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【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】芝田 哲男
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】高見 幸徳
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】移植機において、植付爪の植付動作速度を高速化しても、苗が前傾することなく、適正な姿勢で植付けられるようにする。

【解決手段】苗載台7の下端部から苗を掻取って保持し、この保持苗mを圃場に植付ける植付爪12を備えた乗用田植機において、前記植付爪12が通る植付動作軌跡の前方位置に、側面視で植付動作軌跡に沿う板状の苗ガイド17を設ける。この苗ガイド17は、植付爪12の保持苗mが遠心力によって前方へ倒れようとしても、その倒れを規制して保持苗mを適正な姿勢に保つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗載台の下端部から苗を掻取って保持し、この保持苗を圃場に植付ける植付爪を備えた移植機において、前記植付爪が通る植付動作軌跡の前方位置に、植付爪の保持苗が前方に倒れることを規制する苗ガイドを設けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】 請求項1において、前記苗ガイドは、前記保持苗を面でガイドすべく板状に形成されると共に、その左右両縁部に、後方に突出する側壁を有し、さらに、左右の側壁間隔が突出先端側ほど広くなるように設定されることを特徴とする移植機。
【請求項3】 請求項1乃至2において、前記植付爪が通る植付動作軌跡の前方位置に、植付爪の保持苗を落下規制する線状の落下規制部材を設けると共に、該落下規制部材の前方位置に、前記苗ガイドを設けたことを特徴とする移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植付爪を備える乗用田植機等の移植機の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】苗載台の下端部から苗を掻取って保持し、この保持苗を圃場に植付ける植付爪を備えた移植機が知られている。近年、この種の移植機では、植付作業効率を向上させるために、走行機体の植付走行速度および植付爪の植付動作速度を高速化することが提唱されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記植付爪の植付動作軌跡は、通常、前方に膨出する円弧状であるため、植付爪の植付動作速度を速くすると、植付爪の保持苗に作用する遠心力が増大し、その結果、植付爪の保持苗が前方に倒れ、植付姿勢が前傾となる不都合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、苗載台の下端部から苗を掻取って保持し、この保持苗を圃場に植付ける植付爪を備えた移植機において、前記植付爪が通る植付動作軌跡の前方位置に、植付爪の保持苗が前方に倒れることを規制する苗ガイドを設けたことを特徴とする。つまり、植付爪が保持する苗が遠心力によって前方へ倒れようとしても、その倒れが苗ガイドによって規制される。その結果、植付爪の植付動作速度を高速化しても、苗を適正な姿勢で植付けることが可能になる。また、前記苗ガイドは、前記保持苗を面でガイドすべく板状に形成されると共に、その左右両縁部に、後方に突出する側壁を有し、さらに、左右の側壁間隔が突出先端側ほど広くなるように設定されることを特徴とする。この場合においては、苗ガイドの左右側壁によって保持苗のバラケを防止できる。しかも、左右側壁は、その間隔が突出先端側ほど広くなるように形成されるため、苗ガイド内の泥溜りも防止することができる。また、前記植付爪が通る植付動作軌跡の前方位置に、植付爪の保持苗を落下規制する線状の落下規制部材を設けると共に、該落下規制部材の前方位置に、前記苗ガイドを設けたことを特徴とする。この場合においては、保持苗の落下を防止しつつ、その前倒れを防止することにより、苗の植付精度をさらに向上させることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1は乗用田植機の走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介して植付部3が連結されている。植付部3は、昇降リンク機構2の後部にローリング自在に連結される植付部フレーム4と、該植付フレーム4から後方に突出する複数の植付伝動ケース5と、該植付伝動ケース5の上部に左右を向いて設けられるエプロン6と、該エプロン6に沿って横送り動作される苗載台7と、植付伝動ケース5の後端部に設けられる植付機構8と、植付伝動ケース5の下部に上下揺動自在に設けられるフロート9とを備える。
【0006】植付機構8は、植付駆動軸(図示せず)の駆動に応じて回転動作される回転ケース10と、該回転ケース10の両端部に回転自在に設けられる植付爪支持ケース11と、該植付爪支持ケース11に設けられる植付爪12と、該植付爪12に沿って設けられ、所定のタイミングで押し出し動作される押出具13とを備える。回転ケース10には、該回転ケース10に対する植付爪支持ケース11の相対姿勢を、回転ケース10の回転に応じて制御するギヤ列が内装されている。このギヤ列は、回転ケース10の回転動作時、植付爪12が前下方を向く姿勢を保ち、かつ、植付爪12の先端が所定の植付動作軌跡を通るように植付爪支持ケース11の姿勢制御を行う。
【0007】植付爪12は、左右に並ぶ一対の爪部12aを有し、該爪部12a間に形成される間隙12bは下方が開口している。植付爪12の植付動作軌跡は、上死点から下降するとき前方に膨らむ円弧を描き、下死点から上昇するとき略直線を描く側面視半月状となっている。つまり、この植付動作軌跡は、植付爪12が上死点から下降するとき、エプロン6に形成される掻取口6aを通り、下死点近傍で田面に突入するように設定されている。従って、植付爪12は、上死点から下降するとき、苗載台7に載置されるマット苗Mの下端部から所定量の苗を掻取る。ここで掻取った保持苗mは、その根部が植付爪12の下面(後面)に当り、葉部が間隙12bを通って上方に延びる姿勢で植付爪12に保持される。そして、植付爪12が下死点近傍まで下降すると、植付爪12の保持苗mが押出具13によって押し出され、圃場に植え付けられる。
【0008】エプロン6は、上下位置調節可能なブラケット14に設けられており、該ブラケット14の上下位置に応じて植付爪12による苗掻取量が調節される。また、エプロン6には、植付爪12が掻取った保持苗mが掻取口6aから下方に抜け出すとき、その左右両側をガイドするサポート15が設けられている。サポート15は、掻取口6aの左右両縁部から下方に延出する左右一対の側壁15aを備えて構成される。一方、ブラケット14には、植付爪12から保持苗mが落下することを規制する線状の落下規制部材16と、植付爪12の保持苗mが前方に倒れることを規制する板状の苗ガイド17とが設けられる。いずれもブラケット14から下方に延出するように設けられ、その下端は、フロート9の上面よりも下方まで延びている。
【0009】落下規制部材16は、植付爪12の植付動作軌跡に沿うように側面視円弧状に形成され、植付動作軌跡の前方に配置される。つまり、植付爪12が苗を掻取って掻取口6aから抜け出すと、その先端部が落下規制部材16に沿って下降する。このとき、落下規制部材16が植付爪12の間隙12bに入り込むことにより、該間隙12bに保持される保持苗mの落下が規制される。尚、落下規制部材16は、苗掻取量のバラツキ等に追従するために、前後方向に弾性変位自在であることが望ましい。
【0010】苗ガイド17も、植付爪12の植付動作軌跡に沿うように側面視円弧状に形成され、落下規制部材の前方に配置される。つまり、植付爪12が苗を掻取って掻取口6aから抜け出すと、その先端部が苗ガイド17に沿って下降する。このとき、植付爪12の間隙12bから上方に延びる葉部が苗ガイド17に沿って下降することにより、保持苗mの前方への倒れが規制される。しかも、保持苗mは、フロート9の上面下方位置まで苗ガイド17のガイド作用を受けるので、前傾することなく田面に達し、略直立姿勢で植え付けられることになる。
【0011】苗ガイド17の左右両縁部には、後方に向けて突出する側壁17aが形成されている。左右側壁17aの間隔Wは、前記サポート15の側壁間隔(掻取口6aの幅)よりも広く設定されており、サポート15から抜け出した保持苗mのバラケ(葉部の広がり)が左右の側壁17aによって規制される。また、左右の側壁17aは、その間隔Wが突出先端側ほど広くなるように外側に所定角度θだけ傾斜している。これにより、苗ガイド17内に泥が溜り難くなり、泥溜りによる不都合が解消される。尚、本実施形態では、苗ガイド17の左右両縁部に側壁17aを曲げ形成するにあたり、比較的大きなアールRを設定している。これにより、泥溜り防止効果をさらに高めることが可能になる。
【0012】叙述の如く構成されたものにおいて、苗載台7の下端部から苗を掻取って保持し、この保持苗mを圃場に植付ける植付爪12を備えた乗用田植機であって、前記植付爪12が通る植付動作軌跡の前方位置には、植付爪12の保持苗mが前方に倒れることを規制する苗ガイド17が設けられている。つまり、植付爪12の保持苗mが遠心力によって前方へ倒れようとしても、その倒れが苗ガイド17によって規制される。その結果、植付爪12の植付動作速度を高速化しても、苗を適正な姿勢で植付けることが可能になる。
【0013】また、前記苗ガイド17は、保持苗mを面でガイドすべく板状に形成されると共に、その左右両縁部に、後方に突出する側壁17aを有するため、この側壁17aによって保持苗mのバラケを防止することが可能になる。しかも、左右の側壁間隔Wが突出先端側ほど広くなるように設定されるので、苗ガイド17内の泥溜りも防止することができる。
【0014】また、前記植付爪12が通る植付動作軌跡の前方位置に、植付爪12の保持苗mを落下規制する線状の落下規制部材16を設けると共に、該落下規制部材16の前方位置に、前記苗ガイド17を設けたため、保持苗mの落下を防止しつつ、その前倒れを防止でき、その結果、苗の植付精度をさらに向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成14年5月13日(2002.5.13)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開2003−325012(P2003−325012A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−137132(P2002−137132)