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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】山崎 弘章
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】松川 雅彦
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】門脇 隆志
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】錦織 将浩
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】石橋 俊之
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】山崎 達也
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】電源を投入したとき、前処理部や脱穀部の穀稈搬送装置が、常に低速側から目標速度に移行するようにしたコンバインを提供する。

【解決手段】コンバインの電源投入時、扱ぎ深さ搬送装置45の搬送チェーン46や前処理部9の搬送ベルト52、脱穀部10のフィードチェーン31を駆動する前処理用HST35の駆動モータ37を、該前処理用HST35の出力が停止状態となるように減速方向に駆動させる。前処理部9で穀稈を搬送する前処理搬送装置(搬送チェーン46、搬送ベルト52)や、脱穀部10で穀稈を搬送するフィードチェーン31が、常に低速で回転を開始して目標の回転数まで増速することになり、作業の安全性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 無段変速機を介して穀稈搬送装置を無段変速駆動するようにしたコンバインであって、前記無段変速機は、該無段変速機の出力回転を操作する変速操作手段を備え、コンバインの電源投入時、前記変速操作手段を、前記無段変速機の出力回転が停止状態となるように減速方向に駆動させる制御手段を、設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】 前記穀稈搬送装置が、前処理部における穀稈搬送装置である、ことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】 前記無段変速機が、静油圧変速機であり、前記変速操作手段が、電動モータであって、前記制御手段が、前記電動モータを、前記電源投入時から一定時間、前記静油圧変速機のトラニオン軸を前記減速方向に駆動させる、ことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機を介して穀稈搬送装置を無段変速駆動するようにしたコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】機体の走行速度やエンジンの出力回転に連動させる形で、前処理部や脱穀部の穀稈搬送装置を駆動制御するようにしたコンバインが提案されている。このようなコンバインでは、刈取り作業を行なう通常の運転状態でコンバインの走行を停止させると、前処理部や脱穀部の穀稈搬送装置を駆動する無段変速機の出力回転も停止状態になる。従って、コンバインを停止させた後、電源を遮断した場合には、改めてコンバインに電源を投入したとき、前処理部や脱穀部の穀稈搬送装置は、停止状態で駆動が開始され、目標速度まで増速される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】運転者によっては、運転中に、何らかの原因で、コンバインが高速走行中にも拘わらず、電源を遮断してコンバインを急停止させることがある。すると、前処理部や脱穀部の穀稈搬送装置は、高速駆動されていた状態で停止することになるため、再びコンバインに電源を投入したとき、突然、前処理部や脱穀部の穀稈搬送装置が高速で駆動されることになり、特に手扱ぎ作業等を行なう際には、極めて危険である。
【0004】上記の事情に鑑み、本発明は、高速走行中に電源を遮断してコンバインを停止させた場合でも、電源投入時、前処理部や脱穀部の穀稈搬送装置が、低速側から目標速度に移行するようにしたコンバインを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、無段変速機(35)を介して穀稈搬送装置(31、46、52)を無段変速駆動するようにしたコンバイン(1)であって、前記無段変速機(35)は、該無段変速機(35)の出力回転を操作する変速操作手段(37)を備え、コンバイン(1)の電源投入時、前記変速操作手段(37)を、前記無段変速機(35)の出力回転が停止状態となるように減速方向に駆動させる制御手段(60)を、設けたことを特徴とするコンバインにある。
【0006】請求項2に係る発明は、前記穀稈搬送装置(31、46、52)が、前処理部(9)における穀稈搬送装置(46、52)である、ことを特徴とする請求項1記載のコンバインにある。
【0007】請求項3に係る発明は、前記無段変速機(35)が、静油圧変速機であり、前記変速操作手段(37)が、電動モータであって、前記制御手段(60)が、前記電動モータ(37)を、前記電源投入時から一定時間、前記静油圧変速機(35)のトラニオン軸(35a)を前記減速方向に駆動させる、ことを特徴とする請求項1記載のコンバインにある。
【0008】なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであり、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】図1ないし図6は、本発明の実施の形態を示すもので、図1は、本発明を適用するコンバインの一例を示す側面図、図2は、図1に示すコンバインの駆動系統を示す駆動系統図、図3は、図2における前処理用HSTと駆動モータの関係を示す側面図、図4は、図1に示すコンバインの制御系統を示すブロック線図、図5は、図4に示す制御系統で行なわれる制御の過程を示すフローチャート、図6は、図4に示す制御系統で行なわれる制御のタイムチャートである。
【0011】図1において、穀稈の刈取り、脱穀を行なうコンバイン1は、左右一対のクローラ走行装置2、2により支持された機体3を有している。該機体3の前部(図1の右側)左右いずれかの側には、運転席5が配置され、その後にはエンジン6が配置されている。さらに、該エンジン6の後(図1の左側)には、穀粒タンク7が配置されている。
【0012】また、前記機体3の先端には、穀稈を刈取り、搬送する前処理部9(刈取り装置)が配置されている。該機体3の前記運転席5が配置されていない側には、該前処理部9から送り込まれた穀稈の脱穀を行なう脱穀部10が配置され、その後部には、穀粒が脱穀された稈を排出する排出部11が配置されている。
【0013】前記運転席5には、前記コンバイン1の前進、後進とその走行速度を操作する主変速レバー12と、該コンバイン1の走行速度を操作する副変速レバ(図示せず)と、該コンバイン1の旋回操作と、前記前処理部9の昇降を操作するマルチステアリングレバー13と、該前処理部9と前記脱穀部10への動力の伝達、遮断を行う作業機クラッチレバー26(図2参照)と、該前処理部9への動力の伝達、遮断を行なう刈取りクラッチレバー15等のほか、該コンバイン1の操作に必要な各種のスイッチ類(図示せず)が配置されている。
【0014】前記エンジン6(E/G)を動力源とする前記コンバイン1の駆動系統は、図2に示すように構成されている。該コンバイン1の走行駆動系を構成するトランスミッション16(T/M)には、主変速機を構成する走行駆動用無段変速機17(静油圧変速機、以下、走行用HSTという)と、副変速機19と、歯車列20が配置され、前記クローラ走行装置2、2を駆動する。該副変速機19の出力軸には、T/M回転センサ21が接続され、該副変速機19の出力軸の出力回転を、該トランスミッション16の出力回転として検出するようになっている。
【0015】前記エンジン6から前記トランスミッション16(前記走行用HST17)への動力の伝達は、該エンジン6の出力軸6aに固定されたプーリ6bと、該走行用HST17の入力軸17aに固定されたプーリ17bとの間に掛け渡されたベルト22で行なわれる。なお、該走行用HST17の出力回転は、該走行用HST17の出力軸17cに固定された歯車17dを介して前記副変速機19に伝達される。
【0016】前記前処理部9と前記脱穀部10を駆動する駆動軸23は、前記コンバイン1の所定の位置に回転自在に支持されている。前記エンジン6から該駆動軸23への動力の伝達は、該エンジン6の出力軸6aに固定されたプーリ6cと、該駆動軸23に固定されたプーリ23aとの間に掛け渡されたベルト25で行なわれる。該ベルト25には、テンションクラッチで構成され、前記作業機クラッチレバー26で操作される作業機クラッチ27が配置され、該作業機クラッチレバー26の操作により、該エンジン6と該駆動軸23との間の動力の伝達、遮断を行なうようになっている。
【0017】中間軸29は、前記コンバイン1の所定の位置に回転自在に支持されている。前記駆動軸23から該中間軸29への動力の伝達は、該駆動軸23に固定された傘歯車23bと、該傘歯車23bと噛合うように該中間軸29に固定された傘歯車29aとによって行なわれる。
【0018】前記脱穀部10は、前記機体3の所定の位置に回転自在に支持され、穀稈の脱穀を行う扱ぎ胴30と、該機体3に該扱ぎ胴30に沿って移動自在に配置され、穀稈の搬送を行なうフィードチェーン31を備えている。前記中間軸29から該扱ぎ胴30への動力の伝達は、該中間軸29に固定されたプーリ29bと、該扱ぎ胴30の入力軸30aの一端に固定されたプーリ30bとの間に掛け渡されたベルト32で行なわれる。従って、前記作業機クラッチ27が動力の伝達(接続)状態にあるとき、該扱ぎ胴30は回転駆動される。
【0019】前処理用変速機33は、前処理駆動用無段変速機35(静油圧変速機、以下、前処理用HSTという)を備えている。前記駆動軸23から該前処理用変速機33への動力の伝達は、該駆動軸23に固定されたプーリ23cと、該前処理用変速機33の入力軸33a(該前処理用HST35の入力軸)に固定されたプーリ33bとの間に掛け渡されたベルト36によって行なわれる。
【0020】前記前処理用HST35は、駆動モータ37を備え、該駆動モータ37によりその出力回転が制御されるように構成されており、前記前処理用変速機33の出力軸33cを、前記トランスミッション16の出力回転に比例させて回転させるT/M比例モード又は、前記エンジン6の出力回転に比例させて回転させるE/G比例モードで回転させ、前記前処理部9と前記脱穀部10のフィードチェーン31を駆動する。該前処理用変速機の出力軸33cには、HTS回転センサ39が接続され、該出力軸33cの出力回転を、該前処理用変速機33の出力回転として検出するようになっている。
【0021】前処理駆動軸40は、前記コンバイン1の所定の位置に回転自在に支持されている。前記前処理用変速機33から該前処理駆動軸40への動力の伝達は、該前処理用変速機33の出力軸33cに固定されたプーリ33dと、該前処理駆動軸40に固定されたプーリ40aの間に掛け渡されたベルト41によって行なわれる。該ベルト41には、テンションクラッチで構成され、前記刈取りクラッチレバー15で操作される刈取りクラッチ42が配置され、該刈取りクラッチレバー15の操作により、該前処理用変速機33と該前処理駆動軸40との間の動力の伝達、遮断を行なうようになっている。
【0022】中間軸43は、前記コンバイン1の所定の位置に回転自在に支持されている。前記前処理駆動軸40から該中間軸43への動力の伝達は、該前処理駆動軸40に固定された傘歯車40bと、該傘歯車40bと噛合うように該中間軸43に固定された傘歯車43aとによって行なわれる。
【0023】刈取られた穀稈を前記フィードチェーン31まで搬送する扱ぎ深さ搬送装置45は、前記機体3の所定の位置に配置されている。該扱ぎ深さ搬送装置45は、穀稈の株元を搬送するチェーンと、穀稈の穂先部を搬送するチェーンとで構成される搬送チェーン46を備えている。該搬送チェーン46は、前記中間軸43に固定されたスプロケット43bに掛け渡され、該前処理駆動軸40の回転により駆動される。なお、該搬送チェーン46の穀稈の搬送経路に沿って、扱ぎ深さメインセンサ47が配置され、搬送チェーン46で搬送される穀稈の有無を検出するようになっている。
【0024】伝動軸49は、前記コンバイン1の所定の位置に回転自在に支持されている。前記前処理駆動軸40から該伝動軸49への動力の伝達は、該前処理駆動軸40に固定された傘歯車40cと、該傘歯車40cと噛合うように該伝動軸49に固定された傘歯車49aとによって行なわれる。該伝動軸49は、刈刃50を駆動すると共に、該伝動軸49に固定された歯車49bと、該歯車49bと噛合う歯車52aと、該歯車52aと噛合う歯車52bを介して、掻き込み装置51の搬送ベルト52を駆動する。
【0025】駆動軸53は、前記コンバイン1の所定の位置に回転自在に支持されている。前記前処理用変速機33から該駆動軸53への動力の伝達は、該前処理用変速機33の出力軸33cに固定された歯車33eに噛合い該前処理用変速機33の中間軸33fに回転自在に支持された歯車33gと一体に固定されたスプロケット33hと、該駆動軸53に固定されたスプロケット53aとの間に掛け渡されたチェーン55によって行なわれる。そして、該駆動軸53に固定されたスプロケット53bにより前記フィードチェーン31が駆動される。
【0026】前記前処理用HST35と前記駆動モータ37は、図3に示すように配置されている。前記前処理用変速機33のギヤケース33jに取付けられた前記前処理用HST35のトラニオン軸35aには、扇形の歯車35bが固定され、該歯車33bには、ピン35cが突設されている。なお、該前処理用HST35の前記入力軸33aには、送風用のファン57が固定され、該前処理用HST35の冷却を行なうようになっている。
【0027】減速側のリミットスイッチ55と、増速側のリミットスイッチ56は、それぞれ、前記歯車35bの揺動によって移動する前記ピン35cの移動経路に位置し、該歯車35bの揺動端を検出するように配置されている。また、前記駆動モータ37は、前記歯車35bに近接した位置に配置され、その出力軸37aには、該歯車35bと噛合う歯車37bが固定されている。
【0028】従って、前記駆動モータ37を駆動して前記歯車37bを回転させると、該歯車37bと噛合う前記歯車35bが回動し、前記トラニオン軸35aを回転させて、前記前処理用HST35の出力回転を制御することができる。そして、該前処理用HST35の出力回転を制御することにより、前記前処理用変速機33の前記出力軸33cの出力回転を制御することができる。なお、該駆動モータ37は、前記ピン35cを前記リミットスイッチ55、56の何れかが検出した場合には、その駆動が停止される。例えば、減速側の該リミットスイッチ55が該ピン35cを検出したとき、該前処理用HST35の出力回転は「0」になる。
【0029】このような構成の前記コンバイン1の制御装置は、図4に示すように構成されている。制御装置60は、入力インターフェース61と、マイコン62と、出力インターフェース63を備え、前記コンバイン1のメインスイッチ65に接続されている。
【0030】前記入力インターフェース61には、前記減速側のリミットスイッチ55、前記増速側のリミットスイッチ56、前記作業機クラッチレバー26の操作位置(前記作業機クラッチ27の接続、遮断)を検出する作業機クラッチスイッチ66、前記コンバイン1の停止時もしくは前処理部9の上昇による前処理部の停止時に、前処理部9を強制的に作動させ、刈取った穀稈を所定の位置まで搬送させる強制掻き込みスイッチ67、穀稈の状況によって前記副変速機19で選択される速度(倒伏、標準、走行)を検出する倒伏スイッチ69、前記T/M回転センサ21、前記HST回転センサ39等が接続されている。
【0031】また、該入力インターフェース61には、前記前処理部9の昇降方向の位置を検出するリフトポテンショメータ70、前記扱ぎ深さメインセンサ47、前記刈取りクラッチレバー15の操作位置(前記刈取りクラッチ42の接続、遮断)を検出する刈取りクラッチスイッチ71と、前記前処理部9が予め設定された高さより上昇した場合、該前処理部9の駆動を停止させる機能の有効、無効を選択するリフトシャットスイッチ72と、該前処理部9を上昇させるリフト上昇スイッチ73と、前記エンジン6の出力回転を検出するエンジン回転センサ75などが接続されている。
【0032】前記出力インターフェース63には、前記前処理用HST35の前記駆動モータ37を駆動する駆動回路80が接続されている。また、該出力インターフェース63には、ホーン76、手扱ぎランプ77、E/Gストップソレノイド79等が接続されている。
【0033】このような構成のコンバイン1は、コンバイン1を圃場にいれた後、作業機クラッチ27、刈取りクラッチ42を入れ、前処理部9と脱穀部10を駆動した状態で、その走行方向を穀稈の配列方向に向けて前進させる。すると、先ず、前処理部9のデバイダが穀稈の配列内に分け入り穀稈を分草する。デバイダで分草された穀稈は、引起し装置により搬送され、刈刃50で株元が切断され刈取られる。
【0034】刈取られた穀稈は、掻き込み装置51により掻き込まれて、搬送ベルト52で扱ぎ深さ搬送装置45まで搬送され、扱ぎ深さ搬送装置45に受け渡される。扱ぎ深さ搬送装置45に渡された穀稈は、扱ぎ深さ搬送装置45で搬送される間に、扱ぎ深さメインセンサ47で検出されると共に、株元・穂先センサ(図示せず)で、その穂先位置が検出される。そして、その検出結果に基づいて、扱ぎ深さ搬送装置45が揺動して、穀稈の穂先位置が脱穀部10の適正位置を通過するように穀稈をフィードチェーン31に受け渡す。
【0035】フィードチェーン31に受け渡された穀稈は、その穂先が扱ぎ胴30と接触するように搬送され脱穀される。穀粒が脱穀され、フィードチェーン31の終端まで搬送された稈は、排出部11に受け渡されてコンバイン1の後部から排出される。一方、穀稈から脱穀された稈枝混じりの穀粒は、選別部(図示せず)を通して選別され、穀粒タンク7に一時貯蔵される。
【0036】このようなコンバイン1の制御装置60における電源投入時の制御について、図5に示すフローチャート及び図6に示すタイミングチャートにより説明する。なお、以下の説明においては、コンバイン1の電源を遮断したとき、初回フラグに「0」をセットするものとする。
【0037】コンバイン1の電源が投入されたとき、制御装置60は、初回フラグを判定する(図5のステップS1、以下、単にステップS○という)。ステップS1において、初回フラグが「0」の場合、初回フラグに「1」をセットする(ステップS2)。なお、通常の刈取り作業時において、電源を遮断しないで行なうコンバイン1の停止、発進の際には、初回フラグが既に「1」にセットされた状態になっている。
【0038】前記制御装置60は、前記ステップS2において、初回フラグ「1」をセットした場合、マイコン62内の初回減速出力タイマ(図示せず)に、図6に示すように、マイコン62の起動と略同時に、時刻t1で前記駆動モータ37を駆動して前記前処理用HST35の出力回転を停止状態にするために必要な時間tsをセットする(ステップS3)。この時間tsは、図3に示す、駆動モータ37の駆動により歯車35bが揺動し、ピン35cが一方のリミットスイッチ55(又は56)から他方のリミットスイッチ56(又は55)まで移動するのに必要な時間より長い時間とする。同時に、時間tsの減算を開始する。また、駆動モータ制御手段80を、駆動モータ37を減速方向に回転させるようにセットする(ステップS4)。
【0039】前記ステップS1で初回フラグが「1」の場合、また、前記ステップS2で初回フラグに「1」をセットした場合、前記ステップS3で初回減速出力タイマにセットされた時間tsの残り時間の有無を判定する(ステップS5)。なお、通常の刈取り作業時において、電源を遮断しないで行なうコンバイン1の停止、発進の際には、初回減速出力タイマには時間tsが設定されないので、初回減速出力タイマに設定された時間tsが経過したものと判定される。
【0040】そして、初回減速出力タイマに設定された時間tsが経過していた場合(通常の作業状態に移行している場合)、副変速機19により選択された車速の制御モード(倒伏、標準、走行)を判定する(ステップS6)。また、前処理部9の駆動条件(刈取りクラッチスイッチ71のON、OFF)を判定する(ステップS7)。また、コンバイン1の車速に連動させて前処理部9を駆動するため、前処理用HST35の出力回転の目標値を算出する(ステップS8)。さらに、作業機クラッチスイッチ66、刈取りクラッチスイッチ71を確認して、作業機クラッチ27、刈取りクラッチ42をセットし出力モードを制御する(ステップS9)。即ち、コンバイン1が、通常の作業状態にある場合には、前処理用HST35の出力をコンバイン1の車速又はエンジン6の出力回転に連動するように制御する。
【0041】前記ステップS5で初期減速出力タイマに設定された時間tsが経過していない場合(コンバイン1の電源投入時)、マイコン62の起動と略同時に初回減速出力を駆動回路80に与え、駆動モータ37を前処理用HST35の減速方向に駆動させる。そして、図6に示すように、時刻t2で、減速側のリミットスイッチ55がONしたとき、制御装置60は、該リミットスイッチ55のON信号の立上りを検出して、駆動モータ37の駆動を停止させる(ステップS10)。
【0042】このとき、前処理用HST35のトラニオン軸35aが、前処理用HST35の出力回転が「0」になる位置よりさらにマイナス側に回転しても、前処理用HST35の出力が反転することはない。また、リミットスイッチ55がONすると、制御装置60は、前記時間tsが経過していなくても、駆動モータ37の駆動を停止させる。
【0043】このようにして、前処理用HST35の出力回転が停止した状態から、改めてコンバイン1の走行速度又はエンジン6の出力回転に連動するように、前処理用HST35の出力回転を、目標値に向けて増速制御する。即ち、フィードチェーン31、搬送チェーン46、搬送ベルト52等の穀稈搬送装置は、常に停止状態から目標速度に近づくように駆動されるので、コンバイン1が電源の遮断により停止した状態で、改めて、コンバイン1に電源が投入されても、穀稈搬送装置が高速で駆動されることはない。従って、作業の安全を確保することができる。また、停止状態から目標速度に向けて駆動するので、目標速度に対する穀稈搬送装置の速度制御を、より正確に行なうことができる。
【0044】なお、上記の実施の形態においては、前記無段変速機を介して駆動される前記穀稈搬送装置として、扱ぎ深さ搬送装置45の搬送チェーン46と、前処理部9の搬送ベルト52と、脱穀部10のフィードチェーン31とを、同じ前処理用HST35を介して駆動する場合について例示したが、これら搬送チェーン46及び搬送ベルト52と、脱穀部10のフィードチェーン31をそれぞれ異なる無段変速機を介して駆動させるようにしてもよい。
【0045】また、無段変速機として静油圧変速機である前処理用HST35、変速操作手段として電動モータである駆動モータ37を使用した場合について説明したが、無段変速機は静油圧変速機に限らず、無段変速し得るものであればベルト駆動のものであってもよい。また、変速操作手段も電動モータに限らず、他の駆動手段であってもよい。
【0046】
【発明の効果】請求項1に係る発明によると、コンバインの電源投入時、穀稈搬送用の無段変速機の変速操作手段を、該無段変速機の出力が停止状態となるように減速方向に駆動させるので、前処理部で穀稈を搬送する前処理搬送装置や、脱穀部で穀稈を搬送するフィードチェーンが、常に低速で回転を開始して目標の回転数まで増速することになり、作業の安全性を向上させることができる。
【0047】請求項2に係る発明によると、前処理部における穀稈のこぼれや、詰まりを防止して、安定した刈取り作業を行なうことができる。
【0048】請求項3に係る発明によると、無段変速機を静油圧変速機で構成し、該静油圧変速機の変速操作手段を電動モータで構成し、制御手段が、該電動モータを、電源投入時から一定時間、該静油圧変速機のトラニオン軸を減速側に駆動させるようにしたので、電源投入時の制御を簡素化し、安定した制御を行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成14年2月18日(2002.2.18)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫 (外1名)
【公開番号】 特開2003−235328(P2003−235328A)
【公開日】 平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願番号】 特願2002−40617(P2002−40617)