トップ :: H 電気 :: H01 基本的電気素子

【発明の名称】 チップ管の排気ヘッドへの接続方法
【発明者】 【氏名】関 忠
【課題】チップ管の封止時に、チップ管が変形することを防止することにより溶断作業を効率よく行うことのできるチップ管の排気ヘッドへの接続方法を提供する。

【解決手段】ガラスパネルの通気孔部と排気ヘッドの排気路とを連通させるチップ管を排気ヘッドへ接続する方法において、チップ管11の一端11aを排気ヘッド3で保持する工程と、前記チップ管の他端面に塗布あるいは装着した融着用ガラスペーストSをガラスパネルPの通気孔P0周面に押圧保持する工程と、治具12により前記チップ管とガラスパネルを固定する工程と、前記排気ヘッドの保持を解除する工程と、再度、チップ管の一端を排気ヘッドで保持する工程とから構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガラスパネルの通気孔部と排気ヘッドの排気路とを連通させるチップ管を排気ヘッドへ接続する方法において、チップ管の一端を排気ヘッドで保持する工程と、前記チップ管の他端面に塗布あるいは装着した融着用ガラスペーストをガラスパネルの通気孔周面に押圧保持する工程と、治具により前記チップ管とガラスパネルを固定する工程と、前記排気ヘッドの保持を解除する工程と、再度、チップ管の一端を排気ヘッドで保持する工程とからなることを特徴とするチップ管の排気ヘッドへの接続方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラスパネルの通気孔部と排気ヘッドの排気路とを連通させるチップ管を排気ヘッドへ接続する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)等のガラスパネルの製造工程には、一対のガラス基板の対向周縁部を封止する工程、内部を排気する工程、内部へ放電ガスを充填する工程、およびガラス製チップ管(排気管)を封止切る工程とがある。
【0003】そして、前記排気工程は、一方端がガラス基板の通気孔部(直径5mm程度)に固着されたガラス製チップ管(排気管)の他端部を排気ヘッドに接続し、排気ヘッドおよびガラス製チップ管を介して排気が行われる。この排気工程が終了すると、ガラスパネル内に前記排気ヘッドおよびガラス製チップ管を介して放電ガスを充填し、その後、ヒータあるいはガスにより前記ガラス製チップ管の通路を閉止し、この閉止部を溶断する(封止切り工程)ことによりPDPを製造するものである。
【0004】ところで、ガラス基板へのチップ管の固着方法としては種々の方法があるが、その一例として、特開平7−105848号公報に示されるように、表面ガラス基板と裏面ガラス基板とをその周縁部に融着用ガラスペースト(封着材)を塗布して重ね合わせる一方、端面に前記封着材を塗布あるいは装着したチップ管を前記裏面ガラス基板に設けた通気孔の外周部にほぼ同心的に位置させるとともに、前記チップ管の端面がガラス基板に押圧した状態で約400℃に加熱することにより、チップ管とガラス基板とを固着するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス製チップ管をガラス基板へ固着するに際し、チップ管の端面をガラス基板の通気孔の外周部に押圧した状態、すなわち、チップ管に圧縮応力がかかっている状態で加熱して固着するため、その後、排気工程を経て封止切り工程を行うと、前記封止切り工程はチップ管に圧縮応力がかかっている状態であるため、チップ管の通路を閉止する際にチップ管が変形して封止切り作業を効率よく、確実に行うことができないという問題があった。さらに、チップ管が変形すると、封止切り作業の自動化が困難となる。
【0006】したがって、本発明は、前記封止切り作業時にチップ管の変形を防止することにより前記課題を解決することのできるガラスパネルの通気孔部にチップ管を取り付ける場合のチップ管の排気ヘッドへの接続方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するために、ガラスパネルの通気孔部と排気ヘッドの排気路とを連通させるチップ管を取り付ける場合のチップ管の排気ヘッドへ接続する方法において、チップ管の一端を排気ヘッドで保持する工程と、前記チップ管の他端面に塗布あるいは装着した融着用ガラスペーストをガラスパネルの通気孔周面に押圧保持する工程と、治具により前記チップ管とガラスパネルを固定する工程と、前記排気ヘッドによるチップ管の保持を解除する工程と、再度、チップ管の一部を排気ヘッドで保持する工程とで構成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図1にしたがって説明する。
【0009】図において、3は排気ヘッドで、この排気ヘッド3はヘッド本体4とチップ管保持手段8と押圧具9とキャップ10とからなる。
【0010】そして、前記排気ヘッド3は、図示しない排気カート上に搭載されている。この排気カートは、封着・排気炉(以下、炉という)の炉床下を移動するもので、排気カートには前記炉の炉床に設けた開口部を貫通して炉内に位置する支柱とこの支柱上方に下記するガラスパネルを水平方向に載置する架台を備えるとともに、前記支柱には炉床に設けた開口部と若干の間隙をもって遮蔽する断熱部材を排気カートの全長にわたって備えている。
【0011】また、排気カートには真空排気ポンプを有する真空排気系と放電ガスボンベを有する放電ガス供給系とが搭載されており、両者は開閉弁を介して前記排気ヘッド3に連通する。さらに、排気カートには、下記するチップ管を溶断する封止ヒータ等を備えている。
【0012】前記ヘッド本体4は前記排気カートの支持板1に設けた開口部1aにスプリング2を介して上下動自在に支持され、その内部に排気路4aが形成されるとともに、その上部には段付凹部5を有し、その下部は配管等6により前記真空排気系と放電ガス供給系とに接続されている。
【0013】前記チップ管保持手段8は、外方が開放された断面略U字形の耐熱性合成ゴム等からなる環状の弾性部材からなり、この環状の弾性部材は前記ヘッド本体4の段付凹部5内に装着され、環状の押圧具9を介してキャップ10をヘッド本体4の外周に螺着することにより段付凹部5内に密着状態で固定される。なお、チップ管保持手段8の内部空間8aはヘッド本体4に設けたエア供給・排気管7と連通している。
【0014】次に、ガラスパネルの通気孔部と排気ヘッドとを連通させるチップ管を排気ヘッドへ接続する方法を説明する。
【0015】まず、先端部がラッパ状に大径となった公知のチップ管11の先端部端面に融着用ガラスペーストSを塗布し、このチップ管11の一端部(下端部)を前記排気ヘッド3の排気路4aに位置させる。この場合、チップ管11の先端部が、下記するようにガラスパネルPが排気カート上の架台上に水平に載置された時の裏面ガラス基板P1の下面位置より若干(1〜2mm)上方に突出するように位置決めしたのち、前記エア供給・排気管7から高圧エアを弾性部材8の内部空間8aに供給して前記チップ管11の周面を弾性部材8により締め付けて固定する。
【0016】その後、通気孔部Paを備えた裏面ガラス基板P1の上面縁部に融着用ガラスペーストSを塗布し、その上に表面ガラス基板P2を重ね合わせて一体化したガラスパネルPを排気カートの架台上に前記通気孔部Paが前記チップ管11の先端部と同心状態となるように載置する。
【0017】前述のように、前記チップ管11の先端部はガラスパネルPの下面より若干突出して排気ヘッド3に固定されているために、ヘッド本体4はスプリング2の撥力に抗して下降し、チップ管11の先端部(融着用ガラスペースト)は裏面ガラス基板P1の下面に押圧した状態で密着することになる。
【0018】その後、チップ管11の大径部11aとガラスパネルPとを一辺に切欠き部13を有するクリップ12により固定する。
【0019】この状態では、従来同様、チップ管11に圧縮応力がかかっているため、一旦、前記エア供給・排気管7を大気解放してチップ管11の締め付けを解除することでチップ管11を吊下げ保持状態とさせたのち、再度、前記エア供給・排気管7から高圧エアを弾性部材8の内部空間8aに供給してチップ管11の周面を弾性部材8によりを締め付けて気密に固定保持する。
【0020】前述のように、チップ管11を圧縮応力がかからない状態で排気ヘッド3に気密に保持すると、排気カートを炉内に装入し、排気カートの炉内移動とともに封着・排気処理を行う。
【0021】すなわち、排気カートの架台に載置されたガラスパネルPは炉内を移動する間に封着処理ゾーンで約400℃に加熱され、融着用ガラスペーストSが溶融して両ガラス基板P1,P2を封着するとともにチップ管11と裏面ガラス基板P1とを封着する。そして、炉内温度が約350℃の排気ゾーンに至ると、ヘッド本体4を真空排気系に接続して、排気ヘッド3およびチップ管11を介してガラスパネルP内を10-4〜10-7Torrまで真空排気し、その後、冷却ゾーンを経て炉外に搬出される。
【0022】排気カートが炉外に搬出されると、真空排気系から放電ガス供給系に切り換えて、排気ヘッド3およびチップ管11を介してガラスパネルP内にネオン、アルゴン等の放電ガスを規定圧力まで封入する。
【0023】そして、前記放電ガスの封入が完了すると、封止ヒータに通電してチップ管11を閉止し、その後溶断して所定のPDPとする。
【0024】なお、前記説明では、ガラスパネルとしてPDPの処理方法について述べたが、真空断熱ガラスパネルの場合には、ガラスパネル内を真空排気したのち封止ヒータにてチップ管11を閉止し、その後、溶断すればよい。
【0025】また、前記実施の形態では、排気カートにより連続炉内を走行させて連続的にガラス基板の封着、チップ管の封着、排気・放電ガスの注入、封止切りを行うものであるが、バッチ式炉で行う場合にも適用することができる。
【0026】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明によれば、チップ管の端面がガラス基板に押圧した状態で接続した後、排気ヘッドによるチップ管の保持力を解除し、その後、再度、排気ヘッドに保持するため、チップ管は圧縮応力が大幅に軽減した状態で後工程であるチップ管の封止切り工程となる。
【0027】したがって、封着・排気処理後のチップ管の封止切り時にチップ管が変形することが無く、溶断作業を効率よく行うことができる。また、封止切り時におけるチップ管の変形がなくなることから、チップ管の封止切り作業の自動化を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
【出願日】 平成12年12月6日(2000.12.6)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外4名)
【公開番号】 特開2002−175758(P2002−175758A)
【公開日】 平成14年6月21日(2002.6.21)
【出願番号】 特願2000−371439(P2000−371439)