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【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】福本 仁志
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】川端 權四郎
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】走行体2の進行速度が速い場合であっても穿孔器33によって適正に植付孔を形成する。

【解決手段】畝Rを被覆する農用膜体Fに対して植付孔を形成する穿孔装置22は、上下に昇降するとともに下降したときに農用膜体Fに接触して植付孔を形成する穿孔器33を備え、この穿孔器33は、農用膜体Fに接触したたときに走行体2の進行により後方へ揺動可能として設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行体(2)により畝(R)に沿って走行しながら該畝(R)を被覆する農用膜体(F)に対して穿孔装置(22)により植付孔を形成し、該植付孔に合わせて畝(R)に苗を植え付けるようにした移植機において、前記穿孔装置(22)は、上下に昇降するとともに下降したときに農用膜体(F)に接触して植付孔を形成する穿孔器(33)を備え、この穿孔器(33)は、農用膜体(F)に接触したときに走行体(2)の進行により後方へ揺動するように設けられていることを特徴とする移植機。
【請求項2】 穿孔器(33)が軸(45)を介して揺動自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】 下向きの姿勢から進行方向前側への穿孔器(33)の揺動を制限するストッパ(47)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移植機。
【請求項4】 穿孔器(33)が自重により下向きの姿勢とされることを特徴とする請求項3に記載の移植機。
【請求項5】 穿孔器(33)が高さ調整自在に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は移植機に係り、特に畝を被覆する農用膜体(マルチフィルム)に対して苗植付用の孔を形成する穿孔装置を具備した移植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】農用膜体で被覆した畝に対して苗を植え付ける移植機では、上下に昇降する穿孔器を農用膜体に接触して苗植付用の孔(植付孔)を形成し、その後側に配設された植付部により植付孔に合わせて畝に苗を植え付けるようになっている。上記穿孔装置としては、ガスバーナーや電熱線により加熱された穿孔器を農用膜体に接触することで熱で溶かして孔をあけるもの(ヒーター式)や、下面にカッターを具備した穿孔器を農用膜体に接触させて切断することにより孔をあけるもの(カッター式)等が従来より知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような移植機では、苗の種類や圃場の条件等に応じて株間や移植スピードを変化させるため、走行体の速度を複数段に変速可能となっている。しかし、走行体の進行速度が速い場合、穿孔器が農用膜体に接触している間の走行体の進行量が増えるため、穿孔器が農用膜体に接触した状態のまま前方に引きずられてしまうことがあった。この場合、従来のヒーター式穿孔器では植付孔が前後に長大化してしまい、農用膜体による保温効果が損なわれてしまうとともに雑草が生えやすくなり、カッター式の穿孔器では農用膜体が前側に引っ張られて植付孔と苗とに位置ズレが生じ易くやすくなるという欠点があった。
【0004】本発明は、このような実情に鑑み、走行体の進行速度が速い場合であっても穿孔器によって適正に植付孔を形成することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために以下の技術的手段を講じている。すなわち、本発明は、走行体2により畝Rに沿って走行しながら該畝Rを被覆する農用膜体Fに対して穿孔装置22により植付孔を形成し、該植付孔に合わせて畝Rに苗を植え付けるようにした移植機において、前記穿孔装置22は、上下に昇降するとともに下降したときに農用膜体Fに接触して植付孔を形成する穿孔器33を備え、この穿孔器33は、農用膜体Fに接触したときに走行体2の進行により後方へ揺動するように設けられていることを特徴としている。
【0006】このような構成を採用することによって、走行体2の進行速度が速い場合、すなわち穿孔器33が農用膜体Fに接触している間の走行体2の進行量が大きい場合であっても、穿孔器33が引きずられることなく農用膜体Fに接触した状態で後方へ揺動するようになり、接触部分における農用膜体Fに対する相対移動が小さくなる。このため、植付孔が前後に長くなったり農用膜体Fを引っ張ることもほとんどなく、適正に植付孔を形成することができるようになる。上記構成において、穿孔器33は軸45を介して揺動自在に設けられていることが好ましい。これによって簡単な構造により上記の作用を得ることができる。
【0007】また、下向きの姿勢から進行方向前側への穿孔器33の揺動を制限するストッパ47が設けられていることが好ましく、このようにすれば、穿孔器33が農用膜体Fに接触するとき等に不適切に前側に傾いてしまうことがなくなり、確実に所望形状の植付孔を形成することが可能となる。また、穿孔器33は、高さ調整自在に取り付けられていることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図3は野菜の苗Nを畝に移植する移植機1を示し、この移植機1は走行体2の後方に移植装置3および操縦ハンドル4を有する歩行型であって、走行体2により畝Rを跨いでその長手方向に沿って走行しながらソイルブロック苗Nを畝Rに所定間隔をおいて自動的に植え付けるものである。なお、以下の説明では移植機1の進行方向を前後方向とし、進行方向に直交する横方向を左右方向とする。
【0009】走行体2は、ミッションケース6の前部に架台7を前方突出状に設け、この架台7上にエンジン等の機器を搭載してその上部をカバー9で被っており、架台7の前部には左右方向の軸10を介して左右一対の前輪アーム11が設けられ、各前輪アーム11の下端に前輪12が回転自在に支持されている。ミッションケース6の左右両側には左右方向の車輪伝動軸13が突設され、左右車輪伝動軸に伝動ケース16が接続され、この伝動ケース16の下端部に後輪17が設けられている。
【0010】エンジンの動力はミッションケース6内に入力され、このミッションケース6内の動力伝達機構(変速機構等)を介して前記車輪伝動軸13及びミッションケース6の左右側部に突設された第1PTO軸14と後部に突設された第2PTO軸15とから出力され、車輪伝動軸13からの出力は前記伝動ケース16を介して後輪17に伝達され、当該後輪17の駆動により走行体2が走行する。移植装置3は、走行体2の後方に装着された移植フレーム19に設けられており、苗Nを畝Rに植え付ける植付装置20と、この植付装置20に苗Nを供給する苗供給装置21と、苗Nが植え付けられる箇所に予め農用膜体Fに植付孔を形成する穿孔装置22と、植え付けた苗Nの根本を覆土鎮圧する覆土輪23とを備えて主構成されている。
【0011】移植フレーム19は、前部がミッションケース6に取付固定された固定フレーム25と、固定フレーム25の下側に配設され、前部がミッションケース6の第1PTO軸14に回動自在に枢支された可動フレーム26とを備え、固定フレーム25に苗供給装置21が設けられ、固定フレーム25の後部に操縦ハンドル4が接続されている。可動フレーム26には植付装置20、穿孔装置22、覆土輪23が設けられている。
【0012】苗供給装置21は、苗載せ台28と苗取出装置29とを備え、該苗載せ台28にはソイルブロック苗Nを収めたポット部Pを縦横に多数列設した苗トレイTが載置され、この苗トレイTから苗取出装置29(苗取出爪29A)によってソイルブロック苗Nを一つずつ取出して植付装置20に移送するように構成されている。植付装置20は、植付体30を揺動リンク機構31によって上下に昇降するとともに、上昇したときに苗取出爪29Aから放出されたソイルブロック苗Nを受け取り、下降したときに下端部を畝に突き刺してソイルブロック苗Nを植え付ける構成となっている。そして、植えつけた苗Nの左右両側が前記覆土輪23により覆土される。
【0013】前記植付体30の前側には穿孔装置22が配設されており、この穿孔装置22は、図1及び図2に示すように、農用膜体Fに接触して植付孔を形成する穿孔器33と、該穿孔器33を上下に昇降する昇降機構34とを備えている。穿孔器33は下側の本体部33Aと上側の取付ブラケット33Bとにより構成され、本体部33Aはガスバーナー又は電熱等によって加熱されるヒーター式とされていて、その下端部を農用膜体Fに接触することで熱により溶かして植付孔を形成するものとなっている。ただし、この穿孔器33はカッター等による切断式としてもよい。
【0014】昇降機構34は、ミッションケース6の第1PTO軸14から伝動機構を介して動力が伝達される左右方向の駆動軸36と、この駆動軸36に設けられたカム37と、前端が可動フレーム26に枢支された上下一対のリンク部材38と、このリンク部材38の後端部に枢支された取付部材39とを備え、この取付部材39の下部に穿孔器33が着脱自在に取り付けられている。取付部材39は、リンク部材38に枢結された上側部材40と、この上側部材40の下部に固定された下側部材41とを有し、上側部材40の下部には前後に長い長孔40Aが形成され、この長孔40Aを介してボルト、ナット等の締結具40Bにより下側部材41が前後位置調整自在に連結されている。
【0015】この前後位置調整によって後方の植付装置20との前後間隔を適切に設定できる。下側部材41の下部には上下複数の取付孔42,43が前後2列に形成されており、このうち、後列の取付孔43の一つに取付ブラケット33Bに設けた軸45がボルト又はナット等の連結具46にて連結され、この軸45を支点として穿孔器33が前後揺動自在に枢支されている。上記取付孔42,43は、上下前後に整列して設けられている。
【0016】前列の取付孔42の一つにはストッパ47が取り付けられるようになっており、穿孔器33(本体部33A)が略垂直の姿勢(下向き姿勢)のときに取付ブラケット33Bの上縁がストッパ47に当接することによって穿孔器33のこれ以上の前方揺動が規制されるようになっている。また、この際に取付ブラケット33Bは後下がりの傾斜姿勢となっている。穿孔器33は、本体部33Aが下向きの状態でその中心位置Xよりも軸45の前後位置Yが前側に位置しており、このため穿孔器33は、自重により下向きの姿勢となって軸45より前側のストッパ47に確実に取付ブラケット33Bを当接して位置決めされるようになっている。
【0017】上記構成において、昇降機構34の駆動軸36が回転するとこれに追従してカム37が回転し、上側のリンク部材38の中途部に設けたローラ49がカム37の外周面に倣って転動する。そして、カム37の外周部に形成した凹陥部37Aにローラ49が入り込むとリンク部材38が下方に揺動し、取付部材39を介して穿孔器33が矢示Aの如くやや後方移動しながら下降する。そして、本体部33Aの下面が農用膜体Fに接触したときに熱によって植付孔が形成され、その後カム37の回転により凹陥部37Aからローラ49が抜け出すことによってリンク部材38が上方揺動し、これにより穿孔器33が上昇して畝Rから離れる。
【0018】その後、上記植付孔に合わせて植付体30が下降し、畝Rに突き刺しながら苗Nを植えつける。上記穿孔器33は、上述のごとく下降したときに農用膜体Fに接触して植付孔を形成するが、走行体2の進行速度が速いと農用膜体Fに接触している間の走行体2の進行量が大きくなり、農用膜体Fに接触した状態のまま走行体2の前進により前方へ引きずられようとする。しかしながら、本実施形態では、穿孔器33は軸45によって前後揺動自在に支持されているため、その本体部33Aの下面が農用膜体Fに接触したまま矢示Bに示す如く後方に揺動(首振り運動)するようになっており、このため植付孔が前後に長くなってしまうようなことが防止され、苗植付に必要な最小限の植付孔を形成することが可能となる。これ故農用膜体Fによる保温効果を損なうこともないし、植付孔から露出した畝から雑草がはえてしまうことも防止される。
【0019】また、上記穿孔器33がカッター式の場合においても、上記の如く後方に揺動することによって農用膜体Fを前方に引っ張ることが少なくなる。穿孔器33は、取付部材39に形成した複数の取付孔43のいずれかを選択して取り付けることで高さ調整自在であり、ストッパ47もいずれかの取付孔42を選択することによって穿孔器33の高さに応じて高さ調整可能である。また、この前後の取付孔42,43を利用して他の機器をボルト等により取り付けることが可能となっている。例えば、農用膜体Fを敷設していない畝であれば、上記穿孔器33を取り外し、畝に対して補助的に移植用の凹部を形成する器具等を装着することができる。また、この場合、上記植付装置20を省略し、苗供給装置21における苗取出爪29Aによって苗トレイTから取り出したソイルブロック苗Nをそのまま畝Rの上面近傍にまで移送し、該畝Rに形成した移植用凹部に苗Nを放出する構成とすることができる。
【0020】本発明は、上記実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、穿孔器33及びストッパ47を取り付けるための取付孔42,43は、上下に長い長孔とすることができ、昇降機構34は、リンク部材38の上下揺動を介して穿孔器33を昇降させる構成に限定されるものではない。上記実施形態では、穿孔器33を軸45により支持することで揺動自在に構成しているが、穿孔器33と昇降機構34との間に可撓性を有する部材(ゴムやバネ等)を介在させることによって、当該部材の弾性変形を介して穿孔器33を揺動自在に構成することも可能である。
【0021】また、穿孔器33が下向きの姿勢となる方向に付勢するバネ等の付勢部材を設けても良い。本発明は、歩行形移植機だけでなく乗用形移植機にも採用可能であり、また、移植装置を左右に複数備えた多条植移植機にも採用することができる。
【0022】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、穿孔装置によって適正な大きさの植付孔を形成できる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成14年2月4日(2002.2.4)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開2003−225007(P2003−225007A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−27209(P2002−27209)