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【発明の名称】 最適肥料販売システム
【発明者】 【氏名】高木 二三男
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本石町3丁目3番5号 三井物産アグロビジネス株式会社内

【氏名】田中 秀幸
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本石町3丁目3番5号 三井物産アグロビジネス株式会社内

【氏名】真鍋 和裕
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本石町3丁目3番5号 三井物産アグロビジネス株式会社内

【氏名】宮川 清
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【氏名】大塚 秀光
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【氏名】高木 登夫
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【氏名】利光 学
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【氏名】浅井 良紀
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【要約】 【課題】耕作地及び栽培作物に合った配合肥料を販売することにより、コスト削減及び過剰施肥による環境問題を低減する。

【解決手段】肥料自動販売装置1において、土壌サンプルが投入口11から投入され、かつ、情報入出力部12から栽培する作物の種類と、耕作地に関する情報とが入力されると、投入された土壌の分析を行う。そして、その分析結果と作物情報及び耕作地情報とを情報処理装置2に送信すると、該装置2では、その作物をその耕作地で栽培する場合の最適肥料の成分割合及び量を決定し、決定されたこれら情報に基づいて、肥料自動配合装置3が肥料を配合する。配合された肥料は、自動販売装置1の肥料排出部14から、その作物をその耕作地で栽培する場合の施肥に関する処方箋とともに排出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 栽培する作物の要求に応じた最適肥料を販売するための最適肥料販売システムにおいて、土壌サンプルを投入する土壌サンプル投入口を備え、作物に関する情報であって栽培する作物の種類を含む作物情報と、耕作地に関する耕作地情報とを入力するための情報入力手段を備えた受付手段と、受付手段の土壌サンプル投入口に投入された土壌を分析し、その成分を表す土壌情報を出力する土壌分析手段と、当該作物を当該耕作地で栽培する場合の最適肥料の成分割合及び量を決定する最適肥料配合決定手段と、最適肥料のこれら情報に基づいて肥料を配合する肥料配合手段と、配合された肥料を顧客に提供する肥料提供手段とを備えていることを特徴とする最適肥料販売システム。
【請求項2】 請求項1記載の最適肥料販売システムにおいて、該システムはさらに、土壌分析手段と最適肥料配合決定手段によって得られた結果を顧客に通知する解析結果通知手段を備えていることを特徴とする最適肥料販売システム。
【請求項3】 請求項1又は2記載の最適肥料販売システムにおいて、受付手段、土壌分析手段、及び肥料提供手段は、配合肥料自動販売装置中に一体化されていることを特徴とする最適肥料販売システム。
【請求項4】 請求項3記載の最適肥料販売システムにおいて、配合肥料自動販売装置はさらに、最適肥料配合決定手段を内蔵していることを特徴とする最適肥料販売システム。
【請求項5】 請求項2に従属する請求項3記載の最適肥料販売システムにおいて、配合肥料自動販売装置はさらに、最適肥料配合決定手段及び解析結果通知手段を内蔵していることを特徴とする最適肥料販売システム。
【請求項6】 請求項1〜5いずれかに記載の最適肥料販売システムにおいて、土壌分析手段は、少なくとも、土壌のpH、電気導電度、並びに、窒素、リン酸、及びカリの単位グラム中の含有量を分析するよう構成されていることを特徴とする最適肥料販売システム。
【請求項7】 栽培する作物の要求に応じた最適肥料を販売するための配合肥料自動販売装置において、土壌サンプルを投入する土壌サンプル投入口を備え、作物に関する情報であって栽培する作物の種類を含む作物情報と、耕作地に関する耕作地情報とを入力するための情報入力手段を備えた受付部と、受付手段の土壌サンプル投入口に投入された土壌を分析し、その成分を表す土壌情報を出力する土壌分析部と、当該作物を当該耕作地で栽培する場合に最適肥料の成分割合及び量を決定する最適肥料配合決定部と、最適肥料のこれら情報に基づいて肥料を配合する肥料配合部と、配合された肥料を顧客に提供する肥料提供部とを備えていることを特徴とする配合肥料自動販売装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の技術分野】本発明は、最適肥料販売システムに関し、より詳細には、情報技術を取り入れることにより、環境保全型の農業及び低コストでの生産方法を実現させることができる最適肥料販売システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、農業従事者は、専業であるか兼業であるか、あるいは、個人であるか法人であるかに拘わらず、対象作物と地域、耕作規模、季節などの条件の下で、農業指導機関からの指導あるいは農業従事者自身の経験に基づき、耕作地への施肥を実施してきた。なお、農業指導機関とは、例えば、県単位で設けられている農業試験場で作成されたマニュアルに沿って地域レベルで機能している農業普及センタ(すなわち、旧「農業改良普及所」)や地域レベルの農業協同組合(JA)、さらに、近傍の大学や公的施設の研究機関である。しかしながら、実際の農場への施肥は、適正水準から偏倚していることが多々あり、しかも、多くの場合、肥料が過剰投与されていることが通常である。このような肥料の過剰投与は、農業指導機関に指導要員が適切に配置されている場合であっても、農業従事者の肥料に過分に依存する姿勢等により、改善することが困難な場合が多い。このような肥料の過剰投与が行われると、土壌汚染が生じたり、雨水や農業用水系を通じて地下水や公共水系の水質を悪化及び生態系を変化させてしまう可能性があり、今日の環境問題の一因となっている。
【0003】また、今日、特定の又は標準化された配合比の肥料を入手することができるが、それら配合肥料は、栽培しようとする作物の吸収量にマッチしない場合があり、一部の肥料成分を作物の吸収量にマッチさせようとすると、他の肥料成分の過剰投与が生じてしまう場合がある。この場合も、土壌汚染が生じたり、水質悪化及び生態系変化を生じさせてしまう恐れがある。
【0004】本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、農業従事者、農業指導機関、及び肥料販売業者の農業関係者を有機的に結びつけて、耕作地及び栽培作物にあったテーラーメードの配合肥料を農業従事者が購入することができるようにすることにより、適切な施肥が実行されるようにし、もって営農コストの低減を図るとともに、過剰施肥による環境問題を解決することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明に係る、栽培する作物の要求に応じた最適肥料を販売するための最適肥料販売システムは、土壌サンプルを投入する土壌サンプル投入口を備え、作物に関する情報であって栽培する作物の種類を含む作物情報と、耕作地に関する耕作地情報とを入力するための情報入力手段を備えた受付手段と、受付手段の土壌サンプル投入口に投入された土壌を分析し、その成分を表す土壌情報を出力する土壌分析手段と、当該作物を当該耕作地で栽培する場合の最適肥料の成分割合及び量を決定する最適肥料配合決定手段と、最適肥料のこれら情報に基づいて肥料を配合する肥料配合手段と、配合された肥料を顧客に提供する肥料提供手段とを備えていることを特徴としている。
【0006】上記した本発明の最適肥料販売システムにおいては、受付手段、土壌分析手段、及び肥料提供手段を、配合肥料自動販売装置中に一体化するか、又はこれら手段と配合肥料配合決定手段とを、配合肥料自動販売装置中に一体化することが好ましい。また、本発明の最適肥料販売システムはさらに、土壌分析手段と最適肥料配合決定手段によって得られた結果を顧客に通知する解析結果通知手段を備えていることが好ましく、この場合、解析結果通知手段も他の手段とともに配合肥料自動販売装置中に一体化することが好ましい。さらに、本発明の最適肥料販売システムにおいて、土壌分析手段は、少なくとも、土壌のpH、電気導電度、並びに、窒素、リン酸、及びカリの単位グラム中の含有量を分析するよう構成されていることが好ましい。
【0007】別の観点の本発明は、栽培する作物の要求に応じた最適肥料を販売するための配合肥料自動販売装置であって、土壌サンプルを投入する土壌サンプル投入口を備え、作物に関する情報であって栽培する作物の種類を含む作物情報と、耕作地に関する耕作地情報とを入力するための情報入力手段を備えた受付部と、受付手段の土壌サンプル投入口に投入された土壌を分析し、その成分を表す土壌情報を出力する土壌分析部と、当該作物を当該耕作地で栽培する場合に最適肥料の成分割合及び量を決定する最適肥料配合決定部と、最適肥料のこれら情報に基づいて肥料を配合する肥料配合部と、配合された肥料を顧客に提供する肥料提供部とを備えていることを特徴としている配合肥料自動販売装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の最適肥料販売システムの概略構成を示しており、図1において、1は肥料自動販売装置、2は情報処理装置、3は肥料自動配合装置、4は搬送装置である。以下に、肥料自動販売装置1、情報処理装置2、肥料自動配合装置3の構成について、詳細に説明する。
【0009】肥料自動販売装置1肥料自動販売装置1は、農業従事者(専業、兼業、及び趣味で作物栽培を行う従事者)である顧客に、栽培作物及び耕作地からみて最適な肥料を自動販売するためのものであり、例えば、JA(農業協同組合)、農家向けホームセンタ、肥料問屋、肥料小売店等の店頭に配置される。肥料自動販売装置1は、土壌サンプル投入口11、情報入出力部12、料金支払口13、及び肥料排出部14を備えている。また、肥料自動販売装置1の内部には、図2に示すように、制御部15、土壌分析ユニット16、及びプリンタ17が包含されている。制御部15は、肥料自動販売装置1全体の動作及び他の装置との間の情報通信を制御するためのものであり、コンピュータ上で動作するソフトウエアにより構成されている。
【0010】顧客は、このような肥料自動販売装置1において、作物を栽培予定の耕作地に関する情報(耕作地情報)、並びに、栽培しようとしている作物に関する情報(作物情報)を、情報入出力部12から入力し、かつ、当耕作地の代表的な地点の土壌サンプルを土壌サンプル投入口11から投入する。作物情報には、前回(例えば、前年)栽培した作物に関する情報を含ませてもよい(輪作が悪影響を及ぼす作物が存在するため)。投入された土壌は、土壌分析ユニット16において自動的に分析される。そして、その分析結果である土壌情報が、情報入出力部12から入力された作物情報及び耕作地情報とともに、制御部15から情報処理装置2に通信される。
【0011】情報入出力部12は、必要な情報を顧客が対話形式で容易に入力できるように、例えばタッチパネル式のディスプレイにより構成されている。そして、制御部15の制御の下で、ディスプレイ上に、耕作地の日当たり、水はけ、ハウス栽培であるか否か等に関する環境項目及び作付け面積等を選択するための画面を提示し、これにより、該画面上で、顧客が該当する項目を選択することにより、栽培予定地の耕作地情報を入力することができる。その後(又はその前に)、情報入出力部12は、制御部15の制御の下で、当該耕作地で栽培予定の作物の種類(及び前回栽培済の作物の種類)を選択するための画面を提供し、これにより、顧客は、作物情報を入力することができる。
【0012】情報入出力部12の一部として、キーボード121等の入力手段を設けて、顧客が該入力手段を介して情報を入力できるようにしてもよい。この場合、耕作地の住所も入力することができる。また、情報入出力部12のディスプレイ上の表示に従い、キーボードを用いて、顧客の氏名、住所、連絡先(eメールアドレス、FAX番号、電話番号)等の個人情報を最初の利用時に入力して顧客登録し、その後、顧客のID番号により、肥料自動販売装置1を利用できるようにする。キーボード121を具備させない場合は、顧客のID番号を記憶した磁気カードを顧客に保持させて、該カードを肥料自動販売装置1の適宜の挿入口に挿入することにより、該カードの情報から顧客を識別できるようにすることが好ましい。情報入出力部12はさらに、情報処理装置2において解析された結果等に基づいて得られた「土壌診断結果報告書」及び「処方箋(配合肥料の販売価格を含む)」を表示する。土壌診断結果報告書及び処方箋は、顧客の要求により、プリンタ18により印字され、肥料排出部14から出力される。これらについては、以降でより詳細に説明する。
【0013】図2に示した土壌分析ユニット16は、投入された土壌サンプルの養分や性質を分析し、その結果を土壌情報として、制御部15を介して、情報処理装置2に送信する。分析データには、土壌の酸性度(PH)、電気伝導度(EC)、アンモニア態窒素(NH4−N)、硝酸態窒素(NO3−N)、燐酸有効態(P25)、交換性陽イオン(カリ、石灰、苦土)、交換性マンガン、鉄、陽イオン交換容量(CEC)、燐酸吸収係数、微量ミネラル分、塩分、土壌空隙率(柔らかさ)等が含まれる。
【0014】土壌分析ユニット16においては、水系及び非水系の任意の土壌分析方法を採用することが可能である。なお、水系の土壌分析方法として、イオンクロマト法、イオンメーター法、吸光法、フローインジェクション法、原子吸光法が知られている。これらの方法はいずれも、先ず試料を水に溶かして、ろ過等の前処理をし、その上で試薬を入れ、分析装置にかけることにより成分分析を行うものである。水系の分析方法の内、イオンメーター法及びイオンクロマト法は分析時間が比較的短いことから、本発明に係る肥料自動販売装置1用の土壌分析ユニット16を、これら方法のいずれかを用いたものにすることが好ましい。また、非水系の土壌分析方法として、赤外分光法、ラマン分光法、蛍光X線分析法、質量分析法が知られている。これらの方法はいずれも、試料を水に溶かさずに乾燥土壌を使い、光の吸収や反射を分析することにより成分分析を行うものである。非水系の分析方法の内、分析時間が比較的短いことから、赤外分光法及びラマン分光法を土壌分析ユニット16に適用することが好ましい。
【0015】肥料排出部14は、プリンタ17により印字された土壌診断結果報告書及び処方箋を排出するとともに、肥料自動配合装置3において配合され、搬送装置4を介して搬送された配合肥料を排出する。ただし、以降でも説明するが、肥料自動配合装置3での肥料の配合は、顧客が情報入出力部12に表示された処方箋に示された土壌の解析結果及び配合肥料の価格等を確認して「肥料購入ボタン」をオンし、かつ肥料代金を、料金支払口13に投入した後に、実行される。肥料代金の支払いは、クレジットカードを用いる等の適宜の決済方法によって行ってもよい。また、顧客情報を予め得ることができる場合は、該顧客情報に含まれている決済方法により、決済を実行する。
【0016】なお、通常、土壌の分析にある程度の時間を必要とし、さらに肥料の配合・袋詰・搬送にある程度の時間を必要とする。そのため、制御部15は、受付番号及び待ち時間を表示した受付表を作成し、該受付表をプリンタ17で印字して、顧客に提供することが好ましい。この場合、顧客が待ち時間経過後に、肥料自動販売装置1に戻って受付番号を入力することにより、土壌診断結果報告書及び/又は処方箋が情報入出力部12に表示され、顧客の要求により、プリンタ17で印字されてハードコピーとして提供される。そして、顧客が処方箋をみて、情報入出力部12上の肥料購入ボタンをオンした場合に、再度待ち時間を表示した肥料受注票を作成し印字し、顧客に提供する。
【0017】このような場合、肥料排出部14を、土壌サンプル投入部11、情報入出力部12、土壌分析ユニット16等と一体的に配置する必要がない。すなわち、肥料自動販売装置1を肥料注文受付処理のみを行う装置として構成し、そして、顧客が適宜の箇所に設けられた肥料受け渡し窓口に出向いて、配合肥料を受け取るようにしてもよい。後日、業者が配合肥料を配送する方式をとってもよい。また、土壌診断結果報告書及び処方箋を、肥料自動販売装置1の情報入出力部12上で顧客に提示する代わりに、顧客の選択により、eメール、FAX、又は郵便により顧客に通知し、かつ、適宜の手段により、配合肥料の購入及び配達申込を受け付けてもよい。eメールで処方箋を通知する場合、eメール内に購入申込ボタンを埋め込んで配信し、顧客が該ボタンをクリックすることにより、受注手続を行ってもよい。
【0018】情報処理装置2情報処理装置2は、図3に示すように、顧客データベース(DB)21、土壌−作物DB22、作物−施肥基準DB23、肥料ストックDB24、土壌診断部25、最適肥料配合決定部26、解析結果報告作成部27、及び肥料物流管理部28を備えている。土壌診断部25、最適肥料配合決定部26、解析結果報告作成部27、及び肥料物流管理部28は、コンピュータ上で実行されるソフトウエアによって実現されている。
【0019】顧客DB21には、顧客の名前、住所、eメールアドレス等の顧客情報の他、顧客の肥料自動販売装置1に関連するあらゆる情報の履歴が、顧客毎に格納される。顧客履歴情報には、肥料自動販売装置1から送信されてくる土壌情報、耕作地情報、及び作物情報が含まれ、さらに、土壌診断部25及び最適肥料配合決定部26において得られる解析結果、並びに、解析結果報告作成部27において作成される土壌診断部及び処方箋も含まれる。このように、顧客DB21には顧客毎の作物栽培に関する土壌及び耕作地履歴並びに施肥履歴が形成されることになり、これら履歴を当該顧客用の最適肥料配合にフィードバックすることができる。
【0020】土壌−作物DB22には、土壌の性状に応じて、該土壌で栽培するに適する作物の種類、及び栽培に適さない植物の種類を記憶している。これらの情報は、土壌性状に作物がどの程度適するかに応じて決定される「適合ランク」の形態で記憶される。適合ランクは、農業指導機関等により作成されかつ適宜更新される。
【0021】作物−施肥基準DB23には、作物毎の施肥基準情報が記憶されており、該施肥基準情報は、作物毎だけでなく、季節毎、地域毎、及び土壌性状毎に、施肥すべき肥料の標準的な配合割合を示している。すなわち、施肥基準情報は、ある作物Aを、ある季節Bにおいて、ある地域Cのある土壌性状Dの耕作地で栽培する上で、最適な肥料の種類及び配合割合を表す基準値である。施肥基準情報も、農業指導機関等により作成されかつ適宜更新される。
【0022】肥料ストックDB24は、肥料自動配合装置3にストックされている肥料の種類毎のストック量及び単位量当たりの価格を記憶している。そして、最適肥料配合決定部26の計算結果に基づいて、肥料の種類毎のストック量が減算され、かつ、肥料物流管理部28からの肥料充填量に応じて、ストック量が加算される。
【0023】土壌診断部25は、肥料自動販売装置1から送られてくる土壌情報に基づき、土壌(土壌サンプル投入口11から投入された)の土壌性状を解析する。そして、土壌−作物DB22を参照して、該土壌性状が顧客が入力した作物を栽培する上で適しているか否かの判定を行い、判定結果の適合ランクを顧客DB21に記憶するとともに解析結果報告作成部27に通知する。当該作物の栽培が当該土壌で適している場合、すなわち、適合ランクが高い場合にのみ、最適肥料配合決定部26に対して、最適肥料の種類、配合割合及び量を演算するよう指令する。適合ランクは、解析結果報告作成部27にも送られる。
【0024】この演算指令に基づき、最適肥料配合決定部26は、肥料自動販売装置1から送信された土壌情報、耕作地情報、及び作物情報に基づき、作物−施肥基準DB23に記憶されている施肥基準情報を参照して、当該顧客が希望する耕作地で希望する作物を栽培する場合に必要な、単位面積当たりの肥料の種類、配合割合及び量を決定する。そして、耕作地情報に含まれる作付け面積参照してし、配合肥料の量を決定し、最終的に決定された肥料の種類、配合割合、及び量を、配合肥料情報として、肥料自動配合装置3に通信する。また、配合肥料情報及び肥料ストックDB24の価格情報に基づいて、販売肥料の価格を決定し、決定された配合肥料情報及び販売肥料価格は、解析結果報告作成部27に送られるとともに、顧客DB21に顧客に対応して記憶される。作物と土壌の性状とが適合していない場合、すなわち適合ランクが低いと判定した場合、土壌診断部25は、解析結果報告作成部27に対して、その適合ランクを通知するとともに、耕作地の性状に合った作物を通知する。これらの情報も、顧客DB21に格納される。
【0025】解析結果報告作成部27は、土壌診断部25及び最適施肥配合決定部26からの情報に基づき、顧客用の土壌診断結果報告書及び処方箋を電子データとしてを作成する。土壌診断結果報告書には、土壌診断部25において判定された土壌と作物との適合ランク、及び土壌分析・解析結果を含ませ、また、適合ランクが低い場合は、当該耕作地に適する推薦作物の種類を含ませる。処方箋は、適合ランクが良好である場合にのみ作成され、当該作物を当該耕作地で栽培する場合に必要な肥料の種類、配合割合、及び量を含んでいる。適合ランクが良好である場合、土壌診断結果報告書を処方箋中に含ませてもよい。電子データとして作成された土壌診断結果報告書及び処方箋は、肥料自動販売装置1に通知され、情報入出力部12において表示され、かつ要求に基づいてプリンタ17からハードコピーとして出力される。
【0026】土壌診断結果報告書中に、適合ランクが低い旨の情報が含まれている場合に、顧客は、該報告書中の推薦作物を参照し、情報入出力部12上で、栽培する作物の種類を変更して、最適な配合肥料の購入手続を再度行うことができる。処方箋中に、適合ランクが高くしたがって配合肥料の価格を含んだ情報が含まれている場合、顧客が肥料の購入を決定して情報入出力部12に表示された肥料購入ボタンをオンすると、情報処理装置2の最適肥料配合決定部26は、肥料自動配合装置3に対して、配合すべき肥料の種類、配合割合、及び量、すなわち配合肥料情報を通知する。そして、肥料ストックDB24中の対応する種類の肥料のストック量を減算する。
【0027】なお、情報処理装置2は、顧客DB21中の顧客の耕作地の土壌情報の履歴を参照することにより、土壌性状の経年変化を得ることができるので、その経年変化情報を処方箋中に載せてもよい。このとき、顧客の耕作地が比較的広大である場合には、肥料自動販売装置1の情報入出力部12上で耕作地のどの地点(複数地点)の土壌サンプルであるかを入力できるようにし、これにより、1つの耕作地の複数の地点の土壌性状の経年変化を得ることができる。
【0028】肥料物流管理部28は、肥料自動配合装置3にストックすべき複数種類の標準的な肥料の量を監視し、各標準肥料の残量が所定のしきい値以下になった場合に、肥料メーカ及び/又は肥料問屋に通知し、肥料自動配合装置3における肥料を補充させるよう管理する。このとき、栽培作物の季節性及び地域性を考慮して、残量のしきい値を季節に応じて変化させる。これにより、肥料自動配合装置3は、顧客の肥料購入注文に常時備えることができる。
【0029】肥料自動配合装置3肥料自動配合装置3は、図1に示すように、アンローダー付き充填装置31、肥料ストックタンク32、肥料配合器33、計量袋詰装置34、及び制御部35を備えている。肥料ストックタンク32は、地域の主たる作物の種類に応じて、5〜10種類の標準肥料(規格肥料)が準備されており、情報処理装置2の肥料物流管理部28の制御下で、各種の肥料メーカ及び/又は肥料問屋から、常時過不足無く充填される。標準肥料には、堆肥も含まれる。また、肥料が充填されると、その情報を肥料物流管理部28に通知し、その結果、肥料ストックDB24のデータが更新される。肥料自動配合装置3と肥料自動販売装置1とは、肥料を搬送に要する時間及びコストの点から、肥料自動配合装置3の近傍に肥料自動販売装置1を配置することが好ましい。
【0030】以下に、情報処理装置2において得られる種々の解析結果の具体的事例について、図4〜図6を参照して説明する。図4は、土壌診断部25において得られかつ解析結果報告作成部27において作成された土壌診断結果報告書の一例を示したものである。この例においては、ハウス栽培において桃太郎という銘柄のトマトを栽培しようとした場合の診断結果を示し、かつ、土壌分析(土壌分析ユニット16において実行)は、pH、EC、窒素、燐酸、加里について行っている。図4の例では、土壌分析値を、桃太郎トマトの場合の適正値に基づいて評価した結果を、異常、高い、適当、低いの4段階の適合ランクとして示し、そして、この例においては、全体として、土壌性状と作物との間の適合ランクが低すぎないことを示している。なお、すべての分析値が適正値の範囲であれば、桃太郎トマト用として標準の配合肥料を適用する。また、図4の土壌診断結果報告書には、土壌分析に基づく簡易診断結果のコメントも挿入されている。この報告書は、情報入出力部12において顧客に提示される。
【0031】図5は、図4に示した例における、所定の単位面積(10アール)当たり耕作地に必要な肥料使用量の増減計算例を示している。なお、図5において、上方のグラフは、図4の分析値をグラフ表示したものであり、このグラフも、土壌診断結果報告書に入れてもよい。肥料の増減計算は、最適肥料配合決定部26において演算される。図4の表及び図5の上方のグラフから明らかなように、標準値から見てNO3−N及び加里が過多で、リン酸が不足である。したがって、図5の下方の計算例に示したように、10アール当たり、標準の使用量から窒素及びカリをそれぞれ8kg減らし、リン酸を標準の使用量から5kg増加させている。
【0032】このような単位面積当たりの肥料の増減の計算結果に基づき、最適肥料配合決定部26は、作付け面積を参照して、耕作地全体の配合肥料の量を演算する。その結果、作付け面積全体としての肥料の種類、配合割合及び量が決定される。そして、最適肥料配合決定部25は、得られた肥料の種類、配合割合、及び量に基づき、成分割合が相違する複数の標準的な配合肥料の使用量(荷姿×袋)を決定し、その結果を解析結果報告作成部27に通知する。該作成部27は、通知された標準的な配合肥料の使用量に基づき、処方箋の一部である図6に示すような作物栽培施肥設計書を作成する。この作物栽培施肥設計書は、図6に示すように、栽培する作物に合った元肥(作物を植え付ける前に使用する肥料)の量及び追肥(作物栽培の中期から後期にかけて使用する肥料)中の量及び回数について、別々に示している。
【0033】本発明の好適な実施形態について説明したが、当業者には、本発明は種々の変形が可能であることが明らかであろう。例えば、先に述べたように、肥料自動販売装置1を、土壌分析と配合肥料の注文のみを受け付ける肥料注文受付装置として構成し、配合肥料は別の窓口で受け渡し又は後日配達にしてもよい。また、情報処理装置2を肥料自動販売装置1に内蔵させてもよい。
【0034】以上のように、本発明に係る最適肥料販売システムは、栽培予定の作物と耕作地との適合性を、該耕作地の実際の土壌を分析することによって把握し、そして、それに基づいて、当該作物用の配合肥料を最適化し販売することができる。したがって、農業従事者は、自分の耕作地及び栽培作物に見合った肥料を容易に入手することができるので、肥料の過不足による作物の生育不良を防止することができる。特に、趣味等により作物栽培を行う場合等のように、作物栽培経験が少ない農業従事者にとっては、自分の耕作地に最適な作物の種類情報を得ることができ、さらには、作物及び耕作地に最適の配合肥料を購入することができるので、作物栽培の失敗を大幅に低減することができる。また、肥料の過剰散布により生じる環境問題を低減することができる。
【出願人】 【識別番号】397018154
【氏名又は名称】三井物産アグロビジネス株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本石町3丁目3番5号
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号
【出願日】 平成13年12月27日(2001.12.27)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外2名)
【公開番号】 特開2003−189715(P2003−189715A)
【公開日】 平成15年7月8日(2003.7.8)
【出願番号】 特願2001−396751(P2001−396751)