| 【発明の名称】 |
回路基板 |
| 【発明者】 |
【氏名】鹿田 英典
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| 【要約】 |
【課題】積層貫通導体と導体パッド・回路導体層との接続部で剥離が発生してしまう。
【解決手段】有機樹脂系の複数の絶縁層1a〜1dと、絶縁層1a〜1dの表面および層間に配設された金属箔から成る回路導体層2と、上下に位置する回路導体層2間を複数の絶縁層1a〜1dを貫通して電気的に接続する積層貫通導体5とを具備して成り、積層貫通導体5は、絶縁層1a〜1dに形成された貫通孔4に導体が充填された主導体部6と、絶縁層1a〜1d間に配置した金属箔から成る導体パッド3と、導体パッド3または回路導体層2に接触する導体の一部が広がって形成された層間接続部7とから構成され、層間接続部7の面積S1と主導体部の断面積S2とが、1.05×S2≦S1≦1.65×S2の関係式を満たすことを特徴とする回路基板8である。回路導体層2・導体パッド3と主導体部6との電気的接続が良好で、接続信頼性に優れた回路基板8となる |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機樹脂系の複数の絶縁層と、該絶縁層の表面および層間に配設された金属箔から成る回路導体層と、上下に位置する回路導体層間を複数の前記絶縁層を貫通して電気的に接続する積層貫通導体とを具備して成る回路基板であって、前記積層貫通導体は、前記絶縁層に形成された貫通孔に導体が充填された主導体部と、前記絶縁層間に配置した金属箔から成る導体パッドと、該導体パッドまたは前記回路導体層に接触する前記導体の一部が広がって形成された層間接続部とから構成されるとともに、該層間接続部の面積S1と前記主導体部の断面積S2とが、1.05×S2 ≦ S1 ≦ 1.65×S2の関係式を満たすことを特徴とする回路基板。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、スーパーコンピュータやネットワークコンピュータ・携帯電話等の移動体通信に最適な高密度・高機能回路基板に関し、特に接続信頼性に優れた積層貫通導体を有した回路基板に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、回路基板、例えば半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージに使用される回路基板は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックスから成り、その上面中央部に半導体素子の搭載部を有する絶縁基体と、その絶縁基体の搭載部から下面にかけて導出されたタングステン・モリブデン等の高融点金属粉末から成る回路導体層とから構成されており、絶縁基体の搭載部に半導体素子をガラス・樹脂・ロウ材等の接着剤を介して接着固定するとともに半導体素子の各電極を、例えばボンディングワイヤ等の電気的接続手段を介して回路導体層に電気的に接続し、しかる後、絶縁基体の上面に、金属やセラミックス等から成る凹状の蓋体を絶縁基体の搭載部を塞ぐようにしてガラス・樹脂・ロウ材等の封止部材を介して接合させ、絶縁基体と蓋体とから成る容器内部に半導体素子を気密に収容することによって製品としての半導体装置となる。 【0003】なお、この従来の回路基板は一般に、セラミックグリーンシート(セラミック生シート)積層法によって製作されており、具体的には酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤等を添加混合して泥漿状となすとともに、これを従来周知のドクターブレード法を採用してシート状にすることによって複数枚のセラミックグリーンシートを得て、しかる後、それらセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに回路導体層となる金属ペーストを所定パターンに印刷塗布し、最後にそれらセラミックグリーンシートを所定の順に上下に積層して生セラミックス成形体となすとともにこれを還元雰囲気中にて約1600℃の高温で焼成することによって製作される。 【0004】しかしながら、この従来の回路基板は、絶縁基体を構成する酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックスが硬くて脆い性質を有するため、搬送工程や半導体装置製作の自動ライン等において回路基板同士が、あるいは回路基板と半導体装置製作自動ラインの一部とが激しく衝突すると絶縁基体に欠けや割れ・クラック等が発生し、その結果、半導体素子を気密に収容することができず、半導体素子を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができなくなるという問題点を有していた。 【0005】このような問題点を解決するために、最近ではガラス織布を含有したエポキシ樹脂やアラミド織布を含有したエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から成る絶縁基板の表面に回路導体層を形成した、いわゆるプリント基板が、回路基板や半導体素子を搭載したパッケージ等に適用されている。 【0006】このようなプリント基板は、その表面に回路導体層が、絶縁基板の表面に銅箔を接着した後これをエッチングして配線導体を形成するエッチング法や配線導体の形状に形成された銅箔を絶縁基板に転写する転写法、絶縁基板の表面にめっきによって配線導体を形成するめっき法等を採用することにより被着形成されている。 【0007】さらに、回路基板の高密度化に伴い、複数の絶縁層を積層した絶縁基板を用いて絶縁層間に回路導体層を形成し、これらの回路導体層間を絶縁層に形成した貫通導体によって電気的に接続することも行われている。このような貫通導体は、絶縁基板を構成する絶縁層の所定の箇所にドリルで貫通孔を形成した後、貫通孔の内壁にめっきを施すことにより形成されている。 【0008】しかしながら、近年、回路基板の高密度化の要求がさらに高まってきており、前記のような絶縁層にドリルで貫通孔を形成する方法では,多層構造における任意の層間に貫通孔を形成することが困難であり、回路導体層の密度を高めることに限界があるという課題を有していた。その上、貫通孔内壁にめっき処理を施すのに用いられる薬品が高価でありめっきの処理時間も長いなど、生産性と経済性に難があるという課題を有していた。 【0009】このような課題に対して、表裏両面に離型フィルムを貼り合わせた絶縁層に、レーザで離型フィルムごと貫通孔を形成するとともにこの貫通孔に低抵抗金属を含む導体ペーストを充填して貫通導体を形成し、次に、離型フィルムを剥離した絶縁層表面に、転写法により回路導体層を貫通導体と電気的に接続するように被着形成し、しかる後、複数層の絶縁層を積層して多層回路化する方法が試みられている。 【0010】なお、回路導体層の貫通導体との接続部は、通常略円形のパッド状となっており、このパッド状の接続部を貫通導体に重ね合わせて被着することにより貫通導体と電気的に接続される。また、パッド状の接続部の径は、一般に貫通導体の径の2倍程度(面積で4倍程度)の大きさとなっている。 【0011】しかしながら、このような方法で形成された回路導体層と貫通導体との接続部では、貫通導体が離型フィルムの厚み分だけ絶縁層から突出するように導体ぺーストが充填されて形成されるために、回路導体層の接続部を貫通導体に重ね合わせて接続する際に、絶縁層から突出した分の導体ぺーストが回路導体層と絶縁層との間で押し広げられて回路導体層からはみ出してしまい、その結果、隣接する回路導体層間を短絡させてしまうことがあるという問題点を有していた。また、導体ぺーストが押し広げられた分、貫通導体周囲の回路導体層と絶縁層との密着面積が減少し、両者の密着力を低下させてしまい、その結果、回路導体層を転写した後の転写シートを剥離する際に回路導体層まで剥離してしまう、いわゆる転写不良を発生させてしまうことがあるという問題点も有していた。 【0012】このような問題点を解決するために、特開平7-249865号公報には、貫通孔に導体ペーストを充填し貫通導体を形成した後、導体ペーストが充填された離型フィルム上から貫通孔部の導体ペーストをブラッシングにより掻き出して、導体ペーストの絶縁層からの突出量を調整する方法が開示されている。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのような離型フィルム上から貫通孔部の導体ペーストを掻き出す方法は、貫通孔の径が比較的大きな場合には導体ペーストの突出量を良好に調整することが可能であるものの、その径が100μm以下の小さな貫通孔の場合には導体ペーストを均一に掻き出すことが困難となり、所定の量に安定して調整することができないという問題点を有していた。その結果、導体ペーストの掻き出し量が多くなり貫通孔部の導体ペースト量が所定の量より少なくなった場合には、回路導体層の接続部と貫通導体との良好な接続ができなくなり、電気抵抗値が増加したり異なる層間の回路導体層間で断線してしまうという問題点を有していた。また、導体ペーストの掻き出し量が少なくなり貫通孔部の導体ペースト量が所定の量より多くなった場合には、導体ぺーストが回路導体層と絶縁層との間で大きく広がって、回路導体層からはみ出してしまい、隣接する回路導体層間を短絡させてしまったり、導体ぺーストが押し広げられた分、貫通導体周囲の絶縁層と回路導体層との密着面積が減少し、両者の密着力を低下させてしまうという問題点を有していた。 【0014】また、近年、回路基板をより高密度化するために、回路導体層の配線幅を狭める・配線間のピッチを狭める・貫通孔の径を小さくする・貫通孔間のピッチを狭める等の方法が行われているが、さらに、配線のデッドスペースを無くして高密度化するために、上下の絶縁層に形成する貫通導体を垂直方向に配置して構成される積層貫通導体が用いられてきているが、絶縁層の積層数が増加して積層貫通導体の高さが500μmを超えた場合、積層貫通導体と絶縁層の熱膨張差に起因する応力が大きなものとなり、この応力が積層貫通導体と回路導体層との接続部の弱い部分に集中して、この接続部で剥離してしまうことがあるという問題点も有していた。 【0015】本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、回路導体層と貫通導体との電気的接続が良好で、さらに複数の貫通導体が積層されて構成される積層貫通導体の高さが500μmを超えた場合においても良好な接続信頼性を有する回路基板を提供することにある。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明の回路基板は、有機樹脂系の複数の絶縁層と、この絶縁層の表面および層間に配設された金属箔から成る回路導体層と、上下に位置する回路導体層間を複数の絶縁層を貫通して電気的に接続する積層貫通導体とを具備して成る回路基板であって、積層貫通導体は、絶縁層に形成された貫通孔に導体が充填された主導体部と、絶縁層間に配置した金属箔から成る導体パッドと、その導体パッドまたは回路導体層に接触する導体の一部が広がって形成された層間接続部とから構成されるとともに、その層間接続部の面積S1と主導体部の断面積S2とが、1.05×S2≦S1≦1.65×S2の関係式を満たすことを特徴とするものである。 【0017】本発明の回路基板によれば、積層貫通導体の導体の一部が広がって形成された層間接続部の面積S1を積層貫通導体の主導体部の断面積S2に対して、金属箔から成る回路導体層・導体パッドと主導体部との電気的接続が良好となるとともに回路導体層・導体パッドと絶縁層との密着が良好となる1.05×S2≦S1≦1.65×S2の関係式を満たす適当な大きさとしたことから、回路導体層・導体パッドと主導体部との接続面積が小さなものとなって抵抗値が増加したり異なる層間の回路導体層間で断線を生じることはなく、また、回路導体層・導体パッドと主導体部を接続する層間接続部が回路導体層からはみ出して隣接する回路導体層・導体パッド間を短絡させてしまったり、主導体部周囲の絶縁層と回路導体層・導体パッドとの密着面積を減少させ両者の密着力を低下させてしまい、回路導体層・導体パッドを転写した後の転写シートを剥離する際に回路導体層・導体パッドまで剥離してしまう、いわゆる転写不良を発生させてしまうことはない。 【0018】また、本発明の回路基板によれば、層間接続部の面積S1を主導体部の断面積S2に対して、回路導体層・導体パッドと主導体部との電気的接続が良好となるとともに回路導体層と絶縁層の密着が良好となる1.05×S2≦S1≦1.65×S2の関係式を満たす適当な大きさとしたことから、積層貫通導体の高さが500μmを超え、積層貫通導体と絶縁層の熱膨張差に起因する大きな応力が積層貫通導体の主導体部と回路導体層・導体パッドとの接続部に集中したとしても、その応力は層間接続部で有効に分散され、その結果、積層貫通導体の主導体部と回路導体層・導体パッドとの接続部で剥離してしまうことはない。 【0019】 【発明の実施の形態】次に、本発明の回路基板を添付の図面に基づき詳細に説明する。 【0020】図1は、本発明の回路基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、図2はその要部拡大断面図、図3はその要部拡大平面図である。 【0021】これらの図において、1は絶縁基板、2は回路導体層、3は導体パッド、4は貫通孔、5は積層貫通導体、6は主導体部、7は層間接続部であり、主にこれらで本発明の回路基板8が構成されている。 【0022】絶縁基板1は、本例では4層の絶縁層1a・1b・1c・1dが積層されて成り、その上面中央部には、半導体素子等の電子部品(図示せず)が樹脂等の接着剤を介して接着固定される。 【0023】絶縁基板1を構成する絶縁層1a・1b・1c・1dは、エポキシ系樹脂やPPE(ポリフェニレンエーテル樹脂)・フェノール系樹脂・トリアジン系樹脂・ポリイミド系樹脂等の一般に回路基板に用いられる熱硬化性樹脂から成っており、とりわけ原料として室温で液状になる熱硬化性樹脂であることが望ましい。回路基板8は、絶縁基板1が靱性に優れる熱硬化性樹脂で形成されていることから、回路基板8同士あるいは回路基板8と半導体装置製作ラインの一部とが激しく衝突したとしても絶縁基板1に欠けや割れ、クラック等を発生することはない。 【0024】また、絶縁層1a・1b・1c・1dは、その強度を高めるために酸化珪素や酸化アルミニウム・窒化アルミニウム・炭化珪素・チタン酸カルシウム・酸化チタン・ゼオライト・チタン酸バリウム・チタン酸ストロンチウム・チタン酸カルシウム等の無機質フィラーを含有している。無機質フィラーは、平均粒径が20μm以下の微粒子であり、充填性の観点からは平均粒径が7μm以下の略球状の微粒子が好ましい。なお、有機樹脂と無機質フィラーとを85:15〜15:85の体積%の比率で適時配合することにより、絶縁層1a・1b・1c・1dの熱膨張係数を20〜100ppm/Kの所望の小さな値に調整することができる。 【0025】さらに、絶縁層1a・1b・1c・1dを、有機樹脂にガラス繊維を補強材として含有させた、いわゆる複合有機材料を用いて形成してもよい。このようなガラス繊維は、織布や不織布として絶縁層1a・1b・1c・1dに対して30〜70体積%の割合で添加され、有機樹脂の硬化収縮の際の絶縁層1a・1b・1c・1dのそり・変形等を抑制することができる。また、絶縁層1a・1b・1c・1dは、後述するレーザで絶縁層1a・1b・1c・1dに貫通孔4を形成する際にその穴径や形状を均一化するために、ガラス繊維の織布を加圧しその隙間を減少させて密度を均一化したガラス織布に有機樹脂を含浸させて形成することも可能である。 【0026】このような絶縁層1a・1b・1c・1dは、例えば有機樹脂がエポキシ樹脂から成る場合であれば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂・ノボラック型エポキシ樹脂・グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にシリカ等の無機質フィラー・溶剤・可塑剤・分散剤等を添加した混合物を混練して液状ワニスを得て、この液状ワニスを従来周知のドクターブレード法や圧延法・射出形成法を採用することによってシート状に成形して絶縁基板1の絶縁層1a・1b・1c・1dとなる複数の前駆体シートを得るとともに、これらの前駆体シートを60〜100℃の温度で30分〜24時間乾燥することにより形成される。なお、絶縁層1a・1b・1c・1dの厚みは自由に設定することができるが、絶縁性の観点からは50μm以上、回路基板8の薄型化の観点からは200μm以下の範囲の厚みが好ましい。 【0027】絶縁層1a・1b・1c・1dには、直径が50〜300μm程度の貫通孔4が形成されている。貫通孔4は、炭酸ガスレーザやYAGレーザ・エキシマレーザ等の従来周知のレーザを用いて形成され、好適には、絶縁層1a・1b・1c・1dの材料に依存せず微細加工ができるとともに貫通孔4の径を50〜300μmの範囲で自由に形成でき、かつ加工速度の速い炭酸レーザを用いて形成されることが好ましい。 【0028】絶縁層1a・1b・1c・1dに形成された貫通孔4には、銅等の金属粉末を熱硬化性樹脂等の有機材料により結合されて成る導体ペーストが充填されて形成された主導体部6が、また、貫通孔4の開口周辺には導体ペーストが広がって形成され、後述する絶縁層1a・1b・1c・1d表面に被着形成される回路導体層2・導体パッド3と接触する層間接続部7が、従来周知のスクリーン印刷法や圧入法等を採用して形成されている。 【0029】このような主導体部6および層間接続部7となる導体ぺーストは、銅・銀・アルミニウム・金等の金属材料の1種または2種以上の混合物を主体とする金属粉末を熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の有機材料により結合することにより形成されており、低抵抗値の観点からは、銅または銅を含む混合物を主成分とする金属粉末を用いて形成されることが好ましい。また、主導体部6および層間接続部7をより低抵抗値化するために、半田や錫等の低融点金属の粉末を用いることも行なわれる。さらに、抵抗値を調整をする目的で、Ni−Cr合金などの高抵抗金属やこの高抵抗金属と低抵抗金属とを合金化した金属粉末を用いることも行なわれる。 【0030】主導体部6および層間接続部7に含有される金属粉末は、その含有量が70重量%未満では主導体部6および層間接続部7の導電性が低下する傾向にあり、また、95重量%を超えると金属粉末を熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂で強固に結合することが困難となる傾向がある。従って、主導体部6および層間接続部7に含有される金属粉末は、70〜95重量%の範囲とすることが好ましい。 【0031】また、導体ペーストの粘度をせん断速度=100s−1の測定条件において20〜1000Pa・sの範囲にしておくと、絶縁層1a・1b・1c・1dの貫通孔4に導体ペーストを充填する際に、貫通孔4の周囲にだれ・にじみ等を生じることがない。粘度がせん断速度= 100s−1の測定条件において20Pa・sより低い値であると、貫通孔4に導体ペーストを充填する際に、貫通孔4の周囲にだれ・にじみ等を生じやすくなる傾向があり、また、1000Pa・sを超えると、導体ペーストを貫通孔4に充填することが困難となる傾向がある。従って、導体ペーストの粘度はせん断速度= 100s−1の測定条件において20〜1000Pa・sの範囲が好ましい。なお、導体ペーストの粘度は、有機系の結合剤や溶剤を添加することにより適宜調整することができる。 【0032】さらに、金属粉末は、その平均粒径が0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、平均粒径が0.1μm未満であると導体ペーストの粘度が増加して、導体ペーストを貫通孔4に良好に充填できなくなる傾向があり、また、10μmを超えると金属粉末を有機材料に均一に分散させることが困難となる傾向がある。従って、導体ぺーストに含有される金属粉末の平均粒径は0.1μm〜10μmの範囲であることが好ましい。 【0033】また、絶縁層1a・1b・1c・1dの表面には、銅箔等の金属箔から成る回路導体層2や導体パッド3が層間接続部7と電気的に接触するように被着形成されている。 【0034】回路導体層2は、回路基板8に搭載される半導体素子等の電子部品(図示せず)を外部電気回路の配線導体(図示せず)に電気的に接続する機能を有る。また、導体パッド3は、隣接する絶縁層1a・1b・1c・1dの貫通孔4に導体が充填されて形成される主導体部6を電気的に接続する機能を有する。 【0035】なお、導体パッド3は、通常略円形の形状に形成されており、その径は主導体部6の径の1.5〜2.5倍(導体パッド3の面積をS3とするとS1の2.25〜6.25倍)程度の大きさになっており、その径が1.5倍未満であると導体パッド3と絶縁層1a・1b・1c・1dとの主導体部6周囲の密着面積が減少し両者の密着性が低下してしまう傾向があり、また、2.5倍を超えると接続部の面積が大きなものとなり、導体パッド3を高密度に形成できなくなる傾向がある。また、回路導体層2の層間接続部7との接続部は、通常略円形のパッド状に形成されており、その径は上記の導体パッド3と同様の理由により主導体部6の径の1.5〜2.5倍程度の大きさになっている。 【0036】回路導体層2・導体パッド3は、厚みが1〜40μm程度の銅・金等の金属箔から成り、その厚みは高速の電気信号を伝達させるという観点からは1μm以上であることが好ましく、回路導体層2・導体パッド3を絶縁層1a・1b・1c・1dに被着させる際に回路導体層2・導体パッド3に大きな応力を残留させず、回路導体層2・導体パッド3が絶縁層1a・1b・1c・1dから剥離し難いものとするためには、40μm以下としておくことが好ましい。 【0037】なお、本発明の回路基板8には、回路導体層2・導体パッド3のデッドスペースを無くして高密度化するために、上下の絶縁層1a・1b・1c・1dに形成する貫通孔4を垂直方向に配置して、貫通孔4に導体が充填され形成された主導体部6と、貫通孔4の開口周辺に導体が広がって形成され、回路導体層2・導体パッド3に接触した層間接続部7とを有する積層貫通導体5が形成されている。このような積層貫通導体5は、あらかじめ各絶縁層1a・1b・1c・1dの所定の位置に貫通孔4を形成しておき、この貫通孔4に主導体部6が、貫通孔4の開口周辺に層間接続部7が形成された絶縁層1a・1b・1c・1dを間に導体パッド3の接触部を挟んで積層することにより、所定の位置に形成される。 【0038】本発明の回路基板8では、貫通孔4に導体ペーストを充填して積層貫通導体5の主導体部6を形成する際に、導体ペーストの一部を貫通孔4より突出させて導体ペーストの突出部を形成し、しかる後、この突出部に回路導体層2・導体パッドの接続部を重ね合わせて被着形成することにより、突出部の導体ペーストを貫通孔4の開口周辺に広がらせて回路導体層2・導体パッドと主導体部6とを接続する層間接続部7を形成し、さらに、この層間接続部7の面積S1と主導体部6の断面積S2とが1.05×S2≦S1≦1.65×S2の関係式を満たすようにすることが重要である。 【0039】本発明の回路基板8によれば、積層貫通導体5の貫通孔4の開口周辺に導体が広がって形成された層間接続部7の面積S1を積層貫通導体5の主導体部6の断面積S2に対して、回路導体層2・導体パッド3と主導体部6の電気的接続が良好となるとともに回路導体層2・導体パッドと絶縁層1a・1b・1c・1dとの密着が良好となる1.05×S2≦S1≦1.65×S2の関係式を満たす適当な大きさとしたことから、回路導体層2・導体パッド3と主導体部6との接続面積が小さなものとなって抵抗値が増加したり異なる層間の回路導体層2間で断線を生じることはなく、また、回路導体層2・導体パッド3と主導体部6を接続する層間接続部7が回路導体層2・導体パッド3からはみ出して隣接する回路導体層2や導体パッド3間を短絡させてしまったり、主導体部6周囲の絶縁層1a・1b・1c・1dと回路導体層2・導体パッド3との密着面積を減少させ両者の密着力を低下させてしまい、回路導体層2・導体パッド3を転写した後の転写シートを剥離する際に回路導体層2・導体パッド3まで剥離してしまう、いわゆる転写不良を発生させてしまうことはない。 【0040】また、本発明の回路基板8によれば、層間接続部7の面積S1を主導体部6の断面積S2に対して、回路導体層2・導体パッド3と主導体部6との電気的接続が良好となるとともに回路導体層2・導体パッド3と絶縁層1a・1b・1c・1dの密着が良好となる1.05×S2≦S1≦1.65×S2の関係式を満たす適当な大きさとしたことから、積層貫通導体5の高さが500μmを超え、積層貫通導体5と絶縁層1a・1b・1c・1dの熱膨張差に起因する大きな応力が積層貫通導体5の主導体部6と回路導体層2・導体パッド3との接続部に集中したとしても、その応力は層間接続部7で有効に分散され、その結果、積層貫通導体5の主導体部6と回路導体層2・導体パッド3との接続部で剥離してしまうことはない。層間接続部6の面積S1が主導体部5の断面積S2の1.05倍より小さくなると、貫通孔3内への導体ペーストの充填が不十分なものとなる傾向があり、回路導体層2・導体パッド3と貫通孔3内部の主導体部5との良好な接続ができなくなり、その結果、電気抵抗値が増加したり異なる層間の回路導体層2間で断線してしまう傾向がある。また、層間接続部7の面積S1が主導体部6の断面積S2の1.65倍を超えると、回路導体層2・導体パッド3と主導体部6周囲の絶縁層1a・1b・1c・1dとの密着面積が減少し、両者の密着力が低下して、回路導体層2・導体パッド3を転写した後の転写シートを剥離する際に回路導体層2・導体パッド3まで剥離してしまう傾向がある。従って、層間接続部7の面積S1と主導体部6の断面積S2の関係は、1.05×S2≦S1≦0.65×S2の式を満たすことが好ましい。 【0041】このような、積層貫通導体5の主導体部6と層間接続部7は、以下に示す方法により製作される。 【0042】まず、絶縁層1a・1b・1c・1dの所定の位置に、絶縁層1a・1b・1c・1dを積層した後に積層貫通導体5が形成されるように、炭酸ガスレーザを用いて貫通孔4を形成する。次に、この貫通孔4に、例えばスクリーン印刷法を用いて導体ペーストを充填する。このとき、貫通孔4に充填されて形成される積層貫通導体5の主導体部6が形成されるとともにこの上部にスクリーン印刷用のフィルムの厚み分だけ絶縁層1a・1b・1c・1dから突出した層間接続部7と成る突出部が形成される。さらに、導体ぺーストにより層間接続部7となる突出部が形成された絶縁層1a・1b・1c・1dの表面に、あらかじめ転写シートに回路導体層2・導体パッド3の形状に形成された銅箔等の金属箔を、その接続部を層間接続部7と成る突出部に重ね合わせて加圧することにより、導体ぺーストから成る突出部が回路導体層2・導体パッド3と絶縁層1a・1b・1c・1dの間に押し広げられて層間接続部7が形成されるとともに回路導体層2・導体パッド3が貫通孔3内部の主導体部6と電気的に接続される。また、絶縁層1a・1b・1c・1dの他方の面の層間接続部7は、絶縁層1a・1b・1c・1dの一方の面に回路導体層2・導体パッド3を被着形成した後に、他方の面の主導体部6上にスクリーン印刷法を用いて導体ペーストで突出部を形成し、この突出部を絶縁層1a・1b・1c・1dを積層する際に隣接する絶縁層1a・1b・1c・1d表面に被着形成された導体パッド3と重ね合わせることにより形成される。 【0043】なお、層間接続部7と成る導体ぺーストの突出部の高さは、スクリーン印刷用のフィルムの厚みと略同じ高さに形成され、好適には、絶縁層1a・1b・1c・1dの厚みの5〜30%の高さとなるように形成されることが好ましい。 【0044】導体ぺーストの突出部の高さが絶縁層1a・1b・1c・1dの厚みの5%よりも小さなものになると、回路導体層2・導体パッド3と主導体部6とを接続する層間接続部7の面積S1が小さなものとなって、電気抵抗値が増加したり異なる層間の回路導体層2間で断線してしまう傾向がある。また、30%を超えると、層間接続部7の面積S1が大きなものとなり、回路導体層2・導体パッド3と絶縁層1a・1b・1c・1dの主導体部6周囲の密着面積が減少し、両者の密着力が低下して、回路導体層2・導体パッド3を転写した後の転写シートを剥離する際に回路導体層2・導体パッド3まで剥離してしまう傾向がある。従って、層間接続部7と成る導体ぺーストの突出部の高さは、層間接続部7の面積S1と主導体部6の断面積S2の関係は、絶縁層1a・1b・1c・1dの厚みの5〜30%の高さとなるように形成されることが好ましい。 【0045】さらに、表面に必要な回路導体層2・導体パッド3が被着形成された絶縁層1a・1b・1c・1dを、貫通孔4が上下に配置されるように複数層重ね合わせ、4〜6MPaの圧力を加えながら60〜200℃の温度で30分〜24時間加熱することにより、積層貫通導体5を有する回路基板と成る。 【0046】かくして本発明の回路基板によれば、回路導体層・導体パッドと貫通導体との電気的接続が良好で、さらに複数の貫通導体が積層されて構成される積層貫通導体の高さが500μmを超えた場合においても良好な接続信頼性を有する回路基板とすることができる。 【0047】なお、本発明の回路基板は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では4層の絶縁層1a・1b・1c・1dを積層して絶縁基板1を形成したが、1層〜3層、あるいは5層以上の絶縁層を積層して絶縁基板1を形成してもよい。また、絶縁基板1の強度向上のために絶縁基板1を構成する絶縁層の内層側をガラス繊維含有絶縁層で形成し、耐湿性向上のために絶縁層の外層側を無機質フィラー含有絶縁層で形成してもよい。 【0048】 【実施例】本発明の回路基板の特性を評価するために、以下のようなサンプルを作成し評価を行った。 【0049】まず、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)とトルエンと混合したスラリーをガラス織布に含浸させて乾燥し、厚さ100μmのガラス繊維含有絶縁層を製作した。なお、絶縁層の各成分の比率はPPE樹脂50体積%、ガラス織布50体積%とした。 【0050】この絶縁層に、炭酸ガスレーザを用いて直径100μmの貫通孔を所定間隔で1000個形成した。これらの貫通孔に、銀めっきを施した平均粒径が5μm銅粉末と平均粒径が5μmの半田粉末とをそれぞれ50重量%づつ混合した金属粉末混合物に、トリアリルイソシアネレートを添加して製作した導体ペーストを、スクリーン印刷法を用いて充填した。その際、貫通孔に充填した導体ペーストが絶縁層より5〜20μm突出するように調整した。 【0051】次に、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる転写シートの表面に接着剤を塗布して粘着性をもたせ、厚さ12μm、平均表面荒さ0.8μmの銅箔を一面に接着し、その後、フォトレジストを塗布し露光現像を行った後、これを塩化第二鉄溶液中に浸漬して導体パッドとなる部分以外の部分をエッチング除去し、直径250μmの円形状の導体パッドを製作した。次に、貫通孔に導体ペーストが充填された絶縁層表面に円形状の導体パッドを形成した転写シートを絶縁層に位置決めして張り合わせ5MPaの圧力で加圧した後、転写シートを剥がして銅からなる円形状の導体パッドを具備した絶縁層を得た。同様にして製作した円形状の導体パッドを具備した絶縁層を4層重ねた後、5MPaの圧力を加えながら200℃の温度で1時間加熱して完全硬化させて評価用の回路基板を製作した。 【0052】次に、比較用として厚さ25μmの離型フィルムを貼り合わせた絶縁層に直径100μmの貫通孔を所定間隔で1000個形成し、貫通孔内に導体ペーストを充填した後、離型フィルムの表面からポリエステル繊維からなる、毛の太さが約150μmで毛先端部が円錐状に加工されたブラシの毛先端部を、離型フィルム上に当てがい押圧しながらブラッシングし貫通孔部の導体ペーストを掻き出し導体ペースト量を調整した。なお、この絶縁層を切断してその断面より離型フィルム表面から窪みの最深部までの深さを電子顕微鏡を用いて測定したところ、いったん掻き出された導体ペーストが再度貫通孔内に付着している場合も見られ前記深さは離型フィルムの厚さの約1/4〜7/4であり導体ペーストの窪みの最深部までの深さが安定していないことが確認できた。さらに、得られた絶縁層の表面に、評価用の絶縁層と同様にして円形状の導体パッドを転写し、4層重ねて完全硬化して比較用の回路基板を製作した。 【0053】評価用および比較用の回路基板を表裏の円形状の導体パッド間で電気導通の確認を行ったところ、比較用の回路基板では断線の不良率が 4.0%であったが、本発明の評価用の回路基板の不良率は0%であった。また隣接する円形状の導体パッドで絶縁性の確認を行ったところ、比較用の回路基板では短絡の不良率が 5.0%であったが、評価用の回路基板では不良率が0%であった。 【0054】また、円形状の導体パッドの転写工程で転写不良率の確認を行ったところ、比較用の回路基板の転写不良率は14.5%であったが、評価用の回路基板の転写不良率は0%であった。 【0055】また、温度が130℃、相対湿度が85%、圧力が2.3×105Paの条件下で、5.5Vの直流電圧を168時間印加したHAST試験では、貫通導体間の絶縁抵抗を測定したところ評価用の回路基板の絶縁抵抗値の平均は1×108Ωであったが、比較用の回路基板の絶縁抵抗値の平均は1×106Ωとなり、評価用の回路基板の信頼性が高いことが確認できた。 【0056】さらに、前記評価が終了した後、評価用回路基板と比較用回路基板の円形状の導体パッドを回路基板から引き剥がし、層間接続部の面積と主導体部の断面積とを比較したところ、評価用の回路基板の層間接続部の面積S1と主導体部の断面積S2との関係は、1.10×S2≦S1≦1.40×S2の式の範囲内であった。一方、比較用の回路基板では,層間接続部の面積S1と主導体部の断面積S2との関係は、0.75×S2≦S1≦2.01×S2の式の範囲となり層間接続部の面積が安定していないことが確認できた。 【0057】 【発明の効果】本発明の回路基板によれば、積層貫通導体の導体の一部が広がって形成された層間接続部の面積S1を積層貫通導体の主導体部の断面積S2に対して、金属箔から成る導体パッドや回路導体層と主導体部との電気的接続が良好となるとともに導体パッドや回路導体層と絶縁層との密着が良好となる1.05×S2≦S1≦1.65×S2の関係式を満たす適当な大きさとしたことから、導体パッドや回路導体層と主導体部との接続面積が小さなものとなって抵抗値が増加したり異なる層間の回路導体層間で断線を生じることはなく、また、導体パッドや回路導体層と主導体部を接続する層間接続部が回路導体層からはみ出して隣接する導体パッド間や回路導体層間を短絡させてしまったり、主導体部周囲の絶縁層と導体パッドや回路導体層との密着面積を減少させ両者の密着力を低下させてしまい、導体パッドや回路導体層を転写した後の転写シートを剥離する際に導体パッドや回路導体層まで剥離してしまう、いわゆる転写不良を発生させてしまうことはない。 【0058】また、本発明の回路基板によれば、層間接続部の面積S1を主導体部の断面積S2に対して、導体パッドや回路導体層と主導体部との電気的接続が良好となるとともに回路導体層と絶縁層の密着が良好となる1.05×S2≦S1≦1.65×S2の関係式を満たす適当な大きさとしたことから、積層貫通導体の高さが500μmを超え、積層貫通導体と絶縁層の熱膨張差に起因する大きな応力が積層貫通導体の主導体部と導体パッドや回路導体層との接続部に集中したとしても、その応力は層間接続部で有効に分散され、その結果、積層貫通導体の主導体部と導体パッドや回路導体層との接続部で剥離してしまうことはない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006633 【氏名又は名称】京セラ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月30日(2000.6.30) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−16363(P2002−16363A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月18日(2002.1.18) |
| 【出願番号】 |
特願2000−198458(P2000−198458) |
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