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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】梶岡 律子
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【要約】 【課題】通常の刈取作業中の過負荷を早期に検出して適正な対処を行わせて作業の安定性を向上させると共に、非刈取作業中の回向時の過負荷により過負荷警報が出力され回向動作が中断されるなどした不具合をなくして、回向作業の安定性を向上させる。

【解決手段】作業中のエンジン過負荷時に過負荷警報を出力させるコンバインにおいて、非刈取作業中の機体回向状態を検出する回向手段47・50・51を設け、非刈取作業中の機体回向時に過負荷警報の出力を停止させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作業中のエンジン過負荷時に過負荷警報を出力させるコンバインにおいて、非刈取作業中の機体回向状態を検出する回向手段を設け、非刈取作業中の機体回向時に過負荷警報の出力を停止させるように設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】 過負荷警報を出力させる過負荷警報の基準値を変更させる過負荷警報設定手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】 車速の車速減速率を変更させる車速減速設定手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジン駆動力による走行中に連続的に穀稈を刈取って脱穀するコンバインに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、エンジンの負荷変化に対し車速の変速制御を行ってエンジンの回転数を略一定に保つ出力制御などを行うと共に、エンジンの負荷が過負荷になったとき過負荷警報を行う手段があるが、枕地などでの非刈取作業状態での回向時に走行負荷が大となるとき、刈取作業時の限界値よりも大となって過負荷警報が行われる不都合がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、作業中のエンジン過負荷時に過負荷警報を出力させるコンバインにおいて、非刈取作業中の機体回向状態を検出する回向手段を設け、非刈取作業中の機体回向時に過負荷警報の出力を停止させて、通常の刈取作業中の過負荷を早期に検出して適正な対処を行わせて作業の安定性を向上させると共に、非刈取作業中回向時の過負荷により過負荷警報が出力され回向動作が中断されるなどした不具合をなくして、回向作業の安定性を向上させるものである。
【0004】また、過負荷警報を出力させる過負荷警報の基準値を変更させる過負荷警報設定手段を設けて、過負荷警報を出力する基準値を容易に変更させて、作業環境など各種条件に応じた適正な過負荷警報を行ってエンジン性能を安定維持させるものである。
【0005】さらに、車速の車速減速率を変更させる車速減速設定手段を設けて、刈取作業時や回向作業時のエンジン負荷が大となるときには任意に設定させる減速率だけ車速を減速させて、安定良好な機体の走行を行うと共に、エンジン性能を安定維持させるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同平面図であり、図中1は走行クローラ2をトラックフレーム3を介して装備する機台、4は機体の進行方向に対し軸芯を直交させる大径及び小径2つのスクリュ形第1及び第2扱胴5・6並びに揺動選別盤7などを備える脱穀部、8は脱穀部4上方に配備して揚穀筒9を介して取出す脱穀部4の穀粒を貯留する穀物タンク、10は穀物タンク8内の穀粒を取出す上部搬出オーガ、11は穀物タンク8の後方に配備してエンジン12を内設するエンジンルーム、13は運転席14及び操向ハンドル15などを運転台16に備えて脱穀部4の前部上方に配設する運転操作部、17は運転台16の左右両側に配備する左右の作業者乗降用ステップ、18は脱穀部4の下部前方に油圧刈取昇降シリンダ19を介し昇降可能に装備する刈取部である。
【0007】そして、前記刈取部18は、未刈り穀稈を取入れる刈取ヘッダー20と、該ヘッダー20の後部略中央に連結させて刈取穀稈を脱穀部4に送給するフィーダハウス21によって構成すると共に、未刈稈掻込リール22と、往復駆動型刈刃23と、掻込オーガ24とを前記刈取ヘッダー20に備え、前記フィーダハウス21を運転台16の下方で運転台16中央の運転席14より左側に偏位して配設させ、前記ヘッダー20に取込まれる刈取穀稈をフィーダハウス21に内設する供給コンベア25を介し脱穀部4前部左側のビータ26に送り込んで脱穀処理するように構成している。
【0008】図3に示す如く、油圧ポンプ及び油圧モータを内蔵する油圧式無段変速機構27をミッションケース28に有して、エンジン12の出力軸29に無段変速機構27の変速入力軸30をベルト31連結させて走行クローラ2の変速自在な駆動を行うと共に、第1及び第2扱胴5・6にベルト伝動系32を介してエンジン出力軸29を連結させて、脱穀部4を駆動させ、第2扱胴5の扱胴軸33に供給コンベア25の刈取入力軸34をベルト35を介して連結させて刈取部18の駆動を行うように構成している。
【0009】図5に示す如く、エンジン12の回転数を略一定に保つ出力制御を自動的に行う電子ガバナ36を備えるもので、エンジン12の燃料噴射ポンプの燃料噴射量を調節するラックソレノイドである燃料噴射ソレノイド38と、前記ソレノイド38の燃料噴射量を検出するラック位置センサ39と、エンジン12の回転数を検出するピックアップ型回転センサ40と、作業者が操作するアクセルレバーまたはペダルの操作量を検出するポテンショメータ型アクセルセンサ41を、電子ガバナコントローラ42に接続させ、前記電子ガバナ36を構成すると共に、エンジン12の過負荷警報を行うブザー43と作業状況を表示する負荷モニター44とを前記コントローラ42に接続させている。そして、前記各センサ39・40・41の検出結果に基づく前記ソレノイド38制御によってエンジン12の燃料供給量を自動的に調節し、エンジン12の負荷が変化してもエンジン12の回転数を略一定に保つ出力制御を行うと共に、前記ラック位置センサ39及び回転センサ40の検出結果に基づいて演算されたエンジン12の負荷が設定よりも大きくなり、エンジン12が過負荷運転になったとき、前記ブザー43を鳴動させて作業者に過負荷警報を行うように構成している。
【0010】また、前記刈取部8及び無段変速機構27など走行部を制御する作業コントローラ45を前記電子ガバナコントローラ42に接続させ、刈取昇降状態によってブザー43の過負荷警報制御を規制するもので、手動操作による刈取クラッチ46入切操作を検出する刈取スイッチ47と、手動操作によって刈取部18を昇降させる手動スイッチ48と、刈取作業高さの刈取部18を旋回高さに上昇させる動作と旋回高さの刈取部18を刈取作業高さに下降させる動作を行わせる自動昇降スイッチ49と、刈取部18の対本機高さを検出するポテンショメータ形刈取高さ刈高センサ50と、操向ハンドル15などの操作部に設けて機体の直進及び旋回動作を検出する直進スイッチ51と、エンジン12の負荷率が設定以上となるとき過負荷警報を出力する過負荷設定器52と、機体回向時の車速減速率を設定する車速減速設定器53と、前記刈取クラッチ46を入切動作させる電動刈取モータ54と、前記昇降シリンダ19を作動させて刈取部18昇降制御を行う電磁昇降バルブ55と、前記変速機構27を作動させて車速を変速制御する電動変速モータ56とを作業コントローラ45に接続させている。そして、手動スイッチ48または自動昇降スイッチ49操作によって昇降バルブ55を作動させて刈取部18を昇降させると共に、刈取スイッチ47を切操作したとき、または自動昇降スイッチ49操作によって刈取部18が刈取作業高さから旋回高さに上昇したとき、刈取モータ54を作動させて刈取クラッチ46を切にする一方、刈取スイッチ47を入操作したとき、または自動昇降スイッチ49操作によって刈取部18が旋回高さから刈取作業高さに下降したとき、刈取モータ54を作動させて刈取クラッチ46を入にするように構成している。
【0011】さらに、前記作業コントローラ45の刈取モータ54及び昇降バルブ55及び変速モータ56の制御内容を前記電子ガバナコントローラ42に入力させるもので、昇降シリンダ19上昇制御並びに刈取クラッチ46切制御が行われたとき、電子ガバナコントローラ42によるブザー43の過負荷警報を禁止し、昇降シリンダ19下降制御並びに刈取クラッチ46入制御が行われたとき、前記ブザー43の過負荷警報を許可するように構成している。
【0012】また図4に示す如く、前記負荷モニター44はエンジン負荷の増大変化状態を段階的に液晶表示する負荷表示部57を、エンジン過負荷時に点灯表示させるオーバーロード表示部58と、作業中のエンジン回転数を液晶表示するエンジン回転表示部59などを設け、作業中のエンジン負荷状態を負荷表示部57で、エンジン過負荷状態を警報ブザー43とオーバーロード表示部58とで作業者に報知させるように構成している。
【0013】そして、図6のフローチャートに示す如く、前記刈取スイッチ47のオンによって刈取クラッチ46を入に切換えた状態で、手動スイッチ48或いは自動昇降スイッチ49によって刈取部18が所定刈取作業高さ位置まで下降した刈取作業状態にあるとき、前記負荷モニター44に刈取作業表示を行い、刈取作業中にあってはラック位置センサ37及び回転センサ40の検出結果によって演算されるエンジン12負荷に基づき、アクセルセンサ41の設定値との対比により、燃料噴射ソレノイド38を作動させ、エンジン12の回転数を略一定に保つ出力制御を行い、収穫作業負荷が変化しても、脱穀部4の脱粒及び選別性能低下などを防ぎ、また搬送途中の稈詰りなどを防ぐ。また作業中エンジン12の負荷が一定以上(例えば85〜90%)となるとき車速を減速させてエンジン負荷を低減させると共に、車速の減速が限界に達してもエンジン負荷が増大して、前記設定器52で設定された負荷(例えばエンジン負荷率95%)より作業中のエンジン12の負荷が大きくなるとき前記ブザー43の鳴動及びオーバーロード表示部57の点灯によってエンジン12の過負荷状態を作業者などに報知させる。
【0014】一方、刈取スイッチ47をオフにして刈取クラッチ46を切にしたとき、または自動昇降スイッチ49操作によって刈取部18が自動的に上昇して刈取クラッチ46が切になったときで、直進スイッチ51がオンとなる枕地などでの非刈取作業中の機体回向時には前記パネル表示器44には非刈取作業の回向表示を行い、作業中のエンジン12の負荷が設定負荷(エンジン負荷率95%)より以上となるときにも前記ブザー43の鳴動を停止、オーバーロード表示部57を消灯させ過負荷警報を禁止して、エンジン回転数を略一定に保つ制御を行う。
【0015】以上からも明らかなように、作業中のエンジン過負荷時に過負荷警報を出力させるコンバインにおいて、非刈取作業中の機体回向状態を検出する回向手段47・50・51を設け、非刈取作業中の機体回向時に過負荷警報の出力を停止させることによって、通常の刈取作業中の過負荷を早期に検出して適正な対処を行わせて作業の安定性を向上させると共に、非刈取作業中の回向時の過負荷により過負荷警報が出力され回向動作が中断されるなどした不具合をなくして、回向作業の安定性を向上させることができる。
【0016】また、過負荷警報を出力させる過負荷警報の基準値を変更させる過負荷警報設定手段52を設けることによって、過負荷警報を出力する基準値を容易に変更させて、作業環境など各種条件に応じた適正な過負荷警報を行ってエンジン性能を安定維持させることができる。
【0017】さらに、車速の車速減速率を変更させる車速減速設定手段53を設けたことによって、刈取作業時や回向作業時のエンジン負荷が大となるときには任意に設定させる減速率(例えば10〜30%)だけ車速を減速させて、安定良好な機体の走行を行うと共に、エンジン性能を安定維持させることができる。
【0018】また図7に示す如く、非刈取作業状態での機体回向時には前記設定器52で設定された負荷(例えばエンジン負荷率95%)に対し基準値を変更させ刈取作業中より一定値高い負荷(例えばエンジン負荷率略98%)に変更させて、この負荷(略98%)以上となるまではブザー43の鳴動などを停止させると共に、過負荷に近づいたときの車速の減速率を通常値(例えば15%)より大きい減速率(例えば20%)に変更させて走行負荷を軽減させて、エンジン回転数を略一定に保つ制御を行う構成でも良い。そして、非刈取作業中の機体回向時に車速の車速減速率を変更させることによって、走行負荷が増大する圃場枕地などでの機体回向時の車速を良好に減速させて、エンジン12が過負荷駆動するのを防止して、エンジン性能を安定維持させることができるもので、走行負荷が増大する圃場枕地などでの機体回向時の車速を良好に減速させて、エンジン12が過負荷駆動するのを防止して、エンジン性能を安定維持させることができる。
【0019】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、作業中のエンジン過負荷時に過負荷警報を出力させるコンバインにおいて、非刈取作業中の機体回向状態を検出する回向手段47・50・51を設け、非刈取作業中の機体回向時に過負荷警報の出力を停止させるものであるから、通常の刈取作業中の過負荷を早期に検出して適正な対処を行わせて作業の安定性を向上させると共に、非刈取作業中の回向時の過負荷により過負荷警報が出力され回向動作が中断されるなどした不具合をなくして、回向作業の安定性を向上させることができるものである。
【0020】また、過負荷警報を出力させる過負荷警報の基準値を変更させる過負荷警報設定手段52を設けたものであるから、過負荷警報を出力する基準値を容易に変更させて、作業環境など各種条件に応じた適正な過負荷警報を行ってエンジン性能を安定維持させることができるものである。
【0021】さらに、車速の車速減速率を変更させる車速減速設定手段53を設けたものであるから、刈取作業時や回向作業時のエンジン負荷が大となるときには任意に設定させる減速率だけ車速を減速させて、安定良好な機体の走行を行うことができると共に、エンジン性能を安定維持させることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成13年12月20日(2001.12.20)
【代理人】 【識別番号】100062270
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開2003−180128(P2003−180128A)
【公開日】 平成15年7月2日(2003.7.2)
【出願番号】 特願2001−387113(P2001−387113)