には、レーキ体を取り外す。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付の図面に基づいて具体的に説明する。図1及び図2において、符号1はいも類収穫機で、このいも類収穫機1は、前後方向に長い機体2に、左右対をなし信地旋回あるいは超信地旋回を可能にしたクローラ3,3を装備している。このクローラ3,3の前後中間部の一側寄りの機体2にエンジン4を搭載し、その近傍に、エンジン4により駆動される発電機、油圧ポンプなど(図示せず)を搭載している。クローラ3,3間で、機体2の前側下部位置にトランスミッション5を設けている。また、機体2の下部前方からトランスミッション5上を通り機体中央上部にかけて、圃場に植生している農産物(いも)を掘り取り、後方に向け搬送を行う,先端側が下降するように傾斜した掘取りコンベア装置6を設け、このコンベア装置6は前側部分が上下動可能に中間部を枢支している。エンジン4と反対側の機体2の他側には、操縦部7を設けている。
【0009】掘取りコンベア装置6は、左右の側枠(フレーム)8,8の先端部に掘取り刃9を取付け、側枠8,8間にリンクロッドからなり、所定間隔にスラットを設けたバーコンベア10を巻装し、その傾斜上端部の回動部を中心に傾斜下端側が上下方向に回動可能で、機体2と側枠8,8間に設けた油圧シリンダ(図示せず)の伸縮作動によって上下動調節、即ち、掘り取り深さの調節が行われるようになっている。また、側枠8,8の中間部からバーコンベア10と共に機体側に折り畳めるようになっていて、その折り畳み,折り畳み解除操作を図示しない油圧シリンダにより行うようにしている。バーコンベア10は、その移動速度が無段または有段に変速調節可能となっている。
【0010】上記掘取り刃9とバーコンベア10との間には、少なくともスラットが回転可能の回転間隙があけられており、この掘取り刃9の後部とバーコンベア10の前端部との間に、図示しないゴム板のような可撓性の板体を、回転するスラットと接して上下動可能に設けている。左右の側枠8,8から前方に向け突出したブラケット11,11に、収穫対象畝の長さ方向に沿って機体の移動と共に追従する畝追従装置12を設けている。
【0011】この畝追従装置12は、収穫対象畝の傾斜両肩部に円錐部分が転接する左右一対の円錐状転輪13を対向させて設けている。この円錐状転輪13,13は、掘取りコンベア装置6に対し上下調節機構14により上下調節可能、スライド機構15,15により左右移動調節可能、さらに前後角度調節機構16により前後角度調節可能、に支持している。また、一対の円錐状転輪13は、前後移動調節可能にしてもよい。この円錐状転輪13の外側に、掘取り刃9により掘り上げられたいも類のこぼれを防止するためのレーキ体からなるこぼれ防止装置17を設けている。こぼれ防止装置(レーキ体)17は、レーキ体17を転輪13に対し前後方向に取付けており、その後端はバーコンベア10上まで延びている。また、レーキ体17は、転輪13に対して上下高さ・前後角度調節機構18により上下高さ及び前後角度が調節可能であり、かつ着脱可能である。
【0012】上記掘取りコンベア装置6の側枠8には、その折り畳み部の近傍に、図示しないが、掘取りコンベア装置6を使用状態に展開したときは動力が接続され、折り畳んだときには動力が切断される動力断接機構を設けている。掘取りコンベア装置6の左右両側方に、掘取られて搬送されてくる収穫物の前処理を行う補助作業者が搭乗する補助作業者用座席19を配設している。この補助作業者用座席19は不要の場合には取り外し可能である。補助作業者用座席19の下側にステップ20、前側に前部コンテナ載置台21が着脱可能、かつ上下回動可能に設けられている。掘取りコンベア装置6の後方の機体後部位置に、ベルトコンベアタイプの選別コンベア22が配設され、この選別コンベア22のさらに後方の機体2に、後部コンテナ載置台23が設けられている。この後部コンテナ載置台23の後部位置に予備のコンテナを載置しておくための予備コンテナ載置台24が設けられている。後部コンテナ載置台23は収納状態に基端部が回動可能である。
【0013】選別コンベア22の一側で操縦部7の後方に位置して、操縦操作及び選別作業を行う作業者が搭乗する作業者用座席25及びステップ26が設けられ、この作業者用座席25と対向する選別コンベア22の他側に、選別作業を行う作業者が搭乗する選別作業者用座席27及びステップ28が設けられている。選別作業者用座席27の近傍に、操縦部7に設けたクラッチレバーと連動して操作できるクラッチレバー29が設けられ、緊急時に機体の走行及び掘取りコンベア装置6、選別コンベア22などの駆動を停止できるようにしている。上記両座席25,27は、それぞれ上下調節,水平回動可能に支持されている。また、エンジン4及び操縦部7の外側方に中部コンテナ載置台30が着脱可能、かつ装着した状態で基部側が上下回動可能に設けられている。
【0014】エンジン4から動力を受けて変速するトランスミッション5においては、図示しないが、無段変速する油圧無段変速装置(HST)を具備しており、変速ギヤを介して無段と有段とに変速するようにし、サイドクラッチ、デファレンシャル装置を介してエンジン4側からの動力伝達を接,断して、クローラ3,3を無段と有段とに変速走行させるようにしている。そして、操向レバーを大きく操作したときに、サイドクラッチ、差動機構等の作動により、機体を信地旋回あるいは超信地旋回させるようにしている。
【0015】また、上述のようにバーコンベア10は、その移動速度が無段と有段とに変速調節可能であり、これにクローラ3,3の無段または有段走行と組合せることにより、掘取り作業速度が自由に設定可能である。上記掘取りコンベア装置6は、いも類収穫機1の非使用時には、掘取りコンベア装置6全体を回動部を中心に回動させるか、あるいは掘取りコンベア装置6の中間部から先端側部分を上方に折り畳んで機体側に回動させて収納状態にし、機体前後長を短くして小型トラックの荷台に積載して運搬でき、また、倉庫などに収納できると共に、枕地旋回を少ない面積で行えるようにしている。
【0016】次に、上記のように構成されたいも類収穫機1の動作について説明する。いも類収穫機1は、例えば、馬鈴薯を圃場から収穫するとき、畝追従装置12の円錐状転輪13,13を、収穫対象畝の傾斜両肩部に転接させ、掘取りコンベア装置6の掘取り刃9の掘取り深さを調節し、機体を前進させる。すると、掘取り刃9は収穫対象畝を縦方向に掘り上げ、掘り上げられた収穫物は、掘取りコンベア装置6のバーコンベア10及びスラットにより機体後方斜め上方に向けて搬送される。掘取り刃9により掘り上げられた畝上部のいもが畝溝側に落下することがあっても、レーキ体17に案内されてコンベア10上にもたらされる。そして、無端状に回動するコンベア10及びスラットにより後方斜め上方に搬送された収穫物は、搬送終端から選別コンベア22にもたらされ、ここで作業者により選別されて、選別された収穫物は後部コンテナ載置台23上に載置されコンテナ内に収容される。
【0017】バーコンベア10では、収穫物を土と共に搬送しながら機体斜め上方に向け揚上搬送する間に、バーコンベア10のバー間から土が落下し、補助作業者用座席19に座った作業者により、根菜類(いも)以外のつるや茎葉、大きな土塊、石等を除去する前処理が行われる。バーコンベア10の搬送終端から選別コンベア22上に排出された収穫物は、作業者用座席25及び選別作業者用座席27に座った作業者により選別されて、後部コンテナ載置台23上に載置されたコンテナに収容する。
【0018】ここで、いも類収穫機1は、クローラ(走行装置)3,3、掘取りコンベア装置6、選別コンベア22を中心にして機体2にエンジン4、トランスミッション5、操作部(操作系)7、座席19,25,27、コンテナ載置台21,23,30をほぼ左右対称に配設することにより、機体2の前後,左右のバランスがよく、作業性,作業精度が良好となり、機体2の走行性,旋回性能,安定性が向上している。また、走行装置(クローラ3,3)を信地旋回あるいは超信地旋回が可能に構成すると共に、トランスミッション5を機体前側中央部に配設していることにより、機体2が急旋回するときでも左右何れの方向にもバランスよく旋回できる。従って、クローラ3,3によって圃場の土を大きくかき寄せるようなことがない。
【0019】掘取りコンベア装置6の前方には収穫対象畝の長さ方向に沿って機体の移動と共に追従する畝追従装置12を設け、その収穫対象畝の傾斜両肩部に転接する一対の転輪13を対向させて設けて掘取りコンベア装置6に対し上下調節、かつ左右調節可能に支持し、また、転輪13にこぼれ防止装置(レーキ体)17を設けているので、両転輪13は収穫対象畝に対し正確に追従して機体を自動操向し、掘取りコンベア装置6による自動掘取り・搬送が行われる。従って、作業者用座席25に座った作業者は収穫対象畝の畝端における機体操向操作以外は、ほとんどの時間を選別作業に当てることができる。また、こぼれ防止装置(レーキ体)17によりいものこぼれが防止されて、精度のよい収穫作業が行われる。圃場端で枕地旋回を行うときは、掘取りコンベア装置6を折り畳むことにより、クローラ3,3の急旋回とともに小さい旋回半径で旋回できる。また、いも類収穫機1を倉庫に収納したり、道路を移動したりするときには、後部コンテナ載置台23を収納状態にすることで、機長を短くすることができる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明の農産物収穫機によれば、請求項1〜3に記載の構成を有することにより、以下の効果を奏する。
■.転輪は、収穫畝の両肩部に円錐面を広く接し、この転輪の外側に掘り上げられた農産物のこぼれを防止するためのレーキ状のこぼれ防止装置を設けたので、収穫畝から掘り上げられた農産物が、収穫畝の左右両側にこぼれることがあっても、こぼれ防止装置により畝溝に落下するのが防止され、掘取りコンベア装置に案内されて搬送することができる。
【0021】■.こぼれ防止装置は、レーキ体を転輪に対し前後方向に取付けるので、収穫畝から掘り上げられた農産物が収穫畝の左右両側にこぼれることがあっても、これを前後に長いレーキ体により畝溝に落下するのを防止し、掘取りコンベア装置に送り込んで搬送することができる。
■.レーキ体を、転輪に対して上下高さ及び前後角度を調節可能に、かつ着脱可能に設けるので、収穫畝の高さや農産物の栽培状況に応じてレーキ体の転輪に対する上下高さ及び前後角度を調節して、最適の状態で収穫作業を行うことができる。また、左右の転輪だけで十分な作業が行えるような場合には、レーキ体を取り外しておけばよい。
【出願人】 【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
【住所又は居所】岡山県岡山市中畦684番地
【出願日】 平成14年3月5日(2002.3.5)
【代理人】 【識別番号】100063565
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳 (外1名)
【公開番号】 特開2003−250320(P2003−250320A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−58650(P2002−58650)