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【発明の名称】 移植機における苗移植方法及び苗移植装置
【発明者】 【氏名】福本 仁志
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】福高 恭史
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】移植装置の構造や動作の簡素化等を図り、移植機の全高を低くできるようにする。

【解決手段】畝に移植用の凹部Hを形成する凹部形成手段22と、多数のソイルブロック苗Nを備えた苗トレイTを載置する苗載せ台17と、この苗載せ台17上の苗トレイTから一つずつソイルブロック苗Nを取り出して畝Rの上面近傍にまで移送し且つ前記移植用凹部Hに対してソイルブロック苗Nを放出して植え付ける苗取出手段21と、苗取出手段21の後側で移植用凹部Hに覆土する覆土手段19とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗取出具によって苗載せ台上の苗トレイからソイルブロック苗を取出した後にこのソイルブロック苗を畝の上面近傍に移送する一方、苗取出具の前側で凹部形成具によって畝に移植用凹部を形成し、この移植用凹部に対して前記苗取出具により移送したソイルブロック苗を放出し、その後移植用凹部に覆土するようにしたことを特徴とする移植機の苗移植方法。
【請求項2】 前記凹部形成具は、上下に昇降自在で下降したときに穴状の移植用凹部を形成するものである請求項1に記載の移植機の苗移植方法。
【請求項3】 前記凹部形成具に畝を覆う農用膜体に対して植付用の孔を形成する穿孔具が付設され、移植用凹部を形成する際に前記穿孔具により農用膜体に植付用孔を形成するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の移植機の苗移植方法。
【請求項4】 畝に移植用の凹部を形成する凹部形成手段と、多数のソイルブロック苗を備えた苗トレイを載置する苗載せ台と、この苗載せ台上の苗トレイから苗取出具により一つずつソイルブロック苗を取り出して畝の上面近傍にまで移送し且つ前記移植用凹部に対してソイルブロック苗を放出する苗取出手段と、苗取出手段の後側で移植用凹部に覆土する覆土手段と、を備えていることを特徴とする移植機の苗移植装置。
【請求項5】 前記凹部形成手段は、畝に穴状の移植用凹部を形成する凹部形成具と、この凹部形成具を上下に昇降する昇降機構とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の移植機の苗移植装置。
【請求項6】 前記凹部形成具に、畝を覆う農用膜体に植付用の孔を形成する穿孔具を付設して備えていることを特徴とする請求項5に記載の移植機の苗移植装置。
【請求項7】 前記穿孔具が畝に接触したときに植付方向への進行により後方へ揺動可能に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の移植機の苗移植装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移植機の苗移植方法及び苗移植装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の移植機としては、例えば、特開平12−41424号公報に記載されたものがある。この技術は、走行機体に、縦横に多数のポット部を有する苗トレイを縦横に搬送する苗載せ台と、ポット部に植えられた苗を一つずつ取り出す苗取出装置と、この取り出した苗を受け取って畝に植え付ける植付体とを備え、畝に沿って走行しながら畝長手方向に順次苗を植え付けるものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術では、苗トレイから取り出したソイルブロック苗を一旦植付体に放出し、その後植付体により植え付けているため、構造が大型化、複雑化してコストが高騰するとともに、苗取出爪と植付体とのタイミングをあわせるなどの調整や動作制御が複雑となる。また、植付体は、上昇したときに苗取出装置から苗を受け取り、下降したときに苗を植え付けるように上下に昇降運動するものとなっているため、この昇降ストロークを確保するために苗載せ台や苗取出装置を高位置に配設しなければならず、これにより移植機の全高が高くなってビニールハウス内等の高さの制限がある場所で利用できないことがあった。
【0004】本発明は、このような問題を解決し、移植装置の構造や動作の簡素化等を図り、移植機の全高を低くし得るようにすることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために以下の技術的手段を講じている。すなわち、本発明にかかる苗移植方法は、苗取出具によって苗載せ台上の苗トレイからソイルブロック苗を取出した後にこのソイルブロック苗を畝の上面近傍に移送する一方、苗取出具の前側で凹部形成具によって畝に移植用凹部を形成し、この移植用凹部に対して前記苗取出具により移送したソイルブロック苗を放出し、その後移植用凹部に覆土するようにしたことを特徴とし、本発明にかかる苗移植装置は、畝に移植用の凹部を形成する凹部形成手段と、多数のソイルブロック苗を備えた苗トレイを載置する苗載せ台と、この苗載せ台上の苗トレイから苗取出具によりソイルブロック苗を取り出して畝の上面近傍にまで移送し且つ前記移植用凹部に対してソイルブロック苗を放出する苗取出手段と、苗取出具の後側で移植用凹部に覆土する覆土手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0006】これによれば、苗取出具(苗取出手段)により苗載せ台上の苗トレイから取り出したソイルブロック苗を畝の上面近傍にまで移送し、凹部形成具(凹部形成手段)により形成した移植用凹部に直接放出して植えつけるため、従来のような上下に昇降する植付体は不要となり、構造の簡素化や小型化、動作の簡素化が図れるとともに苗移植装置全体を低くすることができ、ビニールハウス等での移植作業に好適に利用可能となる。ここで、上記苗取出手段においては、苗取出具を畝に突入して苗を植えつけるのではなく、畝の上面近傍へと移送するにとどめているため、畝への突入による抵抗を生じたりソイルブロック苗の床土を崩すこともなく、移植用凹部に苗を放出することでスムーズで安定した移植作業が実現される。
【0007】前記凹部形成手段は、畝に穴状の移植用凹部を形成する凹部形成具と、この凹部形成具を上下に昇降する昇降機構とを備え、この凹部形成具を下降したときに畝に没入して移植用凹部を形成するように構成するのが好ましい。ただし、畝の長手方向に沿って溝状の移植用凹部を形成するものとしてもよい。上記凹部形成具には、畝を覆う農用膜体に対して植付用の孔を形成する穿孔具が付設されることが推奨される、この場合、凹部形成具を上下昇降する機構を利用して穿孔具をも上下に昇降し、下降したときに移植用凹部と同時期に穿孔具により植付用の孔を形成することができるようになる。
【0008】また、前記穿孔具は、畝に接触したときに植付方向への進行により後方へ揺動するように設けられていることが好ましい。移植機においては作物の種類等に応じて進行速度を適正に変速させて作業を行うが、この進行速度が速い場合、穿孔具が畝に接触している間の移植機の進行量が大きくなり、畝に接触したまま穿孔具が前方移動して植付用の孔が前後に長大化し、農用膜体による保温効果等を損なったり雑草が生える原因となる。しかしながら、上記のように穿孔具を後方へ揺動するように設けることでこのような問題が解消できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図7は、本発明の実施形態にかかる移植機1の全体を示しており、該移植機1は、走行体2の後部に苗移植装置3及び操縦ハンドル4を備えた歩行型であり、畝Rを跨いだ状態で畝長手方向に走行しながら、ソイルブロック苗Nを畝Rに所定間隔をおいて自動的に植え付けるようにしたものである。なお、以下において、移植機1の進行方向を前後方向とし、進行方向に直交する横方向を左右方向として説明する。
【0010】走行体2は、ミッションケース5の前部に架台6を前方突出状に取付固定し、且つこの架台6にエンジン,燃料タンク、バッテリー等を搭載して構成され、左右両側に備えた前輪7及び後輪(駆動輪)8によって畝Rを跨いで走行するものとなっている。エンジンの動力はミッションケース5に入力され、該ミッションケース5の左右両側面から突出する車輪伝動軸9から取り出せるようになっており、車輪伝動軸9には、下部に前記後輪8を備えた伝動ケース10の上部が連結され、伝動ケース10内の巻掛伝動機構を経て後輪8に動力が伝達されるようになっている。
【0011】前輪7は、架台6の前部から左右方向に延びる前輪支軸11にアーム12を介して取り付けられている。苗移植装置3は、ミッションケース5から後方へ延伸する移植フレーム15に設けられており、苗トレイTを載置する苗載せ部(苗載せ台)17と、この苗トレイTからソイルブロック苗Nを取り出して畝Rに植えつける植付部18と、苗を植えつけたのちに覆土する覆土部(覆土手段)19を有しており、上記苗トレイTは、薄肉のプラスチック製で可撓性を有し、所定のピッチで縦横に多数のポット部Pを備え、各ポット部Pにソイルブロック苗Nを育成したものとなっている。覆土手段19は、左右一対の覆土輪を移植フレーム15に回転自在に支持して畝上面を転動するものとなっている。ただし、ソリ状の覆土部材で畝上面を滑走するものとしてもよい。
【0012】苗載せ台17は、従来公知の態様で横送り機構により左右方向に往復移動し、後述する苗取出具20により苗トレイT横一列のソイルブロック苗Nを取り出したのち、縦送り機構により苗トレイTをポット部P1ピッチ分縦送りするものとなっている。前記植付部18は、苗取出具20によって苗トレイTから1つずつ苗Nを取出したのち畝Rの上面近傍にまで移送して放出する苗取出手段21と、苗Nが植付けられる位置に予め移植用の凹部を畝に形成する凹部形成手段22と、を備えている。
【0013】前記凹部形成手段22は、1つのソイルブロック苗Nよりやや大きく略相似形状に形成された凹部形成具23と、この凹部形成具23を上下に昇降させる昇降機構24とを備え、この昇降機構24は、図2に示すように、駆動軸25と、この駆動軸25に固定されたカム26と、前端が移植フレーム15に枢結された上下のリンク部材27と、このリンク部材27の後端に枢結された取付フレーム28とを備え、該取付フレーム28に凹部形成具23の上部がボルト等により固定されている。
【0014】取付フレーム28は、リンク部材27に枢結された上側部材28Aと、この上側部材28Aに連結された下側部材28Bとを備え、上側部材28Aの下部には前後方向に長い取付孔28Cが形成され、この取付孔28Cを介してボルト等の締結具29Aにより下側部材28Bが前後位置調整自在に連結されている。下側部材28Bには、前後に2つの取付孔28Dが上下複数段に形成され、このいずれかの取付孔28Dを選択してボルト等の締結具29Bにより凹部形成具23が高さ調整自在に連結される。
【0015】前記駆動軸25は、ミッションケース5のPTO軸13から伝動機構等を介して動力が伝達されて矢示方向に回転駆動し、これに固定されたカム26が同方向に回転する。そして、上側のリンク部材27に回転自在に支持されたローラ27Aがカム26の外周面に倣って転動し、カム26の外周部に形成した凹陥部26Aにローラ27Aが落ち込むことによりリンク部材27が下方に揺動し、その後凹陥部26Aからローラ27Aが抜け出ることで上方に揺動する。このリンク部材27の上下揺動により凹部形成具23が上下に昇降し、下降したときに畝Rの上面に没入して移植用の凹部(穴)Hを形成するようになっている。
【0016】図7に示すように、苗取出手段21は、苗トレイTにおけるポット部Pに突入可能な左右一対の苗取出爪30を有する苗取出具20と、苗取出爪30に図6にXで示すような略8の字の軌跡を描かせながら苗トレイTから苗Nを取り出して移送するように苗取出具20を作動する作動機構31とを備えている。苗取出爪30は、図3に示すように、前後に長い棒状に形成された爪支持体33の先端に取り付けられており、この爪支持体33は、保持体34の上側筒部34Aに対して軸心方向摺動(進退)自在に挿通されている。
【0017】爪支持体33と筒部34Aとの間には、圧縮コイルバネよりなる後退付勢具35が設けられ、この後退付勢具35によって爪支持体33が保持体34に対して後退する方向(苗トレイTから離反する方向;図3の左方向)へ付勢されている。左右一対の苗取出爪30は、板材の上下中途部が左右外側に突となるように略く字状に屈曲したヘラ状であり、その基端部が支軸ピン33Aを介して回動自在に爪支持体33の先端に枢支され、一対の先端部間隔を拡縮自在に構成している。
【0018】なお、苗取出爪30は、板材を略L字状に屈曲したものや丸棒状(針状)に形成したものに置換可能である。爪支持体33は筒状に形成され、その内部には、ロッド37が軸心方向進退自在に挿通されており、このロッド37の先端部にはガイド具(放出具)38が設けられている。このガイド具38は板材により形成されるとともに、苗取出爪30が挿通する溝又は孔38Aを有し、爪支持体33内をロッド37が進退移動することによって苗取出爪30に相対して進出又は後退するようになっている。
【0019】また、苗取出爪30に対してガイド具38が後退すると該ガイド溝38Aに案内されて一対の苗取出爪30間が狭まり、逆に、苗取出爪30に相対してガイド具38が進出すると一対の苗取出爪30間が広がるようになっている。爪支持体33とロッド37の間には、圧縮コイルバネよりなる進出付勢具39が設けられており、この進出付勢具39によって苗取出爪30に対してガイド具38が進出する方向(図3の右方向)へ付勢されている。保持体34には、爪支持体33(苗取出爪30)を保持体34に対して進出した状態に保持するとともに、保持体34に対してガイド具38(ロッド37)を後退した状態に保持するロック手段40が設けられている。
【0020】このロック手段40は、保持体34の後部に回動自在に枢結された作用部材41を有し、この作用部材41は、前側のロック片41Aと後側の解除片41Bと下側の操作片41Cとを備えてT字状に形成され、バネによって図3の時計方向に付勢されている。爪支持体33の後部にはロック部材42が上下動自在に枢結され、このロック部材42の先端に形成した爪は、保持体34に対して爪支持体33が進出したときに、保持体34の後部に設けた被係合部34Bに係合可能とされている。
【0021】ロッド37の後端部には側面視L字状の当接片43が設けられ、この当接片43は保持体34に対してロッド37を後退したときに作用部材41のロック片41Aに係合可能とされている。当接片43は、作用部材41の反時計回りの回動によりロック片41Aとの係合が解除され、この解除によって進出付勢具39の作用でガイド具38が保持体34に対して進出する。なお、当接片43のロックが解除されると、当接片43の先端がロック部材42に形成した傾斜面42Aに当接することによって該ロック部材42が押し上げられ、被係合部34Bから離脱する。これにより、後退付勢具35の作用で保持体34に対して爪支持体33が後退するようになっている。さらに、作用部材41の後部に設けた解除片41Bもロック部材42を押し上げることとなるため、ロック部材42の解除の確実性が増している。
【0022】作動機構31は、図4及び図5に示すように、移植フレーム15に固定されたギヤケースからなる支持フレーム45に回転自在に支持された駆動軸46を有し、該駆動軸46にはクランク体47が設けられ、このクランク体47は略3角形状を呈した板材により形成され、その一角の側面に係合ローラ48と押動ローラ49とを同軸芯状に備えている。駆動軸46の下方に設けられた揺動軸50には、揺動アーム51が前後揺動自在に枢支されており、この揺動アーム51の上部に前記保持体34の筒部34Aがピン52を介して回動自在に枢結されている。
【0023】揺動アーム51には上下方向に長い溝カム51Aが形成され、この溝カム51Aに係合ローラ48が係合している。従って、駆動軸46が回転すると、クランク体47及び係合ローラ48を介して揺動アーム51が揺動軸50を支点として前後に揺動運動する。溝カム51Aは、図4に示すように、A〜Fのカム面によって構成され、係合ローラ48が溝カム51Aの内周面に、A→B→C→D→E→Fの順番で当接していくことによって、ポット部P内のソイルブロック苗Nの床土を苗取出爪30により突き刺した後、苗トレイTから後退して苗Nをポット部Pから取り出し、この取り出した苗Nを畝Rの上面近傍に移動して放出し、その後、もとの位置に戻るように苗取出具20が動作され、これを繰り返すことにより、苗トレイTの苗Nが1つずつ移植用凹部Hに植えつけられるようになっている。
【0024】なお、A〜Fの各部に対応して苗取出爪の移動行程が決定されており、図6にも示すように、A行程は苗突き刺し行程、B行程は苗取出具引き離し行程、C行程は往動行程、D行程は減速繋ぎ行程、E行程は苗取出爪停止行程、F行程は復動行程となっている。上記溝カム51Aは、その上下中途部範囲が係合ローラ48よりも幅広とされ、そのため、クランク体47には、係合ローラ48と対向する側面にカム面47Aを形成しており、このカム面47Aを揺動アーム51に設けたカムフォロア51Bに当接することによって、係合ローラ48が溝カム51Aの後側面に確実に沿うように構成されている。
【0025】また、溝カム51Aの前側面(E範囲)に対して係合ローラ48が当接するように揺動アーム51は苗トレイT側にバネ等によって付勢されていることが望ましい。支持フレーム45の上部に設けた取付部材54には、支軸55を介してガイド板56の後部が枢支されており、このガイド板56には、苗取出具20における保持体34の筒部34A後部に設けられたガイドローラ57が係合するガイド溝56Aが形成されている。
【0026】そして、ガイドローラ57がガイド溝56A内に沿って移動することにより、苗取出爪30をポット部Pに突入する後向きの姿勢(図5)と、畝Rに苗Nを放出する略下向きの姿勢(図6)とに苗取出具20を姿勢変更するものとなっており、このため、ガイド溝56Aの後部側は、ガイドローラ57を揺動アーム51の揺動軸50から離れる方向に移動させる形状とされている。ガイド板56の前部側は、取付部材54に対してターンバックル式の連結具58により連結されており、この連結具58を伸縮することによりガイド板56(ガイド溝56A)の角度を調整可能である。
【0027】図3〜図6に示すように、保持体34の下部には軸59を介して押出リンク60が枢結されており、この押出リンク60の先端部は、爪支持体33にピン等を介して係合されている。押出リンク60は、押動ローラ49に当接可能な当接板60Aを備え、クランク体47を反時計回りに回転して押動ローラ49を当接板60Aに当接する(A行程)と、図3の如く押出リンク60が前方に押されるとともに、爪支持体33及び苗取出爪30が保持体34に対して進出し、該苗取出爪30がポット部Pに突入するとともに、後退付勢具35が圧縮されるようになっている。
【0028】ここに、駆動軸46、クランク体47、押動ローラ49及び押出リンク60等は、保持体34に対して苗取出爪30を進出させる進出駆動手段を構成している。また、苗取出手段21は、進出駆動手段による苗取出爪30のポット部Pに対する突入方向への移動を所定に規制する規制手段を備えている。この規制手段は、押出リンク60の当接板60Aに一体的に取り付けられた規制具60Bを有し、押動ローラ49は、押出リンク60を押動操作する際に規制具60Bと当接板60Aの間を通過するようになっており、押出リンク60が所定以上後方(苗トレイT側)への揺動しようとしたとしても規制具60Bが押動ローラ49の背面(前面)に当接することによってその揺動が阻止されるようになっている。
【0029】図5、図6に示すように、前記支軸55には、苗取出具20における前記作用部材41の操作片41Cに当接することで作用部材41を回動させる作動体61が枢支されており、この作動体61は、筒状の支持部62から第1,第2アーム63,64を突設して構成され、第1アーム63は斜め下方に突設され、先端側に係合部63Aが設けられている。第2アーム64は、後方に延伸されたのち上方へ向けて延伸され、先端に作用部材41の操作片41Cに当接可能な解除片64Aが設けられている。
【0030】駆動軸46の外周部にはカム65が一体回転するように設けられており、該カム65は円筒状の外周の一部に径方向に突出する被係合部65Aを備えている。取付部材54と第2アーム64との間には、第1アーム63の係合部63Aがカム65の外周面に当接するように作動体61を付勢するバネ66が設けられている。第1アーム63の係合部63Aが被係合部65Aを除くカム65外周に当接している間、作動体61は動かず、係合部63Aが被係合部65Aに乗り上げると作動体61は軸55回りに反時計方向に回動し、被係合部65Aが係合部63Aから外れるとバネ66によって元の位置に戻される。
【0031】そして、苗Nが放出位置に移送されたとき(図6の状態)、作用部材41の操作片41Cが解除片64Aの下方側に位置し、さらに係合部63Aが被係合部65Aに乗り上げることにより作動体61が回動し、解除片64Aが操作片41Cを押動する。この動作によって作用部材41が回動し、当接片43のロックが解除されて進出付勢具39により苗放出具(ガイド具)38が進出する。この苗放出具38の進出により、苗取出爪30に保持しているソイルブロック苗Nは先端側へ押し出され、前記凹部形成手段22にて形成した移植用凹部Hに向けて放出される。
【0032】また、当接片43によって又は作用部材41の解除片41Bによってロック部材42が押し上げられるため、後退付勢具35によって爪支持体33(苗取出爪30)及び苗放出具38が保持体34に対して後退する。図6に示すように、前記取付部材54にはストッパ67が設けられており、このストッパ67は、苗取出爪30が苗放出位置に移動したときに規制具60Bが当接し、押出リンク60の回動を阻止するようになっている。このため、作用部材41が前記解除片64Aとの当接により回動し、ロック部材42が解除されたとしても即座に保持体34に対して爪支持体33(苗取出爪30)が後退せず、苗取出爪30を略停止した状態で苗放出具38を進出して苗Nを放出することができるようになっている。
【0033】これによって移植用凹部Hに対して正確に且つ安定して苗Nを放出可能となっている。ここに、揺動アーム51の溝カム51A形状(特にカム面E)、ストッパ67等は、ソイルブロック苗Nを放出する際に苗取出具20を略停止させるように動作制御する制止手段を構成している。なお、ストッパ67と規制具60Bとの当接は、F行程(復動行程)において苗取出具20が苗トレイTに近づく動作により解除されるようになっている。
【0034】以上説明した構成により、苗トレイから苗を取り出して畝に放出するまでの過程を説明する。駆動軸46及びクランク体47を回転すると、揺動アーム51が前後に揺動するとともに保持体34が前後に移動し、この保持体34のガイドローラ57がガイド溝56Aに案内されることによって、苗取出爪30及びガイド具38が、図5の苗トレイTに対向する後向きの状態と、図6の移植用凹部Hに対向する下向きの状態との間で姿勢変更される。
【0035】苗トレイTのポット部Pに苗取出爪30が突入する直前では、爪支持体33(苗取出爪30)は保持体34に対して後退し且つロッド37(ガイド具38)は爪支持体33に対して進出した状態とされ、苗取出爪30の先端部は苗トレイTに対向する。そして、クランク体47を回転することによって押動ローラ49で押出リンク60を押し出すと、図1及び図5に示すように、苗取出爪30は保持体34A及びガイド具38から進出して先端部が軌跡XのP2に配設され、ポット部P内に突入するようになっている(A行程)。
【0036】また、ガイド具38は、ロック手段40によって保持体34に対する位置が保たれているので、苗取出爪30はガイド具38との相対移動により一対の間隔を狭めながら苗Nの根鉢部を左右から挟み込むようにして保持する。ここで、押動ローラ49によって押出リンク60を後方へ押し出したとき、その方向への慣性力や各部品間のガタ等に起因して、苗取出爪30がポット部Pへの突入方向へ所定以上に移動しようとする場合があるが、押出リンク60には規制具60Bが設けられているので、該規制具60Bが押動ローラ49に当接することにより苗取出爪30の移動が規制されるようになっている。
【0037】そのため、苗取出爪30がポット部Pの底部を突き破ったり、苗載せ台17の底板に突き刺さるようなことはほとんどなく、ポット部Pや苗取出爪30等の損傷を防止できるようになっている。すなわち、前記規制手段は、移植作業の高速化を図るべくクランク体47を高速で回転した場合等であって、苗取出爪30の突入方向の慣性力が大きくなる場合に特に有用なものであり、言い換えれば、規制手段を備えることによって移植作業(苗取出動作)の高速化が実現するのである。
【0038】また、苗取出爪30の突入方向の移動が所定に規制されるので、ガイド具38を介して一対の苗取出爪30間が一時的に所定以上に狭まるようなことはほとんどなく、その結果、苗Nの挟持が緩んで苗Nの取出しに失敗したり、苗移送中に苗Nを落下させることもほとんどなく、欠株等の発生を防止できるものとなる。苗取出爪30をポット部Pに突入したのちクランク体47を更に回転すると、揺動アーム51の前方揺動によって保持体34、苗取出爪30及びガイド具38等が一体的に前方移動し、苗取出爪30で保持した苗Nがポット部Pから抜き出される(B行程)。
【0039】その後、図1及び図6に示すように、苗取出爪30は軌跡Xを経て畝Rの上面近傍に移動し(C行程)、作用部材41の操作片41Cが解除片64Aに当接するとともに該解除片64Aが矢示方向に移動して作用部材41を回動し、ロッド37後端の当接片43と作用部材41のロック片41Aとの係合が解除されるとともに、ロック部材42がロック解除される(E行程)。この際、予め圧縮力が蓄積された進出付勢具39によってロッド37が爪支持体33に対して進出し、苗取出爪30で保持した苗Nをガイド具38(図6の2点鎖線)によって押し出し、畝Rに形成した移植用凹部Hに放出する。
【0040】また、前記規制具60Bがストッパ67に当接することによって苗取出爪30の進出状態は保持されるようになっている。なお、C行程とE行程との間のD行程は、苗取出具20を最大揺動位置(図6)まで緩やかに移動させる行程となっている。E行程において、揺動アーム51に形成した溝カム51Aの前側面は、図4に示すように駆動軸46を中心とする円弧状に形成されており、苗Nを放出する直前及び後にこの円弧状範囲に沿って係合ローラ48が移動することによって揺動アーム51(苗取出爪30)の動きが停止するものとなっている。
【0041】すなわち、苗放出後、即座に苗取出爪30を軌跡X上で移動したとすると、放出された苗Nの葉を苗取出爪30が蹴ることによって苗Nの姿勢を崩してしまう恐れが生じるが、上記のように苗放出後の所定時間(例えば、苗Nが移植用凹部Hに収まるまでの時間)だけ苗取出爪30の運動を停止することによって苗Nの葉部を蹴ってしまうようなことを防止できるものとなっている。苗放出後、再び、苗取出爪30が苗トレイT側に移動する(F行程)に従って、ストッパ67から規制具60Bが外れ、後退付勢具35によって爪支持体33(苗取出爪30)及びロッド37(ガイド具38)が共に保持体34に対して後退され、再び苗トレイTへ対向する姿勢となって上記動作が繰り返される。
【0042】また、移植用凹部Hに植付けられた苗は、後部の覆土輪19によって覆土・鎮圧される。図8は、本発明の第2実施形態にかかる凹部形成手段22を示すものである。この凹部形成手段22では、畝を農用膜体(マルチフィルム)Fが敷設されている場合にこの農用膜体Fに対して植付用の孔を穿孔する穿孔具70を凹部形成具に付設したものとなっている。具体的には、取付フレーム28の下側部材28Bに形成した前後上下の取付孔28Dのうち、後列のもののいずれかに対して取付ブラケット73の上部を連結し、この取付ブラケット73の下部に凹部形成具23を設け、この凹部形成具23を囲うようにして穿孔具70が設けられる。
【0043】この穿孔具70は、ガスバーナーや電熱線等による熱で農用膜体を溶かして植付孔を形成するヒーター式又はカッター刃によって植付孔を切断するカッター式等として構成され、凹部形成具23よりも大径の植付孔を形成するものとされており、さらに、凹部形成具23よりも先に畝(農用膜体F)に接触するように、その下端が凹部形成具23よりも下側に位置し、昇降機構24により下降したときに畝上面に支持されることにより上方にスライドし、これと相対して凹部形成具23が畝Rに没入するものとなっている。
【0044】上記取付ブラケット73は、上部後側28Cに設けた軸部71を取付孔28Dに取り付けることで当該軸部71を支点として前後揺動自在であり、凹部形成具23及び穿孔具70が下向きの状態で、前列の取付孔28Dに設けたストッパ72にその上端縁が当接して前方への揺動が規制されるようになっている。移植機においては、作物の種類や圃場の条件等により適正な進行速度で苗を植えつけるが、この速度が速い場合には穿孔具70が農用膜体Fに接触している間の走行体2の進行量が大きくなり、穿孔具70が引きずられて植付孔が前後に長大化する恐れがある。しかしながら、本実施形態の穿孔具70では、軸部71を支点として揺動自在とされているため、引きずられることなく農用膜体Fに接触したまま後方へ揺動し、上記の不具合を解消することができるようになっている。
【0045】また、移植用凹部についても凹部形成具23を後方へ揺動することにより前後に長大化することが防止される。本発明は上記実施形態に限ることなく特許請求の範囲内において適宜変更することが可能である。苗取出手段21としては、従来より公知の苗取出装置(例えば、特開平12−41424号公報参照)を流用して、苗トレイTからソイルブロック苗Nを取り出した後に畝Rの上面近傍まで移送する構成とすることができる。
【0046】凹部形成手段22は、凹部形成具23により畝の長手方向に沿って溝状の移植凹部を形成する構成としてもよい。第2実施形態において、凹部形成具23そのものを加熱又は発熱したり、下面にカッター等を備えることにより穿孔具として構成することも可能である。上記実施形態では、歩行型移植機を示しているが乗用型の移植機とすることができ、1条植えに限らず多条植えタイプの移植機とすることができる。また、苗取出装置と苗載せ台の配置は前後逆としてもよい。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、構造や動作の簡素化が図れ、移植機の全高を低くすることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成14年2月18日(2002.2.18)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開2003−235311(P2003−235311A)
【公開日】 平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願番号】 特願2002−40585(P2002−40585)