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【発明の名称】 核破砕ターゲット用陽子ビーム窓
【発明者】 【氏名】神永 雅紀

【氏名】羽賀 勝洋

【氏名】木下 秀孝

【氏名】麻生 智一

【氏名】粉川 広行

【氏名】日野 竜太郎

【氏名】石倉 修一

【氏名】寺奥 拓史

【氏名】寺田 敦彦

【氏名】土屋 将夫

【要約】 【課題】高強度の陽子ビームに対応可能な核破砕ターゲット用陽子ビーム窓を提供する。

【解決手段】冷却水入口管18から各側方流路21へ送給される冷却水28の流れを、側方流路21の下端寄り部分に位置する案内羽根によって、中央流路23へ上向きに流れ込むように転向させたうえ、中央流路23へ向かう2つの冷却水28の流れの干渉を導流体26で抑制し、更に、中央流路23から冷却水出口管19へ向かう冷却水28の流れを、上流窓部11と下流窓部12で形成した狭間隙部分へ流入させて、流速分布の均一化と流速の向上を図り、過大な熱応力や冷却水の沸騰の要因となるホットスポットの発生を抑止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 略水平に進む陽子ビームの進行方向に狭間隙を隔てて平行に配置した薄肉状の上流窓部及び下流窓部と、上流窓部を取り囲むようにその周縁に連なってビーム進行方向上流側へ窪む上流凹陥部を有する上流構体と、下流窓部を取り囲むようにその周縁に連なってビーム進行方向下流側へ窪む下流凹陥部を有し且つその周縁が上流凹陥部周縁に密着した下流構体と、ビーム通過位置の両側にそれぞれ配置され且つ両窓部と両凹陥部で形成される空間内面に上縁及び前後両縁が接する流路区分壁と、該流路区分壁及び両凹陥部で囲まれる側方流路の上端に連なる冷却水入口管と、両流路区分壁及び両窓部で囲まれる中央流路の上端に連なる冷却水出口管と、側方流路の下端寄り部分から中央流路の下端寄り部分へ湾曲し且つ両凹陥没部に前後両縁が接する案内羽根とを備えてなることを特徴とする核破砕ターゲット用陽子ビーム窓。
【請求項2】 中央流路底部中心から上方へ突出する導流体を設けた請求項1に記載の核破砕ターゲット用陽子ビーム窓。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は核破砕ターゲット用陽子ビーム窓に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、中性子を利用した種々の物性研究を行なうことが計画されている。
【0003】図5は中性子散乱施設の一例であり、この中性子散乱施設では、陽子出射器1が出射する陽子を、線形加速器2で加速し且つ偏向電磁石により真空状態の蓄積リング3へ導き、該蓄積リング3において陽子の軌道を偏向電磁石で曲げて周回させながら、高周波電流によって必要エネルギーになるように増速する。
【0004】更に、上記の陽子を、蓄積リング3に連なるビームライン4を介して格納室5に設置され且つ微圧ヘリウム雰囲気に保持されているターゲット6へ出射し、該ターゲット6内に抱持されている水銀などの液状重金属に衝突させ、核破砕反応(スポレーション反応)により発生する高速中性子を、ターゲット6至近位置の減速材容器7内の液体水素(20K、1.5MPa)などの減速材に透過させることによって、研究目的に応じた熱中性子や冷中性子に変換し、ビームライン8を介してラボ9へ導いている。
【0005】また、ビームライン4のビーム進行方向下流端には、金属材料で形成され且つ陽子ビームが透過する窓部を備えた核破砕ターゲット用陽子ビーム窓を境界壁として設けている。
【0006】このような核破砕ターゲット用陽子ビーム窓では、陽子ビームの透過によって窓部に高密度の熱が生じるので、内部に冷却水を流通させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高強度の陽子ビーム(5MW)を対象とする場合には、過大な熱応力や冷却水の沸騰の要因となるホットスポットが発生しないように、窓部やその付近での冷却水の流通形態について考慮する必要がある。
【0008】本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、高強度の陽子ビームに対応可能な核破砕ターゲット用陽子ビーム窓を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の核破砕ターゲット用陽子ビーム窓では、略水平に進む陽子ビームの進行方向に狭間隙を隔てて平行に配置した薄肉状の上流窓部及び下流窓部と、上流窓部を取り囲むようにその周縁に連なってビーム進行方向上流側へ窪む上流凹陥部を有する上流構体と、下流窓部を取り囲むようにその周縁に連なってビーム進行方向下流側へ窪む下流凹陥部を有し且つその周縁が上流凹陥部周縁に密着した下流構体と、ビーム通過位置の両側にそれぞれ配置され且つ両窓部と両凹陥部で形成される空間内面に上縁及び前後両縁が接する流路区分壁と、該流路区分壁及び両凹陥部で囲まれる側方流路の上端に連なる冷却水入口管と、両流路区分壁及び両窓部で囲まれる中央流路の上端に連なる冷却水出口管と、側方流路の下端寄り部分から中央流路の下端寄り部分へ湾曲し且つ両凹陥没部に前後両縁が接する案内羽根とを備えている。
【0010】また、本発明の請求項2に記載の核破砕ターゲット用陽子ビーム窓では、中央流路底部中心から上方へ突出する導流体を設けている。
【0011】本発明の請求項1あるいは請求項2に記載の核破砕ターゲット用陽子ビーム窓のいずれにおいても、冷却水入口管から側方流路へ送給される冷却水の流れを、当該側方流路の下端寄り部分に位置する案内羽根で、側方流路から中央流路へ上向きに流れ込むように転向させ、更に、中央流路から冷却水出口管へ向かう冷却水の流れを、両窓部により形成した狭間隙部分へ流入させて、流速分布の均一化と流速の向上を図る。
【0012】本発明の請求項2の記載の核破砕ターゲット用陽子ビーム窓においては、側方流路から中央流路へ転向する2つの冷却水の流れの干渉を、導流体によって抑制する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
【0014】図1乃至図4は本発明の核破砕ターゲット用陽子ビーム窓の実施の形態の一例であり、この核破砕ターゲット用陽子ビーム窓は、略水平に進む陽子ビーム10の進行方向に狭間隙を隔てて平行に配置した薄肉状の上流窓部11及び下流窓部12と、上流窓部11を取り囲むようにその周縁に連なってビーム進行方向上流側へ窪む上流凹陥部13を有する上流構体15と、下流窓部12を取り囲むようにその周縁に連なってビーム進行方向下流側へ窪む下流凹陥部14を有する下流構体16と、左右一対の流路区分壁17と、冷却水入口管18及び冷却水出口管19とを備えている。
【0015】窓部11,12並びに構体15,16の素材には、耐熱性に優れたニッケル基合金鋼(インコネル718など)を用いており、上流構体15と下流構体16は、両凹陥部13,14の周縁が密着するように締結されている。
【0016】流路区分壁17は、その上縁及び前後両縁が、両窓部11,12及び両凹陥部13,14により形成される空間内面に接するように、陽子ビーム10通過位置の左右両側に設けられている。
【0017】冷却水入口管18は、構体15,16の上部密着部分に穿設された開口20を介して、流路区分壁17及び両凹陥部13,14で囲まれる側方流路21の上端部分に連通しており、当該冷却水入口管18には、ポンプ(図示せず)の吐出口が接続されている。
【0018】冷却水出口管19は、構体15,16の上部密着部分に穿設された開口22を介して、左右の流路区分壁17及び両窓部11,12で囲まれる中央流路23の上端部分に連通しており、当該冷却水出口管19には、熱交換器(図示せず)を介してポンプの吸引口が接続されている。
【0019】両窓部11,12及び両凹陥部13,14によって形成される空間には、側方流路21の下端寄り部分から中央流路23の下端寄り部分へ湾曲し且つ前後両縁が両凹陥部13,14に接する2状の案内羽根24,25が設けられている。
【0020】また、両凹陥部13,14の中央流路23底部中心に相当する箇所には、上方へ突出する導流体26が形成されている。
【0021】これに加えて、構体15,16内には、各冷却水入口管18取付位置至近から両凹陥部13,14で形成される空間内底面へ延び且つ先端部が流路区分壁17下方に位置する排水管27が設けられており、当該空間内底面は、排水管27の先端部が最も低い位置になるように傾斜している。
【0022】また、排水管27の基端寄り部分には、閉止弁(図示せず)が設けられている。
【0023】図1乃至図4に示す核破砕ターゲット用陽子ビーム窓では、冷却水入口管18に送給される冷却水28の流れは、側方流路21を下降したうえ、その下端寄り部分に位置する案内羽根24,25で、側方流路21から中央流路23へ上向きに流れ込むように転向する。
【0024】このとき、中央流路23の下端寄り部分の導流体26により、左右の側方流路21から中央流路23へ向かう2つの冷却水28の流れの干渉が抑制される。
【0025】更に、中央流路23を上方へ向かう冷却水28の流れは、両窓部11,12で形成される狭間隙部分を通過することにより、流速分布の均一化と流速の向上が図られ、冷却水出口管19を経て外部へ送出される。
【0026】また、核破砕ターゲット用陽子ビーム窓に対する保守点検作業を実施するときには、側方流路21及び中央流路23の内部に残留している冷却水28を、排水管27を介して外部へ排出する。
【0027】このように、図1乃至図4に示す核破砕ターゲット用陽子ビーム窓においては、側方流路21から陽子ビーム10が透過する両窓部11,12間へ送給すべき冷却水28を、案内羽根24,25によって中央流路23へ転向させたうえ、各側方流路21から中央流路23へ向かう2つの冷却水28の流れの干渉を、導流体26によって抑制するので、冷却水28の流れに顕著な乱れが発生せず、圧力損失を回避できる。
【0028】また、冷却水28を両窓部11,12により形成した狭間隙部分へ流入させるので、陽子ビーム10が透過する両窓部11,12間における冷却水28の流速分布の均一化と流速の向上を図ることができ、従って、陽子ビーム10が高強度でも、過大な熱応力や冷却水28沸騰の要因となるホットスポットが発生しない。
【0029】なお、本発明の核破砕ターゲット用陽子ビーム窓は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の核破砕ターゲット用陽子ビーム窓によれば、下記のような種々の優れた効果を奏し得る。
【0031】(1)冷却水入口管から側方流路へ送給される冷却水の流れを、当該側方流路の下端寄り部分に位置する案内羽根で、側方流路から中央流路へ上向きに流れ込むように転向させ、更に、中央流路から冷却水出口管へ向かう冷却水の流れを、両窓部により形成した狭間隙部分へ流入させて、流速分布の均一化と流速の向上を図り、過大な熱応力や冷却水の沸騰の要因となるホットスポットの発生を抑止するので、高強度の陽子ビームに対応することが可能なる。
【0032】(2)また、導流体を設けることにより、各側方流路から中央流路へ転向する2つの冷却水の流れの干渉を効果的に抑制できる。
【出願人】 【識別番号】000004097
【氏名又は名称】日本原子力研究所
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成13年2月8日(2001.2.8)
【代理人】 【識別番号】100062236
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
【公開番号】 特開2002−237398(P2002−237398A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−32305(P2001−32305)