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【発明の名称】 農作業機
【発明者】 【氏名】鈴木 隆
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】石岡 成利
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】中西 康仁
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】十亀 治光
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】浅野 士郎
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】エンジン始動時に作業装置が不意に昇降するのを防止するセフティ機能を有する農作業機における、セフティ機能の解除をし忘れたまま植付作業を行うことによる弊害を排除する。

【解決手段】走行車体に対して作業装置が昇降可能に設けられ、昇降操作具の操作で作業装置を昇降させるとともに、該昇降操作具を下降操作した時には、作業装置4に設けられた接地体52の対地関係に基づき作業装置4を所定の対地高さとなるように昇降制御する農作業機1において、キースイッチをOFFからONにした時には、前記昇降操作具がどの位置に操作されていても、前記接地体52が接地していることを検出しない限り、前記昇降制御を規制するように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行車体に対して作業装置が昇降可能に設けられ、昇降操作具の操作で作業装置を昇降させるとともに、該昇降操作具を下降操作した時には、作業装置に設けられた接地体の対地関係に基づき作業装置を所定の対地高さとなるように昇降制御する農作業機において、キースイッチをOFFからONにした時には、前記昇降操作具がどの位置に操作されていても、前記接地体が接地していることを検出しない限り、前記昇降制御を規制するように構成したことを特徴とする農作業機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機等の農作業機における作業装置の昇降制御、特に始動時の昇降制御規制及びその解除に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジン始動時に作業装置が不意に昇降するのを防止するためのセフティ機能を搭載した田植機がある。例えば、特開平8−214650号公報に記載の田植機は、作業装置(植付部)を昇降させる昇降操作具(第二操作具)がどの位置に操作されていても作業装置(植付部)を昇降させないよう制御するようになっている。このため、キースイッチがOFFの間に昇降操作具(第二操作具)が動いた場合でも、エンジンを始動させた途端に作業装置が昇降することはない。また、昇降操作具(第二操作具)を操作すると、セフティ機能が解除されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成の田植機は、エンジンを始動させた後、昇降操作具を操作しないで作業を再開した場合、セフティ機能がかかったままになり、作業装置が前回停止時の高さのままに固定されるので、フロートが泥の中に潜って圃場を荒らしたり、苗が空中植えされたりする可能性がある。そこで、本発明の解決すべき課題は、エンジン始動時にセフティ機能を解除する操作を怠っても問題が生じないようにすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる農作業機は、走行車体に対して作業装置が昇降可能に設けられ、昇降操作具の操作で作業装置を昇降させるとともに、該昇降操作具を下降操作した時には、作業装置に設けられた接地体の対地関係に基づき作業装置を所定の対地高さとなるように昇降制御する農作業機において、キースイッチをOFFからONにした時には、前記昇降操作具がどの位置に操作されていても、前記接地体が接地していることを検出しない限り、前記昇降制御を規制するように構成したことを特徴としている。
【0005】キースイッチをOFFからONにした時、接地体が接地していなければ、昇降操作具の操作位置と実際の作業装置の位置が異なっていても、作業装置を昇降させないよう制御するセフティ機能が作用する。キースイッチをOFFからONにした時、接地体が接地していれば、上記セフティ機能が作用せず、接地体の対地関係に基づき作業装置を所定の対地高さとなるように昇降制御を行う。
【0006】
【発明の効果】本発明にかかる農作業機は、キースイッチをOFFからONにした時、接地体が接地していなければ、昇降操作具の操作位置と実際の作業装置の位置が異なっていても、作業装置を昇降させないようにセフティ機能が効き、キースイッチをOFFからONにした時、接地体が接地していれば、上記セフティ機能が自動的に解除され、接地体の対地関係に基づき作業装置を所定の対地高さとなるように昇降制御を行うので、セフティ機能の解除をし忘れたまま植付作業を行うことによる弊害を排除できるようになった。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面に表された実施の形態について説明する。この農作業機1は8条植えの施肥田植機であって、乗用走行車体2の後側にリンク装置3を介して作業装置として植付部4が昇降可能に装着され、また、走行車体2の後部には、施肥装置5の肥料ホッパ5aと、各条ごとに肥料を繰り出す肥料繰出装置5b,…が配設されている。
【0008】走行車体2は、駆動回転する左右一対の操向可能な前輪6,6と駆動回転する左右一対の後輪7,7とを備え、前後フレーム8上の前側にミッションケース9、その後側にエンジンEが搭載され、エンジンEの回転動力は第一ベルト伝動装置10によりミッションケース9の上部に取り付けた油圧ポンプに一旦伝動され、そこから、無段変速操作可能な第二ベルト伝動装置11によりミッションケース9内に伝動される。そして、ミッションケース9内のミッションで変速された動力が、前輪6,6及び後輪7,7に伝動されるとともに、伝動軸9a、中間ギヤケース9b、伝動軸9cを介して植付部4に伝動される。中間ギヤケース9bには、植付部4及び施肥装置5への伝動を入・切する植付クラッチが内蔵されている。
【0009】図中の12は前輪6,6を操向操作するハンドル、13は操縦者用の座席、14は操縦者が走行車体上を移動するためのステップフロア、15は予備の苗を載せておく予備苗載台、16は次行程における走行車体2の進路を圃場面に線引きする線引きマーカである。また、L1はミッションを切り替えるチェンジレバー、L2は第二ベルト伝動装置11の変速比を変更する変速レバー、L3は植付部4の伝動入・切及び植付部4を昇降させる植付昇降レバー(昇降操作具)、L4は植付部4の作業状態と非作業状態とを切り替えるフィンガアップレバー、L5は植付部昇降制御の感度を調節する副感度調節レバー、L6は植付部の下降を規制する下降ロックレバー、Dは対地昇降制御の感度を調節する感度調節ダイヤルである。
【0010】リンク装置3は、走行車体2のフレーム8の後端部に固着のリンクベースフレーム20に上リンク21,21及び下リンク22,22が回動自在に取り付けられ、これら上下リンクの後端部に連結枠23が連結されている。そして、その連結枠23の下端部に、植付部4側に回転自在に支持されたローリング軸24の前端部が挿入連結される。これにより、植付部4は進行方向に対してローリング自在に装着される。植付部昇降用油圧シリンダ26の基部が前後フレーム8に枢着され、そのピストンロッドが上リンク21,21の基部から下向きに一体的に固着されたアーム27の先端部にスプリングを介して連結されている。この油圧シリンダ26を伸縮作動させると、上下のリンク21,21,22,22がリンクベース20側の支軸回りに回動し、植付部4が昇降する。油圧シリンダ26はリンクベースフレーム20に取り付けた油圧バルブ28によって制御される。
【0011】植付部4は8条植えの構成で、隣接する2条づつで共用の後下がりに傾斜した上下2段の苗載台30,…が左右並列に4組設けられ、これら各組の苗載台の後端部に苗トレイ搬送路31,…が接続されている。各苗トレイ搬送路31は、上下2段の苗載台30,30から順に1個づつ供給される苗トレイを前半は下向きに搬送し、途中で搬送方向を徐々に変え、後半は上向きに搬送する側面視略U字状に形成されている。苗トレイ搬送路31の終端部に接続して、後記苗取出位置Pで苗を取り出された後の空の苗トレイを複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容枠38が設けられている。なお、苗トレイとしては、縦横に多数配列した育苗ポットに苗が一株づつ収容された可撓性を有する苗トレイが使用される。
【0012】各苗トレイ搬送路31に対応して、苗トレイを苗トレイ搬送路31に沿って搬送させる苗トレイ送り装置32と、苗トレイ搬送路31の苗取出位置Pで搬送中の苗トレイからポット横一列分づつ苗を取り出す苗取出装置33と、取り出された苗を下側前方に弧を描くような軌跡で搬送する苗搬送装置34と、該苗搬送装置から苗を抜き出す苗抜き装置35と、該苗抜き装置によって抜き出された横1列分の苗を半分づつ左右両側に横送りする苗横送り装置36と、該苗横送り装置によって供給される苗を取って圃場に植え付ける苗植付装置37,37とが設けられている。つまり、これらの装置は2条づつで1ユニットとなっており、これを左側から順に第一ユニット、第二ユニット、第三ユニット、第四ユニットと呼称することにする。
【0013】上記苗トレイ搬送路31,…及び各装置を支持するとともに各装置への伝動機構を内蔵する植付部フレームは、苗トレイ搬送路31,…のU字の内側に配した駆動ケース41,…と一体にはしご状フレーム42が形成され、その下側左右水平部分から5個の植付伝動フレーム45,…が等間隔で後方に延びた構成となっている。また、駆動ケース41,…の上面には苗載台支持フレーム46,…の基部が固着され、これで上下2段の苗載台30,30,…を支持している。前記ローリング軸24は、はしご状フレーム42の下側左右水平部分の左右中央部に固着の植付部支持ブラケット48に取り付けた軸受ケース50に回転自在に挿入されている。これにより、植付部全体がローリング自在に支持されている。
【0014】各ユニットの下方には、植付作業時に圃場面を整地しながら滑走する計4個のフロート52,52,53,53が設けられている。これらフロートの左右両側に、各条の苗植付位置の近傍の圃場面に施肥用の溝を形成する作溝器54,…と、その後側に位置する平面視断面が後方開口のU字状の施肥ガイド5c,…とが取り付けられ、該施肥ガイドに肥料繰出装置5b,…から繰り出される肥料を移送する施肥ホース5d,…が連結されている。
【0015】各フロートは、フロート支持アーム56の後端部に、前端側が上下に回動自在に枢着されている(図16、17参照)。フロート支持アーム56の前端部は、回動自在に支持された左右に長いフロート支持軸57と一体に取り付けられており、植付深さ調節レバー58を操作してフロート支持軸57を回動させることにより、各フロートの上下位置が変わり、苗の植付深さが変更される。
【0016】以下、植付部4の各部の構成について説明する。苗トレイ送り装置32は、各左右一対の送り爪60,60及び係止爪61,61を備えている。送り爪60,60は、苗トレイ搬送路31に沿って上下に往復動し、下動するときには苗トレイの左右端縁部にポットのピッチと同ピッチで穿設された苗トレイ送り用の角孔に係合し、上動するときは角孔との係合が外れて次の角孔まで乗り越すように作動する。係止爪61,61は、送り爪60,60の動作と連動し、送り爪60,60が下動するときには角孔から外れ、送り爪60,60が上動するときには角孔に係合して苗トレイを支えるように作動する。これら送り爪60,60及び係止爪61,61の作動により、苗トレイ搬送路31に沿って苗トレイがポット配列の1ピッチ分づつ間欠的に送られる。この苗トレイ送り装置32の送り作動は、後記苗取出装置33の苗押出しピン72,…が苗トレイのポット内に挿入されていない時に行われる。また、送り爪60,60及び係止爪61,61の上側には、係止爪61,61が先行する苗トレイの角孔から抜け出るのに連動して苗トレイ搬送路に突出し、苗トレイ搬送路31を滑り落ちてくる後続の苗トレイを一旦受け止める遮断爪63,63が設けられている。
【0017】苗トレイ送り装置32の作動機構は、図10及び図11に示すように、駆動ケース41の上部を左右に貫通する第一伝動軸64に苗トレイ送りカム65を設け、苗トレイ送り作動アーム66に回転自在に支承をされたローラ67を上記カム65の外周面に常時当接するように苗トレイ送り作動アーム66をスプリング68で付勢している。苗トレイ送り作動アーム66は駆動ケース41の下部に設けた苗トレイ送り駆動軸69にこれと一体回動するように取り付けられており、該苗トレイ送り駆動軸の左右端部に苗トレイ送り駆動アーム70,70を一体に取り付け、その先端部に送り爪60,60を連結している。苗トレイ送りカム65の回転により、苗トレイ送り作動アーム66が揺動し、その苗トレイ送り作動アーム66の揺動が苗トレイ送り駆動軸69を介して苗トレイ送り駆動アーム70,70に伝えられ、送り爪60,60を上下に往復動させる。カム65がローラ67を押す時に送り爪60,60が下動して苗トレイを送るようになっているので、送り爪60,60が送り作動が確実で、ガタツキ等が生じにくく、苗トレイを正確に送ることができる。
【0018】苗取出装置33は、苗トレイの横方向のポットに対し同数同ピッチで並んだ苗押出しピン72,…が、前後方向に摺動自在に支持された左右一対のスライド軸73,73と一体に作動するように設けられている。図10及び図12に示すように、スライド軸73にはラック73aが形成されており、そのラックに第一扇形ギヤ74が噛み合っている。また、第一扇形ギヤ74が取り付けられているギヤ軸75には、別の第二扇形ギヤ76が取り付けられている。第二扇形ギヤ76は、支持軸78に回動自在に支持された苗取出作動アーム79のギヤ部79aと噛み合っている。苗取出作動アーム79のギヤ部79aと反対側の端部にはローラ80が回転自在に支承されており、そのローラ80が、前記第一伝動軸64に設けた苗取出カム81のガイド溝81aに嵌り込んでいる。苗取出カム81の回転によりスライド軸73,73が前後にスライドし、該スライド軸が後方にスライドするときに、苗押出しピン72,…が、苗取出位置Pにある苗トレイの横一列分のポットに対し、ポットの底部に形成された切れ目からポット内に挿入され、苗を後方に押し出す。
【0019】また、前記ギヤ軸75には、ギヤ軸75以後の伝動系に所定以上の負荷がかかった場合には第一扇形ギヤ74からギヤ軸75への伝動を断つ安全クラッチ75aが設けられている。この安全クラッチを設けることにより、苗トレイ送りの不良等によりポットの切れ目の位置が苗押出しピン72,…とずれてしまっても、苗取出装置33が損傷することを防止している。
【0020】さらに、ギヤ軸75には、苗押出しピン72,…の前後スライドのストロークを調節する機構75bと、左右のスライド軸73,73の位置を調節する機構75cとが設けられている。これらの調節機構75b,75cは駆動ケース41から露出させて設けられているので、調節操作を行いやすい。
【0021】苗トレイ送りカム66と苗取出カム81は第一伝動軸64に回転自在に嵌合する共通の筒体64aに一体に形成され、該筒体と第一伝動軸64を外部操作する定位置停止クラッチ64bによって伝動入・切可能に連結している。これにより、2条づつの単位で苗トレイ送り装置32と苗取出装置33の駆動を停止させることができる。
【0022】苗搬送装置34は、苗押出しピン72,…により苗トレイから押し出される苗の床土部を保持する苗ホルダー83を備えている。この苗ホルダー83は、図4及び図5に示すように、前後に開口し上側が切り欠かれた正面視凹状の苗保持部83aが、苗押出しピン72,…の位置に対応して形成されている。各苗保持部83aを仕切る隔壁83bの上端部には、苗が上方に抜け落ちるのを規制する前側に尖った鉛筆形の規制体83cが設けられている。また、隔壁の中間部には規制板83d、底部にはロック爪83eがそれぞれ設けられ、これらが床土部に食い込み苗がずれないように固定するようになっている。各苗保持部のロック爪83eは回動自在に支持された爪軸83fに取り付けられており、該爪軸と一体のアーム83gをスプリング83hで引っ張ることにより、ロック爪83eが苗保持部83aに突出する側に付勢されている。
【0023】苗保持部83aは2条分の苗数分だけあり、後述する如く、1条分づつの苗が左右両側にそれぞれ苗を搬送する苗送りベルト113に供給される。図示のように、二つの条の境界部に位置する隔壁83bも他の隔壁と同じ高さとすることで、境界部に隣接する苗とそれ以外の苗とが同レベルの抵抗となり、苗送りベルトへの苗の供給が無理なく行える。
【0024】苗ホルダー83は、上下2本づつの揺動リンク84,85,84,85に連結された支持部材86,86に左右両端が固定されており、上記揺動リンクの揺動により円弧軌跡を描いて往復移動するようになっている。苗搬送装置の駆動機構は、図12及び図15に示すように、前記第一伝動軸64の回転を、アーム88、伸縮ロッド89、及びアーム90を介して、メインフレーム42に固定した苗搬送伝動ケース91の入力軸92に反復回動運動として伝達し、さらに該入力軸から一対の伝動ギヤ93,94を介して、下側の揺動リンク85の基部が一体に取り付けられている苗搬送駆動軸95に反復回動運動を伝達するように構成されている。
【0025】苗搬送駆動軸95の反復回動により、揺動リンク84,85,84,85が上下に揺動し、苗ホルダー83が円弧軌跡に沿って往復移動する。苗ホルダー83が軌跡の上端に位置するときに苗取出装置33により苗トレイから押し出された横一列分の苗を苗保持部が受け取り、苗ホルダーが移動してその受け取った苗を前側下方に搬送する。揺動リンク84,85が上動し、苗ホルダー83が軌跡上端に至ると、下側の揺動リンク85がストッパ96に当たって止まる。アーム88はなおも回転して揺動リンク85を上動させようとするが、このアーム88の回転は伸縮ロッド89に介装されているスプリング89aに吸収され、揺動リンク85はストッパ96によって停止されたままとなる。この間は、苗ホルダー83が軌跡上端に停止しているので、苗取出装置33による苗トレイから苗ホルダー83への苗の受け渡しが確実に行われる。
【0026】苗抜き装置35は、図6及び図7に示すように、苗ホルダー83の前記苗保持部を前後に通り抜け可能な櫛状の苗叩き100を備えている。回動自在に設けた左右方向の苗叩き取付軸101に苗叩きアーム102を取り付け、さらにその苗叩きアーム102に回動可能に取り付けた回動アーム103に苗叩き100,…を一体的に取り付けている。苗叩きアーム102に螺着したボルト102aが回動アーム103の長穴103aに嵌合しており、回動アーム103は長穴103aの範囲内で回動可能である。苗叩きアーム102にローラ104が取り付けられ、該ローラが苗叩きカム軸105に取り付けられた苗叩きカム106のカム面に当接するように、スプリング107にて苗叩きアーム102を付勢している。苗叩きカム106が回転すると、該カムの凹部にローラ104が嵌り込むときスプリング107の張力により苗叩き100が素早く下向きに回動し、すぐに元の位置に復帰するように作動する。
【0027】苗ホルダー83が移動軌跡下端に移動してきたとき、苗ホルダー83の各苗保持部に保持されている苗を苗叩き100が受け止め苗ホルダー83のみを通過させて苗を抜き出すとともに、苗叩き100が下向きに回動し、抜き出された苗を後記苗横送り装置36の苗送りベルト113,113上に叩き落とす。この苗の抜き出しに関しては、苗の床土部が硬いほど勢いよく苗ホルダー83から苗が飛び出す傾向がある。したがって、同じ条件で苗の抜き出しを行っていると、床土部の硬軟によっては苗送りベルト113の適正位置に苗が供給されない事態が生じる。そこで、回転アーム103を回動させて苗叩き100の角度を調整することにより、床土部の硬軟に合った適正な苗の抜き出しが行えるようになる。
【0028】なお、図5における符号Kは、苗ホルダ83に対する苗叩き100の下端部の相対的な移動軌跡を表している。この苗叩き100の下端部との干渉を避けるために、苗ホルダ83の底面前端部83iは前下がりに傾斜させた形状となっている。
【0029】苗横送り装置36は、メインフレーム40から後方に突出する苗横送り駆動軸110に取り付けた駆動ローラ111と従動ローラ112とに巻き掛けた左右一対の苗送りベルト113,113を、それぞれの横送り作用部が外側へ移動するように左右対称に設けている。横送り作用部の下側には、落下する苗の重みでベルトが撓みのを防止する撓み防止板114が設けられている。苗抜き装置35により抜き落とされた横一列分の苗N,…は、2組の苗横送り装置の各苗送りベルト113,113の上に整列状態で落下し、これを受けた苗送りベルト113,113が左右半分づつの苗をそれぞれ左右両側に搬送する。苗送りベルト113で搬送された苗Nは、適当な隙間を開けて設けられている一対の植付ガイド115,115の間に落とし込まれる。
【0030】図8及び図9に示すように、苗送りベルト113,113の上方には該ベルトに付着した土等を洗い流す洗浄ノズル116,…が設けられている。洗浄ノズル116,…が一体に形成された通水パイプ117は、その両端部に一体の取付プレート118をボルト119により植付部フレームに固定することにより支持されている。取付プレート118のボルト挿通穴118aは円弧状の長穴になっており、ボルト119の挿通位置を変えることにより洗浄ノズル116,…の位置が変わるようになっている。例えば、ボルト挿通穴118aの一方の端部にボルト119を挿通した場合は図8において実線で示すA位置になり、ボルト挿通穴118aの他方の端部にボルト119を挿通した場合は同図において二点鎖線で示すB位置になる。ノズルから苗送りベルトまでの距離は一定(LA=LB)になるように設定されているので、どの位置であっても同じ強さで水が吹き付けられる。しかしながら、A位置の方がB位置よりも水の噴射角が大きい(θA>θB)から、A位置の方が後方に吹き付けられることとなる。したがって、床土が脆く、床土部から崩れた土が散乱しやすい場合には洗浄ノズル116,…をA位置寄りにするのが良い。
【0031】苗植付装置37は、植付伝動フレーム45の後端部に設けられた植付駆動軸120と一体回転する回転ケース121に一対の苗植込具122,122が取り付けられ、苗植込具122,122が閉ループの先端軌跡を描いて移動する。各苗植込具122は、植付ガイド115,115の間に落とし込まれた苗を交互に一株づつ取り、それを植付ガイド115,115の間を移動させて圃場に植付ける。
【0032】図10は植付部の伝動機構図、図11は伝動機構要部の断面図である。走行車体2からの回転動力が、はしご状フレーム42の下側左右水平部分から前方に突出する入力軸130に入力される。入力軸130は、ベベルギヤ131,132を介して左右方向の第二伝動軸133と伝動連結している。そして、第二伝動軸133から、8組のベベルギヤ135,136を介して、各条の苗横送り駆動軸110へ伝動する。隣接する一対の苗横送り駆動軸110,110は互いに逆向きに回転するようになっている。また、各植付伝動フレーム45内には、第二伝動軸133に取り付けたスプロケット137aと植付駆動軸120に取り付けたスプロケット137bに掛けた伝動チェーン137が設けられており、該チェーンにより第二伝動軸133から各植付駆動軸120へ伝動する。
【0033】さらに、第二伝動軸133はその外端部で、ベベルギヤ140,141を介して、左右2本の上下伝動軸142の下端部とそれぞれ伝動連結している。左側の上下伝動軸142は、その上端部がベベルギヤ143,144を介して第一ユニット・第二ユニット用の第一伝動軸64と伝動連結するとともに、その中間部がベベルギヤ147,148を介して第一ユニット・第二ユニット用の苗叩きカム軸104と伝動連結している。同様に、右側の上下伝動軸142は、第三ユニット・第四ユニット用の第一伝動軸64及び苗叩きカム軸104と伝動連結している。この構成であると、苗叩きカム106が植付部4の最外部に位置しているので、苗叩き100のタイミング調整を行いやすい。
【0034】次に、植付部の昇降制御について説明する。植付昇降レバーL3は座席13の右横に設けられていて、図18に示すように、支持軸150を支点に前後に回動自在になっている。支持軸150には「上げ」「固定」「下げ」「植付」の各凹部が形成された位置決めカム151が一体に取り付けられ、ローラ支持アーム152に支持されたカムローラ153がスプリング154によってこのカム151に押し付けられている。これにより、上記凹部にカムローラ153が嵌り込む位置で植付昇降レバーL3が安定する。植付昇降レバーL3の操作位置は植付昇降レバーセンサ155に検出される。
【0035】また、図19に示すように、支持軸150には植付クラッチカム157が一体に取り付けられ、ローラ支持アーム158に支持されたカムローラ159がこのカム157に当接するようになっている。ローラ支持アーム158の一端には植付クラッチのクラッチピン159が連結されている。植付昇降レバーL3を「上げ」「固定」「下げ」の各位置に操作したときは、ローラ支持アーム158がスプリング160に引かれてクラッチピン159を押し込み、植付クラッチが「切」になる。植付昇降レバーL3を「植付」に操作すると、植付クラッチカム157がカムローラ159を押し下げることにより、ローラ支持アーム158が回動してクラッチピン159が引き出され、植付クラッチが「入」になる。
【0036】図20は油圧バルブを示している。油圧バルブ28はスプール弁であって、植付モータ162で駆動するバルブ駆動アーム163とバルブに内蔵のスプリングとによってスプール28aを出し入れするようになっている。スプール28aが引っ込むと植付部上昇側に油圧シリンダ26が作動(伸び作動)し、スプール28aが突出すると植付部下降側に油圧シリンダ26が作動(縮み作動)する。符号164は、植付部が下降する側に油圧バルブが切り替わるのを規制する下降ロックピンで、下降ロックレバーL6で操作する。
【0037】中央2個のフロート52,52は圃場面の凹凸を検出する接地体であり、両フロートの圃場面に対する角度(迎い角)αがフロート迎い角センサ170に検出される。このフロート迎い角センサ170は次のように設けられている。すなわち、図16及び図17に示すように、植付部フレームに枢着された平行リンク171,172の前端部に取付枠173を枢結し、その取付枠173と一体にフロート迎い角センサ170を取り付ける。そして、下側リンク172の前端部に天秤アーム175を回動自在に取り付け、その後端部と中央2個のフロート52,52の前部とをフロート上下ロッド176で連結するとともに、その前端部とフロート迎い角センサ170の検出アーム170aとを迎い角検出リンク177で連結している。さらに、フロート支持軸57と一体回動するアーム178と、下側リンク172と一体回動するアーム179とを連結ロッド180で連結し、植付深さ調節レバー58の回動操作に連動して平行リンク171,172が回動するようにしている。この構成とすると、植付深さを変更すると、それに応じて天秤アーム175の支点位置も変化するので、フロート迎い角センサ170が常に正確な迎い角を検出する。
【0038】この農作業機は電子制御で植付部の昇降制御を行う。図21はその制御装置のブロック図であり、エンジンのキースイッチ182、植付昇降レバーセンサ155、フィンガアップレバーL4のスイッチ、フロート迎い角センサ170、及び感度調節ダイヤルDがマイコン内蔵の制御部183の入力側に接続され、出力側に植付モータ162が接続されている。
【0039】植付昇降レバーセンサ155で検出される植付昇降レバーL3の操作位置に応じて、植付モータ162に出力して油圧バルブ28を駆動し、植付部4を昇降させる。植付昇降レバーL3が「上げ」のときは上昇、「固定」のときは昇降を停止、「下げ」のときは下降させる。「植付」のときはフロートが接地する作業位置まで下降させ、植付部が圃場面から一定の高さに維持されるようにフロート迎い角センサ170の検出値に基く対地昇降制御を行う。感度調節ダイヤルDでフロート迎い角の制御目標値を変更することにより、対地昇降制御の感度が変えられる。なお、本実施形態のようにスプール弁である油圧バルブのスプールを植付モータで駆動するのではなく、油圧バルブをソレノイド弁としてもよい。
【0040】対地昇降制御の感度は副感度調節レバーL5によっても変えることができる。前記天秤アーム175の前端部には、フロートの前部を下向きに付勢する副感度スプリング185の一端部が連結されている。そして、この副感度スプリング186の他端部が副感度ワイヤ187を介して副感度調節レバーL5に連結されており、副感度調節レバーL5の操作で副感度スプリング185の張力を変更することにより、フロートの接地圧が変わる。接地圧を高くするほど対地昇降制御の感度が敏感になる。
【0041】また、キースイッチ182がOFFからONになったときフロートが接地していない場合には、たとえ植付昇降レバーL3と実際の植付部の位置とが違っていても植付部を昇降させないセフティ機能がはたらく。これにより、エンジン停止中に植付昇降レバーL3を動かしてしまい、エンジンを始動した途端に植付部が不意に昇降する危険を防止できる。このセフティ機能の解除方法としては、セフティ解除スイッチを設けるか、或は植付昇降レバーL3をある位置、例えば「固定」まで動かすと解除されるようにすればよい。一方、キースイッチ182がOFFからONになったときフロートが接地している場合には、セフティ機能が自動的に解除される。このため、セフティ機能の解除操作を忘れ、セフティ機能が効いている状態のまま植付作業を行い、フロートが泥の中に潜って圃場を荒らしたり、苗が空中植えされたりする事態を防止できる。
【0042】なお、エンジン始動時にセフティ機能が効いていると不都合であるのは、そのまま植付作業が行われる場合であるから、キースイッチ182がOFFからONになったときフロートが接地しており、かつ植付昇降レバーL3が「下げ」もしくは「植付」になっている場合にだけ、セフティ機能を解除するようにしてもよい。
【0043】フィンガアップレバーL4はハンドル12の右下に設けられていて、指操作により上下に回動させるようになっている。上に操作すると、植付クラッチが「切」になるとともに、植付部4が非作業位置まで上昇する。下に操作すると、植付クラッチが「入」になるとともに、植付部4が作業位置まで下降する。
【0044】次に、メカ的に植付部の昇降制御を行う農作業機について説明する。図22乃至図24に昇降制御の機構を示す。前記電子制御のものと異なる点は、フロート迎い角センサを設ける代わりに、天秤アーム175の前端部にフロート感知ワイヤ190の一端を繋ぎ、該ワイヤの他端を植付昇降レバーL3の支持軸150に回動自在に支持された自動昇降アーム191に繋いでいることにある。自動昇降アーム191の作用部は油圧バルブ28のスプール28aに当接している。これにより、フロートの上下動に応じて油圧バルブ28が駆動され、植付部4を一定高さに維持する。
【0045】フロート感知ワイヤ190のアウタは感度調節アーム192に取り付けられている。感度調節レバー193の操作により感度調節ワイヤ194を介して感度調節アーム192を回動させると、基準フロート迎い角が変更され、対地昇降制御の感度が変わる。なお、基準フロート迎い角が大きいほど、すなわちフロートの姿勢が前上りであるほど制御感度が敏感になる。この苗移植機も、副感度調節レバーL5によっても制御感度を変えることができる。
【0046】また、副感度スプリング185と平行に枕地均平用スプリング196が設けられている。この枕地均平用スプリング196の一端は長穴に沿って移動可能で、感度調節レバー193と副調節感度レバーL5を最も制御感度が鈍感な位置に操作したときにだけ、フロートを圃場面に押し付けるようになっている。感度を鈍感にするのは圃場が硬い場合であり、そのような場合にはフロートを圃場面に強く押し付けることにより、枕地等の荒れた圃場部分も均平できるようにしているのである。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成14年1月30日(2002.1.30)
【代理人】 【識別番号】100083611
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 弘志
【公開番号】 特開2003−219704(P2003−219704A)
【公開日】 平成15年8月5日(2003.8.5)
【出願番号】 特願2002−22559(P2002−22559)