トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 管理機
【発明者】 【氏名】宮原 一嘉
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】管理機のクラッチやこのクラッチを支承する第1の転がり軸受を、少ない部品で組付け性良く伝動ケースに抜け止めして取付けられること。

【解決手段】管理機10は、耕耘爪を取付ける耕耘軸71にホイール34を取付け、ホイールにウォーム33を噛み合わせ、ウォームの一端からウォームより小径の軸部35を延し、軸部を遠心クラッチ20を介して回転方向が一方R2のみのエンジン11に連結した耕耘機である。ウォーム、ホイール、軸部及び遠心クラッチを伝動ケース40に一括収納した。伝動ケースに遠心クラッチがウォーム側へ移動することを防止する第1の軸受51、及び、ウォームが遠心クラッチ側へ移動することを防止する第2の軸受52を設け、遠心クラッチに軸部をねじ結合するとともに、このねじ結合の締り方向をエンジンの回転方向R2に合致させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 耕耘爪を取付ける耕耘軸に従動ギヤを取付け、この従動ギヤに駆動ギヤを噛み合わせ、この駆動ギヤの一端から駆動ギヤより小径の軸部を延し、この軸部をクラッチを介して回転方向が一方のみのエンジンに連結した管理機において、前記従動ギヤ、駆動ギヤ、軸部及びクラッチを伝動ケースに一括収納し、この伝動ケースに前記クラッチが駆動ギヤ側へ移動することを防止する第1の軸受、及び、前記駆動ギヤがクラッチ側へ移動することを防止する第2の軸受を設け、前記クラッチに前記軸部をねじ結合するとともに、このねじ結合の締り方向を前記エンジンの回転方向に合致させたことを特徴とする管理機。
【請求項2】 前記駆動ギヤは、前記軸部とは反対側の他端から他端軸部を延し、この他端軸部に、前記クラッチに対するねじ込み量を調整する調整部を設けたことを特徴とする請求項1記載の管理機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は管理機の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】管理機は、耕耘軸に備えた耕耘爪の回転により耕耘し、更に耕耘爪にて走行する耕耘機であり、フロントタイン式管理機と言われている。このような管理機は、手軽で小回りが利くことから広く普及しており、例えば、次の図9に示すものが知られている。
【0003】図9は従来の管理機の概要図であり、この従来の管理機100は、回転方向が一方のみのエンジン101の出力軸102を下方へ延ばし、この出力軸102に遠心クラッチ103を介して伝動軸104を連結し、この伝動軸104にウォームギヤ機構105を介して水平な耕耘軸106を連結し、この耕耘軸106に耕耘爪107を取付けたというものである。
【0004】伝動軸104の上端は、遠心クラッチ103におけるアウタカップ108のハブ109にスプライン結合にて取付ける。ウォームギヤ機構105は、伝動軸104に設けたウォーム111(駆動ギヤ)と耕耘軸106に設けたホイール112(従動ギヤ)とからなる。遠心クラッチ103、伝動軸104及びウォームギヤ機構105は伝動ケース113に一括収納されたものである。
【0005】伝動ケース113は、アウタカップ108のハブ109を第1の転がり軸受114を介して、軸方向への移動を防止して支承する。具体的には、ハブ109に第1の転がり軸受114の内輪を止め輪115で軸方向移動不能に取付けるとともに、第1の転がり軸受114の外輪を止め板116並びに止めねじ117で軸方向移動不能に取付ける。
【0006】さらに伝動ケース113は、伝動軸104を第2の転がり軸受118及び第3の転がり軸受119を介して、軸方向への移動を防止して支承する。具体的には、伝動軸104とウォーム111との間の段差、伝動ケース113内の段差及び止め輪125によって、第2・第3の転がり軸受118,119を軸方向移動不能に取付ける。
【0007】このような伝動ケース113は、伝動軸104並びにウォーム111を伝動ケース113内へ挿入するための第1の開口121を下端に開けるとともに、ホイール112を伝動ケース113内へ挿入するための第2の開口122を側端に開けたものである。
【0008】第1の開口121から、伝動軸104並びにウォーム111を挿入して組付けた後に、第1の開口121を第1のリッド123で塞ぐ。第2の開口122からホイール112を挿入して組付けた後に、第2の開口122を第2のリッド124で塞ぐ。
【0009】ところで、耕耘軸106並びにホイール112の回転方向は、正転方向R10(図反時計回り方向)だけである。従って、ホイール112からウォーム111を介して、伝動軸104に遠心クラッチ103側へ向うスラスト反力Fsが作用する。このスラスト反力Fsを、第2の転がり軸受118を介して伝動ケース113で受ける。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の管理機100は、伝動ケース113からアウタカップ24や第1の転がり軸受114を抜け止めするために、止め輪115、止め板116並びに止めねじ117を用いるので、部品数が多く、組付け性が劣り、組立工数が増す。特に、小型の管理機100においては、小型の伝動ケース113における狭いスペースに部品を組付けるので、その傾向が強い。
【0011】そこで本発明の目的は、駆動ギヤを設けた軸部をクラッチを介して、回転方向が一方のみのエンジンに連結した管理機において、クラッチやこのクラッチを支承する第1の軸受を、少ない部品で組付け性良く、伝動ケースに抜け止めして取付けることができる技術を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1は、耕耘爪を取付ける耕耘軸に従動ギヤを取付け、この従動ギヤに駆動ギヤを噛み合わせ、この駆動ギヤの一端から駆動ギヤより小径の軸部を延し、この軸部をクラッチを介して回転方向が一方のみのエンジンに連結した管理機において、従動ギヤ、駆動ギヤ、軸部及びクラッチを伝動ケースに一括収納し、この伝動ケースにクラッチが駆動ギヤ側へ移動することを防止する第1の軸受、及び、駆動ギヤがクラッチ側へ移動することを防止する第2の軸受を設け、クラッチに軸部をねじ結合するとともに、このねじ結合の締り方向をエンジンの回転方向に合致させたことを特徴とする。
【0013】クラッチが駆動ギヤ側へ移動することを第1の軸受にて防止するとともに、駆動ギヤがクラッチ側へ移動することを第2の軸受にて防止し、クラッチに軸部をねじ結合したので、簡単な構成によって、クラッチ、軸部、第1の軸受並びに第2の軸受が、駆動ギヤ側へ移動することを防止できるとともにクラッチ側へ移動することをも防止できる。これらの部材の移動を防止したり、伝動ケースからからの抜け止めのための、抜け止部材を設ける必要はない。抜け止部材が不要なので、部品数を削減することができるとともに、組付け性を高めることができるので、組立工数を低減することができる。さらには、クラッチに対する軸部のねじ結合の締り方向を、回転方向が一方のみのエンジンの回転方向に合致させたので、ねじ結合が緩む心配はない。
【0014】請求項2は、駆動ギヤが、軸部とは反対側の他端から他端軸部を延し、この他端軸部に、クラッチに対するねじ込み量を調整する調整部を設けたことを特徴とする。他端軸部に、クラッチに対するねじ込み量を調整する調整部を設けたので、調整部によって、軸部のねじ込み量を容易に調整することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0016】図1は本発明に係る管理機の左側面図であり、この管理機10は、動力源としてのエンジン11の動力をクラッチ20並びに伝動機構30を介して耕耘軸71に伝達することで、この耕耘軸71に取付けた複数の耕耘爪75・・・・・・は複数を示す。以下同じ。)で耕耘作業を行わせるとともに、耕耘爪75・・・にて走行させるようにし、さらに、耕耘爪75・・・の上をフェンダ12(土砂飛散防止カバー)で覆い、このフェンダ12を伝動ケース40に取付けた歩行型自走式耕耘機であり、フロントタイン式管理機と称する。
【0017】エンジン11は、出力軸(クランク軸)をほぼ垂直に向け、回転方向が一方のみの原動機である。耕耘軸71並びに耕耘爪75・・・は、耕耘爪75・・・が進行方向前上から地面へ向うように正転方向R1へ回転(正転)、すなわち図反時計回りに回転する。
【0018】このような管理機10は、キャリアハンドル13を片手で掴んで持ち運ぶことが可能な極めて小型の管理機であり、伝動ケース40の後部から後上方へ延びる操作ハンドル14、及び、操作ハンドル14の下部から下方へ延びる抵抗棒15を備える。抵抗棒15は、土中に差込んで耕耘爪75・・・による耕深量を設定するとともに、耕耘爪75・・・の牽引力に対する抵抗力を付加する棒である。図中、14aはグリップ、16はエンジンカバー、17は燃料タンク、18は車体ガード(プロテクタ)である。
【0019】図2は本発明に係る管理機の正面図であり、伝動ケース40から耕耘軸71を機体幅方向へ水平に延ばし、この耕耘軸71の左右両端から左右の中空軸73,73,74,74を延し、これらの中空軸73,73,74,74に複数の耕耘爪75・・・を設けたことを示す。フェンダ12の幅は、エンジン11の幅よりも大きく、左端の耕耘爪75から右端の耕耘爪75までの距離よりも小さい。
【0020】図3は本発明に係る伝動ケース回りの断面図であり、上記図1に対応させて、左側方から見た伝動ケース40回りの断面構造を示す。伝動ケース40は、上部のエンジン11の下部にボルト結合する上部フランジ41を一体に形成し、クラッチ20、伝動機構30及び耕耘軸71を一括収納したものである。
【0021】伝動機構30は、エンジン11の下向きに延びる出力軸(クランク軸)11aに、クラッチ20を介して連結した機構であり、出力軸11aと同軸上に配置するほぼ垂直な伝動軸31と、伝動軸31から水平な耕耘軸71へ動力を伝達するウォームギヤ機構32とからなる。
【0022】ウォームギヤ機構32は、伝動軸31に一体に形成した駆動ギヤとしてのウォーム33と、耕耘軸71にスプライン結合した従動ギヤとしてのウォームホイール34(以下、「ホイール34」と言う。)と、からなるギヤ機構である。
【0023】このようにして、耕耘軸71にホイール34を取付け、ホイール34にウォーム33を噛み合わせ、このウォーム33の一端から上方へ伝動軸31の軸部35を延し、この軸部35をクラッチ20を介してエンジン11に連結し、ウォーム33、ホイール34及び軸部35を伝動ケース40に一括収納することができる。さらに伝動軸31は、ウォーム33の他端(軸部35とは反対側の端)から下方へ延した他端軸部36を有する。軸部35及び他端軸部36は、ウォーム33より小径の軸である。
【0024】ここで、クラッチ20について説明する。クラッチ20は、エンジン11の回転数が一定以上に増加すると遠心力によって伝動軸31に回転を伝える遠心クラッチである。このような遠心クラッチ20は、エンジン11の出力軸11aの下端に取付ける駆動部材21と、駆動部材21に径方向へスイング可能に取付けた左右一対の遠心コマ22,22と、これらの遠心コマ22,22同士を径内方へ弾発するばね23と、遠心コマ22,22を収納するとともに軸部35の上端に取付けるアウタカップ24(従動部材)と、からなる。
【0025】アウタカップ24は、軸心にハブ25を一体に設け、このハブ25を第1の軸受51を介して伝動ケース40に回転可能に取付けた、従動部材である。ハブ25は、軸部35の上端(一端)をねじ結合するとともに、このねじ結合の締り方向をエンジン11の回転方向R2に合致させたことを特徴とする。従って、ねじ結合が緩む心配はない。
【0026】他端軸部36は、クラッチ20に対するねじ込み量を調整する調整部36aを設けたことを特徴とする。具体的には、調整部36aは、他端軸部36の端面に形成したレンチ孔である。
【0027】エンジン11の回転数が一定以上に増加すると、遠心コマ22,22に加わる遠心力が増大し、ばね23の弾発力に打ち勝って摩擦板26,26をアウタカップ24の内周面に押し付けて、動力の伝達を行うことができる。
【0028】ところで、伝動ケース40は、クラッチ20がウォーム33側へ移動することを防止する上記第1の軸受51、ウォーム33がクラッチ20側へ移動することを防止する第2の軸受52、及び、他端軸部36を支持する第3の軸受(下部軸受)53を設ける。
【0029】上述のように、耕耘軸71並びにホイール34の回転方向は、正転方向R1(図反時計回り方向)である。従って、ホイール34を回転させるウォーム33、伝動軸31、クラッチ20並びにエンジン11の出力軸11aの回転方向は正転方向R2(図時計回り方向)である。このようにして、クラッチ20に伝動軸31、すなわち軸部35をねじ結合するとともに、このねじ結合の締り方向をエンジン11の回転方向R2に合致させることができる。
【0030】さらには、ホイール34が正転方向R1に回転するので、ホイール34からウォーム33を介して伝動軸31に、クラッチ20側へ向うスラスト反力Fsが作用する。伝動軸31は、クラッチ20側へ向うスラスト反力Fsを受ける方向R2へのみ、回転する。第1の軸受51は、スラスト反力Fsを受けずに、アウタカップ24からラジアル荷重のみを受ける、深溝玉軸受等の転がり軸受である。
【0031】第2の軸受52は、伝動軸31のラジアル荷重並びに上記スラスト反力Fsを受ける、アンギュラ玉軸受等の転がり軸受である。第2の軸受52の内輪の下端面をウォーム33の上端面に当てるとともに、第2の軸受52の外輪の上端面を伝動ケース40の段差部42に当てることで、伝動軸31並びにウォーム33がクラッチ20側へ移動することを防止しつつ、軸部35を第2の軸受52にて回転可能に支承することができる。
【0032】第3の軸受53は、スラスト反力Fsを受けずに、伝動軸31からラジアル荷重のみを受ける、深溝玉軸受等の転がり軸受である。第3の軸受53の内輪の上端面をウォーム33の下端面に当て、他端軸部36を第3の軸受53にて回転可能に支承することができる。第1の軸受51の詳細については後述する。図中、54はオイルシールである。
【0033】伝動ケース40は、内部に伝動軸31、ウォーム33、ホイール34、第2の軸受52、第3の軸受53及びオイルシール54を挿入して組付けるための1個の開口43を、クラッチ20と反対側、すなわち下端面44に開け、この開口43をリッド60で塞ぎ、リッド60でウォーム33の抜け止め部材を兼ねたことを特徴とする。
【0034】リッド60は、上記スラスト反力Fsを受けないので、剛性が小さくてすむ。このため、リッド60を鋼板のプレス成形品とした。このリッド60は、伝動ケース40の下端面44における、開口43の周囲にボルト61にて止めるフランジ62を備える。フランジ62は、第3の軸受53の外輪の下端面を支えることができる。従って、伝動ケース40に第3の軸受53を止める止め輪は不要である。
【0035】さらに上述のように、ウォーム33から伝動軸31に作用するスラスト反力Fsの方向は、クラッチ20側(上側)である。このため、第3の軸受53はスラスト反力Fsを受けない。従って、第3の軸受53における外輪の下端面の全体をフランジ62で支える必要はない。すなわち、フランジ62によって、第3の軸受53における外輪の下端面のうち、一部を部分的に支えるだけですむ。
【0036】このようにリッド60によって、伝動ケース40に対する伝動軸31、ウォーム33並びに第3の軸受53の抜け止めを図ることができる。抜け止部材が不要なので部品数を削減することができるとともに、組付け性をより高めることができるので、組立工数をより低減することができる。しかも、リッド60にフランジ62をプレスで一体に成形するだけの簡単な構成によって、第3の軸受53の抜け止部材を兼ねることができる。
【0037】図4は本発明に掛るクラッチ、伝動軸、第1の軸受及び伝動ケースの関係を示す分解図である。第1の軸受51は、内輪51aをハブ25の外周面25aに嵌合するとともに内輪51aの上端面51bをハブ25の段差面25bに当て、外輪51cを伝動ケース40の支承孔45に嵌合するとともに外輪51cの下端面51dを支承孔45の下の段差面46に当てることで、アウタカップ24を回転可能に支承する、シール付き軸受である。アウタカップ24がウォーム33側(図3参照)へ移動することを防止しつつ、アウタカップ24を第1の軸受51にて回転可能に支承することができる。
【0038】アウタカップ24は、底板24aに上下貫通した複数の治具挿入用孔24b・・・を有する。一方、伝動ケース40は、クラッチ収納部47において支承孔45の周囲を囲うとともに上方へ突出したリング状の筒部48を形成し、この筒部48の外周囲に複数のリブ49・・・を有する。これらのリブ49・・・は、上方へ突出した縦板状の部材である。治具挿入用孔24b・・・とリブ49・・・の関係については、図5にて詳しく説明する。
【0039】次に、ハブ25に対する軸部35のねじ結合構造について説明する。ハブ25は、軸部35の一端に臨む下端に雌テーパ25cを形成するとともに、雌テーパ25cの上方に連なる雌ねじ25dを形成した部材である。雌テーパ25cは雌ねじ25d側への、とがり先テーパ状を呈する。
【0040】一方、軸部35は一端に雄ねじ35aを形成するとともに、雄ねじ35aの下方に連なる雄テーパ35bを形成した軸部材である。雄テーパ35bは雄ねじ35a側への、とがり先テーパ状を呈する。ハブ25の雌ねじ25dに軸部35の雄ねじ35aをねじ込むことで、ハブ25に軸部35をねじ結合することができる。さらには、雌テーパ25cに雄テーパ35bを嵌合することで、ハブ25に対する軸部35のガタ防止を図ることができる。
【0041】図5(a),(b)は本発明に係る伝動ケースとアウタカップの関係を示す説明図である。(a)は、伝動ケース40の平面構造を示した図であって、筒部48から外周囲に放射状に延した複数のリブ49・・・の配置関係を表す。(b)は、伝動ケース40にアウタカップ24を組付けた状態の平面構造を示した図であって、伝動ケース40のリブ49・・・に対して、アウタカップ24の治具挿入用孔24b・・・の配置関係を表す。
【0042】伝動ケース40に対してアウタカップ24が回転可能なので、筒部48とリブ49とのコーナ部分に治具挿入用孔24bを位置合せし、上方から治具挿入用孔24bを通して治具をコーナ部分に掛けることで、アウタカップ24の回り止めを図ることができる。
【0043】図6は図3の6−6線断面図であり、ホイール34を結合した耕耘軸71を転がり軸受からなる左右の軸受72,72を介して伝動ケース40にて回転可能に支承したことを示す。伝動ケース40から左右に延びた耕耘軸71の両端に左右の中空軸73,73,74,74を結合することができる。図中、76,76は止め輪、77,77はオイルシール、78,78はキャップである。
【0044】図7は本発明に係るリッドの平面図であり、リッド60のフランジ62によって、想像線にて示す第3の軸受53の外輪53aの下端面の一部を部分的に支えることができることを示す。
【0045】次に、クラッチ20、伝動機構30並びに伝動ケース40の組立手順について、図3、図4、図6及び図8に基づき説明する。なお、組立手順については一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0046】先ず図4において、ハブ25に第1の軸受51の内輪51aを嵌合する。次に、伝動ケース40の上方からクラッチ収納部47に第1の軸受51付きアウタカップ24を挿入し、支承孔45に外輪51cを嵌合する。
【0047】図8は本発明に係るクラッチ、伝動機構並びに伝動ケースの組立手順説明図であり、伝動ケース40にアウタカップ24及び第1の軸受51を取付けたことを示す。
【0048】次に、伝動ケース40の開口43からオイルシール54、第2の軸受52を挿入して取付ける。次に、伝動ケース40の開口43から伝動軸31を挿入し、アウタカップ24を手で押えつつ、ハブ25の雌ねじ25dに伝動軸31の雄ねじ35aを、ある程度ねじ込む。
【0049】次に、アウタカップ24の治具挿入用孔24bからドライバ等の回り止め治具Toを差込み、リブ49のコーナ部分に当てることで、アウタカップ24の回り止めをする。アウタカップ24の回り止めをしつつ、ハブ25の雌ねじ25dに伝動軸31の雄ねじ35aを、固くねじ込む。このときには、伝動軸31の調整部36a(レンチ孔)に図示せぬ六角レンチを掛けて、ねじ込む。その後、回り止め治具Toや六角レンチを外す。
【0050】ところで、各部品には製造公差があるので、第1の軸受51から第2の軸受52までの距離は自ずから決まる。このため、第2の軸受52から雌テーパ25cまでの距離も決まる。一方、ウォーム33の上端面33aから雄テーパ35bまでの距離も、公差によって自ずから決まる。第2の軸受52の内輪の下端面にウォーム33の上端面33aが当るまで、雌ねじ25dに雄ねじ35aをねじ込むことにする。
【0051】次に、伝動ケース40の開口43からホイール34を挿入するとともに、伝動ケース40の側方の軸孔40aから耕耘軸71を挿入してホイール34を取付ける。
【0052】次に図6において、耕耘軸71に軸受72,72を取付け、ウォーム33(図8参照)にホイール34を噛み合わせる。次に、オイルシール77,77、キャップ78,78を取付ける。
【0053】次に図8において、伝動軸31の他端軸部36及び伝動ケース40に第3の軸受53を取付ける。最後に、伝動ケース40の開口43をリッド60で塞いで、組立作業を完了する。このようにして、伝動ケース40に対するアウタカップ24、伝動機構30及び耕耘軸71の組立が完了する。この部分組立の完成姿を図3に示す。
【0054】図3の組立状態において、第1の軸受51は、遠心クラッチ20のうちアウタカップ24がウォーム33側へ移動することを防止する。第2の軸受52は、ウォーム33が遠心クラッチ20側へ移動することを防止する。ウォーム33側へ移動不能なアウタカップ24に、遠心クラッチ20側へ移動不能な軸部35をねじ結合した。従ってアウタカップ24、軸部35、ウォーム33、第1の軸受51並びに第2の軸受52は、ウォーム33側への移動及び遠心クラッチ20側への移動の両方が防止される。
【0055】これらの部材24,33,35,51,52の移動防止や伝動ケース40からからの抜け止め防止のための抜け止部材を設ける必要はない。抜け止部材が不要なので、部品数を削減することができるとともに、組付け性を高めることができるので、組立工数を低減することができる。特に、片手で掴んで持ち運ぶことが可能な極めて小型の管理機10においては、小型の伝動ケース40における狭いスペースに部品を組付けるので、その効果は極めて大きい。
【0056】さらには、他端軸部36に、遠心クラッチ20に対するねじ込み量を調整する調整部36aを設けたので、調整部36aによって、軸部35のねじ込み量を容易に調整することができる。
【0057】一方、エンジン11の出力軸11aは、遠心クラッチ20のうち左右一対の遠心コマ22,22を組付けた状態にある。遠心コマ22,22をアウタカップ24内に納めつつ、伝動ケース40の上部フランジ41をエンジン11の下部に合せてボルト結合する。これで、エンジン11に遠心クラッチ20、伝動機構30、耕耘軸71及び伝動ケース40を組立ることができる。
【0058】ウォームギヤ機構32、軸部35及びアウタカップ24を伝動ケース40に一括収納し、部分組立された半完成品をエンジン11に容易に組付けることができるので、管理機10の組立作業性は高まる。
【0059】また、伝動ケース40は、ウォーム33並びにホイール34を伝動ケース40内へ挿入するための開口43を1個だけ開け、この開口43をリッド60にて塞ぐようにしたので、開口43を塞ぐリッド60が1つだけですむ。リッド60の数量を削減できるので、部品数を削減することができる。さらには、開口43が1個だけなので、伝動ケース40の形状が簡素化になる。従って、伝動ケース40を鋳造品とした場合には、型割り方向が少なくてすむ簡素な成形用型を準備すればよく、型費用を低減することができる。
【0060】さらにまた、ウォーム33並びにホイール34を伝動ケース40内に一方向から組付けることができるので、組付け性が高まる。さらにまた、リッド60でウォーム33の抜け止め部材を兼ねさせたので、別部品からなる抜け止め部材は不要である。部品数を削減するとともに組立性をより高めることができる。
【0061】なお、上記本発明の実施の形態において、クラッチ20は遠心クラッチに限定されるものではない。また、伝動軸31から耕耘軸71へ動力を伝達するギヤ機構は、ウォームギヤ機構32に限定されるものではなく、例えばベベルギヤ機構であってもよい。ベベルギヤ機構とした場合には、伝動軸31に駆動ギヤとしての駆動ベベルギヤを取付けるとともに、耕耘軸71に従動ギヤとしての従動ベベルギヤを取付けることになる。さらにまた、調整部36aは、六角レンチ等の調整工具を掛けるレンチ孔、手で摘む摘み部であってもよい。
【0062】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮する。請求項1は、クラッチが駆動ギヤ側へ移動することを第1の軸受にて防止するとともに、駆動ギヤがクラッチ側へ移動することを第2の軸受にて防止し、クラッチに軸部をねじ結合したので、簡単な構成によって、クラッチ、軸部、第1の軸受並びに第2の軸受が、駆動ギヤ側へ移動することを防止できるとともにクラッチ側へ移動することをも防止できる。これらの部材の移動を防止したり、伝動ケースからからの抜け止めのための、抜け止部材を設ける必要はない。抜け止部材が不要なので、部品数を削減することができるとともに、組付け性を高めることができるので、組立工数を低減することができる。さらには、クラッチに対する軸部のねじ結合の締り方向を、回転方向が一方のみのエンジンの回転方向に合致させたので、ねじ結合が緩む心配はない。
【0063】請求項2は、他端軸部に、クラッチに対するねじ込み量を調整する調整部を設けたので、調整部によって、軸部のねじ込み量を容易に調整することができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成14年2月21日(2002.2.21)
【代理人】 【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎 (外1名)
【公開番号】 特開2003−235301(P2003−235301A)
【公開日】 平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願番号】 特願2002−45133(P2002−45133)