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【発明の名称】 キャビネット
【発明者】 【氏名】前山 佳史

【要約】 【課題】筺体の前方側壁と後方側壁との間に補強板を介在させ、この補強板によってビス締め時の後方側壁の前方への撓みを抑制させることも可能であったが、補強板の配置によってコスト高となる点が課題であった。

【解決手段】後方からビス穴12a,22にビス30を挿入してビス締めを行う際、下ケース20と一体的に形成された突起23,23を、上蓋10と一体的に形成された貫通穴13,13に挿入することにより、下ケース20の後方側壁20aの上端を上蓋10に対して位置決めさせるため、コストの低減を図りつつ、後方側壁20aの撓みを抑制してビス締めを確実に行うことが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上方に開口を有する略矩形形状の樹脂製筺体と、この開口に取り付けられる略矩形形状の蓋体とを備えるキャビネットであって、上記樹脂製筺体は、後方側壁にビスを前後方向へ挿通可能なビス穴を備え、上記蓋体は、後端を略鉛直下方へ屈曲させて上記ビス穴に連通可能なビス穴を形成したビス止め部を備え、上記樹脂製筺体と蓋体との間には、前方部位を互いに組み付ける組付構造と、上記後方側壁の上端を上記蓋体の所定位置に支持する支持構造とが形成されることを特徴とするキャビネット。
【請求項2】 上記請求項1に記載のキャビネットにおいて、上記支持構造は、上記蓋体の後方側にて略鉛直方向に貫通する貫通穴と、上記後方側壁の上端から略鉛直上方へ突設され、同貫通穴へ挿入して同貫通穴により支持させることの可能な突起とを備えることを特徴とするキャビネット。
【請求項3】 上記請求項1に記載のキャビネットにおいて、上記支持構造は、上記蓋体の下面から略鉛直方向へ突出し、上記ビス止め部との間に上記後方側壁の上端を挟み込むことの可能な凸構造を備えることを特徴とするキャビネット。
【請求項4】 上記請求項1に記載のキャビネットにおいて、上記支持構造は、上記後方側壁より後方へ迫り出してから略鉛直上方へ屈曲し、略鉛直部位と上記後方側壁の上端との間に上記ビス止め部の下端を挟み込むことの可能な断面略L字形状の鈎部を備えることを特徴とするキャビネット。
【請求項5】 上記請求項4に記載のキャビネットにおいて、上記蓋体は、上記ビス止め部の下端から略鉛直上方へ形成され、上記鈎部の略水平部位を挟み込むことの可能な切り欠きを備えることを特徴とするキャビネット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャビネットに関し、特に、上方に開口を有する略矩形形状の樹脂製筺体と、この開口に取り付けられる略矩形形状の蓋体とを備えるキャビネットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のキャビネットとして、特公昭63−43916号公報に開示されたキャビネットが知られている。このキャビネットでは、上方に開口を有する略矩形形状の筺体に各種電子機器を収納して同開口に略矩形形状の蓋体を取り付ける際、蓋体前端を筺体の前方側壁に組み付けつつ、蓋体後方の各角部に前後方向へビスを挿通可能に設けられた一対のビス穴と、筺体の後方側壁に前後方向へビスを挿通可能に設けられた一対のビス穴とを連通させ、各ビス穴に後方からビスをそれぞれ挿入してビス締めを行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のキャビネットにおいては、蓋体後方の角部をビス止めする必要があるため、少なくとも二本のビスが必要となり、部品点数および作業工程数の増加が課題であった。そこで、各角部の間の中央付近にのみビス穴を設けるとともに、筺体の側には同ビス穴との対向位置にビス穴を設け、一本のビスだけで蓋体を筺体に取り付ける手法が従来より広く用いられていた。
【0004】しかし、筺体が樹脂製である場合などには、開口周縁を構成する後方側壁の上端が前後方向へ撓みやすいため、後方からビス締めを行う際、ビスの先端によって後方側壁の上端を前方へ撓ませてしまい、ビス締めを確実に行うことが困難であった。このため、従来、このビス締めを確実に行うため、筺体の前方側壁と後方側壁との間に補強板を介在させ、この補強板によって後方側壁の前方への撓みを抑制させていたが、補強板の配置によってコスト高となる点が課題となっていた。本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、コストの低減を図りつつ、蓋体を樹脂製筺体にビス止めする際、この樹脂製筺体における後方側壁の撓みを抑制することの可能なキャビネットの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、上方に開口を有する略矩形形状の樹脂製筺体と、この開口に取り付けられる略矩形形状の蓋体とを備えるキャビネットであって、上記樹脂製筺体は、後方側壁にビスを前後方向へ挿通可能なビス穴を備え、上記蓋体は、後端を略鉛直下方へ屈曲させて上記ビス穴に連通可能なビス穴を形成したビス止め部を備え、上記樹脂製筺体と蓋体との間には、前方部位を互いに組み付ける組付構造と、上記後方側壁の上端を上記蓋体の所定位置に支持する支持構造とが形成される構成としてある。上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、略矩形形状の樹脂製筺体に備えられた開口に略矩形形状の蓋体を取り付ける際、同樹脂製筺体の前方部位と同蓋体の前方部位とを組付構造によって互いに組み付けつつ、同樹脂製筺体の後方側壁に設けられたビスを前後方向へ挿通可能なビス穴と、同蓋体の後端を略鉛直下方へ屈曲させて形成されたビス止め部に設けられるビス穴とを連通させ、後方から同ビス穴へビスを挿入してビス締めを行う。
【0006】このとき、上記筺体の後方側壁の上端は、上記開口の周縁を構成しているため、上記ビスが後方から押し当てられると、前方へ撓みやすい。このため、上記後方側壁の上端における前方への撓みを許容すると、上記ビス締めを確実に行うことが困難となる。そこで、支持構造は、上記後方側壁の上端を上記蓋体の所定位置に支持することで、ビス締め時の前方への撓みを抑制させる。なお、上記支持構造は、上記樹脂製筺体および蓋体の形状を工夫するなどして両者の間に形成されるものであれば良いため、他の部材を別途用意する必要がなく、また、樹脂製品であれば成形時に使用する型に所定の形状を付加させておけば足りることから、コストの低減を図ることが可能となる点で有用となる。また、上記組付構造は、上記樹脂製筺体の前方部位と蓋体の前方部位とを互いに組み付けるものであれば良いことから、例えば、突起と溝との組み合わせて組み付けるものであっても良いし、ビス止めによって組み付けるものであっても良く、組付形態を限定するものではない。
【0007】ここにいう支持構造は、上記樹脂製筺体と蓋体との間に形成され、上記後方側壁の上端を同蓋体の所定位置に支持するものであれば良く、構成の一例として、請求項2にかかる発明は、上記請求項1に記載のキャビネットにおいて、上記支持構造は、上記蓋体の後方側にて略鉛直方向に貫通する貫通穴と、上記後方側壁の上端から略鉛直上方へ突設され、同貫通穴へ挿入して同貫通穴により支持させることの可能な突起とを備える構成としてある。上記のように構成した請求項2にかかる発明においては、上記後方側壁の上端から略鉛直上方へ突設される突起を、上記蓋体の後方側にて略鉛直方向に貫通する貫通穴に挿入する。すると、上記突起が上記貫通穴により支持されるため、上記後方側壁の上端における撓みが抑制される。
【0008】また、上記支持構造の別の構成例として、請求項3にかかる発明は、上記請求項1に記載のキャビネットにおいて、上記支持構造は、上記蓋体の下面から略鉛直方向へ突出し、上記ビス止め部との間に上記後方側壁の上端を挟み込むことの可能な凸構造を備える構成としてある。上記のように構成した請求項3にかかる発明において、上記蓋体の下面から略鉛直方向へ突出する凸構造は、上記ビス止め部との間に上記後方側壁の上端を挟み込む。すると、上記後方側壁の上端は、上記凸構造とビス止め部との間に支持されるため、ビス締め時における前方への撓みが抑制される。
【0009】さらに、上記支持構造の別の構成例として、請求項4にかかる発明は、上記請求項1に記載のキャビネットにおいて、上記支持構造は、上記後方側壁より後方へ迫り出してから略鉛直上方へ屈曲し、略鉛直部位と上記後方側壁の上端との間に上記ビス止め部の下端を挟み込むことの可能な断面略L字形状の鈎部を備える構成としてある。上記のように構成した請求項4にかかる発明において、上記後方側壁より後方へ迫り出してから略鉛直上方へ屈曲する断面略L字形状の鈎部は、略鉛直部位と上記後方側壁の上端との間に上記ビス止め部の下端を挟み込む。すると、上記後方側壁の上端は、前方への撓もうとする場合であっても、上記鈎部の略鉛直部位が上記ビス止め部の下端によって支持される。このため、ビス締め時における前方への撓みが抑制させる。
【0010】上記請求項4の場合における具体的な構成の一例として、請求項5にかかる発明は、上記請求項4に記載のキャビネットにおいて、上記蓋体は、上記ビス止め部の下端から略鉛直上方へ形成され、上記鈎部の略水平部位を挟み込むことの可能な切り欠きを備える構成としてある。上記のように構成した請求項5にかかる発明においては、上記ビス止め部の下端から略鉛直上方へ形成された切り欠きが上記鈎部の略水平部位を挟み込むため、上記鈎部の略鉛直部位は、上記ビス止め部における屈曲部位に近い部分で支持される。この屈曲部位に近い部分には、上記ビス止め部の下端側よりも剛性があることから、上記鈎部の略鉛直部位がより確実に支持される点で有用となる。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、コストの低減を図りつつ、蓋体を樹脂製筺体にビス止めする際、この樹脂製筺体における後方側壁の撓みを抑制することの可能なキャビネットを提供することができる。また、請求項2にかかる発明によれば、貫通穴と突起だけを形成すれば良いため、上記支持構造を簡素化することができる。さらに、請求項3にかかる発明によれば、蓋体の側だけに付加構成を設ければ足りるため、上記支持構造を簡素化することができる。さらに、請求項4にかかる発明によれば、筺体の後方側壁に設けられたビス穴を蓋体のビス止め部に設けられたビス穴の側に支持させることができるため、後方側壁の撓みをより確実に抑制することができる。さらに、請求項5にかかる発明によれば、ビス止め部における剛性のある部位を利用することにより、鈎部の略鉛直部位をより確実に支持させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるビデオ装置の背面側外観を斜視図により示し、図2は、上蓋を下ケースに取り付ける際の状況を斜視図により示している。なお、各図において、紙面の奥側を前方、紙面の手前側を後方、紙面の左右を左方および右方と呼ぶこととする。ビデオ装置のキャビネットは、略矩形板状の樹脂製上蓋10と上方に開口を有する略矩形筺状の樹脂製下ケース20とにより構成されており、樹脂製上蓋10は、制御基板、ローディング機構および各種ヘッド類などの機器が収納された樹脂製下ケース20の開口に組み付けられる。この意味で、樹脂製上蓋10と樹脂製下ケース20とは、それぞれ本発明にいう蓋体と樹脂製筺体とを構成する。以下、樹脂製上蓋10および樹脂製下ケース20は、単に上蓋10および下ケース20と呼ぶこととする。上蓋10の前端には、前方に向けて左右幅方向へ対称に一対の突起11,11が形成されており、一方、下ケース20に設けられた前面パネルの後面上方には、後方から突起を挿入可能な一対の溝21,21が突起11,11との対向位置に設けられている。
【0013】かかる構成により、上蓋10を下ケース20に組み付ける際には、各突起11,11が後方から各溝21,21にそれぞれ挿入され、上蓋10の前方部位が下ケース20に支持される。この意味で、突起11,11と溝21,21とは、本発明にいう組付構造を構成する。また、上蓋10には、後端を略鉛直下方へ屈曲させて形成されたビス止め部12が設けられている。このビス止め部12における左右幅方向の中央位置には、前後方向へビス30を挿通可能なビス穴12aが形成されている。さらに、天井部位の後端側には、左右幅方向の対称位置に一対の貫通穴13,13が鉛直方向へ設けられている。
【0014】一方、下ケース20の後方側壁20aには、ビス穴12aとの対向位置にビス穴22が設けられ、また、後方側壁20aの上端には、貫通穴13,13との対向位置に鉛直上方へ突起23,23が形成されている。かかる構成により、突起11,11が溝21,21に挿入されたとき、図3に示すように、各突起23,23が各貫通穴13,13にそれぞれ挿入される。このとき、各ビス穴12a,22が連通するため、作業者は、図4に示すように、後方からビス穴12a,22にビス30を挿入してビス締めを行い、上蓋10の後方を下ケース20に対して固定する。
【0015】このとき、上蓋10の前方は、溝21,21に挿入された突起11,11により上下方向および左右方向への移動が制限されるとともに、後方側にてビス止めされることにより、前後方向への移動が制限される。ここで、突起23,23を貫通穴13,13に挿入することにより、下ケース20の後方側壁20aの上端を上蓋10に対して位置決めしている。かかる構成により、ビス締めを行う際、図4に示すように、ビス締めによって加わる後方側からの押圧力を、貫通穴13,13に挿入された突起23,23による後方側への反発力により打ち消させることができる。
【0016】下ケース20は、樹脂製品であり、かつ、後方側壁20aが左右側壁と底面とだけで支持されているため、後方側壁20aの上端が前後方向へ撓みやすくなっている。このため、貫通穴13,13および突起23,23が設けられていないと、後方からビス穴22にビス30が突き当てられた際、図5に示すように、ビス30の先端が後方側壁20aを前方へ押し込んでしまうおそれがある。従って、上蓋10に設けられた貫通穴13,13と、下ケース20に形成された突起23,23とは、上述した後方側壁20aの撓みを抑制し、ビス締めを確実に行うことができる点で有用となる。この意味で、貫通穴13,13と突起23,23とは、本発明にいう支持構造を構成する。
【0017】本実施形態では、上蓋10に設けられた貫通穴13,13と、下ケース20に設けられた突起23,23とにより、下ケース20における後方側壁20aの撓みを防いでいるが、かかる構成は一例にすぎないため、図6に示すような凸構造40を上蓋10の下面に形成することで、後方側壁20aの撓みを防ぐことも可能である。すなわち、本実施形態の貫通穴13と同じような上蓋10の天井部位における後方位置に、略平行な一対の切り込みを左右幅方向へそれぞれ形成しつつ、この切り込みの間を略鉛直下方へ押し出し、上蓋10の下面を略鉛直下方へ突出する凸構造40を形成する。
【0018】そして、上蓋10を下ケース20に組み付ける際、図7に示すように、下ケース20の後方側壁20aの上端を凸構造40とビス止め部12との間に差し込む。すると、ビス締めを行う際、図8に示すように、ビス30の先端により、後方側壁20aの上端に後方からの押圧力が加わっても、凸構造40によって後方側壁20aの上端を後方へ押し戻す反発力が働くため、後方側壁20aの撓みが抑制され、確実なビス止めが可能となる。
【0019】さらに、下ケース20における後方側壁20aの撓みを防ぐための別の構成として、図9に示すような係合構造を上蓋10と下ケース20との間に設けることも可能である。すなわち、上蓋10には、ビス止め部12の下端から鉛直上方へ向けて略矩形の切り欠き50を形成する。一方、下ケース20には、切り欠き50との対向位置に後方側壁20aの上端から略鉛直下方へ切り欠き50より左右方向に狭い幅で略矩形の切り欠き60を設けるとともに、この切り欠き60の奥壁からビス止め部12の厚み分だけ後方へ迫り出してから略鉛直上方へ屈曲する断面略L字状の鈎部61を形成する。
【0020】そして、上蓋10を下ケース20に組み付ける際、図10に示すように、切り欠き50に鈎部61の略水平部位61aを差し込む。すると、ビス止め部12における切り欠き50の周辺部位が後方側壁20aの上端部位と鈎部61の略鉛直部位61bとの間に挟み込まれる。従って、ビス締めを行う際、図11に示すように、ビス30の先端により、後方側壁20aの上端に後方からの押圧力が加わっても、ビス止め部12の後面によって鈎部61の略鉛直部位61bを後方へ押し戻す反発力が働くため、後方側壁20aの撓みが抑制され、確実なビス止めが可能となる。このように、後方からビス穴12a,22にビス30を挿入してビス締めを行う際、下ケース20と一体的に形成された突起23,23を、上蓋10と一体的に形成された貫通穴13,13に挿入することにより、下ケース20の後方側壁20aの上端を上蓋10に対して位置決めさせるため、コストの低減を図りつつ、後方側壁20aの撓みを抑制してビス締めを確実に行うことが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
【出願日】 平成12年6月29日(2000.6.29)
【代理人】 【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
【公開番号】 特開2002−16376(P2002−16376A)
【公開日】 平成14年1月18日(2002.1.18)
【出願番号】 特願2000−195830(P2000−195830)