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【発明の名称】 コンバインの穀稈搬送装置
【発明者】 【氏名】山崎 弘章
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】江田 秀弥
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】門脇 隆志
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】山崎 達也
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】錦織 将浩
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】石橋 俊之
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】通常の刈取モードと手扱モードの判別を容易にし、両モードの切換えを簡単にして誤操作等による搬送性能の低下を防止するコンバインの穀稈搬送装置を提供する。

【解決手段】コンバインの走行速度と穀稈の搬送速度及びフィードチェン46の連動を解除する連動解除手段95を設け、この連動解除手段95をONしたとき、コンバインの走行速度とは無関係に前処理駆動用無段変速機72の出力軸の回転数を、前記動力源13の出力軸の回転数に比例した回転数になるように制御して、フィードチェン46を駆動するようにした制御装置85を設けるとともに、制御装置85はコンバインが刈取作業中である場合に連動解除手段95の解除作動を無効とするように構成したコンバインの穀稈搬送装置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 動力源13と、この動力源13の出力を走行装置11に伝達してコンバイン10を走行させる走行駆動用無段変速機60と、前記動力源13の出力を前処理部16と脱穀部45のフィードチェン46に伝達して穀稈の刈取りと搬送を行なわせる前処理駆動用無段変速機72と、前記動力源13と前処理駆動用無段変速機72の間に配置され動力源13と前処理駆動用無段変速機72との間の動力伝達のON,OFFを行なう作業機クラッチ67と、前記前処理駆動用無段変速機72と前処理部16の間に配設され、前処理駆動用無段変速機72と前処理部16との間の動力伝達のON,OFFを行なう刈取クラッチ79とを備え、前記走行駆動用無段変速機60と前処理駆動用無段変速機72の各出力回転数を連動させ、前記コンバインの走行速度と穀稈の搬送速度を連動させて刈取作業を行なうようにしたコンバインの穀稈搬送装置において、前記コンバインの走行速度と穀稈の搬送速度及びフィードチェン46の連動を解除する連動解除手段95を設け、この連動解除手段95をONしたとき、前記コンバインの走行速度とは無関係に前記前処理駆動用無段変速機72の出力軸の回転数を、前記動力源13の出力軸の回転数に比例した回転数になるように制御して、前記フィードチェン46を駆動するようにした制御装置85を設けるとともに、前記制御装置85はコンバインが刈取作業中である場合に連動解除手段95の解除作動を無効とするように構成したことを特徴とするコンバインの穀稈搬送装置。
【請求項2】 走行装置11と前処理部16の停止時で前記連動解除手段95が連動解除中であっても、刈取作業がなされると、連動解除手段95による連動解除を自動的に無効にし走行速度と穀稈搬送速度を連動せしめる請求項1記載のコンバインの穀稈搬送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前処理部で刈取った穀稈を脱穀部に向けて搬送するコンバインの穀稈搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、前処理部で刈取った穀稈を搬送部(こぎ深さ搬送装置)からフィードチェンに継送搬送し脱穀部で脱穀作業を行なうコンバインは、搬送部に穀稈の搬送を検出するこぎ深さメインセンサと、搬送中に穀稈の稈長を検出する穂側センサと株側センサ等を設け、これらで検出した出力に基づいてこぎ深さ制御が行なわれる。
【0003】また前処理部と脱穀部のフィードチェンは、トランスミッションの主変速機の回転数に比例した速度で作動するように制御され、コンバインの走行停止中には前処理部と脱穀部のフィードチェンも停止するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のような構成のコンバインでは、機体の走行を停止させた状態で手こぎ作業を行なう場合、或いは注油やメンテナンス後の確認作業のために前処理部や脱穀部を駆動する場合は、動力源を作動状態としてトランスミッションの副変速機をニュートラルに入れてコンバインの走行を停止させた状態で、主変速機の出力を脱穀部に伝達する等複雑な操作が必要であった。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑み、コンバインの走行を停止させた状態でも、注油やメンテナンス後の確認作業が容易であり、上記両モードの切換えに誤操作や切換復帰に失念等をした場合でも所期の作業を円滑に遂行できるコンバインの穀稈搬送装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るコンバインの穀稈搬送装置は、動力源13と、この動力源13の出力を走行装置11に伝達してコンバイン10を走行させる走行駆動用無段変速機60と、前記動力源13の出力を前処理部16と脱穀部45のフィードチェン46に伝達して穀稈の刈取りと搬送を行なわせる前処理駆動用無段変速機72と、前記動力源13と前処理駆動用無段変速機72の間に配置され動力源13と前処理駆動用無段変速機72との間の動力伝達のON,OFFを行なう作業機クラッチ67と、前記前処理駆動用無段変速機72と前処理部16の間に配設され、前処理駆動用無段変速機72と前処理部16との間の動力伝達のON,OFFを行なう刈取クラッチ79とを備え、前記走行駆動用無段変速機60と前処理駆動用無段変速機72の各出力回転数を連動させ、前記コンバインの走行速度と穀稈の搬送速度を連動させて刈取作業を行なうようにしたコンバインの穀稈搬送装置において、前記コンバインの走行速度と穀稈の搬送速度及びフィードチェン46の連動を解除する連動解除手段95を設け、この連動解除手段95をONしたとき、前記コンバインの走行速度とは無関係に前記前処理駆動用無段変速機72の出力軸の回転数を、前記動力源13の出力軸の回転数に比例した回転数になるように制御して、前記フィードチェン46を駆動するようにした制御装置85を設けるとともに、前記制御装置85はコンバインが刈取作業中である場合に連動解除手段95の解除作動を無効とするように構成している。
【0007】また、走行装置11と前処理部16の停止時で前記連動解除手段95が連動解除中であっても、刈取作業がなされると、連動解除手段95による連動解除を自動的に無効にし走行速度と穀稈搬送速度を連動せしめるようにしている。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】図1は、本発明を実施するコンバインの断側面図、図2は、図1に示すコンバインの駆動系統図、図3は、図1におけるコンバインの制御系統図、図4は、穀稈搬送制御の過程を示すフローチャートである。
【0010】図1において、コンバイン10は、左右一対のクローラ走行装置11により支持された機体12を有している。この機体12の前部(図1の左側)の左右いずれか一側には、エンジン13が搭載されており、このエンジン13の上方には運転席15が配置されている。
【0011】また、前記機体12の前方(図1の左側)には、穀稈を刈取る前処理部16が昇降自在に支持され、更に、前記機体12の前部の左右いずれか他側には、刈取られた穀稈を脱穀し、かつ脱穀した穀粒を選別する脱穀部45が配置されている。
【0012】そして、前記クローラ走行装置11、前処理部16及び脱穀部45は、図2に示す駆動系によって前記エンジン13により駆動され、コンバイン10の走行と穀稈の刈取りと脱穀作業が行なわれるようになっている。
【0013】前記前処理部16は、倒伏した穀稈を引起す引起し装置26と、切断された穀稈を掻き込む掻込装置31と、刈取られた穀稈を前記脱穀部45へ向けて搬送すると共に、穀稈の位置を調整するこぎ深さ搬送装置36を備え、その作動基端側を機体12の前方に配置された伝動軸ケース17に回転可能に支持されている。
【0014】この伝動軸ケース17から機体12に対し、機体12の前方斜め下方に向けて延出された伝動ケース19は、その長手方向の中間位置に配置された油圧シリンダ20の伸縮で伝動軸ケース17を中心として揺動するようになっている。また、前記伝動軸ケース17には、伝動ケース19の回動量(揺動量)を検出するリフトポテンショメータ21が設けられている。
【0015】また、前記伝動ケース19の下方には、機体12の左右方向(図1の紙面前後方向)に亘って延設され、かつこの伝動ケース19と略T字状に直交する伝動軸筒22が一体的に連結されている。この伝動軸筒22には、機体12の前方に向かって延びる前処理フレーム23を介して、未刈り穀稈を分草して引起し通路に導く複数個のデバイダ25が一体的に連結されている。
【0016】また、左右両端のデバイダ25の下方には、コンバイン10の自動走行を可能とする方向センサ(図示せず)を有している。前記デバイダ25の後方には、分草された穀稈を引起す前記引起し装置26が、前処理部16の前方から後方に向けて上昇する傾斜状に設けられている。
【0017】この引起し装置26は、爪付チェーン27と引起しケース29を有し、爪付チェーン27には所定の間隔で複数本の爪が取付けられ、これらの爪が引起しケース29内を上方に回動して穀稈をすき上げる。この爪付チェーン27は、後述する駆動系により駆動されるようになっている。
【0018】前記引起し装置26の後方で、かつ伝動軸筒22の前方下部には、地面に近接して穀稈の株元を切断する刈刃30が設けられており、この刈刃30により切断された穀稈は、掻き込み装置31によって掻き込まれて後方に移送される。
【0019】前記掻き込み装置31は、搬送ベルト32と株元搬送スターホイル33、株元搬送チェーン35等を有し、前記刈刃30によって刈取られた穀稈は、搬送ベルト32と株元搬送スターホイル33によって掻き込まれて各々の通路に寄せられ、株元搬送チェーン35によって挟持され、掻き込み装置31の後方に配置された前記こぎ深さ搬送装置36に引き継がれる。
【0020】前記こぎ深さ搬送装置36は、こぎ深さ調整が可能なように、その後部が前記伝動軸ケース17を中心として回動可能に支持されていて、穀稈の穂先側を搬送する穂先搬送チェーン37と株元側を搬送する搬送チェーン39を備えている。これら穂先搬送チェーン37と株元搬送チェーン39は、前述した後部を支点に一体となって上下動自在とされていて(図の矢印方向)、その始端側は、前記掻き込み装置31の株元搬送チェーン35の搬送方向終端側の上方に延設されている。
【0021】前記こぎ深さ搬送装置36に付設されたUパイプ部40には、搬送途中の穀稈の有無を検出する第1の検出手段としてのこぎ深さメインセンサ41が配設されている。このこぎ深さメインセンサ41は、例えば、オン、オフスイッチが用いられ、搬送途中の穀稈の有無を検出する。また、前記Uパイプ部40には、第2の検出手段としての株元センサ42と、穂先センサ43からなる株元・穂先センサが取り付けられている。この株元・穂先センサは、掻き込み装置31からこぎ深さ搬送装置36に引き継がれた穀稈の穂先の位置を検出する。
【0022】前記脱穀部45には、フィードチェン46と、このフィードチェン46に略平行してこぎ室47が設けられていて、このこぎ室47内には機体12の前後方向に沿う回転軸を中心としてこぎ胴49が回転自在に配置されている。このこぎ胴49の下方には、脱穀された穀粒を漏下する受網50が設けられていて、この受網50の下方には、揺動選別部51が前後揺動可能に配設されている。
【0023】そして、揺動選別部51の揺動作用と唐箕52及び吸引ファン53から発生される選別風とにより稈枝混じりの穀粒物が選別される。揺動選別部51にて選別された穀粒は、下方に配置された1番樋55又は2番樋56に落下収容される。なお、こぎ室47内でこぎ胴49により脱穀された後の穀稈は、フィードチェン46から機体12後部に設けられた排稈チェーン57に引き継がれて放出あるいは切断処理されるようになっている。
【0024】前記エンジン13(E/G)を動力源とするコンバイン10の駆動系統は、図2に示すように構成されている。コンバイン10の走行駆動系を構成するトランスミッション59(T/M)には、主変速機を構成するHST60と、副変速機61及び歯車列62が配置され、クローラ走行装置11を駆動する。エンジン13からHST60へは、エンジン13の出力軸13aに固定されたプーリ13bと、HST60の入力軸60aに固定されたプーリ60bの間に掛け渡されたベルト63で動力の伝達が行なわれる。
【0025】駆動軸65は、コンバイン10の所定の位置に回転可能に支持されている。エンジン13から駆動軸65へは、エンジン13の出力軸13aに固定されたプーリ13cと、駆動軸65に固定されたプーリ65aの間に掛け渡されたベルト66で動力の伝達が行なわれる。なお、ベルト66には、作業機クラッチ67(テンションクラッチ)が配置されている。
【0026】中間軸69は、コンバイン10の所定の位置に回転可能に支持されている。駆動軸65から中間軸69へは、駆動軸65の一端に固定された傘歯車65bと、この傘歯車65bと噛み合うように中間軸69に固定された傘歯車69aで動力の伝達が行なわれる。
【0027】中間軸69からこぎ胴49へは、中間軸69の一端に固定されたプーリ69bと、こぎ胴49の入力軸49aの一端に固定されたプーリ49bの間に掛け渡されたベルト70で動力の伝達が行なわれる。従って、こぎ胴49は、作業クラッチ67がONの状態にあるときには、常に回転している。
【0028】前処理用変速機71は、前処理駆動用無段変速機を構成するHST72を備えている。駆動軸65からHST72へは、駆動軸65に固定されたプーリ65cと、HST72の入力軸72aに固定されたプーリ72bの間に掛け渡されたベルト73によって動力の伝達が行なわれる。なお、HST72は、HST駆動モータ75を備えている。
【0029】前記HST72は、前処理用変速機71の出力軸71cが、前記HST60の回転に比例して回転するE/G比例モードで回転して、前記前処理部16及び脱穀部45のフィードチェン46を駆動する。
【0030】前処理駆動軸76は、コンバイン10の所定の位置に回転可能に支持されている。前処理用変速機71から前処理駆動軸76へは、前処理用変速機71の出力軸71cに固定されたプーリ71dと、前処理駆動軸76に固定されたプーリ76aの間に掛け渡されたベルト77によって動力の伝達が行なわれる。なお、ベルト77には、刈取りクラッチ79(テンションクラッチ)が配置され、脱穀部45の駆動中に前処理部16を停止させ、手こぎ作業を可能にするよう構成されている。
【0031】前記前処理駆動軸76は、傘歯車76bと、この傘歯車76bと噛み合う傘歯車37aを介して、前記穂先搬送チェーン37及び株元搬送チェーン39を駆動する。
【0032】伝動軸80は、コンバイン10の所定の位置に回転可能に支持されている。前記前処理駆動軸76から伝動軸80へは、前処理駆動軸76に固定された傘歯車76cと、この傘歯車76cと噛み合うように伝動軸80に固定された傘歯車80aにより動力の伝達が行なわれる。
【0033】この伝動軸80は、前記刈刃30を駆動すると共に、伝動軸80に固定された歯車80bと噛み合う歯車32a、この歯車32aと噛み合う歯車32bを介して掻き込み装置31の搬送ベルト32を駆動する。
【0034】駆動軸81は、コンバイン10の所定の位置に回転可能に支持されている。前記前処理用変速機71の出力軸71cから駆動軸81へは、出力軸71cに固定された歯車71eと噛み合う歯車71fに一体に固着されたスプロケット71gと、駆動軸81に固定されたスプロケット81aとの間に掛け渡されたチェーン82により、動力の伝達が行なわれる。そして、駆動軸81に固定されたスプロケット81bにより、フィードチェン46が駆動される。
【0035】コンバイン10の制御装置85は、図3に示すように構成されている。即ち、制御装置85は、入力インターフェース86と、マイコン87及び出力インターフェース89を備え、コンバイン10のメインスイッチ90に接続されている。
【0036】前記入力インターフェース86には、リフトポテンショメータ21、リフト上昇スイッチ91、作業機クラッチスイッチ92、刈取りクラッチスイッチ93、こぎ深さメインセンサ41、リフトシャットスイッチ94、手こぎスイッチ95、バックスイッチ96、T/M回転センサ97、HST回転センサ98、エンジン回転センサ99等が接続されている。
【0037】リフト上昇スイッチ91は、ONすることにより前処理部16を上昇させる。このリフト上昇スイッチ91を連続してONさせることにより、前処理部16が連続して上昇する。
【0038】前記作業機クラッチスイッチ92は、作業クラッチレバー(図示せず)に設けられ、作業クラッチレバーの入り切りを検出する。前記刈取りクラッチスイッチ93は、刈取りクラッチレバー(図示せず)に設けられ、刈り取りクラッチレバーの入り切りを検出する。
【0039】手こぎスイッチ95(連動解除手段でもある)は、コンバイン10の走行速度と前処理用変速機71の連動を解除すると共に、後述する手こぎランプ102を点灯し、あるいはコンバイン10の走行速度と前処理用変速機71を連動させると共に、手こぎランプ102を消灯する。なお、この手こぎスイッチ95は、操作パネル(図示せず)に配置しても良いし、前記こぎ室47の近傍に配置するようにしてもよい。
【0040】バックスイッチ96は、主変速機の主変速操作レバー(図示せず)に配置され、コンバイン10の走行方向を選択する。T/M(トランスミッション)回転センサ97は、走行用のHST60の出力軸に設けられ、その回転を検出する。HST回転センサ98は、HST72の出力軸に設けられ、その回転を検出する。エンジン回転センサ99は、オルタネータのパルスをカウントし、エンジン13の回転を検出するようにしている。
【0041】また、出力インターフェース89には、ホーン101、手こぎランプ102、HST駆動モータ75、E/Gストップソレノイド103が接続されている。
【0042】このような構成のコンバイン10では、コンバイン10を圃場に入れた後、その方向を穀稈の配列方向に向けて前進させる。すると、デバイダ25が穀稈の配列内に分け入り、爪付チェーン27で穀稈を引起し、続いて刈刃30で穀稈の株元を切断(刈取り)する。
【0043】刈取られた穀稈は、搬送ベルト32でこぎ深さ搬送装置36まで搬送され、こぎ深さ搬送装置36に渡され、このこぎ深さ搬送装置36で、フィードチェン46に向けて搬送される間に、穀稈は、こぎ深さメインセンサ41で検出されると共に、株元センサ42と穂先センサ43で穀稈の穂先の位置が検出される。そして、その検出結果に基づいて、穀稈の穂先が株元センサ42と穂先センサ43の間に位置するように、こぎ深さ搬送装置36により、穀稈の位置が調整される。
【0044】穀稈は、こぎ深さ搬送装置36からフィードチェン46に受け渡され、フィードチェン46により、その穂先がこぎ室47内を通過するように搬送され、こぎ胴49との接触により脱穀される。フィードチェン46の終端まで搬送された穀稈は、排稈チェーン57に受け渡され、排稈チェーン57でコンバイン10の外へ放出される。
【0045】穀稈から脱穀された穀粒物は、受網50上に落下し、さらに受網50を通り揺動選別部51上に集められる。そして、揺動選別部51の揺動作用と、唐箕52及び吸引ファン53から発生される選別風により、稈枝と分離される。揺動選別部51にて選別された穀粒は、下方に配置された1番樋55又は2番樋56に落下収容される。
【0046】次にこのようなコンバイン10の制御装置85における穀稈の搬送制御について、図4に示すフローチャート及び図5に示す第2のフローチャート並びに図6に示す本発明に係るフローチャートを参照しながら説明する。
(実施例1)まず、図4について説明すると、「連動解除手段」としての手こぎスイッチ95は、ノンロック方式(モーメンタリー方式)の押しボタンスイッチを使用した場合の制御について示してある。
【0047】通常の刈取り作業を行っているコンバイン10の運転時に、「手こぎ作業」を行なう場合、例えば、コンバイン10の走行を停止させ、手こぎスイッチ95を押す。なお、手こぎスイッチ95は、押されている間だけ信号がONになる(手こぎスイッチ95を離すと信号はOFFになる)。また、この手こぎスイッチ95を押すと、手こぎランプ102が点灯される。この手こぎランプ102は、再び手こぎスイッチ95が押されるまて点灯している。
【0048】制御装置85は、まず、作業機クラッチ67の状態を判定する(図4のステップS1、以下、単にステップS○という)。
【0049】前記ステップS1で、作業機クラッチ67がONのとき、手こぎスイッチ95の状態を判定する(ステップS2)。ここで、手こぎスイッチ95がOFFからONとなった場合、手こぎモードのフラグを判定する(ステップS3)。このとき、走行を停止したコンバイン10の手こぎモードのフラグは、OFFになっているので、手こぎモードのフラグをONに設定する(ステップS4)。
【0050】続いて手こぎモードのフラグを判定する(ステップS5)。手こぎモードのフラグがONに設定されているので、前処理部16とフィードチェン46は、E/G比例モードで駆動され穀稈の搬送を行なう(ステップS6)。
【0051】即ち、コンバイン10の走行速度とは無関係に前処理部16とフィードチェン46は、E/G比例モードで駆動され、手こぎモードで穀稈の搬送を行なう。このとき、刈取りクラッチ79をOFFして前処理部16の駆動を停止させることも出来る。また、前記ステップS6で、前処理部16とフィードチェン46をE/G比例モードで駆動すると、前記ステップS1からのルーチンを繰り返す。
【0052】次に、手こぎ作業を終了する場合には、再び手こぎスイッチ95を押す。すると、手こぎスイッチ95の出力は、OFFからONになる。なお、この操作により手こぎランプ102は消灯される。
【0053】前記ステップS2で、手こぎスイッチ95がOFFからONになった場合、前記ステップS3で、手こぎモードのフラグを判定する。このとき、手こぎモードのフラグは、ONになっているので、手こぎモードのフラグをOFFに設定する(ステップS7)。
【0054】すると、前記ステップS5における手こぎモードのフラグの判定が、OFFになるので、前処理部16とフィードチェン46は、T/M比例モードで駆動されて穀稈の搬送を行なう(ステップS8)。即ち、通常の刈取り作業を可能になっている。そして、前記ステップS1からのルーチンを繰り返す。
【0055】前記ステップS1で、作業機クラッチ67がOFFの場合、エンジン13の回転が駆動軸65に伝達されないので、前処理部16、フィードチェン46及びこぎ胴49は停止して、穀稈の刈取り、搬送を停止する(ステップS9)。
【0056】なお、ステップS1からのルーチンを繰り返している間に、手こぎスイッチ95が操作されない場合には、前記ステップS2からステップS5に移行して、従前の運転状態を選択して継続する。
【0057】上記のように、コンバイン10の走行速度と前処理部及び脱穀部45のフィードチェン46の穀稈搬送速度との連動を解除する連動解除手段(手こぎスイッチ95)を設けることにより、手こぎモードと通常の刈取りモードの判別が容易になる。また、前記連動解除手段95をONしたとき、コンバイン10の走行速度とは無関係にHST72の出力回転数を、駆動源13の回転数に比例した回転数になるように制御してフィードチェン46を駆動するようにしたので、コンバイン10の走行を停止していても、注油やメンテナンス作業後の確認を行なうことが出来る。
【0058】なお、図4に示した実施形態では、連動解除手段(手こぎスイッチ95)として、ノンロック方式の押しボタンスイッチを停止した場合ついて説明したが、ロック方式のスイッチを使用することも出来る。
(実施例2)次にコンバイン10の制御装置85における穀稈の搬送制御の第2の実施の形態を、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、この実施の形態においても、前記実施の形態と同様に、連動解除手段(手こぎスイッチ95)としてノンロック方式の押しボタンスイッチを使用した場合の制御について示してある。
【0059】なお、図5において、ステップS1からステップS9までは、図4のステップS1からステップS9までと同じであるので説明を省略する。
【0060】ステップS2で、手こぎスイッチ95がOFFからON以外の場合、ステップS4で、手こぎモードのフラグONに設定した場合、ステップS7で、手こぎモードのフラグをOFFに設定した場合、こぎ深さメインセンサ41の出力を判定する(ステップS10)。
【0061】前記ステップS10で、こぎ深さメインセンサ41の出力がOFFからONになったとき、手こぎモードのフラグをOFFに設定する(ステップS11)。
【0062】上記のように、本実施形態においては、こぎ深さメインセンサ41の出力により、手こぎモードのフラグをOFFに設定するようにしているので、手こぎ作業を解除するのを忘れて、即ち、手こぎ状態で穀稈の刈取りを行なっても、こぎ深さメインセンサ41が刈取られた穀稈を検出したとき、その出力により、手こぎ作業状態を解除して、通常の刈取り作業を行なうことが出来る。
(実施例3)図6は手こぎスイッチ95をロック方式のスイッチを使用した場合の実施の形態を示している。
【0063】この搬送制御は、ステップS3で作業クラッチ67の状態を判定し、作業クラッチ67がONのとき、ステップS4で手こぎスイッチ95の状態を判定し、これがOFFである場合、ステップS8で車速連動制御(T/M比例モードによる搬送駆動)を行う。
【0064】また、ステップS4で手こぎスイッチ95がONである場合に、ステップS5で刈取りクラッチスイッチ93の状態を判定し、刈取りクラッチスイッチ93からONが出力された場合、ステップS6で機体が走行中であるか否かの状態を判定し、T/M回転センサ97の出力がONである場合に車速連動制御を行う。
【0065】また、ステップS5で刈取りクラッチスイッチ93からOFFが出力された場合、及びステップS6でT/M回転センサ97の出力がOFFで走行停止状態である場合には、ステップS7で定速回転制御(E/G比例モード搬送駆動)を行う。
【0066】上記のようにこの実施形態においては、連動解除手段95としての手こぎスイッチ95をONしたときは、コンバインの走行速度とは無関係に前処理駆動用無段変速機72の出力軸の回転数を、動力源13の回転数に比例した回転数になるように定速回転制御してフィードチェン46を駆動するようにするから手こぎ作業及びメンテナンス作業を行ない易くすることができる。
【0067】また、この状態から刈取クラッチ79及びトランスミッション59が駆動されて刈取り作業がなされると、上記連動解除手段95による連動解除を無効にし、走行装置11と穀稈の搬送速度を連動させた車速連動制御によって穀稈の搬送を適正に行なうので、手こぎスイッチ95の解除切換操作を失念していたとしても通常の刈取作業を能率よく円滑に行なうことができる。
【0068】そしてコンバインは走行装置11と搬送速度を連動させた刈取作業中である場合に、連動解除手段95の解除作動を無効としているので、作業者が誤って手こぎスイッチ95をONしたとしても連動解除手段95の解除作動は行なわれないから、誤操作等による刈取作業中の搬送性能の低下を防止することができる等の特徴がある。
【0069】尚、本発明において図6で示すステップS5は、図5で示すステップS10のこぎ深さメインセンサ41を用いるようにしてもよいものである。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のコンバインの穀稈搬送装置によれば、動力源13と、この動力源13の出力を走行装置11に伝達してコンバイン10を走行させる走行駆動用無段変速機60と、前記動力源13の出力を前処理部16と脱穀部45のフィードチェン46に伝達して穀稈の刈取りと搬送を行なわせる前処理駆動用無段変速機72と、前記動力源13と前処理駆動用無段変速機72の間に配置され動力源13と前処理駆動用無段変速機72との間の動力伝達のON,OFFを行なう作業機クラッチ67と、前記前処理駆動用無段変速機72と前処理部16の間に配設され、前処理駆動用無段変速機72と前処理部16との間の動力伝達のON,OFFを行なう刈取クラッチ79とを備え、前記走行駆動用無段変速機60と前処理駆動用無段変速機72の各出力回転数を連動させ、前記コンバインの走行速度と穀稈の搬送速度を連動させて刈取作業を行なうようにしたコンバインの穀稈搬送装置において、前記コンバインの走行速度と穀稈の搬送速度及びフィードチェン46の連動を解除する連動解除手段95を設け、この連動解除手段95をONしたとき、前記コンバインの走行速度とは無関係に前記前処理駆動用無段変速機72の出力軸の回転数を、前記動力源13の出力軸の回転数に比例した回転数になるように制御して、前記フィードチェン46を駆動するようにした制御装置85を設けるとともに、前記制御装置85はコンバインが刈取作業中である場合に連動解除手段95の解除作動を無効とするように構成している。
【0071】従って、コンバインの走行装置11と前処理部16及び脱穀部45のフィードチェン46の穀稈搬送装置との連動を解除する連動解除手段95を設けることにより、手こぎと通常の刈取りの切換え操作が容易になる。
【0072】また、連動解除手段95をONしたとき、コンバインの走行装置11とは無関係に、前記前処理駆動用無段変速機72の出力回転数を、動力源のエンジン回転数に比例した定速回転数となるように制御してフィードチェン46を駆動するようにしたので、コンバインの走行を停止していても、注油やメンテナンス作業後の確認等を行なうことができる。
【0073】また、通常の刈取作業が行なわれている状態では、連動解除手段95をON操作したとしてもこの操作は無効にされるので、刈取作業中に誤って連動解除手段95のスイッチ類に触れてもそのままの刈取作業を支障なく続行することができる。
【0074】さらに、走行装置11と前処理部16の停止時で前記連動解除手段95が連動解除中であっても、刈取作業がなされると、連動解除手段95による連動解除を自動的に無効にし走行速度と穀稈搬送速度を連動するようにしている。
【0075】従って、例えば、手こぎ作業完了後に連動解除手段95の復帰操作を失念したまま、前処理部16と走行装置11を駆動し、刈取作業が行なわれると、前記連動解除手段95による連動解除が自動的に無効にされ、機体の走行速度と穀稈の搬送速度を同調連動させるので、誤操作等による搬送性能低下を防止できる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成14年1月28日(2002.1.28)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2003−219724(P2003−219724A)
【公開日】 平成15年8月5日(2003.8.5)
【出願番号】 特願2002−18777(P2002−18777)