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【発明の名称】 トラクタの作業機装着装置
【発明者】 【氏名】西 陽一朗
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【氏名】山本 和央
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【要約】 【課題】作業機を昇降させる2本の外装式油圧シリンダの一端を機体後部に連結し、他端をリフトアームと、リフトロッド又は作業機を水平制御する油圧シリンダを介して、左右のロワリンクに連動連結して作業機を昇降回動するように構成していたため、部品点数が多くなって構造が複雑となり、重量が増し、コストも高くなっていた。

【解決手段】機体後部の左右にロアリンク16L・16Rを装着し、該ロアリンクと機体後部の間に左右一対の油圧シリンダ14L・14Rを介装し、該左右の油圧シリンダの伸縮を制御する切換バルブ66L・66Rと、該油圧シリンダの伸縮長さを検知する手段103・104と、本機または作業機の傾斜角度を検知する手段101と、昇降操作手段106とをそれぞれ制御手段18と接続し、油圧シリンダを同時に同長伸縮させることにより作業機を昇降可能とし、左右一方もしくは両方を伸縮させることにより作業機を傾倒可能とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体後部の左右にロアリンクを装着し、該ロアリンクと機体後部の間に左右一対の油圧シリンダを介装し、該左右の油圧シリンダの伸縮を制御する切換バルブと、該油圧シリンダの伸縮長さを検知する手段と、本機または作業機の傾斜角度を検知する手段と、昇降操作手段とをそれぞれ制御手段と接続し、油圧シリンダを同時に同長伸縮させることにより作業機を昇降可能とし、左右一方もしくは両方を伸縮させることにより作業機を傾倒可能としたことを特徴とするトラクタの作業機装着装置。
【請求項2】 機体後部に作業機を昇降回動させるための外装式油圧シリンダを備えたトラクタの作業機装着装置において、該外装式油圧シリンダのボトム側を機体後部に連結し、ロッド側をロワリンクと接続し、後面視油圧シリンダとロワリンクが略一直線上となるように配置したことを特徴とするトラクタの作業機装着装置。
【請求項3】 前記油圧シリンダをロワリンクの略直上に設け、油圧シリンダのシリンダロッド先端に設けた取付具に複数の取付孔を開口してロワリンクと位置変更可能に連結したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のトラクタの作業機装着装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラクタの機体後部に装着する作業機装着装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、トラクタ等の作業車両において、機体の後部に作業機装着装置を介して作業機を装着して、該作業機装着装置はトラクタ後部に配置した油圧シリンダ等の油圧アクチュエータを作動させることにより作業機を昇降可能としている。該油圧アクチュエータはミッションケース上等に戴置された油圧シリンダケースに内装した油圧シリンダからなり、該油圧シリンダのピストンロッドには作業機昇降用のリフトアームを介して左右のロワリンクに連動連結して、油圧シリンダを伸縮作動させることにより、作業機を昇降するように構成していた。また、上述の作業機装着装置においては、1本の油圧シリンダで作業機を昇降させるようにしているので、広幅の作業機や大重量の作業機を装着する場合には、作業機を昇降回動するには力や剛性が不足するので、2本の外装式油圧シリンダを機体後部に配設し、リフトアーム、リフトロッドまたは水平制御用の油圧シリンダを介して左右のロワリンクと連動連結して作業機を昇降回動させる技術が提案されている。例えば、特開平8−112006号公報の技術の如くである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の作業機装着装置及び昇降装置は、作業機を昇降させるための2本の外装式油圧シリンダの一端を機体後部に連結し、他端をリフトアームと、リフトロッドまたは作業機を水平制御するための油圧シリンダを介して、左右それぞれのロワリンクに連動連結して作業機を昇降回動するように構成していたため、昇降駆動と水平制御のアクチュエータがそれぞれ必要となり、部品点数が多くなって構造が複雑となり、重量が増し、コストも高くなっていた。また、昇降用の油圧シリンダを支持するために、機体フレームより専用のフレームを取り付けて補強し、リフトアームも必要としていたので、部品点数が多くなっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】即ち、請求項1においては、機体後部の左右にロアリンクを装着し、該ロアリンクと機体後部の間に左右一対の油圧シリンダを介装し、該左右の油圧シリンダの伸縮を制御する切換バルブと、該油圧シリンダの伸縮長さを検知する手段と、本機または作業機の傾斜角度を検知する手段と、昇降操作手段とをそれぞれ制御手段と接続し、油圧シリンダを同時に同長伸縮させることにより作業機を昇降可能とし、左右一方もしくは両方を伸縮させることにより作業機を傾倒可能としたものである。
【0006】請求項2においては、機体後部に作業機を昇降回動させるための外装式油圧シリンダを備えたトラクタの作業機装着装置において、該外装式油圧シリンダのボトム側を機体後部に連結し、ロッド側をロワリンクと接続し、後面視油圧シリンダとロワリンクが略一直線上となるように配置したものである。
【0007】請求項3においては、前記油圧シリンダをロワリンクの略直上に設け、油圧シリンダのシリンダロッド先端に設けた取付具に複数の取付孔を開口してロワリンクと位置変更可能に連結したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明する。図1はトラクタの側面図、図2は動力伝達機構を介して連結されるエンジンとミッションケースの側面図、図3はトラクタの後面図、図4は作業機昇降装置の斜視図、図5は同じく側面図、図6は同じく平面図、図7はトラクタの油圧回路図、図8は作業機制御用の油圧回路図、図9は制御ブロック図、図10は昇降制御のフローチャート図、図11は水平制御のフローチャート図、図12は耕深制御のフローチャート図である。
【0009】まず、トラクタ1の概略構成から説明する。図1に示すように、本発明に係るトラクタ1は、機体の前端部から後端部にかけて成形された略直線状の機体支持部材2が左右一対略平面視で左右対称に配設され、該機体支持部材2の前部及び後部にそれぞれアクスルケースを介して前輪11・11、後輪12・12が支承されている。機体支持部材2の前後中央部にはステップ6が略水平に載設され、該ステップ6の後方上方に運転席7が配置されている。ステップ6の前方にはダッシュボード8が立設され、該ダッシュボード8からは操向操作のためのステアリングハンドル9が突設されている。
【0010】この左右の機体支持部材2・2の前部上にはエンジン3が載置され、ボンネット10で被装されている。また、該機体支持部材2・2の後部間にはミッションケース5が取り付けられ、該エンジン3と該ミッションケース5とは動力伝達機構4を介して連結されている。
【0011】図2に示すように、前記動力伝達機構4は、フライホイール41a、伝動装置42、伝動軸45等を備え、エンジン3後面に付設したフライホイールケース41内のフライホール41aはエンジン3の出力軸である第1軸30に取り付けられ、伝動装置42は歯車等より構成されて該フライホイールケース41の後部に配置されて、該伝動装置42に該第1軸30の後端部が入力されている。伝動装置42内では、歯車列、又はプーリとベルトまたはチェーンとスプロケットを介して、該第1軸30と、その下方に配置される第2軸40とが連動・連結されている。該第2軸40は、ステップ6よりも下方で伝動装置42から取り出されて、その後端にはユニバーサルジョイント44が取り付けられ、該ユニバーサルジョイント44を介して伝動軸45が連結されている。この伝動軸45は前後方向に水平に延出されて、該伝動軸45の後端にはユニバーサルジョイント46を介して第3軸50が連結され、該第3軸50はミッションケース5に支持されて、ミッションケース5の入力軸とされている。
【0012】前記ミッションケース5内には主クラッチ機構51及び変速機構52が設けられ、前記第3軸50は該主クラッチ機構51を介して該変速機構52に入力され、該変速機構52からPTO軸48や後輪12等に動力が伝達されるように構成してある。
【0013】次に、前記機体支持部材2の構造について説明する。図4乃至図6に示すように、この機体支持部材2は、左右一対の機体フレーム20L・20Rを有し、該機体フレーム20L(20R)は、前部に垂直面で前後方向に延設された板状部材21L(21R)を配置し、その後部に角パイプ等より構成した筒状部材22L(22R)が連結されて後方に延出され、側面視で、水平方向に略直線状に構成されて、筒状部材22L(22R)後部は上方に曲げて構成されている。この左右の機体フレーム20L・20Rは平行に配置され、板状部材21L・21Rの横幅(左右幅)は、筒状部材22L・22Rの横幅よりも狭く構成されている。そして、この板状部材21L・21Rの前端にはバンパー26が固着され、前後中央部には板材27が連架されて、該板材27上に防振部材を介してエンジン3が載置固定される。
【0014】前記筒状部材22L(22R)の後部は後方上方へ向けて延出され、この後方上方へ向けた延出部の上面にはブラケット32L(32R)が固設され、該延出部の下面よりブラケット33L(33R)が垂設され、さらに、該延出部の後端にブラケット35L(35R)が取り付けられている。
【0015】また、筒状部材22L(22R)の曲折部近傍下部より略水平方向(または斜め下方)後方に補強部材23L(23R)が延出されて、該筒状部材22L(22R)と該補強部材23L(23R)とは、図5に示すように、側面視、略字を寝かせた形状に配置されている。
【0016】さらに、筒状部材22L(22R)と補強部材23L(23R)との間にはブラケット34L(34R)が介設され、該補強部材23L(23R)の後端部には左右方向に貫通する螺子孔24L(24R)が形成されている。なお、この補強部材23L(23R)と筒状部材22L(22R)とは一体的に成形してもよい。
【0017】そうして、筒状部材22L・22Rの前後中央部、及び後端部には補強部材等よりなる補強部材28・29が横設され、補強部材28については筒状部材22L・22Rの両外側方に突出させて、オペレータがステップ6に乗る際の踏み台やペダルの支持部材として構成されている。
【0018】以上のように機体支持部材2は、図6に示すように、機体フレーム20L・20Rと、バンパー26と、板材27と、補強部材28・29とで、平面視、略梯子状に構成され、前記ミッションケース5は筒状部材22L・22Rの後端部の間に介装されて、ブラケット33L・33R、34L・34Rを介して支持固定される。
【0019】そして、図3に示すように、ミッションケース5の左右外側方にはリアアクスルケース55L・55Rが固着され、該リアアクスルケース55L・55Rの後端下部は下方へ延出されて、この延出部55aと、補強部材23L(23R)の後端部との間に、ロワリンク16L(16R)の前端部を枢支し、該延出部55aの外側方からボルトやピン等の支持軸を挿通して、該ロワリンク16L(16R)の前端部の孔部に挿入し、該補強部材23L(23R)の孔24L(24R)に挿入して、ナットやピン等で締結する。
【0020】また、図3乃至図6に示すように、筒状部材22L(22R)の後端のブラケット35L(35R)には、油圧シリンダ14L(14R)の本体の上端部(シリンダチューブ側の基部)が枢支され、該油圧シリンダ14L(14R)のロッドの下端部に固設された取付具17L(17R)が前記ロワリンク16L(16R)の前後中央部に枢結されて、該ロワリンク16L(16R)が上下回動可能に構成されて、外装式の油圧シリンダ14L・14Rにより作業機を昇降する構成としている。
【0021】該ロワリンク16L(16R)と取付具17L(17R)の固定構成は、取付具17L(17R)の側面に上下方向に所定間隔をあけて固定穴17a・17a・・・を複数設けるとともに、ロワリンクロワリンク16L(16R)の略中央部に前後方向に所定間隔をあけて固定穴16a・16a・・・を複数設け、該ロワリンクロワリンク16L(16R)の固定穴16aと取付具17L(17R)の固定穴17aとの固定位置を変更可能に構成しており、これによって、作業機の最上げ位置や最下げ位置を容易に調整できるようにしている。
【0022】また、前記油圧シリンダ14L(14R)は、ミッションケース5後部の筒状部材22L・22Rの後方で、ロワリンク16L(16R)の略直上に位置し、油圧シリンダ14L・14Rと筒状部材22L・22Rとロワリンク16L・16Rはそれぞれ後面視で上下方向に、または、平面視で前後方向に略一直線上に位置するように平行に配置されており、油圧シリンダ14Lと油圧シリンダ14Rとの間にPTO軸48が位置するように構成されている。そのため、油圧シリンダ14L・14Rの伸縮により作業機を昇降するとき、機体フレーム20L・20Rとロワリンク16L・16Rがそれぞれ鉛直方向で一直線上に位置して左右平行に配置され、引き上げる力と支える力の方向が一致して無駄なく力がかかり変形等を防ぐことができ、安定して作業機を昇降できるようになり、また、従来の油圧ケースをなくすことができるため、運転席7下方のスペースを大きくとることができて、キャビン仕様の場合には大きな居住空間を確保することができ、図1に示すように、運転席7下部にサスペンション13を設けても、オペレータの頭上にスペースを確保できるため、居住性の低下を防止することができる。また、PTO軸48は油圧シリンダ14L・14R間に位置して作業機が傾倒した場合でも軸心のズレが小さくなるようにしている。該油圧シリンダ14L・14Rにはそれぞれ伸縮長さを検知する手段として、位置センサ104・103が設けられている。
【0023】そして、ミッションケース5の上後部の左右中央で前記PTO軸48の上方に一本のアッパリンク(図示略)が上下揺動自在に支持されて、この一本のアッパリンクと前記左右一対のロワリンク16L・16Rとで3点リンク機構が構成されている。この3点リンク機構に対地作業機を連結し、油圧シリンダ14L・14Rの伸縮によりロワリンク16L・16Rを上下に回動させ、該回動にアッパリンクを従動させて、対地作業機の耕深を調節するように構成している。従って、油圧ケースやリフトアームやリフトロッドや水平制御用油圧シリンダ等がなくなり、部品点数を減少でき、簡単な構造で作業機装置装置を構成できるため、軽量化とコストの低減を図ることができる。
【0024】次に、このように構成されたトラクタに具備される油圧回路の構成について図7及び図8より説明する。図7に示すように、油タンク(ミッションケース5と兼用)71内の作動油はサクションストレーナ73により清浄化されて、一方は走行系油圧ポンプ72によりパワーステアリングユニット74に圧送される。このパワーステアリングユニット74は、ステアリングハンドル9を操作するのに必要な力を低減するために設けられるものであって、ステアリングハンドル9の回動に連動した方向切換バルブ75の切り換えにより、前輪操向装置に連結されたパワーステアリングシリンダ25が駆動され、前輪11の舵取り角を変更することとしている。
【0025】パワーステアリングユニット74を経た作動油は三つに分岐され、一つは主変速レバー77に連動した主変速コントロールバルブ80により、四段の油圧式変速クラッチ81・82・83・84のいずれか一を作動させ、主変速を行う。もう一つは比例減圧弁85を経て、リバーサレバー86に連動したリバーサコントロールバルブ87により、前進または後進の二つのリバーサ用油圧クラッチ88・89のうちいずれか一を作動させ、トラクタの前進又は後進の切換を行う。前記比例減圧弁85は電磁バルブよりなる方向切換バルブより構成されており、上述のリバーサ用油圧クラッチ88・89に供給される油圧を調整する役割を果たす。また、比例減圧弁85の方向切換バルブによりリバーサコントロールバルブ87のポンプポートをドレンして圧力をゼロとすることで、リバーサレバー86の位置に関係なくリバーサ用油圧クラッチ88・89のいずれをも作動させなくすることもできる。残りは電磁コントロールバルブ90を経て、二つの油圧クラッチ91・92のうちいずれか一を作動させて、前輪増速又は四輪駆動の切換を行う。前輪増速時は、更に後輪左右に設けられるブレーキ装置94・95を作動させて、旋回時の旋回半径を小さいものとしている。
【0026】次に、作業機制御系の油圧回路について説明する。前記油タンク71からサクションストレーナ73を経た作動油は、作業機用油圧ポンプ61により、外部油圧取出部62を経て作業機制御用ユニット63に圧送される。そして、作業機を昇降させるための外装式油圧シリンダ14L(14R)を適宜作動させ、トラクタ1後端に連結された作業機の昇降及び水平(傾斜)制御を行うようにしている。
【0027】前記作業機制御用ユニット63において、図8に示す油圧回路図のように、油圧ポンプ61からの作動油は、流量制御バルブ64、分流弁65を経て二つに分岐され、左右の方向切換バルブ66L(66R)を介して油圧シリンダ14L(14R)に送油されるように構成されている。該方向切換バルブ66L(66R)は電磁バルブにより構成され、その一方の出力ポートは、チェックバルブ53を介して油圧シリンダ14L(14R)のロッド側に接続され、他方の出力ポートが、油圧シリンダ14L(14R)のボトム側に接続されている。そして、方向切換バルブ66L・66Rのスプールはバネ47・47によって中立位置に付勢されるとともに、ソレノイドは後述する制御手段となるコントローラ18と接続されて制御され、該ソレノイドを作動させることで方向切換バルブ66L・66Rを切り換えて油圧シリンダ14L・14Rに圧油を送油して伸縮させ、ロワリンク16L・16Rを昇降できるようにしている。
【0028】また、油圧シリンダ14L(14R)のロッド側とチェックバルブ53の間にはパイロットチェックバルブ67を介してストップバルブ68と接続され、該ストップバルブ68にはさらに下降速度を規制する可変絞り69を経て緩速下降バルブ70と、絞り96・97、ストレーナ98を介して高速下げ用電磁バルブ99と接続され、油タンク71にドレンされるように構成されている。
【0029】このような構成において、油圧シリンダ14L(14R)を縮小して作業機を上昇させる場合、方向切換バルブ66L(66R)を縮小側に切り換えると、圧油がチェックバルブ53を介して油圧シリンダ14L(14R)のロッド側に送油されてロアリンク16L(16R)を上昇回動する。油圧シリンダ14L(14R)のヘッド側の作動油はドレンされる。油圧シリンダ14L(14R)を伸長して作業機を下降させる場合、方向切換バルブ66L(66R)を伸長側に切り換えると、圧油が油圧シリンダ14L(14R)のヘッド側に送油されてロアリンク16L(16R)を下降回動する。同時にパイロット油路を介してパイロットチェックバルブ67を開放して、油圧シリンダ14L(14R)のロッド側の作動油はストップバルブ68、可変絞り69、緩速下降バルブ70を介して流量を制限されながらドレンして、作業機は緩速下降される。
【0030】また、プラウ等の作業の場合、作業開始時に上昇位置から緩速下降させると、プラウが地面への食い込みが小さく設定深さに到るのに長く牽引することになり、未耕部分が多くなって作業効率が悪くなるので、下降させるときに、前記高速下降用電磁バルブ99を作動させて、絞り96・97、ストレーナ98、電磁バルブ99を介してドレンさせることで、緩速下降バルブ70はバネ力が勝って切り換えられて、制限されることなく油圧シリンダ14L(14R)のロッド側からの圧油をドレンして、高速下降できるのである。前記電磁バルブ99のソレノイドはコントローラ18と接続され、さらに該コントローラ18に運転席7近傍に配置されたプラウ作業等用の切換スイッチ109と接続されている。
【0031】そして、作業車両の本機の任意位置、または、作業機に、左右方向の対地角度を検出する水平センサ101、作業機には耕深を検出するリヤカバーの回動角を検出する角度センサ102、前記油圧シリンダ14L・14Rには伸縮位置を検出するセンサ103・104が設けられており、図9に示すように、該水平センサ101及び角度センサ102、センサ103・104からの信号をコントローラ18に入力している。さらに、水平制御入/切スイッチ105、作業機の昇降操作手段となる昇降スイッチ106が運転席7近傍に配置され、ステアリングハンドル9の切れ角を検出するための切れ角センサ107が前輪操向装置に設けられ、これらのセンサ107及びスイッチ105・106がコントローラ18と接続されている。
【0032】そして、該コントローラ18から左右の方向切換バルブ66L・66R及び電磁バルブ99へ制御信号を出力し、油圧シリンダ14L・14Rを伸縮駆動して作業機の昇降制御(耕深制御も含む)と水平(傾斜)制御ができるようにしている。即ち、非作業時での昇降時には、図10に示すように、作業機昇降スイッチ106の上昇側または下降側への切換操作で油圧シリンダ14L・14Rは同方向に同時に同長作動されて、作業機を昇降できる。また、水平制御を行うときには、水平制御入/切スイッチ105により水平制御「入」に切り換えると、図11に示すように、水平センサ101の値を読み込んで、機体(本機)または作業機が水平でなく、右下がりに傾斜している場合には、左ロワリンク16Lの角度を減少させるように油圧シリンダ14Lを伸長させて、水平となるまで傾倒させる。逆に、左下がりに傾斜している場合には、右ロワリンク16Rの角度を減少させるように油圧シリンダ14Rを伸長させて、作業機を水平制御する。または、左右一方の油圧シリンダを伸長させ、他方を縮小させるようにして水平制御することもできる。但し、左右一方の油圧シリンダを伸長させる代わりに縮小させることもできる。また、傾斜制御により耕深が変化した場合には、図12に示すように、油圧シリンダ14L・14Rは設定深さとなるように伸縮される。なお、傾斜制御の場合には、傾斜角を設定する設定器を設け、設定角度と作業機の傾斜角が一致するように左右一方の油圧シリンダ66を伸縮制御する。
【0033】また、プラウ等の作業機を装着した場合、回行後速やかに作業機を下降して作業する場合があり、この場合には切換スイッチ109を急速下降側に操作することにより、電磁バルブ99が切り換えられて、昇降スイッチ106を下降側に操作するだけで急速に下降させることができる。また、ステアリングハンドル9を回動して旋回するときに、切れ角センサ107の値が設定角度以上となると、油圧シリンダ14L・14Rを縮小させて作業機を持ち上げるようにすることもでき、また、リバーサレバー86を後進側に切り換えたときに、油圧シリンダ14L・14Rを縮小させて作業機を上昇させるようにすることもできる。従って、従来のように作業機を水平制御するための油圧シリンダを別に設ける必要がなくなるため、作業機昇降装置の構造が簡単となり、軽量化とコストの低減化を図ることができる。
【0034】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0035】即ち、請求項1に示す如く、機体後部の左右にロアリンクを装着し、該ロアリンクと機体後部の間に左右一対の油圧シリンダを介装し、該左右の油圧シリンダの伸縮を制御する切換バルブと、該油圧シリンダの伸縮長さを検知する手段と、本機または作業機の傾斜角度を検知する手段と、昇降操作手段とをそれぞれ制御手段と接続し、油圧シリンダを同時に同長伸縮させることにより作業機を昇降可能とし、左右一方もしくは両方を伸縮させることにより作業機を傾倒可能としたので、従来のように作業機を水平制御するための油圧シリンダを別に設ける必要がなくなるため、作業機昇降装置の構造が簡単となり、軽量化とコストの低減化を図ることができる。
【0036】請求項2に示す如く、機体後部に作業機を昇降回動させるための外装式油圧シリンダを備えたトラクタの作業機装着装置において、該外装式油圧シリンダのボトム側を機体後部に連結し、ロッド側をロワリンクと接続し、後面視油圧シリンダとロワリンクが略一直線上となるように配置したので、安定して作業機を昇降できるとともに、部品点数を減少でき、簡単な構造で作業機装置装置を構成できるため、軽量化とコストの低減を図ることができる。また、従来の油圧ケースをなくすことができるため、運転席下方のスペースを大きくとることができて、キャビン仕様の場合には大きな居住空間を確保することができる。
【0037】請求項3に示す如く、前記油圧シリンダをロワリンクの略直上に設け、油圧シリンダのシリンダロッド先端に設けた取付具に複数の取付孔を開口してロワリンクと位置変更可能に連結したので、作業機の最上げ位置や最下げ位置を容易に調整できる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成14年3月5日(2002.3.5)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2003−250305(P2003−250305A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−58867(P2002−58867)