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【発明の名称】 苗搬送装置
【発明者】 【氏名】木下 栄一郎
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】小田切 元
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】大久保 嘉彦
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】大黒 進一郎
【住所又は居所】鹿児島県日置郡伊集院町麦生田681−8 文明農機株式会社内

【氏名】安田 賢司
【住所又は居所】熊本県上益城郡益城町平田字深迫2550 株式会社ヰセキ九州内

【要約】 【課題】従来の苗搬送装置のクリップは、苗を挟持する部材が常時苗を挟持する側に付勢されているので、付勢される前記部材によりクリップヘの苗の供給において抵抗が生じ、クリップへ苗を供給する作業が困難になり、苗搬送装置の苗搬送作業の作業能率の向上が図れない。

【解決手段】苗を収容する苗収容部26を所定の搬送経路で搬送する苗搬送装置において、前記苗収容部26に収容する苗を挟持して固定するクリップ49を挟持する状態に強制的に切り替える挟持作動具137と前記クリップ49を挟持解除状態に強制的に切り替える挟持解除作動具136とを苗収容部26の搬送経路に沿う位置で且つ互いに両者を離して配置した。また、クリップ49を挟持解除状態に切り替えないように挟持解除作動具136を非作用状態に切替可能に設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗を収容する苗収容部26を所定の搬送経路で搬送する苗搬送装置において、前記苗収容部26に収容する苗を挟持して固定するクリップ49を設けると共に、該クリップ49を挟持する状態に強制的に切り替える挟持作動具137とクリップ49を挟持解除状態に強制的に切り替える挟持解除作動具136とを苗収容部26の搬送経路に沿う位置で且つ互いに両者を離して配置したことを特徴とする苗搬送装置。
【請求項2】 クリップ49を挟持解除状態に切り替えないように挟持解除作動具136を非作用状態に切替可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の苗搬送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、苗を収容する苗収容部を所定の搬送経路で搬送して苗を搬送する苗搬送装置の技術分野に属し、例えば苗移植機において苗植付け体へ苗を供給する苗搬送装置として利用できる。
【0002】
【従来の技術】従来、機体とともに歩く作業者が供給した苗を苗植付け体が圃場に植付けていくという歩行型の甘しょ苗移植機があり、特許登録第2568132号公報に示されるように、機体を走行させる走行装置と、苗を収容する苗収容部を機体上部側で左右一方向である横方向に送る上部横送り部と該上部横送り部に続いて植付供給位置へ送るべく下方向に送る下降送り部と該下降送り部に続いて上方向に送り前記上部横送り部の送り始端側に戻す上昇送り部とで構成する所定の搬送経路で搬送する苗搬送装置と、該苗搬送装置によって前記植付供給位置へ搬送されてきた苗を圃場に植付ける苗植付け体とを備えた苗移植機が知られている。そして、前記苗搬送装置の苗収容部には一対の可動体となる板バネを設け、該板バネの互いの間隔を狭める側に常時付勢しており、この一対の板バネにより苗収容部26に収容する苗を挟持して固定するクリップが構成されている。尚、前記板バネの上部の開口部は、上へいくにつれて互いの間隔が広くなるように形成した苗案内部分を備えている。
【0003】この苗移植機により圃場へ苗の植付け作業を行うとき、走行装置により機体を走行させ、作業者が歩行しながら苗搬送部の上部横送り部にある苗収容部へ苗を供給し、甘しょ苗を移植するようになっている。この苗収容部へ苗を供給するとき、作業者が苗収容部の一対の板バネの間に苗の茎部を上方から挿入して該一対の板バネで苗を挟持させ、苗収容部内の苗を固定する。従って、適確に植付供給位置へ苗が供給され、適正に甘しょ苗を移植することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技術のクリップは、苗を挟持する部材が常時苗を挟持する側に付勢されているので、このクリップヘ苗を挟持させるべく供給するとき、付勢される前記部材により苗の供給において抵抗が生じ、クリップへ苗を供給する作業が困難になるおそれがある。また、この苗供給作業が面倒なものであると、苗搬送装置の苗搬送作業の作業能率の向上が図れない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。すなわち、請求項1に係る発明は、苗を収容する苗収容部26を所定の搬送経路で搬送する苗搬送装置において、前記苗収容部26に収容する苗を挟持して固定するクリップ49を設けると共に、該クリップ49を挟持する状態に強制的に切り替える挟持作動具137とクリップ49を挟持解除状態に強制的に切り替える挟持解除作動具136とを苗収容部26の搬送経路に沿う位置で且つ互いに両者を離して配置したことを特徴とする苗搬送装置とした。
【0006】従って、請求項1に記載の苗搬送装置は、搬送経路に沿って苗収容部26が挾持解除作動具136の位置に搬送されると、該挟持解除作動具136によりその苗収容部26のクリップ49を挟持解除状態に強制的に切り替え、クリップ49は挟持解除状態となる。従って、挟持解除状態となったクリップ49に苗を供給することができる。そして、搬送経路に沿って苗収容部26が挾持作動具137の位置に搬送されると、該挟持作動具137によりその苗収容部26のクリップ49を挟持する状態に強制的に切り替え、クリップ49は苗を挟持して固定する。クリップ49により固定された苗収容部26内の苗は、所定の搬送経路で搬送される。
【0007】また、請求項2に係る発明は、クリップ49を挟持解除状態に切り替えないように挟持解除作動具136を非作用状態に切替可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の苗搬送装置とした。従って、請求項2に記載の苗搬送装置は、請求項1に記載の苗搬送装置における作用に加えて、クリップ49を挟持解除状態に切り替えないように挟持解除作動具136を非作用状態に切り替えることにより、搬送経路に沿って苗収容部26が挾持解除作動具136の位置に搬送されても、クリップ49を挟持状態にすることができる。従って、挟持解除作動具136より搬送下手側で、挟持する状態のクリップ49に苗を供給することができる。
【0008】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によると、挟持解除状態となったクリップ49に苗を供給することができるので、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行え、苗搬送装置の苗搬送作業の作業能率の向上を図ることができる。
【0009】また、請求項2に記載の発明によると、請求項1に記載の発明の効果に加えて、挟持解除作動具136を非作用状態に切り替えることにより、挟持解除作動具136より搬送下手側で挟持する状態のクリップ49に苗を供給すると同時に固定することができるので、曲がった苗等のくせのある苗を搬送する場合、苗をクリップ49の適正な位置へ確実に固定させることができ、苗搬送装置により適確に苗を搬送することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態としての甘薯苗移植機1を以下に説明する。尚、以下の図示例についての説明で前又は後というときは、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前そしていう。そして、右又は左というときは、機体後部において機体前部側を前側として立つ作業者から見て右手側を右とし、左手側が左としていう。
【0011】苗移植機は、走行装置4と操縦ハンドル2を備えた機体に、甘薯苗Nを搬送する苗搬送部5と、該苗搬送部5によって搬送されてきた苗Nを圃場に植付ける苗植付け体6とを備えている。走行装置4は、図示例では、エンジン3と、該エンジン3の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪7と、該後輪7の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪8とを備えたものとしている。
【0012】エンジン3の後部には、ミッションケース9を配置し、そのミッションケース9は、その左側部からエンジン3の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン3の左側部と連結している。このケース部分にエンジン3の出力軸が入り込んでミッションケース9内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。ミッションケース9の左右両側部に伝動ケース10を回動自在に取り付け、この伝動ケース10の回動中心にミッションケース9から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで伝動ケース10内の伝動機構に走行用の動力を伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース10内の伝動機構を介して、機体後方側に延びてその後端側側方に突出する車軸11に伝動し、後輪7が駆動回転するようになっている。
【0013】また、伝動ケース10のミッションケース9への取付部には、上方に延びるアーム12を一体的に取り付けていて、これがミッションケース9に固定された昇降用油圧シリンダ13のピストンロッド先端に上下軸心周りに回動自在に取り付けた天秤杆14の左右両側部と連結している。その連結部の右側はロッド15で連結し、左側は伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダ16で連結している。
【0014】昇降用油圧シリンダ13が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム12は後方に回動し、これに伴い伝動ケース10が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ13のピストンロッドが機体前方に引っ込むと、左右の前記アーム12は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダ13は、機体に対する畝上面高さを検出するセンサー17の検出結果に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう作動するよう構成しており、また、操縦ハンドル2近傍に配置した植付昇降レバー18の人為操作によって、機体を上昇或は下降させるよう作動する構成でもある。尚、前記植付昇降レバー18は、苗植付け体6及び苗搬送部5の駆動の入切の操作が行える。また、植付昇降レバー18の側方には、ミッションケース9内の主クラッチ(図示せず)を操作して走行装置4の走行の入切操作が可能な主クラッチレバー19を設けている。
【0015】また、前記左右水平制御用油圧シリンダ16が伸縮作動すると、前記天秤杆14が、その左右中央部の昇降用油圧シリンダ13のピストンロッド先端と連結する上下軸心周りに回動して左右の伝動ケース10を互い違いに上下動させ機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダ16は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサ(図示せず)の検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動するよう構成している。
【0016】前記左右前輪8は、エンジン3下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた前輪支持フレーム20の左右両側部の下方に延びるアーム部分21の下端部側方に固定した車軸22に回転自在に取り付けている。従って、左右前輪8は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。
【0017】前記操縦ハンドル2は、ミッションケース9に前端部を固定したハンドルフレーム23の後端部に取り付けている。ハンドルフレーム23は、機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、ハンドルフレーム23の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2a,2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0018】尚、上記走行装置4は、四輪構成としたものであるが、左右一対の駆動輪のみの2輪構成でもよいし、前輪の替わりに畝上面を転動する鎮圧輪としてもよい。また、クローラー式の走行装置としてもよい。次に、苗植付け体6及び苗搬送部5について説明する。
【0019】苗植付け体6は、その苗植付け作用部6aを昇降動させる駆動部と連結し、該苗植付け体4の苗植付け作用部6a(一対の苗植付け挟持具31)が、苗搬送部5により搬送されてきた苗に作用して苗を圃場に植付ける構成としたものである。
【0020】苗植付け体6を駆動する駆動部は、ミッションケース9内から苗植付け具駆動用の動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース32に設けている。図例のように植付け伝動ケース32は、その前部がミッションケース9の後部に連結しそこから後斜め上方に延びる第一ケース部32aと、この第一ケース部32aの上部左側部に固定され左側方に延びる第二ケース部32bと、その第二ケース部32bの左端部に固定され後斜め下方に延びる第三ケース部32cとを有するものとしている。これら第一ケース部32aから第三ケース部32c内に苗植付け体6を駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。尚、前記第三ケース部32cは、第二ケース部32bの出力軸すなわち該第三ケース部32cの入力軸33回りに回動自在に設けられている。そして、苗植付け体6及び苗搬送部5は、走行装置4に対してこの第三ケース部32cの入力軸33回りに回動自在に設けられている。また、第一ケース部32a内に内装した伝動機構には、苗植付け体6をその昇降動最上位の位置で或はその近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構(図示せず)と、苗植付け体6及び苗搬送部5を作動停止させる植付クラッチ(図示せず)とを備える。間欠駆動機構によって停止する時間は、該間欠駆動機構が備える変速機構(図示せず)によって調節され、この調節によって苗植付け体6による苗植付株間が変更調節されるようになっている。
【0021】そして、苗植付け体6は、その駆動部としての駆動回転する駆動アーム34と連結して駆動される。駆動アーム34は、前記第三ケース部32cの後部右側部から突出し駆動回転する駆動軸35に固定されている。そして、駆動アーム34の先端部に苗植付け体6の支持リンク部36の上端部を回転自在に連結し、その支持リンク部36の下端部に揺動リンク37の前端部を回転自在に連結している。揺動リンク37の後端部は、第三ケース部32cに前部が固定されて後方に延びる支持フレーム38の後端部に設けた支持軸39で回転自在に支持している。従って、苗植付け体6は、駆動アーム34が駆動回転すると、その先端部(下端部)の苗植付け作用部6aが、図1に示すような軌跡Tを描いて運動することになる。なお、図1に示すような軌跡Tは、機体に対して苗植付け作用部6aが描く運動軌跡であり、軌跡T’は、設定した作業時速度で機体が前進走行したときの圃場に対して苗植付け作用部6aが描く運動軌跡である。
【0022】図5の苗植付け体6の拡大斜視図に示すように、苗植付け体6は連結軸40回りに回動連結される一対の支持部41と該支持部41の先端部に固着した苗を挟持する一対の苗植付け挟持具31と、支持部41の連結軸40に対して前記苗植付け挟持具31とは反対側に支持部41に固着した一対の苗植付け挟持具作動アーム42とから構成されている。尚、これらの支持部41、一対の苗植付け挟持具31及び一対の苗植付け挟持具作動アーム42は、機体側面視で若干前側に傾斜して上下方向に長い構成となっている。該苗植付け挟持具作動アーム42の上端部にはそれぞれ円板42aを設け、この円板42aがカム43の側面に当接している。連結軸を支持リンク部36に取り付けており、カム43の側面に設けた突部43aが円板42aに当接することにより一対の苗植付け挟持具作動アーム42の互いの間隔が広くなってひいては一対の支持部41が互いに連結軸40回りに回動して、一対の苗植付け挟持具31の間隔が広がるようになっている。従って、カム43により、一対の苗植付け挟持具31を苗を挟持したりその挟持を解除したりする構成となっている。尚、一対の支持部41の間には引張スプリング44を設けており、この引張スプリング44により一対の苗植付け挟持具31を互いに近づく方向へ付勢している。また、苗植付け挟持具31の対向する面にディンプルを設けて苗を挟持し易くしている。また、苗植付け挟持具31を先端の板状部分31bを除いて丸棒で構成しているので、マルチフィルムを引っかけにくく、マルチフィルムの穴が無闇に大きくなるのを抑えることができる。
【0023】カム43は、駆動アーム34の先端側に固着されており、駆動アーム34と一体で回転するようになっている。従って、伝動ケ−ス32cからの駆動力でカム43が回動すると、植付軌跡T(T’)の上死点付近の苗植付け体6への植付供給位置Aで、カム43の突部43aが苗植付け挟持具作動アーム42に当接して一対の苗植付け挟持具31の先端部が閉じる方向に動き、植付供給位置Aにある甘薯苗Nの蔓tの下端部(植付供給位置では甘しょ苗が前後方向に向いているのでその後端部)を挟持する。そして、苗植付け挟持具31により苗を挟持したままで駆動アーム34の回転により植付軌跡T(T’)の下死点付近まで苗植付け体6が苗を土壌内に埋め込みながら作動し、前記下死点付近でカム43の突部43aが苗植付け挟持具作動アーム42から離れ、一対の支持部41の間の引張スプリング44により付勢されて一対の苗植付け挟持具31の先端部が開く方向に動き、挟持していた苗を放して土壌内に移植するようになっている。尚、後述する苗搬送部5により甘薯苗Nを前後方向に向いた姿勢で植付供給位置Aへ供給するので、苗植付け体6が甘薯苗Nをそのまま前後方向に向いた姿勢で土壌内へ移植し、甘薯苗Nの蔓tを土壌面Dに対して傾斜した姿勢で移植するようになっている。尚、苗植付け体6が後下方に延びる植付軌跡T上を作動して植え付けるので、苗が前側に傾いた状態で植え付けられることとなる。
【0024】苗搬送部5は、甘薯苗Nを蔓tが前後方向に向く姿勢で収容する苗収容部となる苗収容体26を苗搬送方向Cに複数備えるとともに、該苗収容体26を機体上部側で右方向に搬送する上部横搬送り部5aと、該上部横送り部5aにより搬送されてきた苗収容体26を機体下方に搬送する下降送り部5bと、該下降送り部5bにより搬送されてきた苗収容体26を機体上方に搬送し前記上部横送り部5aの搬送始端側に戻す上昇送り部5cとを備えており、苗収容体26を単一のループ状の搬送経路に沿って搬送するようになっている。また、上部横送り部5aは、左側の前輪8及び後輪7より左側にまで突出するように構成され、左端が機体の左側の最外端となっている。また、前記上部横送り部5aの後端は、左側の前輪8及び後輪7より後側の位置に配置されている。従って、作業者は、左側の後輪7及び上部横送り部5aの後側で該上部横送り部5aへ苗を供給する。前記搬送経路は側面視で上部横送り部5aが後側に位置するように傾斜しており、苗搬送部5の後側にいる作業者の近い位置に上部横送り部5aの苗収容体26が配置され、作業者が上部横送り部5aの苗収容体26への苗供給作業を容易に行えるようにしている。尚、苗植付け体6は、前記下降送り部5bにより苗搬送部5の搬送軌跡の最下位置の植付供給位置Aへ搬送された苗収容部26の苗を圃場に植付けるようになっている。尚、前記下降送り部5bには、苗が落下しないように苗収容部26内に苗を案内する苗落下防止板45をその上部で支持部材46から支持して設けている。この苗落下防止板45は植付供給位置の苗収容体26の下方まで延長されているが、植付供給位置Aより苗収容体26の搬送方向下手側の部分には苗落下防止板45を支持する部材を設けていないので、苗植付け体6での苗植付時に苗落下防止板45を支持する部材に苗Nが干渉して苗を傷めたり植付が不適正になるのを防止される。
【0025】苗収容体26は、前後に長い樋状の形態で、上部横送り部5aで苗Nを載せる受け面となる受け板部47と、隣接する苗収容体26とを仕切る面となる側板部48とを備え、上部横送り部5aで上方に開放部を有する形態となっている。尚、苗収容体26は、樹脂で構成され、収容する苗を傷めないようにしている。尚、苗収容体26の受け板部47は、上部横送り部5aに位置するときに後側が下位になるように傾斜しており、苗搬送部5の後側にいる作業者が上部横送り部5aの苗収容体26への苗供給作業を容易に行えるようにしている。
【0026】また、苗収容体26は、前後にも開放された形状であるが、後端部には苗Nの蔓tの後端部を保持するクリップ49を備えている。このクリップ49は、苗収容体26の左右方向中央位置に設けられ、該苗収容体26と一体で受け板部47から上に延びる固定体50と受け板部47に支持させた前後方向の軸130回りに回動する可動体52とで構成されている。前記固定体50及び可動体52は、金属製の棒材を略U字型に屈曲させて前後2本の棒材部分で苗を保持する構成となっており、挟持する苗Nの蔓tを傷めないようにしている。固定体50は、上部50aが保持する苗とは反対側(右側)に傾斜しており、その下に続く中央部50bが上下方向に向き、更に中央部50bに続く下部50cが中央部50bに対して保持する苗側(左側)に直角に屈曲して左右方向に向いている。尚、前記下部50cにおいて、固定体50の前後2本の棒材部分が、前後方向の棒材50dを介して繋がっている。可動体52は、上下方向に向く中央部52bを備え、上部52aが保持する苗とは反対側(左側)に傾斜しており、下部52cが中央部52bに対して保持する苗側(右側)に直角に屈曲して左右方向に向いている。尚、前記上部52aにおいて、可動体52の前後2本の棒材部分が、前後方向の棒材52dを介して繋がっている。可動体52は、前後方向の軸130部に設けたトルクスプリング(図示せず)により苗側(右側)へ回動付勢されている。
【0027】可動体52の左側には、該可動体52が苗側(右側)へ回動するのを規制する規制体131を設けている。この規制体131は、下部の前後軸132回り左右に回動する構成となっており、切欠きで構成される係止部131aを備え、該係止部131aを可動体52の前後方向の棒材52dに係合させることにより、可動体52が苗側(右側)へ回動するのを規制する。この規制体131aで可動体52の苗側(右側)へ回動を規制することにより、固定体50の中央部50bに対して可動体52の中央部52bを固定体50とは反対側(左側)へ離したクリップ49の挟持解除状態が維持される。尚、規制体131aと苗収容体26の受け板部47との間には引張スプリング133を設けており、この引張スプリング133により規制体131を可動体52側(右側)へ回動付勢している。可動体52の後側には、前後方向の軸130に外嵌するブッシュ134を介して前記軸130回りに可動体52と一体回動する可動体操作ア−ム135を設けている。
【0028】苗搬送部5の上部横送り部5aの搬送始端部には、挟持解除作動具136を設けている。この挟持解除作動具136は、上部横送り部5aにおける苗収容体26の可動体操作ア−ム135の搬送経路上に配置されている。従って、上昇送り部5cから苗収容体26が搬送されることにより、該苗収容体26の可動体操作ア−ム135の上端部が挟持解除作動具に当接し、可動体操作ア−ム135を苗収容体26の搬送上手側(左側)へ回動させて可動体52を搬送上手側(左側)へ回動させる。すると、可動体52の上部52aの前後方向の棒材52dが規制体131に当接し、可動体52の回動に伴って引張スプリング133に抗して規制体131を搬送上手側(左側)へ回動させていき、可動体52の前後方向の棒材52dが規制体131の係止部131aに係合する位置まで可動体52及び規制体131が回動すると、規制体131により可動体52の搬送下手側(右側)への回動を規制し、クリップ49が上方に開放した挟持解除状態で固定される。尚、挟持解除作動具136は、回動支点136a回りに回動させて可動体操作ア−ム135の搬送経路から外れる非作用状態へ切り替えることができる。挟持解除作動具136を非作用状態へ切り替えると、苗収容体26を搬送しても可動体操作ア−ム135が挟持解除作動具に当接しないので、クリップ49を挟持解除状態に切り替えずに挟持状態のままにすることができる。
【0029】上部横送り部5aの搬送終端部には、挟持作動具137を機体に固着して設けている。この挟持作動具137は、上部横送り部5aにおける苗収容体26の規制体131の搬送経路上に配置されている。従って、上昇送り部5cから苗収容体26が搬送されることにより、該苗収容体26の規制体131の上端部が挟持作動具137に当接し、規制体131を苗収容体26の搬送上手側(左側)へ引張スプリング133に抗して回動させる。すると、可動体52の上部52aの前後方向の棒材52dが規制体131の係止部131aから外れ、トルクスプリング(図示せず)により可動体52が苗側(右側)へ回動し、クリップ49が挟持状態になる。尚、挟持作動具137を、規制体131の搬送経路から外れる非作用状態へ切替可能に構成してもよい。
【0030】よって、挟持解除作動具136により、上部横送り部5aの大部分でクリップ49が挟持解除状態に固定され、作業者が上部横送り部5aでクリップ49へ苗を供給するとき、固定体50の上部50aと可動体52の上部52aとの傾斜に案内させて甘薯苗Nの蔓tを固定体50の中央部50bと可動体52の中央部52bとの間に容易に供給できる。尚、クリップ49へ苗を供給するとき、固定体50及び可動体52の下部50c,52cが甘薯苗Nの蔓tを受け止める。そして、挟持作動具137により、可動体52が苗側(右側)へ回動付勢されてクリップ49が挟持状態となり、挟持力が作用した状態で苗Nの蔓tが固定される。
【0031】ところで、下降送り部5bでの苗の搬送時に、苗が苗落下防止板45に擦られて該苗Nを傷めるおそれがある。そこで、図14に示すように、苗収容体26の側板部48にゴム製の弾性板53を取り付けることにより、下降送り部5bで該弾性板53が苗落下防止板45に当接して折り曲げられ、弾性板53により苗収容体26の開放部を覆うことができ、苗が苗落下防止板45に接触するのを防止することができる。
【0032】そして、この苗収容体26をチェン54に複数並べて取り付け、そのチェン54を、機体上部側の左右に各前後一対づつ設けたスプロケット55,56と、機体下部側の左右に各前後一対づつ設けたスプロケット57,58とに巻きかけている。機体上部側の左右のスプロケット55,56は、支持フレーム38に固着した支持部材46で支持した軸59,60に取り付けている。機体下部側の左右のスプロケット57,58は、支持フレーム38に固着した支持プレート61で支持した軸62,63に取り付けている。そして、上部右側のスプロケット56を駆動すると、苗収容体26が設定搬送方向Cに移動するよう苗搬送部5が駆動する構成となっている。そして、苗搬送部5の駆動部64は、揺動リンク37と一体に上下揺動する連動リンク65の先端部と連動ロッド66を介して連動連結している。また、苗植付け体6の苗植付け作用部6aが苗を挟持するときから下降するまでは苗収容体26が停止して、それ以外のときに苗収容体26が移動するよう、苗搬送部5が間欠駆動するように設けている。
【0033】苗搬送部5の駆動部64の具体的な構造は、例えば、図4に示すようなものとしている。まず、支持部材46で支持した軸60を上部右側のスプロケット56を一体回転するよう取り付けている軸67の後部と軸継手を介して連結し、この軸67に一体回転するよう取り付けた突起68a付きの従動ディスク68を取付ける。そして、この従動ディスク68の後側に駆動アーム69を軸67に回転自在に取付け、この駆動アーム69の先端部に前記連動ロッド66の上端部を回動自在に取付ける。また、駆動アーム69には、従動ディスク68の突起68aに係合する爪70を取り付けていて、この爪70は、駆動アーム69が苗搬送部5の設定搬送方向Cに作動させるようにスプロケット56を駆動回転させる方向に回動するとき(図4では駆動アーム69が上動するとき)には、従動ディスク68の突起68aに係合固定されて従動ディスク68を一体回転させる。反対方向に回動するとき(図4では駆動アーム69が下動するとき)には、従動ディスク68の突起68aに係合しても逃げて従動ディスク68を一体回転させないというように、ラチェット機構を構成している。そして、従動ディスク68を時計回り及び反時計回りの回り止めとして従動ディスク68の突起68aに係合する二つの爪71を設けている。なお、従動ディスク68を一体的に回転するように駆動アーム69が回動すると、前記ラチェット機構を構成する駆動アーム69の爪70が従動ディスク68の突起68aに係合するのに先行して、駆動アーム69と一体に設けた回り止め解除カム72が、従動ディスク68の一体回動を阻止するように回り止め作用をする爪71の先端部を従動ディスク68の突起68aと係合しない位置に移動させるようになっている。そして、駆動アーム69がそのストローク上限位置まで回動して従動ディスク68が設定角度(図4では90度)回動されると、回り止め解除カム72が前記回り止め用の爪71から外れて、該回り止め用の爪71は再び、従動ディスク68の突起68aと係合して従動ディスク68の回転が固定される。
【0034】よって、苗植付け体6の苗植付け挟持具31が苗を挟持して下降し土壌中に植付けるときには苗収容体26が停止しているので、苗が円滑に苗収容体26から取り出されて適確に苗を圃場に植付けることができる。このように、苗植付け体6又は該苗植付け体6に連結して動作する部材と前記苗搬送部5の駆動部64を連動連結した構成としているため、この苗移植機は、苗植付け体6と苗搬送部5の駆動タイミングを容易にとることができ、しかも苗搬送部5の駆動構成を簡潔なものにできる利点がある。
【0035】尚、下降送り部5bから前記上昇送り部5cに移行する間に機体下部側で苗収容体26を左右水平状に搬送する下部横送り部5dを設け、該下部横送り部5dに植付供給位置Aを設けている。従って、下降送り部5bから上昇送り部5cに移行する間(図示例では、下部右側スプロケット58と下部左側スプロケット357とで搬送される区間)で、下部横送り部5dにより苗収容体26が機体下部側で左右水平状に搬送され、ここで苗収容体26に収容された苗Nを苗植付け体6が圃場に植付ける。よって、組付け時のずれ等によって苗植付け体6の苗Nへの植付け作用時における苗収容体26の位置がずれても、苗植付け体6は、移動経路中最下端に移動した状態で且つ同じ姿勢の状態にある苗収容体26の苗Nを植付けられることになり、苗植付け状態の変化を極力少なくできる。
【0036】苗搬送部5の前側には、植付け伝動ケース32の第一ケース部32aから苗載台支持フレーム81を介して苗載台82を設けている。この苗載台82上に収容箱等に収容した状態で甘薯苗を載置するようになっており、作業者は苗載台82上の苗を苗搬送部5の上部横送り部5aへ供給する。
【0037】苗搬送部5の後側には、ミッションケース9内の伝動機構を切り替えて走行装置4の走行速度を有段変速操作できる変速レバー83を、ミッションケース9の位置から後側に延ばして設けている。尚、この変速レバー83は、苗搬送部5の所定のループ状の搬送経路内を通過して苗搬送部5の後側にまで延びている。
【0038】苗植付け体6の後方には、左右一対の覆土輪84を設けている。この覆土輪84は、遊転輪であり、土壌面に接地して植え付けた苗の左右側方の土壌を苗へ覆土するようになっており、支持フレーム38の後端部に覆土輪フレーム85を介して設けられている。従って、この左右一対の覆土輪84の接地により、植付け伝動ケース32の第三ケース部32cの入力軸33回りに回動する苗植付け体6及び苗搬送部5が支持され、土壌面Dの凹凸に追従して苗植付け体6及び苗搬送部5が揺動して土壌面Dに対して所定の高さに維持されるようになっている。
【0039】また、図15及び図16に示すように、苗植付け体6の植付軌跡Tの上方に単一の鎮圧輪138を設けている。この鎮圧輪138は、左右一対の覆土輪84の間で前端が覆土輪84より若干前側となるように配置されている。鎮圧輪138は、支持フレーム38に対して回動支点139a回りに上下方向に回動する鎮圧輪フレーム139の後端に遊転するように設けられている。鎮圧輪フレーム139の回動支点139aに対して鎮圧輪138とは反対側の端部(前端部)には鎮圧輪上下動用ローラ140を設けており、この鎮圧輪上下動用ローラ140は苗植付け体6を駆動する駆動アーム34と一体回転する鎮圧輪上下動用カム141に下側から当接するようになっている。鎮圧輪上下動用カム141の外周には切欠き141aを設け、この切欠き141aが鎮圧輪上下動用ローラ140側(下側)となるとき鎮圧輪フレーム139が回動して鎮圧輪138が自重により圃場面に接するようになっている。従って、鎮圧輪138及び鎮圧輪フレーム139の自重が鎮圧輪138に作用するので、鎮圧輪138により鎮圧作用を得ることができる。尚、鎮圧輪138が苗植付け体6の作動に伴って苗植付け体6の苗植付け挟持具31が植付軌跡Tの下死点から上昇して土壌内から退出するまでの間に圃場面に接するように、鎮圧輪上下動用カム141が設定されている。尚、鎮圧輪上下動用カム141の外周の切欠き141a以外の部分は等径となっており、この部分が鎮圧輪上下動用ローラ140に当接する間は鎮圧輪138が圃場面から浮き上がるようになっている。
【0040】従って、覆土輪84と鎮圧輪138とが側面視で重複するので、機体の前後長の短縮を図ることができる。また、覆土輪84と鎮圧輪138とが共に植付けた苗Nに近づくので位置関係が密接となり、覆土輪84により苗の周辺に適確に覆土できると共に、鎮圧輪138により苗植付け体6の上昇による苗の持ち帰りを防止でき、前上方へ斜めに上昇する苗植付け体6による植付穴の周辺の土壌の鎮圧を適確に行える。
【0041】また、鎮圧輪フレーム139には、苗植付け挟持具31の間に突入して該挟持具31間に詰まった土等を取り除いて清掃するブラシ状の清掃具94を鎮圧輪フレーム139に固着して設けている。この清掃具94は、鎮圧輪フレーム139の下動により、苗植付け挟持具31の植付軌跡Tの上昇過程で該挟持具31間に後側から突入するようになっている。これにより、前後に大きく動く苗植付け挟持具31の清掃ができ、揺動リンク37や駆動アーム34、苗植付け挟持具作動アーム42の作動に邪魔にならないように苗植付け体6の後側に清掃具94を配置できる。清掃具を苗植付け体と共に移動する構成とすると、他の部材と干渉したり苗植付け挟持具が挟持する苗と干渉したりして、苗の植付が適正に行えないおそれがある。また、清掃具94を鎮圧輪フレーム139に設けたので、格別に清掃具94を支持及び動作させるフレ−ムや作動機構が不要となり、機体のコンパクト化が図れ、良好な苗移植作業を行える。
【0042】この甘しょ苗移植機は、左右の前輪8及び後輪7により畝をまたいだ状態で走行装置4により機体は自走し、その自走する機体の苗搬送部5の上部横送り部5aに左側の前輪8及び後輪7が通る畝の谷部を歩行するべく左側の後輪7の後方にいる作業者から甘薯苗Nが供給される。苗搬送部5は供給された苗Nを搬送し、そして、苗搬送部5によって植付供給位置Aへ搬送されてきた苗Nを苗植付け体6が圃場に植付ける。苗搬送部5は、苗収容体26を苗搬送方向Cに複数備え、この苗収容体26に甘薯苗Nがその蔓tが前後方向に向く姿勢で収容される。上部横送り部5aにより機体上部側で左右一方向に搬送される苗収容体26に作業者が苗Nを供給するわけであるが、作業者は苗Nの蔓tの下端部をクリップ49に供給し苗を苗収容体26に固定する。苗が供給された苗収容体26は、上部横送り部5aに続いて下降送り部5bにより機体下方に搬送される。該下降送り部5bにより搬送されてきた苗収容体26は、上昇送り部5cにより機体上方に搬送されて前記上部横送り部5aの搬送始端側に戻る。苗植付け体6は、その苗植付け作用部6aが駆動部によって昇降動し、下降送り部5bにより植付供給位置Aへ搬送されてきた苗収容体26に収容された苗Nの後端部に該苗収容体26の後側で作用して苗を圃場に植付ける。このとき、苗Nが苗収容体26のクリップ49に挟持され固定されているが、このクリップ49の挟持力より苗植付け体6の苗植付け挾持具31の挟持力の方が大きいため、苗植付け体6が植付軌跡Tに沿って苗を後側に移動させることにより苗Nの蔓tがクリップ49から外れるようになっている。
【0043】従って、苗搬送部5は、苗収容部26のクリップ49の固定体50と可動体52との間に苗を供給して挾持させて固定し、苗収容体26を所定の搬送経路で搬送することにより苗を搬送する。この固定体50と可動体52との間に苗を供給するとき、固定体50が苗収容体26と一体であるから、苗収容体26に対する固定体50の位置が変化しないため、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行える。また、可動体52に対して固定体50を搬送経路の搬送方向下手側(上部横送り部3aにおいて右側)に配置しているので、上部横送り部5aにおいて搬送方向下手側の固定体50の上部50aで構成される苗案内部分で苗を案内しながら苗を供給することにより、作業者がクリップ49の移送動作を利用して可動体52を動かせて苗Nを固定体50と可動体52との間に供給することができ、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行え、移植作業能率を向上させるべく苗搬送部3を高速で作動させることができ、苗搬送部5の苗搬送作業の作業能率の向上を図ることができる。従来のクリップは、苗を挾持する一対の部材が共に可動体により構成されているので、このクリップヘ苗を挟持させるべく供給するとき、一対の可動体が変形するため苗収容部に対するクリップの位置が変化することがあり、更にクリップは搬送経路に沿って移送されることもあって、クリップへ苗を供給する作業が困難になるおそれがある。また、この苗供給作業が面倒なものであると、苗搬送装置の苗搬送作業の作業能率の向上が図れない。
【0044】また、苗搬送部5は、クリップ49を挟持する状態に強制的に切り替える挟持作動具137とクリップ49を挟持解除状態に強制的に切り替える挟持解除作動具136とを、苗収容部26の上部横送り部5aにおける搬送経路に沿う位置で且つ上部横送り部5aの搬送始端部と搬送終端部とに互いに両者を離して配置している。また、クリップ49を挟持解除状態に切り替えないように、挟持解除作動具136を非作用状態に切替可能に設けている。
【0045】従って、搬送経路に沿って苗収容部26が上部横送り部5aの搬送始端部に搬送されると、挟持解除作動具136によりその苗収容部26のクリップ49を挟持解除状態に強制的に切り替え、クリップ49は挟持解除状態となり、挟持解除状態となったクリップ49に苗を供給することができる。これにより、作業者が上部横送り部5aで苗を苗収容体26へ供給するときにはクリップ49が上方に開放しているので、クリップ49へ苗を落とし入れるだけでよく、該クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行え、苗搬送部5の苗搬送作業の作業能率の向上を図ることができ、苗の移植作業能率の向上を図ることができる。そして、搬送経路に沿って苗収容部26が上部横送り部5aの搬送終端部に搬送されると、該挟持作動具137によりその苗収容部26のクリップ49を挟持する状態に強制的に切り替え、クリップ49は苗を挟持して固定する。尚、甘薯苗は曲がってくせのあるものが多いために上部横送り部5aの搬送終端部までの搬送において苗収容部26内での苗の位置ずれが生じるおそれがある場合には、作業者が規制体131を苗収容体26の搬送上手側(左側)へ回動させてクリップ49を意識して挟持状態にしてもよい。クリップ49により固定された苗収容部26内の苗は、下降送り部5bを介して植付供給位置Aへ搬送される。
【0046】また、クリップ49を挟持解除状態に切り替えないように挟持解除作動具136を非作用状態に切り替えることにより、搬送経路に沿って苗収容部26が上部横送り部5aの搬送始端部に搬送されても、クリップ49を挟持状態のままにすることができる。従って、挾持解除作動具より搬送下手側の上部横送り部5aで挟持する状態のクリップ49に可動体52を回動させながら苗を供給すると同時に固定することができるので、曲がってくせのある甘薯苗をクリップ49の適正な位置へ確実に固定させることができ、苗搬送部5により適正な位置及び姿勢で植付供給位置Aへ確実に苗を搬送することができ、苗植付け体6により適正な植付深さ及び植付姿勢で安定して苗を植え付けることができ、植付精度の向上を図ることができる。
【0047】尚、植付け伝動ケース32の第三ケース部32cから出力される駆動軸33を不等速駆動するために、第三ケース部32c内の一対の伝動ギヤ100,101を偏心ギヤにする等して駆動軸33を不等速伝動機構を介して駆動することができる。このとき、苗植付け体6が植付軌跡Tの上死点付近で遅く下死点付近で速く作動するように不等速伝動すると、前記上死点付近の植付供給位置Aでの苗植付け挟持具31による苗の挟持を確実に行えて苗搬送部5からの苗の受け継ぎを確実に安定して行えるとともに、苗植付け体6が圃場の土壌内に突入する前記下死点付近では速く作動するので、土壌の植付穴を小さく維持したり苗植付け挟持具31による苗の持ち帰りを防止したりでき苗の移植を適正にすることができ、マルチフィルムを敷設した圃場で移植するときには移植用のマルチフィルムの穴が無闇に大きくならないようにできる。従来は、等速伝動ギヤ等で苗植付け体へ等速伝動していたので、苗植付け体を速く作動させると苗搬送部からの苗の受け継ぎが不安定になりやすく、逆に苗植付け体を遅く作動させると土壌の植付穴が大きくなったり苗の持ち帰りが生じたりマルチフィルムの穴が無闇に大きくなってマルチフィルムにより充分な保温効果が得られなかったりして適正な植付深さや植付姿勢で苗を植え付けられなかったり苗の栽培を良好に行えなかったりするおそれがある。
【0048】尚、図24に示すように、甘薯苗Nは、母体となる甘薯の種いも92から育成され、種いも92の側部からも芽が出て蔓tが伸長するが、太陽光等の光が上方からふりそそがれるので、それぞれの蔓が種いもの上方へ集中して伸びようとする。このとき、種いも92から鉛直方向に発生しない芽は上方へ向くように特にその蔓の下端部が曲がるが、複数の蔓が種いもの上方へ集中するので鉛直方向に対して傾斜した状態で蔓が伸長し、その蔓の軸心の上側に葉93が集中的につく。そして、種いも92から分離して採取されるそれぞれの蔓が苗となる。
【0049】この甘薯苗を移植するとき、作業者が苗の蔓tの下端部を苗搬送部5の上部横送り部5aにある苗収容体26のクリップ49へ固定させて供給するが、曲がっている蔓tの下端が下側へ向く状態で供給すると、その苗が苗搬送部5により搬送されて植付供給位置Aで蔓tの下端が上側へ向く状態となり苗の葉93が蔓に対して上側に向く。そして、苗植付け体6によりその姿勢のままで苗を土壌内に移植する。従って、苗植付け体6の苗の土壌内への搬送行程が単純であるため蔓が折れ曲がっりねじれたりしにくく移植精度が向上すると共に、傾斜させた蔓に対して葉が上側に集中的に向けられた状態で甘薯苗を移植できる。また、上下に延びる一対の苗植付け挟持具31が植付供給位置Aで前側に傾斜した状態で上側へ曲がった蔓tの下端を挟持するので、苗植付け挟持具31の向きを曲がった蔓tの下端の向きに対して垂直方向に近い状態にすることができ、植付供給位置Aで苗の位置が多少ずれても苗の挟持の確実化、安定化を図ることができ、適正な姿勢で苗を植え付けることができ、安定した苗の移植を行える。
【0050】よって、傾斜させた蔓tに対して葉が上側に集中的に向けられた状態で甘薯苗Nを移植できるので、移植された苗の葉93は土壌の外に突出して太陽光等の光を受光することができ、根の伸長も旺盛になり良好な成育が行え甘薯の栽培を旺盛にできる。また、蔓tの特に曲がりやすい蔓の下端の向きにより蔓の軸心に対する葉93の向きを判別して移植するので、この判別が容易となり、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行え、作業者の苗収容体26への苗供給作業の作業能率が向上し、移植作業能率を向上させるべく苗搬送部5を高速で作動させることができ、苗搬送部5の苗搬送作業の作業能率の向上を図ることができる。
【0051】ところで、図17に示すように、甘薯苗移植機1において、支持部材46を上部右側のスプロケット56の駆動軸60回りに上下回動させることにより、上部左側のスプロケット55を上下させて上部横送り部5aの上下位置を変更することができる。これにより、作業者の伸長に合わせて上部横送り部5aの高さを調節でき、苗搬送部5への苗供給作業の容易化を図ることができ、移植作業能率を向上させることができる。尚、上昇送り部5cにおいてチェン54に張力を与えるテンションスプロケット103を設けることにより、上部横送り部5aの上下位置を変更しても、適正に苗収容体26を搬送できるようにしている。
【0052】尚、図18及び図19に示すように、上部横送り部5aの左側に苗載台104を設けてもよい。この苗載台104から苗を取り出して上部横送り部5aへ苗を供給することにより、苗載台104及び上部横送り部5aが共に作業者から近い位置に配置されているので、上部横送り部5aへの苗供給作業を容易に行うことができる。尚、この苗載台104は、上部左側のスプロケット55の駆動軸59部から前後の苗載台支持フレーム105を介して支持されており、該苗載台支持フレーム105を前記駆動軸59部回りに回動させることにより非作業時に苗載台104を上部横送り部5aの上方へ重複させて機体の左右幅を狭めることができる。尚、この苗載台104は、上部左側のスプロケット55の駆動軸59部から支持されているので、前述の上部横送り部5aの上下位置の変更に伴って上下位置が変更され、苗載台104から上部横送り部5aへの苗供給作業を容易に行うことができる。
【0053】尚、図20は、異なるクリップ49を設けた構成を示すものである。このクリップ49は、右側の固定挟持体115と前後方向の挟持回動支点軸116a回りに回動する左側の可動挟持体116とを設けている。尚、固定挟持体115及び可動挟持体116には、苗Nの蔓tを挟持するための凹部を設けている。そして、固定挟持体115に固着された固定ピン115aと可動挟持体116に設けた長孔116bに沿って可動する可動ピン116cとの間には、引張スプリング117を設けている。尚、可動ピン116cは、固定ピン115a回りに回動するア−ム118の先端部に設けられている。そして、前記引張スプリング117が可動挟持体116の挟持回動支点軸116aの上側に位置するように可動ピン116cが長孔116bの上端部に位置するときは、可動挟持体116を引張スプリング117により苗Nを挟持する方向へ向けて回動付勢した状態となる。一方、引張スプリング117が可動挟持体116の挟持回動支点軸116aの下側に位置するように可動ピン116cが長孔116bの下端部に位置するときは、可動挟持体116を引張スプリング117により苗Nの挟持を解除する方向へ向けて回動付勢した状態となり、可動挟持体116の下部が固定挟持体115の下部に当たって苗Nの挟持を解除するべく両挟持体115,116間が上方に開いた状態となる。上部横送り部3aの搬送終端部には挟持作動具119を設けており、この挟持作動具119が苗収容部26の移送により可動ピン116cに下側から当たって該ピン116cを長孔116bの上端部に移動させ、引張スプリング117が死点越えして該スプリング117により可動挟持体116を苗Nを挟持する状態にする。一方、上部横送り部5aの搬送上手となる上昇送り部5cの搬送終端部には挟持解除作動具(図示せず)を設けており、この挟持解除作動具が苗収容部26の移送により可動ピン116cに当たって該ピン116cを長孔116bの下端部に移動させ、引張スプリング117が死点越えして該スプリング117により可動挟持体116を苗の挟持を解除する状態にする。従って、苗収容部26・・・が上部横送り部3aにあるときは、可動挟持体116が挟持解除状態となり、作業者が左右両挟持体115,116間に甘しょ苗Nの蔓tの後端部を供給するようになっている。そして、苗収容部26・・・が下降送り部5b及び植付供給位置Aを含む下部横送り部5dにあるときは、可動挟持体116が挟持状態となり、左右両挟持体115,116で供給された甘しょ苗Nの蔓tの後端部を挟持して固定し苗Nの位置が規制されるようになっている。
【0054】従って、上部横送り部5aにおいて苗収容部26・・・の両挟持体115,116が挟持解除状態となり作業者が苗を開放された両挟持体115,116の上方から供給することができ、苗収容部26・・・が搬送されて上部横送り部5aの搬送終端部で挟持作動具119により可動挟持体116が回動して苗Nを固定挟持体115側へ寄せ苗Nの蔓tの後端部を可動挟持体116及び固定挟持体115からなる一対の挟持体で挟持し、苗Nの後端部の上下及び左右位置が規制された状態で苗収容部26・・・を下降送り部5b及び植付供給位置Aを含む下部横送り部5dへ搬送する。
【0055】図21乃至図23は、更に、異なるクリップ49を示すものである。このクリップ49は、右側の固定挟持体115と左右方向の軸116aに沿って左右移動する左側の可動挟持体116とを設けている。前記軸116aの左端には該軸116a回りに回動する挟持操作具120を設けており、この挟持操作具120を上部横送り部5aにおいて作業者が押し下げ操作すると、挟持操作具120に固定された駆動側カム121により可動挟持体116に固定された従動側カム122を押し、可動挟持体116が固定挟持体115側へ移動して苗Nの後端部を挟持するようになっている。そして、上部横送り部5aにおいて押し下げ操作された挟持操作具120が植付供給位置Aでは苗植付け体6の昇降作動により押し下げられて(植付供給位置Aでは上部横送り部5aに対して挟持操作具120が上下反転するので、上部横送り部5aの挟持操作具120の姿勢を基準にすると該挟持操作具120が押し上げられることになる)、可動挟持体116の固定挟持体115側への移動の規制が解除されて苗Nの挟持を解除した状態となる。尚、図23に示すように、苗植付け体6の苗植付け挟持具31の外側に突出する挟持作動具123を固着して設け、該挟持作動具123が挟持操作具120に当接するようにして挟持操作具120を確実に操作できるようにするとよい。従って、苗収容部26・・・が上部横送り部5aにあるときは、植付供給位置Aでの苗植付け体6の作動による挟持操作具120の操作により可動挟持体116が挟持解除状態になっており、左右両挟持体115,116間に苗Nの蔓tの後端部を供給するようになっている。そして、苗Nを供給した後に作業者が挟持操作具120を押し下げ操作して可動挟持体116を挟持状態にすると、苗収容部26・・・が下降送り部5b及び植付供給位置Aまでの下部横送り部5dにあるときは可動挟持体116が挟持状態となり、左右両挟持体115,116で供給された甘しょ苗Nの蔓tの後端部を挟持して固定し苗Nの位置が規制されるようになっている。
【0056】従って、上部横送り部5aにおいて苗収容部26・・・の両挟持体115,116が挟持解除状態となり作業者が苗Nを開放された両挟持体115,116の上方から供給することができ、作業者の挟持操作具120の押し下げ操作により駆動側カム121及び従動側カム122を介して可動挟持体116が移動して苗Nを固定挟持体115側へ寄せ苗Nの蔓tの後端部を可動挟持体116及び固定挟持体115からなる一対の挟持体で挟持し、苗Nの後端部の上下及び左右位置が規制された状態で苗収容部26・・・を下降送り部5b及び植付供給位置Aを含む下部横送り部5dへ搬送する。尚、苗植付け体6の作動により両挟持体115,116の挟持を解除するようになっているので、苗植付け体6により苗を植付ける直前まで確実に苗Nの位置を規制することができ、苗植付け体6の苗植付け挟持具31により苗Nの後端部を確実に挟持して苗植付け体6が苗に確実に作用して植付けることができる。しかも、苗植付け体6の苗植付け挟持具31が苗を挟持して苗に作用するときには苗収容部26・・・の両挟持体115,116の苗の挟持が解除されるので、前記両挟持体115,116の苗Nの挟持が苗の植付に支障を与えることがない。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【識別番号】000239725
【氏名又は名称】文明農機株式会社
【住所又は居所】鹿児島県日置郡伊集院町麦生田681−8
【出願日】 平成14年3月4日(2002.3.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−250311(P2003−250311A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−57609(P2002−57609)