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【発明の名称】 デスミア
【発明者】 【氏名】ワンダ・ダーレン・ブリュウスター

【氏名】チュアン・ホアン・ホー

【要約】 【課題】本発明は、一般にデスミアおよびエッチング溶液浴に関するものである。特に、本発明は、改良されたデスミアおよび表面粗化能力を有する新規な過マンガン酸塩浴に関するものである。

【解決手段】浴を廃棄することなく、不安定な状態から接着促進浴を補充する方法が開示されている。補充された浴を用いて、プリント配線基板のような基板の接着を促進する方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物を調製する方法であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有し、さらに、a)最初に水と、約1.2Nまたはそれより低い規定度の苛性組成物を提供するのに十分である量の1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源とを組合せて;b)1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源をその苛性組成物と組合せて;そしてc)次に、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源の残りの量を添加する工程を含む方法。
【請求項2】 過マンガン酸塩イオン源が1つまたはそれ以上の過マンガン酸アルカリ金属塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 過マンガン酸アルカリ金属塩が過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムおよびそれらの混合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】 水酸化物イオン源が1つまたはそれ以上の水酸化アルカリ金属または水酸化アルカリ土類金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】 水酸化アルカリ金属が1つまたはそれ以上の水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムまたは水酸化セシウムを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】 苛性組成物が約1.0Nであるかまたはそれより低い規定度である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】 苛性組成物が約0.5Nから約1.2Nである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】 改良された剥離強度を有する基板を提供する方法であって、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物を基板に接触させる工程を含む、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約40g/Lの全マンガンイオン濃度を有している方法。
【請求項9】 基板がプリント配線基板である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】 1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有し、さらに、組成物が、a)最初に水と、約1.2Nまたはそれより低い規定度の苛性組成物を供するために十分である量の1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源とを組合せて;b)1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源とその苛性組成物とを組合せて;そしてc)次に、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源の残りの量を添加することを含む工程によって調製される組成物。
【請求項11】 過マンガン酸塩イオン源が1つまたはそれ以上の過マンガン酸アルカリ金属塩を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】 過マンガン酸アルカリ金属塩が過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムおよびそれらの混合物を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】 水酸化物イオン源が1つまたはそれ以上の水酸化アルカリ金属または水酸化アルカリ土類金属を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】 水酸化アルカリ金属が1つまたはそれ以上の水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムまたは水酸化セシウムを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】 苛性組成物が約1.2Nであるかまたはそれより低い規定度である、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】 苛性組成物が約0.5Nから約1.2Nである、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】 1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有している組成物。
【請求項18】 全マンガン濃度に対する活性過マンガン酸塩イオン濃度の比が0.4またはそれより大きい、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】 過マンガン酸塩イオンが約5から約30g/Lの量で存在する、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】 1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物を基板に接触させる工程を含む、後で金属被覆するための樹脂製基板を調製する方法であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有している方法。
【請求項21】 1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物を基板に接触させる工程を含む、樹脂基板中に形成されるホールの内壁からの樹脂のデスミア方法であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有している方法。
【請求項22】 1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物を基板に接触させる工程を含む、樹脂基板の表面をエッチングする方法であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有している方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般にデスミアおよびエッチング溶液浴に関するものである。特に、本発明は、改良されたデスミアおよび表面粗化能力を有する新規な過マンガン酸塩浴に関するものである。
【0002】
【従来技術】樹脂含有材料中にホールを形成する操作では、しばしばホールの内壁またはバレル上に樹脂汚染が生じる。この樹脂汚染は、ホール形成過程において材料の樹脂成分の融点を越える温度を発生させたり使用することが主原因でなり得る。
【0003】プリント基板を製造するために使用されるようなエポキシ含浸ガラス繊維積層材料の中にホールをあける際に、材料と刃先の摩擦で刃先の温度が上昇する。しばしば、多くの樹脂系の融点を越える刃先温度が発生する。その場合、刃先が、ドリルされる材料を介したコース上の融解した樹脂を拾い上げるため、ホールのバレル内でこの融解付着物の汚染が起こる。有機絶縁基板中の内部導電体を接触させるためのレーザードリル操作においても、曝露された導電体表面上に類似の樹脂付着または汚染が発生し得る。
【0004】いくつかの用途における、ホール壁上の樹脂汚染の問題は無視され得るが、例えば、多層プリント基板の製造におけるように、時としてその除去が必須になる。多層プリント基板は種々の電気的用途に用いられ、そして軽量化と小型化という利点を供している。多層基板は、各回路層が1つまたはそれより多くの誘電体材料によって互いに分離された、2つまたは以上の回路層を含む。回路層は、重合体基板の上に銅層を施すことによって形成される。次いで、当業者に公知の技法、例えば、焼き付けおよびエッチングによって、回路トレース、つまり、所望する回路パターンにおける不連続な回路配線を区分けして形成することにより、プリント回路が銅層の上に形成される。回路パターンが形成されると、典型的にはエポキシ、エポキシ/ガラスまたはポリイミドのような樹脂含有材料である誘電体層によって、互いに分離された多数の回路層を含むスタックが形成される。スタックが形成されると、積層多層回路基板を形成するためにそれを加熱し加圧する。そのような多層回路基板が得られると、複数の平行平面状の金属導電体を含有する樹脂含有材料中に、2つまたはそれより多くの平行な金属導電体と直角に、そしてそれらを導通するようにホールが形成される。2つまたはそれより多くの金属導電体間に導電経路を形成するために、しばしば、ホール壁をメッキすることが望まれる。そのような場合、もし、メッキされたホールと金属導電体の間に導電的接触を達成するためには、金属導電体を通り抜けるホールの端部から樹脂汚染を除去する必要がある。従って、銅クラッド系プラスチック積層体を介して、または、多層回路基板におけるように内部導電体面を含有するプラスチック積層体を通して回路基板ホールをあける場合には、金属被覆されたまたはメッキされたスルーホールの機能を適切に達成させるために、ホール壁に露出した金属表面上の樹脂汚染を除去する必要がある。
【0005】上記のようにメッキされたスルーホールは、プラスチック積層体の両側に金属導電体を有するプリント回路間、または、多層板における2つまたはそれ以上の種々の面および表面導電体層の間の電気的接合体として有用である。この機能に要求される電気的および機械的統合は、ホールによって露出された金属導電体の内円周部分の全体にわたって、樹脂材料を完全に除去することによってのみ達成できる。
【0006】樹脂汚染を除去する種々の方法が公知である。1つの方法は機械的方法であり、そのようなホールを通して研磨粒子の乾式または湿式流のチャネリングを含む。類似した方法は、ホールを通して研磨粒子の高濃度スラリーを、油圧を使用して強制的に動かすことである。しかしながら、これらの機械的方法は一般に遅くて制御が難しく、そして、全てのホール内汚染の完全除去を達成することは困難である。
【0007】典型的には、プリント基板の製造過程で形成されるホールのデスミアに化学的方法が使用される。例えば、汚染されたエポキシ樹脂を除去するために濃硫酸(最低約90%濃度まで)およびクロム酸のような酸が使用されている。酸の高濃度が必要とされるのは非常に危険であり、そして、オペレーターによる特別な予防措置が要求される。また、そのような酸によるデスミアは、望ましくない粗いホールを提供する。さらに加えて、濃硫酸は急速に水を吸収するため、それが有用な寿命範囲に限界を生ぜしめ、そして、ホールのデスミアに必要な浸漬時間におけるばらつきを起こし得る。クロム酸もまた毒性と廃棄物処理の問題を引き起こす。
【0008】最も共通の化学的樹脂デスミア法では、過マンガン酸カリウムまたは過マンガン酸ナトリウムなどの過マンガン酸塩が使用される。例えば、米国特許第4,601,784号(Krulik)には、水酸化アルカリ金属、過マンガン酸ナトリウム、および、カリウム、セシウム、ルビジウムおよびそれらの混合物から選ばれる、過マンガン酸塩イオン1モル当たり0.1から3.0モルの共カチオンを含むデスミア溶液が開示されている。使用される過マンガン酸ナトリウムのこの濃度では共カチオンの存在が必要になる。この特許に従って、浴中に使用される過マンガン酸ナトリウムの量は、溶液1Lあたり少なくとも70gである。
【0009】米国特許第5,019,229号(Grapentinら)には、高いエッチバック速度を有するエポキシ樹脂を、電気化学的陽極酸化によって安定化する、安定で強アルカリ性の過マンガン酸塩エッチング溶液でエッチングする方法が開示されている。
【0010】従来のデスミア浴では、通常、全マンガン(マンガン酸塩と過マンガン酸塩の双方として)濃度に対する活性過マンガン酸塩イオン濃度の比が、0.6またはそれより大きいことが必要とされる。活性過マンガン酸塩イオン濃度:全マンガン濃度の比が0.6を下回ると、基板へメッキされた金属の剥離が発生する。そのような欠陥自体は金属接着低下または基板誘電材料のふくれとして現れる。そのような浴を再生すると、つまり、活性過マンガン酸塩イオン濃度:全マンガン濃度の比が0.6またはそれより大きくなるよう調整すると、その浴は、やはり、いくつかの新規な先端的な誘電材料の場合に剥離を引起す。この状況は、大部分の従来の積層体、つまりFR4、FR5および高Tgの強化積層体には当てはまらない。
【0011】通常、過マンガン酸塩系の従来のデスミア浴では、非常に不規則なトポロジーとメッキ後の誘起応力を有する基板が得られる。従って、非常に不規則なトポロジーとメッキ後の誘起応力を有する基板を供することがない、樹脂付着の除去に有効なデスミアおよびエッチング浴を供することが望ましい。さらに、安定で、電気化学的陽極酸化を必要としない、過マンガン酸塩エッチング溶液を供することが望ましい。また、さらに、剥離を起こさない、再生可能な過マンガン酸塩系デスミア浴を供することが望ましい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】驚くべきことに、本発明のアルカリ性過マンガン酸塩浴が、樹脂付着の除去、つまりデスミア、そして表面粗化を供するのに非常に有効であることが分かった。また、驚くべきことに、本発明のアルカリ性過マンガン酸塩浴で処理されたプリント基板が、従来の過マンガン酸塩浴で処理されたものと比べて、より高い剥離強度を有することが分かった。
【0013】本発明は、その第一の態様において、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有している組成物を提供する。
【0014】本発明は、その第二の態様において、基板を、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物と、基板を接触させる工程を含む、引続いて金属被覆するための樹脂基板を調製する方法であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有する方法を提供する。
【0015】本発明は、その第三の態様において、基板を、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物と接触させる工程を含む、樹脂基板中に形成されたホールの内壁から樹脂をデスミアする方法であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有する方法を提供する。
【0016】本発明は、その第四の態様において、基板を、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物と接触させる工程を含む、樹脂基板の表面をエッチングする方法であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有する方法を提供する。
【0017】本発明は、その第五の態様において、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物を調製する方法であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有し、さらに、a)最初に水と、約1.2Nまたはそれより低い規定度の苛性組成物を供するために十分である量の1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源を組合せ、;b)1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源とその苛性組成物を組合せ、;そして、c)次に、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源の残りの量を添加する工程を含む方法を提供する。
【0018】本発明は、その第六の態様において、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物と、基板を接触させる工程を含む、改良された剥離強度を有する基板を得る方法であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約40g/Lの全マンガンイオン濃度を有する方法を提供する。
【0019】本発明は、その第七の態様において、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有し、さらに、組成物が、a)最初に水と、約1.2Nまたはそれより低い規定度の苛性組成物を供するために十分である量の1つまたはそれより多くの水酸化物イオン源を組合せ、;b)1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源とその苛性組成物を組合せ、;そして、c)次に、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源の残りの量を添加することを含む工程によって調製される組成物を提供する。
【0020】
【課題を解決するための手段】本明細書全体を通して使用される以下の略語は、別に意味が明確に示される場合を除いて、次のような意味を有する:g=グラム;mg=ミリグラム;mL=ミリリッター;L=リッター;DI=脱イオン化された;℃=摂氏温度;°F=華氏温度;psi=平方インチ当たりのポンド;ppm=100万部あたりの部;N=ノーマル;cm=センチメートル;Lbs/in=インチ当たりのポンド;およびwt%=重量パ−セント。
【0021】「プリント基板」および「プリント配線基板」は、本明細書全体を通して、意味に互換性がある言葉として使用されている。特に注記がない限り、全ての量は重量パ−セントであり、そして全ての比は重量基準である。全ての数値範囲は両端を含みそして組合せ可能である。
【0022】一般に、本発明のデスミアおよびエッチング浴は、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む。少なくとも水に部分的に可溶または水に分散可能な過マンガン酸塩イオン源であれば、いずれも、本発明において使用してよい。好適な過マンガン酸塩イオン源には、過マンガン酸ナトリウムおよび過マンガン酸カリウムのような過マンガン酸アルカリ金属塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。過マンガン酸塩イオン源の混合物が、本発明において有利に使用される。本発明において有用な過マンガン酸塩イオン源は、一般に市販品で入手でき、そしてさらに精製せずに使用することができる。
【0023】本発明の組成物において、過マンガン酸塩イオン源は、典型的には、組成物中の活性過マンガン酸塩イオンの濃度に基づいて、過マンガン酸塩イオンの濃度が約8から約35g/Lとなるような量で使用される。活性過マンガン酸塩イオンの量が、約10から約30g/Lの量で存在するのが好ましい。例えば、過マンガン酸ナトリウムが使用される場合、それは約20から約50g/Lの量で存在する。一般に、マンガン酸塩および過マンガン酸塩イオンとしての全マンガン濃度は、約15から約70g/L、好ましくは約15から約65g/Lそして、より好ましくは約20から約50g/Lの範囲である。典型的には、全マンガン濃度に対する活性過マンガン酸塩イオンの比は0.4またはそれより大きく、好ましくは0.5またはそれより大きく、そして、より好ましくは0.6またはそれより大きい。
【0024】本発明においては、水酸化物イオン源として、いかなる水酸化アルキル金属または水酸化アルキル土類金属が使用されてもよい。水酸化物イオン源が水酸化アルキル金属であるのが好ましい。好適な水酸化アルキル金属には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムおよび水酸化セシウムが含まれる。水酸化物イオン源が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであるのが好ましい。水酸化物イオン源の混合物が本発明において有利に使用できる。本発明において有用な水酸化物イオン源は、一般に市販品として入手でき、そして、さらに精製せずに使用することができる。
【0025】本発明の組成物においては、典型的に、水酸化物イオン源は、水酸化物イオン濃度が、組成物の容積を基準にして、約25から約85g/Lとなるような量で使用される。水酸化物イオン濃度は、好ましくは約25から約50g/L、そしてより好ましくは約25から約40g/Lである。
【0026】過マンガン酸塩イオン源および水酸化物イオン源の両者の濃度は、ある浴の溶液中に存在するそれらの成分の量を意味する。同様に、過マンガン酸塩イオンおよび水酸化物イオンの量は、本発明の組成物中に存在するそれらのイオンの量を意味する。
【0027】本発明の組成物は、a)最初にDI水のような水と、約1.2Nまたはそれより低い規定度の苛性組成物を供するために十分である量の1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源を組合せ、;b)1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源とその苛性組成物を組合せ、;そして、c)次に、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源の残りの量を添加することによって調製される。本発明の組成物は、a)からc)の工程の順序に従って調製される。もし、この工程の順序に従わない場合は、従来のデスミアおよびエッチング浴が得られることになる。苛性組成物は、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源の残りの量を添加する工程の前で約1.2Nであるかまたはそれより低い規定度であることが好ましい。工程b)における特に好ましい苛性組成物の濃度範囲は、約0.5から約1.2N、そして、より好ましくは約0.8から約1.2Nである。工程b)において苛性組成物の濃度が約1.2Nを越えると、静置しておいた時に、得られる浴が過剰のマンガン酸塩イオンおよび二酸化マンガンを発生させ、効果的に再生できなくなる。一般に、c)工程で添加される残りの水酸化物イオン源の量は、全組成物中の苛性組成物の濃度を約1.5から約2.0Nの範囲内に調整するために十分な量である。組成物中の全苛性組成物の濃度は2Nを越えてもよく、そして、約4Nまで高くてもよい。約1.2Nまたはそれより低い濃度を有する苛性組成物を伴う浴が上記のように調製されると、マンガンイオンのレベルの上昇によって測定される、処理される表面積に対するその浴の負荷能力は、従来の浴のほぼ2倍となる。
【0028】本発明の組成物の調製においては、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源が、固体状または濃縮溶液として水に添加されてよい。同様に、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源は、固体状または濃縮溶液としての苛性組成物と組み合わされてもよい。いくつかのケースでは、取扱い易く、または、本発明の組成物の過熱問題を避けるのに役立つため、濃縮溶液が好ましい。
【0029】従って、本発明は、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約70g/Lの全マンガンイオン濃度を有し、さらに、組成物が、a)最初に水と、約1.2Nまたはそれより低い規定度の苛性組成物を供するために十分である量の1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源を組合せ、;b)1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源とその苛性組成物を組合せ、;そして、c)次に、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源の残りの量を添加することを含む工程によって調製される組成物を提供する。そのような組成物は、化学的または電気化学的方法などの種々の公知の手段によって再生することができる。これらの組成物のさらなる利点は、それらが如何なる時点において再生されてもよい点である。対照的に、従来のデスミアおよびエッチング浴は使用中でしか再生できない、つまり、しばらくの期間静置すると、これらの浴は簡単には再生できない。本発明の浴は、浴の使用中または静置中に再生してよい。もし、上記の方法でそのような組成物が調製されない場合は、その組成物は静置中に過剰のマンガン酸塩および二酸化マンガンを発生し、そして、効果的に再生できなくなる。
【0030】本発明の組成物は、所望ならば界面活性剤を含有してもよい。そのような界面活性剤は、樹脂基板の表面のぬれを助長するのに有用である。好適な界面活性剤には、弗素酸塩ぬれ剤が含まれる。そのような界面活性剤の選択、および、そのような界面活性剤の有用な量は当業者に公知である。
【0031】そのような所望の界面活性剤は、本発明の浴または組成物の調製過程のどの時点で添加してもよい。好ましくは、所望の界面活性剤は、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源の残りの全てが添加された後で、つまり、上記の工程c)に続いて浴に添加される。
【0032】本発明の組成物を含む浴を調製した場合、通常それらを加熱する。一般に、本発明の浴は約140°F(60℃)またはそれより高い温度、そして好ましくは150°F(65℃)またはそれより高い温度に加熱される。そのような浴の高い方の加熱温度は、通常200°F(93℃)である。特に有用な温度範囲は約160°Fから約180°Fである。加熱の過程で、蒸発を減らすために浴に蓋を被せたり、浴の水位を維持し、そして、浴成分の濃度範囲を維持するために水を定期的に添加してもよい。自動ラインにおいては、浴の水位を維持するために水位制御機を使用することができる。
【0033】本発明の組成物は、樹脂製基板から樹脂汚染物を除去するのに有用である。特に、本発明は、メッキのための、樹脂製基板中のホール内壁から樹脂を除去するための、また、多層配線基板用のホール洗浄プロセスのための、そして、多層配線基板用のエッチバックプロセスのための樹脂製基板を調製するのに有用である。この基板はプリント配線基板であることが好ましい。さらに、プリント配線基板は、エポキシ樹脂、ガラス/エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂を含む、1つまたはそれ以上の層を有することが好ましい。
【0034】樹脂汚染物を含む基板は、本発明の組成物を使用して従来のいずれの手段によって処理してもよい。例えば、プリント配線基板(「PWB」)の製造においては以下の工程が通常採用される:1.エッチングする前に、本発明の組成物を用いてPWBを予備洗浄する。そのような予備洗浄で油または汚れが除去され、樹脂および金属の双方の基板表面の均一なぬれが助長され、そして、所望ならば有機溶媒を使用して樹脂を少し軟化させることができる。この樹脂の軟化は、過マンガン酸塩の樹脂への浸透を助長する。
2.次いで、洗浄したPWBをリンスし、洗浄液を除去する。
3.次いで、リンスしたPWBを、望ましい樹脂除去を効果的にするのに十分な時間、本発明の組成物と接触させる。使用される実際の条件は、望みのエッチングタイプによって変わり、例えば、デスミアでは短時間しか必要でないが、エッチバックではより長い時間を要する。デスミアでの好適な時間は約1分から約10分であり、一方、エッチバックでの好適な時間は約10分から約60分である。
4.本発明の組成物を用いた処理に続いて、PWBを完全にリンスする。
5.次いで、リンスしたPWBを、希硫酸のような酸性中和溶液と接触させ、実質的に全ての過マンガン酸塩とマンガンを基板から除去する。
6.酸中和の後、PWBを再度リンスする。次いでこのPWBを次のメッキ工程に供する。
【0035】本発明のさらなる利点は、従来のデスミアおよびエッチング浴を用いて得られた基板と比較して、より高い剥離強度を有するプリント配線基板のような基板が得られることである。そのような高い剥離強度は、例えば最大約40g/Lまでのような、より低い全過マンガン酸塩イオン濃度を使用した場合に得られる。従って、本発明は、基板を、1つまたはそれ以上の過マンガン酸塩イオン源、1つまたはそれ以上の水酸化物イオン源および水を含む組成物と接触させる工程を含む、改良された剥離強度を有する基板の調製方法であって、水酸化物イオンが約25から約85g/Lの量で存在し、かつ、組成物が約15から約40g/Lの全マンガンイオン濃度を有する方法を提供する。改良された剥離強度を有することに加えて、そのような基板はまた効果的に汚染除去される。
【0036】本発明の組成物では、従来の過マンガン酸塩を使用するデスミアおよびエッチング浴と比較して、通常、水酸化物イオン濃度がより高く、そして、過マンガン酸塩イオン濃度がより低い。本発明のさらなる利点は、従来のデスミア浴を用いたプロセスと比較して、プロセス全体の収率が改良されることである。
【0037】本発明が、プリント配線基板プロセスについて記載しているが、本発明がいずれの樹脂基板にも適用され得ることを当業者は理解すべきであろう。
【0038】以下の実施例は、本発明の種々の態様をさらに例示する目的のものであり、これによって本発明の範囲は何ら制限されるべきでものはない。
【0039】
【実施例】実施例1200g(または40g/L)の水酸化ナトリウムおよびDI水を、水酸化ナトリウムの濃度が1.0Nとなるように組合せることによって浴を調製した。この浴に10重量%の過マンガン酸ナトリウムのDI水溶液200mLを添加し、続いて、苛性ソーダの濃度を2.0Nとするのに十分な残りの苛性ソーダ(200g)を添加した。この浴を180°Fに加熱した。全マンガン濃度に対する活性過マンガン酸塩イオン濃度の比は0.7であった。
【0040】非ガラス強化エポキシ樹脂層および基板中にホールを有するプリント配線基板をこの浴中に20分間浸漬した。次いで、基板を取出してDI水でリンスした。この表面の60度光沢値は5より低かった。全厚1.0milの銅被覆を施した後の剥離値は、6.2Lbs/in(10.85ニュ−トン/cm)であった。
【0041】実施例2試料AからLまでの一連の浴を、過マンガン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムの量、浴温度および試料の浴中滞留時間を変えたこと以外は実施例1に従って調製した。使用した過マンガン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの量、温度および滞留時間を下表に報告する。比較例C−1およびC−2の従来の浴は、Circuposit3308(マサチューセッツ州、マールボローのShipley社から市販されている)を用いて調製した。これらの試料を実施例1で述べたように浴中で処理し、そして、剥離強度を求めた。結果を表に報告する。
【0042】
【表1】

【0043】本発明の浴において、ある濃度の過マンガン酸塩および水酸化物イオンを使用して浴温度を上げると、剥離強度が増大する。上記データは、従来のデスミア浴と比較して、本発明の浴が剥離強度を増大させることを明らかに示している。
【0044】実施例3初期の活性過マンガン酸塩イオン濃度を25.1g/Lとし、そして、水酸化物イオン含有量を35.7g/Lとしたこと以外は実施例1に従って浴を調製した。同一水酸化物イオン濃度下で、活性過マンガン酸塩イオン濃度が3.7g/Lになるまでこの浴を連続使用したが、その時点でこの浴は完全に消耗していると考えられた。次いで、活性過マンガン酸塩イオン濃度が19.7g/Lになるのに十分な次亜塩素酸ナトリウムを添加することによって、この浴を再生した。再生後のこの浴に接触した基板は、消耗前の浴で処理された基板と同一の金属被覆後の剥離強度を示した。
【0045】これらのデータは、本発明の浴が、引続いて金属被覆される基板における剥離強度を低下させることなく、再生され得ることを明らかに示している。
【0046】比較例1異なる手順を用いて実施例1の浴を調製した。400gの水酸化ナトリウムおよびDI水を、苛性ソーダの濃度が2.0Nとなるように組合せることによって浴を調製した。この浴に10重量%の過マンガン酸ナトリウム溶液200mLを添加した。この浴を180°Fに加熱し、処理に使用した。
【0047】FR4基板上に非ガラス強化エポキシ樹脂表面を有する試料を使用した。この試料を浴中に20分間浸漬した。次いで、試料を取出してDI水でリンスした。続いて1.0miLの銅被覆を行ったこの試料の表面は、剥離強度6.0 Lbs/inを示した。翌日、この浴を使用した結果、エポキシ樹脂がFR4基板から完全剥離する結果となった。剥離強度値は測定できなかった。浴を調べた結果、過マンガン酸塩濃度が15g/Lであることが分かったが、エポキシ層の剥離から実証されるように性能は低下していた。二日後の浴の再評価では、過マンガン酸塩含有量が5g/Lになっていた。次亜塩素酸ナトリウムを添加して再生を試みたが、過マンガン酸塩値の増加に成功しなかった。
【0048】これらのデータは、浴が本発明に従って調製されない場合、効果的に再生され得ないことを明らかに示している。
【出願人】 【識別番号】596156668
【氏名又は名称】シップレーカンパニー エル エル シー
【氏名又は名称原語表記】Shipley Company,L.L.C.
【住所又は居所原語表記】455 Forest Street,Marlborough,MA 01752 U.S.A
【出願日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【代理人】 【識別番号】100102668
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 憲生
【公開番号】 特開2002−124753(P2002−124753A)
【公開日】 平成14年4月26日(2002.4.26)
【出願番号】 特願2001−190449(P2001−190449)