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【発明の名称】 ロータリ装置の昇降制御装置
【発明者】 【氏名】田中 武二
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】木村 重治
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】リヤカバーが代掻き位置にある場合と耕耘位置にある場合とで、ロータリ装置の昇降制御態様を切換える。

【解決手段】ロータリ装置18を昇降制御する制御部10aを備え、リヤカバー28が代掻き位置にある場合と耕耘位置にある場合とで、制御部10aによるロータリ装置18の昇降制御態様を切換え可能とする。例えば、制御部10aにおいて、リヤカバー28が耕耘作業位置にあると判断すると、ロータリ装置18の油圧による制御感度を敏感に設定して、耕耘作業に合った制御を行い、また、制御部10aにおいて、リヤカバー28が代掻き作業位置にあると判断すると、ロータリ装置18の油圧による昇降スピードを耕耘作業の場合よりも遅く制御し、制御感度も鈍く設定してロータリ装置18のハンチングを防止する等、代掻き作業に合った制御を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に昇降自在に支持されたロータリ装置本体と、該ロータリ装置本体に上下回動自在に支持されて耕耘深さを検知するリヤカバーと、該リヤカバーを前記ロータリ装置本体に対し移動操作可能なロックレバーと、を備えたロータリ装置の昇降制御装置において、前記ロータリ装置本体を昇降制御する制御部を備え、前記リヤカバーが代掻き位置にある場合と耕耘位置にある場合とで、前記制御部による前記ロータリ装置本体の昇降制御態様を切換え可能とした、ことを特徴とするロータリ装置の昇降制御装置。
【請求項2】 前記ロックレバーにより、前記リヤカバーを代掻き位置と耕耘位置とに移動操作可能とした、ことを特徴とする請求項1記載のロータリ装置の昇降制御装置。
【請求項3】 前記ロックレバーの操作位置を検出するレバー位置検出手段と、前記リヤカバーの回動位置を検出するカバー位置検出手段とを備えている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のロータリ装置の昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラクタ等の後方に装着されるロータリ装置の昇降制御装置に関し、特にリヤカバーを代掻き位置と耕耘位置とに操作可能なロックレバーを備えたロータリ装置の昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トラクタの後部に装着されるロータリ装置は、耕耘爪の外周を覆うロータリカバーと耕耘深さを検知するリヤカバーとを有し、該リヤカバーは、ロータリカバーの後部に上下回動自在に取付けられていて、耕耘跡を均平にならす機能を有する。そして、トラクタ側に設けられた制御部により、リヤカバーにて検知された耕耘深さが設定値よりも深いと判断されると、ロータリ装置はリンク機構を介して上昇制御され、反対に浅いと判断されると下降制御されて、作業内容に応じて適切な制御が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のロータリ装置では、圃場を耕耘作業する場合と代掻き作業を行う場合とでは、作業目的及び作業姿勢が異なるため、例えば、代掻き作業では、深さ設定や圃場状態によってリヤカバーがハンチングを起こすおそれがあった。このため、耕耘深さに応じてリヤカバーの制御感度を、「鋭い」「標準」「鈍い」等に切換える必要があった。
【0004】本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、リヤカバーが代掻き位置にある場合と耕耘位置にある場合とで、ロータリ装置本体の昇降制御態様を切換えることで作業状態と圃場状態に合わせて最適な制御を行うことのできるロータリ装置の昇降制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1記載の発明によれば、走行機体(10)に昇降自在に支持されたロータリ装置(18)本体と、該ロータリ装置(18)本体に上下回動自在に支持されて耕耘深さを検知するリヤカバー(28)と、該リヤカバー(28)を前記ロータリ装置(18)本体に対し移動操作可能なロックレバー(34)と、を備えたロータリ装置(18)の昇降制御装置において、前記ロータリ装置(18)本体を昇降制御する制御部(10a)を備え、前記リヤカバー(28)が代掻き位置にある場合と耕耘位置にある場合とで、前記制御部(10a)による前記ロータリ装置(18)本体の昇降制御態様を切換え可能としたことを特徴とする。
【0006】請求項2記載の発明によれば、請求項1記載のロータリ装置の昇降制御装置において、前記ロックレバー(34)により、前記リヤカバー(28)を代掻き位置と耕耘位置とに移動操作可能としたことを特徴とする。
【0007】請求項3記載の発明によれば、請求項1または2に記載のロータリ装置の昇降制御装置において、前記ロックレバー(34)の操作位置を検出するレバー位置検出手段(50,60)と、前記リヤカバー(28)の回動位置を検出するカバー位置検出手段(46)とを備えていることを特徴とする。
【0008】[作用]以上により、本発明によれば、ロータリ装置(18)を昇降制御する制御部(10a)を備え、リヤカバー(28)が代掻き位置にある場合と耕耘位置にある場合とで、前記制御部(10a)による前記ロータリ装置(18)の昇降制御態様を切換え可能としたので、例えば制御部(10a)において、リヤカバー(28)が現在耕耘作業位置にあると判断すると、ロータリ装置(18)の油圧による制御感度が敏感に設定される等、耕耘作業に合った制御が行われ、また、制御部(10a)において、リヤカバー(28)が現在代掻き作業位置にあると判断すると、ロータリ装置(18)の油圧による昇降スピードは耕耘作業の場合よりも遅く制御され、制御感度も鈍く設定されてロータリ装置(18)のハンチングを防止する等、代掻き作業に合った制御が行われる。
【0009】なお、上述の括弧内の符号は、図面を対照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0011】図1及び図2は、本発明が適用されたロータリ装置を示すもので、トラクタ(走行機体)10の後方下部に配設されたロアリンク(図示せず)と、後方上部にトップリンクブラケット11を介して配設されたトップリンク12で3点リンクが構成され、これらロアリンク(図示せず)とトップリンク12に支持されたヒッチ部14に、トップマスト16を介してロータリ装置18が着脱自在に装着されている。このロータリ装置18は、トラクタ10側に設けられた制御部10aにより、前記ロアリンク及びトップリンク12を介して昇降自在に支持されている。
【0012】ロータリ装置18は、機体フレーム20の下方に耕耘爪22が回転可能に軸架されていて、該耕耘爪22の周囲上方をメインカバー24で覆われ、該メインカバー24の後方には軸26によりリヤカバー28が上下回動自在に支持されている。このメインカバー24は、その自重で耕耘跡を均平にならす役目をなしている。メインカバー24は、操作溝36に沿い回動レバー(ロックレバー)34を操作することにより、機体フレーム20に対し図示しないレールに沿って耕耘爪22の回りに回動可能とされている。すなわち、回動レバー34には、クランクアーム38とリンクプレート40、及びカバーブラケット42を介してリヤカバー28に連結されている。
【0013】また、リヤカバー28は、上下スライド可能な吊りロッド32により吊下支持されていて、該リヤカバー28の角度により耕耘深さが検知される。耕耘爪22には、ギヤケース29を介してチエンケース30内のチエン(図示せず)によって駆動力が伝達される。なお、符号44は図示しない尾輪調節用のツールバーである。
【0014】本実施の形態では、ロータリ装置18を昇降制御する制御部10aを備え、リヤカバー28が代掻き位置にある場合と耕耘位置にある場合とで、制御部10aによるロータリ装置18の昇降制御態様を切換え可能としたものである。
【0015】図1ないし図3において、ギヤケース29後方の左右方向の略々中央部のリンクプレート40の後部に、リヤカバー28の回転角度を検出する耕深センサ46が配置されている。そして、例えば耕耘爪22による耕耘深さが大きくなると、リヤカバー28は軸26を中心として図1及び図2の反時計方向に回動し、上昇移動する。このときのリヤカバー28の回転角度が、耕深センサ46で検出され、該検出信号は信号線48で制御部10aに送られ、該制御部10aからの制御指令に基づき、ロータリ装置18は、ロアリンク及びトップリンク12を介して適正な作業高さに昇降制御される。
【0016】ところで、耕耘作業と代掻き作業では、作業目的や作業姿勢が異なり、耕耘作業では、代掻き作業の場合よりもリヤカバー28の圃場面からの高さを高くして作業を行う。このため、回動レバー34を、操作溝36に沿い耕耘位置A、標準位置B、代掻き位置Cに操作すると、メインカバー24は図示しないレールに沿って耕耘爪22の外周を移動し、リヤカバー28は、図1の耕耘位置から図2の代掻き位置まで上下に移動するようになっている。
【0017】しかし、オペレータは、回動レバー34の操作位置により、現在のリヤカバー28の高さが耕耘作業位置に設定されているか代掻き作業位置に設定されているかを判断することができるが、制御部10aにとっては、それを判断することができない。
【0018】そこで、リヤカバー28が耕耘作業位置に設定されているか代掻き作業位置に設定されているかを判断する位置検出センサ(レバー位置検出手段)50を設けている。すなわち、図1に示すように、回動レバー34を操作溝36のA位置に操作して、リヤカバー28を上方位置に移動させた状態(耕耘位置)では、カバー突起部25と位置検出センサ50の検出子50aとは離間した位置関係にあり、該検出子50aは押圧されない。また、図2に示すように、回動レバー34を操作溝36のC位置に操作して、リヤカバー28を下方位置に移動させた状態(代掻き位置)では、カバー突起部25に位置検出センサ50の検出子50aが接触して、該検出子50aは押圧されている。
【0019】従って、例えば、回動レバー34を操作溝36のA位置に操作し、位置検出センサ50の検出子50aが押圧されないオフ状態では、制御部10aにおいてリヤカバー28が耕耘位置にあると判断する。また、回動レバー34を操作溝36のC位置に操作し、位置検出センサ50の検出子50aが押圧されたオン状態では、制御部10aにおいてリヤカバー28が代掻き位置にあると判断することができる。
【0020】なお、メインカバー24は重量物であり、リヤカバー28の作業位置の切換え時にバウンドして安定しないおそれもあるため、制御部10aにおける判断の際は、多少の遅延時間を設けてリヤカバー28の作業位置の判断を行うことも考えられる。また、現在の作業状態を把握するため、リヤカバー28の作業位置切換え時にブザーやランプ等により報知する手段を用いても良い。
【0021】また、このような位置検出センサ50を用いなくても、耕深センサ(カバー位置検出手段)46によりリヤカバー28の耕耘位置と代掻き位置とを検出することができる。例えば、図4において、耕深センサ46の出力電圧Vとリヤカバー28の回転角度θの関係が、図のような略々直線で表わされるとする。また、リヤカバー28の作業位置の検出時は、ロータリ装置18をリフトアップした状態で検出を行うこととする。すると、耕深センサ46からの出力を検出する場合、オペレータが回動レバー34をA位置に操作して、リヤカバー28を上方位置に移動させた状態(耕耘位置)では、耕深センサ46の検出値としてE点の電圧が出力される。また、回動レバー34をC位置に操作して、リヤカバー28を下方位置に移動させた状態(代掻き位置)では、耕深センサ46の検出値としてF点の電圧が出力される。
【0022】従って、制御部10aにおいて、耕深センサ46による検出値がE点の電圧であれば、リヤカバー28は現在耕耘位置にあると判断し、また、検出値がF点の電圧であれば、リヤカバー28は現在代掻き位置にあると判断することができる。更に、例えば、耕耘位置か代掻き位置かに応じて、リヤカバー28の位置検出範囲の不感帯幅を変えたりすることもできる。
【0023】なお、図1ないし図3に示すように、耕深センサ46は、ギヤケース29の後方でかつ左右方向の略々中央部に配置され、また信号線48はリンクプレート40に沿って配設されている。そして、該信号線48の上方にはツールバー44があり、該ツールバー44により、耕深センサ46や信号線48は上方からの障害物から保護され、折損等の防止が図られている。
【0024】ここで、耕耘作業と代掻き作業での制御内容の相違点について説明する。
【0025】まず、ロータリ装置18の油圧による昇降スピードは、一般に耕耘作業の場合よりも代掻き作業の場合の方を遅くする。これは、図1の耕耘作業状態と図2の代掻き作業状態を比較すると明らかなように、代掻き作業の場合は、回動レバー34を操作溝36のC位置に操作して、リヤカバー28が耕耘作業の場合よりも急傾斜で支持されることになるため、リヤカバー28がわずかに上下位置に変化しても、耕深センサ46による回転角度が大きく変化する。このため、代掻き作業の場合は、ロータリ装置18の昇降スピードを遅くし、リヤカバー28の動作に対して敏感に反応しないようにして該ロータリ装置18のハンチング動作を防止するようにしている。
【0026】同様の理由から、耕深センサ46のフィルタは、代掻き作業の方が感度が鈍くなるようにして、多少のセンサ出力の変化に対しても無視できるようにしている。すなわち、耕耘作業よりも代掻き作業の方が制御感度を鈍く設定する。
【0027】また、ボリウムにより予め設定された深さ設定データについても、耕耘作業の場合は耕深を深くし、代掻き作業の場合は耕深を浅くするのが通常であるため、例えば耕耘作業において設定された耕深データは、代掻き作業に切換えられた場合は、耕深を浅くするように自動設定される。
【0028】すなわち、耕耘作業と代掻き作業とでは、前述したような制御内容の相違があるため、作業が耕耘作業と代掻き作業のいずれかに切換えられた場合に、制御部10aにおいて、作業内容及び圃場状態に応じて自動的に制御内容を切換えるようにしたものである。
【0029】図5ないし図7は、リヤカバー28が耕耘作業位置に設定されているか代掻き作業位置に設定されているかを判断するセンサとして、検出スイッチ60により、機械的に検出する実施の形態を示している。
【0030】この実施の形態によれば、例えば、検出スイッチ(レバー位置検出手段)60としてリミットスイッチが用いられ、図5に示すように、回動レバー34を操作溝36に沿い耕耘位置Aに操作すると、検出スイッチ60の検出子がクランクアーム38に当接して該検出スイッチ60はオン状態となる。また、図6に示すように、回動レバー34を代掻き位置Cに操作すると、回動レバー34が検出スイッチ60から離れて該検出スイッチ60はオフ状態となる。このため、例えば制御部10aにおいて、検出スイッチ60がオン状態の場合は耕耘状態と判断し、検出スイッチ60がオフ状態の場合は代掻き状態と判断することができる。
【0031】なお、この場合、図7に示すように、検出スイッチ60の左右両側をトップマスト16が覆っているため、該検出スイッチ60が保護されると共に、検出スイッチ60が外部に露出しないことから外観が美麗である。
【0032】次に、本実施の形態の作用について簡単に説明する。
【0033】耕耘作業を行う場合は、図1に示すように、オペレータは回動レバー34をA位置に操作し、リヤカバー28を上方位置に移動させて該リヤカバー28により耕耘跡を均平にならす。このとき、リンクプレート40に取付けられた位置検出センサ50の検出子50aは、メインカバー24の上部のカバー突起部25に当接しないため、該検出子50aは押圧されず位置検出センサ50からはオフ信号が制御部10aに入力される。このオフ信号により、制御部10aではリヤカバー28が現在耕耘作業位置にあることを認識する。これにより、ロータリ装置18の油圧による昇降制御も、前述したように耕耘作業に合った制御が行われる。
【0034】一方、代掻き作業を行う場合は、図2に示すように、オペレータは回動レバー34をC位置に操作し、リヤカバー28を下方位置に移動させて該リヤカバー28は耕耘作業の場合よりも急な傾斜で支持される。このとき、リンクプレート40に取付けられた位置検出センサ50の検出子50aは、メインカバー24の上部のカバー突起部25に当接し、該検出子50aが押圧されて位置検出センサ50からはオン信号が制御部10aに入力される。このオン信号により、制御部10aではリヤカバー28が現在代掻き作業位置にあることを認識する。これにより、ロータリ装置18の油圧による昇降スピードは耕耘作業の場合よりも遅く制御され、制御感度も鈍くしてロータリ装置18のハンチングを防止する等、前述したように代掻き作業に合った制御が行われる。
【0035】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、リヤカバーが代掻き位置にある場合と耕耘位置にある場合とで、ロータリ装置本体の昇降制御態様を切換え可能としたので、代掻き作業時と耕耘作業時とで、リヤカバーの位置検出範囲の不感帯幅を変えたり昇降速度を変える等、作業状態と圃場状態に合わせて最適な制御を行うことができる。
【0036】請求項2記載の発明によれば、ロックレバーにより、リヤカバーを代掻き位置と耕耘位置とに移動操作可能としたので、オペレータは現在のリヤカバーが代掻き位置にあるのか耕耘位置にあるのかを瞬時に判別することができる。
【0037】請求項3記載の発明によれば、ロックレバーの操作位置を検出するレバー位置検出手段と、リヤカバーの回動位置を検出するカバー位置検出手段とを備えているので、制御部ではこれら各検出手段からの信号に応じた制御を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫 (外1名)
【公開番号】 特開2003−325005(P2003−325005A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−136216(P2002−136216)