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【発明の名称】 フロントロータリ式作業機
【発明者】 【氏名】太田 能司
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】ロータリ作業部で耕耘された土に対し、トランスミッションからロータリ作業部へ動力伝達する動力伝達機構のケースの干渉を抑制できること。

【解決手段】フロントロータリ式作業機は、エンジン20の下方にトランスミッションケース58を配置し、このトランスミッションケースの前部及び後部から各々出力軸53,57を出し、後部の出力軸57で走行輪11を駆動し、前部の出力軸53でロータリ作業部120を駆動するようにした歩行型耕耘機である。前部の出力軸53とロータリ作業部120との間を伝動軸で連結し、この伝動軸を筒状ケース73で囲い、この筒状ケースをトランスミッションケースに取付けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの下方にトランスミッションケースを配置し、このトランスミッションケースの前部及び後部から各々出力軸を出し、後部の出力軸で走行輪を駆動し、前部の出力軸でロータリ作業部を駆動するようにしたフロントロータリ式作業機において、前記前部の出力軸と前記ロータリ作業部との間を伝動軸で連結し、この伝動軸を筒状ケースで囲い、この筒状ケースを前記トランスミッションケースに取付けたことを特徴とするフロントロータリ式作業機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフロントロータリ式作業機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な歩行型作業機は、耕耘軸に備えた耕耘爪の回転により耕耘し、さらに耕耘爪にて走行する耕耘機であり、フロントタイン式作業機と言われている。これに対して近年、走行輪を備えた機体の前方に耕耘爪を配置する歩行型耕耘機、いわゆるフロントロータリ式作業機の開発が進められている。フロントロータリ式作業機は耕耘爪を機体の前方に備えるので、枕地での耕耘が容易であるとともに作業者の作業目線が前になるので作業性が良く、注目されている。
【0003】なお、「枕地」とは、圃場の作業を、例えば一辺に平行に往復して行う場合、その両端での旋回などで一時作業を中断するためにできる、部分的な一種の空地のことである。
【0004】この種のフロントロータリ式作業機としては、例えば特許第3015821号公報「農作業機」(以下、「従来の技術」と言う)が知られている。この従来の技術は、耕耘爪を進行方向前上から地面へ向うように回転させる、ダウンカット式と称する耕耘機であり、主に耕起用に用いられる。フロントロータリ式作業機の例として、上記従来の技術の概要を次の図14で説明する。
【0005】図14は従来のフロントロータリ式作業機の概要図であり、特許第3015821号公報の図1、図2、図5、図12及び図13をまとめて側面図として再掲する。なお、符号は振り直した。
【0006】従来のフロントロータリ式作業機200は、エンジン201を取付けた機体202の下に伝動ケース203を備え、この伝動ケース203を後部のミッションケース204並びに前部のロータリーケース205の一体成形品とし、ミッションケース204の後部から出した車軸206に左右一対の走行輪207,207を取付け、ミッションケース204の前部にロータリー側中間軸208を備え、ロータリーケース205の前部から出した耕耘軸209に耕うん爪210・・・・・・は複数を示す。以下同じ。)を取付け、ロータリーケース205の中で、ロータリー側中間軸208の駆動スプロケット211と耕耘軸209の従動スプロケット212との間にチェーン213を掛けた、歩行型耕耘機である。
【0007】エンジン201は、出力軸214を側方へ突出したホリゾンタルエンジンである。出力軸214に取付けた駆動プーリ215とミッションケース204の側方から突出する入力軸216に取付けた従動プーリ217との間にベルト218を掛けることで、エンジン201の動力をミッション側へ伝達できる。従って、エンジン201の動力により、車軸206を介して左右一対の走行輪207,207を駆動するとともに、ロータリー側中間軸208、チェーン213並びに耕耘軸209を介して耕うん爪210・・・を駆動することができる。
【0008】さらにフロントロータリ式作業機200は、複数の耕うん爪210・・・を機体202の幅方向(図の表裏方向)に4列に配置したものである。全ての耕うん爪210・・・が耕耘軸209と共に一方向へ回転することによって、耕耘することができる。なお、219はメインクラッチとしてのテンションローラ、220はハンドルバーである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のフロントロータリ式作業機200において、エンジン201の動力をロータリー側中間軸208(ミッション側)から耕うん爪210・・・へ伝達する伝達方式は、チェーンドライブ方式である。チェーンドライブ方式は、ロータリー側中間軸208から耕耘軸209までの距離や、ロータリー側中間軸208に対する耕耘軸209の位置を比較的自由に設定できるとともに、寸法管理が容易なので、広く採用されている。
【0010】しかしながら、駆動スプロケット211、従動スプロケット212並びにチェーン213をロータリーケース205で囲うことになるので、ロータリーケース205が大型にならざるを得ない。ロータリーケース205は前下がりに傾いている。
【0011】土Gr21を耕うん爪(ロータリ作業部に相当)210・・・によって耕耘したときに、耕耘された土Gr22は盛り上がる。盛り上がった土Gr22は、大型のロータリーケース205に当り得る。耕うん爪210・・・による耕深量が大きいほど、ロータリーケース205の地上高が下がるので、その傾向が顕著である。耕耘された土Gr22をロータリーケース205の底で削り取ってしまうと平坦に仕上げることができない。耕耘の仕上り性が劣るので、改良の余地がある。
【0012】さらには、耕耘された土Gr22にロータリーケース205が乗り上がると、フロントロータリ式作業機200を前進させるときの走行抵抗になる。走行抵抗はアンバランスなものであり、大きいとフロントロータリ式作業機200の直進走行性を維持するのに、作業者の負担が大きくなるので、改良の余地がある。さらにまた、チェーン213の保守・点検作業が必要なので面倒である。
【0013】そこで本発明の目的は、走行輪を備えた機体の前方に耕耘爪を配置するフロントロータリ式作業機において、ロータリ作業部で耕耘された土に対し、トランスミッションからロータリ作業部へ動力伝達する動力伝達機構のケースの干渉を抑制できる技術を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1は、エンジンの下方にトランスミッションケースを配置し、このトランスミッションケースの前部及び後部から各々出力軸を出し、後部の出力軸で走行輪を駆動し、前部の出力軸でロータリ作業部を駆動するようにしたフロントロータリ式作業機において、前部の出力軸とロータリ作業部との間を伝動軸で連結し、この伝動軸を筒状ケースで囲い、この筒状ケースをトランスミッションケースに取付けたことを特徴とする。
【0015】エンジンの動力をトランスミッションからロータリ作業部へ伝達する動力伝達機構として、シャフトドライブ方式を採用した。すなわち、トランスミッションケースの前部の出力軸とロータリ作業部との間を伝動軸で連結したので、動力伝達機構を小型にすることができる。そして、小型の伝動軸を筒状ケースで囲うので、動力伝達機構の筒状ケースを小型にすることができる。ロータリ作業部で耕耘された土が盛り上がっても、盛り上がった土に対する筒状ケースの干渉を抑制できる。従って、耕耘された土を筒状ケースの底で削り取る心配はない。この結果、耕耘仕上り性を確保することができる。
【0016】しかも、筒状ケースを小型にしたので、耕耘された土に筒状ケースが乗り上がることを抑制できる。このため、フロントロータリ式作業機の走行抵抗を抑制できる。アンバランスな走行抵抗がないので、フロントロータリ式作業機の直進走行性を維持するのに作業者の負担を軽減することができる。さらにまた、動力伝達機構にシャフトドライブ方式を採用したので、動力伝達機構の保守・点検作業を簡単にしたり、又は廃止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は歩行型作業機の作業者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側、CLは機体の幅中央(作業機中央。作業機中心)を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0018】図1は本発明に係るフロントロータリ式作業機の左側面図であり、このフロントロータリ式作業機10は、左右の走行輪11(この図では左のみ示す。)を備えたトランスミッションケース58の前方にロータリ作業部120を配置する小型の歩行型自走式耕耘機である。
【0019】詳しくは、フロントロータリ式作業機10(以下、単に「作業機10」と言う。)は、機体としてのトランスミッションケース58に走行輪11を備え、トランスミッションケース58の前方にロータリ作業部120を備え、トランスミッションケース58に設けたエンジン20で走行輪11並びにロータリ作業部120を駆動する歩行型作業機である。
【0020】さらに具体的には、この図は、エンジン20の下方にメインクラッチ30を介してトランスミッションケース58を配置し、このトランスミッションケース58の前部及び後部から各々出力軸53,57を出し、前部の出力軸(ロータリ側中間軸)53でロータリ作業部120を駆動し、後部の出力軸(車軸)57で走行輪11を駆動するようにしたことを示す。このようにして、トランスミッションケース58の後部に走行輪11を配置するとともに、トランスミッションケース58の前部ロータリ作業部120を配置することができる。
【0021】動力源としてのエンジン20は、出力軸(クランク軸)21をほぼ垂直に向けたバーチカルエンジンであり、シリンダ22を前方へほぼ水平に延し、後部にオイルタンク23を備える。
【0022】作業機10は、メインクラッチ30のクラッチケース34の後部から後上方へ操作ハンドル12を延ばし、この操作ハンドル12にクラッチレバー13を備える。クラッチレバー13は、メインクラッチ30を操作するクラッチレバーである。図中、14は土砂飛散防止カバーである。
【0023】図2は本発明に係るエンジン、メインクラッチ、トランスミッションケース周りの断面図であり、エンジン20の出力軸21を下方へ突出し、出力軸21の下端にメインクラッチ30を介してトランスミッション50を連結した構成を、左側方から見たものである。
【0024】エンジン20の機体25の下端にクラッチケース34の上端をボルト結合し、クラッチケース34の下端にトランスミッション50のトランスミッションケース58をボルト結合することで、クラッチケース34並びにトランスミッションケース58は機体の役割を果たす。
【0025】図3は本発明に係るメインクラッチの断面図であり、上記図2に対応する。メインクラッチ30は、エンジン20の出力軸21に取付けるサンギヤ31と、サンギヤ31に組合せる遊星ギヤ組立体32と、遊星ギヤ組立体32に組合せる内歯歯車33と、これらのサンギヤ31、遊星ギヤ組立体32及び内歯歯車33を収納するクラッチケース34と、これらの内歯歯車33とクラッチケース34との間に介在させた複数のボール35・・・・・・は複数を示す。以下同じ。)と、内歯歯車33をロック・アンロックするブレーキ36とからなる。
【0026】遊星ギヤ組立体32は、サンギヤ31及び内歯歯車33に噛み合わせる複数の遊星ギヤ37・・・と、これらの遊星ギヤ37・・・を回転自在に支持する遊星枠38とからなる。遊星枠38は中心に、トランスミッション50の入力軸51をスプライン結合する継手39を備える。内歯歯車33は、遊星ギヤ37・・・に噛み合わせる歯部33aと、ブレーキ36を当てる円筒部33bとからなる。円筒部33bはブレーキドラムの役割を果たす。ボール35・・・は、内歯歯車33を支持する支持部材である。
【0027】図4は本発明に係るメインクラッチの平面図であり、このメインクラッチ30のブレーキ36は、クラッチケース34に取付けたアンカピン41と、アンカピン41で支持した一対のブレーキシュー42,42、ブレーキシュー42,42を拡径する作動カム43と、作動カム43に連結したレバー44と、レバー44に引張りばね45を介して連結したケーブル46とからなる。
【0028】ブレーキシュー42,42は、互いを引合うために弾発するリターンスプリング47,47と、内歯歯車33をロックするブレーキパッド48,48とを備える。ケーブル46は、クラッチレバー13(図1参照)に連結する。
【0029】次に、メインクラッチ30の作用を図3に基づき説明する。この図に示す状態はブレーキ36が開放されているので、内歯歯車33は回転自在である。エンジン20の出力軸21でサンギヤ31を回転させると、遊星ギヤ37・・・は回転する。このとき、内歯歯車33はフリー状態にあるから回転する。この結果、遊星枠38は回転しない。従ってメインクラッチ30は、エンジン20の動力を出力軸21からトランスミッション50の入力軸51へ伝達しない、いわゆるクラッチオフ状態を維持する。
【0030】その後、クラッチレバー13(図1参照)を操作してケーブル46を引くと、ブレーキ36はオンになる。内歯歯車33は回転不能になる。サンギヤ31を回転させると遊星ギヤ37・・・は回転する。このとき、内歯歯車33はロック状態にあるから回転しない。この結果、遊星枠38は回転する。従ってメインクラッチ30は、エンジン20の動力を出力軸21からトランスミッション50の入力軸51へ伝達する、いわゆるクラッチオン状態に切り換る。クラッチレバー13を放すと、メインクラッチ30は元のクラッチオフ状態に自動復帰する。
【0031】ここで一旦図2に戻って説明を続ける。トランスミッション50の入力軸51は、エンジン20の出力軸21と同心にある。入力軸51の下端部に設けた駆動ベベルギヤ52と、ロータリ側中間軸53に設けた第1従動ベベルギヤ54とを噛み合わせることで、入力軸51からロータリ側中間軸53へ動力伝達ができる。
【0032】トランスミッション50は、ロータリ側中間軸53、第1中間軸55、第2中間軸56並びに車軸57を前から後へこの順に、機体幅方向に水平に配列し、これらの各軸53,55〜57をギヤ機構によって連結したものである。従って、トランスミッション50のトランスミッションケース58を前後に長く且つ車幅方向(この図の表裏方向)に狭く設定することができる。しかも、トランスミッションケース58の高さを小さくすること(薄型化)ができる。
【0033】トランスミッションケース58の下面58aは、平坦で且つ地面に略平行である。具体的には、エンジン20の出力軸21の中心線Peを鉛直線としたときに、この鉛直線Peに直角な水平線Hoに対して、下面58aを略平行にした。水平線Hoは地面に平行である。さらに、トランスミッションケース58の下面58aは、後下がり形状を呈する。水平線Hoに対する、下面58aの傾斜角θ1は5゜程度の極めて緩い角度である。
【0034】このような作業機10は、ロータリ側中間軸53とロータリ作業部120(図1参照)との間を伝動軸71で連結し、この伝動軸71を筒状ケース73で囲い、この筒状ケース73をトランスミッションケース58に取付けたものである。
【0035】具体的には、ロータリ側中間軸53に設けた第1従動ベベルギヤ54と伝動軸71に設けた第2従動ベベルギヤ72とを噛み合わせ、伝動軸71を耕耘軸100へ向って前下がりに延し、伝動軸71を筒状ケース73に軸受74,75で回転自在に支承し、筒状ケース73の基端部をトランスミッションケース58の取付座58bにボルト結合した。出力軸21の中心線Peに対して、伝動軸71並びに筒状ケース73の傾斜角θ2は60゜程度である。
【0036】上述のように、薄型のトランスミッションケース58を採用したので、耕耘軸100からトランスミッションケース58の下面58aまでの高さは、比較的大きい。従って、下面58aの地上高は従来に比べて上がる。筒状ケース73は円筒からなり、前端に一体に形成した収納ケース94を備える。収納ケース94は、耕耘軸100の中心を基準に取外し可能な分割ケースである。
【0037】以上の説明から明らかなように、後の車軸57と前の耕耘軸100との間にバーチカルエンジン20を配置して、作業機10の重心を前へ移動させることで、エンジン20の重量の一部をロータリ作業部120(図1参照)へ掛けることができる。さらには、エンジン20の出力軸21とトランスミッション50の入力軸51とを、上下方向に同心に配置したものである。従来は、出力軸を側方へ突出したホリゾンタルエンジンを採用し、エンジンの出力軸とトランスミッションの入力軸とにベルト掛けした構成であった。これに対して本発明は、エンジン20をトランスミッションケース58の上面に近づけることができる。従って、エンジン20の高さを下げることで、作業機10の重心を下げることができる。
【0038】図5は図2の5−5線断面図であり、トランスミッションケース58を一部断面して示す。ロータリ側中間軸53に第1駆動平ギヤ61並びに第2駆動平ギヤ62を設けるとともに、第1中間軸55に第1従動平ギヤ63、第2従動平ギヤ64並びにドグクラッチ65を設けることで、ドグクラッチ65を切換え操作して、ロータリ側中間軸53から第1中間軸55を介する車軸57への動力伝達を解除、ロータリ側中間軸53から第1中間軸55を介する車軸57への高速又は低速での動力伝達に切換えることができる。図中、67は変速切換えレバーである。
【0039】この図は、トランスミッションケース58が前後に長く且つ車幅方向に狭いことを示す。トランスミッションケース58の幅が狭いので、想像線にて示す走行輪11を機体幅中央CLに寄せたり、機体幅中央CLから外方へ離すことができる。
【0040】図6は図2の6−6線断面図であり、上記図5に対応した図であって、トランスミッション側から耕耘軸100へ動力を伝達するための耕耘動力伝達機構80周りを、断面して示す。耕耘軸100は機体幅方向へ水平に延び、主耕耘軸84、左中空軸85並びに右中空軸87からなる。
【0041】耕耘動力伝達機構80は、エンジン20(図2参照)の動力を耕耘軸100に向って伝達する伝動軸71と、この伝動軸71の先端に設けた第1ベベルギヤ81と、この第1ベベルギヤ81に噛み合うとともに互いに平行に配置した第2ベベルギヤ82並びに第3ベベルギヤ83と、第2ベベルギヤ82に一体的に設けた主耕耘軸84と、この主耕耘軸84に相対回転可能に嵌めた中空で且つ第3ベベルギヤ83に一体的に設けた左中空軸85と、この左中空軸85に第3ベベルギヤ83とは別に設けた左ギヤ86と、この左ギヤ86とで第2・第3ベベルギヤ82,83を挟むように主耕耘軸84に相対回転可能に嵌めた右中空軸87と、この右中空軸87に設けた右ギヤ88と、この右ギヤ88を左ギヤ86に機械的に連結するために左・右ギヤ86,88間に渡したギヤ(カウンタ用左ギヤ91及びカウンタ用右ギヤ92)付きカウンタ軸93と、少なくとも伝動軸71、第1・第2・第3ベベルギヤ81〜83、左・右ギヤ86,88及びカウンタ軸93を一括収納する収納ケース94と、からなる。
【0042】主耕耘軸84は、機体幅方向へ延びる長い中実軸であり、左右両端に逆転用左スリーブ95並びに逆転用右スリーブ96を、ボルト止め等により取外し可能に取付けた軸である。左中空軸85は、左端に正転用左スリーブ97をキー等により一体的に取付けた軸である。右中空軸87は、右端に正転用右スリーブ98をキー等により一体的に取付けた軸である。これらのスリーブ95〜98は中空軸である。図中、111〜113は軸受、114はスラスト軸受である。
【0043】図7は本発明に係るフロントロータリ式作業機の正面図であり、機体の幅中央CLにエンジン20、クラッチケース34、トランスミッションケース58並びに筒状ケース73を配置するとともに、エンジン20の機体幅W1内にクラッチケース34並びにトランスミッションケース58を納めたことを示す。
【0044】ロータリ作業部120は、複数の耕耘爪を組合せたものである。複数の耕耘爪は、正転爪121・・,122・・・(すなわち、第1正転爪121・・・及び第2正転爪122・・・)と逆転爪123・・・とからなる。以下、「耕耘爪」と言うときには第1正転爪121・・・、第2正転爪122・・・及び逆転爪123・・・を総称したものである。また、正転爪121・・・,122・・・と言うときには第1正転爪121・・・及び第2正転爪122・・・を総称したものである。
【0045】ロータリ作業部120は、耕耘爪のうち正転爪121・・・,122・・・を機体としてのトランスミッションケース58の幅中央に複数配置するとともに、逆転爪123・・・を正転爪121・・・,122・・・よりも機体幅方向の外方に複数配置したことを特徴とする。
【0046】具体的には、ロータリ作業部120は機体幅方向に4列に配置したものであり、■左内側の正転用左スリーブ97の取付板97aに取付ける正転爪121・・・,122・・・の群131(第1爪群131)、■右内側の正転用右スリーブ98の取付板98aに取付ける正転爪121・・・,122・・・の群132(第2爪群132)、■左外側の逆転用左スリーブ95の取付板95aに取付ける逆転爪123・・・の群133(第3爪群133)、及び、■右外側の逆転用右スリーブ96の取付板96aに取付ける逆転爪123・・・の群134(第4爪群134)からなる。
【0047】左右の走行輪11,11は、複数の逆転爪123・・・の後方に配置した。すなわち、第3爪群133の後方に左の走行輪11を配置するとともに、第4爪群134の後方に右の走行輪11を配置した。
【0048】以上の説明から明らかなように、エンジン20にバーチカルエンジンを採用し、その出力軸21(図2参照)を機体の幅中央CLに配置することで、作業機10の幅方向の重量バランスを高めることができる。しかも、エンジン20が幅中央CLにあるので、エンジン20に左右の走行輪11,11を近づけて挟み込むように配置することにより、走行輪11,11を機体幅中央CLへ寄せることもできる。
【0049】図8(a),(b)は本発明に係るロータリ作業部の構成図であり、(a)はロータリ作業部120の分解図、(b)は(a)のb矢視図である。なお、理解を容易にするために、上記図6及び図7に示す取付板95a,96a,97a,98a及び耕耘軸100については省略する。
【0050】正転爪121,122は、作業機10(図7参照)の進行方向Ruの前上から地面へ向う方向R1、すなわち正転方向R1に回転する爪である。逆転爪123は、進行方向Ruの後上から地面へ向う方向R2、すなわち逆転方向R2に回転する爪である。
【0051】ロータリ作業部120は、複数の正転爪121・・・,122・・・同士を側面視で同一位相に配置するとともに、複数の逆転爪123・・・同士を側面視で同一位相に配置したことを特徴とする。このことについて以下に詳しく説明する。
【0052】第1・第2爪群131,132は、耕耘軸の中心Pfを基準にして計4個の正転爪121・・・,122・・・の各基部を概ね井桁状に重ね合わせて1組とする。第3・第4爪群133,134は、耕耘軸の中心Pfを基準にして計4個の逆転爪123・・・の各基部を概ね井桁状に重ね合わせて1組とする。
【0053】この図において第1爪群131は、■作業機10の進行方向Ru(すなわち前上方)へ延びる第1正転爪121、■後上方へ延びる第2正転爪122、■後下方へ延びる第1正転爪121、■後前方へ延びる第2正転爪122の組合せからなる。2個の第1正転爪121,121は、先端部を第2爪群132側へ向けて湾曲しつつ逆転方向R2にも湾曲した、なた爪である。2個の第2正転爪122,122は、先端部を第3爪群133へ向けて湾曲しつつ逆転方向R2にも湾曲した、なた爪である。第2爪群132は、第1爪群131と左右対称形に形成した群である。
【0054】第3爪群133は、第1爪群131に対して正転方向R1へ位相を約45゜ずらして配置したものであって、前後並びに上下へ延びる4つの逆転爪123・・・の組合せからなる。全ての逆転爪123・・・は、先端部を第1爪群131側へ向けて湾曲しつつ正転方向R1にも湾曲した、なた爪である。第4爪群134は、第3爪群133と左右対称形に形成した群である。なお、当然のことながら、各爪群131〜134の位相は耕耘軸100(図7参照)の回転に応じて変化する。
【0055】次に、上記構成の耕耘動力伝達機構80の作用について、図2、図7及び図9〜図11に基づき説明する。図2において、エンジン20の動力は出力軸21→メインクラッチ30→トランスミッション50の入力軸51→駆動ベベルギヤ52→第1従動ベベルギヤ54→第2従動ベベルギヤ72の経路で伝動軸71に伝わる。
【0056】図9は本発明に係る耕耘動力伝達機構の作用図(その1)である。さらに、エンジンで伝動軸71を回転方向R0に回したときに、エンジンの動力は、伝動軸71から第1ベベルギヤ81→第2ベベルギヤ82→主耕耘軸84の経路で逆転用左スリーブ95並びに逆転用右スリーブ96に伝わる。この結果、逆転用左・右スリーブ95,96は逆転方向R2に回る。
【0057】図10は本発明に係る耕耘動力伝達機構の作用図(その2)である。一方、エンジンで伝動軸71を回転方向R0に回したときに、エンジンの動力は、伝動軸71から第1ベベルギヤ81→第3ベベルギヤ83→左中空軸85の経路で正転用左スリーブ97にも伝わる。この結果、正転用左スリーブ97は正転方向R1に回る。
【0058】図11は本発明に係る耕耘動力伝達機構の作用図(その3)である。さらにまた、エンジンで伝動軸71を回転方向R0に回したときに、エンジンの動力は、伝動軸71から第1ベベルギヤ81→第3ベベルギヤ83→左中空軸85→左ギヤ86→カウンタ用左ギヤ91→カウンタ軸93→カウンタ用右ギヤ92→右ギヤ88→右中空軸87の経路で正転用右スリーブ98にも伝わる。この結果、正転用右スリーブ98は正転方向R1に回る。
【0059】従って図7に示すように、エンジン20の動力を伝達しつつ、逆転用左・右スリーブ95,96(図6の主耕耘軸84)に取付けた逆転爪123・・・及び正転用左・右スリーブ97,98(図6の左・右中空軸85,87)に取付けた正転爪121・・・,122・・・を、互いに逆に回転させて耕耘作業をなすことができる。
【0060】図12は本発明に係るフロントロータリ式作業機の作用図(その1)であり、ロータリ作業部120による耕深量が中程度の場合を示す。土Gr11をロータリ作業部120によって耕耘したときに、耕耘された土Gr12は盛り上がる。これに対して本発明は、エンジン20の動力をトランスミッション50からロータリ作業部120へ伝達する動力伝達機構として、シャフトドライブ方式を採用した。ロータリ側中間軸53とロータリ作業部120との間を伝動軸71で連結したので、動力伝達機構を小型にすることができる。そして、小型の伝動軸71を筒状ケース73で囲うので、筒状ケース73を小型にすることができる。このため、耕深量が中程度であって、ロータリ作業部120で耕耘された土Gr12が盛り上がっても、盛り上がった土Gr12に筒状ケース73が当らない。
【0061】図13は本発明に係るフロントロータリ式作業機の作用図(その2)であり、ロータリ作業部120による耕深量が大きい場合を示す。耕深量が大きい場合であっても、盛り上がった土Gr12に対する筒状ケース73の干渉を抑制することができる。従って、耕耘された土Gr12を筒状ケース73で削り取る心配はない。この結果、耕耘仕上り性を確保することができる。
【0062】しかも、筒状ケース73を小型にしたので、耕耘された土Gr12に筒状ケース73が乗り上がることを抑制できる。このため、作業機10の走行抵抗を抑制できる。アンバランスな走行抵抗がないので、作業機10の直進走行性を維持するのに作業者の負担を軽減することができる。さらにまた、動力伝達機構にシャフトドライブ方式を採用したので、動力伝達機構の保守・点検作業を簡単にしたり、又は廃止することができる。
【0063】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮する。請求項1は、エンジンの動力をトランスミッションからロータリ作業部へ伝達する動力伝達機構として、シャフトドライブ方式を採用し、トランスミッションケースの前部の出力軸とロータリ作業部との間を伝動軸で連結したので、動力伝達機構を小型にすることができる。そして、小型の伝動軸を筒状ケースで囲うので、動力伝達機構の筒状ケースを小型にすることができる。ロータリ作業部で耕耘された土が盛り上がっても、盛り上がった土に対する筒状ケースの干渉を抑制できる。従って、耕耘された土を筒状ケースの底で削り取る心配はない。この結果、耕耘仕上り性を確保することができる。
【0064】しかも、筒状ケースを小型にしたので、耕耘された土に筒状ケースが乗り上がることを抑制できる。このため、フロントロータリ式作業機の走行抵抗を抑制できる。アンバランスな走行抵抗がないので、フロントロータリ式作業機の直進走行性を維持するのに作業者の負担を軽減することができる。さらにまた、動力伝達機構にシャフトドライブ方式を採用したので、動力伝達機構の保守・点検作業を簡単にしたり、又は廃止することができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成14年1月16日(2002.1.16)
【代理人】 【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎 (外1名)
【公開番号】 特開2003−204703(P2003−204703A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−8027(P2002−8027)