トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 電磁波シールドボックスおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】小柴 清文

【要約】 【課題】収納された電子機器が外部からの電磁波の影響を受けなく、また、発生した電磁波を外部へ流出させない十分な耐力および機能を有するような電磁波シールドボックスおよびその製造方法を提供する。

【解決手段】コンピューター等の電子機器を収納ないし被覆するプラスチック製のボックスであって、インサートモールド成形により、ボックス壁に中間層として電磁波シールド材を複合一体化し、ボックスの外面に、電磁波シールド材と接続されているアース部と、前記内部電子機器を接続するアダブターとを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンピューター等の電子機器を収納ないし被覆するプラスチック製のボックスであって、インサートモールド成形により、ボックス壁に中間層として電磁波シールド材を複合一体化し、ボックスの外面に、電磁波シールド材と接続されているアース部と、前記内部電子機器を接続するアダブターとを設けたことを特徴とする電磁波シールドボックス。
【請求項2】 電磁波シールド材が網状であることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールドボックス。
【請求項3】 コンピューター等の電子機器を収納ないし被覆するプラスチック製のボックスの製造において、インサート成形により、ボックス壁に中間層として網状の電磁波シールド材を複合化し、網目を通して壁肉内部と壁肉外部とを一体化することを特徴とする電磁波シールドボックスの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コンピューターを収納することによりそれを電磁波から保護し、誤作動を防止するための電磁波シールドボックスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種コンピューター関連技術の進展と共に、最近ではそれらの機器の近接した配置により、相互に電波妨害波の影響を受け、これが誤作動の原因となっている。このような電磁環境の中で使用する電子機器については、電磁妨害波が到来しても、障害を起こさない対策をすること、他の電子機器に影響を与えるような電磁妨害波を発生させない対策をすること、の2つの環境状態(電磁的両立性と呼ばれる)が重要である。
【0003】また、通信用電波(特に最近では携帯電話の使用によるもの)、自動車のエンジンおよびエンジン周辺機器からの電磁波、電力線の基本波等による障害もあり、さらには、太陽の黒点活動、地殻変動、落雷等の自然現象に伴う電磁波も看過することはできなくなっている。
【0004】電磁波障害の対策として、従来、電磁波シールド材料または部品が用いられ、これには多くの種類があり、電子部品または電子回路を保護したり、発生したノイズを外部に漏出することを防止するために、ノイズフィルター、雑音防止コンデンサー、シールドカバー等を装着することが広く応用されている。
【0005】電磁波シールド材とは、電磁妨害波を通過させないものを指しており、例えば、電磁妨害波が通りにくい金属は、電磁波シールド材の代表である。また、導電性被膜(抵抗被膜)、導電性複合材(導電性ゴム、導電性プラスチック)、導電性表面処理物、導電性接着剤等が用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの電磁波シールド材は、各種多様な電子機器の形状や構造に合わせた使用が困難であって、十分な電磁波シールド効果を上げてはいなかった。また、ゴムやプラスチックに、金属やカーボンの粒子や細片、ファイバーを混合した導電性複合材は、成形が容易であるというメリットがあるが、十分な量の導電体を混合しないとシールド効果は得られなく、また、ある値以下の混合では、シールド効果が急激に低下するため、所望のシールド効果を得るには、成形体の強度を犠牲にする必要があった。
【0007】この発明は、上記のような実情に鑑みて、収納された電子機器が外部からの電磁波の影響を受けなく、また、発生した電磁波を外部へ流出させない十分な耐力および機能を有するような電磁波シールドボックスおよびその製造方法を提供することを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、この発明は、請求項1の如く電磁波シールドボックスを構成した。電磁波シールド材としては網状のものが好ましい(請求項2)。また、請求項3の如く電磁波シールドボックスの製造方法を構成した。
【0009】
【作用】上記の構成において、内部電子機器を被覆する電磁波シールド材がボックス壁の中間層として複合化されるものであるが、電磁波シールド材を挟む壁肉内部と壁肉外部とが網目を通して一体化されているため、破損や腐食が防止されて電磁波シールド材の耐力が維持される。
【0010】即ち、仮にシールド材にメッシュ穴が無ければ、樹脂(プラスチック)にシールド材をインサート成形する際に、シールド材によって樹脂が内壁部と外壁部とに分断されてしまうわけだが、本発明に係るインサートモールド成形にあっては、樹脂はシールド材のメッシュ穴を貫通して、内壁部と外壁部とが一体化されるので、上記した分断が防がれ、製品としての耐久性と信頼性を著しく向上させることができるのである。
【0011】また、電磁波シールド材に吸収された電磁波は、アース部から外部へ放射されるので、内部に蓄積されるようなことはなく、この点でも耐力および機能が維持されることになり、かくして内部電子機器が安全に保護され、また、外部電子機器への悪影響も防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】この発明において、電磁波シールド材3とは電磁妨害波を通過させないものを指し、銅,アルミ,鉄,金属合金などの金属が代表であるが、導電性ゴムや導電性プラスチック等の非金属材料であっても良い。また、「網状」とは、金網、ハニーコウム(ハニカム)、パンチングメタル、エキスパンドメタル等の多孔タイプやメッシュタイプの形態を指すものとする。また場合によっては、網状ではなく、プレート(平板)状の電磁波シールド材を使用しても良い。なおこの場合、プレートには数ケ所の貫通孔を設け、樹脂がこの孔に流入し、プレートと樹脂とを一体化させるように構成するのが好ましい。
【0013】さらに、電磁波シールド材3の複合化は一層とは限らなく複層とすることもある。この点については、銅やアルミニウムは抵抗率が小さいので、シールド効果は大きいが、磁界シールド効果は全くないので、鉄やフエライト等の磁性のシールド材と併用する場合が考えられる。この場合でも、インサートモールド成形によりボックスの成形は自由かつ容易である。
【0014】また、ボックスの中に入る制御機器、コンピューターとの電気、電子信号の入出力はコネクターを介して行われる。従って、必要に応じ、コネクター部を別体として取り付けたり、インサートモールド成形一体形として取り付ける。アースや必要な機器については、ボックスにアース部を設けて、外部との接続を可能にする。
【0015】ボックスの形状については、任意の形状が採用される。そして、複数の機器をこのボックスに格納するとか、自動車点火系機器(例えばイグニッションコイル)を一個一個、個々に格納するとかの方式があり、格納したい製品形状に応じた作り易く最もコストが節約できる形状を任意に設定することが可能である。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、収納された電子機器が外部からの電磁波の影響を受けなく、また、発生した電磁波を外部へ流出させない十分な耐力および機能を有するような電磁波シールドボックスおよびその製造方法を提供することに成功したものであって、多種多様な電子機器およびその形状や構造に対応して自由にボックスを成形でき、製造も容易であるという優れた効果がある。
【0017】
【実施例】次に、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0018】図1および図2は一実施例を示したもので、その電磁波シールドボックスBは、プラスチック製の身1と蓋2とからなり、身1と蓋2にはそれぞれ電磁波シールド材3が壁層内にモールドインサート成形により複合化され、身1の上下両端と蓋2の上下両面に電磁波シールド材3のアース部5、6が露出され、また、身1の側面には電子機器の外部との電気接続のために、複数の端子を有する数個のコネクター9が取り付けられている。
【0019】電磁波シールド材3には金網が用いられ、身1についてはその金網を箱状に組み立てることによって各側壁と底壁に入れ、上端と下端に折曲片によってアース部5が形成される。また、蓋2については一枚網によってその電磁波シールド材3が入れられ、下面には身1のアース部5と接続するアース部6を、上面には放出アース部5が折曲片により形成されている。そして、インサートモールド成形により、網目7にプラスチック素材が流入し、金網を挟む壁肉内部8aと壁肉外部8bとが網目7を介して一体化している。
【0020】電磁波シールドボックスBの使用については、例えば、高性能のコンピューターを収納し、コネクター9を介して外部機器と接続し、外部からコンピューターを制御すると共に、その出力を得る。
【0021】図3は他の実施例を示し、前記実施例が角型であるのに対して丸型としたものであるが、ほぼ同様に構成される。この場合、電磁波シールド材3には、例えば薄鉄板に無数の孔を明けたパンチングメタルと称される金属メッシュ板が使用され、身1の電磁波シールド材3と蓋2の電磁波シールド材3とは蓋2を止める差ピンにより接続され、差ピンの頭部がアース部5を兼ねている。
【0022】図4および図5はそれぞれ他の実施例を示したもので、図4は自動車エンジンカバーとして、図5は自動車イグニッションコイル外装として、それぞれ電磁波シールドボックスBが構成され、インサートモールド成形により網状の電磁波シールド材3が複合化されている。
【出願人】 【識別番号】394014777
【氏名又は名称】株式会社コージン
【出願日】 平成12年10月25日(2000.10.25)
【代理人】 【識別番号】100083127
【弁理士】
【氏名又は名称】恒田 勇
【公開番号】 特開2002−134977(P2002−134977A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2000−325549(P2000−325549)