| 【発明の名称】 |
多層配線基板 |
| 【発明者】 |
【氏名】松永 隆弘
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| 【要約】 |
【課題】内部に容量素子を形成した有機材料からなる多層配線基板において、容量素子の容量値が変動してしまう。
【解決手段】無機絶縁粉末を有機材料により結合して成る複数の絶縁層1a〜1eを上下に積層するとともに、絶縁層1a〜1e間および/または露出する絶縁層1a〜1e表面に配線導体2を被着して成る多層配線基板10であって、絶縁層1a〜1eの少なくとも1層の無機絶縁粉末を比誘電率が20以上の誘電体粉末とし、かつこの絶縁層1cをその上下両面に被着されている配線導体2で対向挟持することによって容量素子Aを形成するとともに、その容量素子Aを形成した絶縁層1cの上部および下部に位置するそれぞれ少なくとも1層の絶縁層1b・1dの無機絶縁粉末を吸湿材とした。多層配線基板10に浸入した水分は、吸湿材を含んだ絶縁層1b・1dで有効に吸収され容量素子Aに浸入することはなく、耐湿性に優れた多層配線基板10とすることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 10〜70重量%の無機絶縁粉末を30〜90重量%の有機材料により結合して成る複数の絶縁層を上下に積層するとともに、前記絶縁層間および/または露出する絶縁層表面に配線導体を被着して成る多層配線基板であって、前記絶縁層の少なくとも1層の前記無機絶縁粉末を比誘電率が20以上の誘電体粉末とし、かつこの絶縁層をその上下両面に被着されている前記配線導体で対向挟持することによって容量素子を形成するとともに、該容量素子を形成した絶縁層の上部および下部に位置するそれぞれ少なくとも1層の絶縁層の前記無機絶縁粉末を吸湿材としたことを特徴とする多層配線基板。 【請求項2】 前記吸湿材が表面に多数の細孔を有し、該細孔の全容積が0.1〜3.0ml/gである多孔質無機絶縁粉末であることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、多層配線基板に関し、より詳細には混成集積回路装置や半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージ等に使用される電気特性の信頼性に優れた多層配線基板に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、半導体素子等の能動部品や容量素子・抵抗器等の受動部品を多数搭載し、所定の電子回路を構成するようになした混成集積回路装置は、通常、アルミナ等のセラミックス材料から成る絶縁基板の内部および表面にタングステン・モリブデン等の高融点金属粉末から成る複数の配線導体を形成した配線基板の表面に、半導体素子や容量素子・抵抗器等を搭載取着するとともにこれらの電極を各配線導体に接続することによって形成されている。 【0003】しかしながら、このような配線基板は、配線導体がタングステンやモリブデン等の高融点金属粉末から成る導電ペーストをスクリーン印刷等の厚膜手法を採用し所定パターンに印刷塗布することによって形成されていることから、配線導体の微細化が困難で配線導体を高密度に形成することができないという問題点を有していた。 【0004】また、従来の配線基板は、表面に半導体素子等の能動部品や容量素子・抵抗器等の受動部品が多数搭載され、部品の搭載数に応じて基板が大型化してしまうという問題点も有していた。 【0005】このような問題点を解決するために、特開平11-68319号公報には、複数の有機材料絶縁層と複数の薄膜配線導体とを交互に多層に積層するとともに高誘電率粉末を含有する絶縁層を用いて内部に容量素子を形成した多層配線基板が提案されている。 【0006】この多層配線基板によれば、配線導体を薄膜で形成したことから配線の微細化が可能となり、配線を極めて高密度に形成することができ、また、多層配線基板内部に容量素子を形成したことから多層配線基板に半導体素子や容量素子・抵抗器等の電子部品を搭載して混成集積回路装置を製作する場合に、多層配線基板に別途、容量素子を多数実装する必要はなく、その結果、多層配線基板に実装される部品の数が減り、混成集積回路装置を小型化することができるというものである。 【0007】しかしながら、このような有機材料絶縁層を用いた多層配線基板では、有機材料を用いているために空気中の水分が基板内部に浸入し易く、この水分が容量素子を形成する部位にまで到達し容量素子の容量値を変化させてしまい、その結果、多層配線基板の電気特性の信頼性を低下させてしまうという問題点を有していた。 【0008】このような問題点を解決するために、有機材料絶縁層を用いた多層配線基板において、有機材料としてナフタレン型やビフェニル型等の低吸水性のエポキシ樹脂を用いて有機材料絶縁層の吸水率を低くする方法が提案されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような低吸水性の有機材料を用いた多層配線基板においては、吸水率を低下させることにおいては効果があるものの、基板内部に形成した容量素子の容量値の安定化という観点からは十分な効果が得られず、依然として基板内部に浸入した水分により容量素子の容量値が変化してしまい、多層配線基板の電気特性の信頼性が低下してしまうという問題点を有していた。 【0010】本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みに案出されたものであり、その目的は、有機材料を用いた高密度・小型で耐湿特性に優れた電気特性の信頼性の高い多層配線基板を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明の多層配線基板は10〜70重量%の無機絶縁粉末を30〜90重量%の有機材料により結合して成る複数の絶縁層を上下に積層するとともに、絶縁層間および/または露出する絶縁層表面に配線導体を被着して成る多層配線基板であって、絶縁層の少なくとも1層の無機絶縁粉末を比誘電率が20以上の誘電体粉末とし、かつこの絶縁層をその上下両面に被着されている配線導体で対向挟持することによって容量素子を形成するとともに、その容量素子を形成した絶縁層の上部および下部に位置するそれぞれ少なくとも1層の絶縁層の無機絶縁粉末を吸湿材としたことを特徴とするものである。 【0012】また、本発明の多層配線基板は、吸湿材が表面に多数の細孔を有し、その細孔の全容積が0.1〜3.0ml/gである多孔質無機絶縁粉末であることを特徴とするものである。 【0013】本発明の多層配線基板によれば、絶縁層の少なくとも1層の無機絶縁粉末を比誘電率が20以上の誘電体粉末とし、かつこの絶縁層をその上下両面に被着されている配線導体で対向挟持することによって容量素子を形成したことから、多層配線基板に半導体素子や容量素子・抵抗器等の電子部品を搭載して混成集積回路装置を製作する場合に、多層配線基板に別途、容量素子を多数実装する必要はなく、その結果、多層配線基板に実装される部品の数が減り、混成集積回路装置を小型化することができる。 【0014】また、本発明の多層配線基板によれば、容量素子を形成した絶縁層の上部および下部に位置するそれぞれ少なくとも1層の絶縁層の無機絶縁粉末を吸湿材としたことから、多層配線基板に半導体素子や抵抗器等の電子部品を搭載するとともに基板内部の容量素子を用いて混成集積回路装置を製作した場合、空気中の水分が多層配線基板に浸入したとしても、浸入した水分は吸湿材を含んだ絶縁層で有効に吸収され容量素子に浸入することはなく、その結果、容量素子の容量値が変化することはなく、耐湿性に優れた混成集積回路装置とすることができる。 【0015】また、本発明の多層配線基板によれば、吸湿材を表面に多数の細孔を有し、その細孔の全容積が0.1〜3.0ml/gである多孔質無機絶縁粉末としたことから、多層配線基板に浸入した空気中の水分は多孔質無機絶縁粉末の細孔内に吸着・保持されることとなって基板内部に形成した容量素子へ到達することはなく、その結果、電気特性の信頼性に優れた多層配線基板とすることができる。 【0016】 【発明の実施の形態】次に本発明を添付の図面に基づいて詳細に説明する。 【0017】図1は、本発明の多層配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。この図において、1は絶縁基体、2は配線導体、3は貫通導体、4は半導体素子等の電子部品で、主に絶縁基体1・配線導体2で本発明の多層配線基板10が構成されている。 【0018】絶縁基体1は、本例では5層の無機絶縁粉末を有機材料により結合して成る絶縁層1a・1b・1c・1d・1eが積層されて構成されており、その表面には、半導体素子等の電子部品4が半田等の接合材5を介して接着固定される。 【0019】また、各絶縁層1a・1b・1c・1d・1e間および/または露出する絶縁層表面には配線導体2が被着され、本例ではこれらの配線導体2が各絶縁層1a・1b・1c・1d・1eを貫通する貫通導体3により電気的に接続されている例を示している。 【0020】さらに、本例では、絶縁基体1を構成する絶縁層1a・1b・1c・1d・1eのうち少なくとも1層(この図の例では絶縁層1c)の無機絶縁粉末は、比誘電率が20以上の誘電体粉末であり、さらに絶縁層1cをその上下面に被着されている配線導体2で対向挟持することにより容量素子Aを形成している。 【0021】さらにまた、本例では、容量素子Aを形成した絶縁層1cの上部および下部に位置するそれぞれ少なくとも1層(この図の例では絶縁層1b、1d)の絶縁層1b・1dの無機絶縁粉末を吸湿材としている。 【0022】絶縁基体1は、半導体素子等の電子部品4を支持する支持体としての機能を有し、この絶縁基体1を構成する絶縁層1a・1b・1c・1d・1eは、10〜70重量%の無機絶縁粉末を30〜90重量%の有機材料により結合することにより形成されている。 【0023】絶縁層1a・1b・1c・1d・1eを形成する有機材料としては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂・ポリイミド樹脂・熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂・ビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂や液晶ポリエステルやフッ素樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂・ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられ、とりわけ、絶縁層1a・1b・1c・1d・1eを形成する際の作業性・絶縁層1a・1b・1c・1d・1eの絶縁特性・耐熱特性・機械的特性等の観点からは、エポキシ樹脂・ポリイミド樹脂・熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられることが好ましい。 【0024】絶縁層1cは、それを構成する無機絶縁粉末が比誘電率が20以上の誘電体粉末であり、絶縁層1cをその上下両面に被着された配線導体2で対向挟持することにより容量素子Aを形成している。 【0025】本発明の多層配線基板10によれば、このような容量素子Aを形成したことから、多層配線基板10に半導体素子や容量素子・抵抗器等の電子部品4を搭載して混成集積回路装置を製作する場合に、多層配線基板10に別途、容量素子を多数実装する必要はなく、その結果、多層配線基板10に実装される部品の数が減り、混成集積回路装置を小型化することができる。また、容量素子Aを形成する配線導体2の一方の電極を半導体素子の電源電極に、他方の電極を半導体素子の接地電極に接続することにより高周波電源電流の拡散を防止するデカップリングの強化をすることができ、半導体素子の誤動作を有効に防止することもできる。 【0026】このような容量素子Aの容量値は、多層配線基板10に要求される機能により決定され、誘電体粉末の含有量や含有される誘電体粉末の比誘電率・絶縁層1cの厚み・容量素子Aを形成する配線導体2の面積等を適宜決めることにより決定される。 【0027】絶縁層1cを構成する無機絶縁粉末に用いる誘電体粉末としては、チタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウム・チタン酸カルシウム・チタン酸マグネシウム等の比誘電率が高い材料が好ましく、その比誘電率が20(室温1MHz)よりも小さいと、絶縁層1cの比誘電率が小さくなって容量素子Aの容量値が実用に供することができない小さな値となってしまう傾向がある。従って、絶縁層1cに含有される誘電体粉末は、その比誘電率を20(室温1MHz)以上とすることが好ましい。 【0028】また、絶縁層1cの誘電体粉末は、その含有量が絶縁層1cの全重量に対し10重量%未満となるとその比誘電率が小さくなり、実用に供することができる容量素子Aを形成するのが困難となる傾向があり、また、70重量%を超えると有機材料との混練性が悪くなり、絶縁層1cを形成することが困難となる傾向がある。従って、誘電体粉末の含有量は10〜70重量%の範囲とすることが好ましい。 【0029】なお、誘電体粉末は、その平均粒径が0.5〜50μmの範囲であることが好ましい。平均粒径が 0.5μm未満であるとその比表面積が大きくなって誘電体粉末を添加混合した混練物の粘度が高いものとなり、その結果、絶縁層1cを形成する際に絶縁層1cの厚みが不均一となり、所定の均一厚みとすることが困難となってしまう傾向がある。また、50μmを超えると誘電体粉末を含有する絶縁層1cの表面に誘電体粉末による凹凸が形成され、容量素子Aが形成される領域における比誘電率にバラツキを生じたり、後述する絶縁層1cに打抜き加工を施す際の加工精度が低下してしまう傾向がある。従って、誘電体粉末を含有する絶縁層1cに含有される誘電体粉末は、その平均粒径を0.5〜50μmの範囲とすることが好ましい。 【0030】また、本発明の多層配線基板10によれば、絶縁層1cの上部および下部に位置するそれぞれ少なくとも1層の絶縁層1bおよび1dの無機絶縁粉末が吸湿材となっている。 【0031】ここで吸湿材とは、温度が50℃の高温槽中に24時間放置した粉末を温度が25℃で相対湿度が90%の高温高湿槽中に24時間放置した後の重量が、放置する前の重量に対して2%以上増加する材料を指す。本発明の多層配線基板10によれば、容量素子Aを形成した絶縁層1cの上部および下部に位置するそれぞれ少なくとも1層の絶縁層1bおよび1dの無機絶縁粉末を吸湿材としたことから、多層配線基板10に半導体素子や抵抗器等の電子部品4を搭載するとともに基板内部の容量素子Aを用いて混成集積回路装置を製作した場合、空気中の水分が多層配線基板10に浸入したとしても、浸入した水分は吸湿材を含んだ絶縁層1bおよび1dで有効に吸収され容量素子Aに浸入することはなく、その結果、容量素子Aの容量値が変化することはなく、耐湿性に優れた混成集積回路装置とすることができる。 【0032】本発明の多層配線基板10に用いられる吸湿材としては、酸化ケイ素・ゼオライト・酸化アルミニウム等から成る無機絶縁粉末が用いられ、好適にはこれらの多孔質無機絶縁粉末が用いられる。また、多孔質無機絶縁粉末をその表面に多数の細孔を有するとともに細孔の全容積を0.1〜3.0ml/gのものとすることにより、多層配線基板10に浸入した空気中の水分を多孔質無機絶縁粉末の細孔内に効果的に吸着することができ、その結果、空気中の水分が多層配線基板10内部に形成した容量素子Aへ到達することはなく、電気特性の信頼性に優れた多層配線基板10とすることができる。 【0033】多孔質無機絶縁粉末の表面の細孔の全容積は、0.1ml/g未満であると水分の浸入を効果的に防止することが困難となる傾向があり、また、3.0ml/gを超えるとその比表面積が大きくなって多孔質無機絶縁粉末を添加混合した混練物の粘度が高いものとなり、絶縁層1bおよび1dを形成することが困難となる傾向がある。従って、絶縁層1bおよび1dに含有される多孔質無機絶縁粉末は、その表面の細孔の全容積を0.1〜3.0ml/gの範囲とすることが好ましい。 【0034】なお、このような多孔質無機絶縁粉末は、例えば酸化ケイ素から成る場合は、まずケイ酸アルカリ金属やアルミン酸アルカリ金属・シリカゾル等の出発原料を混合するとともにこれを約80〜120℃の温度で水熱反応を起こさせてアルミニウムとシリコンからなるゼオライトの結晶を析出させ、次に、ゼオライトとケイ酸アルカリ金属とを含有する水性スラリーを製作するとともにスラリーに酸を添加してゼオライトから成る芯体に非晶質シリカから成る多孔質の被膜層を被着させた被覆粒子を形成し、しかる後、被覆粒子にさらに酸を作用させ、被覆粒子のゼオライト中のアルカリ金属成分およびアルミニウム成分の一部を溶出させることによって形成される。また、このようにして形成した多孔質無機絶縁粉末にアルカリを作用させ、アルカリの濃度条件および処理時間を制御することによって所望とする細孔容積を得ることができる。 【0035】また、絶縁層1bおよび1dは、吸湿材の含有量を絶縁層1cに含有される誘電体粉末の含有量と略一致させることが好ましい。吸湿材の含有量と誘電体粉末の含有量とが大きく異なると絶縁層1bおよび1dと絶縁層1cの熱膨張係数が大きく異なってしまい、多層配線基板10に実装される半導体素子等の電子部品4が作動時に発性する熱が絶縁層1bおよび1dと絶縁層1cとに印加されると、両者間に両者の熱膨張係数の相違に起因する大きな応力が発生し、この応力によって両者間で剥離したり、絶縁層1bおよび1dや絶縁層1cに割れや欠けが発生してしまう傾向がある。従って、吸湿材を含有する絶縁層1bおよび1dに含有される吸湿材の量は、絶縁層1cに含有される誘電体粉末の含有量と略一致させることが好ましい。 【0036】なお、吸湿材は、その平均粒径が0.5〜50μmの範囲であることが好ましい。平均粒径が0.5μm未満であるとその比表面積が大きくなって吸湿材を添加混合した混練物の粘度が高いものと成り、その結果、絶縁層1bおよび1dを形成する際、絶縁層1bおよび1dの厚みが不均一となり、所定の均一厚みとすることが困難となってしまう傾向がある。また、50μmを超えると後述する絶縁層1bおよび1dに打抜き加工を施す際の加工精度が低下してしまう傾向がある。従って、吸湿材を含有する絶縁層1bおよび1dに含有される吸湿材は、その平均粒径を0.5〜50μmの範囲とすることが好ましい。 【0037】また、吸湿材として平均粒径が1〜10μm程度の球状のものを用いると、絶縁層1bおよび1dへの埋入が絶縁層1bおよび1dの全体にわたって均一かつ高密度となり、これによっても絶縁層1cに対する水分の浸入を有効に阻止することができる。 【0038】さらに、本発明の多層配線基板10では、絶縁層1bおよび1dの上部および下部に10〜70重量%の無機絶縁粉末と30〜90重量%の有機材料とから成る絶縁層1aおよび1eが形成されている。 【0039】絶縁層1aおよび1eに含有される無機絶縁粉末としては、その平均粒径が0.5〜50μm程度の酸化ケイ素や酸化アルミニウム・窒化珪素・窒化アルミニウム・炭化珪素・酸化チタン・酸化バリウム・酸化ストロンチウム・酸化ジルコニウム・酸化カルシウム・ゼオライト等の無機材料が用いられる。 【0040】絶縁層1aおよび1eに含有される無機絶縁粉末の含有量は、絶縁層1bおよび1dに含有される吸湿材の含有量と同じ理由で、絶縁層1cに含有される誘電体粉末や絶縁層1bおよび1dに含有される吸湿材の含有量と略一致させることが好ましい。 【0041】なお、絶縁層1aおよび1eに含有される無機絶縁粉末は、その平均粒径が0.5μm未満であると比表面積が大きくなって無機絶縁粉末を添加混合した混練物の粘度が高いものと成り、その結果、絶縁層1aおよび1eを形成する際、絶縁層1aおよび1eの厚みが不均一となり、所定の均一厚みとすることが困難となってしまう傾向がある。また、50μmを超えると後述する絶縁層1aおよび1eに打抜き加工を施す際の加工精度が低下してしまう傾向がある。従って、無機絶縁粉末を含有する絶縁層1aおよび1eに含有される無機絶縁粉末は、その平均粒径を0.5〜50μmの範囲とすることが好ましい。 【0042】このような絶縁層1a・1b・1c・1d・1eから成る絶縁基体1は、例えば有機樹脂がエポキシ樹脂である場合には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂・ノボラック型エポキシ樹脂・グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にアミン系硬化剤・イミダゾール系硬化剤・酸無水物系硬化剤等の硬化剤を添加混合したペースト状のエポキシ樹脂前駆体に平均粒径が0.5〜50μm程度の無機絶縁粉末(絶縁層1aおよび1eの場合は例えば酸化ケイ素粉末、絶縁層1cの場合は例えばチタン酸バリウム粉末、絶縁層1bおよび1dの場合は例えば多孔質シリカ粉末)と溶剤・可塑剤・分散剤等を添加し、次にこれを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってシート状となすことによって絶縁基体1における絶縁層1a・1b・1c・1d・1eとなる複数の前駆体シートを得るとともに、これらの前駆体シートの各々に必要に応じて適当な打抜き加工を従来周知のパンチング法を採用して施し、これらの打抜き加工が施された絶縁層1a・1b・1c・1d・1eを所定の順に積層圧着し、最後に、積層圧着させた絶縁層1a・1b・1c・1d・1eを約100〜300℃の温度および約0.4〜10MPaの圧力で30分〜24時間ホットプレスして、これを熱硬化させることによって製作される。 【0043】なお、絶縁基体1を構成する絶縁層1a・1b・1c・1d・1eでは、有機材料と無機絶縁粉末の親和性を高め、これらの接合性向上と絶縁基体1の機械的強度を高める目的で、絶縁層1a・1b・1c・1d・1eにシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等のカップリング剤を1種類以上添加してもよい。 【0044】また、絶縁層1a・1b・1c・1d・1eからなる絶縁基体1には、絶縁層1a・1b・1c・1d・1e間および/または露出する絶縁層1aおよび1e表面に配線導体2、および各配線導体2同士を電気的に接続する貫通導体3が形成されている。 【0045】配線導体2は、多層配線基板10に実装される半導体素子等の電子部品4を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続する機能を有するとともに、絶縁層1cをその上下両面に被着された配線導体2で対向挟持することにより容量素子Aを形成する機能を有する。 【0046】このような配線導体2は、絶縁基体1における絶縁層1a・1b・1c・1d・1eとなる複数の前駆体シートに、銅・銀・金等の低抵抗金属を従来周知のスクリーン印刷法により形成する方法や、パターン形成した銅・金等から成る金属箔を転写法等により被着形成する方法・無電解めっき法・蒸着法・スパッタリング法等の薄膜形成方法を採用することにより形成される。 【0047】なお、本発明の多層配線基板10では、配線導体2を薄膜で形成したことから配線の微細化が可能となり、配線を極めて高密度に形成することができ、小型の多層配線基板10とすることができる。 【0048】また、貫通導体3は、絶縁層1a・1b・1c・1d・1eとなる複数の前駆体シートにパンチング法等により打抜き加工を施した後、この貫通孔に銅・銀・金等から成る導電性ペーストをスクリーン印刷法等により埋め込むことにより形成される。 【0049】なお、配線導体2・貫通導体3は、その露出する表面にニッケル・金等の耐蝕性に優れ、かつ良導電性の金属をめっき法により1.0〜20μmの厚みに被着させておくと配線導体2・貫通導体3の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともに配線導体2・貫通導体3と半導体素子等の電子部品4や外部電気回路の配線導体(図示せず)とを強固に電気的に接続させることができる。従って、配線導体2・貫通導体3の露出する表面には、ニッケルや金等の耐蝕性に優れ、かつ良導電性の金属をめっき法により1.0〜20μmの厚みに被着させておくことが好ましい。 【0050】かくして本発明の多層配線基板10によれば、容量素子Aを形成した絶縁層1cの上部および下部に位置するそれぞれ少なくとも1層の絶縁層1bおよび1dの無機絶縁粉末を吸湿材としたことから、空気中の水分が多層配線基板10に浸入したとしても、浸入した水分は吸湿材を含んだ絶縁層1bおよび1dで有効に吸収され容量素子Aに浸入することはなく、その結果、容量素子Aの容量値が変化することはなく、耐湿性に優れた多層配線基板10とすることができる。 【0051】なお、本発明の多層配線基板10は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の実施例では5層の絶縁層を積層することによって絶縁基体1を製作したが、3層や4層、あるいは6層以上の絶縁層を積層して絶縁基体1を製作してもよい。また、上述の実施例では吸湿材を含有する絶縁層1bおよび1dを誘電体粉末を含有する絶縁層1cの隣接する上下に配置したが、吸湿材を含有する絶縁層1bおよび1dを絶縁層1cと隣接しない絶縁層1aおよび1eの位置に配置してもよい。さらに、誘電体粉末を含有する絶縁層1c以外の全ての絶縁層1a・1b・1d・1eに吸湿材を含有させてもよい。 【0052】また、絶縁層1a・1b・1c・1d・1eの強度を高めるために補強材として、絶縁層1a・1b・1c・1d・1eにガラス繊維を添加してもよい。さらに、熱安定性を改善するための酸化防止剤や耐光性を改善するための紫外線吸収剤等の光安定剤、難燃性を改善するためのハロゲン系もしくはリン酸系の難燃性剤、アンチモン系化合物やホウ酸亜鉛・メタホウ酸バリウム・酸化ジルコニウム等の難燃助剤、潤滑性を改善するための高級脂肪酸や高級脂肪酸エステル・高級脂肪酸金属塩・フルオロカーボン系界面活性剤等の外部滑剤効果を有するもの等を1種以上添加してもよい。 【0053】 【発明の効果】本発明の多層配線基板によれば、絶縁層の少なくとも1層の無機絶縁粉末を比誘電率が20以上の誘電体粉末とし、かつこの絶縁層をその上下両面に被着されている配線導体で対向挟持することによって容量素子を形成したことから、多層配線基板に半導体素子や容量素子・抵抗器等の電子部品を搭載して混成集積回路装置を製作する場合に、多層配線基板に別途、容量素子を多数実装する必要はなく、その結果、多層配線基板に実装される部品の数が減り、混成集積回路装置を小型化することができる。 【0054】また、本発明の多層配線基板によれば、容量素子を形成した絶縁層の上部および下部に位置するそれぞれ少なくとも1層の絶縁層の無機絶縁粉末を吸湿材としたことから、多層配線基板に半導体素子や抵抗器等の電子部品を搭載するとともに基板内部の容量素子を用いて混成集積回路装置を製作した場合、空気中の水分が多層配線基板に浸入したとしても、浸入した水分は吸湿材を含んだ絶縁層で有効に吸収され容量素子に浸入することはなく、その結果、容量素子の容量値が変化することはなく、耐湿性に優れた混成集積回路装置とすることができる。 【0055】また、本発明の多層配線基板によれば、吸湿材を表面に多数の細孔を有し、その細孔の全容積が0.1〜3.0ml/gである多孔質無機絶縁粉末としたことから、多層配線基板に浸入した空気中の水分は多孔質無機絶縁粉末の細孔内に吸着・保持されることとなって基板内部に形成した容量素子へ到達することはなく、その結果、電気特性の信頼性に優れた多層配線基板とすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006633 【氏名又は名称】京セラ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月29日(2000.6.29) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−16366(P2002−16366A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月18日(2002.1.18) |
| 【出願番号】 |
特願2000−197392(P2000−197392) |
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