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【発明の名称】 農業用作業車の走行装置
【発明者】 【氏名】寺田 順一
【住所又は居所】静岡県榛原郡金谷町牛尾869−1 株式会社寺田製作所内

【要約】 【課題】クローラを用いて走行する農業用作業車のクローラに巻き込まれる異物が走行車輪にかみ込むのを防止すること、及び異物のかみ込み防止板を利用してブレーキ動作をさせること、及び高床式の機体からチェンとスプロケットでクローラの駆動輪に動力を伝達する構造の農業用作業車のチェンとスプロケットに異物が挟み込まれるのを防止することを課題とする。

【解決手段】クローラの駆動輪と従動輪に近接して、異物かみ込み防止板を設け、従動輪側の防止板を遊動自在として、ブレーキハンドルの操作で防止板を従動輪に押し付ける。高床式の機体から動力を伝達するチェンとスプロケットをカバーで覆い、カバーの底を抜いておくこと、及び、走行装置側のスプロケットの上側をカバーで覆う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クローラによって走行する高床式の農業用作業車において、クローラの巾方向の中心附近に、クローラを駆動する駆動輪に近接して、異物かみ込み防止板を設けたことを特長とした農業用作業車の走行装置。
【請求項2】 クローラによって走行する高床式の農業用作業車において、クローラの従動輪に近接してクローラの巾方向の中心附近に、異物かみ込み防止板を設けたことを特長とした農業用作業車の走行装置。
【請求項3】 クローラによって走行する高床式の農業用作業車において、クローラの従動輪に近接して、クローラの巾方向の中心附近に設けた異物かみ込み防止板の従動輪に接する側を、従動輪の半径に沿った形状とし、従動輪へ圧着、離脱可能とし、従動輪とクローラの隙間に差し込み自在としたことを特長とした農業用作業車の走行装置。
【請求項4】 請求項3記載のかみ込み防止板を運転台上に設けたブレーキハンドルの操作により、従動輪へ圧着、離脱自在としたことを特長とした請求項3記載の農業用作業車の走行装置。
【請求項5】 クローラによって走行する高床式の農業用作業車の機体側の駆動軸のスプロケットから、クローラ側のスプロケットにチェンを渡してクローラを駆動する動力伝達機構において、チェン全体を外側からカバーで包み、このカバーの底部は開放すると共に、クローラの駆動軸に設けたスプロケットの上側をカバーしたことを特長とした農業用作業車の走行装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、田畑等の荒地を覆帯輸送装置(クローラ)で走行しながら、農作業を行なう農業用作業車に関する。特に、高床式の機体を有する茶園作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】農業用作業車のうち、茶園作業車は、茶畝を挟んだ左右のクローラ式の走行装置を門型枠でつないだ高床式の構造となっている。一般的に、門型枠でつないだ左右の走行装置にそれぞれ油圧モータを設けてあって、油圧によって駆動している。油圧駆動の走行装置の駆動力は油圧の設定圧力によって決まっている。油圧の設定圧が高いと、走行装置に無理な力がかかったとき、走行装置を破損する。設定圧が低ければ、走行装置は停止するので、破損することはないが、作業は停止してしまう。油圧モーターを使用せず、エンジンの回転をトランスミッションで変速し、チェンとスプロケットで動力を伝達している場合は、走行装置に無理な力が加わったとき、駆動機構を破壊してしまうことがある。農業用作業車は荒地を走らねばならないので、クローラに異物を挟み込み、走行装置や駆動機構を破壊することがしばしば発生する。
【0003】一般的にクローラ式の農業用作業車は停止する場合、走行用の油圧回路を閉鎖するとか、トランスミッション駆動の場合は、本体の駆動軸を止めるとかの方法で機体を停止するようにしてあるが、走行装置自体にブレーキをかける装置はついていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、クローラによって走行する高床式の農業用作業車の走行装置に異物が入って、走行を阻害するのを防ぐことと、機体からチェンとスプロケットによって走行装置に駆動用の動力を伝達する形式の農業用作業車において、走行装置側のスプロケットに異物が挟まり、駆動機構が破壊されるのを防ぐことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1の発明では、「クローラによって走行する高床式の農業用作業車において、クローラの巾方向の中心附近に、クローラを駆動する駆動輪に近接して、異物かみ込み防止板を設ける」という手段をとる。クローラ(覆帯走行装置)タイプの走行装置は、ゴム又は金属の帯状の無端輸送帯を駆動輪と従動輪の間に張り渡して走行するものである。円形のゴムタイヤの車輪で走行するものに比べ、接地面積が広く地面をしっかりと保持するので、傾斜地でも滑らず、凸凹な土地でも走行可能であり、荒地、山野等を走行するのに適している。このように、クローラによる走行装置を有する農業用作業車は、荒地を走行するので、石ころや木の枝等の異物をクローラと駆動輪、従動輪の間にはさみ込み、駆動装置を破壊したり、脱輪したりすることが多い。駆動輪は突起を持った鎖車状をしており、クローラの巾方向の中心線上に設けた孔に突起をはめ合わせて駆動する。この発明のように、駆動輪に接して、クローラの巾方向の中心附近に異物かみ込み防止板を設ければ、異物が入ってきても防止板に当り、左右に取り除かれるので、クローラと駆動輪の間に異物が挟み込まれることはない。
【0006】請求項2の発明では、「クローラによって走行する高床式の農業用作業車において、クローラの従動輪に近接してクローラの巾方向の中心附近に、異物かみ込み防止板を設ける」という手段をとる。従動輪は、クローラの幅方向の中心線上に駆動輪と一対になって、クローラを張る為に駆動輪の反対側にセットされている。従動輪は突起を持たず、単なる円形の車輪となっている。従って、従動輪に近接して、異物かみ込み防止板を設ければ、異物が入ってきても、防止板で左右に取り除かれるから、クローラと従動輪の間に挟み込むことはない。
【0007】請求項3の発明では、「クローラによって走行する高床式の農業用作業車において、クローラの従動輪に近接して、クローラの巾方向の中心附近に設けた異物かみ込み防止板の従動輪に接する側を、従動輪の半径に沿った形状とし、従動輪へ圧着、離脱可能とし、従動輪とクローラの隙間に差し込み自在とする」という手段をとる。この発明では、従動輪側に設けた異物かみ込み防止板を、単に異物がクローラと従動輪に挟まるのを防止するだけでなく、防止板を従動輪に圧着させて従動輪の回転を止めると共に、従動輪とクローラの間に防止板をかみ込ませることによって、従動輪とクローラの動きを止めて、ブレーキ作用をさせようとするものである。
【0008】請求項4の発明では、「請求項3記載のかみ込み防止板を運転台上に設けたブレーキハンドルの操作により、従動輪へ圧着、離脱自在とする」という手段をとる。請求項3の発明によって、従動輪側の異物かみ込み防止板をブレーキとして利用することを示しているが、この発明では、運転台に設けたブレーキハンドルの操作で異物かみ込み防止板を従動輪へ圧着させてブレーキ操作を行なうものである。この動作の伝達は、コントロールケーブルで接続して、直接ハンドル操作を伝えても良いし、電気配線、油圧、エアー配管でつなぎ、アクチュエータを作動させて行なっても良い。
【0009】請求項5の発明では、「クローラによって走行する高床式の農業用作業車の機体側の駆動軸のスプロケットから、クローラ側のスプロケットにチェンを渡してクローラを駆動する動力伝達機構において、チェン全体を外側からカバーで包み、このカバーの底部は開放すると共に、クローラの駆動軸に設けたスプロケットの上側をカバーする」という手段をとる。機体側の駆動軸のスプロケットからクローラの駆動輪に設けたスプロケットに渡したチェンは外部に露出していると障害物と干渉するし、危険なので、カバーで包むことが必要である。この発明では、カバー内に入り込んだ異物がカバーの底にたまることがないように底の抜けた構造とするという手段を用いている。また、クローラ側のスプロケットは最下部に位置しているので、カバー内を上から落下してくる異物が降りかかることになる。従って、このスプロケットの上側にカバーを設けるという手段で、下側のスプロケットに異物をかみこむことを防止している。
【0010】
【発明の実施の形態】図1はクローラを用いた高床式の農業用作業車の代表例である乗用型茶葉摘採機の側面図である。図2は正面図を示す。茶畝を挟んだクローラによる2本の走行装置を門型枠で結び、門型枠の下方に摘採装置37を取付けて、茶畝に沿って走行しながら茶葉を摘採するものである。図3は左側の走行装置7の詳細図である。図4は図3の平面図である。
【0011】駆動輪9と従動輪10にゴム製のクローラ11がはめてある。駆動輪9には突起が出ており、クローラ11側の中央部に一定のピッチであけてある孔にはまり込むようになっている。従動輪10には突起はなく、単なる円盤となっていて、クローラの中央部にはまるようになっている。従動輪10を支えるサポート12は伸縮可能な構造となっており、クローラ11が駆動輪9との間にピンと張るように調節する。走行装置フレーム14には補助輪15、16、17、18が取付けてあり、機体の重さをクローラ11に伝えると共に、クローラ11が駆動輪9、従動輪10から外れるのを防いでいる。
【0012】19は駆動輪9側に設けた異物かみ込み防止板である。駆動輪9に近接する側は駆動輪9の外径に合わせた円弧としてある。反対側は傾斜させてあり、クローラ11の内側に乗ってくる異物を跳ね除けやすい形状としてある。駆動輪9と中心線を合わせた位置で走行装置フレーム14に固定してある。20は従動輪10側に設けた異物かみ込み防止板である。従動輪10に面した側は、従動輪10に合わせた円弧となっている。反対側は、異物を跳ね除けやすいような斜面となっていて、従動輪10と中心線を合わせた位置で従動輪10とわずかに離してセットする。かみ込み防止板20はレバー21で保持されており、レバー22を介してコントロールケーブル23と接続している。レバー22は支点24を中心としてコントロールケーブル23を引張ると回動し、レバー21を従動輪10側へ押しやり、かみ込み防止板20を従動輪10へ押し付ける作用をする。レバー21は支え25、26にのっていて、かみ込み防止板20がクローラ11に当らないように保持している。コントロールワイヤー23の他端は、運転席に設けたブレーキレバー(図中に無し)につながっている。
【0013】この実施例は、前部に駆動輪9、後部に従動輪10を設けている。従って、前進するときは、クローラ11の内側に入り込んだ異物は後方に送られるので、前方の駆動輪9にはさまることはない。反対に、後退するときは異物は前方に送られてくるが、かみ込み防止板19に当り、左右にはねよけられて駆動輪9にはさまるのを防ぐことが出来る。車体が前進するとき、クローラ11の内側に入り込んだ異物は後方に送られ、かみ込み防止板20に当り、左右にはねよけられて従動輪10にはさまるのを防ぐことが出来る。
【0014】次に請求項3、4に示したブレーキ作用について説明する。運転席のブレーキレバー(図中になし)を引くと、コントロールワイヤ23によってレバー22の上方が引かれる。レバー22は支点24を中心に回動し、レバー21を後方へ押し、レバー21に取付けてある、かみ込み防止板20を従動輪10に強く押し付ける。機体が前進しているときは、かみ込み防止板20の下方の楔形の出っ張りがクローラ11と従動輪10の下側に挟み込まれてブレーキ作用をする。機体が後退しているときは、かみ込み防止板20の上方の楔側の出っ張りが、クローラ11と従動輪10の上側に挟み込まれてブレーキ作用をする。
【0015】図5は駆動輪部分の詳細側面図であり、図6は図5を正面よりみた一部断面図である。請求項5の発明の実施例を図5、6によって説明する。駆動輪9のシャフト27にはスプロケット28が取付けてあり、機体上部の駆動軸29に設けたスプロケット30との間にチェン31が掛けてあり、駆動軸29の回転を駆動輪9に伝えている。32はコの字形をしたカバーであり、スプロケット28、30、チェン31を包んでいる。カバー32の下側は底を抜いてあり、異物がカバー内にたまらないようになっている。33はスプロケット28の上側だけを覆うように形作ったカバーであり、カバー32の内側に止めてある。チェン31、スプロケット28、30はカバー32と前柱34に囲まれていて、異物が入らないようになっている。又、異物が入ってもカバー32の下方から外へ排出される。又、スプロケット28はカバー33で上側を覆っているので、チェン31とスプロケット28に異物がはさまるのを防いでいる。
【0016】
【発明の効果】農業用作業車は、田畑の荒地を走行して農作業を行なう為に、クローラによる走行装置を使用している。凸凹した荒地を走行すると、石、木の根等障害物と当たったり、穴へ落ちたりして、走行装置に無理な力が掛ることが多い。また、急旋回などでクローラに土や石が挟まることが多く、走行装置や駆動機構を破壊し、走行不能になることが多い。この発明によれば、駆動輪及び従動輪に沿って設けた異物かみ込み防止板によって、クローラと駆動輪、従動輪に異物をかみ込み、走行装置を破損することを防ぐことが出来る。又、従動輪側の異物かみ込み防止板を従動輪に押し付け、クローラと従動輪の間にかみ込み防止板を差し込むことによって、機体側の駆動機構に設けたブレーキとは独立して、走行装置自体にブレーキをかけることが出来る。走行装置の駆動輪にスプロケットを付け、機体側からチェンで動力の伝達を受ける機構の農業用作業車では、スプロケット及びチェンカバーにより、動力伝達経路での異物のかみ込みを防止することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000145116
【氏名又は名称】株式会社寺田製作所
【住所又は居所】静岡県榛原郡金谷町牛尾869−1
【出願日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−189722(P2003−189722A)
【公開日】 平成15年7月8日(2003.7.8)
【出願番号】 特願2001−392580(P2001−392580)