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【発明の名称】 蛍光ランプ用ガラス管及びそれに適したガラス
【発明者】 【氏名】白鳥 誠

【氏名】犬塚 信夫

【要約】 【課題】PbOを実質的に含有しない組成を有する蛍光ランプ用ガラス管として好適なガラスを提供すること。

【解決手段】質量%で、SiO2 55〜78%、Al23 1〜7%、B23 12〜24%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、Nb0.05〜5%、WO 0.05〜5%、Sb23+Bi+CeO 0〜5%の組成を有する蛍光ランプ用ガラス管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 質量%で、SiO2 55〜78%、Al23 1〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、Nb0.05〜5%、WO+Sb23+Bi+CeO 0〜10%の組成を有することを特徴とする蛍光ランプ用ガラス管。
【請求項2】 質量%で、SiO2 60〜73%、Al23 2〜7%、B23 12〜22%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜12%、Nb0.05〜5%、WO+Sb23+Bi+CeO 0.05〜5%の組成を有することを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ用ガラス管。
【請求項3】 質量%で、SiO2 55〜78%、Al23 1〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、WO0.05〜5%、Nb+Sb23+Bi+CeO 0〜10%の組成を有することを特徴とする蛍光ランプ用ガラス管。
【請求項4】 質量%で、SiO2 60〜73%、Al23 2〜7%、B23 12〜22%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜12%、WO0.05〜5%、Nb+Sb23+Bi+CeO 0.05〜5%の組成を有することを特徴とする請求項3記載の蛍光ランプ用ガラス管。
【請求項5】 質量%で、SiO2 55〜78%、Al23 1〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、Nb0.05〜5%、WO0.05〜5%、Sb23+Bi+CeO 0〜5%の組成を有することを特徴とする請求項1または3に記載の蛍光ランプ用ガラス管。
【請求項6】 質量%で、SiO2 55〜70%、Al23 1〜5%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 8〜15%、WO+Nb0.05〜5%、Sb23+Bi+CeO 0〜5%の組成を有し、50℃〜ガラス転移点(Tg)までの温度範囲における平均線膨張係数が46〜57×10−7/℃であることを特徴とする蛍光ランプ用ガラス管。
【請求項7】 質量%で、SiO2 65〜78%、Al23 4〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜12%、WO+Nb0.05〜5%、Sb23+Bi+CeO 0〜5%の組成を有し、30〜400℃までの温度範囲における平均線膨張係数が36〜45×10/℃であることを特徴とする蛍光ランプ用ガラス管。
【請求項8】 波長253.7nmにおける肉厚1mmでの紫外線透過率が5%以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の蛍光ランプ用ガラス管。
【請求項9】 両面を光学研磨した肉厚1mmのガラス研摩面を主波長253.7nmの400W高圧水銀ランプから20cmの位置に対向させて配置し、300時間紫外線を照射した後、波長400nmにおける透過率(T)を測定し、紫外線照射前の波長400nmにおける初期透過率(T)からの劣化度を次式により求めた紫外線照射試験における劣化度が3%以下であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の蛍光ランプ用ガラス管。
劣化度(%)=[(T−T)/T]×100【請求項10】 ガラス管の外径が0.7〜5mm、肉厚が0.07〜0.6mmであり、表示デバイスのバックライト用光源に用いられることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の蛍光ランプ用ガラス管。
【請求項11】 導光体を介して表示面を照射するエッジライト方式のバックライト用光源に用いられることを特徴とする請求項10記載の蛍光ランプ用ガラス管。
【請求項12】 質量%で、SiO2 55〜78%、Al23 1〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、Nb0.05〜5%、WO+Sb23+Bi+CeO 0〜10%の組成を有することを特徴とするガラス。
【請求項13】 質量%で、SiO2 60〜73%、Al23 2〜7%、B23 12〜22%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜12%、Nb0.05〜5%、WO+Sb23+Bi+CeO 0.05〜5%の組成を有することを特徴とする請求項12記載のガラス。
【請求項14】 質量%で、SiO2 55〜78%、Al23 1〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、WO0.05〜5%、Nb+Sb23+Bi+CeO 0〜10%の組成を有することを特徴とするガラス。
【請求項15】 質量%で、SiO2 60〜73%、Al23 2〜7%、B23 12〜22%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜12%、WO0.05〜5%、Nb+Sb23+Bi+CeO 0.05〜5%の組成を有することを特徴とする請求項14記載のガラス。
【請求項16】 質量%で、SiO2 55〜78%、Al23 1〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、Nb0.05〜5%、WO0.05〜5%、Sb23+Bi+CeO 0〜5%の組成を有することを特徴とするガラス。
【請求項17】 質量%で、SiO2 55〜70%、Al23 1〜5%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 8〜15%、WO+Nb0.05〜5%、Sb23+Bi+CeO 0〜5%の組成を有し、50℃〜ガラス転移点(Tg)までの温度範囲における平均線膨張係数が46〜57×1−7/℃であることを特徴とするガラス。
【請求項18】 質量%で、SiO2 65〜78%、Al23 4〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜12%、WO+Nb0.05〜5%、Sb23+Bi+CeO 0〜5%の組成を有し、30〜400℃までの温度範囲における平均線膨張係数が36〜45×10−7/℃であることを特徴とするガラス。
【請求項19】 波長253.7nmにおける肉厚1mmでの紫外線透過率が5%以下であることを特徴とする請求項12ないし18のいずれかに記載のガラス。
【請求項20】 両面を光学研磨した肉厚1mmのガラス研摩面を主波長253.7nmの400W高圧水銀ランプから20cmの位置に対向させて配置し、300時間紫外線を照射した後、波長400nmにおける透過率(T)を測定し、紫外線照射前の波長400nmにおける初期透過率(T)からの劣化度を次式により求めた紫外線照射試験における劣化度が3%以下であることを特徴とする請求項12ないし19のいずれかに記載のガラス。
劣化度(%)=[(T−T)/T]×100
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光ランプ用ガラス管に関し、特に液晶ディスプレイ(以下LCDと称すことがある)等の表示デバイスのバックライト用蛍光ランプに使用される蛍光ランプ用ガラス管及びそれに適したガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、マルチメディア関連機器のキーデバイスとしてLCDは広く用いられているが、その用途の拡大とともに軽量化、薄型化、高輝度化、低消費電力化などが求められるようになっている。特にパソコン用ディスプレイ、車載用表示装置、携帯情報端末等では高品位な表示品質が要求されている。一方、液晶表示素子自体は非発光であるため、上記のような用途では、蛍光ランプを光源とするバックライトを用いた透過型液晶表示素子が使用されている。
【0003】上述のようにLCDに軽量化、薄型化、高輝度化、低消費電力化などが求められていることから、同様にバックライトにも一層の小型軽量化、高輝度化、低消費電力化が求められ、バックライト用蛍光ランプにおいては細管化、薄肉化が進展している。
【0004】しかし、蛍光ランプの細管化、薄肉化は、機械的強度の低下、発熱量増大による電極部の温度上昇をもたらす。このため、バックライト用の蛍光ランプに使用されるガラス管には、より高強度で低膨張性であるガラスが必要とされている。
【0005】従来、この種の蛍光ランプのガラス管には、照明用ガラスとしての実績があり加工性に優れた鉛ソーダ系の軟質ガラスが使用されてきた。ところが、管径5〜0.5mm、肉厚0.6〜0.1mmといった現在のバックライト用途では、製品の信頼性において十分な強度や耐熱性を確保することが困難となり、鉛ソーダ系の軟質ガラスよりも熱的、機械的強度が高い硼珪酸系硬質ガラスを用いて蛍光ランプを作製することが検討され、気密封止可能な金属と硬質ガラスの組合せとして、従来からよく知られているコバール合金とコバール封着用ガラス又はタングステンとタングステン封着用ガラスを用いた蛍光ランプが開発され、商品化されている。ここで「コバール」とは、Fe−Ni−Co系合金を指すWestinghouse Ele.Corp.社の商標名であり、東芝社製KOV(商品名)など同等の他社製品を包含する意味で用いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】バックライト用蛍光ランプの発光原理は、一般照明用蛍光ランプと同様、蛍光管内の電極間放電により励起された水銀蒸気が253.7nmの紫外線を放出し、管内壁面に塗布されている蛍光体が発光することによるものである。しかし、紫外線にはガラスに変色を引き起こす作用があることが知られており、紫外線に対して何の対策も取っていないガラスでは、紫外線照射によりソラリゼーションと呼ばれる変色作用を生ずる。蛍光管ガラスでソラリゼーションが起こると、結果としてランプ輝度の低下、発光色の変色となり、バックライトではLCDの表示が暗くなったり表示色が不鮮明になったりするなど表示品質の低下を招く。また、紫外線がバックライト用ガラス管を透過して管外に放出されると、LCD表示装置内部の樹脂部品等の材質劣化を促進させ、光拡散フィルムの着色による表示品質の低下や、製品寿命、信頼性を低下させる原因になるといった問題がある。
【0007】特に表示デバイスの薄型軽量化に有利なバックライト方式として、透明導光体の側端面に光源を配し、導光体の一面を反射拡散処理して、光を多重反射させることにより面光源とするエッジライト方式が知られているが、この方式では構造上、導光体が必要なこと、軽量化のため導光体にはアクリル系樹脂等の樹脂部品が使用されることから、バックライト用光源からの紫外線漏洩は、導光体の劣化着色による光透過率の低下をもたらし、光源近傍で樹脂の劣化が生ずると表示面全体の明るさが低下するため、上記蛍光管ガラスでのソラリゼーションとともに表示品質に与える影響が大きい。
【0008】上記した鉛ソーダ系ガラスでは、ガラス成分として含有されている鉛が耐紫外線ソラリゼーション性、紫外線カット性能を有していたため、これらが問題となることはなかったが、硼珪酸系のコバール封着用ガラス又はタングステン封着用ガラスは元来電子管や電子部品の封止に用いられていたもので、紫外線による作用に対してはガラス材質としての対策は取られておらず、紫外線ソラリゼーション、紫外線透過の問題が避けられなかった。
【0009】このため、従来のコバール封着用ガラス又はタングステン封着用ガラスを蛍光ランプ用外管に使用する場合、ガラス管内面に紫外線を反射又は吸収する成分であるAl23 やTiO2 のコーティングを行い、その上に蛍光体を塗布して多層膜を形成し、ガラスに達する紫外線の強度を弱めるといった措置も取られている。しかし、このような方法は、ガラス管の細径化にともなう塗布の困難化や塗布工程の増加によるコスト上昇が避けられない。
【0010】以上のような背景から、コバール合金又はタングステンと封着可能な熱膨張係数を持ち、耐紫外線ソラリゼーション性を有するガラスとして特開平8−333132号公報、特開平8-333136号公報、特開平9-110467号公報に開示のガラスが提案されている。これらのガラスはいずれも硼珪酸系ガラスにPbO,TiO2,Sb23の少なくとも1種以上を添加することにより耐紫外線ソラリゼーション性を持たせたものである。
【0011】これらのガラスにより紫外線によるソラリゼーションの問題は解消されるが、いずれのガラスも環境有害物質であるPbOの含有を許容しており、環境保護の観点からは好ましいとは言えない。また、蛍光ランプとして使用する場合の紫外線カットに対する配慮が十分とはいえず、前記した耐紫外線ソラリゼーション性付与成分の組合せ、含有量によっては励起された水銀が発する253.7nmの有害紫外線を透過し、内装部品を劣化させるおそれがある。
【0012】本発明は以上のような諸事情を考慮してなされたものであり、PbOを実質的に含有しない組成を有し、コバール合金又はタングステンとの封着が可能で十分な耐紫外線ソラリゼーション性を持ち、かつ有害紫外線を透過しない蛍光ランプ用ガラス管及びそれに好適なガラスを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は質量%で、SiO2 55〜78%、Al23 1〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、Nb0.05〜5%、WO+Sb23+Bi+CeO 0〜10%の組成を有することを特徴とする。
【0014】また本発明は、質量%で、SiO2 55〜78%、Al23 1〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、WO0.05〜5%、Nb+Sb23+Bi+CeO 0〜10%の組成を有することを特徴とする。
【0015】また、質量%で、SiO2 55〜70%、Al23 1〜5%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 8〜15%、WO+Nb0.05〜5%、Sb23+Bi+CeO 0〜5%の組成を有し、50℃〜ガラス転移点(Tg)までの温度範囲における平均線膨張係数が46〜57×10−7/℃であることを特徴とする。
【0016】また、質量%で、SiO2 65〜78%、Al23 4〜10%、B23 10〜25%、Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜12%、WO+Nb0.05〜5%、Sb23+Bi+CeO 0〜5%の組成を有し、30〜400℃までの温度範囲における平均線膨張係数が36〜45×10−7/℃であることを特徴とする。
【0017】また本発明は、上記組成を有するガラスであって、波長253.7nmにおける肉厚1mmでの紫外線透過率が、5%以下であることを特徴とする。
【0018】さらに、両面を光学研磨した肉厚1mmのガラス研摩面を主波長253.7nmの400W高圧水銀ランプから20cmの位置に対向させて配置し、300時間紫外線を照射した後、波長400nmにおける透過率(T)を測定し、紫外線照射前の波長400nmにおける初期透過率(T)からの劣化度を次式により求めた紫外線照射試験における劣化度が3%以下であることを特徴とする。
劣化度(%)=[(T−T)/T]×100【0019】さらに本発明は、ガラス管の外径が0.7〜5mm、肉厚が0.07〜0.6mmであり、表示デバイスのバックライト用光源に用いられることを特徴とし、特に導光体を介して表示面を照射するエッジライト方式のバックライト用光源に用いられることを特徴とする。
【0020】次に本発明のガラスを構成する各成分の含有量を上記のように限定した理由を説明する。
【0021】SiO2は、はガラスの網目形成成分であるが、78%を超えるとガラスの溶融性、加工性が悪化し、55%未満ではガラスの化学的耐久性が低下する。化学的耐久性の低下はウェザリング、ヤケ等の原因となり蛍光ランプの輝度低下、色むら発生の原因となる。また、電極封入線としてコバール合金を使用する場合には、55〜70%、電極封入線としてタングステンを使用する場合には、65〜78%とすることが好ましい。これによりガラスの線膨張係数を各電極封入線と近似の適正な値に保ちリーク、クラック等のない封着を可能にする。
【0022】Al23はガラスの化学的耐久性を改善する作用があるが、10%を超えると脈理の発生など溶融性に問題が生じ、ダンナー法による管成形の際スリーブ部分での失透の原因となる。また1%未満では分相が発生し成形性に問題を生じるとともにガラスの化学的耐久性の低下をもたらす。好ましくは1〜7%の範囲である。特に、電極封入線としてコバール合金を使用する場合には1〜5%、好ましくは1〜4%、電極封入線としてタングステンを使用する場合には、4〜10%、好ましくは4.5〜7%とする。これにより各電極封入線との線膨張係数を適正な値に保つことができリーク、クラック等のない封着を可能にする。
【0023】B23は溶融性向上および粘度調整の目的で用いられる成分であるが、25%を超えるとガラスの化学的耐久性が低下し、長期間の使用によりウェザリングを生じる。またB23が10%未満では溶融性の悪化、粘度上昇によるコバールとの封着性悪化等の問題を生じる。好ましくは12〜22%である。
【0024】Li2 O、Na2 O、K2 Oは、は融剤として作用し、ガラスの溶融性を改善するとともに粘度、熱膨張係数の調整に用いられる成分であるが、これら成分の合量が15%を超える場合は熱膨張係数が大きくなりすぎ、また化学的耐久性が悪化する。他方、5%未満では膨張係数の大幅な低下、粘度の大幅な上昇を伴いコバールとの封着が困難となる。また、各成分の含有量は、Li2 Oを0〜5%、Na2 Oを0〜8%、K2 Oを 2〜12%とすることが好ましい。それぞれの含有量が各上限値を超える場合は熱膨張係数が大きくなりすぎたり、化学的耐久性を悪化させたりする。また蛍光ランプの点灯中Na2 Oは水銀と反応しアマルガムを形成することが知られており、ガラス中の過剰なNa2 Oは蛍光ランプ中で有効に作用する水銀量を結果として減らすことになるため、水銀使用量削減の環境的観点からもNa2 Oの上記上限値を超える添加は好ましくなく、より好ましくは0〜3%である。また各下限値未満では膨張係数が大幅に低下し、粘度の大幅な上昇によりコバール封着ができなくなる。特に、電極封入線としてコバール合金を使用する場合には、8〜15%、電極封入線としてタングステンを使用する場合には、5〜12%、より望ましくは5〜10%とすることが好ましい。これにより各電極封入線との線膨張係数を適正な値に保つことができリーク、クラック等のない封着を可能にする。
【0025】WO、Sb23、Nb、Bi、CeOは耐紫外線ソラリゼーション性、紫外線カット性能を付与する目的で添加するが、これらの合量が10%を越えるとガラスが失透し易くなって均質性の悪化を生じるるとともに、バッチコストの極端な上昇を伴うため経済的観点からも好ましくない。また0.05%未満では、耐紫外線ソラリゼーション性、紫外線カット性能等の特性が十分に得られない。これら成分合量での添加量は、好ましくは0.1〜5%、より好ましくは0.1〜3%の範囲である。
【0026】WO、Sb23、Nb、Bi、CeOの中で、WO、Nbは特に紫外線によるソラリゼーションを抑制する作用が強いため、WO、Nbのいずれかを必須成分として加えることが好ましい。この場合の各成分の好ましい含有量は、WOが0.05〜5%、より好ましくは0.1〜3%、Nbが0.05〜5%、より好ましくは0.1〜3%の範囲である。
【0027】WO、Nbはそれぞれ単独の添加でもソラリゼーション防止効果が認められるため、WOを必須とする場合には、残りのSb23、Nb、Bi、CeOの合計含有量は0〜10%の範囲でよく、紫外線カットをより強固にしたい場合等には0.05%〜10%の範囲で添加できる。一方、Nbを必須とする場合には、前記と同様残りのSb23、WO、Bi、CeOの合計含有量は0〜10%の範囲でよく、好ましくは0.05%〜5%の範囲で添加できる。
【0028】Sb23は耐紫外線ソラリゼーション性の付与とともにガラスの清澄作用を有するので、本発明においても好適に用いることができる。ただし、Sb23含有量が多くなると、コバール封着等の熱加工時にガラスが黒化する原因となり、蛍光ランプの輝度低下、発光色の変色、色むらを引き起こす。また下限値未満では清澄効果が得られないためガラスの溶融清澄にかかる時間が増大する。
【0029】以上の他、Bi、CeOは紫外線カットに有効であり、これら2成分のどちらか一方または合量で5%まで添加することができる。これら成分の合量が5%を越えると失透性が強くなるとともにガラスに着色が現れるので好ましくない。これら成分の添加により紫外線カット性能に差異が認められるのは0.01%以上添加した場合であり、各成分単独での許容含有量は、Biが0〜5%、CeOは0〜3%である。
【0030】本発明のガラスを溶融するにあたって使用する清澄剤に特に制限はなく、一般的に用いられるNaCl、NaSO等が使用できる。
【0031】さらに、ガラスの耐候性、溶融性、失透性などを改善する目的でZnO,CaO,MgO,SrO,ZrO,P,Fなどの成分を本発明の所期の特性を損なわない範囲で添加することも可能である。これらの中でZrOは、ガラスの化学的耐久性の改善及び分相抑制に効果が期待できるが、3%を越えて添加するとガラスが不均一になりやすく、細管に成形した際に肉厚や寸法の精度がばらつく原因になるので好ましくない。特に硼珪酸系ガラスにおいて、Fe、WO、Nb、Bi、CeO等のガラスに着色を与えることのある成分を含有している場合、溶融成形工程でガラスに分相が生じると、分相部分が起点となって着色が現れることがあるため、ZrOは本発明においてはガラスの着色防止のためにも有効である。
【0032】また、上述のように本発明のガラスをLCD表示装置等のバックライト用蛍光ランプに使用した場合、紫外線がガラス管を透過して管外に放出されると、LCD表示装置内部の樹脂部品等の材質劣化を促進させ、製品寿命や信頼性を低下させる原因になるため、本発明では上記成分組成により紫外線カット特性を持たせ、ガラスを肉厚1mmに光学研磨した状態で、波長253.7nmにおける紫外線透過率を5%以下としている。実際の蛍光ランプにおけるガラス肉厚はさらに薄いが、この程度まで紫外線透過が抑えられていれば、実用上問題は生じない。可視光の透過に影響を及ぼさず、より好ましい品質レベルを求めるのであれば、肉厚1mmで0.1%以下にすることができる。
【0033】また、本発明において、紫外線照射試験における劣化度を上記のように定めた理由は次のとおりである。普通、強紫外線源の近傍にガラスを曝す促進試験では、1時間〜数時間で着色傾向(着色し易いガラスか否か)は確認できるが、100時間を越えるとその程度は次第に緩やかになり、300時間経過時点ではほぼソラリゼーションによる着色限界に近い状態を確認することができる。このため、実製品における長期間使用時の透過率低下の影響をより正確に把握できる。このときの透過率評価波長400nmは、明るさに最も影響を与え易いと考えられる波長を選択した。このような条件の試験における透過率の劣化度が3%以下であれば、蛍光ランプ用ガラス管に起因するLCD表示の暗化を使用者が認識し得ない程度に抑えることができ、実用的な表示品質を維持できる。
【0034】また、ガラス管の外径が0.7〜5mm、肉厚が0.07〜0.6mmであり、表示デバイスのバックライト用光源に用いられることを特徴とする。外径、肉厚が前記上限値を越えると、現在のバックライト使用製品における薄型軽量化の要請を満たすことができず、下限値未満になると成形精度の安定性や耐衝撃強度の点で充分な信頼性をもった製品を低廉な価格で供給することが難しくなる。
【0035】さらに、本発明は導光体を介して表示面を照射するエッジライト方式のバックライト用光源に好適に用いられる。上述のとおり、本発明の蛍光ランプ用ガラス管は、紫外線吸収性能に優れるため、樹脂製導光体を使用するエッジライト方式のバックライト用光源に用いた場合でも、導光体の紫外線による劣化、透過率低下を生じにくく、初期の明るさを長期間維持できる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態について説明する。本発明のガラス及び蛍光ランプ用ガラス管は次のようにして作成することができる。まず上記組成範囲、たとえば、SiO2 67.5%, Al23 4%,Li2O 1%,Na2O 0.5%,K2O 8%,B23 18.5%,WO0.25%,Nb0.2%となるように原料を秤量・混合する。この原料混合物を白金坩堝に収容し、電気炉内において加熱溶融する。充分に攪拌・清澄した後、所望の形態に成形する。なお、蛍光ランプ用の細管等を作成するために管状に量産成形する場合には、タンク炉にて溶融し、ダンナー法、リドロー等の既知の管引き成形法によって問題なく成形することができる。
【0037】
【実施例】次に、本発明のガラスにつき実施例に基づいて詳細に説明する。表1ないし表3に本発明の実施例および比較例を示す。試料No.1〜15及びNo.18〜27は本発明の実施例、No.16、17は従来のコバール封着用ガラス、No.28、29は従来のタングステン封着ガラスを示す比較例である。なお、表中の組成は質量%で示してある。表中記載のガラスは、表に示す酸化物組成となるよう珪砂、各金属の炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等の原料粉末を秤量混合し、それぞれ含有成分によって選択された清澄方法により白金坩堝もしくは石英坩堝を用いて1450℃で5時間溶融した。その後、充分に攪拌・清澄したガラスを矩形枠内に流出させ、徐冷後に以下に示す評価項目に合せて所望の形状に加工したサンプルを作成した。なお酸化清澄の場合はSb23を、還元清澄の場合はNaClを清澄剤として用いた。
【0038】表中に示した項目について説明すると、熱膨張係数およびガラスの転移点は、各ガラスを直径4mm、長さ20mmの円柱に加工したサンプルを用い熱機械分析装置(TMA)で測定した。このとき熱膨張係数については、後述する温度範囲における平均線膨張係数を測定し、合せて同じ温度範囲における封着金属の平均線膨張係数も記載した。ガラスと封着金属との熱膨張係数差が大きくなると、封着部からのリークやクラックの発生原因となり、蛍光ランプ用としては使用できない。特に、コバール合金は400℃台後半で膨張曲線が屈曲するため、ガラスの転移点を低下させて膨張曲線をコバール合金に近似させることが必要であり、ガラスのコバール合金との封着性を評価するためには、この温度域までの熱膨張係数がコバール合金と同等又はやや低めであることが好ましい。このため、コバール合金との封着を想定した実施例No.1〜15のガラスは、この温度域を含む50℃〜各ガラスの転移点(Tg)までの温度範囲における熱膨張係数を評価した。一方、タングステンとの封着を想定した実施例No.18〜27のガラスは30〜400℃の温度範囲における熱膨張係数を評価した。
【0039】耐紫外線ソラリゼーション性試験による透過率の劣化度は、各ガラスサンプルを一辺30mm角の板状にカットし、厚さが1mmとなるよう両面光学研磨加工した試料を、水銀ランプ(H−400P)から20cmの位置に配置して300時間紫外線照射した後、波長400nmにおける透過率を測定し、紫外線照射前の初期透過率からの劣化度で表示した。なお、透過率劣化度(%)=[(初期透過率−紫外線照射後の透過率)/初期透過率]×100である。
【0040】また、耐紫外線ソラリゼーション性試験に供する前の前記試料で、波長253.7nmの透過率を測定した値を合わせて示した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】表から明らかなように、本発明の実施例であるNo.1〜15の各試料は、いずれもその熱膨張係数がコバールの平均熱膨張係数60.9×10−7/℃と比較的近い値で、かつコバール合金よりもやや低めの値を示しており、ガラスの固着点以下での膨張収縮挙動が類似していることからコバール合金との良好かつ信頼性の高い封着性が得られる。また、本発明の実施例であるNo.18〜27の各試料は、いずれもその熱膨張係数がタングステンの平均熱膨張係数45×10−7/℃と比較的近い値で、かつタングステンよりもやや低めの値を示しており、タングステンとの良好かつ信頼性の高い封着性が得られる。またこれら実施例のガラスは、波長253.7nmの透過率が極めて低く、有害紫外線をほとんど透過しない。さらに、紫外線照射による透過率劣化も0.4%以下に抑えられており、非常に高い耐紫外線ソラリゼーション性を有していた。
【0045】これに対し比較例であるNo.16,No.29の試料は、波長253.7nmの透過率が大きいため、蛍光ランプに使用した場合、ランプからの有害紫外線の漏洩による影響が危惧されるものであった。また耐ソラリゼーション成分を含まないNo.17、No.28の試料は紫外線照射後の劣化度が大きく実用に耐えるものでなかった。
【0046】また、本発明に係るガラスはPbOを実質的に含有しなくとも優れた耐紫外線ソラリゼーション性を有し、環境負荷の観点からも好ましいものが得られる。
【0047】なお、本発明に係るガラスは以上に詳述したように蛍光ランプ用ガラス管として好適するものであるが、これに限定されることなく、優れた紫外線カット性及び可視光透過性から紫外線カットフィルタ、合せて高い耐紫外線ソラリゼーション性を有することから水銀ランプなど紫外線放射を伴う光源の外囲器等に利用することができる。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明のガラスは、コバール合金又はタングステンとの封着に適した熱膨張係数を持ち、しかも優れた耐紫外線ソラリゼーション性を有するため、蛍光ランプ用ガラス管、特に液晶ディスプレイ等の表示デバイスのバックライト用蛍光ランプに使用されるガラス管として好適する。また実質的に鉛成分を含有していないため、環境負荷の低減にも貢献する。
【0049】また、本発明のガラスは、紫外線カット特性にも優れているため、液晶ディスプレイ等の表示デバイスのバックライト用蛍光ランプに用いた場合でも表示装置内部の樹脂部品等の材質を劣化させることがなく、表示装置の信頼性を向上させる。
【0050】さらに本発明のガラスを用いて作製した蛍光ランプ用ガラス管は、耐紫外線ソラリゼーション性が高いため、ガラスの変色に起因する液晶ディスプレイ等の表示品質の劣化を防止できる。
【出願人】 【識別番号】000158208
【氏名又は名称】旭テクノグラス株式会社
【出願日】 平成12年8月17日(2000.8.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−56808(P2002−56808A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−247432(P2000−247432)