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【発明の名称】 電子回路基板の製造方法
【発明者】 【氏名】村田 眞司

【氏名】山村 憲

【氏名】徳田 満

【要約】 【課題】キャパシタ素子のブレイクダウン電圧の低下を防止し、高周波特性にも優れた電子回路基板を提供すること。

【解決手段】アルミナ基板1の表面にポジ型のフォトレジストをスピンコートし、これを露光/現像して絶縁層6を部分的に形成した後、この絶縁層6上に下部電極7と誘電体層8および上部電極9が順次積層されたキャパシタ素子2を薄膜形成し、アルミナ基板1の表面に抵抗素子3とインダクタ素子4および伝送線路5をそれぞれ薄膜形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミナ基板の表面に感光性高分子膜をコーティングした後、この感光性高分子膜を所望のパターン形状に露光/現像して絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上に下部電極と誘電体層および上部電極を順次積層してキャパシタ素子を薄膜状に形成する工程と、前記アルミナ基板の表面にインダクタ素子と伝送線路をそれぞれ薄膜状に形成する工程とを具備することを特徴とする電子回路基板の製造方法。
【請求項2】 請求項1の記載において、前記感光性高分子膜がポジ型のフォトレジストからなることを特徴とする電子回路基板の製造方法。
【請求項3】 請求項1または2の記載において、前記アルミナ基板の表面にTaSiOからなる抵抗層を薄膜状に形成する工程を具備することを特徴とする電子回路基板の製造方法。
【請求項4】 請求項3の記載において、前記抵抗層の表面に感光性高分子膜からなる絶縁保護層が形成されており、この絶縁保護層と前記絶縁層とを同一工程で形成することを特徴とする電子回路基板の製造方法。
【請求項5】 請求項1または2の記載において、前記絶縁層上にTaNからなる抵抗層を薄膜状に形成する工程を具備することを特徴とする電子回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミナ基板上にキャパシタ素子やインダクタ素子等の薄膜回路素子が形成された電子回路基板の製造方法に係り、特に、高周波デバイスとして用いて好適な電子回路基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、集積回路技術の発達に伴って電子回路がますます小型化されており、基板上に回路素子としてのキャパシタや抵抗やインダクタ等を薄膜形成した小型の電子回路基板が開発されている。
【0003】このような電子回路基板において、基板の材料としてはサファイア等の単結晶基板やアルミナ等の焼結体基板を使用可能であるが、その中でもアルミナは比較的安価で高周波特性に優れている材料であるため、高周波デバイスでは一般的にアルミナ基板が使用されている。アルミナ基板上には必要とされる各種回路素子が薄膜形成され、例えば、アルミナ基板上に下部電極と誘電体層および上部電極を順次積層することによりキャパシタ素子が構成される。また、抵抗素子はアルミナ基板上に所望形状の抵抗層を薄膜形成し、その両端に電極を薄膜形成することにより構成され、インダクタ素子はアルミナ基板上に所望形状の金属膜を薄膜形成し、その両端に電極を薄膜形成することにより構成される。さらに、アルミナ基板上には導電パターンとしての伝送線路が薄膜形成され、この伝送線路はキャパシタ素子と抵抗素子およびインダクタ素子の各電極と接続するようになっている。
【0004】このように概略構成された電子回路基板において、下部電極と誘電体層および上部電極の積層構造からなるキャパシタ素子の容量値は、誘電体層の誘電率と膜厚および両電極の対向面積によって決定される。ここで、誘電率を高くして膜厚を薄くするほど単位面積当りの容量値が高くなるため、キャパシタ素子の素子形状を小さくすることができ、デバイスの小型化を図ることができる。しかし、誘電率の高い材料を用いると誘電体層の誘電損失が大きくなる傾向にあるため、キャパシタのQ値が低下してしまうという問題が発生し、また、誘電体層の膜厚を薄くするとブレイクダウン電圧が下がり、下部電極と上部電極間が低い電圧で破壊してしまうという問題が発生する。このような理由から、一般的には誘電体層の誘電率は3〜200程度、誘電体層の膜厚は10nm〜1μm程度の範囲に設定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の電子回路基板に使用されるアルミナ基板は前述したような利点を有するが、その反面、サファイア等の単結晶基板に比べると表面の平滑状態が悪く、例えば純度99.5%のアルミナ基板の表面は、面粗度(Ra)が30〜100nm程度の凹凸面となっている。このため、表面の平滑状態が悪いアルミナ基板上にキャパシタ素子を薄膜形成した場合、下部電極上に形成される誘電体層の膜厚が部分的に薄くなり、ブレイクダウン電圧が著しく低下するという問題が発生する。
【0006】従来より、アルミナ基板の表面を平滑化するために、アルミナ基板の表面全体を鏡面研磨する方法や、アルミナ基板の表面全体に高分子膜やガラス膜等の絶縁膜をコーティングする方法が知られている。しかし、前者の研磨方法では、アルミナ基板中の結晶間に微小な窪みが残ってしまい、しかも、アルミナ基板は固いため研磨工程に多くの時間を要するという難点がある。一方、後者の絶縁膜をコーティングする方法では、高分子膜やガラス膜等の絶縁膜の誘電損失が大きいため、絶縁膜上に薄膜形成した各種回路素子や伝送線路のうち、容量性の素子であるキャパシタ素子については大きな問題とならないが、それ以外の抵抗素子やインダクタ素子あるいは伝送線路の下層において誘電損失が大きくなってしまい、それによって高周波デバイスの高周波特性が劣化する虞がある。
【0007】本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、キャパシタ素子のブレイクダウン電圧の低下を防止し、高周波特性にも優れた電子回路基板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明による電子回路基板の製造方法では、アルミナ基板の表面に感光性高分子膜をコーティングした後、この感光性高分子膜を所望のパターン形状に露光/現像して絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上に下部電極と誘電体層および上部電極を順次積層してキャパシタ素子を薄膜状に形成する工程と、前記アルミナ基板の表面にインダクタ素子と伝送線路をそれぞれ薄膜状に形成する工程とを具備している。
【0009】このように方法によって製造された電子回路基板では、アルミナ基板の表面の微小な凹凸が絶縁層によって平滑化されるため、絶縁層上に薄膜状に形成したキャパシタ素子のブレイクダウン電圧が低下することを防止でき、また、誘電損失の大きい絶縁膜がインダクタ素子や伝送線路に悪影響を与えないため、高周波特性の劣化を防止することができる。
【0010】上記の構成において、感光性高分子膜としてポジ型のフォトレジストを用いることが好ましく、この場合、アルミナ基板の表面にポジ型のフォトレジストをスピンコートした後、このフォトレジストをを露光/現像することにより、アルミナ基板上に所望形状の絶縁層を簡単にかつ高精度に形成することができる。
【0011】また、上記の構成において、回路素子がキャパシタ素子やインダクタ素子の他に抵抗素子を含む場合、特に、抵抗素子の抵抗層としてTaSiOのように比抵抗が大きめな材料を用いた場合は、このTaSiOをアルミナ基板の表面に薄膜状に形成することが高周波特性の劣化防止という観点からは好ましい。その際、抵抗層の表面を覆う絶縁保護層とキャパシタ素子の下層の絶縁層とを別工程で形成することも可能であるが、これら絶縁保護層と絶縁層とを共に感光性高分子膜を用いて同一工程で形成すると、製造工程を簡略化することができる。
【0012】また、上記の構成において、抵抗素子の抵抗層としてTaNのように比抵抗が小さめな材料を用いた場合は、TaNをキャパシタ素子と同様に絶縁層上に薄膜状に形成することが好ましく、このようにするとTaNの下層の絶縁層によって高周波特性は若干劣化するものの、アルミナ基板の表面の微小な凹凸が絶縁層によって平滑化されるため、絶縁層上に薄膜状に形成したTaNの抵抗値が著しく変動することを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施形態について図面を参照して説明すると、図1は第1の実施形態例に係る電子回路基板の要部平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3と図4はこの電子回路基板の製造工程を示す説明図である。
【0014】本実施形態例に係る電子回路基板は各種の高周波デバイスとして使用されるものであり、図1と図2に示すように、この電子回路基板は例えば純度99.5%のアルミナ基板1を備え、このアルミナ基板1上にはキャパシタ素子2と抵抗素子3およびインダクタ素子4等の回路素子とこれら回路素子間を導通する伝送線路5とが薄膜形成されている。なお、これらの回路素子2,3,4や伝送線路5は、必要とされる回路構成に応じてアルミナ基板1上の有効エリア内に多数形成されており、図1と図2はその一部を示すものである。
【0015】アルミナ基板1の表面の面粗度(Ra)は30〜100nm程度の凹凸面となっており、これはアルミナ基板1が多孔質焼結体基板で、その表面に微小な窪みが多数存在するためである。アルミナ基板1上の一部には絶縁層6が形成されており、この絶縁層6がアルミナ基板1の表面の微小な窪み内に充填されることにより、絶縁層6の表面の面粗度(Ra)は10nm以下まで平坦化されている。絶縁層6はポジ型のフォトレジストのような感光性高分子膜からなり、マスクを用いて所望のパターン形状に露光/現像することによって形成される。
【0016】キャパシタ素子2は絶縁層6上に順次積層された下部電極7と誘電体層8および上部電極9とで構成されており、絶縁層6の輪郭の内側で下部電極7と上部電極9とを重ね合わせてキャパシタの有効エリアとしている。ここで、絶縁層6の輪郭がキャパシタの有効エリアに対して大き過ぎた場合、アルミナ基板1上の限られたスペース内に占める絶縁層6の面積比率が高くなるため、アルミナ基板1上に形成できる回路素子の有効エリアが小さくなって面積効率を低下させることになる。これとは逆に、絶縁層6の輪郭をキャパシタの有効エリアのギリギリまで小さくした場合、後述する各工程で用いられるマスク精度のバラツキ等に起因して、絶縁層6の輪郭内にキャパシタの有効エリアを形成できなくなることが懸念される。したがって、本実施形態例ではこれらの点を考慮して、キャパシタの有効エリアの設計値に対して絶縁層6の輪郭が10〜100μm程度大きくなるように設定している。
【0017】キャパシタ素子2の構成要素のうち、下部電極7は第1下部電極層7aと第2下部電極層7bとの2層構造であり、高Q値化を図るために全体の膜厚は0.5〜5μmの範囲に設定されている。第1下部電極層7aは絶縁層6上にスパッタ法により薄膜形成されたTi/Cu等の金属膜からなり、第2下部電極層7bは第1下部電極層7a上にメッキ法により薄膜形成されたCu/Ni等の金属膜からなる。誘電体層8は下部電極7の第1下部電極層7a上にスパッタ法やCVD法により薄膜形成されたSiO等の誘電体膜からなり、この誘電体層8は下部電極7(第1下部電極層7aと第2下部電極層7b)の段差部分をカバーしている。上部電極9も第1上部電極層9aと第2上部電極層9bとの2層構造であり、高Q値化を図るために全体の膜厚は0.5〜5μmの範囲に設定されている。第1上部電極層9aは誘電体層8上にスパッタ法により薄膜形成されたTi/Cu等の金属膜からなり、第2上部電極層9bは第1上部電極層9a上にメッキ法により薄膜形成されたCu/Ni等の金属膜からなる。
【0018】抵抗素子3はアルミナ基板1上に順次積層された抵抗層10と絶縁保護層11とで構成されており、抵抗層10の両端は伝送線路5に接続されている。抵抗層10は例えばTaSiOのように比抵抗が大きめな抵抗材料からなり、アルミナ基板1の表面にスパッタ法により薄膜形成されている。絶縁保護層11はポジ型のフォトレジストのような感光性高分子膜からなり、抵抗層10の表面を覆うように形成されている。後述するように、キャパシタ素子2の下層の絶縁層6とこの絶縁保護層11とは同じ工程で形成される。
【0019】インダクタ素子4はアルミナ基板1上に薄膜形成された導体膜12とその両端を接続するボンディングワイヤ13とで構成されており、導体膜12の両端は伝送線路5に接続されている。導体膜12は角形渦巻き状に形成されており、第1導体層12aと第2導体層12bとの2層構造になっている。また、伝送線路5も第1導体層5aと第2導体層5bとの2層構造であり、これら導体膜12と伝送線路5は、前述したキャパシタ素子2の下部電極7および上部電極9と同一材料からなる。すなわち、第1導体層5a,12aはアルミナ基板1上にスパッタ法により薄膜形成されたTi/Cu等の金属膜からなり、第2導体層5b,12bは第1導体層5a,12a上にそれぞれメッキ法により薄膜形成されたCu/Ni等の金属膜からなる。
【0020】次に、上記の如く構成された電子回路基板の製造工程について、主としてキャパシタ素子2と抵抗素子3の工程を図3と図4を用いて説明する。
【0021】まず、アルミナ基板1の表面にスパッタ法によりTaSiOを成膜し、これをフォトレジストをパターニングした後にRIE法でエッチングすることにより、図3(a)に示すように、アルミナ基板1上に矩形状の抵抗層10を形成する。この場合、TaSiOは比抵抗が大きめな抵抗材料で、抵抗層10の膜厚を十分に厚くしても所望の抵抗値が得られるため、アルミナ基板1上に抵抗層10を直接形成したとしても、アルミナ基板1の表面の微小な凹凸によって抵抗値が著しく変動することはない。
【0022】次いで、抵抗層10の上からアルミナ基板1の全面にポジ型のフォトレジスト(クラリアント社製:AZ−P4620)をスピンコートし、これをマスクを用いて露光/現像して所望形状にパターニングした後、さらにキュアー処理(240°C−60分)することにより、図3(b)に示すように、アルミナ基板1上の所定部位に絶縁層6を形成すると共に抵抗層10上に絶縁保護層11を形成する。
【0023】次いで、図3(c)に示すように、絶縁層6と絶縁保護層11の上からアルミナ基板1の全面にスパッタ法によりTi(0.1μm)とCu(0.1μm)を順次成膜してTi/Cu層を形成した後、このTi/Cu層上にポジ型のフォトレジスト(クラリアント社製:AZ−P4620)をスピンコートし、このフォトレジストをマスクを用いて露光/現像することにより、図3(d)に示すように所望形状のレジストパターンを形成する。さらに、図3(e)に示すように、Ti/Cu層上に電解メッキ法によりCu(3μm)とNi(0.3μm)を順次成膜してCu/Ni層を形成した後、図3(f)に示すようにレジストパターンを剥離し、しかる後、ドライエッチング(ミリング法)によりTi/Cu層をエッチングする。これにより、図3(g)示すように、アルミナ基板1上に第1下部電極層7aと第2下部電極層7bからなる下部電極7が形成されると共に、この下部電極7の引き回しパターンである伝送線路5(第1導体層5aと第2導体層5b)も同時に形成される。
【0024】次に、下部電極7と絶縁保護層11の上からスパッタ法によりSiO(0.3μm)を成膜し、このSiO層をポジ型のフォトレジスト(東京応化社製:OFPR−7450)をパターニングした後にRIE法でエッチングすることにより、図4(a)に示すように、下部電極7の表面と側面からアルミナ基板1にわたって連続する誘電体層8を形成する。
【0025】次に、図4(b)に示すように、誘電体層8と絶縁保護層11の上からスパッタ法によりTi(0.1μm)とCu(0.1μm)を順次成膜してTi/Cu層を形成した後、このTi/Cu層上にポジ型のフォトレジスト(クラリアント社製:AZ−P4620)をスピンコートし、このフォトレジストを露光/現像することにより、図4(c)に示すように所望形状のレジストパターンを形成する。さらに、図4(d)に示すように、Ti/Cu層上に電解メッキ法によりCu(3μm)とNi(0.3μm)を順次成膜してCu/Ni層を形成した後、図4(e)に示すようにレジストパターンを剥離する。最後、ドライエッチング(ミリング法)によりTi/Cu層をエッチングすることにより、図4(f)示すように、第1上部電極層9aと第2上部電極層9bからなる上部電極9が形成されると共に、この上部電極9と抵抗層10の引き回しパターンである伝送線路5(第1導体層5aと第2導体層5b)も同時に形成される。
【0026】なお、以上の説明ではインダクタ素子3の製造工程について省略してあるが、このインダクタ素子3の導体膜12は上部電極9や伝送線路5と同一の工程で形成することができる。すなわち、図4(b)〜図4(f)に示した各工程において、Ti/Cu層とCu/Ni層をレジストパターン等を用いて所望形状にパターニングすれば、第1導体層12aと第2導体層12bからなるインダクタ素子3の導体膜12をアルミナ基板1上に形成することができる。したがって、アルミナ基板1上にこれらの各種回路素子2〜4や伝送線路5を薄膜形成した後、インダクタ素子3の導体膜12にボンディングワイヤ13を接続することにより、図1と図2に示すような電子回路基板を得ることができる。
【0027】このように第1の実施形態例に係る電子回路基板によれば、アルミナ基板1上の一部に形成した絶縁層6によってアルミナ基板1の表面の微小な凹凸を平滑化し、この絶縁層6上に下部電極7と誘電体層8および上部電極9が順次積層されたキャパシタ素子2を薄膜形成したため、下部電極7上に誘電体層8を均一な膜厚で形成することができ、キャパシタ素子2のブレイクダウン電圧の低下を防止することができる。一方、抵抗素子3の抵抗層10とインダクタ素子4の導体膜12および伝送線路5については、絶縁層6の形成されていないアルミナ基板1の表面に薄膜形成したため、誘電損失の大きい絶縁膜6はこれら抵抗素子3とインダクタ素子4および伝送線路5に悪影響を与えず、高周波特性の劣化を防止することができる。また、キャパシタ素子2の下層の絶縁層6と抵抗層10の表面を覆う絶縁保護層11とが同じ材料を用いて同一工程で形成されているため、その分、製造工程を簡略化することができる。
【0028】図5は第2の実施形態例に係る電子回路基板の要部平面図、図6は図5のB−B線に沿う断面図であり、図1と図2に対応する部分には同一符号を付してある。
【0029】本実施形態例が前述した第1の実施形態例と相違する点は、抵抗素子3の抵抗層10としてTaNのように比抵抗が小さめな材料を用い、この抵抗層10の下層にも絶縁層6を形成したことにあり、それ以外の構成は基本的に同じである。すなわち、キャパシタ素子2の下部電極7と抵抗素子3の抵抗層10とはそれぞれアルミナ基板1の表面に部分的に形成された絶縁層6上に薄膜形成されており、それ以外のインダクタ素子4と伝送線路5はアルミナ基板1上に薄膜形成されている。抵抗素子3の抵抗層10はTaNのように比抵抗が小さめな抵抗材料からなり、アルミナ基板1の表面に絶縁層6を部分的に形成した後、絶縁層6の上からスパッタ法によりTaNを成膜し、これをフォトレジストをパターニングした後にRIE法でエッチングすることにより形成される。この場合、TaNはTaSiOよりも比抵抗が著しく小さく、所望の抵抗値を得るために抵抗層10の膜厚を非常に薄くしてあるが、抵抗層10の下層に形成した絶縁層6によってアルミナ基板1の表面の微小な凹凸が平坦化されているため、抵抗値が著しく変動することはない。なお、絶縁層6上に抵抗層10を薄膜形成する関係上、抵抗層10の表面を覆う絶縁保護層11は絶縁層6と別工程で形成する必要がある。
【0030】このように構成された電子回路基板にあっては、アルミナ基板1の表面に部分的に形成した絶縁層6上にキャパシタ素子2と抵抗素子3を薄膜形成したため、キャパシタ素子2のブレイクダウン電圧が低下することを防止でき、しかも、抵抗素子3の抵抗層10としてTaNのように比抵抗が小さい抵抗材料を用いたにも拘らず、抵抗値のバラツキを防止することができる。また、抵抗素子3の下層の絶縁層6によって高周波特性は若干劣化するものの、それ以外のインダクタ素子4と伝送線路5をアルミナ基板1上に薄膜形成したため、誘電損失の大きい絶縁膜6がインダクタ素子4や伝送線路5に悪影響を与えず、高周波特性の著しい劣化を防止することができる。
【0031】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0032】アルミナ基板の表面に感光性高分子膜をコーティングした後、この感光性高分子膜を所望のパターン形状に露光/現像して絶縁層を形成し、この絶縁層上に下部電極と誘電体層および上部電極を順次積層してキャパシタ素子を薄膜状に形成すると共に、アルミナ基板の表面に少なくともインダクタ素子と伝送線路をそれぞれ薄膜状に形成して電子回路基板を製造すると、アルミナ基板の表面の微小な凹凸が絶縁層によって平滑化されるため、絶縁層上に薄膜状に形成したキャパシタ素子のブレイクダウン電圧が低下することを防止でき、また、誘電損失の大きい絶縁膜がインダクタ素子や伝送線路に悪影響を与えないため、高周波特性の劣化を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
【出願日】 平成12年7月17日(2000.7.17)
【代理人】 【識別番号】100078134
【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎 (外3名)
【公開番号】 特開2002−33560(P2002−33560A)
【公開日】 平成14年1月31日(2002.1.31)
【出願番号】 特願2000−216235(P2000−216235)