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【発明の名称】 簡易農作業システム
【発明者】 【氏名】橋爪 剛健

【氏名】埋橋 英夫

【要約】 【課題】畝間谷底部に自由に置いたモノレール状直管の上を、座卓付き回転可能な作業台車を脚力により移動できるようにすることにより、作業者の肉体的精神的苦痛を大幅に低減し、作業能率および収穫量を画期的に向上増大させる簡易農作業システムを提供する。

【解決手段】戸車状の脱輪防止溝付きガイド車輪を座卓支持枠の下部中央前後に設置し、該座卓支持枠の最後部の両サイドに補助車輪を設置し、該座卓支持枠の中央上部に回転可能な背もたれ付き座卓を設置した構造の作業台車を、畝間の谷底部中央に自由に置いたモノレール状直管の上に乗せたことを特徴とする簡易農作業システムであって、両サイドの補助車輪の接地面が中央のガイド車輪より高くできるような調整用のスライド板と、モノレール状直管の曲率半径より小さい曲率半径を有するガイド車輪と、座卓支持枠最前部を持ち上げた時にガイド車輪が直管から容易に着脱できるような取っ手とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】畝の山部に農作物が育成される如き畝部と畝部とのほぼ中間部が谷底部になる農地(圃場)において、谷底部中間部に直径18mm前後の直管をモノレール状に一本置き、その上部を座卓付き作業台車が移動できることを特徴とした簡易農作業システム。
【請求項2】作業台車の座卓支持枠の下部中央前後に脱輪防止用凹溝の付いた2個のガイド車輪を設け、また座卓支持枠の両サイドに1個〜2個の補助車輪を設けた構造を特徴とする特許請求項1記載の簡易農作業システム。
【請求項3】座卓支持枠の下部中央前後にガイド車輪を設け、もっぱら作業者の足底により後方に蹴られて座卓付き作業台車が前方に移動できるよう座卓には背もたれを設け、該座卓は座卓支持枠上で水平方向に回転できるよう構成されたことを特徴とする特許請求項1記載の簡易農作業システム。
【請求項4】ガイド車輪の凹溝の曲率半径をモノレール状直管の曲率半径より小さくして、移動時に土や小枝の巻き込みを少なくしたことを特徴とする特許請求項1記載の簡易農作業システム。
【請求項5】両サイドに設置した補助車輪の軸受部は両輪夫々座卓支持枠と独立して締結され、該締結部は座卓支持枠のスライド式ガイド板により座卓支持枠の軸芯と補助車輪軸の軸芯がずれて締結されることにより、常時座卓がガイド車輪と補助車輪の左右どちらか片方に支持されてレール上と畝間を移動でき、これによりガイド車輪が浮き上がって脱輪することがない特徴をもつ特許請求項1記載の簡易農作業システム。
【請求項6】両サイドに独立して設置された補助車輪はコイルばねまたは板ばねを介して締結支持される構造とすることを特徴とする特許請求項1記載の簡易農作業システム。
【請求項7】座卓支持枠の先端に取り付けた取っ手を持ち上げたときに、両サイドの補助車輪を支点として下部中央前後に設置されたガイド車輪がモノレール状直管から浮き上がり、作業台車が自由に方向転換できる特徴を持つ特許請求項1記載の簡易農作業システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アスパラガス等の生育管理および収穫を行う簡易農作業システムに関し、特に畝間の谷底中間部に一本のパイプを置き、その上に脚力で移動する車輪付き作業車を乗せて作業能率および収穫量を大幅に向上させるシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年農作業の機械化により農作業の省力化は大幅に進歩しているが、手作業で慎重に生育管理し、収穫せねばならないアスパラガスや苺の如き野菜物については、まだまだ大変な重労働を強いられている。
【0003】特に平坦な畑ではなく間隔の狭い畝間を必要とする農地(圃場)において、腰を屈めながら、数万株の野菜の手入れや収穫を一つ一つ手作業でほとんど毎日行うのは、疲労の蓄積ばかりではなく、作業効率の低下から収穫時期を失することになり、収穫量を伸ばすことが出来なかった。
【0004】特に夏の収穫時期は作業者の全身が直射日光にさらされ、また雨降り時の収穫では畝間の底部が泥地になり、腰を屈伸しながらしかも収穫箱を引っ張りながら一足ずつ移動することは、高年齢者の多くなりつつある農業従事者にとって極めて劣悪な作業環境であった。高価な温室フレームを設けて作業をする場合には直射日光や降雨の心配はなくなるが、高温多湿の温室内で能率の悪い長時間労働を持続することは避けられず、これまた肉体疲労を大幅に低減できる期待が得られなかった。
【0005】また作業時に最も疲れるのはしゃがみ込む姿勢や中腰の姿勢であることから、これを防ぐためにこれまで一般的に採用されてきたのは、4本足のパイプ椅子やみかん箱などに腰掛けて作業を行い、これらを引っ張りながら移動する原始的な方法しかなかった。しかるにこの方法では、引っ張るときにその都度腰を上げる必要があり、しかも畝を崩してしまう心配が常に付きまとい精神的にも疲労を増長させていた。
【0006】一般的に圃場の単位面積当たり収穫量を高めようとして、野菜が植えられている畝数を多くしようとすると畝間の谷底部が狭くなる。谷底部が狭ければ狭いほど作業がやり難くなる。また畝間を何回も歩くことにより畝周囲が踏み固められ、野菜の根張り発育を阻害する原因になっていた。
【0007】またアスパラガスなど茎葉が高く茂るようになると両隣の枝葉が入り組んで畝間上方まで生い茂り、管理収穫する際作業者の顔に当たって作業効率を低下させていた。また慎重に枝を両側に分けながら作業しないと作物を傷つけてしまうため心労も大きかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は畝の山部に農作物が育成される農地(圃場)において、作業者の肉体的精神的苦痛を大幅に軽減し、作業効率を大幅に向上させ、収穫量を画期的に増大させるための簡易農作業システムを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明者は、畝部と畝部とのほぼ中間部が谷部になる圃場において、畝間の谷底部の中央に18mm前後の直管を畝に平行に置いてこれをモノレールとして利用し、その上に座卓付きの作業台車が移動できるように構成した。これにより作業者はこの台車に腰掛けて作業を行うので肉体的な苦痛が大幅に軽減されるものである。
【0010】この作業台車は、座卓支持枠の下部中央部前後に脱輪防止用溝の付いた2個のガイド車輪を設け、また背もたれが付いた座卓が水平面で回転できるように構成してあるので、作業者は両足の踵で地面をゆっくり前方へ蹴ることにより、作業台車を後方へ移動させることができ、また腰をひねって左右畝部と交互に向き合いながら農作物の管理収穫をすることができるものである。
【0011】このガイド車輪の凹溝の曲率半径は、モノレール状直管の曲率半径より小さくしてあるので、作業台車が移動する際に土や枝などを車輪とレールとの間に巻き込まないようスムースに移動できるようにしてある。
【0012】作業台車の下部中央後部のガイド車輪より更に若干後方の両サイドに補助車輪を設け、台車の移動や作業を行う際に左右に台車が横転しない構造としてあるので、作業者は安定して管理収穫を行うことができる。
【0013】作業台車の両サイドに取り付けた補助車輪は、両輪が同時に地面に接触しないようガイド車輪より高い位置に接地面がくるよう軸心を調整できる構造にしてあるので、台車は常にガイド車輪と補助輪のどちらか一方とで地面に接地確保される。これによりガイド車輪が浮き上がって脱輪することがないようになっている。
【0014】また畝間の間隔や畝山の形状に合わせて、補助車輪の軸心を独立して上下にスライドして締結できる構造にしてあるので、座卓の傾きを好ましい角度に調整できる効果を有するものである。
【0015】畝と畝との間ほぼ中央に置いた直管から隣の直管に作業台車を移動する場合には、台車の先端に取り付けた取っ手を持ち上げて全体の重量を両側補助車輪に掛かるようにしてあるので、前後のガイド車輪は簡単に直管に乗せたりはずしたりする事ができるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明にかかわる簡易農作業システムの実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。先ず図1および図2において、本発明の好ましい一実施例を説明する。1は作業台車、2は圃場を構成する畝部、3は圃場を構成する畝間谷底部、4は畝間谷底部ほぼ中央に置かれた直管である。畝部の上部にはアスパラガスの如き柔らかで乱暴な扱いをすると直ぐ傷ついたり、折れたりする野菜5が植えられている。
【0017】畝間中間部に置かれた直管4は直径が18mm前後のプラスチック製または鉄製の市販品であり、この上を前ガイド車輪6aと後ガイド車輪6bを介して座卓付き作業台車1が移動できるシステムになっている。
【0018】図3は畝間に置かれた座卓付き作業台車の標準的前方正面図である。モノレール状に置いた直管4の上に凹溝のついたガイド車輪6a,6b(図示せず)を中心として、両サイドに補助車輪7a、7bが台車をほぼ水平に維持している好ましい状態を示している。
【0019】座卓8には背もたれ9を設けてあり、作業者が座卓8に腰掛け、両足の踵で畝間谷底部3を正面方向に蹴ると、背もたれを介して作業台車は図1の矢印Aの如く後方(作業者背中後方)に移動させることができる。
【0020】次に図4と図5を用いて作業台車の詳細な説明をする。図4は台車の座卓付きフレーム構造を示し、また図5はこのフレームにガイド車輪と補助車輪を取り付けた状態を示している。
【0021】座卓支持枠10の中央部には上下方向に貫通穴が設けられ(図示せず)、座卓下部から出ているシャフト11が貫通穴の中を上下できるので、上下調整用締め付けコック12を緩めたり締めたりすることにより、座卓の高さを調節することができる。発明者の実験によれば、谷底部からの座卓の高さは15〜20cm程度が好ましく、作業者は座卓支持枠10を挟んで両側に足を投げ出す如く座ればよい。
【0022】シャフト11の頭部から数センチ下部周囲に、深さ5mm幅15mmほどの溝が円周方向に掘ってあり(図示せず)、座卓に固定されている下部ソケット13には座卓脱落防止兼座卓回転可能とするように回転調整用コック14がついている。コック14を調節してコックのネジ部先端(図示せず)をシャフト溝部に滑合しておけば、挿入されたシャフト頭部を中心として座卓は自由に水平方向に回転できる構造にしてある。この機構は市販されている事務用回転椅子と同じ構造でありこれを流用しても構わないものである。これにより作業者は足を伸ばしたり屈折したりしながら腰をひねって座卓を回転させ左右の畝上の野菜を管理、収穫できるものである。
【0023】次に座卓支持枠10の下部中央前後にはガイド車輪支持枠15aおよび15bが固定され夫々凹溝付きガイド車輪6a、6bを支持している。ガイド車輪の凹溝の曲率半径はモノレール状直管4の曲率半径より小さくしておき、作業台車が移動する際に土や小枝の巻き込みを防止するので、足の踵に掛かる力を少なくすることができ作業者の疲労を大幅に低減できるものである。
【0024】座卓支持枠10の最後部には補助車輪支持枠16を固定し、その両端には、補助車輪支持用のスライド板17aおよび17bが設けられている。夫々のスライド板には縦方向に矩形穴18aおよび18bが開いており、補助車輪7a、7bの軸を夫々独立して固定する構造にしてある。固定方法は車輪の軸部19a,19bを矩形穴の中をスライドさせてネジにより締結させるものである。これにより図3に示すように、畝2の形状や畝間3の谷底部形状に応じて補助車輪の高さを調節できるので、作業者が座卓8に腰掛けた際に凹溝付きガイド車輪がモノレール状直管4から浮き上がる心配は無い。
【0025】畝や畝間の形状は、作耕頭初は専用の農業機械により耕されるため比較的画一的な断面形状になっているが、頻繁な生育管理や収穫により崩れてくるため常に画一的形状は望めない。畝の土が崩れて畝間底部の両側面が持ち上がるようになれば、座卓を支えていた補助車輪7a、7bの高さを少しずつ上げて調節固定することになるが、ガイド車輪の脱輪を防止することが最も重要であるので、補助車輪の左右どちらかが常時畝から浮く位置に調節しておくことが望ましい。その場合作業者の体重は補助車輪のどちらかと中央のガイド車輪2個との3点支持になるが、体重の分散があるので座卓の急激な傾斜は生じない。畝間間隔が短い場合や作物の植付け密度が濃い場合には座卓の回転を左右頻繁に繰返さずに管理収穫を行うことになるので、作業する側の畝に対して座卓が多少傾斜したほうが体重移動ができ、腕をあまり長く伸ばさなくてもよいので作業しやすいことになる。従って補助車輪は最初から高めに固定しておけばガイド車輪の脱輪は全く発生せず安心して作業、移動をさせることができるものである。
【0026】装置の原価が多少アップすることが許されるならば、補助車輪を後方だけではなく前方にも設け、また補助車輪とスライド板との間に柔らかな吸振バネなどを設けることが望ましい。そうすることにより作業台車のスムースな移動や、がたつきによる衝撃の防止を図ることができるからである。
【0027】座卓支持枠10の前方先端部には取っ手20を設けてある。作業台車の運搬時やモノレール状直管との着脱時には、取っ手を持ち上げることにより、両サイドの補助車輪を支点としてガイド車輪が浮き上がり、作業台車を自由に方向転換できるものである。補助車輪支持枠16の位置は後部ガイド車輪の支持枠15bより後方に固定されている。この場合モノレールの上をスムースに台車を移動させるには、座卓支持枠10を長くして、ガイド車輪支持枠15aと15bの間隔、およびガイド車輪支持枠15bと補助車輪支持枠16との間隔を長くとることが望ましい。
【0028】畝間底部に置いた一本の直管は、多少畝との並行度がずれていても、人体の荷重がかかった作業台車を足で押しながら進むことにより自動的に並行度を保つことができるが、真後ろに蹴らなくても多少斜め後方に蹴った場合でも平行度を維持させるためには、直管の途中に所々管を地面に固定するための取り外し可能な冶具(図示せず)を設けておくことが望ましい。
【0029】
【発明の効果】本発明は、畝と畝との間に置かれた18mm前後の一本のパイプの上を回転可能な座卓付き作業台車が人力で移動できる簡易的な農作業システムである。これにより従来野菜の管理、収穫を中腰でやらざるを得なかった作業環境を大幅に改良でき、発明者のアスパラガス生産実績では、畦幅140cm株間25cmの圃場において従来作業の約2倍の収穫量を得ることができた。
【0030】特にモノレール状に置いたパイプは自由に動かすことができるので、少々のうねりや凹凸があっても差支えなく、また従来の如く足底で土壌を踏み固められることがなくなり、常に野菜の根に柔らかな土壌を提供できることができた。
【0031】また座卓を低くして畝間を後ろ向きに移動しながら作業をするので、農作物が枝葉を伸ばし畝間を覆うが如く繁茂している状況でも顔に枝が当たることがなく、しかも枝葉の下をスムースに通り抜けて移動できる効果があった。
【出願人】 【識別番号】502120723
【氏名又は名称】橋爪 剛健
【出願日】 平成14年3月1日(2002.3.1)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−250306(P2003−250306A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−103087(P2002−103087)