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【発明の名称】 草刈機の草除去装置
【発明者】 【氏名】松木 悟志
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】榎本 和加雄
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】藤田 信雄
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】岸 猛
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】草刈機の排出口に詰った草を確実に除去する。

【解決手段】左右方向に並列配置している複数の回転刈刃50,…をデッキ27で被覆し、デッキ27の後側中央部には回転刈刃50,…で刈り取った草を後方に向けて排出する排出口55を設け、デッキ27内の排出口55の前側部にはデッキ27の左右両側からの草を排出口55に送り込む左・右排出通路62a,62bを構成し、左・右排出通路62a,62bに略全幅にわたって設けられている板状の掻き出し板64,64を、排出口55に対して退避した位置から突出した位置に移動操作可能に構成する。草刈機の排出口55に塊状になって詰っている草を確実に除去することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右方向に並列配置している複数の回転刈刃50,…の上方と側方をカバー体であるデッキ27で被覆して草刈機2を構成し、この草刈機2を移動車両1に昇降自在に取り付け、デッキ27の後側中央部には回転刈刃50,…で刈り取った草を後方に向けて排出する排出口55を設け、前記排出口55に対向して設けられている板状の掻き出し板64を排出口55に対して退避した位置から突出した位置に移動操作可能に構成したことを特徴とする草刈機の草除去装置。
【請求項2】 左右方向に並列配置している複数の回転刈刃50,…の上方と側方をカバー体であるデッキ27で被覆して草刈機2を構成し、この草刈機2を移動車両1に昇降自在に取り付け、デッキ27の後側中央部には回転刈刃50,…で刈り取った草を後方に向けて排出する排出口55を設け、デッキ27内の排出口55の前側部にはデッキ27の左右両側から回転刈刃50,…で刈り取った草を排出口55に送り込む左・右排出通路62a,62bを構成し、前記左・右排出通路62a,62bに対向して幅広に設けられている板状の掻き出し板64,64を、排出口55に対して退避した位置から突出した位置に移動操作可能に構成したことを特徴とする草刈機の草除去装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、草刈機の草除去装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来の草刈機は、左右方向に並列配置している複数の回転刈刃の周囲をカバー体であるデッキで被覆し、デッキの後側中央部には回転刈刃で刈り取った草を後方に向けて排出する排出口を設け、排出口に対向して図5に示すように所定間隔置きの掻き出し棒66,…を設ける構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】このように構成されている掻き出し棒66,…で排出口に塊状となって詰っている草を掻き出すと、掻き出し棒66,…の通過した部分の草だけが除去され、殆どの草は塊状でそのまま残存するという不具合があった。そこで、この発明はこのような不具合を解消しようとするものである。
【0004】
【問題を解決するための手段】請求項1の発明は、左右方向に並列配置している複数の回転刈刃50,…の上方と側方をカバー体であるデッキ27で被覆して草刈機2を構成し、この草刈機2を移動車両1に昇降自在に取り付け、デッキ27の後側中央部には回転刈刃50,…で刈り取った草を後方に向けて排出する排出口55を設け、前記排出口55に対向して幅広に設けられている板状の掻き出し板64を排出口55に対して退避した位置から突出した位置に移動操作可能に構成したことを特徴とする。
【0005】請求項1記載の発明の作用は次のとおりである。左右方向に並列配置している複数の回転刈刃50,…で刈り取られた草は、デッキ27の左右両側から後側中央部の排出口55に向けて送られ後方へ排出される。排出口55に対向して幅広に設けられている板状の掻き出し板64を、排出口55の退避した位置から突出した位置に移動操作することにより、排出口55に塊状になって詰っている草を除去することができる。
【0006】請求項2の発明は、左右方向に並列配置している複数の回転刈刃50,…の上方と側方をカバー体であるデッキ27で被覆して草刈機2を構成し、この草刈機2を移動車両1に昇降自在に取り付け、デッキ27の後側中央部には回転刈刃50,…で刈り取った草を後方に向けて排出する排出口55を設け、デッキ27内の排出口55の前側部にはデッキ27の左右両側から回転刈刃50,…で刈り取った草を排出口55に送り込む左・右排出通路62a,62bを構成し、前記左・右排出通路62a,62bに対向して幅広に設けられている板状の掻き出し板64,64を、排出口55に対して退避した位置から突出した位置に移動操作可能に構成したことを特徴とする。
【0007】請求項2の発明の作用は次のとおりである。左右方向に並列配置している複数の回転刈刃50,…で刈り取られた草は、左・右排出通路62a,62bを経て排出口55に送り込まれ後方に排出される。左・右排出通路62a,62bに対向して幅広に設けられている板状の掻き出し板64,64を、排出口55の退避した位置から突出した位置に移動操作することにより排出口55に詰っている草を除去することができる。
【0008】
【発明の効果】請求項1の発明は、草刈機の排出口55に塊状になって詰っている草を確実に除去することができる。請求項2の発明は、デッキ27内の左・右排出通路62a,62bに幅広の板状の掻き出し板64,64を設けて別個に移動操作可能に構成したので、掻き出し板64,64の操作加重を軽減しながら、左・右排出通路62a,62bに詰った草を広範囲にわたって除去することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例の形態について説明する。トラクタ等の移動車両1の前後方向中間下部に芝や草類を地表面から刈り取る草刈機2を昇降自在に取り付け、この作業機である草刈機2の草刈り排出部に発明を折り込んだものであって、以下これにつき説明する。
【0010】移動車両1は図示のように乗用四輪型のトラクタであり、機体下部に左右一対の前後方向の主フレーム3,3を配設している。主フレーム3,3は前後方向中間部で機体に溶接されていて、後主フレーム3a,3aを左・右後輪4,4の内側面に接近するように左右間隔を幅広に構成している。
【0011】主フレーム3,3は前側部を幅狭に構成し、前部上方にエンジン5を搭載している。主フレーム3,3の前側下部にフロントアクスル6をセンターピポット回りに左右揺動自在に取り付け、このフロントアクスル6の両端部にキングピン7を介して左・右前輪8,8を操舵自在に取り付けていて、ステアリングハンドル9により左・右前輪8,8を操舵する。また、左右の後主フレーム3a,3a間には左右の後車軸10,10を軸架したリヤーアクスル11、及び、走行用伝動ケース12が取り付けられている。そして、左右の後車軸10,10の両端部に左・右後輪4,4を取り付けている。
【0012】主フレーム3,3の前端部にサイドステー13を連結し、後主フレーム3a,3aの後端部に断面四角状の左右の支柱14,14を上下方向に直立状に固着している。支柱14,14の上部と後主フレーム3a,3aとの間には、補強枠体(図示省略)を連結して強度のアップを図っている。
【0013】エンジン5の外周部をボンネット16やサイドカバー17で被覆し、ボンネット16の後部上方に前記ステアリングハンドル9を配置している。左・右後輪4,4間の上方には座席18付きのフェンダ19を配置し、フェンダ19の前縁部と前記サイドカバー17との空間部に、主フレーム3,3及び後主フレーム3a,3aを接近して覆うようにステップ20を設けている。
【0014】エンジン5はクランク軸を後下がりに前後方向に沿わせて配置し、エンジン5の前部には前方に突出した取出軸を設けて駆動プーリ21を取り付け、後部にはに走行用の第1PTO軸22を設けている。また、フロントアクスル6の左右中間部を軸支するセンターピポット軸(図示省略)の軸心方向を前記クランク軸と平行状態とし、センターピポット軸(図示省略)の前端部に従動プーリ24を取り付け、その後端部を作業機駆動用の第2PTO軸25として、後方に向けて突出している。駆動プーリ21と従動プーリ24との間にベルト等の回転伝達具26を巻き掛け、クラッチ(図示省略)を介して第2PTO軸25の回転を入/切操作している。
【0015】草刈機2におけるデッキ27の中央部上方に設けられている作業伝動ケース28の作業入力軸29と、前記第2PTO軸25との間を自在継手30を介して伝動している。機体には左右の前・後昇降リンク31,31の前端を軸支して、前・後昇降リンク31,31の後端に前記草刈機2のデッキ27に軸支し、後昇降リンク31の一方をリフトアーム32とリフトリンク33により支持し、昇降用アクチュエータである油圧シリンダ34の伸縮により草刈機2を昇降操作する構成である。草刈機2の前後には、下降接地時のデッキ27の高さを調節するゲージ車輪35,35が首振り自在に左右一対設けられている。
【0016】後主フレーム3a,3aの内側には走行用伝動ケース12を右側にオフセットして取り付けている。走行用伝動ケース12の前側にはポンプとモータからなる静油圧動力駆動伝動装置である所謂HST装置を内装したHSTケース36を取り付けている。HSTケース36の上部には前方に向かって走行用入力軸37を軸架し、エンジン5から後方に向けて突出している第1PTO軸22から走行用自在継手30aを介して走行用入力軸37に動力が伝達される。この走行用入力軸37でポンプを駆動し、斜板の調節によりモータを所定の回転数に変速出力して、走行用伝動ケース12内の各種歯車群に伝動し、前後進や高低速の変速をして、左・右後輪4,4に伝達し走行する構成である。
【0017】左右支柱14,14の間にはブロワ38を内装したブロワケース39を取り付け、ブロワケース39におけるブロワ38前方に対向する前壁部から前方に向けて吸気筒40を斜め下方に設けている。吸気筒40の前端の吸気口は正面視幅広の四角形状に開口していて、草刈機2のデッキ27の後部から断面幅広の四角形状のシュータ41を後方に向けて突出して設け、シュータ41の後端部を吸気筒40の吸気口に接続している。このシュータ41の前端はデッキ27の後部にヒンジを介して上下回動自在に取り付け、デッキ27の昇降に伴いシュータ41も昇降する構成である。
【0018】ブロワケース39の上部には搬送筒43を上方に向けて取り付け、搬送筒43の先端を収納容器であるコレクタ44の上部に連通している。ブロワケース39の後壁面には、ブロワ38駆動用の伝動装置を覆うカバーケース45を取り付けている。カバーケース45内には、プーリ,ベルトからなる伝動装置を内装し、ブロワケース39の上部からブロワ入力軸(図示省略)を前方に向けて突出するように軸架し、走行用伝動ケース12の後上部から後方に向けてブロワ駆動軸47を軸架し、ブロワ駆動軸47とブロワ入力軸(図示省略)との間をブロワ用自在継手30bを介して伝動している。
【0019】しかして、ブロワ38の回転により吸気筒40内は負圧となり、シュータ41も負圧になり、デッキ27内の刈り取った芝草をブロワ38により吸引し、搬送筒43からコレクタ44へ搬送する。コレクタ44に収納された芝草が満杯になると、蓋体48を開け排出する。
【0020】次に、草刈機2について説明する。主フレーム3,3の前輪8,8、後輪4,4間下方には、左右の前・後昇降リンク31,31,…4本を介して草刈機2を昇降自在に取り付け、この草刈機2には左右方向中央前部に中央駆動軸49a、左右両側後部に左・右駆動軸49b,49cを夫れ夫れ縦方向に軸架し、中央駆動軸49aを頂点とし、左・右駆動軸49b,49cを略二等辺三角形状に配置し、夫れ夫れの駆動軸の下端部に回転刈刃50,…を取り付け草刈装置としている。
【0021】これらの回転刈刃50,…の回転軌跡は前輪8,8及び後輪よりも両側に突出し、隣接する回転刈刃50,…の間隔は、当接しない最小の間隙を有しているが、中央の回転刈刃50が左右の回転刈刃50,50よりも前方に位置しているから、正面視では回転刈刃50,…の先端が相互に所定寸法だけ重合することなり、刈り残しは生じない構成である。
【0022】図3では左駆動軸49bと中央駆動軸49aとは底面視反時計方向に回転し、右駆動軸49cを時計方向の回転としている。回転刈刃50,…はプロペラ状の平板であって、長手方向中央部を駆動軸に取り付け、平板の外周部の回転前縁部に切り刃を構成し、回転後側縁部に芝草を飛散排出する羽根板を構成している。なお、各駆動軸間は同一の角速度で回転するようにプーリ,伝動ベルトからなる刈刃伝動装置53で伝動連結されている。
【0023】これらの回転刈刃50,…の先端軌跡から所定間隔開けた外周部に、切断した芝草を案内する外周壁54を設けている。左駆動軸49bの回転刈刃50と中央駆動軸49aの回転刈刃50の回転方向を底面視反時計方向とし、切断した芝草の排出口55を中央駆動軸49aの回転刈刃50の後側としている。
【0024】外周壁54の前側壁部を、同方向に回転する左側の回転刈刃50及び中央の回転刈刃50の前部外周部に沿うように円弧状に接近させてその端部を互いに接続し、その接続部から排出口55に向かうように第1排出案内板57を延長して設け、左側の回転刈刃50及び中央の回転刈刃50で切断した芝草を別々に排出口55に案内している。なお、外周壁54の後側壁部を回転刈刃50,…の回転軌跡から等間隔に接近させ、その中央よりの端部を排出口55に臨ませている。
【0025】また、外周壁54の前側壁部を、底面視で互いに反対方向に回転する右側の回転刈刃50及び中央の回転刈刃50の前部外周部に沿うように円弧状にして、その端部を互いに接続させ、その接続部後端から排出口55に向かうように第2排出案内板58を設け、この第2排出案内板58の終端部と排出口55との間に比較的広い合流空間部59を形成し、右側の回転刈刃50及び中央の回転刈刃50で切断した芝草を合流させながら排出口55に案内している。
【0026】そして、これらの回転刈刃50,…、外周壁54の前側壁部及び後側壁部の前後外側や左右外側や天井部をデッキ27で被覆している。デッキ27の排出口55にはデッキ後風路60を接続し、その終端部を前記シュータ41に接続し、切断した芝草をデッキ後風路60からシュータ41を経てブロワケース39に送り込む構成である。
【0027】次に、図4〜図6に基づきデッキ27の排出口55に設けた草詰り除去装置について説明する。中央の回転刈刃50の後部外周に沿わせて後部外周壁54aを配置し、後部外周壁54aの左右両端に排出口55に向かう左・右排出案内板61a,61bを取り付けて、その側方に左・右排出通路62a,62bを構成し、左側の回転刈刃50からの刈り草を左排出通路62aを経由して排出口55に案内し、中央及び右側の回転刈刃50の刈り草を右排出通路62aを経由して排出口55に案内する構成としている。
【0028】デッキ27の排出口55にはデッキ後風路60を接続し、デッキ27の排出口55上方には左右方向の支持軸63を設け、支持軸63には左・右排出通路62a,62bに対向する部位に幅広の板状の掻き出し板64を取り付けて、掻き出し板64を排出口55の上方へ退避した状態から矢印で示すように、排出口55を通過してデッキ底板27aに沿って前側に回動するように設け、支持軸63には操作レバー65を取り付けている。
【0029】なお、掻き出し板64の回動に関連して、デッキ底板27aを開口回動し、掻き取った塊状の草を下方に排出する構成としてもよい。また、図3に示すように、回転刈刃50,…の中央部後方と排出口55との間に大きな空間を介在しているものにあっては、支持軸63に左右方向に連続した掻き出し板64を排出口55の全幅にわたって設ける構成としてもよい。
【0030】草刈機で刈取作業をすると、デッキ27の排出口55に草が塊状となって詰ることがある。このように塊状となって詰った草を、例えば、図5に示すような支持軸63に所定間隔置きに取り付けた掻き出し棒66,…で掻き出すと、掻き出し棒66,…の通過した部分の草だけが除去され、殆どの草は塊状でそのまま残存するという不具合がある。
【0031】しかし、前記実施例のように、幅広の板状の掻き出し板64にすることにより、塊状に詰った草を排出口55から確実に除去することができる。また、図6及び図7に示すように、中央の回転刈刃50の後部外周に沿わせて後部外周壁54aを配置し、後部外周壁54aの左右両端に、後側ほど中央に寄るように左・右排出案内板61a,61bを取り付けて、左・右排出案内板61a,61bの側方に左・右排出通路62a,62bを構成し、回転刈刃50からの刈り草を左・右排出通路62a,62bを経由して中央部に寄せながら排出口55に排出する構成にあっては、左・右排出通路62a,62bに草の排出方向に直交するように支持軸63,63を設けて、これらの支持軸63,63に幅広の掻き出し板64,64及び操作レバー65,65を夫れ夫れ取り付ける構成としてもよい。なお、左右の支持軸63,63をジョイントにより連結し、単一の操作操作レバー65を一方の支持軸63に取り付け、左右の掻き出し板64,64を開閉操作できる構成としてもよい。
【0032】しかして、左・右排出通路62a,62bの広い範囲にわたって掻き出し板64を設けることができて、操作レバー65の加重を軽減しながら、デッキ27の排出口55に詰った草を広範囲に除去することができる。次に、図8に基づき草刈機の回転刈刃50,…の伝動構成の他の実施例について説明する。
【0033】草刈機2におけるデッキ27の中央部上方に設けられている作業伝動ケース28の作業入力軸(図示省略)と、走行用伝動ケース12の中間PTO軸(図示省略)との間を自在継手(図示省略)を介して伝動し、作業伝動ケース28の上方には入力プーリ67を軸支している。また、デッキ27の上方には、中央駆動軸49a、左駆動軸49b、右駆動軸49cに取り付けられている中央プーリ68a、左プーリ68b、右プーリ68c、及び、第1テンションプーリ69、第2テンションプーリ70を設けて、これらのプーリ68a,68b,68c,69,70に伝動ベルト71を巻き掛け、平面視で中央プーリ68a、左プーリ68bを及び右プーリ68cを時計方向に回転するように構成し、回転刈刃50,…で刈り取った草をデッキ27の右側部の排出口55から排出するように構成している。
【0034】また、図9に示すように、中央プーリ68a、左プーリ68b、右プーリ68c、及び、第1テンションプーリ69、第2テンションプーリ70、第3テンションプーリ72に単一の伝動ベルト71を巻き掛ける構成としてもよい。従来装置にあっては、入力プーリ67と中央プーリ68aとを第一の伝動ベルトで伝動し、中央プーリ68aから左・右プーリ68b,68cに第二の伝動ベルトで伝動して、上下二本の伝動ベルトで伝動する構成であるので、伝動空間が高くなりトラクタの機体下部に草刈機が干渉し高く吊り上げられないという不具合があった。
【0035】しかし、この実施例では入力プーリ67、中央プーリ68a、左・右プーリ68b,68cに単一の伝動ベルト71を巻き掛けて伝動するので、伝動空間を低くし草刈機を高く吊り上げることができる。次に、図10に基づき回転刈刃50の他の実施例について説明する。
【0036】回転刈刃50,…はプロペラ状の平板に構成されていて、長手方向中央部を駆動軸に取り付け、平板の外周部の回転前縁部に切り刃51を構成し、回転後側縁部に芝草を飛散排出する羽根板52を構成している。この羽根板52は、内周側から折り曲げを開始し外周側ほど高く起立するように折り曲げて構成し、正面視において、羽根板52の内側端を回転刈刃50に沿うように緩く傾斜させ、中途部を大きく屈曲させて、外周部を緩やかに傾斜するように構成して、回転刈刃50の長手方向から見ると、切り刃51と羽根板52とは曲線により接合するように構成している。
【0037】しかして、羽根板52の内側端部を回転刈刃50に沿わせて低く構成しているので、刈り草の負荷抵抗を少なくして回転数の低下を防止し、外周側の高く起立した部分で草を撥ね飛ばし草詰りを防止することができる。次に、図11〜図13基づきトラクタの他の実施例について説明する。
【0038】このトラクタは左・右前輪8,8を遊転輪とし、左・右後輪4,4を駆動輪として、車体の中間下部に草刈機2を昇降自在に取り付けている。そして、車体前部より延出した前輪アーム73,73に、左・右前輪8,8を支持した左・右支持アーム74,74を上下動自在に支持すると共に、バネ75を介装している。
【0039】伝動構成は図12に示すように、エンジン5の出力軸74から伝動軸を介してHST(静油圧動力駆動無段変速伝動装置)を内装した変速ボックス75に伝動し、変速ボックス75で変速された動力をピニオンギヤ76を経由してベベルギヤ77に伝動し、ベベルギヤ77を主ブレーキ装置78により制動可能に構成している。ベベルギヤ77から伝動ギヤ79,80を経て単一のリヤーアクスル軸81に動力を伝動し、リヤーアクスル軸81の両端から左・右アクスルケース内の左右の逆転用クラッチ82,82(内側)、正転用クラッチ83,83(外側)、及び、遊星ギヤ機構84,84を経て左・右後輪4,4に動力を伝動する構成である。
【0040】前記正転用クラッチ83,83は、皿バネ85により常時圧着する構成で、圧着された状態では、正転用クラッチ83,83の駆動側クラッチ板と一体の遊星ギヤ機構84,84のサンギヤとこれに噛み合う各遊星ギヤ及び被駆動側クラッチ板と一体のキャリアとが、サンギヤを中心に一体回転する構成である。これにより、ベベルギヤ77と一体的に回転する駆動側サンギヤの回転と被駆動側サンギヤへ1対1の回転比で動力を伝達する構成である。
【0041】また、逆転用クラッチ82,82のシリンダ室に圧油を送り込むと、クラッチ板の圧着が少しずつ解除されて駆動側のクラッチ板と被駆動側のクラッチ板との間に回転差が生じ、遊星ギヤ機構84,84のサンギヤへ減速された回転動力を伝動し後輪を減速回転させる。また、逆転用クラッチ82,82のシリンダ室に更に圧油を送り込むと、逆転用クラッチ板の圧着が完全に解除されて、遊星ギヤ機構84,84のサンギヤの回転はゼロとなり、その後更に圧油を送り込むと、逆転用クラッチ82,82の駆動側クラッチ板と被駆動側クラッチ板とが順次圧着され遊星ギヤ機構84,84のサンギヤに逆回転動力を伝動し後輪を逆転駆動させる。
【0042】前記のように単一のリヤーアクスル軸81にHSTで変速した動力を伝動し、左右の逆転用クラッチ82,82及び正転用クラッチ83,83、及び、遊星ギヤ機構84,84を経て左・右後輪4,4に動力を伝動するように構成したので、直進時には正確に直進し、回向時には円滑に無段階に変速しながら回向することができる。
【0043】また、HST装置を左右のリヤーアクスル軸に夫れ夫れ配置したものもあるが、左右のHST装置の変速を一致させないと正確な直進ができないとう不具合がある。しかし、この実施例ではこのような不具合を解消することができる。次に、図13に基づき油圧回路構成について説明する。
【0044】油圧ポンプ86の圧油は減圧弁87で所定圧に調整されて、切替弁88を経由して左右の逆転用クラッチ82,82(内側)及び正転用クラッチ83,83(外側)のシリンダ室に送られる構成である。また、油圧ポンプ86の圧油は草刈機昇降用の昇降切替弁89を経由して昇降シリンダ90に送られ、残りの圧油はPTO切替弁91を経由してPTOクラッチシリンダ92に送られ、更に、残りの圧油はHST装置93にチャージ用として送りこまれる構成である。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成14年2月20日(2002.2.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−235321(P2003−235321A)
【公開日】 平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願番号】 特願2002−43503(P2002−43503)