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【発明の名称】 電磁波遮蔽シート体及び電磁波遮蔽方法
【発明者】 【氏名】笹田 雅昭

【要約】 【課題】簡単な作業で電磁波遮蔽材間の隙間における電磁波の漏洩を効果的に抑制することができると共に、導電体が設けられた壁紙を電磁波遮蔽材として用いることができるようにする。

【解決手段】第1絶縁フィルム161と第2絶縁フィルム162との間に電磁波遮蔽材14の隙間Gよりも幅の広い面状の抵抗体163を設けると共に、第1絶縁フィルム161の表面に隙間Gと略等しい幅の面状の導電体164をその幅方向両端縁が抵抗体163の幅方向両端縁よりも内側に存在するように設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電磁波遮蔽材間の隙間を覆うことにより当該隙間における電磁波の漏洩を抑制する電磁波遮蔽シート体であって、絶縁シートの一方面に面状の抵抗体を設けると共に、その絶縁シートの他方面に前記抵抗体よりも幅の狭い面状の導電体をその幅方向両端縁が当該抵抗体の幅方向両端縁よりも内側に存在するように設けたことを特徴とする電磁波遮蔽シート体。
【請求項2】 前記抵抗体は前記隙間よりも広い幅を有するものであり、前記導電体は少なくとも前記隙間と略等しい幅を有するものであることを特徴とする請求項1記載の電磁波遮蔽シート体。
【請求項3】 前記抵抗体の表面に別の絶縁シートをその一方面を対向させて設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の電磁波遮蔽シート体。
【請求項4】 前記別の絶縁シートの他方面に接着剤を付与したことを特徴とする請求項3記載の電磁波遮蔽シート体。
【請求項5】 前記抵抗体が設けられた絶縁シートの他方面であって少なくとも前記導電体が設けられていない領域に接着剤を付与したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電磁波遮蔽シート体。
【請求項6】 前記抵抗体が設けられた絶縁シートは長尺形状を有するものであり、前記抵抗体及び導電体を当該絶縁シートの長手方向に沿って設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電磁波遮蔽シート体。
【請求項7】 電磁波遮蔽材間の隙間における電磁波の漏洩を抑制する電磁波遮蔽方法であって、前記隙間よりも幅の広い面状の抵抗体が設けられた絶縁シートをその抵抗体の幅方向両端縁が前記隙間の両側の電磁波遮蔽材に対向する位置に存在するようにして前記隙間に設けると共に、前記抵抗体よりも幅の狭い導電体をその幅方向両端縁が前記抵抗体の幅方向両端縁よりも内側に存在するようにして前記隙間に対向する位置に設けることを特徴とする電磁波遮蔽方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁波遮蔽空間を形成する電磁波遮蔽材間に生じた隙間からの電磁波の漏洩を抑制する電磁波遮蔽シート体及び電磁波遮蔽方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、オフィスビルや工場等の建築物における無線通信による盗聴や妨害等に対するセキュリティを確保したり、病院等の医療施設における医療器械の動作に対するセキュリティを確保したりする必要性からコンクリート壁や木壁等の建材の表面に、金属板等が内蔵された電磁波遮蔽材が互いに繋ぎ合わされた状態で配設されることがある。こうした場合、電磁波遮蔽材の繋ぎ目には僅かであっても不可避的に隙間が生じ、この隙間から電磁波が漏洩することになる。
【0003】このため、電磁波遮蔽材間に生じる隙間からの電磁波の漏洩を防止するべく繋ぎ目を実質的になくすようにする種々の工法が採用されている。例えば、電磁波遮蔽材に施されている被覆材を部分的に剥離して中の金属板を露出させ、隣接する電磁波遮蔽材の金属板同士を溶接したり、その金属板同士を重ね合わせてねじ止めしたり、ばね材等で隣接部分を押圧して金属板同士を密着させたりするようなことが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のような工法によれば、被覆材を剥がす必要があることから施工後に表面処理を追加施工して金属板の表面劣化等を防止する必要があり、作業が著しく煩雑になるという問題があった。また、溶接、ねじ止め等により隙間をなくすには作業が煩雑化するだけでなく、電気接触が良好に保たれていないと目的が達せられないという問題があった。また、隙間をなくす工法を施しても施工ミス等で僅かでも隙間が残ってしまうと、その隙間に共振する周波数の電磁波がその隙間を介して漏洩することになるという問題があった。この隙間の共振現象は、電界に直交する方向にある隙間の寸法が半波長又はその整数倍となる周波数で必ず発生する。
【0005】一方、金属箔等の面状の導電体が裏面等に配設されてなる壁紙を建材の表面に配設することにより室内と外部との間を熱的に遮断するようにする構造が建築物において採用されており、このような壁紙も電磁波遮蔽材として用いることが理論上は可能である。ところが、配設されている導電体が薄いため、隣接する壁紙の導電体同士を互いに溶接する等の施工が行えないことから実際上は電磁波遮蔽材としては用い難いものであった。このため、このような壁紙を電磁波遮蔽材として用いることが可能となる工法の出現が望まれていた。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡単な作業で電磁波遮蔽材間の隙間における電磁波の漏洩を効果的に抑制することができると共に、導電体が設けられた壁紙を電磁波遮蔽材として用いることができる電磁波遮蔽シート体及び電磁波遮蔽方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明は、電磁波遮蔽材間の隙間を覆うことにより当該隙間における電磁波の漏洩を抑制する電磁波遮蔽シート体であって、絶縁シートの一方面に面状の抵抗体を設けると共に、その絶縁シートの他方面に前記抵抗体よりも幅の狭い面状の導電体をその幅方向両端縁が当該抵抗体の幅方向両端縁よりも内側に存在するように設けたことを特徴としている。
【0008】この構成によれば、電磁波遮蔽シート体をその導電体が電磁波遮蔽材間の隙間に対向するようにしてその隙間を覆うことにより、その隙間のインピーダンスが減少されることから入射した電磁波により隙間に誘起される電圧が抑制される一方、絶縁シートと抵抗体とで損失フィルタが構成される結果、隙間における電磁波の漏洩が効果的に抑制される。
【0009】また、請求項2の発明は、請求項1に係るものにおいて、前記抵抗体が前記隙間よりも広い幅を有するものであり、前記導電体が少なくとも前記隙間と略等しい幅を有するものであることを特徴としている。
【0010】この構成によれば、抵抗体の幅方向両端縁を隙間の両側の電磁波遮蔽材に対向する位置に存在させた状態で電磁波遮蔽シート体を電磁波遮蔽材間の隙間に設けることで隙間の両側に損失フィルタを構成することができる一方、隙間のインピーダンスを効果的に減少させることができる結果、隙間における電磁波の漏洩が効果的に抑制される。
【0011】また、請求項3の発明は、請求項1又は2に係るものにおいて、前記抵抗体の表面に別の絶縁シートをその一方面を対向させて設けたことを特徴としている。
【0012】この構成によれば、抵抗体が2つの絶縁シートで挟まれた状態となる結果、抵抗体が薄膜状のものであっても外界から隔離されて確実に保護されることになり、耐久性に優れたものとなる。
【0013】また、請求項4の発明は、請求項3に係るものにおいて、前記別の絶縁シートの他方面に接着剤を付与したことを特徴としている。
【0014】この構成によれば、別の絶縁シート側を電磁波遮蔽材の平面部や電磁波遮蔽材が配設される建材の平面部に向けて貼り付けることで電磁波遮蔽シート体の取付作業が容易化される。
【0015】また、請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれかに係るものにおいて、前記抵抗体が設けられた絶縁シートの他方面であって少なくとも前記導電体が設けられていない領域に接着剤を付与したことを特徴としている。
【0016】この構成によれば、導電体が設けられた絶縁シート側を電磁波遮蔽材の平面部や電磁波遮蔽材が配設される建材の平面部等に向けて貼り付けることで電磁波遮蔽シート体の取付作業が容易化される。
【0017】また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかに係るものにおいて、前記抵抗体が設けられた絶縁シートが長尺形状を有するものであり、前記抵抗体及び導電体を当該絶縁シートの長手方向に沿って設けたことを特徴としている。
【0018】この構成によれば、電磁波遮蔽材間の隙間が長い場合でも電磁波遮蔽シート体を隙間に容易に設けることが可能になる一方、ロール状に巻き付けておくことで電磁波遮蔽シート体の保管が容易になる。
【0019】また、請求項7の発明は、電磁波遮蔽材間の隙間における電磁波の漏洩を抑制する電磁波遮蔽方法であって、前記隙間よりも幅の広い面状の抵抗体が設けられた絶縁シートをその抵抗体の幅方向両端縁が前記隙間の両側の電磁波遮蔽材に対向する位置に存在するようにして前記隙間に設けると共に、前記抵抗体よりも幅の狭い導電体をその幅方向両端縁が前記抵抗体の幅方向両端縁よりも内側に存在するようにして前記隙間に対向する位置に設けることを特徴としている。
【0020】この方法によれば、電磁波遮蔽材間の隙間に対向する位置に設ける導電体によりその隙間のインピーダンスが減少されることから入射した電磁波により隙間に誘起される電圧が抑制される一方、絶縁シートと抵抗体とで損失フィルタが構成される結果、隙間における電磁波の漏洩が効果的に抑制される。なお、導電体は、電磁波遮蔽材間の隙間に絶縁シートと抵抗体とを介して間接的に対向するように設けられてもよいし、絶縁シートと抵抗体とを介さずに直接的に対向して設けられてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態に係る電磁波遮蔽シート体を用いた電磁波遮蔽構造体を模式的に示す図である。この図において、電磁波遮蔽構造体10は、コンクリート壁や木壁等の建材12の表面に配設された電磁波遮蔽材(電磁波遮蔽建材)14と、互いに隣接する電磁波遮蔽材14間に形成される隙間Gを覆うように配設された電磁波遮蔽シート体16とから構成されている。なお、建材12は、壁面を構成するものに限るものではなく、天井面や床面等を構成するものであってもよい。
【0022】電磁波遮蔽材14は、電磁波遮蔽空間を形成するためのものであり、例えば、基材141の裏面にアルミニウム箔等の面状の導電体(導体層)142が貼着等の手段により一体に配設され、この導電体142面に接着剤143が塗布されて構成された壁紙からなるものである。この電磁波遮蔽材14は、接着剤143面に図略の剥離シートが配設されており、施工時にこの剥離シートを剥がして接着剤143を露出させ、この接着剤143により建材12の表面に貼着されることになる。なお、図示では、建材12と電磁波遮蔽材14との間には間隙が存在しているが、この間隙は説明の便宜上設けられているだけで実際は電磁波遮蔽材14が建材12の表面に密着された状態となっている。
【0023】電磁波遮蔽シート体16は、図2に示すように、隣接する電磁波遮蔽材14間に形成される隙間Gの開口幅の寸法Sよりも大きな幅寸法を有する長尺形状(テープ形状)の第1絶縁フィルム(第1絶縁シート)161と、この第1絶縁フィルム161に一方面同士が互いに対向して配設される長尺形状(テープ形状)の第2絶縁フィルム(第2絶縁シート)162と、これらの第1絶縁フィルム161及び第2絶縁フィルム162間に配設された薄膜抵抗体等の面状の抵抗体(抵抗層)163と、第1絶縁フィルム161の他方面(抵抗体163が配設されていない側の面)に配設された金属箔等の面状の導電体(導体層)164とが互いに密着されて構成されたものである。
【0024】この抵抗体163は、第1,第2絶縁フィルム161,162の一方面の略全面に配設されることで電磁波遮蔽材14間に形成される隙間Gの開口幅の寸法Sよりも大きな幅寸法を有するようにしたものである。また、導電体164は、第1絶縁フィルム161の幅方向における略中央位置に長手方向に沿って配設され、電磁波遮蔽材14間に形成される隙間Gの開口幅の寸法Sに略等しい幅寸法Wを有するもので、電磁波遮蔽材14間に形成される隙間Gに対応する箇所に位置するようにしたものである。
【0025】また、第2絶縁フィルム162の他方面(抵抗体163が配設されていない側の面)全域には接着剤165が15μmの厚みで付与されており、導電体164に対向する領域を除いた両側のL1及びL2で示す部分が電磁波遮蔽材14に対する貼り合せ代部分となる。ここで、第1,第2絶縁フィルム161,162は、例えば厚みが25μmのポリエチレンテレフタレート等の適宜の絶縁材料により構成されている。また、抵抗体163は、二酸化チタン、アルミニウム、銅、銀等の適宜の抵抗材料により構成され、例えば厚みが15Åで面抵抗が12.5Ω/□となるように設定されたものである。また、導電体164は、アルミニウム箔等の適宜の導電材料により構成されている。
【0026】この電磁波遮蔽シート体16は、例えば、次のようにして得ることができる。すなわち、第1絶縁フィルム161の一方面に所定の抵抗材料をスパッタリングや蒸着等の適宜の膜形成手段により付着させることにより抵抗体163を形成する。そして、第2絶縁フィルム162をその一方面が抵抗体163に対向するように接着剤を介して配設した後に熱圧着し、第1絶縁フィルム162の他方面にアルミニウム等の金属箔を貼着して導電体164を形成する。この導電体164は、スパッタリングや蒸着等の適宜の膜形成手段により形成することも可能である。その後、第2絶縁フィルム162の他方面に所定の塗布手段により塗布する等して接着剤を付与し、この接着剤の表面に高密度ポリエチレン等の適宜の絶縁材料からなる図略の剥離シートを貼着する。
【0027】このように構成された電磁波遮蔽シート体16によれば、図略の剥離シートを取り外し、電磁波遮蔽材14間の隙間Gを覆い、かつ導電体164が隙間Gに対向する位置にくるようにして電磁波遮蔽材14に貼着すると、隙間Gの開口幅方向のインピーダンスが導電体164の存在により低くなることから入射した電磁波により隙間Gに誘起される電圧が抑制される一方、電磁波遮蔽シート体16の貼り合せ代部分(符号L1、L2で示す部分)で損失フィルタ(ローパスフィルタ)が構成されて所定周波数の電磁波の通過が阻止されることから電磁波の隙間Gかにおける漏洩が効果的に抑制されることになる。
【0028】すなわち、損失フィルタは、図3の等価回路に示すように、第1,第2の絶縁フィルム161,162により形成される複数の静電容量Cと、抵抗体163により形成される複数の抵抗要素Rとによる分布定数回路から構成されることになる。ここで、Zsは、電磁波遮蔽材14の隙間(スリットアンテナ)における輻射インピーダンスであり、Vは、入射波により生じる等価電源である。また、R′は、電磁波遮蔽材14の隙間に相当する抵抗であり、スリットアンテナの給電点に相当するa−b間の短絡インピーダンスを形成する。
【0029】この図3に示す等価回路において、入射波による等価電源Vは、a−b間の短絡インピーダンスにより低下された電圧V1、損失フィルタにより減衰された電圧V2、及び、有限の抵抗R′を透過する電圧V3の影響を受ける。ここで、V3は、例えば抵抗体163の面抵抗が12.5Ω/□であれば、a−c間(b−d間でも同様)のインピーダンスが非常に低くなることから実質的に無視し得るものとなる。しかし、電磁波遮蔽材14間の隙間が大きい場合では、R′の値が大きくなってV1及びV2は無視し得なくなる。ところが、導電体164を設けたことによる導体近接効果により、抵抗R′の値がゼロ近くにまで低下することからV1及びV2も無視し得るものとなり、電磁波遮蔽材14間の隙間からの電磁波の漏洩が効果的に抑制されることになる。なお、上記の導体近接効果については、後述する。
【0030】図4は、本発明に係る電磁波遮蔽シート体16を電磁波遮蔽材14間の隙間Gに配設したときの電磁波の遮蔽減衰量(dB)の実測値を示すグラフである。ここでは、比較のために、隙間Gだけの場合と、電磁波遮蔽シート体16から導電体164を取り除いたものを隙間Gに配設した場合とを併せて示している。なお、隙間Gの開口幅(スリット幅)は10mmに設定されている。
【0031】すなわち、図4における符号Aは、本発明に係る電磁波遮蔽シート体を隙間Gを覆うように配設した場合の電磁波の減衰特性を示すものである。この電磁波遮蔽シート体は、図5(a)に示すように、絶縁シート161,162及び抵抗体163とも幅寸法が30mmとなるようにし、導電体164の幅寸法が10mmとなるように構成されたもので、電磁波遮蔽材14間の隙間Gに左右両側の貼り付け代(図2に示すL1,L2)が各10mm幅となるようにし、導電体164が隙間Gに対向する位置にくるようにして配設したものである。
【0032】また、図4における符号Bは、導電体164を取り除いた電磁波遮蔽シート体を隙間Gを覆うように配設した場合の電磁波の減衰特性を示すものである。この導電体164を取り除いた電磁波遮蔽シート体は、図5(b)に示すように、絶縁シート161,162及び抵抗体163とも幅寸法が30mmとなるように構成されたもので、電磁波遮蔽材14間の隙間Gに左右両側の貼り付け代が各10mm幅となるようにして配設したものである。また、図4における符号Cは、いずれの電磁波遮蔽シート体も配設しない隙間Gだけの場合の電磁波の減衰特性を示すものである。
【0033】いずれの場合も、電磁波遮蔽材14の一面側の所定位置に電磁波発生器を配置し、750〜2250MHzの周波数範囲内で電磁波を隙間Gに向けて送信する一方、電磁波遮蔽材14の他面側から300mm離間した位置に受信アンテナを配置し、この受信アンテナに誘起される電圧をレベル計で測定して電磁波の遮蔽減衰量を求めたものである。
【0034】この図4から明らかなように、符号Aの本発明に係る電磁波遮蔽シート体では測定周波数の範囲内において100dBを超える遮蔽減衰量を呈しており、十分に実用に耐え得るものとなっている。また、符号Bの導電体164を取り除いた電磁波遮蔽シート体では測定周波数の範囲内において75〜80dBの遮蔽減衰量となり符号Aで示すものよりも劣ったものとなっている。また、符号Cの隙間Gだけの場合は、測定周波数の範囲内において46〜68dBの遮蔽減衰量となっている。
【0035】さらに、参考のために、図5(c)に示すように、本発明に係る電磁波遮蔽シート体を導電体164が隙間G側に位置するようにして配設した場合(すなわち、導電体164を隙間Gに直接的に対向するように配設した場合)でも符号Aに示すもの(すなわち、導電体164を絶縁シート161,162と抵抗体163とを介して隙間Gに間接的に配設した場合)と同様の減衰特性が得られた。また、図5(d)に示すように、導電体164を抵抗体163と同じ幅寸法になるように構成したものでは、符号Cに示すものに近い減衰特性となり、遮蔽減衰量はあまり増加しなかった。
【0036】このように、導電体164を抵抗体163と同じ幅寸法になるように配設した場合に減衰特性があまり向上しないのは、導体近接効果により抵抗体163の抵抗値が実質的にゼロに近い値になることから有効な損失フィルタが構成されないことになるためである。すなわち、図6に示すように、導電体164の反対側(矢印側)から見た抵抗分及びリアクタンス分を理論的に求めると、図7に示すように、上記の測定周波数の範囲内においてはゼロに近い値となっている。
【0037】また、隙間Gの開口幅Sと導電体164の幅Wとの関係について、種々確認した結果、導電体164の幅Wを隙間Gの開口幅Sよりも大きな値に設定した場合でも、隙間Gに対する左右両側の各貼り付け代(図2に示すL1,L2)が5mm以上存在している場合(すなわち、左右両側に抵抗体163がそれぞれ5mm以上存在している場合)には、図4の符号Aに示すものと略同様の優れた減衰特性が得られた。これは、左右両側の各貼り付け代が5mm以上ある場合には有効な損失フィルタが構成されるが、左右両側の各貼り付け代が5mmよりも小さくなると有効な損失フィルタが構成されないようになるためである。
【0038】また、導電体164の幅Wを隙間Gの開口幅Sよりも小さな値に設定した場合では、導電体164の幅Wが隙間Gの開口幅Sよりも左右でそれぞれ1mmの範囲内で小さくなるようにしたときには図4の符号Aに示すものと略同様の減衰特性が得られたが、左右でそれぞれ1mmを超えて小さくなると減衰特性が次第に低下することが確認された。これは、導電体164の幅Wが小さくなることに対応して隙間Gのインピーダンスが次第に高くなり、入射した電磁波により誘起される電圧が高くなるためである。勿論、大きな遮蔽減衰量を必要としない場合には、1mmを超えて設定することも可能である。
【0039】本発明は、上記実施形態のように、第1絶縁フィルム161及び第2絶縁フィルム162間に各一方面に接して配設された面状の抵抗体163と、第1絶縁フィルム161の他方面に配設された面状の導電体164とが互いに密着されて電磁波遮蔽シート体16が構成され、この電磁波遮蔽シート体16がその抵抗体163の幅方向両端縁を隙間Gの両側の電磁波遮蔽材に対向する位置に存在させると共に、その導電体164を隙間Gに対向する位置に存在させるようにして電磁波遮蔽材14間の隙間Gを覆うように配設されることで電磁波遮蔽構造体が構成されるようになっている。
【0040】このため、導電体164により電磁波遮蔽材14間の隙間Gのインピーダンスが減少されることから隙間Gに入射した電磁波により隙間に誘起される電圧が抑制される一方、第1,第2絶縁フィルム161,162と抵抗体163とで損失フィルタが構成される結果、電磁波遮蔽材14間の隙間における電磁波の漏洩が効果的に抑制されることになる。
【0041】また、電磁波遮蔽材14間の隙間Gに電磁波遮蔽シート体16を配設するだけでよいため、従来のような溶接やねじ止め等の煩雑な作業が不要になる結果、簡単な作業で電磁波遮蔽材14間の隙間における電磁波の漏洩を抑制することができる。これにより、基材141にアルミニウム箔等の導電体142が配設されて構成された壁紙であっても電磁波遮蔽材として用いることが可能になる。
【0042】なお、本発明は、上記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、以下に述べるような種々の変形態様を採用することが可能である。
【0043】(1)上記実施形態では、抵抗体163は、第1,第2絶縁フィルム161,162の一方面における全面に配設されているが、これに限るものではない。要は、電磁波遮蔽材14間に形成される隙間Gの開口幅の寸法S(図2)よりも大きな幅寸法となるように配設されておればよく、電磁波遮蔽シート体16を隙間Gに設けた場合に隙間Gの両側に第1,第2絶縁フィルム161,162と抵抗体163とで有効な損失フィルタが構成されるようになっておればよい。
【0044】(2)上記実施形態では、導電体164は、第1絶縁フィルム161の幅方向における略中央位置に設けられているが、これに限るものではない。要は、導電体164の幅方向両端縁が抵抗体163の幅方向両端縁よりも内側の位置に存在するように配設されておればよく、電磁波遮蔽シート体16を隙間Gに設けた場合に隙間Gの両側に第1,第2絶縁フィルム161,162と抵抗体163とで有効な損失フィルタが構成されるようになっておればよい。
【0045】(3)上記実施形態では、抵抗体163が第1,第2絶縁フィルム161,162の間に配設されて第1,第2絶縁フィルム161,162により外部と遮断されることで保護されるようになっているが、これに限るものではない。例えば、抵抗体163が他の部材に接触しても破損され難いものである場合や、抵抗体163の表面に保護膜が付与されている場合等では、第2絶縁フィルム162は必ずしも必要としない。
【0046】(4)上記実施形態では、第2絶縁フィルム162の他方面に接着剤165が付与されているが、これに限るものではない。例えば、第1絶縁フィルム161の導電体164が設けられている他方面における導電体164が設けられていない領域に接着剤165を付与するようにしてもよいし、導電体164部分を含む全領域に接着剤165を付与するようにしてもよい。要は、第1絶縁フィルム161の他方面であって少なくとも導電体164が設けられていない領域に接着剤165が付与されておればよい。
【0047】また、第1絶縁フィルム161又は第2絶縁フィルム162に接着剤165を予め付与しておかないで、施工時に第1絶縁フィルム161又は第2絶縁フィルム162に接着剤を塗布したり、建材12又は電磁波遮蔽材14に接着剤を塗布したりして電磁波遮蔽シート体16を建材12又は電磁波遮蔽材14に貼り付けるようにしてもよい。
【0048】(5)上記実施形態では、電磁波の周波数領域が750〜2250MHzである場合に優れた減衰特性を示す電磁波遮蔽シート体について説明しているが、2250MHz以上の周波数領域においても優れた減衰特性を示す電磁波遮蔽シート体を実現することも可能である。要は、漏洩を抑制する電磁波の周波数領域に対応して抵抗体163や導電体164等の幅寸法や厚み寸法等を適宜設定するようにすればよい。また、電磁波の周波数領域が750〜2250MHzである場合でも、抵抗体163や導電体164等の幅寸法や厚み寸法等は上記実施形態のものに限定されるものではない。
【0049】(6)上記実施形態では、電磁波遮蔽シート体16を基材141にアルミニウム箔等の導電体142が配設されて構成された壁紙からなる電磁波遮蔽材14に適用した場合について説明しているが、電磁波遮蔽シート体16が適用可能な電磁波遮蔽材14としては壁紙からなるものに限定されるものではない。例えば、金属板等が配設された厚みの厚い電磁波遮蔽材にも同様に適用が可能であることはいうまでもない。
【0050】特に、本発明の電磁波遮蔽シート体16を用いる場合には、従来の工法では利用することが困難であった壁紙であっても電磁波遮蔽材14として用いることが可能となる結果、電磁波の漏洩を効果的に抑制することのできる電磁波遮蔽空間を簡単な構造で得ることができるようになる。なお、壁紙の基材141は紙だけではなく合成樹脂等の他の材料からなるものも含むものである。また、電磁波遮蔽材14は、建材12の平面部に配設するものに限定されるものではなく、予め板材に金属箔や金属板等が一体に配設されることで建材12そのものを構成するようにしたものであってもよい。
【0051】(7)上記実施形態では、図1に示すように、電磁波遮蔽シート体16が建材12と電磁波遮蔽材14との間に配設されるようになっているが、これに限るものではない。例えば、電磁波遮蔽材14の表面側に設けるようにしてもよい。但し、電磁波遮蔽シート体16が建材12と電磁波遮蔽材14との間に配設されるようにすると、電磁波遮蔽シート体16が電磁波遮蔽材14により隠されて目立たないようになる結果、美観上好ましい状態となる。
【0052】(8)上記実施形態では、導電体164は予め第1絶縁フィルム161の他方面に設けられているが、これに限るものではない。例えば、電磁波遮蔽シート体として導電体164を設けない構成としておき、施工時に導電体164を設けるようにしてもよい。すなわち、電磁波遮蔽材14間の隙間Gよりも幅の広い抵抗体163が設けられた第1,第2絶縁フィルム161,162又は第1絶縁フィルム161を抵抗体163の幅方向両端縁が隙間Gの両側の電磁波遮蔽材14に対向する位置に存在するようにして隙間Gに設けると共に、抵抗体163よりも幅の狭い導電体164をその幅方向両端縁が抵抗体163の幅方向両端縁よりも内側に存在するようにして隙間Gに対向する位置に設けるようにしてもよい。
【0053】この場合、導電体164を先に建材12又は電磁波遮蔽材14に設けておき、その後で抵抗体163が設けられた第1,第2絶縁フィルム161,162又は第1絶縁フィルム161を建材12又は電磁波遮蔽材14に設けてもよいし、先に抵抗体163が設けられた第1,第2絶縁フィルム161,162又は第1絶縁フィルム161を建材12又は電磁波遮蔽材14に設けておき、その後で導電体164を建材12又は電磁波遮蔽材14に設けてもよい。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1乃至6の電磁波遮蔽シート体によれば、絶縁シートの一方面に面状の抵抗体を設けると共に、他方面に抵抗体よりも幅の狭い面状の導電体を幅方向両端縁が抵抗体の幅方向両端縁よりも内側に存在するように設けた構成としたので、電磁波遮蔽シート体をその導電体が電磁波遮蔽材間の隙間に対向するようにして電磁波遮蔽材に設けることにより、その隙間における電磁波の漏洩を効果的に抑制することができる。また、電磁波遮蔽シート体を電磁波遮蔽材間の隙間に設けるだけでよいので、導電体が設けられて構成された壁紙であっても電磁波遮蔽材として用いることが可能となる。
【0055】また、請求項7の電磁波遮蔽方法によれば、電磁波遮蔽材間の隙間よりも幅の広い面状の抵抗体が設けられた絶縁シートをその抵抗体の幅方向両端縁が隙間の両側の電磁波遮蔽材に対向する位置に存在するようにして隙間に設けると共に、抵抗体よりも幅の狭い導電体をその幅方向両端縁が抵抗体の幅方向両端縁よりも内側に存在するようにして隙間に対向する位置に設けるようにしているので、電磁波遮蔽材間の隙間からの電磁波の漏洩を効果的に抑制することができると共に、導電体が設けられて構成された壁紙であっても電磁波遮蔽材として用いることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】597077654
【氏名又は名称】株式会社イー・エム・テクノ
【出願日】 平成12年10月24日(2000.10.24)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
【公開番号】 特開2002−134985(P2002−134985A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2000−323549(P2000−323549)