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【発明の名称】 乗用型多条植移植機
【発明者】 【氏名】胡桃沢 隆
【住所又は居所】長野県松本市大字今井字松本道7160 片倉機器工業株式会社松本工場内

【氏名】堀 直弘
【住所又は居所】長野県松本市大字今井字松本道7160 片倉機器工業株式会社松本工場内

【氏名】福高 恭史
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】藤井 泰志
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】二人作業だけでなく一人作業をも好適に行うことができる乗用型多条植移植機を提供する。

【解決手段】走行機体に、圃場に苗を植え付ける移植部5L,5Rを左右に並設して備え、左右各移植部5L,5Rに対応して該移植部5L,5Rに苗を供給するオペレータ用の座席6L,6Rを左右に並設して備え、この左右の座席6L,6Rの少なくとも一方6Lを、左右移植部5L,5Rの中間位置に対応するように左右位置調整自在に備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体(2)に、圃場に苗を植え付ける移植部(5L,5R)を左右に並設して備え、該移植部(5L,5R)に苗を供給するオペレータ用の座席(6L,6R)を左右各移植部(5L,5R)に対応するように左右に並設して備え、この左右の座席(6L,6R)の少なくとも一方(6L)を、左右移植部(5L,5R)の中間位置に略対応するように左右位置調整自在に備えていることを特徴とする乗用型多条植移植機。
【請求項2】 前記座席(6L,6R)を、縦軸心回りの円弧動により左右及び前後位置調整自在に備えていることを特徴とする請求項1に記載の乗用型多条植移植機。
【請求項3】 左右一方の座席(6L)を左右移植部(5L,5R)の中間位置に略対応するように位置調整自在とし、左右他方の座席(6R)を左右方向の外側へ移動可能に備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗用型多条植移植機。
【請求項4】 左右の各移植部(5L,5R)は、オペレータから苗が供給される苗供給機構(12)と、この苗供給機構(12)に供給された苗を下方に移送する移送機構(11)とを有し、左右の移送機構(11)を、左右の苗供給機構(12)の対向内側寄りに配設し、左右一方の移送機構(11)の左右外側に、走行機体(2)を操向操作するための操作具(87L,87R)を配設していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乗用型多条植移植機。
【請求項5】 前記走行機体(2)の後部にハンドル(8)を備え、このハンドル(8)の近傍と前記座席(6L,6R)から操作可能な位置とに、走行機体(2)を操向操作するための第1,第2操作具(93,87L,87R)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の乗用型多条植移植機。
【請求項6】 前記走行機体(2)の後部にハンドル(8)を備え、前記走行機体(2)への走行系動力及び前記移植部(5L,5R)への移植系動力を断接する主クラッチ(77)を備え、前記座席(6L,6R)から操作可能な位置と前記ハンドル(8)の近傍とに、前記主クラッチ(77)を操作する第3,第4操作具(88,90)を互いに連動して備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の乗用型多条植移植機。
【請求項7】 前記走行機体(2)の後部にハンドル(8)を備え、前記走行機体(2)への走行系動力及び移植部(5L,5R)への移植系動力を断接する主クラッチ(77)と前記走行機体(2)への走行系動力を高速入、切断、低速入に切換操作する走行クラッチ(78,79)を備え、前記座席(6R,6L)から操作可能な位置に前記主クラッチ(77)を操作する第3の操作具(88)を備え、前記ハンドル(8)の近傍に前記走行クラッチ(78,79)を操作する第4の操作具(90)を前記第3の操作具(88)に連動して備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の乗用型多条植移植機。
【請求項8】 前記第3操作具(88)を断接操作したとき第4操作具(90)が走行クラッチ(78,79)を切断と低速入との間で切換操作するように、第3,第4操作具(88,90)を連動していることを特徴とする請求項7記載の乗用型多条植移植機。
【請求項9】 前記座席(6L,6R)と移植部(5L,5R)との間にフロア部(36)を備え、該フロア部(36)に移植部(5L,5R)による移植状態を視認可能な覗き窓(37)を形成していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の乗用型多条植移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用型多条植移植機に関するものであり、特に移植部に対してオペレータが苗を供給する半自動タイプのものに関する。
【0002】
【従来の技術】畝に苗を植え付ける2つの移植部を左右に並設し、この移植部へ苗を供給するオペレータ用の2つの座席を左右に備えた乗用型多条植移植機が、実開昭54−25436号公報等により公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の移植機において、座席は左右各移植部の後側に配置されており、各座席に着座したオペレータがそれぞれに対応する各移植部へ苗を供給することによって多条植を実現するものとなっていた。しかしながら、最近では作業人員の減少や作業効率化等に伴って一人作業による多条植の要請が高まってきているところ、上記従来の移植機ではかかる要請に応じることはできなかった。
【0004】すなわち、上記移植機は、左右一方の座席から左右他方の移植部までの距離が離れているため、この一方の座席から他方の移植部に対して苗を供給することは困難であり、かかる苗供給を無理に行うことは作業者に負担を強いることになるし、作業に手間取って欠株の原因にもなるため、実質的に一人作業を行うことは不可能である。本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、二人作業だけでなく一人作業をも好適に行いうる乗用型多条植移植機を提供することを目的とする。
【0005】また、上記従来の移植機は、トラクタ等の走行機体に牽引されるものであるため、苗供給のオペレータ以外に牽引車両を操縦する人員が必要であり、苗供給のオペレータによる走行機体の運転は不可能であった。本発明は、一人作業時等における走行機体の運転をも好適に行いうる乗用型多条植移植機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じている。すなわち、本発明にかかる乗用型多条植移植機は、走行機体に、圃場に苗を植え付ける移植部を左右に並設して備え、左右各移植部に対応して該移植部に苗を供給するオペレータ用の座席を左右に並設して備え、この左右の座席の少なくとも一方を、左右移植部の中間位置に略対応するように左右位置調整自在に備えていることを特徴するものである。
【0007】このように、少なくとも一方の座席を左右移植部の略中央位置に位置調整することにより、かかる座席に着座したオペレータによって左右両方の移植部に対する苗供給が可能となる。この場合、左右座席の一方のみを左右位置調整自在に備えてもよいし、双方を左右位置調整自在に備えてもよい。前記座席は、縦軸心回りの円弧動により左右及び前後位置調整自在に備えていることが好ましい。
【0008】これによって左右の位置調整だけでなく前後の位置調整をも簡単な構成で行うことができるようになり、特に前後の位置調整により移植部との間隔をオペレータの脚の長さ等に応じて適切に設定でき、楽な姿勢で作業を行えるようになる。左右一方の座席を左右移植部の中間位置に略対応するように位置調整自在としている場合、左右他方の座席を左右方向の外側へ移動可能に備えていることが好ましい。このようにすると、一方の座席を左右移植部の中間位置に対応するように位置調整したときに他方の座席を左右外側へ移動して退避することができ、一方の座席に着座したオペレータの周囲を広くして作業環境を良好にすることが可能となる。また、左右外側へ移動した他方の座席は、補助作業者用として利用することも可能となる。
【0009】左右の各移植部は、オペレータから苗が供給される苗供給機構と、この苗供給機構に供給された苗を下方に移送する移送機構とを有した構成とすることができ、この場合、左右の移送機構を、左右の苗供給機構の対向内側寄りに配設し、左右一方の移送機構の左右外側に、走行機体を操向操作するための操作具を配設することが好ましい。このように、左右の移送機構を左右苗供給機構の対向内側よりに配設することによって、その左右外側に広い空間を形成することが可能となる。そして、この空間に操作具を配設することによって一人作業を行う場合でも操作具の操作性が向上され、走行機体の運転が好適に行える。
【0010】上記構成において、前記走行機体の後部にハンドルを備え、このハンドルの近傍と前記座席から操作可能な位置とに、走行機体を操向操作するための第1,第2操作具を備えていることが推奨される。この構成によれば、オペレータが歩行しながらハンドルを介して走行機体を走行させるとき及び座席上でオペレータが走行機体を走行させるときの双方で、第1又は第2操作具を介しての走行機体の操向操作が可能となる。この際、第2操作具は、左右移植部の中間位置に対応した左右一方の座席及び左右他方の座席との双方から操作可能に配設するのが好適であり、このようにすれば一人作業と二人作業のいずれの場合にも座席から第2操作具を良好に操作できるようになる。
【0011】前記走行機体の後部にハンドルを備え、前記走行機体への走行系動力及び前記移植部への移植系動力を断接する主クラッチを備え、前記座席から操作可能な位置と前記ハンドルの近傍とに、前記主クラッチを操作する第3,第4操作具を互いに連動して備えていることが推奨される。このような構成によって、座席上でオペレータが走行機体を走行させるとき及びオペレータが歩行しながらハンドルを介して走行機体を走行させるときの双方で、第3又は第4操作具を介しての主クラッチの断接、すなわち、走行機体及び移植部の駆動、停止が可能となる。
【0012】前記走行機体の後部にハンドルを備え、前記走行機体への走行系動力及び移植部への移植系動力を断接する主クラッチと前記走行機体への走行系動力を高速入、切断、低速入に切換操作する走行クラッチを備え、前記座席から操作可能な位置に前記主クラッチを操作する第3の操作具を備え、前記ハンドルの近傍に前記走行クラッチを操作する第4の操作具を前記第3の操作具に連動して備えていることが好ましい。これによれば、座席上でオペレータが走行機体を走行させるときは、第3の操作具を介して走行輪及び移植部の動力断接を操作することができ、オペレータが歩行しながらハンドルを介して走行機体を走行させるときは、第4の操作具を介して走行クラッチを切換操作し高低速に変速走行することができ、この際、第3、第4操作具が連動していることによって、いずれの操作具を操作した場合にも、主クラッチ及び走行クラッチの双方を断接することができる。
【0013】特に、前記第3操作具を断接操作したときに第4操作具が走行クラッチを切断と低速入との間で切換操作するように、第3,第4操作具を連動していることが好ましく、これによって、オペレータが座席上で第3の操作具を介して主クラッチを接続するときに、走行クラッチは必ず低速入に接続されるようになり、止まった状態から急に高速走行するようなことが防止される。前記座席と移植部との間にフロア部を備え、該フロア部に移植部による移植状態を視認可能な覗き窓を形成していることが好ましい。これにより、座席上から覗き窓を介して移植状態が確認でき、不具合(苗倒れ等)があったときに即座に対応できるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2において、1は、畝に沿って走行しながら玉葱等の苗を畝に植え付ける移植機である。移植機1は、走行機体2と、この走行機体2を走行可能に支持する左右一対の前後輪3,4と、畝に苗を植え付ける移植装置5と、オペレータ(移植作業者)が座るための座席6L,6Rとを備えた乗用型とされている。
【0015】走行機体2は、パイプ材、みぞ形鋼、アングル等の枠材を組み合わせて構成されており、この走行機体2の前部に移植装置5が搭載され、走行機体2の後部にエンジンE及びミッションケースMが搭載され、移植装置5とエンジンEとの間の走行機体2上に座席6L,6Rが設けられ、走行機体2の後端側には、後方に延出するハンドル8が設けられている。左右の前後輪3,4は、昇降機構9(図6及び図7参照)を介して走行機体2に対して相対的に昇降自在に取り付けられており、左右の前後輪3,4を連動させて走行機体2に対して4輪同時に昇降させることにより、走行機体2が接地面に対して昇降可能(高さ調整可能)とされている。
【0016】移植装置5は、図3及び図4にも示すように、左右の移植部5L,5Rを並設して備えており、各移植部5L,5Rは、苗を上下方向(上から下)に移送するとともに移送下端で畝に植え付ける植付機構(移送機構)11と、この植付機構11に苗を供給する苗供給機構12と、覆土輪13とを有している。本実施形態では、左右の移植部5L,5Rは走行機体2の左右方向中央から左右一方側(左側)に片寄って配置されており、畝を往復することで4条植えができるように構成されている。
【0017】また、走行機体2の上部側で各苗供給機構12の左右方向外側方には、植え付ける苗を収容した苗箱14を載置しておく苗載せ台15が設けられている。図3及び図4に示すように、植付機構11は、植付体16と、この植付体16を昇降自在に支持する平行リンク17と、この平行リンク17を動作させる動作機構18等を備えている。植付体16は、上部に上下開口状の筒体19を備えると共に、下部に前後に開閉自在な植付カップ20を備えていて、植付カップ20を閉じた状態で上方から苗が供給されると、苗は筒体19を通過して植付カップ20内に保持され、植付カップ20が開くと、苗が下方に放出されるように構成されている。
【0018】平行リンク17は、上下一対のリンク17A,17Bから構成され、各リンク17A,17Bは前端側が、走行機体2に固定の支持体22に枢軸を介して左右方向の軸心回りに回動自在に支持され、この平行リンク17の他端側に植付体16が取り付けられていて、平行リンク17が枢軸回りに上下に揺動することにより、植付体16が昇降するようになっている。平行リンク17を動作させる動作機構18は、クランク機構によって構成され、走行機体2に左右方向の軸心回りに回転自在に支持されたクランク軸23と、このクランク軸23から径方向外方に延びるクランクアーム24と、このクランクアーム24の突出端部側に設けられたクランクピン25とを備えている。
【0019】クランクピン25には筒体26が回動自在に外嵌され、この筒体26には、図示省略の連動アームの上端側が固定されており、この連動アームの下端側は、平行リンク17の上リンク17Aに枢着されていて、クランク軸23を回転駆動させることにより、平行リンク17が上下に揺動して植付体16が昇降するように構成されている。なお、本実施形態では、クランク軸23を1回転させると、植付体16は上下に1往復するようになっている。
【0020】前記植付体16は、その移動軌跡の上端の苗受取り位置で苗供給機構12から苗を受け取り、この苗受取り位置では植付カップ20は閉じた状態であって、植付カップ20内に苗が保持される。その後、植付体16は下降して植付カップ20の下部が畝に突入し、植付カップ20の下部が畝に突入すると、植付カップ20は前後に開いて、畝に植え穴を形成すると共に、該植え穴に苗が落下放出されて畝に苗が植え付けられるようになっている。
【0021】植付体16は、その後、植付カップ20が開いた状態のまま、上昇して畝から脱出し、苗受取り位置に至るまでの間に植付カップ20が閉じるように構成され、走行しながら前記動作を繰り返すことにより、畝に順次苗が植え付けられるようになっている。また、植付機構11には、植付カップ20の後側のカップ構成体の外面の土落としをするスクレーパ27が設けられている。覆土輪13は、左右各植付体16の後方側に、それぞれ左右一対配置され、畝上面を転動して植え穴に放出された苗の根元部分を左右両側から押圧することで、該苗の根元部分を覆土・鎮圧する。
【0022】苗供給機構12は、ロータリポット方式が採用され、周方向に配設された複数個のポット29(苗受持部)を設けた回転テーブル30を備えている。回転テーブル30は、走行機体2に固定された上下方向の縦軸31廻りに回転駆動可能に設けられ、ポット29は、回転テーブル30の回転軸心を中心とする同一円周上に適宜間隔をおいて配置されており、座席6L,6R上の移植作業者によって各ポット29に苗が1本ずつ上方から挿入(投入)される。本実施形態では、各ポット29に上下開口状の筒体からなるガイド筒32が設けられている。
【0023】各ポット29は、上下開口状に形成されていて回転テーブル30に上下方向貫通状に設けられた筒体33と、この筒体33の底部(下端開口)を開閉可能に塞ぐ底蓋34とを備えてなり、底蓋34は筒体33に横軸廻りに回動自在に取り付けられることで開閉自在とされていると共に、バネによって下方、すなわち開き方向に付勢されている。回転テーブル30の下方には、円板状の固定板(図示省略)が走行機体2に取付固定されており、ポット29の底蓋34は、筒体33の底部を閉じた状態で、この固定板に接当することで、その開きが規制されるように構成されている。
【0024】また、この固定板には、苗受取り位置にある植付体16の上方に対応する位置に切欠き部が形成され、回転テーブル30が回転する途中において、ポット29が、この切欠き部に対応する位置に位置すると、底蓋34が開いて、ポット29内部の苗が、下方に落下放出されて、苗受取り位置にある植付体16に落下供給されるようになっている。なお、ポット29が切欠き部を通過すると底蓋34は固定板に相対的に押圧されて再び筒体33の下端開口を閉じる。
【0025】左右の各苗供給機構12は、左右方向内方側(左右方向対向内側)において、苗を植付体16に落下供給するように構成されていて、左右の植付機構11が、左右苗供給機構12間の左右方向中央側に寄るように左右に並設配置されており、左右の植付機構11の左右方向外方側が比較的大きく空くような配置構成とされている。そして、左右一方(右側)の植付機構11の左右外側には、操向クラッチペダル(第2操作具)87L,87Rが並べて配設され、左右植付機構11が左右中央寄りに配設されることによって、上記操向クラッチペダル87L,87Rを可及的に左右中央側に近づけることができるようになっている。
【0026】左右各移植部5L,5Rの後側には、それぞれに対応して座席6L,6Rが並設して設けられており、各移植部5L,5R毎に移植作業者が搭乗可能とされている。また、座席6L,6Rは、移植装置5と前後に間隔をおいて設けられ、走行機体2における座席6L,6Rと移植装置5との間の下部側には、フロア板(フロア部)36が設けられ、このフロア板36には、苗の植付状態を監視できるように、覗き窓37が設けられている。
【0027】この覗き窓37は、図2の平面視において、左右各植付機構11の真後ろに対応して2つ形成されており、本実施形態では、網目状の覗き窓37としているが、開口を透明板等で塞ぐようにして構成されたものであってもよく、要するに、フロア板36の上方側から植付部分が覗けるようになっていればよい。ここで、苗植付状態の監視は、座席6L,6Rの後方(移植機1の後方)からでも行うことが可能であるが、この場合、ある程度植付作業が進んでからでないと植付状態を見ることはできず、植付状態が悪かったとしてもその対応が遅れてしまうこととなる。この点、フロア板36に覗き窓37が設けられていると植付初期(植付直後)に植付状態を確認できるため、植付状態が悪い場合であっても直ちに対応できるという利点がある。
【0028】図4及び図5に示すように、左右の座席6L,6Rは、走行機体2に設けられた支持脚40に支持されている。支持脚40は、上下方向の支柱部41と、この支柱部41の上端から水平方向後方側に延びるアーム部42とを備えてL字形に形成され、支柱部41の下端側が走行機体2側に設けられた支持筒43に上下方向の軸心回りに回動自在に嵌合されて支持されている。また、アーム部42の端部には、上下方向の軸心を有する取付筒44が設けられ、この取付筒44に、座席6L,6Rの下面中心側に設けられた下方突出状の支軸45が上下方向の軸心回りに回動自在に嵌合されて支持されている。
【0029】したがって、左右の各座席6L,6Rは、支持脚40の支柱部41の軸心回りに左右揺動(円弧動)自在とされていると共に、取付筒44(支軸45)の軸心回りに向きが変更自在とされている。座席6L,6Rの下方には、該座席6L,6R下の機器及び機構を覆うカバー部材46が設けられ、前記支持脚40は、このカバー部材46内に収納され、取付筒44は、カバー部材46の上面に形成した円弧状のガイド溝47(図4参照)を通して上方に突出されていて、左右の各座席6L,6Rは、ガイド溝47の範囲で左右に移動可能(位置調整可能)とされている。
【0030】本実施形態では、左右一方の座席がこれに対応する苗供給機構12の後方位置から左右の苗供給機構12の中間位置の後方に移動可能となるように構成されていて、一人作業(一人で左右の苗供給機構12に苗を供給する作業)が行いやすいようになっている。例えば、本実施の形態では、図4に仮想線で示すように、左側の座席6Lが、左側の苗供給機構12の後方位置から左右の苗供給機構12の間の後方位置に移動可能とされており、かかる座席6L上から移植作業者が左右の苗供給機構12に苗を容易に供給でき、また、この座席6Lから操向クラッチペダル87L,87Rをも操作できるようになっている。
【0031】この操向クラッチペダル87L,87Rは、前述したように植付機構11が左右苗供給機構12の対向内側寄りに配設されていることに伴って広い空間に配置することができ、また、左右中央側に可及的に近づけることができるようになっているため、上記座席6Lからの操作も容易に行えるようになっている。右側の座席6Rは、右側の苗供給機構12の後方位置であってやや外側(右側)に偏った配置とされており、この位置からさらに、左側の座席6Lから離れる方向(左右外側)へ移動可能とされている(図4に2点鎖線で示す)。
【0032】このように右側の座席6Rを左右外側に移動することによって、左右苗供給機構12の間に対応するように移動した左側の座席6Lの周囲が広くなって作業環境が向上し、また、右側の座席6Rを補助者用として利用することも可能となる。この場合、補助者は、右側の苗箱14から苗を取り出して左側の座席6L上の移植作業者に受け渡す、といった補助的な作業を行うに最適となる。右側の座席6Rは、右側の苗供給機構12の後方であってやや右側に偏心した位置に配置され、この位置よりも左側(左右内側)に移動しないようにガイド溝47の途中で図示しないストッパ等によって移動が規制されている。このため、左側の座席6Rを右側へ移動した場合であっても右側の座席6Rに干渉しないようになっている。
【0033】ただし、この右側の座席6Rも右側の苗供給機構12の真後ろに配設されるように、ガイド溝47の左端まで移動できるように構成してもよい。左右の座席6L,6Rは、左右に移動する際に円弧状に動くようになっているので、座席6L,6Rの前後位置も変わるようになっており、これによって座席6L,6Rの前後位置調整も行えるようになっている。したがって、移植作業者の脚の長さ等の体型に合わせて、移植作業者(座席6L,6R)と苗供給機構12との間を設定することができる。
【0034】ここで、座席6L,6Rは、左右又は前後に個別にスライド(直線移動)することによって位置調整自在に構成することも可能であるが、この場合、調整機構が複雑となってコスト増等の原因となってしまう恐れがある。この点において、上記のように座席6L,6Rを円弧動する構成とすれば、簡素な構造によって左右だけでなく前後にも位置調整可能となる。左右の座席6L,6Rは、双方を各苗供給機構12の後方位置から左右の苗供給機構12の間の後方位置に移動可能となるように構成してもよく、一方の座席を左右の苗供給機構12の間の後方位置に移動可能とし、他方の座席を固定(左右又は前後位置調整不能)としてもよい。
【0035】図1、図2、図6及び図7に示すように、ミッションケースMは座席6L,6R下のカバー部材46内に配置されている。ミッションケースMの左右両側には、座席6L,6Rの下方に左右方向に配置されたサポートアーム51が設けられ、この左右サポートアーム51は、ミッションケースMと、走行機体2側に固定の軸受52とに、左右方向の軸心回りに回動自在に支持され、左右各サポートアーム51の左右方向外端側に伝動ケース(車輪支持体)50の上部が取付固定されており、左右各伝動ケース50の下部に、後輪4が左右方向の軸心回りに回転可能に取り付けられている。
【0036】この後輪4は、エンジンEからの動力によって回転駆動される駆動輪とされている。また、走行機体2の前部側には、左右方向に配置された前輪支軸53が、走行機体2に固定された軸受54等によって、左右方向の軸心廻りに回動可能に支持されており、この前輪支軸53の左右両端部に前輪支持アーム(車輪支持体)55の上部が取付固定され、この前輪支持アーム55の下部に前輪3が左右方向の軸心廻りに回転自在に取り付けられている。
【0037】そして、油圧シリンダ等から構成される昇降シリンダ56によって、伝動ケース50及び前輪支持アーム55をサポートアーム51、前輪支軸53の軸心回りに回動させることにより、走行機体2が接地面に対して昇降するように構成されている。エンジンEの側方には、エンジンEによって駆動されて昇降シリンダ56に圧油を供給する油圧ポンプPが配置され、油圧ポンプPの側方に、昇降シリンダ56が前後方向に配置されている。
【0038】なお、油圧ポンプPは、エンジンEの出力軸からベルト巻掛け伝動機構によって動力が伝達されて駆動されるようになっており、走行を停止した状態でも駆動されるようになっている。昇降シリンダ56の前側で左右サポートアーム51の後方側には、サポートアーム51と平行に回動軸57が配置され、この回動軸57は走行機体2に左右方向の軸心廻りに回動自在に支持されている。回動軸57には、ブラケット58が径方向外方に突設され、このブラケット58に昇降シリンダ56のピストンロッド59の先端側が枢支連結され、昇降シリンダ56のシリンダ本体60の後端側は走行機体2に枢支連結されていて、ピストンロッド59を出退させることにより、回動軸57が軸心回りに回動するようになっている。
【0039】また、回動軸57には、他に左右一対のブラケット61,62が設けられ、左側のブラケット61は、左側のサポートアーム51に設けられたブラケット63にリンク64を介して連動連結され、右側のブラケット62は、右側のサポートアーム51に設けられたブラケット65にリンク66を介して連動連結されていて、回動軸57が回動すると、リンク64,66が押し引きされて左右のサポートアーム51が回動し、これにより、左右の伝動ケース50が前後に揺動するようになっている。
【0040】また、右側のサポートアーム51に設けられたブラケット65は、前輪支軸53に設けられたブラケット67にリンク68を介して連動連結されていて、サポートアーム51が回動すると、リンク68が押し引きされて前輪支軸53が回動し、これにより、左右の前輪支持アーム55が前後に揺動するようになっている。以上のようにして、昇降シリンダ56によって、走行機体2が接地面に対して昇降するように構成されており、前記サポートアーム51、伝動ケース50、前輪支軸53、前輪支持アーム55、昇降シリンダ56、回動軸57、ブラケット58,61,62,63,65,67、リンク64,66,68等によって、左右の前後輪3,4を走行機体2に対して相対的に昇降自在に支持する昇降機構9が構成されている。
【0041】前記構成の移植機1において、植付作業を行う場合には走行機体2を下降させて行うが、このとき、本実施の形態のものにあっては、伝動ケース50は、前方に向かうに従って上方に移行する傾斜状(前傾状)とされ、前輪支持アーム55は、後方に向かうに従って上方に移行する傾斜状(後傾状)とされる。また、畝の端部側の(圃場の端部の)枕地等において移植機1を旋回させる場合は、ハンドル8を押し下げることによって後輪4を支点として移植機1前部を持ち上げるが、このとき、後輪4の接地部が移植機1の重心下又はその近傍に位置するように伝動ケース50を前方側に揺動させ、図1に実線で示すように、この伝動ケース50が接地面に対して略垂直状(垂直又は若干傾斜状)となるように伝動ケース50を起立させる(伝動ケース50の揺動軸心と、後輪4の回動軸心とを結ぶ線分が、接地面に対して略垂直となるように伝動ケース50を起立させる)。
【0042】これによって、ハンドル8を押し下げる力が軽くてすみ、移植機1の前部が容易に持ち上がる。なお、このとき、前輪支持アーム55も伝動ケース50と同様に接地面に対して略垂直となる。また、旋回時、伝動ケース50を略垂直状として、旋回の中心となる後輪4をできるだけ前へもっていくことにより、旋回半径が小さくなる等の利点を有し、また、旋回時、伝動ケース50を略垂直状とすることにより、旋回時の地上高が高く採れ、移植機1の前部側の移植装置5を高く持ち上げることができる等の利点を有する。
【0043】また、伝動ケース50を略垂直状とすることにより、上方側からの荷重に対して伝動ケース50で良好に支えられる。また、図7の仮想線で示すように、伝動ケース50を垂直状態からさらに前方側に揺動し、昇降シリンダ56のピストンロッド59を最も伸ばしたときに、後輪4の回転軸心が伝動ケース50の揺動軸心よりも前側に位置するように構成してもよい。移植機1の格納時等において、エンジンEを切って移植機1を置いておくと、昇降シリンダ56内の圧油がリークするが、このとき、伝動ケース50が前傾状になっていると走行機体2が下降して接地してしまう惧れがある。
【0044】そこで、格納時等において、後輪4の回転軸心が伝動ケース50の揺動軸心よりも前側に位置するようにしておくことにより、エンジンEを切って、移植機1を置いておいた場合に、昇降シリンダ56内の圧油がリークしても走行機体2が下降することがないという利点を有する。前記昇降シリンダ56は、単動シリンダ又は複動シリンダのいずれで構成しても良いが、単動シリンダの方が安価であるのでコスト低減が可能となる。なお、昇降シリンダ56を単動シリンダで構成した場合は、走行機体2は圧油の力によって上昇し、自重及び搭載機器等の重量で下降する。
【0045】したがって、伝動ケース50が垂直状態からさらに前方側に揺動できるように構成する場合、複動シリンダの方が、伝動ケース50を後傾状態から垂直状態を越えて前傾状態とするのに、単動シリンダよりも有利である。なお、前記構成において、昇降シリンダ56のピストンロッド59を縮めることにより、伝動ケース50が前方に揺動するように構成してもよい。また、前輪支持アーム55の揺動支点を前方側にもっていき、移植作業時において、前輪支持アーム55が、伝動ケース50と同様に、前傾状となるように構成してもよい。
【0046】また、走行機体2前部の、植付体16の前方側には、畝上面に接地して転動し、走行機体2に対する相対的な畝の高さ変化を検知するローラからなる検知部材70が設けられている。検知部材70は、図1及び図8に示すように、支持部材71の下端側に所定範囲上下揺動自在に支持された揺動アーム72に回転自在に取り付けられていて、所定範囲上下揺動自在とされている。揺動アーム72は、昇降シリンダ56を制御する制御弁に連動連結されており、検知部材70が上動すると、その分走行機体2が上昇し、検知部材70が下動すると、その分走行機体2が下降するように制御され、これによって植付深さが一定となるように構成されている。
【0047】支持部材71は、その上部が走行機体2に前後揺動自在に支持されており、支持部材71と一体的に揺動する操作レバー73が走行機体2の係止板74に係止されることにより、その揺動規制がなされている。係止板74には、操作レバー73を係止する係止溝75が多数形成されており、操作レバー73の係止溝75に対する係止位置を変更することにより、支持部材71が揺動して検知部材70の上下位置が変更可能とされている。検知部材70の上下位置を変更することで走行機体2の畝に対する相対高さが変化し、これにより、植付深さが変更できるように構成されている。
【0048】なお、操作レバー73は、左側の座席6L上の移植作業者から操作することができ、フロア板36の覗き窓37から植付深さが不適切であると確認された場合には、即座に操作レバー73を介して植付深さを変更可能である。前記後輪4及び移植装置5は、エンジンEからの動力によって駆動されるようになっており、エンジンEから出力される動力は、図9に示すように、主クラッチ77を経た後、高速クラッチ78又は低速クラッチ79(これらを総称して走行クラッチという)を介してミッションケースMに入力される。
【0049】主クラッチ77、高速クラッチ78及び低速クラッチ79は、テンションクラッチによって構成され、それぞれ駆動側プーリP1〜3と、従動側プーリP4〜6と、これらプーリP1〜6に亘って巻き掛けられる無端ベルトB1〜3と、テンションプーリT1〜3等とから構成され、テンションプーリT1〜3を、ベルトB1〜3に押し付けることにより動力伝達がなされ、テンションプーリT1〜3のベルトB1〜3に対する押付け力を解除することにより、動力切断がなされる。
【0050】主クラッチ77の駆動側プーリP1はエンジンEの出力軸82に設けられ、主クラッチ77の従動側プーリP4と高速クラッチ78及び低速クラッチ79の駆動側プーリP2,P3は伝動軸83に設けられ、高速クラッチ78及び低速クラッチ79の従動側プーリP5,P6はミッションケースMの入力軸84に設けられている。ミッションケースM内に入力された動力は、変速機構(前進2段及び後進)を介して左右のサポートアーム51内の伝動軸、左右伝動ケース50内の動力伝動機構を経て左右の後輪4に動力伝達される。
【0051】また、変速機構を経た動力は、ミッションケースM内の左右の操向クラッチを介して左右の後輪4に動力伝達されるように構成されており、左右一方の操向クラッチを切断すると、その切断した側に移植機1の向きが変更(旋回)されるようになっている。一方、主クラッチ77を経た動力は、伝動軸83から巻掛け伝動機構80を介して伝動ケース81に入力され、伝動ケース81内の植付クラッチを介して移植装置5(植付機構11及び苗供給機構12)に動力伝達されるようになっており、主クラッチ77を切断すると、走行系及び移植系の動力伝達が切断されるようになっている。
【0052】図1、図2、図10及び図11に示すように、座席6L,6R前側のフロア板36の前端側には、主クラッチ77を断接操作する左右一対の主クラッチペダルよりなる操作具86と、左右の操向クラッチを左右独立して操作する左右一対の操向クラッチペダルよりなる操作具(第2の操作具)87L,87Rが設けられている。主クラッチペダル86は、それぞれ植付機構11の左右方向外側方に配置され、左右の座席6L,6R上の各植付作業者が主クラッチ77の断接操作を可能としている。
【0053】また、主クラッチペダル86を踏み込み操作すると主クラッチ77が切断され、この踏み込み力を解除するとバネ力により、主クラッチペダル86が復帰すると共に主クラッチ77が接続されるようになっており、移植作業者が座席6L,6R上において前向き姿勢で走行及び移植装置5の停止が可能とされている。操向クラッチペダル87L,87Rは、右側の主クラッチペダル86の左右方向内方側に配置されており、右側の座席6上の移植作業者、及び、左右苗供給装置12の間に対応するように移動した左側の座席6上の移植作業者が、操向クラッチの断接操作を可能としている。
【0054】また、操向クラッチペダル87L,87Rは左右同側にある操向クラッチを操作するものであり、踏み込み操作すると操向クラッチが切断され、踏み込み力を解除するとバネ力により操向クラッチペダル87L,87Rが復帰すると共に操向クラッチが接続されるようになっていて、座席6L,6Rに着座した移植作業者が前向き姿勢で操向(舵取り)を行い得るように構成されている。また、走行機体2の後部には、主クラッチ77を断接操作する主クラッチレバーよりなる操作具(第3の操作具)88、植付クラッチを断接操作する植付クラッチレバーよりなる操作具89、高速クラッチ78又は低速クラッチ79を選択的に断接操作する高低速切換レバーよりなる操作具(第4の操作具)90、ミッションケースM内の変速機構を操作する変速レバーよりなる操作具91、昇降シリンダ56を操作する昇降レバーよりなる操作具92、左右の操向クラッチを左右独立して操作する左右一対の操向クラッチレバーよりなる操作具(第1の操作具)93が設けられている。
【0055】主クラッチレバー88と植付クラッチレバー89とは、図2に示すように、座席6L,6Rより後側で該座席6L,6R上から操作可能な位置に設けられており、植付クラッチレバー89を前側(図10の矢示A方向)に倒すと植付クラッチが接続され、植付クラッチレバー89を後側に倒すと植付クラッチが切断され、主クラッチレバー88を前側に倒すと主クラッチ77が接続され、主クラッチレバー88を後側に倒すと主クラッチ77が切断されるようになっている。また、高低速切換レバー90、変速レバー91、昇降レバー92、左右操向クラッチレバー93は、ハンドル8の近傍位置に設けられていて、これらレバー90,91,92,93は、圃場や路上等における移植機移動時において、ハンドル8後方に位置する作業者が操作可能とされている。
【0056】高低速切換レバー90は、後端側で連なった左右のガイド溝94,95に沿って操作され、該高低速切換レバー90を左側のガイド溝94に沿って前側に倒すと低速クラッチ79が接続され、高低速切換レバー90を右側のガイド溝95に沿って前側に倒すと高速クラッチ78が接続されるようになっている。また、高低速切換レバー90をいずれかのガイド溝94,95に沿って後側に倒すと高低速クラッチ78,79の双方が切断される。上記高低速切換レバー90は、連係ロッドやケーブル、リンク等の適宜連動手段を介して前記主クラッチレバー88と連動連結されており、高低速切換レバー90又は主クラッチレバー88の一方を動かすと他方も動かされるように構成されている。
【0057】また、主クラッチレバー88を動かしたとき、高低速切換レバー90は常に左側のガイド溝94に沿って動かされるように(低速クラッチ79が接続・切断操作されるように)、高低速切換レバー90がバネによって左側に倒れるように付勢されている。そのため、座席6L,6R上から主クラッチレバー88を操作して主クラッチ77を接続したときには、高低速切換レバー90は低速クラッチ79を接続するように連動される。
【0058】ここで、座席6L,6R上において移植作業を行う場合には、通常、低速クラッチ79を接続して低速走行を行うが、この際、高速クラッチ78が誤って接続されると植付ピッチが狂ってしまうという不都合が生じる。このため、座席6L,6Rから操作される主クラッチレバー88に対し、高低速切換レバー90が低速入と切断との間で操作されるように連動することで、かかる不都合を防止することができるようになっている。また、主クラッチレバー88を介して主クラッチ77を接続したときには低速クラッチ79が接続されるため、急に高速走行することもなく、円滑な走行機体2の運転が可能となる。
【0059】変速レバー91は、前側に倒すと後進側に変速され、そこから後側に倒すと中立位置を経て前進1段側に変速され、そこからさらに後側に倒すと中立位置を経て前進2段側に変速されるようになっている。昇降レバー92は、前側に倒すと走行機体2が下降し、後側に倒すと走行機体2が上昇し、前後中間位置にすると、走行機体2の昇降が停止するようになっていると共に、前後中間位置に保持可能とされている。左右操向クラッチレバー93は、ハンドル8の左右両側に設けられ、左右同側にある操向クラッチを操作するものであり、操向クラッチレバー93を握ると、操向クラッチが切断され、操向クラッチレバー93に対する把持力を解除すると、バネ力により操向クラッチレバー93が復帰すると共に操向クラッチが接続されるようになっていて、ハンドル8後方で作業者が操向(舵取り)を行い得るように構成されている。
【0060】なお、主クラッチ77が切断されると駐車ブレーキ96が作動して後輪4が制動され、主クラッチ77を接続すると駐車ブレーキ96が解除されるように構成されている。図3に示すように、前記植付体16には、植え付ける苗に灌水すると共に水によって植付カップ20内面の土落としをするための給水ホース97が取り付けられている。この給水ホース97は、図12及び図13に示すように、走行機体2の前部に設けた給水ポンプ98に接続され、給水ポンプ98は給水ホースを介して走行機体2に搭載された給水タンク99に接続されており、植付体16からの苗の放出時に、給水タンク99からの水が植付体16内に給水できるようになっている。
【0061】なお、苗を放出する前から給水を開始することにより、水の落下によって苗の姿勢が安定するという効果を奏する。給水タンク99は前後一対設けられ、走行機体2の側方(右側方)で且つ走行機体2の前部と後部とに分けて設けられている(走行機体2に前後に振り分け状に設けられている)。また、給水ポンプ98は前後の給水タンク99から水を同時に吸い込んで、植付体16に給水するように構成され、前後の給水タンク99内の水が略均等に減るようになっている。
【0062】これにより、前後の給水タンク99が満水又は空の状態等であっても、移植機1の前後のバランスは崩れない(又は大きく崩れない)ので、旋回時等において、移植機1の前部を後輪4を支点として持ち上げる際に、給水タンク99内の水の残量によって前後一方側が重くなるということがない。したがって、前後の給水タンク99は、移植機1の重心位置又は旋回時の後輪4の接地部分を境として、前後に均等に振り分けられるのがよいが、多少前後に位置ずれしていても、給水タンクが移植機の前後一方に設けられる場合に比べて効果は大である。
【0063】本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく適宜設計変更可能である。例えば、上記実施形態において、ペダルで構成した操作具はレバーとして構成することができ、逆に、レバーとして構成した操作具はペダルとして構成することも可能である。各移植部5L,5Rにおける苗供給機構12は、左右方向の移送ベルトによって構成することができ、植付機構11は、苗を挟んで可能に移送する上下方向の移送ベルト(移送機構に相当)と、移送下端で苗を挟持して畝に植え付ける植付ドラム(ホイール)とによって構成することができる。
【0064】前記座席6L,6Rは、左右移植部5L,5Rの前側に対応して配設することも可能である。前記苗載せ台15(苗箱14)は、座席6L,6Rの左右外側に配設してもよい。主クラッチレバー88及び植付クラッチレバー89は、座席6L,6Rより前側に配置してもよい。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、二人作業だけでなく一人作業をも好適に行うことができる。また、座席上からの走行機体の運転も好適に行える。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成14年5月9日(2002.5.9)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開2003−325009(P2003−325009A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−134669(P2002−134669)