トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 コンバインの姿勢制御機構
【発明者】 【氏名】林 晃良
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【氏名】水倉 泰治
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【要約】 【課題】機体の左右支持高さを変更する左右一対の機体昇降手段と、機体前方に設けた刈取部の高さを変更する刈取部昇降手段と、機体の傾斜状態を検出する水平センサとを設けるとともに、機体昇降手段及び刈取部昇降手段を駆動させる油圧回路を設け、機体昇降手段を作動させることにより姿勢制御を行なうコンバインの姿勢制御機構において、機体の急激な降下にともなって刈取部先端が土中へ突き込まれることを防止することができるようにしたコンバインの姿勢制御機構を提供する。

【解決手段】左右の機体昇降手段のどちらか一方を支持高さ調整の基準となる基準機体昇降手段とし、他方を非基準機体昇降手段とし、刈取部昇降手段に接続した刈取部昇降用油圧回路に、基準機体昇降手段を直列に接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の左右支持高さを変更する左右一対の機体昇降手段と、機体前方に設けた刈取部の高さを変更する刈取部昇降手段と、機体の傾斜状態を検出する水平センサとを設けるとともに、機体昇降手段及び刈取部昇降手段を駆動させる油圧回路を設け、機体昇降手段を作動させることにより姿勢制御を行なうコンバインの姿勢制御機構において、左右の機体昇降手段のどちらか一方を支持高さ調整の基準となる基準機体昇降手段とし、他方を非基準機体昇降手段とし、刈取部昇降手段に接続した刈取部昇降用油圧回路に、基準機体昇降手段を直列に接続していることを特徴とするコンバインの姿勢制御機構。
【請求項2】 基準機体昇降手段は、機体に配設した左右一対の走行手段のうち、刈取部による刈取作業時に常に畝上を走行する走行手段側の機体昇降手段であることを特徴とする請求項1記載のコンバインの姿勢制御機構。
【請求項3】 非基準機体昇降手段に接続した水平制御用油圧回路は、刈取部駆動用油圧回路と並列状態に配設していることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコンバインの姿勢制御機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの姿勢制御機構に関するものであり、特に、刈取部の刈り高さの制御とコンバインの姿勢制御とを同時制御可能としたコンバインの姿勢制御機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、作物の刈取り・脱穀を行なうコンバインでは、機体を略水平状態に維持することにより刈取部を相対的に略水平とし、同刈取部で刈り取られる作物の刈り高さを刈取部の両側で略同一としている。これにより、刈り高さを一定とすることができ、穀稈長のバラツキを抑制することができるので、脱穀装置での揺動選別部における被選別物の偏在を少なくすることができ、選別性能を向上させることができる。
【0003】このようなコンバインにおいては、通常、複数条の畝の作物を一度に刈り取ることができるように刈取部を幅広に構成している。このとき、刈取部の左右側端にそれぞれ設けたディバイダのうち、運転席側となっている右側端ディバイダは、コンバインの操作性の関係で、コンバインの機体下部に配設した左右クローラ式走行装置の右クローラ式走行装置の前方、特に、右クローラ式走行装置の右側縁前方に位置させており、コンバインの運転席から刈取部での刈取り状況を目で直接確認することができるようにするとともに、刈取部よりも右外側に位置することによって刈り取られなかった作物を、右クローラ式走行装置で踏み潰すことを防止している(図2参照)。
【0004】従って、刈取り時において右側端ディバイダは、刈り取られる作物よりも少なくとも数十cm程度進行方向右側外方に位置させるようにしており、右側端ディバイダがそのような位置となるようにコンバインの運転者はコンバインの走行操作を行なうため、コンバインの右クローラ式走行装置は、作物が植立している畝の直上よりも右側にずれた位置を走行し、畝から外れて畝下を走行することとなる場合がある。
【0005】一方、従来の使用形態においては、左クローラ式走行装置はほぼ常に畝の直上を走行していることが多く、畝を外れて畝下を走行する場合は少ない。
【0006】従って、右クローラ式走行装置が畝下を走行し、かつ、左クローラ式走行装置が畝上を走行することになり、コンバインの機体は右クローラ式走行装置側が下がった傾斜状態となる。
【0007】このように、コンバインの機体が傾斜状態となると、刈取部も傾斜状態となるために均一な刈り高さの刈取りを行なうことできず、また、運転席も同様に傾斜状態となるために操作しにくくなるので、コンバインに配設した機体の水平制御機構を作動させ、機体に対して右クローラ式走行装置を降下させるか、あるいは、左クローラ式走行装置を上昇させるか、あるいは、右クローラ式走行装置を降下させながら左クローラ式走行装置を上昇させることにより機体が略水平姿勢となるように制御を行ない、刈取部も略水平としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、刈り取られる作物が大豆などのように地面にごく近い部分から着粒している作物の場合、刈取部の位置をできるだけ地面に近づけるようにしているため、突然、右クローラ式走行装置が畝から外れて畝下を走行し始めたことにより機体が傾斜した場合、刈取部も傾斜して同刈取部の高さが相対的に低下し、刈取部の先端が土中に突き込むことによって刈取部内に土を巻き込み、刈取部や刈取部以降の搬送装置などに不具合を生起したり、刈り取られた作物に土が混入することにより商品価値を低下させたりするという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明のコンバインの姿勢制御機構では、機体の左右支持高さを変更する左右一対の機体昇降手段と、機体前方に設けた刈取部の高さを変更する刈取部昇降手段と、機体の傾斜状態を検出する水平センサとを設けるとともに、機体昇降手段及び刈取部昇降手段を駆動させる油圧回路を設け、機体昇降手段を作動させることにより姿勢制御を行なうコンバインの姿勢制御機構において、左右の機体昇降手段のどちらか一方を支持高さ調整の基準となる基準機体昇降手段とし、他方を非基準機体昇降手段とし、刈取部昇降手段に接続した刈取部昇降用油圧回路に、基準機体昇降手段を直列に接続した。
【0010】また、基準機体昇降手段は、機体に配設した左右一対の走行手段のうち、刈取部による刈取作業時に常に畝上を走行する走行手段側の機体昇降手段であること、さらには、非基準機体昇降手段に接続した水平制御用油圧回路は、刈取部駆動用油圧回路と並列状態に配設していることにも特徴を有するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のコンバインの姿勢制御機構では、コンバインの機体の左右支持高さを変更する左右一対の機体昇降手段のうち、どちらか一方を支持高さ調整の基準となる基準機体昇降手段とし、他方を非基準機体昇降手段とし、基準機体昇降手段及び非基準機体昇降手段に油圧回路を接続して昇降駆動させることにより姿勢制御を行ない、さらに、コンバインの刈取部の高さを変更する刈取部昇降手段も油圧回路に接続して昇降駆動させるとともに、刈取部昇降手段を接続した刈取部昇降用油圧回路に基準機体昇降手段を接続している。
【0012】特に、刈取部昇降用油圧回路において、基準機体昇降手段は刈取部昇降手段に直列に接続している。
【0013】従って、水平制御の基準として通常の使用範囲では昇降制御を行なわない基準機体昇降手段と、刈取部昇降手段とを同一の動力源を用いて駆動させることができ、少ない動力で効率よく基準機体昇降手段と刈取部昇降手段とを駆動させることができる。
【0014】そのうえ、機体の水平制御と刈取部昇降手段による刈取部の上昇操作とを独立させて行なうことができるので、上記のようにコンバインの一方のクローラ式走行装置が畝から突然外れ、畝下を走行し始めた際に、刈取部を速やかに上昇させることができ、刈取部の先端が土中に突き込むことを防止できる。従って、刈取部内に土を巻き込んで刈取部や刈取部以降の搬送装置などに不具合を生起することを防止でき、また、刈り取られた作物に土が混入することも防止でき、商品価値を低下させるおそれを解消できる。
【0015】特に、基準機体昇降手段を、機体に配設した左右一対の走行手段のうち、刈取部による刈取作業時に常に畝上を走行する走行手段側の機体昇降手段とした場合には、基準機体昇降手段側において機体が昇降制御を必要とする程度にまで降下すること、あるいは上昇することがないので、基準機体昇降手段を駆動させる必要がなく、刈取部昇降手段のみを駆動させることができるので、刈取部昇降手段による刈取部の昇降制御を頻繁に行なうことができ、作物の刈り高さの変動を抑制することができる。
【0016】従って、穀稈長のバラツキを抑制することができるので、脱穀装置での揺動選別部における被選別物の偏在を少なくすることができ、選別性能を向上させることができる。
【0017】さらに、非基準機体昇降手段に接続した水平制御用油圧回路を、刈取部駆動用油圧回路と並列状態に配設した場合には、非基準機体昇降手段を、基準機体昇降手段及び刈取部昇降手段とは独立させて駆動させることができるので、非基準機体昇降手段側のクローラ式走行装置が畝から突然外れて畝下を走行し始めた際に、速やかに非基準機体昇降手段を駆動させて機体を略水平状態に復帰させることができる。
【0018】従って、一旦、非略水平状態となった刈取部を速やかに略水平状態に復帰させることができ、しかも、非基準機体昇降手段とは独立して刈取部昇降手段が作動することにより、所用の刈り高さ位置に刈取部を速やかに復帰させることができるので、作物の刈り高さの変動を抑制することができ、穀稈長のバラツキを抑制できるので、脱穀装置での揺動選別部における被選別物の偏在を少なくすることができ、選別性能を向上させることができる。
【0019】また、非略水平状態となった運転席を速やかに略水平状態に復帰させることができるので、運転者が安心して運転を行なうことができ、運転者の疲労を大きく軽減させることができる。
【0020】
【実施例】OLE_LINK1 以下において本発明の実施例を説明する。まず、本発明の姿勢制御機構を組み込んだコンバインの全体構成について説明し、次いで、本発明の要旨である姿勢制御機構について説明する。
【0021】本発明の姿勢制御機構を組み込んだコンバインAは、図1及び図2に示すように、機体フレーム1の下部に走行手段としての左右一対の左クローラ式走行装置2aと、右クローラ式走行装置2bからなる走行部を配設して走行可能としている。
【0022】機体フレーム1の前端部には、搬送部3を介して刈取部4を昇降自在に取付け、同搬送部3の直後方位置に脱穀部5を配設し、同脱穀部5の直下方位置に揺動選別部6を配設する一方、同揺動選別部6の後方上部であって、脱穀部5の直後方位置に排藁処理部7を配設している。
【0023】また、コンバインAは、機体フレーム1の前部であって、搬送部3の右側方位置に運転部8を配設し、同運転部8の直後方位置であって、脱穀部5の直上方位置に穀粒貯留部9を配設し、更には、同穀粒貯留部9の直後方位置であって、揺動選別部6の後端部の直上方位置に原動機部10を配設している。
【0024】以下に、コンバインAの各部の構造について説明する。
【0025】〔走行部〕走行部を構成している左クローラ式走行装置2aと、右クローラ式走行装置2bはそれぞれ、図1に示すように、機体フレーム1の下部に走行フレーム11を取付け、同走行フレーム11の前端部に駆動輪12を連動連結する一方、走行フレーム11の後端部に遊動輪13を回転自在に軸支し、これら駆動輪12と遊動輪13との間に履帯14を巻回して構成している。駆動輪12には、機体フレーム1の前部に配置して原動機部10に連動連結したミッションに連動連結している。図1において、15は転動輪である。
【0026】特に、走行フレーム11は、機体フレーム1までの距離を可変とし、機体フレーム1と走行フレーム11との間隔を適宜調整することにより、機体の車高調整及び姿勢制御を行なっている。
【0027】すなわち、機体フレーム1の下部にリンク機構支持フレーム16を固設し、同リンク機構支持フレーム16の前後にそれぞれ支軸17a,17bを突設し、同支軸17a,17bで側面視略L字状とした前後ベルクランクリンク18a,18bの略中央部をそれぞれ枢支している。
【0028】そして、走行フレーム11の前後に連結支軸19a,19bを突設し、同連結支軸19a,19bによって前後ベルクランクリンク18a,18bの下部後端をそれぞれ枢支することにより、前後ベルクランクリンク18a,18bを介してリンク機構支持フレーム16と走行フレーム11とを連結している。さらに、前後ベルクランクリンク18a,18bの上端間には連結部材20を介装している。
【0029】そして、一端を後ベルクランクリンク18bの上端に枢着させるとともに、他端を機体フレーム1に枢着させて昇降用油圧シリンダ21を装着し、昇降用油圧シリンダ21を伸縮させることにより支軸17bを回動中心として後ベルクランクリンク18bを回動させるとともに、連結部材20を介して前ベルクランクリンク18aを連動させて回動させている。
【0030】従って、昇降用油圧シリンダ21の伸縮と連動して走行フレーム11が昇降することとなり、走行フレーム11と機体フレーム1との間隔、すなわち、左クローラ式走行装置2a及び右クローラ式走行装置2bと機体フレーム1との間隔が変動して、左クローラ式走行装置2a及び右クローラ式走行装置2bによる機体フレーム1の支持高さが変動し、機体の車高調整及び姿勢制御を行なうことができる。
【0031】昇降用油圧シリンダ21は、左クローラ式走行装置2a及び右クローラ式走行装置2bに対してそれぞれ設けており、機体の左右支持高さを変更する左右一対の機体昇降手段としている。以下においては、左クローラ式走行装置2aと連結した昇降用油圧シリンダ21を左昇降用油圧シリンダ21aと呼び、右クローラ式走行装置2bと連結した昇降用油圧シリンダ21を右昇降用油圧シリンダ21b(図2参照)と呼ぶ。
【0032】また、以下において、説明の便宜上、左クローラ式走行装置2aの配設側の機体を左側機体と呼び、また、右クローラ式走行装置2bの配設側の機体を右側機体と呼ぶ。
【0033】機体フレーム1に左クローラ式走行装置2aを近接させる方向に左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させることにより左クローラ式走行装置2aは上昇し、左側機体が降下する。逆に、機体フレーム1から左クローラ式走行装置2aを離隔させる方向に左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させることにより左クローラ式走行装置2aは降下し、左側機体が上昇する。
【0034】同様に、機体フレーム1に右クローラ式走行装置2bを近接させる方向に右昇降用油圧シリンダ21bを駆動させることにより右クローラ式走行装置2bは上昇し、右側機体が降下する。逆に、機体フレーム1から右クローラ式走行装置2bを離隔させる方向に右昇降用油圧シリンダ21bを駆動させることにより右クローラ式走行装置2bは降下し、右側機体は上昇する。
【0035】〔刈取部〕刈取部4は、図1に示すように、搬送部3の先端部にプラットホーム22を連設し、同プラットホーム22内に左右方向に軸線を向けた横送りオーガ23を回動可能に横架し、同横送りオーガ23の直前方位置に刈刃装置24を横架している。プラットホーム22の左右側端部分には、左右側端ディバイダ25a,25bを前方に突出させて設けており、また、刈刃装置24の前方上方位置に掻き込みリール26を配設している。
【0036】そして、圃場に植立した穀桿を掻き込みリール26により掻き込むとともに、刈刃装置24により穀桿の根元部分を刈り取り、横送りオーガ23により同横送りオーガ23の略中央部に刈り取った穀桿を寄せ集めて、後方の搬送部3へ受け渡している。
【0037】図1において、27aは左刈り高さセンサ用ソリ、27bは右刈り高さセンサ用ソリであり、左右刈り高さセンサ用ソリ27a,27bは、それぞれ後端下面を圃場面B、特に本実施例の場合には、図2に示すように、畝bの上側面に当接させておき、左右刈り高さセンサ用ソリ27a,27bの回転量をポテンシオメータなどで検出することにより刈刃装置24の畝b上側面からの高さ情報を得ている。なお、刈り高さセンサとしては、赤外線や超音波を用いた距離計測センサを用いてもよい。
【0038】本実施例では、プラットホーム22の左右側にそれぞれ左刈り高さセンサ用ソリ27a、及び、右刈り高さセンサ用ソリ27bを設け、コンバインAの機体が左右いずれかに傾斜することにより刈取部4が傾斜した際に、傾斜により低くなった方の刈り高さセンサの出力にともなって、畝b上側面と刈刃装置24の最下部との間隔があらかじめ設定している刈り高さ間隔とすべく、後述するように刈取部4を昇降操作を行なっている。
【0039】図1において、28は書き込みリール26を昇降させる掻き込みリール昇降用油圧シリンダであり、同掻き込みリール昇降用油圧シリンダ28を伸縮させることにより、一端を取着板29に枢着した昇降用回動腕30を回動させ、掻き込みリール26の昇降操作を行なっている。
【0040】〔搬送部〕搬送部3は、図1に示すように、機体フレーム1の前端部に前後方向に伸延するフィーダハウス31を上下回動自在に取付け、同フィーダハウス31の内部に搬送コンベア32を配設し、さらに、機体フレーム1の前端上部に搬送ビータ33を回動可能に横架している。そして、刈取部4の横送りオーガ23により寄せ集められた穀桿を搬送コンベア32と搬送ビータ33とで後方の脱穀部5へ搬送している。
【0041】図1において、34はフィーダハウス31を昇降させることにより刈取部4を昇降させる刈取部昇降用油圧シリンダである。同刈取部昇降用油圧シリンダ34が刈取部4の高さを変更する刈取部昇降手段であり、上記の左右刈り高さセンサ用ソリ27a,27bを具備した刈り高さセンサより得られた刈取部4の高さ情報に基づいて刈取部昇降用油圧シリンダ34を伸縮させることにより、フィーダハウス31を回動させて刈取部4の昇降操作を行なっている。
【0042】〔脱穀部〕脱穀部5は、図1に示すように、搬送部3の直後方位置に扱室35を形成し、同扱室35の内部に略同一外径を有する円筒状の第1扱胴36と第2扱胴37とを、回動軸線を左右幅方向に向けた状態で前後に間隔を開けて配設し、各扱胴36,37の直下方位置に受網38,39を配設している。
【0043】搬送部3から脱穀部5に搬送された穀桿は、第1扱胴36の作用によって第1扱胴36の左側端部から右側端部へ移動しながら脱穀処理され、その後、第2扱胴37の作用によって第2扱胴37の右側端部から左側端部へ移動しながら脱穀処理されて、穀粒は自重により各受網38,39を通過して下方の揺動選別部6へ落下する。その際、排藁は後方の排藁処理部7へ移送している。
【0044】〔揺動選別部〕揺動選別部6は、図1に示すように、第1扱胴36と第2扱胴37の直下方位置に揺動体40を揺動機構41を介して上下方向に揺動可能に配設している。同揺動体40は、第1扱胴36の直下方位置から第2扱胴37の直下方位置まで前後左右方向に広がりを有するフィードパンと、同フィードパンの後方位置に連続させて配置したチャフシーブと、同チャフシーブの下方に配置したグレンシーブと、チャフシーブの後方位置に連続させて配置したストローラックとを揺動機枠に取付けて構成している。
【0045】そして、チャフシーブの直下方位置に、左右方向に伸延して一番穀粒を受ける一番穀粒受樋と、左右方向に伸延して二番穀粒を受ける二番穀粒受樋とを前後方向に間隔を開けて配置し、同一番穀粒受樋の前方位置に第1唐箕42を配置して、同第1唐箕42より後上方に位置するチャフシーブに向けて第1唐箕風を圧送可能としている。さらに、一番穀粒受樋と二番穀粒受樋との間に第2唐箕43を配置し、同第2唐箕43より二番穀粒受樋の直上方に位置するチャフシーブの後部に向けて第2唐箕風を圧送可能としている。
【0046】また、一番穀粒受樋内には左右方向に伸延する一番穀粒搬送コンベアを配置し、同一番穀粒搬送コンベアの左側端部に上下方向に伸延する揚穀コンベアの下端部を連設する一方、同揚穀コンベアの上端部を後述する穀粒貯留部9に連設して、一番穀粒受樋内の一番穀粒を一番穀粒搬送コンベア→揚穀コンベア→穀粒貯留部9へ搬送している。
【0047】そして、二番穀粒受樋内には左右方向に伸延する二番搬送コンベアを配置し、同二番搬送コンベアの左側端部に前後方向に伸延する還元コンベアの後端部を連設する一方、同還元コンベアの前端部を前記した扱室35に連設して、二番穀粒受樋内の二番穀粒を扱室35に還元して再度脱穀している。
【0048】〔排藁処理部〕排藁処理部7は、図1に示すように、機体フレーム1の後端部に後方へ張り出し状に設けており、排藁処理部ケース44内に左右方向に軸線を向けたカッター支軸45を横架し、同カッター支軸45に複数の排藁カッター46を軸線方向に間隔を開けて突設している。47は排出ダクトである。カッター支軸45の右側端部には原動機部10に連動連結した伝動機構(図示せず)を着脱白在に連動連結している。
【0049】そして、排藁を排藁処理部7の排藁カッター46により細断する排藁処理を行なった後、細断した排藁を排出ダクト47を通して後方に排出している。
【0050】以上がコンバインAの全体構成であり、以下において、本発明の要部である姿勢制御機構について説明する。
【0051】まず、図1に示すように、コンバインAには、機体フレーム1に機体の傾斜状態を検知する水平センサSを配設しており、同水平センサSの検出結果に基づいて姿勢制御を行なっている。特に、水平センサSでは、コンバインAの機体における左右の傾斜状態を検出している。以下において、左側機体が右側機体よりも相対的に下がった状態を左傾斜と呼び、逆に、右側機体が左側機体よりも相対的に下がった状態を右傾斜と呼ぶことにする。
【0052】なお、本発明では基本的に、姿勢制御を行なう場合に、機体左右のどちらか一方を姿勢制御の基準とし、基準側とは反対側に設けた機体昇降手段の昇降制御を行なうことにより姿勢制御を行なっている。
【0053】特に、機体に配設した左右一対の走行手段である左クローラ式走行装置2a及び右クローラ式走行装置2bのうち、刈取部4による刈取作業時に常に畝b上を走行する走行手段側の機体昇降手段を基準機体昇降手段としている。
【0054】本実施例においては、従来技術の項で説明したように、刈取作業時に左クローラ式走行装置2aがほぼ常に畝bの直上を走行するようにしているため、左クローラ式走行装置2aに連結した左昇降用油圧シリンダ21aを基準機体昇降手段としており、一方、畝bから外れて畝下を走行しやすい右クローラ式走行装置2bに連結した右昇降用油圧シリンダ21bを非基準機体昇降手段としている。
【0055】基準機体昇降手段である左昇降用油圧シリンダ21a、及び、非基準機体昇降手段である右昇降用油圧シリンダ21bは、図3に示すようにそれぞれ油圧回路と接続して駆動させている。また、上記した刈取部昇降手段である刈取部昇降用油圧シリンダ34、さらには、掻き込みリール昇降用油圧シリンダ28も油圧回路に接続して駆動させている。
【0056】特に、基準機体昇降手段である左昇降用油圧シリンダ21aの制御を行なう基準機体昇降制御電磁弁21a'は、刈取部昇降手段である刈取部昇降用油圧シリンダ34の制御を行なう刈取部昇降制御電磁弁34'を接続した刈取部昇降用油圧回路51の下流側に直列に接続している。
【0057】すなわち、刈取り時における機体の水平制御の際に、基本的に基準機体昇降手段である左昇降用油圧シリンダ21aは駆動させないので、刈取部昇降用油圧シリンダ34のみを駆動させることができ、刈取部4を頻繁に昇降させて刈り高さ調整を行なうことができるので、刈取部4先端が土中に突き込まれることを未然に防止することができる。
【0058】また、刈取部昇降用油圧回路51において、刈取部昇降制御電磁弁34'の下流側に基準機体昇降制御電磁弁21a'を設けることにより、刈取部昇降用油圧回路51の配線を簡潔とすることができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0059】なお、本実施例においては、刈取部4の降下制御は、バイパス弁34"を用いて行なっており、刈取部4の昇降制御の円滑な制御を可能としている。
【0060】一方、非基準機体昇降手段である右昇降用油圧シリンダ21bの制御を行なう非基準機体昇降制御電磁弁21b'は、刈取部昇降用油圧回路51とは並列に配設した水平制御用油圧回路52に接続している。
【0061】すなわち、刈取り時に機体が非略水平状態になった際に、昇降制御を行なって機体を略水平状態に復帰させる右昇降用油圧シリンダ21bは、左昇降用油圧シリンダ21a及び刈取部昇降用油圧シリンダ34とは独立して駆動させることができるので、右クローラ式走行装置2bが畝から外れて畝下を走行する右傾斜状態となった際に、速やかに右昇降用油圧シリンダ21bを駆動させて機体を略水平状態に復帰させることができる。
【0062】また、本実施例においては、水平制御用油圧回路52には、掻き込みリール昇降用油圧シリンダ28の制御を行なうリール昇降制御電磁弁28'を、非基準機体昇降制御電磁弁21b'と直列に接続している。これにより、左昇降用油圧シリンダ21a右昇降用油圧シリンダ21b、刈取部昇降用油圧シリンダ34、掻き込みリール昇降用油圧シリンダ28を駆動させるための油圧回路の構成をさらに簡潔とすることができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0063】リール昇降制御電磁弁28'は、非基準機体昇降制御電磁弁21b'の上流側と下流側のどちらに配設してもよいが、本実施例では、非基準機体昇降制御電磁弁21b'の上流側に配設し、刈取部昇降用油圧回路51と水平制御用油圧回路52とを略対称としている。従って、メンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0064】また、刈取部昇降用油圧回路51及び水平制御用油圧回路52には、刈取り時以外において駆動させる必要のある装置の制御電磁弁を適宜介設してもよく、例えば、穀粒貯留部9に貯留した穀粒を排出するために使用する排出オーガの駆動制御や排出コンベアの駆動制御を行なうことができるようにしてもよい。
【0065】次に、図4を用いて、上記の油圧回路を制御している制御機構を詳説する。
【0066】本実施例のコンバインAには機体姿勢制御部60を設けており、上記の水平センサSを同機体姿勢制御部60に接続している。そして、機体姿勢制御部60は、水平センサSからの入力に基づいて基準機体昇降制御電磁弁21a'及び非基準機体昇降制御電磁弁21b'の制御を行ない、その結果、基準機体昇降制御電磁弁21a'により制御される左昇降用油圧シリンダ21a、及び、非基準機体昇降制御電磁弁21b'により制御される右昇降用油圧シリンダ21bの駆動制御を行なっている。
【0067】さらに、左昇降用油圧シリンダ21a及び右昇降用油圧シリンダ21bには、左右昇降用油圧シリンダ21a,21bの作動上限に達したことを検出する上限検知センサ21a-1,21b-1、及び、左右昇降用油圧シリンダ21a,21bの作動下限に達したことを検出する下限検知センサ21a-2,21b-2を装着しており、左右昇降用油圧シリンダ21a,21bが作動上限または作動下限に達した際に、上限検知センサ21a-1,21b-1及び下限検知センサ21a-2,21b-2は機体姿勢制御部60に対して信号の出力を行なっている。
【0068】また、機体姿勢制御部60には、姿勢制御切替スイッチ61を接続しており、同姿勢制御切替スイッチ61がONの場合に機体姿勢制御部60による姿勢制御を実行している。
【0069】また、コンバインAには刈取部4の昇降制御を行なう刈取部昇降制御部70を設けており、同刈取部昇降制御部70には、左右刈り高さセンサ用ソリ27a,27bを具備する左右刈り高さセンサ27a',27b'をそれぞれ接続している。
【0070】刈取部昇降制御部70は、左右刈り高さセンサ27a',27b'からの入力に基づいて刈取部昇降制御電磁弁34'及びバイパス弁34"を制御して刈取部昇降用油圧シリンダ34を駆動させ、刈取部4の昇降制御に基づく刈り高さ制御を行なっている。すなわち、刈取部4を上昇させる場合には、バイパス弁34"を閉じて刈取部昇降制御電磁弁34 'により刈取部昇降用油圧シリンダ34に注油を行なうことにより上昇させている。また、刈取部4を降下させる場合には、バイパス弁34"を開くことにより刈取部昇降用油圧シリンダ34から脱油することにより降下させている。
【0071】なお、刈り高さ制御は、左右刈り高さセンサ27a',27b'において得られた刈り高さ情報のうち、低い方を基準として行ない、刈取部4が土中に突き込まれることを防止している。または、刈り高さ制御は、上記の機体姿勢制御部60において後述するように通常は昇降制御を行なわず、非常時のみに昇降制御を行なう基準機体昇降制御電磁弁21a'と接続した油圧シリンダと同一側の刈り高さセンサを制御基準として行なってもよい。この場合、機体の姿勢制御・車高制御と刈り高さ制御である刈取部4の昇降制御とを、互いに干渉させることなく行なうことができるので、安定した制御を行なうことができる。
【0072】また、刈取部昇降制御部70には水平制御切替スイッチ71を接続している。すなわち、本実施例のコンバインAは、水平センサSの出力に基づいて機体の姿勢制御を行なう絶対水平制御と、左右刈り高さセンサ27a',27b'の出力に基づいて機体の姿勢制御を行なう対地水平制御との二種類の姿勢制御手段を具備しており、水平制御切替スイッチ71により絶対水平制御と対地水平制御のいずれか一方を選択可能としている。
【0073】水平制御切替スイッチ71によって対地水平制御を選択した場合には、刈取部昇降制御部70から機体姿勢制御部60へ対地水平制御信号を入力し、機体姿勢制御部60への水平センサSからの入力をカットしている。
【0074】そして、左右刈り高さセンサ27a',27b'からの出力に基づいて、刈取部昇降制御部70は左傾斜状態信号、あるいは、右傾斜状態信号を機体姿勢制御部60に入力し、機体姿勢制御部60は入力された左傾斜状態信号、あるいは、右傾斜状態信号に基づいて基準機体昇降制御電磁弁21a'または非基準機体昇降制御電磁弁21b'の制御を行ない、姿勢制御を行なっている。
【0075】対地水平制御を選択した場合には、圃場面B自体が傾斜している際に、圃場面Bの傾斜に合わせて刈取部4を傾斜させて刈取りを行なうことができ、刈り高さを揃えることができる。
【0076】一方、絶対水平制御を選択した場合には、機体を常に略水平とすることができるので、運転席で操作を行なう運転者が安心して操作を行なうことができるとともに、運転者の疲労を軽減することができる。
【0077】以下において、図5に示したフローチャートに基づいて、水平制御切替スイッチ71において対地水平制御を選択している場合の姿勢制御システムによる処理フローについて説明する。
【0078】まず、機体姿勢制御部60は、姿勢制御切替スイッチ61がONとなっていることを検出すると(ステップS1)、定期的に刈取部昇降制御部70からの出力信号を機体姿勢制御部60に入力して、同出力信号が右傾斜状態信号であるかどうかを判定する(ステップS2)。すなわち、右傾斜であるかどうかを判定している。
【0079】出力信号が右傾斜状態信号であった場合には、機体姿勢制御部60は、右昇降用油圧シリンダ21bの上限検知センサ21b-1からの出力があるかどうかを確認し、上限検知センサ21b-1からの出カがあった場合には、右昇降用油圧シリンダ21bが右車高上限限界に達していると判定し(ステップS3)、左クローラ式走行装置2aを上昇させることにより左側機体を降下させるように左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させている(ステップS6-1)。
【0080】この場合、左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させることにより、刈取部昇降用油圧シリンダ34を駆動させることができず、刈取部4の上昇操作を行なうことができないので、刈取部4先端の土中への突き込みを防止するために刈取部4の上昇を優先させる場合には、まず、刈取部昇降用油圧シリンダ34を駆動さて刈取部4を一旦上昇させ、その後、左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させて刈取部4が畝bに対して略水平となるように姿勢制御を行なっている。そして、必要に応じて刈取部4を降下させている。刈取部4を降下させる場合には、上記したようにバイパス弁34"を用いて制御を行なうので、機体の姿勢制御と、刈取部4の降下制御を同時に行なうことができる。
【0081】なお、上記のように機体が右傾斜となった場合、機体と同様に右傾斜状態となった刈取部4の最下位置が、左昇降用油圧シリンダ21aの駆動にともなってさらに低下することはないので、刈取部4先端が土中に突き込まれるおそれはない。従って、刈取部4の上昇操作を行なうことなく、左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させ、機体の姿勢制御を行なってもよい。
【0082】一方、上限検知センサ21b-1からの出力がない場合には、右車高上限限界に達していないと判定し(ステップS3)、右クローラ式走行装置2bを降下させることにより右側機体を上昇させるように右昇降用油圧シリンダ21bを駆動させている(ステップS6-2)。
【0083】この場合、右クローラ式走行装置2bを昇降させる右昇降用油圧シリンダ21bとは独立して刈取部4を昇降させる刈取部昇降用油圧シリンダ34を駆動させることができるので、機体の姿勢制御と刈取部4の昇降制御を同時に行なうことができる。
【0084】上記のように、姿勢制御を行なった後、機体姿勢制御部60は、姿勢制御切替スイッチ61がONのままとなっているかを確認し、ONのままであれば、刈取部昇降制御部70からの出力信号を機体姿勢制御部60に入力している(ステップS7)。姿勢制御切替スイッチ61がOFFとなっていた場合には、姿勢制御を終了している。
【0085】刈取部昇降制御部70からの出力信号が右傾斜状態信号ではなかった場合には(ステップS2)、機体姿勢制御部60は、刈取部昇降制御部70からの出力信号が右傾斜状態信号であるかどうかを判定する(ステップS4)。すなわち、左傾斜であるかどうかを判定している。
【0086】出力信号が右傾斜状態信号であった場合には、機体姿勢制御部60は、姿勢制御切替スイッチ61がONのままとなっているかを確認し、ONのままであれば、再び機体姿勢制御部60には、刈取部昇降制御部70からの出力信号を入力している(ステップS7)。切替スイッチがOFFとなっていた場合には、機体姿勢制御部60は姿勢制御を終了している。
【0087】出力信号が右傾斜状態信号であった場合には、機体姿勢制御部60は、右昇降用油圧シリンダ21bの下限検知センサ21b-2からの出力があるかどうかを確認し、下限検知センサ21b-2からの出力があった場合には、右昇降用油圧シリンダ21bが右車高下限限界に達していると判定し(ステップS5)、左クローラ式走行装置2aを降下させて左側機体を上昇させるように左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させている(ステップS6-3)。
【0088】この場合、左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させることにより、刈取部昇降用油圧シリンダ34を駆動させることができず、刈取部4の上昇操作を行なうことができないので、刈取部4先端の土中への突き込みを防止するために刈取部4の上昇を優先させる場合には、まず、刈取部昇降用油圧シリンダ34を駆動さて刈取部4を一旦上昇させ、その後、左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させて刈取部4が畝bに対して略水平となるように姿勢制御を行なっている。そして、必要に応じて刈取部4を降下させている。刈取部4を降下させる場合には、上記したようにバイパス弁34"を用いて制御を行なうので、機体の姿勢制御と、刈取部4の降下制御を同時に行なうことができる。
【0089】なお、上記のように機体が左傾斜となった場合、左昇降用油圧シリンダ21aの駆動にともなって車高が上昇する方向に変動が生じるため、刈取部4先端が土中に突き込まれるおそれはない。従って、刈取部4の上昇操作を行なうことなく左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させ、機体の姿勢制御を行なってもよい。
【0090】一方、下限検知センサ21b-2からの出力がない場合には、右昇降用油圧シリンダ21bが右車高下限限界に達していないと判定し(ステップS5)、右クローラ式走行装置2bを上昇させて右側機体を降下させるように右昇降用油圧シリンダ21bを駆動させている(ステップS6-4)。
【0091】この場合、右クローラ式走行装置2bを昇降させる右昇降用油圧シリンダ21bとは独立して刈取部4を昇降させる刈取部昇降用油圧シリンダ34を駆動させることができるので、機体の姿勢制御と刈取部4の昇降制御を同時に行なうことができる。
【0092】上記のように、姿勢制御を行なった後、機体姿勢制御部60は、姿勢制御切替スイッチ61がONのままとなっているかを確認し、ONのままであれば、再び刈取部昇降制御部70からの出力信号を機体姿勢制御部60に入力している(ステップS7)。姿勢制御切替スイッチ61がOFFとなっていた場合には、姿勢制御を終了する。
【0093】上記の機体の姿勢制御と刈取部4の昇降制御との同時制御性をまとめると、次のようになる。まず、非基準機体昇降手段である右昇降用油圧シリンダ21bが右車高上限限界及び右車高下限限界に達していない場合には、水平制御用油圧回路52により右昇降用油圧シリンダ21bが駆動されるとともに、刈取部昇降用油圧回路51により刈取部4の昇降制御を行なうことができるので、刈取部4の昇降制御を右昇降用油圧シリンダ21bによる機体の姿勢制御と同時に行なうことができる。
【0094】一方、右昇降用油圧シリンダ21bが右車高上限限界及び右車高下限限界に達した場合には、基準機体昇降手段である左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させることにより姿勢制御を行なっており、この場合、左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させて行なう左側機体の昇降制御にともなう機体の水平制御と、刈取部4の昇降制御の同時制御は下表に示す関係となっている。そして、上記したように、同時制御ができない場合には、代替制御を行なって対応している。
【0095】
【表1】

【0096】なお、通常の使用形態においては、右昇降用油圧シリンダ21bが右車高上限限界及び右車高下限限界に達しないように運転者が車高を調整しながら操作を行なうため、基本的には右昇降用油圧シリンダ21bが右車高上限限界及び右車高下限限界に達することはなく、姿勢制御の際に左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させることはないので、機体の姿勢制御と刈取部4の昇降制御とを同時に行なうことができる。
【0097】従って、頻繁に刈取部4の昇降制御を行なうことができ、作物の刈り高さの変動を抑制することができるので、刈り取られた作物の穀稗長バラツキを抑制することができる。
【0098】そして、右昇降用油圧シリンダ21bが右車高上限限界及び右車高下限限界に達した場合の緊急手段として、左昇降用油圧シリンダ21aを駆動させて姿勢制御を行なうようにしており、その場合でも、上記したように、刈取部4先端が土中に突き込まれることはない。
【0099】上記の説明では、水平制御切替スイッチ71によって対地水平制御が選択されている場合についての説明を行なったが、水平制御切替スイッチ71によって絶対水平制御が選択された場合、上記の刈取部昇降制御部70から機体姿勢制御部60への信号入力の代わりに、水平センサSからの機体姿勢制御部60への入力に基づいて姿勢制御を行なう点が異なるだけであり、基本的な制御は同じである。
【0100】また、上記の実施例では、左昇降用油圧シリンダ21aを基準機体昇降手段とし、右昇降用油圧シリンダ21bを非基準機体昇降手段としているが、運転部8に基準切替スイッチ(図示せず)に設けて右昇降用油圧シリンダ21bを基準機体昇降手段とし、左昇降用油圧シリンダ21aを非基準機体昇降手段とする切替操作を可能としてもよい。
【0101】すなわち、基準切替スイッチの操作に基づいて、刈取部昇降用油圧回路51に右昇降用油圧シリンダ21bの制御を行なう制御電磁弁を直列に接続し、水平制御用油圧回路52に左昇降用油圧シリンダ21aの制御を行なう制御電磁弁を接続するように流路を切替可能としている。
【0102】右昇降用油圧シリンダ21bを基準機体昇降手段とし、左昇降用油圧シリンダ21aを非基準機体昇降手段とした場合には、上記した姿勢制御システムの左右が逆となるだけであり、機体の水平制御を行ないながら刈取部4の昇降制御を行なうことができる。
【0103】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、刈取部昇降手段に接続した刈取部昇降用油圧回路に、基準機体昇降手段を直列に接続することにより、刈取部昇降用油圧回路により基準機体昇降手段も駆動させることができるので、基準機体昇降手段を駆動させるための動力源を別に設ける必要がなく、効率よく基準機体昇降手段を駆動させることができる。また、全体的な油圧回路の構成を簡潔とすることができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0104】さらに、機体の姿勢制御の際に、姿勢制御の基準となっていることにより基本的には基準機体昇降手段は駆動させないので、刈取部昇降手段による刈取部の上昇操作を行なうことができ、機体の姿勢制御と刈取部の昇降制御とを同時に行なうことができる。
【0105】従って、大豆などのように地面にごく近い部分から着粒する作物の刈取りを行なうために刈取部をできるだけ地面に近づけて刈取りを行なっている場合であって、コンバインの一方のクローラ式走行装置が畝から外れて畝下を走行し始めた際には、刈取部を速やかに上昇させることができるので、刈取部の先端が土中に突き込むことを防止することをできる。
【0106】これにより、刈取部内に土が巻き込まれることを防止して、刈取部や刈取部以降の搬送装置などに不具合が生起されることを防止できる。また、刈り取られた作物に土が混入することも防止.して、商品価値を低下させることを防止できる。
【0107】請求項2記載の発明によれば、基準機体昇降手段を、機体に配設した左右一対の走行手段のうち、刈取部による刈取作業時に常に畝上を走行する走行手段側の機体昇降手段とすることにより、基準機体昇降手段側において機体が昇降制御を必要とする程度にまで降下すること、あるいは上昇することがないので、基準機体昇降手段を駆動させる必要がなく、刈取部昇降手段のみを駆動させて刈取部昇降手段による刈取部の昇降制御を行なうことができるので、作物の刈り高さの変動を抑制することができる。特に、刈取部の昇降制御は、機体の水平制御とは独立させて行なうことができるので頻繁に行なうことができ、刈り取られた作物の穀稈長バラツキを抑制することができる。
【0108】請求項3記載の発明によれば、非基準機体昇降手段に接続した水平制御用油圧回路を、刈取部駆動用油圧回路と並列状態に配設していることにより、非基準機体昇降手段を、基準機体昇降手段及び刈取部昇降手段とは独立させて駆動させることができるので、非基準機体昇降手段側のクローラ式走行装置が畝から外れて畝下を走行し始めた際に、速やかに非基準機体昇降手段を駆動させて機体を略水平状態に復帰させることができる。
【0109】従って、コンバインの運転者が安心して運転を行なうことができ、運転者の疲労軽減効果を高めることができる。また、非基準機体昇降手段の駆動と、刈取部昇降手段の駆動とを独立させて行なうことをできるので、非略水平状態となった刈取部を速やかに略水平状態に復帰させることができるとともに、所用の刈り高さ位置に刈取部を速やかに復帰させることができ、作物の刈り高さの変動を抑制して穀稈長のバラツキを抑制することができる。これにより、脱穀装置での揺動選別部における被選別物の偏在を少なくすることができ、選別性能を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成13年12月10日(2001.12.10)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開2003−169526(P2003−169526A)
【公開日】 平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願番号】 特願2001−376448(P2001−376448)