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【発明の名称】 表面実装機
【発明者】 【氏名】西城 洋志

【要約】 【課題】表面実装機において吸着ノズルにより部品が吸着されているか否かを正確に判定することである。

【解決手段】ノズル21ごとに、ノズル21の吸着口が開放されているときのノズル21内の圧力が最小負圧値として内部記憶部303に記憶されるとともに、ノズル21の吸着口が閉鎖されているときのノズル21内の圧力が最大負圧値として内部記憶部303に記憶される。そして、これら最大負圧値および最小負圧値、さらに部品の種類に基づき、主演算部301が部品吸着時の規定負圧値を設定し、部品を吸着したノズル21内の圧力を上記規定負圧値と対比することによりノズル21による部品吸着を判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズルにより部品供給部の部品を吸着し、その吸着状態のまま上記実装用ヘッドを部品装着部に移動させた後、上記吸着ノズルによる部品吸着を解除して該部品を上記部品装着部のプリント基板に装着する表面実装機において、上記吸着ノズル内の圧力を検出する圧力検出手段と、上記吸着ノズル、上記部品、あるいは上記吸着ノズルと上記部品との組み合わせに応じて規定値を設定し、上記圧力検出手段により検出される圧力値を上記規定値と対比して吸着判定を行う制御手段とを備えたことを特徴とする表面実装機。
【請求項2】 上記実装用ヘッドに対して複数種類の吸着ノズルが着脱自在となっており、上記制御手段は、各吸着ノズルごとに、該吸着ノズルの吸着口が開放されているときのノズル内の圧力を最小負圧値とするとともに、該吸着ノズルの吸着口が閉鎖されているときのノズル内の圧力を最大負圧値としてそれぞれ記憶する記憶部と、上記実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズルに対応する最小負圧値および最大負圧値の少なくとも一方を上記記憶部から読み出し、その読出データに基づき規定値を演算設定する規定値設定部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の表面実装機。
【請求項3】 上記規定値設定部は、上記読出データに加え、吸着対象となっている部品の種類に基づき規定値を演算設定することを特徴とする請求項2記載の表面実装機。
【請求項4】 上記実装用ヘッドに対して複数種類の吸着ノズルが着脱自在となっており、上記複数の吸着ノズルの少なくとも一つのノズルは複数種類の部品を選択的に吸着するように構成されており、上記制御手段は、吸着ノズルと部品との組み合わせごとに、該吸着ノズルの吸着口が開放されているときのノズル内の圧力を最小負圧値とするとともに、該吸着ノズルの吸着口が部品により閉鎖されているときのノズル内の圧力を最大負圧値としてそれぞれ記憶する記憶部と、上記実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズルと吸着対象となっている部品との組み合わせに対応する最小負圧値および最大負圧値の少なくとも一方を上記記憶部から読み出し、その読出データに基づき規定値を演算設定する規定値設定部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の表面実装機。
【請求項5】 上記制御手段は、上記実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズルに対応する最小負圧値および最大負圧値の少なくとも一方を上記記憶部から読み出し、その読出データに基づき規定値を演算設定する一方、その規定値と、開放状態で上記実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズル内の圧力とを対比してノズル詰りを判定するノズル詰り判定部をさらに備えていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の表面実装機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズルにより部品供給部の部品を吸着し、その吸着状態のまま上記実装用ヘッドを部品装着部に移動させた後、上記吸着ノズルによる部品吸着を解除して該部品を上記部品装着部のプリント基板に装着する表面実装機であって、上記吸着ノズルにより部品が吸着されているか否かを判定する機能を有するものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、部品供給部と所定の作業位置(部品装着部)に位置決めされたプリント基板とにわたって移動可能なヘッドユニットに、実装用のヘッドを昇降かつ回転可能に装備した表面実装機が一般に知られている。この表面実装機は、上記ヘッドの下端に取付けられた吸着ノズル(以下、ノズルと略す)により電子部品を吸着し、部品吸着を確認した後、上記実装用ヘッドをプリント基板に移動させ、上記ノズルによる部品吸着を解除して部品を装着するように構成されている。
【0003】また、この表面実装機においては、ノズルによる部品吸着を確認するため、予めノズル内の圧力(負圧)についての規定値を設定する一方、ノズル内の圧力を検出する圧力センサを設けており、実際にノズルによる部品吸着を行った際に実測される圧力値を上記規定値と対比し、その対比結果に基づき吸着判定を行っている。また、部品装着の際にも上記規定値を用いて、部品装着の際にノズルによる部品吸着が確実に解除されたか否かを判定している。このように、部品吸着および部品装着の確認のために規定値が重要な役割を担っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の表面実装機においては、複数種類のノズルを部品の種類に応じて選択的に使用することが要求される。このため、上記ノズルは交換可能とされるとともに、複数種類のノズルが予めノズル交換用のステーションに準備され、ノズルの交換を実装作業中に行い得るようになっている。あるいはまた、ヘッドユニットに複数の実装用ヘッドを配設してこれらに異なる種類のノズルを取付けたり、ヘッドに複数のノズルを選択的に使用可能に取付けたりすることが行われている。
【0005】これら複数種類のノズルの開口部は、その用途によって様々な形状や開口面積などを有している。このため、部品吸着や吸着解除時におけるノズル内の圧力レベルは当然ながら相互に異なっている。
【0006】しかしながら、従来の表面実装機では、複数種類のノズルを使用するにもかかわらず、部品吸着や吸着解除の判定指標となっている規定値は単一の値しか設定されていなかった。このため、複数のノズルを交換する表面実装機では、規定値に基づく部品吸着や吸着解除の判定に対する信頼性に一定の限界があり、従来より信頼性を向上させる技術が要望されている。
【0007】また、かかる問題はノズル種類にのみ起因するものではなく、多品種の部品を吸着搬送する表面実装機においても発生する。すなわち、同一のノズルによって異なる種類の部品を選択的に吸着する場合であっても、部品の大きさ、形状や材質などに応じてノズル内の圧力レベルは相互に異なり、単一の規定値を判定指標とする従来技術では信頼性の面で問題があった。
【0008】この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、吸着ノズルにより部品が吸着されているか否かを正確に判定することができる表面実装機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズルにより部品供給部の部品を吸着し、その吸着状態のまま上記実装用ヘッドを部品装着部に移動させた後、上記吸着ノズルによる部品吸着を解除して該部品を上記部品装着部のプリント基板に装着する表面実装機において、上記吸着ノズル内の圧力を検出する圧力検出手段と、上記吸着ノズル、上記部品、あるいは上記吸着ノズルと上記部品との組み合わせに応じて規定値を設定し、上記圧力検出手段により検出される圧力値を上記規定値と対比して吸着判定を行う制御手段とを備えているものである(請求項1)。
【0010】この表面実装機では、吸着ノズル、部品、あるいは吸着ノズルと部品との組み合わせに応じて規定値が設定される。そして、吸着ノズルによる部品吸着の際、あるいは吸着ノズルによる部品吸着を解除する際に、吸着ノズル内の圧力が圧力検出手段により検出され、その検出結果と上記規定値とが対比されて部品が吸着ノズルにより吸着されているか否かが判定される。このように吸着ノズル、部品、あるいは吸着ノズルと部品との組み合わせに応じて設定される規定値を判定指標としているため、部品の吸着判定を正確に行うことができる。
【0011】表面実装機には、実装用ヘッドに対して複数種類の吸着ノズルが着脱自在となっているものがある。この場合、規定値を設定する構成として、制御手段に、各吸着ノズルごとに、該吸着ノズルの吸着口が開放されているときのノズル内の圧力を最小負圧値とするとともに、該吸着ノズルの吸着口が閉鎖されているときのノズル内の圧力を最大負圧値としてそれぞれ記憶する記憶部と、上記実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズルに対応する最小負圧値および最大負圧値の少なくとも一方を上記記憶部から読み出し、その読出データに基づき規定値を演算設定する規定値設定部とを設けることができる(請求項2)。
【0012】ここでは、吸着ノズルにより部品が吸着されていない状態、つまり吸着ノズルの吸着口が開放されているときのノズル内の圧力が最小負圧値として記憶される一方、吸着ノズルにより部品が吸着されている状態、つまり吸着ノズルの吸着口が閉鎖されているときのノズル内の圧力が最大負圧値として記憶される。そして、これらのデータに基づき規定値が演算設定されるため、吸着ノズルに対応する規定値を適切に求めることができ、判定精度を高めることができる。
【0013】また、最大負圧値や最小負圧値に基づき規定値を演算するだけでなく、部品の種類も考慮に入れた上で規定値を演算設定するように構成してもよい(請求項3)。
【0014】この構成によれば、規定値の適正化を図ることができ、判定精度をさらに高めることができる。なんとなれば、同一の吸着ノズルによって複数種類の部品を選択的に吸着する場合、部品の大きさ、形状や材質などに応じて吸着ノズル内の負圧レベルは相互に異なることがあるが、この構成の如く最小負圧値などに加えて部品種類を考慮して規定値を求めると、規定値をより高精度に、かつより適切に設定することができるからである。
【0015】また、表面実装機には、実装用ヘッドに対して複数種類の吸着ノズルが着脱自在となっており、上記複数の吸着ノズルの少なくとも一つのノズルは複数種類の部品を選択的に吸着するように構成されたものがある。この場合、規定値を設定する構成として、制御手段に、吸着ノズルと部品との組み合わせごとに、該吸着ノズルの吸着口が開放されているときのノズル内の圧力を最小負圧値とするとともに、該吸着ノズルの吸着口が部品により閉鎖されているときのノズル内の圧力を最大負圧値としてそれぞれ記憶する記憶部と、上記実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズルと吸着対象となっている部品との組み合わせに対応する最小負圧値および最大負圧値の少なくとも一方を上記記憶部から読み出し、その読出データに基づき規定値を演算設定する規定値設定部とを設けることができる(請求項4)。
【0016】ここでは、吸着ノズルにより部品が吸着されていない状態、つまり吸着ノズルの吸着口が開放されているときのノズル内の圧力が最小負圧値として記憶される一方、吸着ノズルにより各部品が吸着されている状態、つまり吸着ノズルの吸着口が各部品で閉鎖されているときのノズル内の圧力が最大負圧値としてそれぞれ記憶される。そして、これらのデータに基づき規定値が演算設定されるため、吸着ノズルおよび部品に対応する規定値を適切に求めることができ、判定精度を高めることができる。
【0017】さらに、上記表面実装機を稼動させている間に、ノズル詰りが発生する場合がある。この場合、制御手段に、上記実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズルに対応する最小負圧値および最大負圧値の少なくとも一方を上記記憶部から読み出し、その読出データに基づき規定値を演算設定する一方、その規定値と、開放状態で上記実装用ヘッドに取り付けられた吸着ノズル内の圧力とを対比してノズル詰りを判定するノズル詰り判定部をさらに設けるのが望ましい(請求項5)。
【0018】このようにすれば、吸着ノズルに応じた規定値が演算設定され、その規定値に基づきノズル詰りが判定されることとなるため、吸着ノズルの形状や大きさなどの影響を受けずに、ノズル詰りを精度よく判定することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0020】図1及び図2は、本発明が適用される表面実装機(以下、実装機と略す)の全体構造の一例を概略的に示している。これらの図において、基台1上には、搬送ラインを構成するコンベア2が配置され、プリント基板3が上記コンベア2上を搬送されて所定の作業位置(部品装着部)で停止されるようになっている。
【0021】上記コンベア2の側方には、部品供給部4が配置されている。この部品供給部4は、例えば、多数列のテープフィーダー4aを備えており、各テープフィーダー4aは、それぞれIC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の電子部品を所定間隔おきに収納、保持したテープがリールから導出されるように構成されるとともに、テープ送り出し端には送り機構が具備され、後述のヘッドユニット5により部品がピックアップされるにつれてテープが間欠的に送り出されるようになっている。
【0022】また、上記基台1の上方には、ヘッドユニット5が装備されている。このヘッドユニット5は、部品供給部4と所定の作業位置に搬送されてきたプリント基板3とにわたって移動可能とされ、当実施形態ではX軸方向(コンベア2の方向)およびY軸方向(水平面上でX軸と直交する方向)に移動することができるようになっている。
【0023】すなわち、上記基台1上には、Y軸方向に延びる一対の固定レール7と、Y軸サーボモータ9により回転駆動されるボールねじ軸8とが配設され、上記固定レール7上にヘッドユニット支持部材11が配置されて、この支持部材11に設けられたナット部分12が上記ボールねじ軸8に螺合している。
【0024】また、上記支持部材11には、X軸方向に延びるガイド部材13と、X軸サーボモータ15により駆動されるボールねじ軸14とが配設され、上記ガイド部材13にヘッドユニット5が移動可能に保持され、このヘッドユニット5に設けられたナット部分16が上記ボールねじ軸14に螺合している。そして、Y軸サーボモータ9の作動によりボールねじ軸8が回転して上記支持部材11がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ15の作動によりボールねじ軸14が回転してヘッドユニット5が支持部材11に対してX軸方向に移動するようになっている。
【0025】上記ヘッドユニット5には、部品を吸着する1乃至複数の実装用ヘッドが設けられるが、この実施形態では発明理解を容易にするため、1つの実装用ヘッド20が設けられる場合を例示する。このヘッド20は、中空のノズルシャフト(図示せず)の先端に吸着ノズル21を着脱可能に取付けるようになっており、ヘッドユニット5のフレームに対してZ軸方向(図2の上下方向)の移動及びR軸(ノズル中心軸)回りの回転が可能とされ、Z軸サーボモータ22によりZ軸方向に作動されるとともにR軸サーボモータ23により回転作動されるようになっている。また、ノズル21は、ノズルシャフト及びバルブ等を介して負圧発生部24(図3)に接続され、必要時に部品吸着用の負圧がノズル21に供給されるようになっている。さらに、部品吸着を解除した際に、ノズル21の先端開口部、つまり吸着口からの部品の離脱を助けるために、ノズル21は、切換バルブ等を介して正圧発生部25(図3)に接続され、必要時に実装用の正圧がノズル21に供給されるようになっている。
【0026】さらに、上記基台1には、上記ヘッドユニット5に装着されるノズル21を交換可能に保持するノズル交換ステーション19が配設され、ノズル交換時には、このノズル交換ステーション19の上方にヘッドユニット5がセットされるようになっている。
【0027】次に、上記実装機において部品吸着判定等の機能を有する制御系統の構成の一実施形態について、図3のブロック図を用いて説明する。
【0028】上記実装機には、図3に示すような制御ユニット30が搭載されており、ノズル21により部品が吸着されているか否かを判定し、その判定結果を利用しながら実装機全体を制御する。また、上記実装機では、ノズル21内の圧力値を検出する圧力センサ31と、磁気ディスクなどの外部記憶部32とが設けられている。
【0029】この制御ユニット30は、上記Y軸及びX軸サーボモータ9,15、ヘッドユニット5のZ軸及びサーボモータ22,23、負圧発生部24、正圧発生部25、圧力センサ31等はすべてこの制御ユニット30に電気的に接続され、この制御ユニット30によって統括制御されるようになっている。詳細には、後で詳述する動作フローで部品の吸着判定および部品実装動作を統括制御する主演算部301と、主演算部301により制御される軸制御部302と、実装機の動作プログラム、後で説明するデータ取得処理の実行プログラム、ならびにこれらの動作プログラムの実行により得られる各種データを記憶する内部記憶部303とが制御ユニット30に設けられている。
【0030】この主演算部301は、上記動作プログラムにしたがって軸制御部302を介して上記サーボモータ等を制御することにより、図3の破線で示すように、ヘッドユニット5を部品装着部に位置決めされたプリント基板3と、部品供給部4と、ノズル交換ステーション19との間で移動させる。すなわち、ヘッドユニット5を部品供給部4に移動させてノズル21による部品吸着を実行し、部品吸着を確認した後、ヘッドユニット5をプリント基板3上に移動させ、さらにノズル21による部品吸着を解除して部品をプリント基板3に装着する。また、必要に応じてヘッドユニット5をノズル交換ステーション19に移動させてノズル21を交換する。
【0031】また、部品吸着および吸着解除を確認するため、制御ユニット30では、主演算部301が実際の実装動作に先立ってデータ取得処理を実行して複数の負圧データを内部記憶部303に記憶させるとともに、実装動作にあたっては内部記憶部303に記憶されている複数の負圧データのうちヘッドユニット5に装着されているノズル21に対応するデータを読み出し、判定指標となる規定負圧値を求め、圧力センサ31の検出結果と対比することでノズル21により部品が吸着されているか否かを判定する。このように、この実施形態では、制御ユニット30および圧力センサ31により、本発明に係る部品吸着判定装置が構成されている。また、この制御ユニット30中の主演算部301は後述するように規定値設定部として機能している。以下、データ取得処理および実装処理について詳述する。
【0032】図4は、データ取得処理の内容を示すフローチャートである。この実施形態では、データ取得処理は上記実装機の組立完了後、工場出荷前に内部記憶部303に記憶されているプログラムにしたがって制御ユニット30により実行される。
【0033】まず、ステップS11でヘッドユニット5がノズル交換ステーション19に移動してノズル21が交換される。そして、ステップS12で負圧発生部24とノズル21との間に設けられた図外の負圧供給制御用バルブが開かれて負圧発生部24によりノズル21に負圧が供給されるとともに、ステップS13で圧力センサ31によりノズル21内の負圧値が検出される。この段階では、ノズル21の吸着口は開放状態となっており、こうして検出されたノズル21内の圧力が最小負圧値として内部記憶部303に一時的に記憶される(ステップS14)。
【0034】こうして開放状態での負圧値、つまり最小負圧値が求まると、次にステップS15,S16が実行されて閉鎖状態での負圧値が検出される。すなわち、ステップS15でヘッドユニット5が図外の負圧検出用治具の上方に移動した後、ヘッドユニット5が下降してノズル21の吸着口が負圧検出用治具で閉鎖される。このとき、ノズル21の吸着口が閉鎖されたか否かについては、オペレータが目視により確認するようにしたり、負圧検出用治具の近傍位置にカメラを設け、その撮像画像に基づき自動的に確認するようにしてもよい。
【0035】そして、この閉鎖状態でのノズル21内での負圧値が検出され(ステップS16)、その検出値が最大負圧値として内部記憶部303に一時的に記憶される(ステップS17)。このように、これら一連の処理(ステップS11〜S17)によってステップS11で装着されたノズル21について、開放状態での負圧値(最小負圧値)および閉鎖状態での負圧値(最大負圧値)がそれぞれ求められる。
【0036】次のステップS18では、予め使用が予定されている全てのノズルについて、最小負圧値および最大負圧値が求められたか否かが判定され、「NO」と判定される間、上記一連の処理(ステップS11〜S17)が繰り返されて、各ノズルについて最小負圧値および最大負圧値が求められる。これによって、例えば図5に示す対応関係で、ノズルタイプと、最小負圧値および最大負圧値とが関連付けられながら、内部記憶部303に記憶される。
【0037】一方、ステップS18で「YES」と判定されると、内部記憶部303に一時的に記憶されているデータ(図5)が外部記憶部32に書き込まれる(ステップS19)。
【0038】図6は、実装処理の内容を示すフローチャートである。この実施形態では、プリント基板3が上記コンベア2上を搬送されて所定の作業位置(部品装着部)で停止されると、内部記憶部303に記憶されている動作プログラムにしたがって主演算部301が装置各部を制御して図6の実装処理を実行する。ここでは、先ずヘッドユニット5が部品供給部4に移動される(ステップS1)。そして、次に説明する部品吸着処理が実行されてノズル21は部品を吸着保持する(ステップS2)。
【0039】図7は、部品吸着処理の内容を示すフローチャートである。この部品吸着処理では、主演算部301が現在、ヘッドユニット5に装着されているノズル21の種類を認識し(ステップS201)、いまから実装しようとしている部品に適合する適正なノズルである否かを判定する(ステップS202)。ここで、適正でないノズルであると判定されると、ノズル交換が実行されてノズルの適正化が図られる(ステップS203)。
【0040】ステップS202で適正なノズルであると判定され、あるいはステップS203で適正なノズルに交換された後、主演算部301は内部記憶部303に記憶されているデータ(例えば図5に示すデータ)のうちノズル21に対応する負圧データ、つまり最小負圧値および最大負圧値を読み出し(ステップS204)、これらの負圧データと部品種類に基づき規定負圧値を演算設定する(ステップS205)。ここで、規定負圧値を求める際に、例えば最小負圧値および最大負圧値の一方に係数を掛けて規定負圧値を設定したり、最小負圧値および最大負圧値の両方に基づき規定負圧値を設定してもよい。ただし、「発明が解決しようとする課題」の項で詳述したように、同一のノズル21によって互いに異なる部品を吸着する場合、部品の大きさ、形状や材質などに応じてノズル21内の負圧レベルは相互に異なることがある。そのため、この実施形態の如く最小負圧値および最大負圧値に加えて部品種類を考慮して規定負圧値を求めると、規定負圧値をより高精度に、かつより適切に設定することができる。
【0041】次のステップS206では、負圧発生部24とノズル21との間の負圧供給制御用バルブが開かれて負圧発生部24によりノズル21に負圧が供給される。それに続いて、ヘッドユニット5が下降してノズル21で部品を吸着する(ステップS207)。このとき、部品がしっかりと吸着されておれば、ノズル21が部品で閉鎖されることとなり、圧力センサ31で検出される圧力値はステップS204で読み出された最大負圧値と同一あるいは同程度となるはずである。
【0042】そこで、この実施形態では、ステップS208で圧力センサ31による検出圧力値が規定負圧値以上であるか否かを判定し、部品吸着を確認している。すなわち、検出圧力値が規定負圧値に達しておらず部品吸着が不完全であると判定した場合(ステップS208での判定結果が「NO」の場合)、所定のエラー処理を行った後(ステップS209)、ステップS210に進んでヘッドユニット5を上昇させる。一方、検出圧力値が規定負圧値以上であり、確実に部品がノズル21に吸着されていると判定した場合(ステップS208での判定結果が「YES」の場合)、ノズル21により部品を吸着したままヘッドユニット5を上昇させる(ステップS210)。
【0043】このようにして部品吸着が確認されると、図6に示すように、部品を吸着したまま、ヘッドユニット5がプリント基板の上方位置に移動した後(ステップS3)、ステップS4の部品装着処理が実行されることにより部品がプリント基板3に装着される。
【0044】なお、一度部品装着動作が実施された後は、ステップS201〜S206の処理はノズル21がプリント基板3上方から部品供給部へ移動している途中に実施される。この移動中、ノズル内圧力が規定負圧(最小負圧値より小さいか、大きい場合でも最大負圧値より最小負圧値に近い値)以下かどうかを判定することにより、部品がノズル21で吸着される前にノズル21に部品が吸着状態で残っていないかどうかを点検するようにしてもよい。ノズル内圧力が規定負圧以下でないならばエラー処理を行い、規定負圧以下ならステップS207のノズル下降を行う。この判断処理の追加により、後記ステップS407(図8)で装着タクトタイムを短くするため規定負圧値を大きくする場合に発生し易い誤判断があっても、あるいは、ノズル交換時にノズル先端に異物が付着吸着されることがあっても、エラー処理を行い次の吸着動作を正しく実施させることができる。
【0045】図8は、部品装着処理の内容を示すフローチャートである。この部品装着処理では、主演算部301が現在ヘッドユニット5に装着されているノズル21の種類を認識し(ステップS401)、内部記憶部303に記憶されているデータ(例えば図5に示すデータ)のうちノズル21に対応する負圧データとして最小負圧値を読み出し(ステップS402)、この負圧データに基づき規定負圧値を演算設定する(ステップS403)。なお、この実施形態では、後述するようにノズル21からの部品の離脱を助けるためにノズル21に対して正圧を供給するので、最小負圧値の半分の値を規定負圧値として設定している。ただし、規定負圧値の演算設定方法については、これに限定されないことはいうまでもない。
【0046】次のステップS404では、ヘッド20がプリント基板3に向けて下降して、部品をプリント基板3上に載置する。これに続いて、負圧供給制御用バルブが閉じられてノズル21への負圧供給が停止される(ステップS405)。また、上記したように部品の離脱を助けるために、ステップS406で正圧発生部25とノズル21との間に設けられた図外の正圧供給制御用バルブが開かれて正圧発生部25によりノズル21に正圧が供給される。このとき、部品が確実にノズル21から離脱してプリント基板3に装着されておればノズル21は開放状態となり、しかも正圧供給を受けていることを考えれば、部品装着時にはノズル21内の圧力は大気圧以上となるはずである。
【0047】そこで、この実施形態では、ステップS407で圧力センサ31による検出圧力値が規定負圧値以下であるか否かを判定し、部品装着を確認している。すなわち、検出圧力値が規定負圧値を超えており、部品離脱が不完全であると判定された場合(ステップS407での判定結果が「NO」の場合)、所定のエラー処理が行われた後(ステップS408)、ステップS409に進んでヘッド21が上昇させられる。一方、検出圧力値が規定負圧値以下であり、確実に部品がプリント基板3に装着されていると判定された場合(ステップS407での判定結果が「YES」の場合)、ヘッド21が上昇させられる(ステップS409)。
【0048】このようにして部品装着が確認されると、図6に示すように、ステップS5で全ての部品についてプリント基板3への部品実装が完了したか否かが判定され、部品実装が完了しない間、ステップS1に戻って上記一連の処理(ステップS1〜S5)が繰り返される。
【0049】以上説明したように、上記実装機では、部品吸着の際には、各ノズル21および部品の種類に対応する規定負圧値を判定指標として設定し、部品吸着したノズル21内の圧力を上記規定負圧値と対比することによりノズル21による部品吸着が確実に行われているか否かを判定している。また、部品装着の際には、各ノズル21に対応する規定負圧値を判定指標として設定し、部品装着を行ったノズル21内の圧力(負圧値を使って対比するので、大気圧以上の正圧の場合にはこの圧力値は負の値となる)を上記規定負圧値と対比することにより、ノズル21による部品吸着が完全に解除されているか否かを判定している。すなわち、圧力値が0(大気圧)に近いか正圧の場合には、圧力は規定負圧値より小さくなり、部品吸着が完全に解除されていると判定する。
【0050】このように、この実施形態によれば、ノズル21、あるいはノズル21と部品との組み合わせに応じて規定負圧値を演算設定し、その規定負圧値に基づきノズルにより部品が吸着されているか否かを判定しているため、当該判定を正確に行うことができる。特に、多品種の部品を取り扱う実装機では、ノズルタイプや部品種類も多くなるが、これに対しても的確に対応することができ、この部品吸着判定装置を実装機に適用することによって汎用性が高く、しかも高精度な実装機が得られる。
【0051】なお、部品装着時の制御としては、装着タクトタイムを短くするために、正圧の供給により前記ノズル21内の負圧が充分に緩和されず正圧になる前に、ノズル21を上昇させることもできる。すなわち、プリント基板3上に印刷された接着ペーストに部品が触れた状態であれば、ノズル21内が完全に正圧にならなくても部品に接着ペーストの粘着力が作用し、ノズル21を上昇させても部品は装着されたままとなるからである。ノズル21に負圧を作用させた状態でノズル21を開放して測定する最小負圧よりもこの吸着解除時の負圧の方が大きい場合には、吸着解除の判定に使う規定値を最小負圧値より大きくすることで、吸着解除判定が出るまでの時間を短くでき、装着タクトタイムを短くすることができる。
【0052】また、上記実施形態ではデータ取得処理の際に、負圧検出用治具を用いて各ノズル21の最大負圧値を検出しているが、負圧検出用治具を用いる代わりに、プリント基板3に実装される実際の部品と同一のダミーチップを用いて最大負圧値を検出するようにしてもよい。実装機は、通常、複数種類の部品を取り扱うため、これらの部品のダミーチップを予め用意し、各ノズル毎にダミーチップを交換しながら最大負圧値を検出する必要があり、こうして検出されたデータは、例えば図9に示すように、ノズルタイプと部品タイプとの組み合わせに対応した負圧値によって構成されることとなる。
【0053】また、上記実施形態では、ノズル21を交換しながら、各ノズルに対応する最小負圧値および最大負圧値を求めているが、複数種類の部品と同一のダミーチップを予め用意し、ノズル交換の代わりにダミーチップの交換を行いながら、各部品に対応する最小負圧値および最大負圧値を求めるようにしてもよい。
【0054】また、上記実施形態では、ノズル21、部品、あるいはノズル21と部品との組み合わせに応じて最小負圧値および最大負圧値を検出しておき、これら2種類の負圧値に基づき規定負圧値を判定指標として設定しているが、規定負圧値を設定するために常に2種類の負圧値を検出しなければならないというわけではなく、ノズル21などに応じて単一の負圧値を検出しておき、その負圧値に基づき規定負圧値を判定指標として設定するようにしてもよい。
【0055】また、上記実施形態では、ヘッドユニット5に1つのヘッド21を装備し、このヘッド20に1つのノズル21を装着する場合について限定して説明したが、ヘッドユニット5に複数のノズルを配設した実装機についても、上記と全く同様に、本発明を適用することができる。複数のノズルをヘッドユニット5に配設する形態としては、例えば特開平8−249033号公報に記載されたようにX軸方向に配列した複数のヘッドにそれぞれノズルを装備したり、例えば特開2000−261196号公報に記載されたようにヘッドに複数のノズルを放射状に配列するようにしてもよい。
【0056】また、上記実施形態では、上記実装機の組立完了後、工場出荷前にデータ取得処理を実行して規定負圧値を設定するためのデータ(最大負圧値および最小負圧値)を求め、内部記憶部303や外部記憶部32などの記憶部に記憶させているが、データ取得処理の実施タイミングはこれに限定されるものではなく、例えば実装機をユーザ工場に搬入した後に実施してもよい。この場合、ユーザサイドでデータ取得処理を実行するようにしてもよいが、ユーザの負担を軽減するため、上記したようにカメラを用いて吸着状態を撮像し、その画像に基づき自動的にデータが求められるように構成するのが望ましい。
【0057】さらに、上記実装機では、ノズルを使用中にノズル詰りが発生することがある。ここで、ノズル詰りが発生すると、部品吸着を行っていないにもかかわらずノズル内の負圧値が増大し、吸着判定の信頼性が低下してしまうおそれがある。そこで、定期的にノズル詰りを検出するのが望まれる。その具体的な検出方法としては、例えば定期的にノズル内の圧力を検出し、その検出結果を判定指標と対比することでノズル詰りを検出することが考えられる。
【0058】ここで、ノズル詰りの検出精度を高めるためには、次の点を考慮するのが望ましい。すなわち、吸着判定の場合と同様に、ノズルはその用途によって様々な形状や開口面積などを有しており、互いに異なる複数のノズル間でノズル内の圧力レベルが相互に異なっている。そのため、この点を解消するために、ノズルごとに判定指標を設定するのが望ましい。以下、図10を参照しつつノズル詰りの検出精度を高める技術について説明する。
【0059】図10は、この発明にかかる実装機の改良実施形態を示すフローチャートである。上記実装機では、適当なタイミング、例えばその稼動時間、プリント基板の処理枚数、実装部品数などが所定値を超えると、ノズル詰りチェック処理の動作プログラムが制御ユニット30の内部記憶部303から読み出され、この動作プログラムにしたがって主演算部301がノズル詰りをチェックする。
【0060】まず、主演算部301が現在、ヘッドユニット5に装着されているノズル21の種類を認識し(ステップS601)、チェック対象に適合する適正なノズルである否かを判定する(ステップS602)。ここで、適正でないノズルであると判定されると、ノズル交換が実行されてノズルの適正化が図られる(ステップS603)。
【0061】ステップS602で適正なノズルであると判定される、あるいはステップS603で適正なノズルに交換された後、主演算部301は内部記憶部303に記憶されているデータ(例えば図5に示すデータ)のうちノズル21に対応する負圧データ、つまり最小負圧値および最大負圧値を読み出し(ステップS604)、これらの負圧データに基づき規定負圧値を演算設定する(ステップS605)。
【0062】次のステップS606では、図外の負圧供給制御用バルブが開かれて負圧発生部24によりノズル21に負圧が供給される。このとき、ノズル詰りが発生していない場合には、圧力センサ31で検出される圧力値は最小負圧値と同一あるいは同程度となるはずである。一方、ノズル詰りが生じていると、その詰り度合いに応じた分だけ圧力値が最小負圧値より高くなる。
【0063】そこで、この改良実施形態では、ステップS607で圧力センサ31による検出圧力値が規定負圧値以下であるか否かを判定し、ノズル詰りをチェックしている。すなわち、検出圧力値が規定負圧値以下となっており、ノズル詰りが発生していないと判定した場合(ステップS607での判定結果が「YES」)、そのままノズル詰りチェック処理を終了する。
【0064】一方、検出圧力値が規定負圧値を超えており、ノズル詰りが発生していると初めて判定した場合(ステップS607での判定結果が「NO」で、しかもステップS608の判定結果が「YES」の場合)、ステップS609〜S611を実行することによりノズル詰りの解消を図る。すなわち、負圧供給制御用バルブを閉じてノズル21への負圧供給を停止した後(ステップS609)、図外の正圧供給制御用バルブを開いて正圧発生部25によるノズル21への正圧供給を開始する(ステップS610)。そして、所定時間が経過すると、上記正圧供給制御用バルブを閉じて正圧供給を停止する(ステップS611)。このようにノズル21への正圧供給によってノズル詰りの解消を図っている。なお、この後、ステップ606に戻り、再び負圧供給制御用バルブが開かれて負圧発生部24によりノズル21に負圧が供給され、ノズル詰りが解消されたか否かが判定される(ステップS607)。
【0065】ここで、ノズル詰りが解消されていないと判定された場合(ステップS607での判定結果が「NO」で、しかもステップS608の判定結果が「NO」の場合)、所定のエラー処理が実行されてノズル詰りチェック処理が終了する。
【0066】以上説明したように、この改良実施形態では、制御ユニット30の主演算部301がノズル21に応じた規定負圧値を判定指標として設定し、その規定負圧値に基づきノズル詰りを判定しているため、ノズルの種類にかかわらずノズル詰りを正確に検出することができる。このように、この改良実施形態では、主演算部301がノズル詰り判定部としても機能している。
【0067】なお、本発明は、同一のノズルによって異なる種類の部品を選択的に吸着し装着する場合や、複数のノズルによって部品を吸着し装着する場合において、部品吸着時に正しく吸着が完了したか否かの判定(図7のステップS208)、部品装着時に正しく装着したか否かの判定(図8のステップS407)、あるいは部品吸着前にノズル21が部品や異物のない正しい吸着待機状態にあるか否かの判定の3種の判定のうち、少なくとも1つの判定が実施されるものに適用可能である。また、上記各判定において規定値を一定にするのではなく複数の値をノズル等に応じて設定使用するとともに、各判定において設定される複数の規定値の組み合わせを判定の種類別に異なったものとすることがより一層望ましい。
【0068】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、吸着ノズル、部品、あるいは吸着ノズルと部品との組み合わせに応じて規定値を設定し、吸着ノズル内の圧力と、上記規定値とを対比することにより部品が吸着ノズルにより吸着されているか否かを判定するように構成しているので、吸着ノズルや部品の種類に影響されることなく、吸着ノズルにより部品が吸着されているか否かを正確に判定することができる。
【出願人】 【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
【出願日】 平成12年12月11日(2000.12.11)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
【公開番号】 特開2002−185195(P2002−185195A)
【公開日】 平成14年6月28日(2002.6.28)
【出願番号】 特願2000−376525(P2000−376525)