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【発明の名称】 イオン注入装置用のイオン源
【発明者】 【氏名】ボー ハラルド バンデルバーグ

【氏名】トーマス ネイル ホースキー

【氏名】フランク レイモンド トルエイラ

【要約】 【課題】イオン化室に強力で均一な磁界を作り出しかつそれを維持して、非常に高いイオン化効率を可能にするイオン注入装置用のイオン源を提供すること。

【解決手段】本発明のイオン源は、部分的に壁によって区画され、かつイオンビームが経路に沿って引き出される開口18を有するイオン化室と、イオン化室の全体を取り囲み、閉じた形状のヨーク46を有して、このヨークのまわりに少なくとも1つのコイル49,51が巻き付けられている磁石アセンブリ45とを備える。ヨーク46は、一般的にトロイダル形状であり、一対の対向磁極48a,48bを含み、イオン源の動作中、コイルによって発生した磁力線の大部分が、第1の対向磁極48aから出てイオン化室を通過して第2の対向磁極48bに入る。磁石アセンブリ45から生じる浮遊磁界が、開口18から引き出されたイオンビームの経路に直交する方向に指向し、イオン化室内において比較的均一となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも部分的に壁(12)によって区画され、かつイオンビーム(B)が経路(P2)に沿って引き出される開口(18)を有するイオン化室(14)と、前記イオン化室(14)の全体を取り囲み、閉じた形状のヨーク(46)を有して、このヨークのまわりに少なくとも1つのコイル(49,51)が巻き付けられている磁石アセンブリ(45)と、を備えていることを特徴とするイオン注入装置用のイオン源。
【請求項2】少なくとも1つのコイルは、一対のコイル(49,51)からなり、前記ヨーク(46)は、さらに、一対の対向磁極(48a,48b) を含み、前記イオン源の動作中、前記コイルによって発生した磁力線(F)の大部分が、前記第1の対向磁極(48a)から出てイオン化室(14)を通過して第2の対向磁極に入るようになっていることを特徴とする請求項1記載のイオン源。
【請求項3】前記ヨーク(46)は、一般的にトロイダル形状であり、このトロイダルヨークは、前記イオン化室(14)の周囲を取り囲んでいることを特徴とする請求項2記載のイオン源。
【請求項4】前記対向磁極(48a,48b)にそれぞれ取付けられる熱シールド(50a,50b) をさらに含むことを特徴とする請求項2記載のイオン源。
【請求項5】前記磁石アセンブリ(45)を取り囲む非磁性シールドをさらに含み、前記磁石アセンブリが逆流する電子からシールドされていることを特徴とする請求項2記載のイオン源。
【請求項6】前記磁石アセンブリ(45)から生じる浮遊磁界が、前記開口(18)から引き出されたイオンビーム(B)の経路(P2)に直交する方向に指向することを特徴とする請求項5記載のイオン源。
【請求項7】前記磁石アセンブリ(45)から生じる前記磁界は、前記イオン化室(14)内において比較的均一であることを特徴とする請求項6記載のイオン源。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的にイオン注入装置等の半導体処理装置の分野に関し、特に、イオン注入装置等に使用するためのイオン源において、磁界を発生するための磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】集積回路の大規模製造において、イオン注入は、シリコンウェハまたはガラス基板等の加工物(workpiece) に不純物を注入するために産業界において標準的に受け入れられた技術になってきた。従来のイオン注入装置は、所望のドーパント元素をイオン化して、それを加速して規定エネルギのイオンビームを形成できるようにするイオン源を含む。このビームは加工物の表面に向けられ、加工物にドーパント元素を注入する。
【0003】イオンビームの活性化イオンが加工物の表面に貫入して、その物質の結晶格子に埋め込まれることによって、所望の導電率を有する領域を形成する。このイオン注入処理は、一般的に、ガス分子との衝突によるイオンビームの拡散を防止すると共に、空気中浮遊粒子によって加工物が汚染される危険性を最小限に抑える高真空処理室内で実施される。
【0004】イオン線量及びイオンエネルギーは、注入工程を定めるために用いられる2つの重要な変数である。イオン線量は、与えられた半導体材料に対して注入されたイオンの濃度に関係する。
【0005】一般的に、高電流注入装置(イオンビーム電流が約10ミリアンペア(mA)以上)は高いイオン線量の注入装置であり、中電流注入装置(イオンビーム電流が約1mAまで可能)は、低いイオン線量のために使用される。
【0006】イオンエネルギーは、半導体素子における接合部深さを制御するために使用される。イオンビームを作り上げるイオンのエネルギーレベルは、注入されたイオンの深さの度合いを決定する。半導体素子におけるレトログレード・ウエル(retrograde wells)を形成するために用いられる高いエネルギープロセスでは、数100万電子ボルト(MeV)に達する注入を必要とし、また薄い接合部(shallowjunctions)を形成するために1000電子ボルト(1KeV)以下のエネルギーが必要とされる。
【0007】通常のイオン源は、圧縮されたガス源から直接、または蒸発させる固体から間接的に得られるイオン化可能なドーパントガスを用いる。代表的なイオン源となる元素は、ボロン(B)、リン(P)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、ひ素(As)である。これらの元素は、固体またはガス状態の形式で供給され、例えば、ボロンは、固体状態のボロンと、ガス状態の三フッ化ボロン(BF3)のいずれかで供給される。
【0008】図1には、固体状態からイオン化を行う原子を得るための一般的なイオン源10が示されている。このイオン源は、陽極として作用するアーク室ACと、この室内に置かれ陰極として作用するフィラメントFとを有している。動作において、アーク電圧がフィラメントFとアーク室ACの壁との間に加えられる。熱的に活性したフィラメントは、高エネルギーの電子Eを放出し、電気的にアース側となる(即ち、比較的に正にバイアスされた)アーク室ACの壁に向けて加速される。ガスを含むボロンまたは燐が入口Iを介してアーク室ACに供給される。
【0009】リペラRは、フィラメントFに対向するアーク室AC内に配置されている。セラミックの絶縁体Cは、アーク室の壁からフィラメントとリペラの両方を絶縁する。このアーク室は、一般的にアース電位に維持されている。このリペラは、静電的にフィラメントから放出された電子Eを反射し、これらの電子をフィラメントとリペラとの間のイオン化領域内の経路P1に閉じ込める。電子Eは、イオン化領域内でガス分子と衝突して、解離および/またはイオン化する。このイオン化領域では、イオン化可能なガス分子と衝突する電子の数が最大となる。正のイオンは、フィラメントが放出した電子Eによって電子がガス分子の外殻から分離されるときに作り出される。このように、プラズマは、少なくとも部分的に正に帯電したイオンから作り出される。一般的に正に帯電したイオンビームは、負にバイアスされた電極(図示略)によってアーク室内のイオン源開口SAを通ってこのプラズマから引き出される。
【0010】リペラRに加えて、一般的に、イオン源は、イオン源磁石SMを含む。このイオン源磁石SMは、アーク室に沿って磁界を誘導する。この磁界によって、螺旋軌道となるようにフィラメントFによって放出された電子Eの経路P1が生じる。このため、さらに、ガス分子と衝突する数が増加する。これにより、イオン源磁石は、アーク室内のイオン化の効率を向上させる。イオン源磁石の電流は、電源(図示略)によって調整され、引き出されたイオンビーム電流を最大にする。したがって、イオン源磁石SMとリペラRは、アーク室のイオン化領域内にフィラメントFによって放出された高エネルギーの電子を閉じ込める機能を果たす。
【0011】所定の電子温度での電子の閉じ込め効率は、磁界の強さに従って増加し、ガスのイオン化速度は、上昇する電子温度に従って増加する。それゆえ、イオン源のイオン化室内に強い磁界が誘導されることが望ましい。しかし、イオン化室外、特に、イオンビーム経路内における磁界は低く維持されるべきであり、その結果、イオン注入装置の光学機器が逆に影響を受けないことになる。最終的に、イオン化室の中央部分において、均一な磁界が形成されることが望ましく、その理由は、低い磁界勾配によって、より電子の閉じ込めが良くなり、プラズマも安定する。
【0012】しかし、このように、イオン源磁石をイオン化室に近接して配置すると、イオンビームに悪影響を与える浮遊磁界が誘導される。特に、イオン化室外の浮遊磁界は、引出し電極の領域に伸びるイオンビーム経路に平行であるので、放射特性に影響を与える。さらに、従来のイオン源磁石は、イオン化室内に非均一磁界を与え、イオン化室において、イオン化の不安定と電磁ノイズをもたらす。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、イオン源のイオン化室に強力で均一な磁界を作り出しかつそれを維持して、非常に高いイオン化効率を可能にするイオン注入装置用のイオン源を提供することを目的としている。本発明のさらなる目的は、磁界がイオン化室内に導かれ、かつ集中するような機構を提供することである。また、本発明の別な目的は、このような磁界を発生するとともに、イオン化室外の浮遊磁界を最小にして、イオンビームの放射特性を改善することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、各請求項に記載の構成を有する。本発明のイオン源は、少なくとも部分的に壁によって区画され、かつイオンビームが経路に沿って引き出される開口を有するイオン化室と、イオン化室の全体を取り囲み、閉じた形状のヨークを有して、このヨークのまわりに少なくとも1つのコイルが巻き付けられている磁石アセンブリとを備えている。
【0015】少なくとも1つのコイルは、一対のコイルからなり、ヨークは、さらに、一対の対向磁極を含み、前記イオン源の動作中、前記コイルによって発生した磁力線の大部分が、第1の対向磁極から出てイオン化室を通過して第2の対向磁極に入るようになっている。さらに、他の実施形態によれば、ヨークは、一般的にトロイダル形状であり、このトロイダルヨークは、イオン化室の周囲を取り囲んでいる。
【0016】また、磁石アセンブリによって生じる浮遊磁界(stray magnetic fields)が、開口から引き出されたイオンビームの経路に直交する方向に指向する。磁石アセンブリによって生じる磁界は、イオン化室内において比較的均一となっている。磁石アセンブリによって出力される主たる磁界は、イオン化室内で比較的均一であり、それゆえ、この磁石アセンブリの効率が高められる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2において、イオン注入装置のためのイオン源10が示されており、このイオン源には、本発明のリペラ(repeller)100を含んでいる。イオン源10は、イオン化室を区画する壁12を含み、このイオン化室14内にプラズマが形成される。イオン源の開口プレート16は、その中に開口18を有し、引出し電極20,22によってイオン化室14からイオンビームBを経路P2に沿って引き出すことができる。
【0018】引出し電極は、一般的に開口プレート16及び他のイオン化室の壁12に対して負にバイアスされており、イオン化室から引き出されたイオンビームは、主として正イオンを含んでいる。アルミニウムの支持脚24,26は、それぞれハーフリング28,30を支持し、イオン源ハウジング34内のグラファイト製インサート32を介してイオンビームBを導いている。
【0019】イオン源アセンブリの支持管36は、イオン化室を取り囲んで支持し、かつ取り付けフランジ38に隣接している。絶縁体40は、イオン源ハウジング34上の取り付けフランジ38とフランジ42を電気的に絶縁する。この絶縁体40は、必要とされる励起電圧からイオン源ハウジング34を絶縁しており、この励起電圧が、アーク室14内にイオンを発生し、そして、この室から放出されたイオンを加速する。
【0020】イオン化室14の壁12内には、間接的に加熱された陰極44内に少なくとも部分的に含まれるフィラメント(図示略)がある。イオン化室の一端には、陰極44があり、また、陰極の反対側の他端には、リペラ100が配置されている。アルゴン(Ar)等のスパッタ用ガスは、入口35を介してイオン化室14に放出され、フィラメントは、熱的に励起されて電子を放出する。これらのフィラメントにより放出された電子は、間接的に熱せられた陰極44に向けて加速され、そしてこの陰極に衝突し、今度は、アーク室内から正イオンを作り出す電子を放出する。
【0021】負電位にあるリペラ(または反陰極)100は、以下で説明するようにエンドキャップの陰極44に向けて戻る電子を反射する。これによって、リペラ100は、イオン化室内の陰極によって放出された電子を中央に閉じ込めるように働く。これらの電子がスパッタ用ガス分子と衝突する数が増加し、ガス分子がイオン化される。
【0022】イオン化室のまわりには磁石アセンブリ45があり、これは、イオン源アセンブリの支持管36に取り付けられている。磁石アセンブリ45は、一対のコイル49,51(図3参照)が巻きつけられた環状ヨーク46と、ヨーク46から伸び互いに径方向に対向する磁極48と、磁極48の各々に取り付けられた熱シールド50とを含んでいる。また、非磁気シールド52が、磁石アセンブリ全体の回りを取り囲み、この磁石アセンブリ45を、逆流する電子からシールドする。磁界は、イオン化室14内に集中し、プラズマイオン化の比率を高める。
【0023】磁石アセンブリ45は、図3において詳細に示されている。環状(またはトロイダル形状)のヨークは、2つの鉄片46a,46bを一体に取り付けてリングを形成し、その回りにコイル49,51を巻き付けることにより構成されている。磁極48aは、ヨークの半分46aの一部分として形成され、磁極48bは、ヨークの半分46bの一部分として形成される。熱シールド50a、50bは、それぞれイオン化室14内に発生する熱から磁極48a、48bを保護する。熱シールド50a,50bは、固定具56,56bによって適所に固定される。
【0024】従来良く知られているように、コイル49,51に供給される電流によって、磁石に、環状ヨークの閉ループ構造を通る磁束を形成することができる。図3は、各コイルによって発生した磁力線Fの方向を示す。コイル49,51は、環状ヨークの周囲に関して反対方向の磁力線を導く。磁束の大部分は、トロイダルヨークによって導かれる。コイルによって誘導され磁極48bを出る磁力線は、イオン化室14を通り反対の磁極48aに向けて、イオン化室14を通る共通の戻り経路を有する。磁力線Fの一部は、トロイダル(環状体)の外側を回る。
【0025】コイルは、イオン源および磁石アセンブリが配置されている真空中にコイルからの洩れ磁界を発生している。従って、イオン化室内の正味の磁界は、ヨークから磁極片を通る戻り磁界と、コイルから真空中を通る漏れ磁界との重ね合わせである。
【0026】図4〜図6は、3つの直交平面において形成された、イオン源の磁石アセンブリによって発生する磁界の強さの異なるパターン62,64を示している。図4は、ヨーク46の平面における磁界の強さを示す。図4に示すように、磁界の強さは、コイルの近くが最も強力であり、そこから急勾配となり、イオン化室がある平面の中央部分60では比較的均一である。このコイルに対する中央部分領域60の磁界の強さは、起磁力が25(A)×225(巻数)に対して500ガウスのオーダーである。この磁界の強さは、コイル49,51、およびイオン化室14に密接するヨークを配置することによって最大となる。
【0027】図5は、ヨークの面に対して直交しかつ各コイル49,51によって二分する平面における磁界の強さを示す。また、図5は、この平面の中央部分62内に強力で均一な磁界を、かつイオンビームの経路に低い磁界強度の磁界があることを示している。
【0028】図6は、ヨークの面に対して直交し、かつ各磁極48a、48bを二分する面に形成される磁界の強さを示している。この平面における磁界のプロフィールは、開口18に平行なイオン化室の中心軸に沿って対称である。強力な磁界の勾配は、イオンビームの経路により低い磁界を有し、さらに、この磁界がトロイダルヨークの中央を通っていることを示している。
【0029】このように、閉ループのヨーク46およびコイル49,51を含む本発明の新規な磁石アセンブリ45を用いることによって、強力でかつ均一な磁界がイオン源のイオン化室内に作り出され、ビーム発散特性に影響を与えることなく、イオン化速度とプラズマの安定性を向上させることができる。さらに、コイル49,51によって発生する浮遊磁界が、イオンビーム経路に直交する方向に向き、かつ低い状態で残り、また、この浮遊磁界は、引出し電極16によって占有される領域内に伸びない。このように、ビームラインの光学機器は影響されることがない。
【0030】以上、本発明におけるイオン源用の新規な磁石アセンブリの好ましい実施形態について記載してきた。しかし、上述したこれらの記載は、単に例示のためになされたものであり、本発明は、ここに記載した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更及び修正を含み、添付された特許請求の範囲またはその技術的思想から逸脱しない上述の記載を含むものとする。
【出願人】 【識別番号】500266634
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ インコーポレーテッド
【出願日】 平成13年8月1日(2001.8.1)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外2名)
【公開番号】 特開2002−56786(P2002−56786A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2001−233659(P2001−233659)